JP3590794B2 - アリ溝用シール材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、半導体製造等において用いられる真空装置のための、アリ溝用シール材に関する。
【0002】
【従来の技術】
アリ溝に装着されるシール材として、例えば特開2000−356267号公報に開示されたものがある。このシール材は、その断面形状を、アリ溝の中に収まる第1弧状部および第2弧状部と、アリ溝の開口部から突出する突出部とを有し、第1弧状部と第2弧状部との間に凹窪部を有して三叉状に形成したものである。これによれば、突出部の幅がアリ溝開口部の幅寸法の30〜60%に設定されており、突出部の突出長さは、アリ溝の深さ寸法の40〜90%に設定されると共に、第1弧状部と第2弧状部の間に凹窪部を形成しているので、気密性を得るため突出部を押し縮めることによりシール材は凹窪部を開いて全体として偏平になるように圧縮される。この圧縮は、低荷重で行え、良好な密封性を得ることができる。
【0003】
しかし、比較的幅狭で突出量の大きい突出部を押し込んで全体的に押しつぶすようにして気密性を得るので、真っ直ぐに掛かる荷重に対しては良好な気密性が得られる反面、斜め方向から付勢される荷重に対しては、突出部が曲がってしまい、圧縮変形が所望通りに行われず、充分な気密性を得られないことがある。その上、この場合には突出部が斜めにつぶれるので、ねじれや切れが発生しやすくなる。
【0004】
また、ねじれについて言及すれば、気密状態にした後に、真空引きした時に起こり易く、特に上述のように幅狭で突出量の大きい突出部の場合では、圧縮変形させた状態においても突出部のみの変形も起こりやすい。
【0005】
このように突出部の予定外の変形やねじれが起こり易いうえ、アリ溝内では第1弧状部、第2弧状部でも比較的大きく変形が起こるので、アリ溝や対向部分との間での摩擦が生じ、シール材の磨耗が起こる。このため、清浄でなければならない空間に、シール材の磨耗によるカス、すなわち異物が入る量が多いという難点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、常に確実な気密性が得られるようにすると共に、磨耗しにくくして高清浄空間を得ることもできるようにすることを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのための手段は、上端部が突出された状態でアリ溝に嵌め込んで使用する、真空装置のためのアリ溝用シール材であって、その断面形状において、左右対称に形成すると共に、該断面形状における下端部を、アリ溝の底面に面接触可能に形成、該下端部の幅を、アリ溝の開口部と同一またはそれよりも狭く形成し、該下端部の両側から上に向けてテーパ状の傾斜面を形成して、アリ溝の深さ内において断面形状のうち最も幅広の最大幅部を形成し、該最大幅部の幅寸法を、アリ溝の開口部の幅よりも幅広に設定して、最大幅部の上に、アリ溝の開口部の下側に沿って面で当接して抜け止めされる抜け止め部を形成し、アリ溝の開口部から突出する上記上端部を、円弧状の湾曲面で形成し、上記上端部を、抜け止め部から滑らかに連続して形成し、シール時にシール材がアリ溝の開口部の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形すべく構成し、上記最大幅部に、パーティングラインが位置するように設定したアリ溝用シール材であることを特徴とする。
【0008】
すなわち、このアリ溝用シール材では、下端部側からアリ溝内に嵌め込んで装着すれば、下端部はアリ溝の底面に面接触して安定し、最大幅部はアリ溝の深さ内で引っかかるように収まって、抜け止め部がアリ溝の開口部の下側に下から当接して脱落防止がなされる。しかも、抜け止め部を面で構成しているので、脱落防止は強力に行える。また上記最大幅部の下の傾斜面は、上記嵌め込みに際して最大幅部を変形させるためのガイドとなって、円滑な装着が可能である。
【0009】
装着状態においては、円弧状の湾曲面からなる上端部がアリ溝から突出しているが、気密性を得るため、このシール材を装着したチャンバを閉じるなどして閉塞すれば、上記上端部が押し縮められ、シール材が全体的に圧縮変形して気密状態が得られ、このシール時にシール材がアリ溝の開口部の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形するので、高いシール性が確保される。このとき、上端部は円弧状に湾曲させて形成しているので、真っ直ぐに上から付勢される荷重の時は勿論のこと、斜め方向から荷重が付勢される場合でも、押し縮められ方に大きな違いはなく、確実に気密状態(シール性)を得ることができる。
【0010】
また、抜け止め部は、アリ溝の開口部の下側に面で当接しているので、抜け止めが行える。しかも、密封時の上端部の変形によってその押圧力は高くなる上に、大きな変位がないので、アリ溝との摩擦が少ない。このため、繰り返しの開閉に伴う変位によって、カス(異物)が出ることを抑えることができ、高清浄空間を得られる。
【0011】
また気密状態において、圧縮変形した上端部からの圧力は、抜け止め部の他に下端部にも伝わり、この下端部は、その面であたかも根を張ったようにしっかりとアリ溝の底面を押圧するので、真空引きをして内外で圧力差が生じても、ねじれを生じさせず、シール材の磨耗も抑えられ、高清浄空間を得られる。この作用は上端部の湾曲面形状によっても助長される。
【0012】
また、特に、上記上端部を、抜け止め部から滑らかに連続して形成したので、いわば裾野が広いようなどっしりとした形となって、いずれの方向から付勢される荷重でも安定して受けることができ、より一層の気密性の向上と、磨耗の低減を図ることができる。
【0013】
さらに、上記下端部を、アリ溝の底面に面接触する平面のみで形成すると、接触面積を広く取ることができ、アリ溝内でのシール材の安定性を高め、より強力にねじれを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、半導体製造等において用いられ、内部空間1aを真空にする真空装置1の概略構造を示す断面図である。同図に示すように真空装置1は、排気口2の他に開閉可能な蓋体3を設け、この蓋体3の内側面にアリ溝用シール材4(以下、シール材という)を装着して、気密性が得られるようにしている。
【0015】
このシール材4は、適宜のゴム材等、弾性材料にて環状(無端状)に形成されている。環状の形態は、装着位置の形に応じて長方形のほか正方形、円形などもある。
【0016】
装着は、蓋体3の内側面に形成したアリ溝5に対して嵌め付けて行う(図2参照)。アリ溝5は、周知の通り断面鳩尾形の溝であり(図3参照)、上端の開口部6より内側の底面7の方が幅広で、ハの字型をなす傾斜面8を有した形である。このアリ溝5は、開口部6の下縁と底面7の両端部をアール状に形成している。開口部6の上縁のアールは、シール材4との当たりを和らげる湾曲面9で、角のない適宜の断面形状になるように形成すればよい。
【0017】
シール材4の断面形状について説明すると、上端部10を突出した状態でアリ溝5に対して嵌め込んで使用するこのシール材4は、その断面形状における下端部11を平らに形成し、アリ溝5の底面7に平面のみで面接触可能に形成している。そして、その下端部11の幅w1を、アリ溝5の開口部6(詳しくは開口部6の最も幅狭の部分)と同一またはそれよりも狭く形成し、該下端部11の両側から上に向けてテーパ状の傾斜面12を形成して、アリ溝5の深さ(H1)内において断面形状のうち最も幅広の最大幅部13を形成している。この最大幅部13の上には、アリ溝5の開口部6の下側に沿って面で当接して抜け止めする抜け止め部14を形成し、また、この抜け止め部14から上へ滑らかに連続させて、アリ溝5の開口部6から突出する上記上端部10を、円弧状の湾曲面で形成し、シール時(図4参照)に、シール材4がアリ溝5の開口部6の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形すべく構成している。
【0018】
円弧状の湾曲面で形成するとは、垂直に切り立つ面をもたない形状に形成することであり、いわばOリングの上側部分のように丸く形成することである。
【0019】
なお、上記最大幅部13がシール材4成形時のパーティングラインである。
【0020】
ここで、図3に示したように、アリ溝5の開口部6の幅(上述のように湾曲面9を形成しているので、最も幅の狭い部分)をW1として、最も幅広の底面7部分の幅をW2とする。またアリ溝5の上面から底面7までの距離を深さH1とする。
【0021】
シール材4は、下端部11の幅w1をアリ溝5の開口部6の幅W1よりも若干狭く設定し(w1<W1)、最大幅部13の幅w2は、アリ溝5の開口部6の幅W1よりも広く、底面7部分の幅W2よりも狭く設定(W1<w2<W2)し、高さh1は、アリ溝5の深さH1よりも厚く設定(h1>H1)する。
【0022】
好ましくは、w1は、W1の70〜85%程度に、w2はW1の110〜120%程度、h1はH1の125〜140%程度に設定し、最大幅部13の位置を、H1の下から60〜70%程の高さにすると、下端部11および抜け止め部14の大きさを充分に取れると共に、上端部10の湾曲面も安定感のある形に形成でき、後述する効果を有効に得られるのでよい。
【0023】
このような断面形状に形成した環状のシール材4は、図2に示したように、アリ溝5に対して、下端部11側を嵌め付けて装着する。
【0024】
この装着に際しては、シール材4の下端部11の幅w1をアリ溝5の開口部6の幅W1よりも狭く形成すると共に、下端部11の上側にはテーパ状の傾斜面12を形成しているので、この傾斜面12がシール材4の最大幅部13を押し縮めるためのガイドとなり、円滑に装着できる。そのうえ、下端部11を平面で形成しているので、装着に際してシール材4が不測にねじれて、パーティングライン、すなわち最大幅部13がアリ溝5の外に露出してしまうことを防止できる。つまり、装着は簡単かつ確実であって、装着性が良い。
【0025】
しかも、装着した時には、下端部11がアリ溝5の底面7に面接触すると共に、アリ溝5内に位置する最大幅部13の上側の抜け止め部14もアリ溝5の開口部6下側に当接して、抜け止めがなされる。この装着状態は、平面から成る下端部11全体がアリ溝5の底面7に面接触しているので、接触抵抗が大きく、強力である。
【0026】
このような状態に装着した後、蓋体3を閉じて気密状態を得る場合、図4に示したように、シール材4は圧縮され、変形する。つまり、シール材4の上端部10には対向部15が押し当たり、圧縮されてその変形による圧力を、上記抜け止め部14と下端部11に及ぼす。この時、アリ溝5の開口部6縁に湾曲面9を形成したので、上端部10の下部と抜け止め部14の上部が、傷ついたり過度に擦れたりすることを回避できる。
【0027】
上記圧縮変形により、抜け止め部14では、さらに圧力が高まり、アリ溝5の開口部6下側を下方からに押圧すると共に、下端部11では、両側に向けて張るように圧力が付勢される。このため、シール材4のアリ溝5内における位置は強く固定される。
【0028】
したがって、内部空間1aの空気を排気して真空にしても、シール材4は影響を受けにくい。この効果はシール材4の上端部10が湾曲面で円弧状に形成されていることと、シール材4がアリ溝5の開口部6の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形することによって高まり、繰り返しの開閉や、真空と大気圧の圧力変化にも容易に影響を受けない。つまり、ねじれが発生することはなく、常に高い気密状態(シール性)が得られる。
【0029】
また、シール材4の上端部10は湾曲面で形成しているので、図4に仮想線矢印で示したように閉塞に際して斜め方向から力が付勢された場合でも、変形の仕方にあまり変化はなく、真っ直ぐ上から荷重が付勢された時と同様に圧縮変形する。このため、常に確実な気密状態を得ることができる。
【0030】
そのうえ、抜け止め部14から下がすっぽりとアリ溝5に納まったシール材4の圧縮変形は、アリ溝5の外では上端部10の極一部で起こるだけであるので、露出部分におけるシール材4の変形が少なく、シール材4の摩擦は、主に対向部15との間で起こるだけである。また上述のように、シール材4のねじれなど、不要な動きを抑えられるので、摩擦が生じてシール材4が必要以上に磨耗することを防止できる。このため、摩擦によるシール材4の磨耗を抑制でき、磨耗によって生ずる異物が内部空間1aに混入することを抑えることができる。つまり、内部空間1aを高清浄空間にでき、良好な真空装置1を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、断面形状を、アリ溝の底面に面接触する下端部と、該下端部から上に延設したテーパ状の傾斜面と、該傾斜面の上端位置の最大幅部と、この上の抜け止め部と、円弧状の湾曲面からなる上端部とを有する形に形成し、該上端部を抜け止め部から滑らかに連続して形成し、シール時にシール材がアリ溝の開口部の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形すべく構成したので、装着性が良好であるうえに、脱落防止も図れるという効果が得られる。
【0032】
つまり、装着に際しては、傾斜面がガイドになると共に、アリ溝内においては下端部と抜け止め部との3箇所で接触してアリ溝内に納まっているので、安定性が良好である。このため、開閉時の変位によるねじれや、真空引きをした時に起こるねじれを防止することができる。これは、確実に高気密性を得ることと、シール材の磨耗を抑えることを意味する。
【0033】
また、上端部が円弧状に湾曲した形状であるために、真っ直ぐの他、いずれの方向から荷重が掛かっても、所望通りに変形をして、常に確実な気密状態を得られる。またその変形は、抜け止め部がアリ溝の開口部の下側に当接しているため、アリ溝の外部においては上端部のみで起こるので、従来例のようにはなはだしい変形による磨耗がない分、異物の混入を抑制でき、高清浄空間が得られる。しかも、シール時にシール材がアリ溝の開口部の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形するので、高いシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空装置とこれに装着したアリ溝用シール材を示す断面図。
【図2】アリ溝用シール材の斜視図。
【図3】アリ溝とアリ溝用シール材の分解断面図。
【図4】作用状態の説明図。
【符号の説明】
4…アリ溝用シール材
5…アリ溝
6…開口部
7…底面
10…上端部
11…下端部
12…傾斜面
13…最大幅部
14…抜け止め部

Claims (2)

  1. 上端部が突出された状態でアリ溝に嵌め込んで使用する、真空装置のためのアリ溝用シール材であって、
    その断面形状において、左右対称に形成すると共に、
    断面形状における下端部を、アリ溝の底面に面接触可能に形成
    該下端部の幅を、アリ溝の開口部と同一またはそれよりも狭く形成し、
    該下端部の両側から上に向けてテーパ状の傾斜面を形成して、アリ溝の深さ内において断面形状のうち最も幅広の最大幅部を形成し、
    該最大幅部の幅寸法を、アリ溝の開口部の幅よりも幅広に設定して、最大幅部の上に、アリ溝の開口部の下側に沿って面で当接して抜け止めされる抜け止め部を形成し、
    アリ溝の開口部から突出する上記上端部を、円弧状の湾曲面で形成し、
    上記上端部を、抜け止め部から滑らかに連続して形成し、
    シール時にシール材がアリ溝の開口部の最も幅狭の部分を塞ぐように圧縮変形すべく構成し、
    上記最大幅部に、パーティングラインが位置するように設定した
    アリ溝用シール材。
  2. 上記下端部を、アリ溝の底面に面接触する平面のみで形成した
    請求項1に記載のアリ溝用シール材。
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