JP3591080B2 - 筒内面観察装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒の内面を観察する筒内面観察装置に関し、詳しくは、筒内面に光を照射する光照射手段と、該光照射手段から照射され上記筒内面で反射された光を投影する投影手段と、を備えた筒内面観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の筒内面観察装置としては、例えば、特開平2−95205号公報に記載のものが知られている。この公報に記載の筒内面観察装置は、筒内に挿入可能な中空円筒と、その中空円筒の先端に設けられ、頂点をその中空円筒の中空部に向けた円錐鏡とを投影手段として備え、光源からの光を上記中空円筒の外周に沿って伝播させ、上記円錐鏡の周囲から光を放つ光ファイバからなるライトガイドを光照射手段として備えている。
【0003】
このように構成された筒内面観察装置では、筒内面に傷や巣などの凹凸のある欠陥が有るとき、ライトガイドを介して円筒内面に光を照射するとその欠陥に陰影ができる。また、円錐鏡は筒内面からの光を反射して上記中空円筒の中空部を通過させるので、筒内面を上記中空円筒の基端から観察することができる。そこで、上記中空円筒の基端側から筒内面を観察すれば、陰影の有無に基づいて欠陥を検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の筒内面観察装置では、筒内面からの反射光を、それが筒内面で正反射されたものであるか乱反射されたものであるかに関わらず、全ての光を上記中空円筒の中空部を通って反射している。このため、筒内面の変色などの影響を受け易く、単なる変色を欠陥の陰影と誤認してしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、筒内面の変色の影響を受けることなく欠陥を良好に検出することのできる筒内面観察装置を提供することを目的としてなされた。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、
光照射手段と投影手段とを備え、有底の筒内面を観察可能な筒内面観察装置において、
上記投影手段が、
上記筒内に挿入可能な中空円筒と、
該中空円筒の先端に設けられ、頂点を上記中空円筒の中空部に向けた円錐鏡とを備え、
上記筒内面で正反射された光を投影せず、上記筒内面で乱反射された光のみを投影し、
更に、上記光照射手段から照射され上記筒の底面で反射された光が、上記投影手段に入射するのを防止する反射防止板を備え、かつ、該反射防止板の外周が、上記筒の内面に正反射されて上記円錐鏡に投影される範囲の外側に配設されることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明では、中空円筒の基端から観察したとき、円錐鏡には筒内面が投影される。筒内面が滑らかであれば、筒内面の変色の有無に関わらず、筒内面は照射された光を正反射し、筒内面に欠陥があればその部分で光を乱反射する。このため、円錐鏡に投影された画像は、欠陥のある部分で明るくなる。また、乱反射の大きさは筒内面の変色などの影響を受けにくい。従って、本発明では、変色などの影響を受けることなく欠陥を良好に検出することができる。
また、反射防止板は、光照射手段から照射され筒の底面で反射された光が、投影手段に入射するのを防止する。しかも、反射防止板の外周は、上記筒の内面に正反射されて円錐鏡に投影される範囲の外側に配設されているので、反射防止板の外周で反射された光も円錐鏡に投影されない。従って、本発明では、投影手段には筒内面で乱反射された光のみを良好に投影することができ、一層正確に欠陥を検出することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、
記光照射手段が、
上記中空円筒の基端から観察したとき上記円錐鏡に投影される上記筒内面の観察部位に、該観察部位で正反射されても上記円錐鏡に入射しない方向から光を照射する照射部と、
該照射部から照射され、上記観察部位以外の上記筒内面に向かう光を遮断する遮光板と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
発明では、光照射手段の照射部が、中空円筒の基端から観察したとき円錐鏡に投影される観察部位に、その観察部位で正反射されても上記円錐鏡に入射しない方向から光を照射するので、円錐鏡には、筒内面で乱反射された光のみが投影される。また、遮光板は、照射部からの光が上記観察部位以外に照射されるのを防止する。この遮光板がないと、上記観察部位以外に照射された光が多重反射された後、上記円錐鏡に投影される可能性があるが、本発明ではこのような事態を防止することができる。
【0010】
従って、本発明では、円錐鏡には筒内面で乱反射された光のみを良好に投影することができ、請求項1記載の発明の効果に加えて、一層正確に欠陥を検出することができるといった効果が生じる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成に加え、
上記反射防止板が上記円錐鏡の台座から外周方向に突出して形成され、その反射防止板と上記台座との境界が、上記筒の内面に正反射されて上記円錐鏡に投影される範囲の外側に配設されることを特徴としている。このため、反射防止板と上記台座との境界で反射された光は上記投影手段に入射しない。
【0011】
従って、本発明では、投影手段には筒内面で乱反射された光のみを良好に投影することができ、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、一層正確に欠陥を検出することができるといった効果が生じる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明が適用された筒内面観察装置1の構成を表す説明図である。なお、筒内面観察装置1は、例えば、油圧回路でポンプ,シリンダなどを構成する金属製の円筒3の内部を観察するためのものである。
【0013】
図1に示すように、筒内面観察装置1は、円筒3(図2)に挿入可能な内視鏡5と、その内視鏡5に設けた後述のCCDカメラ7の撮影画像を処理する画像処理装置9と、内視鏡5に設けた後述のライトガイド11に光を供給する光源13とを備えている。
【0014】
内視鏡5は、円筒3に挿入可能な中空円筒状のスコープ本体15と、そのスコープ本体15の外周に沿って光ファイバにより構成されたライトガイド11と、スコープ本体15の下端(先端)にガラスパイプ17,台座19を介して固定されたコーンミラー21とを備えている。なお、コーンミラー21は、頂点21a(図2)をスコープ本体15の中空部15aに向けた略円錐状に構成され、その円錐の頂角は鋭角となっている。また、中空部15aには凸レンズ31が配設され、スコープ本体15の上端には、コーンミラー21に投影された映像を中空部15aを通して撮影する前述のCCDカメラ7が固定されている。
【0015】
次に、図2に示すように、スコープ本体15の下端はライトガイド11の周囲で下方に突出して、円筒状の遮光板33を形成している。また、ガラスパイプ17の外周にも、その外周に沿った円筒状の円筒部35aと、外周方向に突出した鍔部35bとを有する遮光板35が設けられている。更に、台座19の下端は外周方向に鍔状に突出して、反射防止板37を形成している。なお、スコープ本体15、遮光板33,35、および反射防止板37の表面は、それぞれ艶消し黒の塗料が全面に塗布され、それらの部材が光を反射しないようにされている。
【0016】
ここで、遮光板33,35、および反射防止板37の大きさについて説明する。図2に示すように、CCDカメラ7で観察したとき、コーンミラー21には、円筒3の内面3aの内、a−bで示される幅の観察部位Kが投影される。遮光板33の下端Aは、ライトガイド11先端の外周a′および観察部位上端aと同一直線上に配設される。また、遮光板35の鍔部35bの外周Bは、ライトガイド11先端の内周b′および観察部位下端bと同一直線上に配設される。このため、ライトガイド11先端から照射された光は、観察部位Kのみに照射される。
【0017】
また、遮光板35の円筒部35aの下端Cは、コーンミラー21の頂点21aおよび観察部位上端aと略同一直線上に配設される。このため、観察部位Kより上方の内面3aで反射された光がコーンミラー21に入射するのを防止することができる。
【0018】
反射防止板37は、その外周dと、反射防止板37と台座19との境界d′が、内面3aに正反射されてコーンミラー21に投影される範囲D、すなわち、a−bで示される観察部位Kに対してコーンミラー21の視野角の正反射領域となる四角形abefの外側に配設されるよう、反射防止板37は充分な大きさを有している。このため、反射防止板37は、外周d、境界d′で反射された光がコーンミラー21に投影されるのも防止しつつ、円筒3の底面3bで反射された光がコーンミラー21に入射するのを防ぐことができる。なお、図2には、円筒3の内面3aに投影された反射防止板37の虚像を二点鎖線で示している。
【0019】
このように構成された筒内面観察装置1では、光源13が発光すると、その光はライトガイド11を伝播され、円筒3の内面3aの観察部位Kに照射される。ライトガイド11は、内面3aの観察部位Kに、その観察部位Kで正反射されてもコーンミラー21に入射しない方向から光を照射するので、コーンミラー21には、観察部位Kで乱反射された光のみが投影され、これがCCDカメラ7によって観測される。CCDカメラ7が観測した画像は、データとして画像処理装置9に送られ、その画像処理装置9は、ディスプレイ9aに上記画像を表示したり、欠陥の有無、延いては円筒3の良否を判断したりする。
【0020】
ここで、内面3aが滑らかであれば、内面3aの変色の有無に関わらず、内面3aは照射された光を正反射し、内面3aに欠陥があればその部分で光を乱反射する。このため、CCDカメラ7で観測された画像は欠陥のある部分で明るくなる。また、乱反射の大きさは内面3aの変色の有無などの影響を受けにくい。従って、筒内面観察装置1では、変色などの影響を受けることなく欠陥を良好に検出することができる。
【0021】
また、遮光板33および遮光板35の鍔部35bは、ライトガイド11からの光が観察部位K以外に照射されるのを防止する。この遮光板33,35がないと、観察部位K以外に照射された光が多重反射された後、コーンミラー21に投影される可能性があるが、内視鏡5ではこのような事態を防止することができる。従って、コーンミラー21には内面3aで乱反射された光のみを良好に投影することができ、一層正確に欠陥を検出することができる。
【0022】
更に、遮光板35の円筒部35aは観察部位Kより上方の内面3aで反射された光がコーンミラー21に入射するのを防止し、反射防止板37は、円筒3の底面3bで反射された光がコーンミラー21に入射するのを防止する。このため、より一層正確に欠陥を検出することができる。
【0023】
また更に、コーンミラー21の頂角は鋭角となっているので、観察部位Kはコーンミラー21よりも下方に配設される。従って、有底の円筒3の内面3aをその底面3b近傍まで容易に観測することができる。また、コーンミラー21の頂角は、観察部位Kからコーンミラー21を介してCCDカメラ7に結像する光線の入射角が、ガラスパイプ17の臨界角を越えないように設定されている。このため、上記光線がガラスパイプ17に正反射されることなく、良好に欠陥を検出することができる。なお、上記実施例において、コーンミラー21が円錐鏡に、スコープ本体15が中空円筒に、ライトガイド11の先端が照射部に、それぞれ相当する。
【0024】
次に、図3は、本発明の参考例の筒内面観察装置51の構成を表す説明図である。この筒内面観察装置51では、内視鏡55に、前述の例と同様にCCDカメラ7、画像処理装置9、および光源13が接続されている。光源13が発生した光は、スコープ本体57の外周に沿って設けたライトガイド59を伝播され、その先端から円筒3の内面3aに照射される。スコープ本体57は中空円筒状に構成され、その中空部57aの下端に魚眼レンズ61が配設されている。また、中空部57aには、凸レンズ63が設けられている。
【0025】
更に、スコープ本体57の下方には、頂点65aを魚眼レンズ61に向けた円錐状の反射防止板65が設けられ、この反射防止板65は、長尺板状のステー67によりスコープ本体57の下方に支持されている。なお、スコープ本体57、ステー67、および反射防止板65の表面には、艶消し黒の塗料が全面に塗布されている。
【0026】
ここで、ライトガイド59の先端は、魚眼レンズ61の集光範囲Eの背後に配設されている。このため、ライトガイド59の先端から照射され内面3aで正反射された光は魚眼レンズ61には入射せず、魚眼レンズ61には内面3aで乱反射された光のみが投影される。従って、筒内面観察装置51では、前述の筒内面観察装置1と同様に、内面3aの変色などの影響を受けることなく、良好に欠陥を検出することができる。また、反射防止板65は底面3bからの反射光が魚眼レンズ61に入射するのを防止するので、一層良好に欠陥を検出することができる。更に、反射防止板65は円錐形に構成されているので、反射防止板65で反射された光(艶消し黒に塗装されているためほぼ皆無であるが)が魚眼レンズ61に入射することもなく、きわめて良好に欠陥を検出することができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することができる。例えば、コーンミラー21は内面3aの一部のみを投影しているが、内面3aのほぼ全体を投影するようにしてもよい。コーンミラー21のように内面3aの一部しか投影することができない場合、内視鏡5または円筒3を一軸のステージに固定して、内面3aを等間隔に分割して観察を行うことにより、精度のよい欠陥検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された筒内面観察装置の構成を表す説明図である。
【図2】その筒内面観察装置のコーンミラー近傍の構成を表す説明図である。
【図3】本発明の参考例の筒内面観察装置の構成を表す説明図である。
【符号の説明】
1,51…筒内面観察装置 3…円筒 5,55…内視鏡
7…CCDカメラ 9…画像処理装置 11,59…ライトガイド
13…光源 15,57…スコープ本体 21…コーンミラー
33,35…遮光板 37,65…反射防止板 61…魚眼レンズ

Claims (3)

  1. 筒内面に光を照射する光照射手段と、
    該光照射手段から照射され上記筒内面で反射された光を投影する投影手段と、
    を備え、有底の筒内面を観察可能な筒内面観察装置において、
    上記投影手段が、
    上記筒内に挿入可能な中空円筒と、
    該中空円筒の先端に設けられ、頂点を上記中空円筒の中空部に向けた円錐鏡とを備え、
    上記筒内面で正反射された光を投影せず、上記筒内面で乱反射された光のみを投影し、
    更に、上記光照射手段から照射され上記筒の底面で反射された光が、上記投影手段に入射するのを防止する反射防止板を備え、かつ、該反射防止板の外周が、上記筒の内面に正反射されて上記円錐鏡に投影される範囲の外側に配設されることを特徴とする筒内面観察装置。
  2. 記光照射手段が、
    上記中空円筒の基端から観察したとき上記円錐鏡に投影される上記筒内面の観察部位に、該観察部位で正反射されても上記円錐鏡に入射しない方向から光を照射する照射部と、
    該照射部から照射され、上記観察部位以外の上記筒内面に向かう光を遮断する遮光板と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の筒内面観察装置。
  3. 上記反射防止板が上記円錐鏡の台座から外周方向に突出して形成され、その反射防止板と上記台座との境界が、上記筒の内面に正反射されて上記円錐鏡に投影される範囲の外側に配設されることを特徴とする請求項1または2記載の筒内面観察装置。
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