JP3589885B2 - 紙幣処理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくともバラ紙幣を集積状態で繰り出し可能な紙幣処理機に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙幣の入出金処理、あるいは束紙幣を金種別に収納させる等の処理を行う紙幣処理機として、例えば、特開平6−9104号公報に開示されたものがある。
この紙幣処理機は、主に出金処理を行う現金自動取引処理機として用いられるもので、機体内に設けられた金種別の金庫から繰り出した出金紙幣を繰出口に繰り出させるものであるが、繰出口から繰り出させる直前において、近傍に設けられた一時集積装置に一旦集積させるとともに、この集積させた紙幣を搬送ベルトで挟持しながらそのままの姿勢で繰出口からその一部が機外へ突出する位置まで移動させるようになっている。なお、バラの集積紙幣を繰出口から一部突出させた状態とし、これを人手によって取り出させるようにしているのは、バラ紙幣の場合には、完全に機外に放出させてしまうと散乱することになることから、このような散乱を防止するためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この紙幣処理機に見られるように、日本国内で使用される紙幣処理機のほとんどは、紙幣をその長手方向に直交する方向を搬送方向に沿わせて、機体における前後および上下の組み合わせ方向に搬送するように構成されているため、紙幣繰出口においても、当然のことながら紙幣はその長手方向を左右に配置した状態で機体から一部突出するように繰り出されることになる。
つまり、寸法の短い短手の長さ分しかないにもかかわらず、その一部を紙幣繰出口から一部突出させるように繰り出さなければならないため、これが少しでも機体に対し突出しすぎると、該紙幣は不安定な状態となって機外に落ちてしまい、逆に機外に突出する量が少ないと、取り出しが困難になってしまう。
【0004】
したがって、本発明は、紙幣をその長手方向に直交する方向に搬送させて処理する場合であっても、これを繰出口から繰り出させる際には、安定性および取出容易性を確保することが可能となる紙幣処理機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の紙幣処理機は、機外に開口可能な繰出口にバラ紙幣を集積状態で繰り出し可能なものであって、集積方向を上下とした姿勢で搬送されてきたバラ紙幣を集積状態のまま集積方向に沿う鉛直軸回りに姿勢を変更させて前記繰出口に繰り出す姿勢変更繰出部を具備し、前記姿勢変更繰出部は、集積方向を上下とした姿勢で搬送されてきた前記バラ紙幣を集積状態で集積方向における両側である上下から挟持した後、集積状態のまま集積方向に沿う鉛直軸回りに水平旋回して前記繰出口に繰り出し、その後、挟持を解除することを特徴としている。
これにより、姿勢変更繰出部が、バラ紙幣を集積状態のまま集積方向に沿う軸回りに姿勢を変更させて繰出口に繰り出すことになるため、紙幣をその長手方向に直交する方向に搬送させて処理する場合であっても、これを集積状態で繰出口から繰り出させる際には、その短手方向を左右に配置した状態で機体から一部突出するように繰り出させることが可能となる。
姿勢変更繰出部は、バラ紙幣を集積状態で集積方向における両側から挟持した後、旋回して繰出口に繰り出し、その後、挟持を解除することになるため、旋回中は挟持状態が維持される結果、集積状態のバラ紙幣が乱れてしまうことがなくなる。
【0007】
本発明の請求項2記載の紙幣処理機は、請求項1記載のものに関して、前記姿勢変更繰出部は、挟持、旋回および挟持解除を一つの駆動源で行うことを特徴としている。
このように、姿勢変更繰出部が、挟持、旋回および挟持解除を一つの駆動源で行うことになるため、挟持および挟持解除と旋回とを別々の駆動源で行う場合に比してコストを低減することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一の実施の形態の紙幣処理機を図面を参照して以下に説明する。なお、各図において矢印で示すX方向が、操作を行うオペレータ側すなわち機体10の前方(正面側)を示す。また、以下における前後は機体10における前後であり、左右は、機体10の前方から機体10を見たときの左右である。
【0009】
この実施の形態の紙幣処理機は、バラ紙幣の入金、収納、回収および出金と、紙幣の結束、結束された束紙幣の収納および出金等、紙幣に関する各処理を行うことが可能とされ、銀行等における出納機の一部として他の図示しない硬貨処理機等と組み合わされて用いられるものであり、図1に示すように、その機体10の上部には正面(前面)からやや上方に向いて、各処理の操作がオペレータにより入力される操作部11と、処理のガイドメニュー、処理状態および処理結果等を表示する表示部12とが設けられている。
【0010】
また、これら操作部11および表示部12の下側位置には、正面に向いて、結束された束紙幣を機外に放出させるため機外に開口可能な束紙幣放出口13と、結束枚数に満たないバラの端数紙幣を機外に繰り出させるため機外に開口可能な端数紙幣繰出口(繰出口)14とが設けられている。
さらに、これら束紙幣放出口13および端数紙幣繰出口14の下側かつ前側位置には、上方を向いて、入金するバラ紙幣がオペレータによりセットされ、また機内から出金されるバラ紙幣が送り込まれる機外に開口可能な紙幣入出金・リジェクト口16と、所定枚数で結束された各金種の束紙幣が送り込まれる機外に開口可能な束紙幣出金口17とが設けられている。
【0011】
紙幣入出金・リジェクト口16には、機体10の内外を開放・遮断するスライド式のスライドシャッタ18が設けられており、束紙幣出金口17にも、機体10の内外を開放・遮断するスライド式のスライドシャッタ19が設けられていて、端数紙幣繰出口14にも、機体10の内外を開放・遮断するスライド式のスライドシャッタ20が設けられている。また、束紙幣放出口13にも、機体10の内外を開放・遮断する揺動式の開閉シャッタ21が設けられている。
【0012】
この紙幣処理機は、大きく分けると、紙幣入出金・リジェクト口16に投入されたバラ紙幣を入金させて収納する入金処理を行うとともに、収納したバラ紙幣を必要に応じて紙幣入出金・リジェクト口16ヘ出金させる出金処理等のバラ紙幣における各処理を行う紙幣入出金ユニット23と、該紙幣入出金ユニット23から送り込まれるバラ紙幣を所定枚数集積させ、さらに集積させた集積紙幣を結束させるとともに、この結束した束紙幣および結束不可なバラの端数紙幣をその目的に応じた場所に向け振分搬送する紙幣結束・搬送ユニット24と、該紙幣結束・搬送ユニット24で結束されて送り込まれる束紙幣を受け取り、金種別に収納するとともに、収納した束紙幣を必要に応じて束紙幣出金口17へ出金させる束紙幣収納・出金ユニット25とから構成されている。なお、紙幣入出金ユニット23においては、紙幣の搬送方向が上下方向、前後方向および上下前後の組み合わせ方向のみとされており、束紙幣収納・出金ユニット25は、束紙幣をその長手方向を上下方向に沿わせかつその厚さ方向を前後方向に沿わせた状態で収納させるようになっている。
【0013】
ここで、束紙幣収納・出金ユニット25は、紙幣入出金ユニット23の正面から見て横に並設されていて、紙幣結束・搬送ユニット24は、これら紙幣入出金ユニット23および束紙幣収納・出金ユニット25の上側かつ後部側に配置されている。また、並設された紙幣入出金ユニット23および束紙幣収納・出金ユニット25の全体の幅は、紙幣結束・搬送ユニット24の幅と同じとされている。
【0014】
次に、本発明の要部に関わる紙幣結束・搬送ユニット24の束紙幣搬送・振分部63について説明する。
束紙幣搬送・振分部63は、紙幣入出金ユニット23から送り込まれた紙幣を所定枚数表裏方向に集積させてこれを結束する図示せぬ紙幣結束部とともに紙幣結束・搬送ユニット24を構成するもので、紙幣結束部によって結束された束紙幣および表裏方向に集積され結束されずに送られた端数紙幣を目的に応じた位置まで搬送する。
【0015】
束紙幣搬送・振分部63は、図2に示すように、図示せぬ紙幣結束部で結束され、長手方向を左右方向に沿わせかつ厚さ方向を上下とした姿勢で右方に押し出された束紙幣S3、および結束されず長手方向を左右方向に沿わせかつ集積方向を上下とした姿勢で右方に押し出された端数紙幣を、それぞれそのままの姿勢で前方に搬送する第1搬送部120と、該第1搬送部120で搬送された束紙幣を同じ姿勢のまま左方に搬送する第2搬送部121と、該第2搬送部121で搬送された束紙幣を受け取って、その姿勢を略長手方向を前後方向に沿わせかつ厚さ方向を略上下方向に沿わせるよう変換して束紙幣放出口13から放出させ、あるいはその姿勢を長手方向を上下方向に沿わせかつ厚さ方向を前後方向に沿わせるよう変換し、かつ前後方向に移動して、その収納する金種に応じて、底板64に設けられた第1投入口123、第2投入口124を介して下側の束紙幣収納・出金ユニット25に放出させるという振り分けを行う束紙幣振分部125と、第1搬送部120で搬送された端数紙幣を、集積状態のまま集積方向に沿う軸回りに姿勢を変更させて端数紙幣繰出口14に、オペレータにより取出可能に繰り出させる端数紙幣繰出部(姿勢変更繰出部)126とを有している。
【0016】
{第1搬送部}
第1搬送部120は、水平配置された束紙幣載置板118と、該束紙幣載置板118に沿って前後方向に往復移動自在に設けられた束紙幣搬出部材127,127とを有している。
束紙幣載置板118は、紙幣結束部によって結束されて右方に押し出された束紙幣および結束されずに右方に押し出された端数紙幣の押出先端側の一部を上面に載置させる。
束紙幣搬出部材127,127は、一部が束紙幣載置板118に載置された束紙幣および端数紙幣を束紙幣載置板118上で姿勢は変更せずに前方に押し出し搬送する。
【0017】
{第2搬送部}
第2搬送部121は、第1搬送部120の前方側に設けられて左右方向に移動する搬送部材129と、第1搬送部120の前方側に左右方向に沿って延在配置された案内部材130と、案内部材130の左方側に配置されたローラ131とを有している。
搬送部材129は、水平配置される長方形状の底板部133と、該底板部133の右方の端縁部から前後方向に沿うように鉛直立設される側板部134と、底板部133の前方の端縁部から左右方向に沿うように鉛直立設される正板部135とを有する形状をなしており、後方側と左方側と上方側とが抜けた形状をなしている。
【0018】
案内部材130は、左右方向に延びて水平配置される長方形状の底板部136と、該底板部136の後方側の端縁部から左右方向に沿うように鉛直立設される後板部137と、底板部136の左方側に設けられ該底板部136に連続するとともに該底板部136から離れるにしたがって上方に位置するよう傾斜する傾斜板部138とを有している。
ローラ131は、案内部材130の傾斜板部138の左方に近接配置されており、このローラ131の対向する位置には、該ローラ131に連れ回る図示しないローラが設けられている。
【0019】
そして、搬送部材129は、最も右方の移動限界の「待機位置」に位置する状態で、第1搬送部120から前方に搬送された束紙幣および端数紙幣の右方側の一部を、底板部133上に載置させることになる。また、このとき、束紙幣および端数紙幣の左方側の一部は案内部材130の底板部136上に載置されることになる。
また、搬送部材129は、この状態から左方に移動することで束紙幣を側板部134で押圧しながら左方に移動させる。ここで、この移動中、搬送部材129の正板部135と案内部材130の後板部137とで束紙幣の姿勢を維持することになり、搬送部材129が左方の移動限界位置に至ると、束紙幣は、傾斜板部138に持ち上げられるとともに、ローラ131および図示しないローラに挟持されながら、さらに左方に送り込まれることになる。
【0020】
{束紙幣振分部}
束紙幣振分部125は、第2搬送部121によって搬送された束紙幣をその中に取り込むとともに、取り込んだ束紙幣を保持し、さらにこれを繰り出すことが可能に構成された束紙幣入出ボックス140と、該束紙幣入出ボックス140を鉛直軸回りに回転させるとともに水平軸回りにも回転させることにより3次元的に回転させる旋回駆動機構部141と、束紙幣入出ボックス140を前後方向に移動させる移動駆動機構部142とから構成されている。
【0021】
{端数紙幣繰出部}
端数紙幣繰出部126は、上述したように、バラの端数紙幣を集積状態のまま、集積方向に平行な鉛直軸回りに水平旋回させることにより、その姿勢を集積方向を上下方向に向けた状態のまま長手方向を前後方向に沿わせるよう変換して端数紙幣繰出口14に集積状態のまま繰り出すもので、さらに言えば、バラの端数紙幣を集積方向における両側から挟持した後、旋回して端数紙幣繰出口14に繰り出し、その後、バラの端数紙幣への挟持を解除させるものである。しかも、挟持、旋回および挟持解除の一連の動作を一つの図示しない駆動部(駆動源)の駆動で行うようになっている。
【0022】
端数紙幣繰出部126は、図2、図3、図4に示すように、第2搬送部121の前方側に配置されるよう機体フレームに位置固定で鉛直立設された垂直軸196と、該垂直軸196を中心に水平旋回自在に支持されるとともに端数紙幣をその上に載置させる載置部材198と、該載置部材198に水平方向に延在するよう支持された支持軸199と、該支持軸199を中心に回転自在に支持されるとともに、載置部材198に載置された端数紙幣を該載置部材198との間で挟持可能な挟持部材201と、該挟持部材201を付勢するバネ材202とを具備している。
【0023】
載置部材198は、垂直軸196に支持される基部197aと、該基部197aから水平に延出する載置板部197bとを有しており、載置板部197bの上に、端数紙幣を載置させる。
挟持部材201は、支持軸199に支持される基部200aと、該基部200aから載置板部197bの上側に位置するように延出する挟持板部200bとを有しており、挟持板部200bにおいて、載置板部197bに載置された端数紙幣を該載置板部197bとの間で挟持する。
バネ材202は、挟持部材201の基部200aに係止されており、挟持部材201を、その挟持板部200bが載置板部197bに近接する方向(図4より見て反時計回り方向)に付勢する。
【0024】
一方、載置部材198の右方側には、鉛直延在するとともに図示しない一つの駆動部で正逆回転駆動される駆動軸204が配設されており、該駆動軸204には、偏芯部材205が固定されている。
この偏芯部材205には駆動軸204と平行な軸206が取り付けられており、他方、載置部材198の基部197aの載置板部197bに対し反対側にも駆動軸204と平行な軸207が取り付けられている。
【0025】
これら軸206,207の間には、その両端が各軸206,207に回動自在に支持される駆動アーム208が取り付けられている。
これにより、図示しない駆動部が駆動されることによって駆動軸204を中心に偏芯部材205が回転すると、軸206が旋回移動し、その結果、図3から図5に示すように、駆動アーム208が軸207すなわち載置部材198および挟持部材201を垂直軸196を中心に水平旋回させる。
【0026】
なお、端数紙幣繰出部126の載置部材198は、図2、図3、図6および図8に示すように左方に向く位置が「待機位置」となり、図5、図10、図12および図14に示すように後方に向く位置が、第1搬送部120から端数紙幣を受け取る時の「端数紙幣受取位置」となって、これら「待機位置」と「端数紙幣受取位置」との間を図示しない駆動部の駆動によって旋回する。
【0027】
駆動軸204には、偏芯部材205の他に、図6に示すように、挟持駆動カム210が固定されている。
この挟持駆動カム210の近傍後方側には、固定軸211が機体フレームに固定された状態で鉛直立設されており、該固定軸211には、固定軸211から略載置部材198の方向に延びる第1腕部212と固定軸211から略駆動軸204の方向に延びる第2腕部213と該第2腕部213の第1腕部212に対し反対側から略載置部材198の方向に若干突出する第3腕部214とを有する平面視略コ字状の可動部材215が、内側に挟持駆動カム210を配置するように回転自在に支持されている。この可動部材215には、該可動部材215を固定軸211を中心として平面視反時計回り方向に付勢するバネ材216の一端が係合されており、また可動部材215上には、バネ材216の付勢力により挟持駆動カム210に常に当接するカムローラ217が設けられている。これにより、可動部材215は該挟持駆動カム210の形状に応じて移動するカムローラ217によって固定軸211を中心に水平回転させられることになる。
【0028】
挟持駆動カム210と載置部材198との間には、駆動軸204より若干前方側に、鉛直延在する2つのピン218,218が位置固定で左右に配置されており、これらピン218,218には、長板状の押出部材220が、その2個所の長孔219,219を嵌め合わせることによって、左右方向に移動自在に支持されている。この押出部材220の載置部材198に対し反対側には、ピン221が鉛直延在するよう設けられており、このピン221には、可動部材215の第3腕部214に駆動軸204に対し反対方向に抜けるよう形成された切欠222が嵌め合わされている。これにより、挟持駆動カム210の回転に応じて可動部材215が固定軸211を中心に回転すると、それに応じて押出部材220が左右方向に移動することになる。
【0029】
また、挟持部材201の基部200aには、図3、図10、図11に示すように、その垂直軸196側の側部に水平方向に軸線を配置してローラ223が設けられている。他方、該ローラ223の近傍には、図示しない機体フレームに左右方向に延在した状態で固定される固定軸224が配置されており、該固定軸224には、垂直軸196を中心としたローラ223の旋回時の移動範囲となる位置に回転部材225が回転自在に支持されている。
【0030】
この回転部材225は、図示しないバネ材によって固定軸224を中心に上部を後方に移動させる方向(図11より見て時計回り方向)に付勢されるとともに、その回転範囲内には、可動部材215の第1腕部212の他端が位置しており、該第1腕部212に下部が当接することによって所定以上の回転が規制されている。
【0031】
ここで、紙幣結束・搬送ユニット24においては、紙幣入出金ユニット23の紙幣入出金・リジェクト口16にセットされたバラ紙幣を図示せぬ紙幣結束部で結束させて、その結束させた束紙幣を図1に示す束紙幣放出口13あるいは投入口123,124に、結束枚数に満たない端数紙幣を端数紙幣繰出口14に、それぞれ繰り出させる処理を行うことになるが、以下では、結束枚数に満たない端数紙幣を端数紙幣繰出口14に繰り出させる処理について説明する。
【0032】
紙幣結束部において、結束枚数に満たないバラの端数紙幣が生じた場合、制御部は、まず、第2搬送部121の搬送部材129が、図14に示すように束紙幣振分部125に束紙幣を受け渡す「受渡位置」まで移動退避した状態にあるか否かを確認し、「受渡位置」になければ、これを「受渡位置」まで移動退避させる。すなわち、直前の束紙幣の束紙幣放出口13あるいは投入口123,124への繰り出しに伴って搬送部材129が「受渡位置」にあればそのままの状態で端数紙幣の搬送を開始させるのである。
【0033】
ここで、このとき、載置部材198は図2、図3および図6に示す「待機位置」にあって、載置板部197bを左方に向けた状態とされている。加えて、このとき、挟持駆動カム210は図6に示す位置にあり、その結果、押出部材220は、図7に示すように、挟持部材201側にスライドして該挟持部材201の下部をその一端によって押し、該挟持部材201を支持軸199を中心に揺動させてその挟持板部200bを載置部材198の載置板部197bに対し略平行をなして離間させこれら挟持部材201および載置部材198による挟持状態を解除する「挟持解除状態」としている。
【0034】
そして、上記した搬送部材129の「受渡位置」への退避が確認されると、次に、制御部は、該端数紙幣繰出部126の載置部材198および挟持部材201を図2に示す待機する状態から図14に示す端数紙幣を受け取る状態まで旋回させる。
すなわち、制御部は、図6および図7に示す状態から、駆動軸204で偏芯部材205と挟持駆動カム210とを平面視時計回りに所定角度だけ連続的に回転させる。
【0035】
すると、その最中において、まず、挟持駆動カム210が図8に示す位置に位置することになるが、この時点までは、駆動軸204が偏芯部材205を挟持駆動カム210と同様に回転させていても、図3に示すように、駆動軸204と駆動アーム208を支持する軸206,207の位置関係と偏芯部材205の形状とから、駆動アーム208が載置部材198を回転させることはない。
【0036】
このように載置部材198を「待機位置」に位置させた状態のまま、挟持駆動カム210は、図8に示す位置に位置する間に、可動部材215を固定軸211を中心に平面視反時計回り方向に回転させ、可動部材215の切欠222にピン221において係合する押出部材220を挟持部材201への押圧を解除する矢印A方向に移動させる。これにより、押出部材220による押圧が解除された挟持部材201は、バネ材202の付勢力によって図9に示すようにその挟持板部200bを載置部材198の載置板部197bに当接させる方向に揺動した「挟持状態」となる。
【0037】
このように、挟持部材201が、その挟持板部200bを載置板部197b側に揺動させた「挟持状態」となった後、駆動軸204が図8に示す位置を超えて回転した時点で、始めて偏芯部材205が駆動アーム208を介して載置部材198を押し、該載置部材198の垂直軸196を中心とした平面視時計回りの旋回を開始させることになる。
【0038】
そして、さらに、駆動軸204、偏芯部材205および挟持駆動カム210が図10に示す位置まで回転すると(図10において偏芯部材205は図示略)、載置部材198は図10に示すように「待機位置」から略90゜旋回し、その載置板部197bを後方に向けた「端数紙幣受取位置」に達する。このとき、載置部材198の載置板部197bは、第2搬送部121の案内部材130の直上に位置することになる。そして、載置部材198が図10に示す「端数紙幣受取位置」に達する直後までは、図11に示すように、挟持部材201はバネ材202の付勢力によって載置部材198側に揺動した「挟持状態」に維持されている。
【0039】
そして、さらに、駆動軸204、偏芯部材205および挟持駆動カム210が図12に示す位置まで回転しても(図12において偏芯部材205は図示略)、駆動軸204と駆動アーム208を支持する軸206,207の位置関係と偏芯部材205の形状とから、駆動アーム208が該載置部材198を回転させることはなく、このように載置部材198を「端数紙幣受取位置」に位置させた状態のまま、挟持駆動カム210の形状により、可動部材215が平面視時計回り方向に回転し、図13に示すように、その一端が回転部材225の下部を図示しないバネ材の付勢力に抗して押し込み、これを固定軸224を中心に上部を前方側に移動させる方向(図13における反時計回り方向)に回転させる。
【0040】
これにより、回転部材225は挟持部材201に設けられたローラ223を引き、挟持部材201を支持軸199を中心に図13における反時計回り方向に回転させて、その挟持板部200bを載置部材198の載置板部197bに対し略平行をなして離間させ、挟持部材201を載置部材198に対し開いた「挟持解除状態」として、第1搬送部120から送り込まれる端数紙幣の受け取りを可能な状態とする。
【0041】
この状態で、端数紙幣を紙幣結束部から第1搬送部120に受け渡させると、制御部は、長手方向を左右方向に沿わせ集積方向を上下方向に沿わせた姿勢の端数紙幣をそのままの姿勢で第1搬送部120の束紙幣搬出部材127によって前方に搬送させて前方で待機する端数紙幣繰出部126の載置部材198の載置板部197b上に送り込ませる。そして、その後、制御部は、端数紙幣繰出口14に設けられるスライドシャッタ20をスライドさせて該端数紙幣繰出口14を開放させるとともに、端数紙幣繰出部126の駆動軸204を前記とは逆の平面視反時計回り方向に所定角度だけ連続的に回転させる。
【0042】
すると、載置部材198および挟持部材201は上記に対し完全に逆の作動をする。
すなわち、図12および図13に示す状態から、まず、挟持駆動カム210が図10に示す位置に位置することになるが、この時点までは、駆動軸204が偏芯部材205を回転させていても、駆動軸204と駆動アーム208を支持する軸206,207の位置関係と偏芯部材205の形状とから、駆動アーム208が載置部材198を回転させることはない。
【0043】
このように載置部材198を「端数紙幣受取位置」に位置させた状態のまま、挟持駆動カム210は、図10に示す位置に位置する間に、可動部材215を平面視反時計回り方向に回転させ、図11に示すように、その一端による回転部材225の下部への押し込みを解除させる。その結果、図示せぬバネ材の付勢力で回転部材225が固定軸224を中心に上部を後方に位置させる方向(図11における時計回り方向)に回転し、これにより、回転部材225による押圧が解除された挟持部材201は、バネ材202の付勢力によってその挟持板部200bを載置部材198の載置板部197b側に揺動させた「挟持状態」となる。その結果、端数紙幣は、バネ材202の付勢力により挟持部材201の挟持板部200bと載置部材198の載置板部197bとで挟持されることになる。
【0044】
このように、挟持部材201が、その挟持板部200bを載置板部197b側に揺動させた「挟持状態」となった後、駆動軸204、偏芯部材205および挟持駆動カム210が図10に示す位置を超えて回転した時点で、始めて偏芯部材205が駆動アーム208を介して載置部材198を押し、該載置部材198の垂直軸196を中心とした平面視反時計回りの旋回を開始させることになる。
【0045】
そして、さらに、駆動軸204、偏芯部材205および挟持駆動カム210が図8に示す位置まで回転すると(図8において偏芯部材205は図示略)、載置部材198は「端数紙幣受取位置」から略90゜旋回した図8に示す「待機位置」に達する。この「待機位置」に達したとき、載置部材198は、載置板部197bを左方に向けた状態となる。ここで、載置部材198が図8に示す「待機位置」に達した直後までは、図9に示すように、挟持部材201はバネ材202の付勢力によってその挟持板部200bを載置板部197b側に揺動させた「挟持状態」に維持されている。これにより、端数紙幣は、載置部材198および挟持部材201で挟持されたままこれらとともに鉛直軸回りに水平旋回し、長手方向を左右方向に沿わせ集積方向を上下方向に沿わせた姿勢から長手方向を前後方向に沿わせ集積方向を上下方向に沿わせた姿勢に姿勢が変更された状態でその前方側が端数紙幣繰出口14から突出する状態となる。
【0046】
このように、載置部材198が「待機位置」に戻った後、駆動軸204、偏芯部材205および挟持駆動カム210が図8に示す位置を超えて回転した時点で、始めて挟持駆動カム210が、押出部材220を挟持部材201側にスライドさせて該挟持部材201の下部をその一端によって押し始め、駆動軸204、偏芯部材205および挟持駆動カム210が図6に示す位置まで回転すると(図6において偏芯部材205は図示略)、押出部材220が、図7に示すように、挟持部材201を支持軸199を中心に揺動させてその挟持板部200bを載置部材198の載置板部197bに対し略平行をなして離間させこれら挟持部材201および載置部材198による挟持状態を解除する「挟持解除状態」とする。これにより、端数紙幣の取り出しが可能な状態となる。
【0047】
以上に述べた紙幣処理機によれば、端数紙幣繰出部126が、バラの端数紙幣を集積状態のまま集積方向に沿う軸回りに姿勢を変更させて端数紙幣繰出口14に繰り出すことになるため、紙幣をその長手方向に直交する方向に搬送させて処理する場合であっても、これを端数紙幣繰出口14から繰り出させる際には、その短手方向を左右に配置した状態で機体10から一部突出するように繰り出させることが可能となる。
したがって、バラの端数紙幣を集積状態のまま長手方向を繰り出し方向に沿わせて繰り出させることが可能となるため、その寸法が長くなる分、機体10から突出させた時の安定性を確保でき、しかも取出容易性をも確保することができる。
【0048】
また、端数紙幣繰出部126は、バラ紙幣を集積状態で集積方向における両側から挟持した後、旋回して端数紙幣繰出口14に繰り出し、その後、挟持を解除することになるため、旋回中は挟持状態が維持される結果、旋回中に集積状態のバラの端数紙幣の集積状態が乱れてしまうことがなくなる。
したがって、機体10から突出させた時の紙幣の安定性をさらに向上させることができ、しかも紙幣の取出容易性をもさらに向上させることができる。
【0049】
さらに、端数紙幣繰出部126が、挟持、旋回および挟持解除を一つの駆動部の駆動力で行うことになるため、挟持および挟持解除と旋回とを別々の駆動源で行う場合に比してコストを低減することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の紙幣処理機によれば、姿勢変更繰出部が、バラ紙幣を集積状態のまま集積方向に沿う軸回りに姿勢を変更させて繰出口に繰り出すことになるため、紙幣をその長手方向に直交する方向に搬送させて処理する場合であっても、これを集積状態で繰出口から繰り出させる際には、その短手方向を左右に配置した状態で機体から一部突出するように繰り出させることが可能となる。
したがって、紙幣を長手方向を繰り出し方向に沿わせて繰り出させることが可能となるため、その寸法が長くなる分、突出させた時の紙幣の安定性を確保でき、しかも紙幣の取出容易性をも確保することができる。
姿勢変更繰出部は、バラ紙幣を集積状態で集積方向における両側から挟持した後、旋回して繰出口に繰り出し、その後、挟持を解除することになるため、旋回中は挟持状態が維持される結果、旋回中に集積状態のバラ紙幣が乱れてしまうことがなくなる。
したがって、突出させた時の紙幣の安定性をさらに向上させることができ、しかも紙幣の取出容易性をもさらに向上させることができる。
【0052】
本発明の請求項2記載の紙幣処理機によれば、姿勢変更繰出部が、挟持、旋回および挟持解除を一つの駆動源で行うことになるため、挟持および挟持解除と旋回とを別々の駆動源で行う場合に比してコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙幣処理機の一の実施の形態の斜視図。
【図2】同実施の形態の紙幣結束・搬送ユニットの主に束紙幣搬送振分部の概略構成を示す斜視図。
【図3】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「待機位置」にあり挟持部材が「挟持状態」ある状態を示す平面図。
【図4】同実施の形態の端数紙幣繰出部の図3の状態における側断面図。
【図5】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「端数紙幣受取位置」にあるときの平面図。
【図6】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「待機位置」にあり挟持部材が「挟持解除状態」ある状態を示す平面図。
【図7】同実施の形態の端数紙幣繰出部の図6の状態における側断面図。
【図8】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「待機位置」にあり挟持部材が「挟持状態」ある状態を示す平面図。
【図9】同実施の形態の端数紙幣繰出部の図8の状態における側断面図。
【図10】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「端数紙幣受取位置」にあり挟持部材が「挟持状態」ある状態を示す平面図。
【図11】同実施の形態の端数紙幣繰出部の図10の状態における側断面図。
【図12】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「端数紙幣受取位置」にあり挟持部材が「挟持解除状態」ある状態を示す平面図。
【図13】同実施の形態の端数紙幣繰出部の図12の状態における側断面図。
【図14】同実施の形態の端数紙幣繰出部の載置部材が「端数紙幣受取位置」にあり挟持部材が「挟持解除状態」ある状態を示す斜視図。
【符号の説明】
14 紙幣繰出口(繰出口)
126 端数紙幣繰出部(姿勢変更繰出部)
Claims (2)
- 機外に開口可能な繰出口にバラ紙幣を集積状態で繰り出し可能な紙幣処理機において、
集積方向を上下とした姿勢で搬送されてきたバラ紙幣を集積状態のまま集積方向に沿う鉛直軸回りに姿勢を変更させて前記繰出口に繰り出す姿勢変更繰出部を具備し、
前記姿勢変更繰出部は、集積方向を上下とした姿勢で搬送されてきた前記バラ紙幣を集積状態で集積方向における両側である上下から挟持した後、集積状態のまま集積方向に沿う鉛直軸回りに水平旋回して前記繰出口に繰り出し、その後、挟持を解除することを特徴とする紙幣処理機。 - 前記姿勢変更繰出部は、挟持、旋回および挟持解除を一つの駆動源で行うことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。
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