JP3591044B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、記憶手段に記憶させた演奏データに基づいて鍵をソレノイド駆動する自動演奏ピアノの機能と、押鍵したときにハンマが打弦するか否かを選択することができる消音演奏の機能とを兼ね備えた鍵盤楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動演奏ピアノは、フロッピィディスク等の記憶手段に記憶した複数のイベントデータからなる演奏データを読み出し、この読み出されたイベントデータに基づいて鍵やペダルをソレノイドで駆動するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動演奏ピアノで自動演奏を行っているときに、演奏者が手動による演奏を行うと、自動演奏でも手動演奏でもハンマが弦を打撃することで楽音が発生されるから、演奏音が自動演奏によるものか手動演奏によるものか判別することは困難であった。
【0004】
よって、本発明は、自動演奏の演奏音と手動演奏の演奏音とを判別することができ、2種類の演奏のアンサンブルなどをもっと楽しむことができる鍵盤楽器を提供することを目的としている。
【0005】
請求項1に記載の鍵盤楽器は、鍵と、上記鍵の動作をハンマに伝達して同ハンマにより被打撃部を打撃させる打撃機構とを有する鍵盤楽器において、演奏データを順次発生する演奏データ発生手段と、上記演奏データ発生手段から発生された演奏データに基づいて鍵を駆動する鍵駆動部と、上記鍵またはハンマの動作を検出するセンサと、上記センサで検出される鍵またはハンマの動作が上記鍵駆動部の自動演奏によるものか演奏者の手動演奏によるものかを判定する動作判定手段と、上記演奏データおよび上記手動演奏の手動演奏データに基づき楽音信号を発生する音源手段と、上記演奏データに基づき上記音源手段で発生される楽音信号のチャンネルと上記手動演奏データに基づき上記音源手段で発生される楽音信号のチャンネルとを上記動作判定手段の判定結果に基づき異ならせて設定する制御手段と、前記各チャンネルの音色を設定する手段とを具備したことを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の鍵盤楽器は、前記音色を設定する手段は、前記音色設定に代えて、あるいは前記音色設定とともに、音高、音量、効果および音像のうち少なくとも一つを設定することを特徴としている。
請求項3に記載の鍵盤楽器は、前記各チャンネルのうち、どのチャンネルを演奏データまたは手動演奏データに割り当てるかを設定するスイッチを設け、前記制御手段は前記スイッチによる設定に従って前記チャンネルの設定を行うことを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明の鍵盤楽器においては、楽音信号を発生する音源手段を設けるとともに、鍵またはハンマの動作が自動演奏によるものか手動演奏によるものかを判定して音源手段で発生される楽音信号の特性を自動演奏と手動演奏とで異ならせるようにしたので、演奏音を聴取することでその音が自動演奏によるものか手動演奏によるものかを判別することができる。
【0008】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図1ないし図7を参照しながら説明する。この実施例は本発明をアップライトピアノに適用したもので、次の機能を有している。
(a)通常のアップライトピアノとしての機能
(b)押鍵しても打弦が行われずに楽音を電子的に発生させる機能
(c)記憶手段に記憶させた演奏データに基づいて鍵を駆動し、打弦音を発生させて演奏を再生する機能
(d)上記(a)および(b)の場合において、鍵イベントを演奏データとして記録する機能
(e)記憶手段に記憶させた演奏データに基づき、楽音を電子的に発生させて演奏を再生する機能
特に、実施例のアップライトピアノは、本発明の特徴である(f)鍵の動作が自動演奏によるものか手動演奏によるものかを判定して音源手段で発生される楽音信号の特性を自動演奏と手動演奏とで異ならせる機能を有している。まず、アップライトピアノの機械的構成について説明する。
【0009】
(1)ハンマアクション部の構成
図1は、アップライトピアノの1つの鍵の動作をハンマに伝達して弦を打撃するハンマアクション部の構成を示す側断面図である。図に示すハンマアクション部は、鍵10と、この鍵10の動作により駆動される打弦機構20と、この打弦機構20の動作により駆動されて弦Sを打撃するハンマアッセンブリ40と、弦Sを押すダンパー機構50とから概略構成されている。
【0010】
鍵10は、棚板11の上面に配置されて鍵盤の全長にわたって延在する支持部材(図示せず)に回動自在に支持されている。そして、押鍵することにより鍵10の後端部(図1において右端部)が上昇し、そこに取り付けたキャプスタン12が以下に述べる打弦機構20を押し上げるようになっている。
【0011】
図において符号15はアクションブラケットであり、このアクションブラケット15は、アップライトピアノの両側およびそれらの中間部の複数位置に配置されている。アクションブラケット15にはセンターレール16が架設され、これらアクションブラケット15とセンターレール16とによってハンマアクション部の骨組みが構成されている。センターレール16の下端部には、各鍵10について1個づつウイペンフレンジ22が取り付けられている。ウイペンフレンジ22の下端部には、長手方向をアップライトピアノの前後方向へ向けたウイペン23の一端部がピン22aによって回動自在に支持されている。ウイペン23は板状をなし、その他端部の下面にはウイペンヒール24が取り付けられている。ウイペンヒール24は、その下面がキャプスタン12に支持されることにより、ウイペン23を略水平な初期位置に保っている。
【0012】
また、ウイペン23には、上方へ向けて突出するジャックフレンジ25が取り付けられ、ジャックフレンジ25の上端部には、略L字状をなすジャック26がその屈曲部近傍において回動自在に支持されている。ジャック26は、斜め上方に向けて延在するジャック大26aと、このジャック大26aに対してほぼ直交するジャック小26aとから構成されている。ジャック26は、ウイペン23に取り付けたジャックスプリング27によりジャック小26bが押し上げられることにより、図中時計回りの回転方向に付勢されている。また、ジャック26は、センターレール16にジャックストップレール28を介して取り付けられたジャックストップフェルト29により、その回動範囲が規制されている。なお、ジャックストップフェルト29の位置は、ジャックストップレールスクリュー30を回転させることにより調整可能となっている。
【0013】
一方、センターレール16には、ブラケット31を介して鍵盤10の全長にわたって延在するレギュレーティングレール32が取り付けられている。レギュレーティングレール32には、スクリュウ33により上下方向の位置が調整可能とされたレギュレーティングボタン34が取り付けられ、レギュレーティングボタン34の下端面には、ウイペン23が所定位置まで回動したときにジャック小26bの先端部が当接するフェルトパッド35が取り付けられている。
【0014】
次に、図中符号41はハンマアッセンブリ40の基部を構成するバットである。バット41は、センターレール16に取り付けたバットフレンジ42にセンターピン42aを介して回転自在に取り付けられている。バット41には、斜め上方へ向けて延在するハンマシャンク43が取り付けられ、ハンマシャンク43の上端部にはハンマ44が取り付けられている。また、バット41には、ハンマシャンク43と略直交するキャッチャシャンク45が取り付けられ、キャッチャシャンク45の先端部にはキャッチャ46が取り付けられている。また、バット41の右上端部には、これを反時計回りの回転方向へ付勢するバットスプリング47が取り付けられている。さらに、バット41の下面には、バットアンダーフェルト41aとこれを覆うバットアンダークロス41bとが取り付けられ、バットアンダークロス41bにはジャック大26aの上端面が当接している。
【0015】
一方、アクションブラケット15には鍵盤の全長にわたって延在するハンマレール36がハンマレールヒンジ36aを介して取り付けられている。ハンマレール36には、プランジャ37がハンマアッセンブリ40毎に取り付けられている。このプランジャ37は、ホルダー37aにより軸方向へ移動可能に支持され、かつ、その内側の端部がホルダー37a内に設けたゴムなどの吸振性の充填部材(図示せず)に支持されている。この構成のもとに、打弦して跳ね返されたハンマ44のハンマシャンク43はプランジャ37に当接し、ホルダー37a内の充填部材がハンマ44の運動エネルギーを吸収してハンマシャンク43の跳ね返りを防止するようになっている。なお、ハンマレールヒンジ36aは、後述するキャッチャー46用ストッパ66を避けるためにL字状に形成されている。そして、ハンマアッセンブリ40は、バットスプリング47の付勢力により、そのハンマシャンク43をプランジャ37に当接させた初期位置に保持されている。
【0016】
また、ウイペン23の自由端には、初期位置へ回動復帰するハンマアッセンブリ40のキャッチャ46を弾性的に受けとめるバックチェック38が取り付けられている。さらに、バックチェック38の隣には、ブライドルワイヤ39aが取り付けられ、ブライドルワイヤ39aの上端部とキャッチャ46とはブライドルテープ39bで連結されている。ブライドルテープ39bは、ハンマアッセンブリ40の回動復帰をウイペン23の回動復帰に追従させることにより、ハンマアッセンブリ40の跳ね返りに起因する弦Sの二度打ちを防止するためのものである。
【0017】
次に、センターフレーム16には、長手方向を上下方向へ向けたダンパーレバー51が図示しないダンパーレバーフレンジによって回動自在に支持され、ダンパーレバー51の上端部には、ダンパーワイヤ52を介してダンパー53が取り付けられている。ダンパーレバー51は、これとダンパーレバーフレンジに取り付けたダンパーレバースプリング54によって時計回りの回動方向へ付勢され、これにより、通常はダンパー53が弦Sを押さえて他の弦Sが打弦されたときの共振を防止している。
【0018】
一方、押鍵によりウイペン23が時計方向へ回動すると、ウイペンに取り付けたダンパースプーン55がダンパーレバー51をダンパーレバースプリング54の付勢力に抗して反時計回りの方向へ回転させ、ダンパー53を弦Sから離間させる。その後、ハンマ44が弦Sを打撃して打弦音が発生する。なお、図中符号56はダンパーロッドであり、このダンパーロッド56は、たとえば、ペダルで駆動されることにより全てのダンパー53を弦Sから離間させるものである。
【0019】
以上はアップライトピアノにおけるハンマアクション部の一般的な構成であるが、実施例のアップライトピアノは、上記構成に加えて以下の消音機構60を有している。すなわち、各アクションブラケットには、軸63が回転自在に支持され、軸63の一端部には、軸63を回転させるモータM(図1では図示略)の回転軸が取り付けられている。
【0020】
また、軸63の外周面には、スペーサ65を介してストッパ66が固定されている。ストッパ66は、例えばフェルトなどで構成されたクッション材66aと、このクッション材66aの上面に設けられ、クッション材66aを保護するための合成皮革などで構成されたパット66bとからなっている。このように構成された消音機構60においては、ストッパ66を略水平方向へ向けることにより(図1に実線で図示)、ハンマアッセンブリ40の通常の回動が許容される通常演奏状態とすることができる。一方、図1に示す状態から軸63を回転させてストッパ66を略下方へ向けることにより(図1に二点鎖線で図示)、回動するキャッチャ46がストッパ66に当接し、ハンマアッセンブリ40のそれ以上の回動が阻止される消音演奏状態とすることができる。
【0021】
次に、ハンマシャンク43の軸方向中間部には、シャッタ71が取り付けられている。シャッタ71はL字状をなし、その先端部には素材を矩形状に切り欠いて窓71aが形成されている。一方、ハンマシャンク43とダンパ53の中間部には、ハンマセンサ72が配置されている。図1において符号73はケーシングである。ケーシング73は、側断面形状がコ字状をなして鍵盤の全長にわたって延在している。ケーシング73の両端部は、アクションブラケット15に取り付けられている。
【0022】
ケーシング73の側面には、シャッタ71が挿通されるスリット(図示略)が形成されている。また、ケーシング73の内側には、光センサ77がその発光部と受光部とで各スリットをそれぞれ挟むようにして各スリット毎に取り付けられている。光センサ77の発光部および受光部には、光軸を共通にした光ファイバの端面が露出しており、この光ファイバの他方の端面は、各々、コントローラ(制御手段、図3参照)200に設けられた発光素子あるいは受光素子に対向している。これにより、発光素子で発光させられた光は、発光用の光ファイバを介して発光部に導かれ、発光部から受光部に向けて一定光量の光が投射されている。また、受光部で受光された光は、受光用の光ファイバを介して受光素子に導かれ、受光部における受光状態が検出される。なお、図中符号78はダンパーワイヤ52を弾性的に受けとめるフェルトである。
【0023】
(2)鍵盤部の構成
次に、図2は鍵盤の下側の構成を示す図である。この実施例のアップライトピアノは、鍵を駆動するためのソレノイドSOLによって自動演奏ができるように構成されている。また、図2に示すように、鍵盤の下側には、シャッタKSが設けられており、このシャッタKSに対向する棚板11の上面には、キーセンサKSEが設けられている。キーセンサKSEには上下方向に所定距離隔てて光センサが設けられており(図示略)、鍵10が押下されると、はじめに上方の光センサが遮光され、次いで、下方の光センサが遮光される。逆に、離鍵時には、まず下方の光センサが受光状態になり、ついで、上方の光センサが受光状態になる。この実施例においては、後述するように、キーセンサKSEの出力信号に基づいてキーオフを検出するようになっている。
【0024】
(3)コントローラの構成
次に、図3は、この実施例におけるコントローラ200の構成を示すブロック図であり、図示のコントローラ200は、光センサ77の遮光状態から打弦タイミングHtおよび打弦速度Hvを検出し、これに基づいてMIDIデータを発生する。また、この実施例におけるコントローラ200は、後述するように自動演奏等の種々の処理を行うように構成されている。以下、コントローラ200について詳細に説明する。
【0025】
図3において、201は装置各部を制御するCPUである。202はCPU201において用いられるプログラムが記憶されているROMであり、203は各種データが一時記憶されるRAMである。RAM203はCPU201が行う制御に使用される制御データの記憶エリアとして使用される。この実施例のアップライトピアノは、鍵10の操作によって発生するMIDIイベントのチャンネル番号の指定および後述する外部記憶手段209から再生するMIDIイベントのチャンネル番号の指定等を行うことができるようになっている。
【0026】
次に、205は、センサインターフェイスであり、各ハンマシャンク43に対応して設けられている光センサ77の受光状態に応じた信号をCPU201に出力する。この場合、CPU201は、センサインターフェイス205から供給される信号に基づいて、いずれの鍵が操作されたかを認識するとともに、遮光タイミングから打弦タイミングHtを検出するとともに打弦速度Hvを算出する。また、CPU201は、キーセンサKSEの信号をセンサインターフェイス205から受けると、これに基づいてキーオフタイミングを認識する。そして、CPU201は、それらの演奏データから各イベントのMIDIデータを発生する。
【0027】
206はMIDIインターフェイスであり、自動演奏において再生されるMIDIイベントの外部装置への送信、および外部装置から供給されるMIDIイベントの受信を行う。アクチュエータインターフェイス207は、CPU201の制御のもとに、図2に示すソレノイドSOLに励磁電流を供給する。モータ駆動回路208は、CPU201の制御のもとに後述する消音スイッチ244の操作に応答してモータMを回転させ、通常演奏状態と消音演奏状態とを切り替える。
【0028】
次に、209は外部記憶装置であり、例えば、フロッピーディスクドライバが用いられる。この外部記憶装置209は、記憶媒体(例えば、フロッピーディスク等)から演奏データを読みとると、RAM203の所定エリアに転送(ダイレクトメモリアクセス)する。また、外部記憶装置209は、CPU201の制御のもとに、RAM203の所定エリアに記録された演奏データを記録媒体に書き込む。
【0029】
210は、音源回路であり、CPU201から供給されるMIDIデータに応じた楽音信号を合成する回路である。音源回路210は、このアップライトピアノと同様の楽音波形を記憶するとともに、他の楽器の楽音波形も記憶している。音色の選択は、後述する操作パネル204内の各種スイッチによって行われ、指定された音色に対応する楽音波形が選択される。この音源回路210で作成された楽音信号は、スピーカSPまたはヘッドホンHHに供給されて楽音として発せられる。
【0030】
図4は操作パネル204を示す平面図である。図4において、221は現在設定されている音色番号を表示するための表示器である。222は音色設定部であり、音色番号を入力するためのテンキーおよび入力された音色番号を増減するためのインクリメントキー、デクリメントキーからなる。241は録音スイッチであり、録音の開始および停止の指示並びに録音チャンネルの設定を行う際に押下される。242は自動演奏開始および停止を指示するための再生スイッチ、243は消音演奏状態の指示および解除を指示する消音スイッチである。また、244は、演奏データの再生の際に、ソレノイドSOLの駆動をせずに、MIDIデータを音源回路210に出力する鍵盤キャンセルモードを指示する鍵盤キャンセルスイッチである。
【0031】
実施例のアップライトピアノは16個のMIDIチャンネルを有しており、上記音色設定部222を操作することにより、各MIDIチャンネル毎に独立に音色が設定される。BM〜BM16はキーボードチャンネルスイッチであり、それらのいずれかをオンにすることにより、手動の押鍵による楽音は、対応する番号のMIDIチャンネルを介して発生させられる。キーボードチャンネルの設定状態はLEDランプLM〜LM16により表示される。
【0032】
BQ〜BQ16は再生チャンネルスイッチであり、それらのいずれかをオンにすることにより、演奏データを再生する際の楽音は、対応する番号のMIDIチャンネルを介して発生させられる。再生チャンネルの設定状態はLEDランプLQ〜LQ16により表示される。また、BP〜BP16は音像位置設定ダイヤルであり、各MIDIチャンネルを介してスピーカSPまたはヘッドホンHHから発せられる楽音の音像の位置を調整するために使用される。
【0033】
251はダイヤルであり、ボリューム、音色等のパラメータの設定値を増減するための操作子として使用される。BC〜BCはモード指定用スイッチであり、ダイヤル251の操作によって増減させるパラメータを指定する操作子として使用される。ダイヤル251の操作によっていずれのパラメータが増減されるかは、LEDランプCS〜CSによって表示される。261は音色、ボリューム等を表示する表示器である。262はインクリメントキー、263はデクリメントキーであり、ダイヤル251と同様にボリューム音色等のパラメータの設定値を増減するための操作子として使用される。
【0034】
(4)実施例の動作
次に、上述した構成による第1実施例の動作について説明する。
a.ハンマアクション部の動作
(通常演奏時)
押鍵が行われるとウイペン23はキャプスタン12によって突き上げられ、ピン22aを中心として時計回りに回動する。これにより、ジャック大26aがバット41を突き上げてハンマアッセンブリ40を時計回りの方向へ回動させ、ハンマ44が押鍵された鍵10に対応する弦Sを打撃する。この打弦操作時において、その回動途中にジャック小26bがレギュレーティングボタン34に当接することにより、ジャック26の時計方向への回動が阻まれる。一方、ウイペン23は回動を継続しているため、ジャック26は、レギュレーティングボタン34を支点としてウイペン23に対して反時計方向へ相対的に回動し、これにより、ジャック大26bの上端面がバット41の下面から図中左方向へ逃げ、バット41との非当接位置に移動する。そして、ハンマ44による打弦後のハンマアッセンブリ40の回動復帰の動作は、キャッチャー46がバックチェック38に当接することにより一時的に停止され、その間にジャック26は、鍵10の復帰動作に伴うウイペン23の回動復帰に連動し、ジャック大26bの上端部は再びバット41の下部に入り込み、次の打弦動作を可能にする。
【0035】
上記したハンマシャンク43の動作は、次のようにして光センサ77により検出される。ハンマ44が弦Sに近づくとハンマシャンク43に取り付けたシャッタ71がハンマセンサユニット72のケーシング73のスリット73aに挿入され、シャッタ71の先端縁が光センサ77の光軸Pを横切る。この結果、光センサ77の受光部が遮光され、その遮光タイミングがCPU201によって検出される。その後、ハンマシャンク43がさらに回動し、シャッタ71の窓71aが光軸Pを横切り、光センサ77の受光部が再び受光状態になる。次いで光センサ77の受光部がシャッタ71により遮光され、その遮光タイミングがCPU201によって検出される。その後ハンマシャンク43はさらに回動して弦Sを打撃する。
【0036】
以上のようにして、CPU201は、光センサ77の2回の遮光タイミングを検出する。そして、2回目の遮光タイミングを打弦タイミングHtとして検出するとともに、1回目の遮光から2回目の遮光までの時間から打弦速度Hvを算出する。この打弦タイミングHtと打弦速度Hvは、押下された鍵10を示すキーコードとともに演奏データとしてRAM203または外部記憶装置209に記録され、あるいはMIDIインターフェース206を介して外部に出力されるようになっている。なお、離鍵のタイミングは、キーセンサKSEにより検出され、離された鍵10を示すキーコードおよび離鍵されたタイミングを示す時間データとともに、演奏データとしてRAM203または外部記憶装置209に記録され、あるいはMIDIインターフェース206を介して外部に出力されるようになっている。
【0037】
(消音演奏時)
次に、消音演奏状態にするには、まず、ストッパ66を図1の略水平状態から回転させて一点鎖線で示すように略下方へ向ける。この状態で押鍵が行われると、ウイペン23はキャプスタン12によって突き上げられ、ピン22aを中心として時計回りに回動する。これにより、ジャック大26aがバット41を突き上げてハンマアッセンブリ40を時計回りの方向へ回転させる。次に、ジャック小26bがレギュレーティングボタン34に当接することにより、ジャック大26bの上端面がバット41の下面から図中左方向へ逃げる。その間、ハンマアッセンブリ40は慣性力で回動を続けるが、弦Sに当たる手前でキャッチャー46がストッパ66に当接し、反時計回りの方向へ跳ね返される。その後のハンマアッセンブリ40等の復帰動作は通常演奏の場合と同じである。
【0038】
消音演奏の場合には、ハンマシャンク43はストッパ66により跳ね返されるが、ハンマシャンク43が跳ね返されるまでの間に、シャッタ71は光センサ77を2回遮光する。この2回の遮光はCPU201により検出され、CPU201は、前述した場合と全く同様にして、打弦タイミングHtを検出し打弦速度Hvを算出する。この打弦タイミングHtおよび打弦速度Hvは、操作された鍵を示すキーコードとともにMIDIデータに変換されて音源回路210に供給され、これにより、鍵操作に対応した楽音信号が発せられる。このように、ハンマ44の機械的動作に対応させて楽音を発生させるので、演奏者は、アコースティックピアノを引くような感覚で押鍵による楽音をヘッドホン等で聞くことができる。この場合、音源が発生する楽音信号を、このアップライトピアノの楽音波形と同様に設定しておけば、演奏者は通常演奏のときと同様の楽音をヘッドホンを介して聞くことができる。
【0039】
また、消音演奏の場合においても、通常演奏の場合と同様に、打弦タイミングHt、打弦速度Hvおよび離鍵タイミングは、演奏情報としてRAM203または外部記憶装置209に記録され、あるいはMIDIインターフェース206を介して外部に出力されるようになっている。これにより、通常演奏の場合のみならず、消音演奏の場合においても、演奏の記録あるいは外部機器の制御を行うことができる。
【0040】
b:自動演奏処理
(通常演奏モード)
次に、この実施例の自動演奏処理について説明する。自動演奏処理は、RAM203の所定エリアに転送された演奏データまたは外部記憶装置209からRAM203の所定エリアに転送された演奏データに基づく処理である。まず、パネルスイッチ部204の再生スイッチ242が操作されて自動演奏の開始が指示されると、図示しない処理ルーチンにおいて演奏データの読み出し処理が行われる。
【0041】
この場合において、演奏データの読み出しは、割込処理ルーチンによって行われる。割込は、テンポに対応したテンポクロックによって行われ、例えば、4分音符あたり24回の割込が行われる。読出処理は、RAM203内の演奏データを先頭データから順次読み出す処理である。より具体的に言えば、演奏データは、イベントの種類(鍵盤/ペダル,オン/オフ等)、キーコード、キーベロシティ等からなる複数のイベントデータと、各イベントデータの再生時間間隔を示すヂュレーションデータとからなり、デュレーションデータを読み出すと、テンポクロックが出力される毎にそれを減算し、0になった時点で次のイベントデータを読み出す。そして、その後に次のデュレーションデータを読み出し、以後同様の動作を行う。これにより、記録時と同様のタイミングで、すなわち、打弦タイミングHtとほぼ同じタイミングで演奏データが読み出される。そして、上記処理によりイベントデータが読み出される毎に、図5に示すサブルーチンが起動される。
【0042】
はじめに、ステップSa1においては、演奏データに基づく処理が鍵盤のイベントか否かが判定される。処理が鍵盤のイベントでない場合には、ステップSa1での判定結果は「NO」となり、ステップSa2へ進んでペダルを駆動するなどイベントに応じた鍵駆動以外の処理を行う。
【0043】
演奏データに基づく処理が鍵盤のイベントである場合には、ステップSa1での判定結果は「YES」となり、ステップSa3へ進んで鍵盤キャンセルモードが指定されているか否かを判定する。ここで、鍵盤キャンセルモードは、鍵盤キャンセルスイッチ244が押されると指示され、再び鍵盤キャンセルスイッチ244が押されると解除されるようになっている。すなわち、鍵盤キャンセルスイッチ244が押される毎に、鍵盤キャンセルモードの指示と解除とが交互に行われるようになっている。
【0044】
鍵盤キャンセルモードが指示されていない場合には、ステップSa3での判定結果は「NO」となり、ステップSa4へ進んで鍵10の駆動を行う。そして、ステップSa4では、読み出された演奏データが示すキーコードKC、キーオン信号KON、キーオフ信号KOFおよびキーベロシティKV等に応じてソレノイドSOLへの励磁電流の供給/停止を制御する。このように、演奏データに対応してソレノイドSOLが駆動され、これに応じて鍵10が上下動して打弦が行われる。すなわち、アップライトピアノによる自動演奏が行われる。
【0045】
(鍵盤キャンセルモード)
一方、鍵盤キャンセルスイッチ242が押されて鍵盤キャンセルモードが指示されると、ステップSa3の判定結果は「YES」となり、ステップSa5へ進む。これにより、上記のような鍵10の駆動は行われなくなるが、ステップSa5では、スピーカSP等から演奏音が発せられる。すなわち、CPU201は、演奏データをMIDIデータに変換して音源回路210に出力し、音源回路210はそれらに対応した楽音信号をスピーカSPやヘッドホンHHに供給する。これにより、自動演奏と同様の演奏を聞くことができる。このように、鍵盤キャンセルモードが指示された場合には、鍵10は駆動されないが、電子的な音源によって自動演奏を聞くことができる。そして、このような鍵盤キャンセルモードを指示することにより、自動演奏が行われている間に演奏者が演奏に加わることができ、1台のアップライトピアノで自動演奏と手動演奏のアンサンブルを楽しむことができる。
【0046】
なお、鍵盤キャンセルモードが指示されていない場合においても、CPU201は音源回路210に当該イベントに対応するMIDIデータを供給し(ステップSa5)、電子的な音源による演奏が行われることになるが、この場合には、スピーカSP等のボリュームをゼロにしておけば、鍵駆動による自動演奏のみを聞くことができる。
【0047】
(動作判定処理)
次に、消音演奏状態で自動演奏を行う場合の処理について図7を参照して説明する。この場合、本実施例では、演奏者の演奏の鍵の動作を検出して演奏データを出力するようにしている。ここで、図5の鍵盤キャンセルモードが指示されていない場合には、自動演奏に基づく鍵の動作も検出することになるから、自動演奏による鍵の動作と手動による鍵の動作とを判別し、両者の鍵の動作から別個独立にMIDIデータを出力するようにしなければならない。また、自動演奏と手動演奏とを同一の電子音源によって行うと、両者の演奏音が混ざってしまって判別しにくくなるとともに、1つの鍵に対して自動演奏による鍵駆動と押鍵とがオーバーラップするように行われたときに、音楽表現が不正確になってしまう。そこで、本実施例では、自動演奏による鍵イベントと手動演奏による鍵イベントとを判別するとともに、両者で異なるMIDIチャンネルが使用されるように制御する。
【0048】
すなわち、図4に示す操作パネル204により、演奏データによる演奏の再生と演奏者の演奏とで楽音が互いに異なるようにMIDIチャンネルが設定される。たとえば、1番から3番までのMIDIチャンネルは、再生チャンネルスイッチBQ1〜BQ3をオンにすることにより再生用に用いられ、4番から6番までのMIDIチャンネルは、キーボードチャンネルスイッチBM4〜BM6をオンにすることにより手動演奏用として用いられる。そして、音色設定部222、ダイヤル251等を操作することにより、1番から3番までのMIDIチャンネルと4番から6番までのMIDIチャンネルとで音色が互いに異なるように設定される。
【0049】
次に、本実施例では、キーセンサKSEによって鍵イベントを検出する。すなわち、キーセンサKSEの上方の光センサがシャッタKSで遮光されると、CPU201はその遮光タイミングをキーオンタイミングKonとして検出する。また、CPU201は、キーセンサKSEの上方の光センサがシャッタKSによって遮光されてから、下方の光センサがシャッタKSで遮光されるまでの時間からキーベロシティKVを算出するとともに、下方の光センサが遮光状態から受光状態に変化したタイミングをキーオフタイミングKofとして検出する。
【0050】
ここで、消音演奏状態での自動演奏中に演奏者が鍵操作した場合を考える。図5において鍵盤キャンセルモードが指示されていないときは、演奏データに基づいて鍵10が駆動されるので、キーセンサKSEは手動演奏による鍵動作のイベントのみならず、自動演奏による鍵動作のイベントをも検出することになり、キーセンサKSEの検出結果だけでは、検出されたイベントが手動演奏によるものか自動演奏によるものかを判別することはできない。そこで、演奏データから打鍵タイミングを推定することにより、検出されたイベントが手動演奏によるものか自動演奏によるものかを判別する。
【0051】
図7は上記のような処理を行うとともに自動演奏による楽音の特性と手動演奏による楽音の特性を異ならせるためのフローチャートであり、キーセンサKSEで鍵イベントが検出される毎に起動される。キーセンサKSEで鍵イベントが検出されると、まず、キーセンサKSEで検出された鍵10の動作がソレノイドSOLの駆動によるものか、演奏者の演奏によるものかを判定する(ステップSc1)。この判定のためにCPU201は以下の処理を行う。まず、CPU201は、外部記憶装置209からRAM203に転送された演奏データから、次のイベントの際のキーオンタイミングあるいはキーオフタイミングを推定する。
【0052】
すなわち、次のイベントのキーベロシティKVに基づきソレノイドSOLを駆動した場合に、この駆動で鍵10が動くことにより実際にキーセンサKSEでキーオンタイミングKonが検出されるであろうタイミングをイベントのキーベロシティKV等に基づき推定するとともに、検出誤差を考慮してその前後の所定時間をキーオンタイミングの所定範囲として設定する。また、キーオフタイミングについても同様に、演奏データに基づき鍵10を駆動した場合に、実際にキーセンサKSEでキーオフタイミングKofが検出されるであろうタイミングを推定し、その前後の所定時間をキーオフタイミングの所定範囲として推定する。そして、その推定したキーオンタイミングあるいはキーオフタイミングの所定範囲外でキーセンサKSEがキーオンタイミングKonあるいはキーオフタイミングKofを検出すると、演奏者が弾いたことによる鍵動作であると判定する。その場合には、ステップSc1における判定結果は「YES」となり、ステップSc2へ進んでMIDIチャンネルをn(例えば4番から6番までの空いているMIDIチャンネル)に設定する。
【0053】
次いで、ステップSc3へ進み、設定されたMIDIチャンネルを介してMIDIデータを音源回路210へ供給する。この場合において、CPU201は、検出したキーオンタイミングKon、キーコードKC、キーベロシティKVおよびキーオフタイミングKofに基づいてMIDIデータを出力する。これにより、ヘッドホンHH等から演奏音が発生する。
【0054】
一方、演奏データから推定したキーオンタイミングの所定範囲内に実際のキーオンタイミングKonが存在すると、自動演奏による鍵動作であると判定する。その場合には、ステップSc1における判定結果は「NO」となり、このサブルーチンを終了する。これにより、処理は図5のサブルーチンに従って行われる。図5に示すサブルーチンでは、例えば1番から3番までの空いているMIDIチャンネルが指定され、CPU201は、演奏データをMIDIデータに変換し、これを指定されているMIDIチャンネルを介して出力する。
【0055】
このように、鍵の動作が手動演奏によるものである場合には、4番から6番までのMIDIチャンネルが指定され、自動演奏によるものである場合には、1番から3番までのMIDIチャンネルが指定される。そして、1番から3番のMIDIチャンネルと4番から6番までのMIDIチャンネルとで音色が異なるように設定されているから、演奏者は2種類の演奏を識別することができ、よって、アンサンブル行った場合に臨場感が生じる。また、自動演奏による鍵の動作と手動演奏による鍵の動作とがオーバーラップした場合であっても、自動演奏と手動演奏とを識別して聞くことができるから、各々の演奏を正確に聞き分けることができる。また、自動演奏と手動演奏とで異なる楽器を使用することができる。たとえば、自動演奏の音色をピアノ、手動演奏の音色をチェンバロにして合奏を行うこともでき、アップライトピアノを自由に楽しむことができる。
【0056】
なお、図5に示す鍵盤キャンセルモードが指示されている場合には自動演奏で鍵は駆動されないから、自動演奏での鍵駆動と手動演奏による押鍵とを識別する必要はない。よって、この場合には、鍵イベントが発生すると自動的に手動演奏用のMIDIチャンネル(すなわち、4番から6番までのMIDIチャンネル)が指定される。
【0057】
次に、図4および図6を参照して本発明の変更例について説明する。図4に示すように、操作パネル204には鍵盤ハーフ駆動スイッチ245が設けられている。鍵盤ハーフ駆動スイッチ245は、自動演奏の際に鍵10を少しだけ動作させる鍵盤ハーフ駆動モードを指示するためのスイッチである。鍵盤ハーフ駆動モードが指示されると、各イベントにおいて、ソレノイドSOLにはCPU201が供給するキーベロシティKVの値に拘わらず一定の励磁電流が供給される。その場合の励磁電流は充分に小さいため、鍵10が駆動されてハンマ44は若干回動するが、ハンマ44が弦Sを打撃することはない。したがって、この場合の自動演奏では、音源回路210にMIDIデータが供給されてスピーカSP等から再生音が発せられることになる。なお、以下の説明においては、そのような打弦を行わない鍵10の駆動を「ハーフ駆動」、打弦するための鍵10の駆動を「ノーマル駆動」と称する。
【0058】
以下、この変更例における処理を図6を参照しながら説明する。まず、操作パネル204の再生スイッチ242が操作されて自動演奏の開始が指示されると、演奏データの読出しが開始され、イベントデータが読み出される毎に図6に示すサブルーチンが起動される。はじめに、演奏データに基づく処理が鍵盤のイベントか否かが判定され(ステップSb1)、処理が鍵盤のイベントでない場合には、ステップSb2へ進んでペダルを駆動するなどイベントに応じた処理を行う。
【0059】
一方、演奏データに基づく処理が鍵盤のイベントである場合には、ステップSb3へ進んで鍵盤キャンセルモードが指定されているか否かを判定する。鍵盤キャンセルモードが指示されている場合には、ステップSb6へ進んで音源回路210にMIDIデータを供給する。これにより、スピーカSPやヘッドホンHHから演奏が再生される。一方、鍵盤キャンセルモードが指示されていない場合には、ステップSb4へ進んで鍵盤ハーフ駆動モードが指示されているか否かを判定する。
【0060】
(鍵盤ノーマル駆動モード)
鍵盤ハーフ駆動モードが指示されていない場合は、ステップSb4での判定結果は「NO」となり、ステップSb5へ進んで演奏データに基づき鍵10を駆動する。すなわち、CPU201は、キーコードKC、キーオン信号KON、キーベロシティKVおよびキーオフ信号KOFを出力し、これに応じてソレノイドSOLへの励磁電流の供給/停止を制御する。これに応じてハンマ44が回動し、打弦による演奏の再生が行われる。なお、次にステップSb6へ進み、音源回路210に当該イベントに対応するMIDIデータが供給されるが、この場合もスピーカSP等のボリュームをゼロにすることにより、打弦音のみを聞くことができる。
【0061】
(鍵盤ハーフ駆動モード)
一方、鍵盤ハーフ駆動モードが指示されている場合には、ステップSb4での判定結果は「YES」となり、ステップSb7へ進んで鍵10のハーフ駆動を行う。この場合、CPU201は、演奏データを読み出す毎に、キーコードKC、キーオン信号KON、キーベロシティKVおよびキーオフ信号KOFを出力し、これに応じてソレノイドSOLへの励磁電流の供給/停止を制御する。
【0062】
この場合において、CPU201は、キーベロシティKVとしてROM202に記憶した一定の値を出力する。このキーベロシティKVの値は充分に小さな値とされ、ソレノイドSOLにはノーマル駆動の場合よりもかなり弱い励磁電流が供給される。これにより、鍵10は、押鍵のフルストロークの何割かだけ移動し、この鍵10の駆動によりハンマ44も若干回動する。しかしながら、キーベロシティKVの値に応じた鍵10の移動量および移動速度が小さいため、ハンマ44は少し回動するだけで弦Sには達しない。このように、鍵10のキーオンおよびキーオフのタイミングは、上述した鍵10のノーマル駆動の場合と同じであるが、キーベロシティKVの値が小さく鍵10の移動距離および移動速度が小さいため、打弦が行われることはない。次に、処理はステップSb6へ進み、CPU201は、当該イベントに対応するMIDIデータを音源回路210へ出力し、スピーカSP等によって演奏音が発せられる。
【0063】
上記のような鍵盤楽器にあっては、鍵盤ハーフ駆動モードを選択することにより、演奏データに基づいて鍵10は少し駆動されるがその際に打弦は行われない。よって、演奏者は、駆動される鍵10の動作に追従して押鍵することにより演奏の練習を行うことができる。この場合において、演奏データに基づきスピーカSP等から発生される演奏音を小さく設定することにより、演奏者は自らの演奏による打弦音をはっきりと聞きながら演奏することができるので、より効果的な練習を行うことができる。また、鍵盤ハーフ駆動モードにおいては、鍵10が駆動されるので鍵盤ノーマル駆動モードの場合と同等の自動演奏を目で見て楽しむことができる一方において、ソレノイドSOLに供給する励磁電流が小さいため電力消費量が小さく、また、鍵10の移動量が小さいから機械部品の磨耗が少ない。
【0064】
ここで、前述したハンマアクション部においては、鍵10を所定位置(例えば4mm)まで押し下げた時点からダンパスプーン55がダンパでバー51を回転させるようになるので、その所定位置までは負荷は軽いが、その所定位置を境にして鍵10を押し下げる負荷が重くなる。したがって、鍵盤ハーフ駆動モードにおいては、鍵10をその所定位置あるいは所定位置よりも浅い位置まで駆動するだけにすれば、ソレノイドSOLに供給する励磁電流をより少なくすることができ、かなり少ないエネルギーで鍵10を正確に駆動することができる。
【0065】
なお、鍵盤ハーフ駆動モードにおいては、消音演奏状態にして演奏することもできる。この場合、演奏者が押鍵を行ってもハンマ44がストッパ66で跳ね返されて打弦は行われないが、ハンマ44の打弦タイミングHtと打弦速度Hvに基づいてCPU201からMIDIデータが出力されるため、自分の演奏をスピーカSP等で聞くことができる。また、鍵盤ノーマル駆動モードにおいても消音演奏状態にして自動演奏を行うことも可能である。この場合には、外部記憶装置209に記憶させた演奏データがMIDIデータに変換され、ヘッドホン等から演奏を聞くことができる。
【0066】
ところで、消音演奏が指示され、かつ、鍵盤ハーフ駆動モードが指示されている場合には、自動演奏で鍵は駆動されるがキーオンタイミングKonを検出する位置までは移動しない。よって、この場合には、図7に示すフローチャートに従って自動演奏による鍵駆動と押鍵とを識別する必要がなく、鍵イベントが発生すると自動的に手動用のMIDIチャンネルが指定される。
【0067】
本発明は、前記実施例及び変更例に限定されるものではなく、さらに以下のような種々の変更が可能である。
▲1▼上記実施例では、自動演奏の音色と手動演奏の音色とを変えているが、これに限らず、音高、音量、効果などを変えるようにしてもよく、例えば音像の位置を変えてもよい。このようにすることにより、アンサンブルの臨場感をより向上させることができる。なお、音像位置の設定各MIDIチャンネルにおいて音像位置設定ダイヤルBP〜BP16を調整することにより行うことができる。
▲2▼上記実施例において消音演奏モードでの演奏では、キーコード、キーオン/オフ、キーベロシティをハンマセンサ72とキーセンサKSEとで検出するようにしているが、消音スイッチ243と再生スイッチ242とが操作されて消音演奏モードでの自動演奏が指示されている場合と同様に、キーセンサKSEのみで検出するようにしてもよい。また、消音演奏モードでの自動演奏においてイベントをキーセンサKSEで検出するようにしているが、ハンマセンサ72で検出するようにすることもできる。
▲3▼上記実施例では、自動演奏による鍵イベントと手動演奏による鍵イベントとを任意の複数のMIDIチャンネルに割り当てるようにしたが、自動演奏による鍵イベントと手動演奏による鍵イベントとを各々1つのMIDIチャンネルに固定的に割り当てるようにしてもよい。
▲4▼上記実施例では、手動演奏のイベントに係るMIDIデータを図7のステップSc3で音源回路210に送出し、自動演奏のイベントに係るMIDIデータを図5のステップSa5(または図6のステップSb6)で音源回路210に送出するようにしたが、自動演奏のイベントに係るMIDIデータの送出を図7のステップSc1で「NO」と判定された時点で行うようにして、手動演奏のイベントに係るMIDIデータの送出と自動演奏のイベントに係るMIDIデータの送出とを同様に処理するようにしてもよい。
▲5▼上記実施例および変更例では、RAM203に記憶された演奏データに基づき鍵を駆動するようにしたが、これに限らず、MIDIインターフェース206を介して外部から入力される演奏データに基づき鍵を駆動する場合においても本発明を適用できる。
▲6▼上記実施例および変更例では、鍵盤のイベントについてのみキャンセルあるいはハーフ駆動するようにしたが、ペダルのイベントについてもキャンセルあるいはハーフ駆動するようにしてもよい。
▲7▼上記実施例および変更例では、消音機構としてキャッチャ46の回動をストッパ66により阻止する構成としたが、要するに、ハンマ44による打弦音を発生しないようにすればよく、例えば、ハンマシャンク43あるいはハンマ44の回動を阻止する構成としてもよい。また、消音機構を駆動する機構は、モータ等により電気的に行うのみならず、ワイヤ等を用いて機械的に行うようにしてもよい。
▲8▼本発明は、アップライトピアノ以外の鍵盤楽器、例えば、グランドピアノに、チェンバロ、チェレスタ、オルガンなどあらゆる鍵盤楽器に適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明の鍵盤楽器においては、演奏音を聴取することでその音が自動演奏によるものか手動演奏によるものかを判別することができるので、自動演奏と手動演奏のアンサンブル等を自由に楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のアップライトを示す側断面図である。
【図2】アップライトピアノの鍵盤の下部構造を示す側面図である。
【図3】実施例の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ハンマの位置を説明するための側面図である。
【図5】実施例の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例の変更例の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…鍵、20…打弦機構、44…ハンマ、60…打弦機構、
72…ハンマセンサ、200…コントローラ(制御手段)、
210…音源回路(音源手段)、KSE…キーセンサ(センサ)、
S…弦、SOL…ソレノイド(鍵駆動部)。

Claims (3)

  1. 鍵と、上記鍵の動作をハンマに伝達して同ハンマにより被打撃部を打撃させる打撃機構とを有する鍵盤楽器において、
    演奏データを順次発生する演奏データ発生手段と、
    上記演奏データ発生手段から発生された演奏データに基づいて鍵を駆動する鍵駆動部と、上記鍵またはハンマの動作を検出するセンサと、
    上記センサで検出される鍵またはハンマの動作が上記鍵駆動部の自動演奏によるものか演奏者の手動演奏によるものかを判定する動作判定手段と、
    複数のチャンネルを有し、これらの各チャンネルにおいて、上記演奏データおよび上記手動演奏の手動演奏データに基づき楽音信号を発生する音源手段と、
    上記演奏データを割り当てるべきチャンネルと上記手動演奏データを割り当てるべきチャンネルを予め設定するとともに、この設定に従うように上記動作判定手段の判定結果に応じて上記演奏データと上記手動演奏データのチャンネルを割り当てる制御手段と、
    前記各チャンネルの音色を設定する手段と
    を具備したことを特徴とする鍵盤楽器。
  2. 前記音色を設定する手段は、前記音色設定に代えて、あるいは前記音色設定とともに、音高、音量、効果および音像のうち少なくとも一つを設定することを特徴とする請求項1記載の鍵盤楽器。
  3. 前記制御手段は、前記各チャンネルのうち、どのチャンネルを演奏データまたは手動演奏データに割り当てるべきかを設定するスイッチを有することを特徴とする請求項1または2記載の鍵盤楽器。
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