JP3591134B2 - 白金族元素の回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は白金族酸化物や白金族硫化物を含有する物質から白金族元素を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
白金族酸化物および白金族硫化物を含有するような物質から白金族元素を回収する場合、白金族の酸化物はそのまま湿式法で浸出することが難しい。このため白金族酸化物を一度還元する必要がある。乾式法でこれをそのまま還元熔解して含白金族合金を得ると、この合金の粉砕性は極めて悪い。粉砕性が悪い合金だと粉砕した合金より白金族を浸出する湿式工程での浸出率が低い上、浸出に時間がかかるなどの問題を生じることになる。
【0003】
このため、白金族系触媒などから白金族を回収場合には、これらを銅、鉄などの金属と共に還元熔解し、白金族含有合金を生成させ、得た合金を溶解し、得た溶解液より回収する。この方法では、粉砕性は改善されるものの未だ悪く、かつ、回収対象となる微量の白金族元素に対して相対的に多量の銅や鉄を添加するため、湿式工程で溶解の対象となる物量が多くなり、結果的に白金族の実収率が低くなり経済的に不利となる。
【0004】
また、白金族を上記と同様に合金とするものの、得られた合金を酸化浸出あるいは電気的に陽極酸化して溶解し、一旦、白金族を残渣あるいはスライムとして濃縮し、このスライムを処理して回収する方法も知られている。この方法では、合金を陽極酸化する場合、通電できる電流に限界があるため、その処理速度が遅く、大きな設備が必要とされる。加えて、回収までに長時間が必要とされるため、高価な白金族の多量の仕掛かりを持つことが強いられる。よってこの方法も経済的に有利な方法とは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、白金族の酸化物および硫化物を含有する物質を還元して得た白金族含有合金に、高い粉砕性を持たすことによって白金族含有合金より効率よく各白金族元素を回収する技術の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の方法は、白金族の酸化物および硫化物を含有する物質に還元剤とFe3Pとを添加した後、還元溶解後に300℃までの平均冷却速度を1℃/秒以上の冷却速度で急冷して合金を得ることを特徴とし、更に具体的には、還元剤とFe3Pを添加後アルゴン、窒素などの不活性雰囲気中において、還元温度を800℃〜1200℃、熔解温度を1450℃〜1650℃として溶解し、次いで300℃までの平均冷却速度を1℃/秒以上の冷却速度で急冷して、得られる白金族含有合金を75ミクロン以下に粉砕して合金粉末とする。そして得られた合金粉末を塩酸と塩素ガスで浸出し、浸出液中に白金族元素を回収するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
湿式処理工程において塩酸と塩素ガスによる浸出を行う際、合金粉の粒度が浸出速度と浸出率に大きく影響する。よって、白金族含有合金の粉砕性が極めて重要となる。
【0008】
本発明者らは種々の検討を重ねた結果、急冷することにより合金粒子の成長を抑え、合金の粉砕性を向上でき、かつPの含まれる合金の粉砕性が高いことに注目して白金族合金中のPの濃度を調整することにより粉砕性を向上できることを見いだした。
【0009】
本発明の方法において、合金中のPの品位は1〜20wt%とすることが好ましく、5〜10%が特に望ましい。
【0010】
合金中のP源としては特にこだわらないが、Fe3Pがもっとも取り扱いやすく簡便で確実である。
【0011】
以下実施例と比較例とを用いて本発明の方法を説明する。
【0012】
なお、本発明の方法において添加する還元剤は炭素を含むものであり、炭素量が原料中の酸素量に対してモル比でC:O=1:2以上とすることが好ましい。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
白金族元素としてPtを8.0%、Pdを6.4%、Rhを5.2%、Irを3.7%、Osを0.4%、Ruを7.4%、Auを0.73%、その他の元素としてFeを19.3%、Cuを8.06%、Niを5.31%、Sを5.42%他を含む酸化物および硫化物を含有する白金属系触媒残渣100gと還元剤のコークス21.6g、更にP品位が15.6wt%のFe3Pを66.7gをアルミナルツボに入れ、Ar中で900℃まで昇温し1時間900℃に保持して還元熔解した。
【0014】
その後温度を1550℃に上げて1550℃で2時間保持して還元メタルを完全に溶解し、セトリングした後、炉からアルミナルツボを取り出して大気中で急冷した。この際、1550℃から300℃までの平均冷却速度は1.2℃/秒となっていた。
【0015】
得られたメタルとカスは158.5g(合金中のP品位7.1%)であった。このメタルとカスをEPMAで観察した結果、白金族の酸化物は全く見られず、メタル中の組織にはPと各白金族が観察されその組織は微細化していた。
【0016】
これらのメタルとカスを振動ミル粉砕機で60秒間粉砕し、目開き75ミクロンの篩を使って篩別したところ、篩上に残ったサンプルは存在せず全量75ミクロン以下に粉砕する事ができた。この75ミクロン以下の粉砕物を塩酸濃度5N、スラリー濃度400g/リットル、液温90℃で塩素ガスを吹き込んで浸出を行い、ORPが最大値まで上昇させた後、HNO3を2%添加し6時間保持した。次いでスラリーを濾過して濾液(浸出液A)、洗浄液(洗液B)、再び残った残渣(洗浄残渣C)を得た。それぞれの液中と残渣の分析値から各メタルの浸出率を、
浸出率=(A+B)×100/(A+B+C)
の式で表すと、Ptが99.8%、Pdが99.9%、Rhが99.5%、Irが99.1%、Ruが99.4%、Auが98.5%で高い浸出率が得られた。
【0017】
(実施例2)
1550℃の熔体を水クエンチした以外は実施例1と同様にしてメタルとカスとを得た。
【0018】
得られたメタルとカスの合計量は159.0gであった。このメタルとカスをEPMAで観察した結果、いずれにも白金族の酸化物は全く見られず、メタルの組織は微細化していた。
【0019】
これらのメタルとカスとを共に振動ミル粉砕機で60秒間粉砕し、目開き75ミクロンの篩を使って篩別したところ、篩上に残ったメタルは存在せず全量75ミクロン以下に粉砕する事ができた。
【0020】
この75ミクロン以下の粉砕物を実施例1と同様に処理して濾液、洗浄液、残渣を得た。そして、実施例1と同様に貴金属を分析し得た分析値から各メタルの浸出率を求めた。その結果、Ptでは99.5%、Pdでは99.6%、Rhでは99.1%、Irでは98.7%、Ruでは98.6%、Auでは98.0%という高い浸出率を得ることができた。
【0021】
(実施例3)
1550℃から300℃までの平均冷却速度を1℃/秒とした以外は実施例2と同様にしてメタルとカスとを得、これを粉砕し、実施例2と同様にして浸出率を求めた。その結果、実施例1と同様の浸出率が得られた。
【0022】
なお、60秒間の振動ミルの粉砕で全量75ミクロン以下に粉砕する事ができた。
【0023】
(実施例4)
合金中のP品位が1.0%となるように15.6wt%のFe3Pの添加量を5.5gとした以外は実施例1と同様にしてメタルとカスとを得、これを粉砕し、実施例1と同様にして浸出率を求めた。その結果、いずれの場合も実施例1と同様の浸出率が得られた。
【0024】
なお、60秒間の振動ミルの粉砕で全量75ミクロン以下に粉砕する事ができた。
【0025】
(実施例5)
合金中のP品位が20wt%となるようにPを添加した以外は実施例1と同様にしてメタルとカスとを得、これを粉砕し、実施例1と同様にして浸出率を求めた。その結果、いずれの場合も実施例1と同様の浸出率が得られた。
【0026】
なお、60秒間の振動ミルの粉砕で全量75ミクロン以下に粉砕する事ができた。
【0027】
(比較例1)
1550℃で2時間保持した後炉内で冷却した以外は実施例1と同様にしてメタルとカスとを得た。得られたメタルとカスは158.7gであった。このメタルとカスをEPMAで観察した結果、白金族の酸化物は全く見られなかったが、メタルの組織は粗大化していた。なお、1550℃から300℃までの平均冷却速度は0.4℃/秒であった。
【0028】
これらのメタルとカスを振動ミル粉砕機で粉砕を行ったが、このメタルは切削も粉砕も困難な極めて硬い合金であり、浸出試験を行うことができなかった。
【0029】
(比較例2)
粉砕性を向上させる方法としてマット化による試験を実施した。白金族元素としてPtを8.0%、Pdを6.4%、Rhを5.2%、Irを3.7%、Osを0.4%、Ruを7.4%、Auを0.73%、その他の元素としてFeを19.3%、Cuを8.06%、Niを5.31%、Sを5.42%他を含む酸化物および硫化物を含有する残渣150gをアルミナルツボに入れ、Ar中で1200℃まで昇温し還元剤のコークスを32.5g添加して白金族酸化物の還元を1時間行った後、マット化のために硫黄80gを3回に分けて添加した。硫黄添加後2時間保持した後に炉内で冷却した。得られたマットは143.7g、カスが18.3gであった。
【0030】
これらのメタルとカスを振動ミル粉砕機で60秒間粉砕し、目開き75ミクロンの篩を使って篩別したところ、篩を通過したサンプルは159.4gで98.4%が75ミクロン以下に粉砕できた。この75ミクロン以下の粉砕物を塩酸濃度5N、スラリー濃度400g/リットル、液温90℃で塩素ガスを吹き込んで浸出を行い、ORPが最大値まで上昇後HNO3を2%添加し6時間保持した。この浸出液を濾過し濾液(浸出液A)、残渣を水洗して得られた洗浄液(洗液B)、再び残った残渣(洗浄残渣C)とした。それぞれの液中と残渣の分析値から各メタルの浸出率を、
浸出率=(A+B)×100/(A+B+C)
の式で表すと、Ptが92.8%、Pdが99.3%、Rhが98.4%、Irが53.3%、Ruが59.8%、Auが95.0%でIr、Ruの浸出率が悪かった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の方法によれば粉砕性に非常に優れた白金族含有合金を得ることができる。このため白金族回収工程の浸出が容易になり、湿式処理工程で高い浸出率が得られる。
Claims (4)
- 白金族酸化物、白金族硫化物の少なくとも一方を含有する物質と還元剤とを混合し、還元熔解して合金を得、該合金を粉砕して合金粉末を得、該合金粉末を湿式処理して白金族元素を回収する方法において、還元剤とFe3Pとを添加した後、還元溶解後に300℃までの平均冷却速度を1℃/秒以上の冷却速度で急冷して合金を得ることを特徴とする白金族元素の回収方法。
- 得られる合金中のP品位が1〜20質量%であることを特徴とする、請求項1記載の白金族元素の回収方法。
- 白金族の酸化物および硫化物を含有する物質に還元剤とFe 3 Pとを添加後、不活性雰囲気中において、800℃〜1200℃で還元し、次いで1450℃〜1650℃で完全に溶解し、次いで300℃までの平均冷却速度を1℃/秒以上の冷却速度で急冷することを特徴とする、請求項2記載の白金族元素の回収方法。
- 白金族の酸化物および硫化物を含有する物質に還元剤とFe 3 Pを合金中のP品位が1〜20質量%となるように添加後、不活性雰囲気中において、800℃〜1200℃で還元し、次いで1450℃〜1650℃で完全に溶解し、次いで300℃までの平均冷却速度を1℃/秒以上の冷却速度で急冷して、得られる白金族含有合金を75ミクロン以下に粉砕して合金粉とし、得られた合金粉末を塩酸と塩素ガスで浸出し、浸出液中に白金族元素を回収することを特徴とする白金族元素の回収方法。
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JP (1) | JP3591134B2 (ja) |
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1996
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