JP3589819B2 - 光ファイバープローブ及びそれを用いた近接場光学顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバープローブ及び半導体デバイスの評価等に用いられる近接場光学顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近接場光学顕微鏡は、走査型プローブ顕微鏡の一つであり、ナノメータサイズの開口部を有する光プローブを備え、この光プローブによって光の検出あるいは照射を行い試料の形状測定等を行うものである。この光の検出あるいは照射を行うための光プローブは、コアの周りに、遮蔽層となるクラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、その一端に、クラッドから突出したコアが先鋭化されることで形成された先鋭部を有している。この光プローブでは、この先鋭部の先端で光の散乱、検出あるいは出射を行う。
【0003】
ところで、試料とプローブ間の情報伝達媒体がそれぞれ電子と力であるところの走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope)と原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)のような他の走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope)では形状測定しか行うことができない。これに対して、光を媒体とする近接場光学顕微鏡は、試料の形状測定だけでなく、局所的な波長分光測定を行うことができる。
【0004】
例えば、半導体デバイスの分野では、その評価のために吸収・発光・蛍光等の分光測定がよく行われており、近接場光学顕微鏡をそのような半導体デバイスの評価に用いれば、ナノメータ級の空間分解能をもって評価を行うことができるものと期待される。
【0005】
ここで、これらの光学現象のうち発光を測定する場合には、光(励起光)を照射することによって半導体に電子と正孔を生じさせ、この励起された電子が正孔と再結合するときに放出する光(検出光)を検出、分光する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような発光の測定を、従来の近接場光学顕微鏡をそのまま用いて行おうとすると次のような問題が生じる。
【0007】
すなわち、近接場光学顕微鏡の測定モードには、光プローブによって光の照射を行うイルミネーションモードと、光プローブによって光の検出を行うコレクションモードとがある。
【0008】
まず、イルミネーションモードでは、図7に示すように、光プローブ31の後端部から励起光Leを取り込んでコア内を伝搬させる。先端部にまで伝搬した励起光Leは先鋭部で集光され開口部32から出射する。出射した励起光Leは試料33に局所的に照射され、これによって試料33が発光する。この試料から発生した光Lsは、試料33の裏側に配置されたレンズ34によって集光され、光検出部35で検出される。
【0009】
しかし、半導体では、励起光が照射されることによって励起された電子が空間的に拡散する。試料から発生した光をレンズで集光するイルミネーションモードでは、検出される光量がレンズによって集光された光の平均的な値になってしまうことから、空間分解能が低く、半導体におけるような空間的に拡散する電子の発光を検出するには適さない。
【0010】
一方、コレクションモードでは、図8に示すように、例えば試料36の裏側に配置された照明によって試料36に励起光を照射し、試料36を発光させる。この試料から発生した光Lsは、局所的に光プローブ37の開口部38から取り込まれ、コア内を伝搬して光検出部39に導かれる。
【0011】
このようにコレクションモードでは試料の裏側から励起光を照射するが、この照射方法では、特に試料の光透過性が低い場合には光プローブによる検出位置で局所的に光励起を生じさせるのが困難である。したがって、光透過性の低い試料に対しては、光プローブによる検出位置に向かって斜めに励起光Leを照射することも考えられるが、検出位置は光プローブ37の陰になることから、やはりその位置で効率的に光励起を生じさせるのは難しい。
【0012】
そこで、本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、励起光と、試料から発生した検出光の両方を伝搬することが可能な光ファイバープローブを提供することを目的とする。
【0013】
また、そのような光ファイバープローブを用いることによって、半導体のように透過性が低く、しかも励起した電子が空間的に拡散する試料の発光を、高い分解能で検出できる近接場光学顕微鏡を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る光ファイバープローブは、単一導波モードの光を伝搬する単一モードコアとして機能するコアの周りに、上記単一モードコアに対するクラッドとして機能するとともに、複数の導波モードの光を伝搬する多モードコアとして機能する第1のクラッドと、上記多モードコアに対するクラッドとして機能する第2のクラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、基端部から突出したコアと第1のクラッドを先鋭化することで形成された先鋭部を有し、上記先鋭部の先端から試料に照射する励起光を上記コアを介して伝搬し、上記多モードコアは上記励起光を照射した試料から発生した検出光を上記先鋭部の先端から取り込んで上記第1のクラッドを介して伝搬することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、励起光を発生する照明と、この照明からの励起光を伝搬して試料に照射するとともに励起光の照射によって試料から発生した検出光を伝搬する光ファイバープローブと、この光ファイバープローブによって伝搬された検出光を反射するとともに励起光を透過する半透鏡と、この半透鏡によって反射された検出光を検出する光検出部を備えた近接場光学顕微鏡であって、上記光ファイバープローブは、単一導波モードの光を伝搬する単一モードコアとして機能するコアの周りに、上記単一モードコアに対するクラッドとして機能するとともに、複数の導波モードの光を伝搬する多モードコアとして機能する第1のクラッドと、上記多モードコアに対するクラッドとして機能する第2のクラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、基端部から突出したコアと第1のクラッドを先鋭化することで形成された先鋭部を有し、上記照明からの励起光を上記コアを介して伝搬して上記先鋭部の先端から試料に照射し、上記多モードコアは上記励起光の照射によって試料から発生した検出光を上記第1のクラッドを介して伝搬することを特徴とする。
【0016】
このような近接場光学顕微鏡では、励起光の照射と検出光の取り込みの両方が光ファイバープローブによってなされるので、半導体のように光透過率が低く、しかも励起した電子が空間的に拡散するような試料であったとしても、試料の検出位置に対して局所的に励起光が照射され、また試料が発生する検出光が高い空間分解能をもって検出される。
【0017】
また、この光ファイバープローブでは、励起光が単一導波モードの光を伝搬するようになされたコア内を伝搬し、試料からの検出光が複数の導波モードの光を伝搬するようになされた第1のクラッド内を伝搬する。単一モードのコア内では、光の減衰が小さいので、励起光の損失が小さく抑えられ、高い励起効率が得られる。また、単一モードのコア内では偏光(光の振動方向)の変動が少ない。一方、多モードのコア(第1のクラッド)は結合できる導波モードが多数存在するので、試料からの検出光が効率よく集光される。したがって、試料の特性を反映した波長分光スペクトルが感度よく測定される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
本発明にかかる光ファイバープローブは、図1に示すように、コア1の周りに、第1のクラッド2と第2のクラッド3が設けられてなる光ファイバーよりなり、その一端に、基端部から突出したコアと第1のクラッドを先鋭化することで形成された先鋭部4を有している。そして、この光ファイバープローブでは特に、上記コア1は単一導波モードの光を伝搬するようになされ、上記第1のクラッド2は複数の導波モードの光を伝搬するようになされている。すなわち、この光ファイバープローブでは、上記コア1内を、単一導波モードの光がコア1と第1のクラッド2の境界で反射を繰り返しながら伝搬し、上記第1のクラッド2内を、複数の導波モードの光が第1のクラッド2と第2のクラッド3の境界で反射を繰り返しながら伝搬する。つまり、第1のクラッド2が、コア1に対するクラッドとして機能するとともに多モードコアとして機能する。
【0020】
このような光ファイバープローブは、例えば近接場光学顕微鏡の光プローブとして用いることができる。
【0021】
この光ファイバープローブを備えた近接場光学顕微鏡の構成を図2に示す。
【0022】
この近接場光学顕微鏡は、試料11に励起光Leを照射し、励起光Leの照射によって試料11から発生する光(検出光)Lsを検出し、分光測定するものであって、励起光Leを発生する照明12と、この照明12から発生する励起光Leを光ファイバープローブ14に導くためのレンズ13と、励起光Leを伝搬して試料11に照射するとともに励起光Leの照射によって試料11から発生した検出光Lsを伝搬する光ファイバープローブ14と、この光ファイバープローブ14によって伝搬された検出光Lsを反射するとともに励起光Leを透過するダイクロイックミラー15と、このダイクロイックミラー15によって反射された検出光Lsを検出する光検出部16を備えている。すなわち、この近接場光学顕微鏡は、光ファイバープローブ14によって光の照射と検出の両方がなされるイルミネーション・コレクションモードである。
【0023】
この光ファイバープローブ14は、図1に示す3重構造の光ファイバープローブであり、単一導波モードの光を伝搬するようになされたコア1の周りに、複数の導波モードの光を伝搬するようになされた第1のクラッド2が設けられ、さらにこの第1のクラッド2の周りに第2のクラッド3が設けられて構成されている。
【0024】
このような光ファイバープローブ14を用いる近接場光学顕微鏡では、照明12から発生した励起光Leがダイクロイックミラー15を透過し、レンズ13によって集光される。集光された励起光Leは、光ファイバープローブ14の後端部から取り込まれ、コア1と第1のクラッド2の境界で反射を繰り返しながらコア内1を伝搬する。先鋭部5にまで伝搬された励起光Leはこの先鋭部5で集光され、先鋭部末端の開口部6から出射し、試料11に照射される。
【0025】
励起光Leが照射された半導体などの試料11では、励起光が吸収されて電子と正孔が生じる。ここでは、この励起された電子が正孔と再結合するときに放出する光(検出光)Lsを検出、分光する。
【0026】
この試料11から発生した検出光Lsは、光ファイバープローブ14の開口部6から取り込まれ、第1のクラッド2と第2のクラッド3の境界で反射を繰り返しながら第1のクラッド2内を伝搬する。伝搬された検出光Lsは光ファイバープローブ14の後端側から出射し、ダイクロイックミラー15によって光検出部16側に反射され、この光検出部16で検出及び分光測定がなされる。なお、光ファイバープローブ14では後端部で励起光Leの一部が放射されるが、励起光Leはダイクロイックミラー15を透過するので、光検出部16で検出されることはない。つまり、このダイクロイックミラー15は、励起光Leと検出光Lsを弁別するように機能する。なお、この励起光Leと検出光Lsはファイバー端面において放射角度が異なるので空間的に分離することも可能である。
【0027】
このような近接場光学顕微鏡では、励起光Leの照射と検出光Lsの取り込みの両方が光ファイバープローブ14によってなされるので、半導体のように光透過率が低く、しかも励起した電子が空間的に拡散するような試料であったとしても、試料の検出位置に対して局所的に励起光Leを照射することができ、また光励起された試料11が発生する検出光Lsを高い空間分解能をもって検出することができる。
【0028】
また、発光の波長分光測定では、試料から得られる光信号が非常に弱いことから、励起効率と集光効率を高めることが重要になる。
【0029】
ここで、この光ファイバープローブ14では、励起光Leが単一導波モードの光を伝搬するようになされたコア1内を伝搬し、試料11からの検出光Lsが複数の導波モードの光を伝搬するようになされた第1のクラッド内2を伝搬する。単一モードのコア1内では、光の減衰が小さいので、励起光の損失が小さく抑えられ、高い励起効率が得られる。また、多モードのコア(第1のクラッド)2は結合できる導波モードが多数存在するので、試料11からの検出光Lsを効率よく集光することができる。したがって、試料の特性を反映した波長分光スペクトルが感度よく測定される。
【0030】
なお、励起効率や集光効率を高めるためには、光ファイバープローブの先鋭部の形状も重要になる。
【0031】
すなわち、光ファイバープローブでは先鋭部の先鋭角が小さくなる程、光の照射や取り込みが局所的になり、分解能は向上する。しかし、単に円錐状に先鋭化して形成された先鋭部では、先鋭角が小さくなる程、光の透過効率が低くなる。
【0032】
これに対して、図1に示すように傾斜角を2段階に変化させて先鋭化したり、さらには図3に示すように傾斜角を3段階に変化させて先鋭化すると、末端側の傾斜角αを小さい角度にした場合でも、それよりも基端側のβを大きな角度にしたり、γの角度を調整することによって光の透過効率を確保することができる。なお、それぞれの傾斜角を有する面について、末端側から第1のテーパー面4a,25a、第2のテーパー面4b,25b、第3のテーパー面25cと称する。
【0033】
このような光ファイバーの先端形状は、化学エッチング等によって得ることができる。エッチング液としては、40重量%NH4F溶液、50重量%HF酸及びH2Oよりなる緩衝HF溶液等が用いられる。
【0034】
まず、図1に示すような2段階の傾斜角で先鋭化された光ファイバープローブは、コア1の周りに、第1のクラッド2、第2のクラッド3が設けられた3重構造ファイバーの一端を化学エッチングすることによって作製することができる。
【0035】
3重構造ファイバーを、化学エッチングによって2段階の傾斜角で先鋭化するには、エッチング液中でのコアの溶解速度をR1、第1のクラッドの溶解速度をR2、第2のクラッドの溶解速度をR3としたときに、R1<R2<R3なる条件を満たすことが必要である。なお、3重構造ファイバーの材料構成の一例を以下に示す。
【0036】
コア:GeO2添加SiO2(溶解速度:R1,外周面の半径r1)
第1のクラッド:低濃度F添加SiO2(溶解速度R2,外周面の半径r2)
第2のクラッド:高濃度F添加SiO2(溶解速度R3,外周面の半径r3)
R1<R2<R3なる溶解速度分布でエッチングを行うと、外周面では第2のクラッド3がエッチングされてファイバー径が細くなり、先端面では3層の溶解速度の違いによって先鋭化される。そして、エッチング時間が次式で示されるT3となったところで、αなる傾斜角を有する第1のテーパー面4aがコア1に形成され、βなる傾斜角を有する第2のテーパー面4bが第1のクラッド2に形成されたかたち、すなわち2段階の傾斜角で先鋭化された先端形状が得られる。
【0037】
T3=[(r2−r1)/R2][(R2+R3)/(R3−R2)]1/2
ここで、第2のクラッド3を多モードファイバーのクラッドとして機能させるには、T3の時点で第1のクラッド2の周りに第2のクラッド3が残っていなければならない。それには、第2のクラッド3の外周面の半径r3が、次式で示されるr3Pよりも大きい値に設定されており、且つr3−r3pの値が光の波長よりも十分に大きい値とされていることが必要である。
【0038】
r3P=r2+(r2−r1)[(R1+R2)/(R2−R1)]1/2
次に、図3に示すような3段階の傾斜角で先鋭化された光ファイバープローブは、例えば、第1のコア21の周りに、第2のコア22、第1のクラッド23、第2のクラッド24が設けられた4重構造ファイバーの先端部を化学エッチングすることによって作製することができる。
【0039】
4重構造ファイバーを化学エッチングによって3段階の傾斜角で先鋭化するには、エッチング液中での第1のコア21の溶解速度をR1、第2のコアの溶解速度をR2、第1のクラッドでの溶解速度をR3、第2のクラッドでの溶解速度をR4としたときに、R1<R2<R3<R4なる条件を満たすことが必要である。なお、4重構造ファイバーの材料構成の一例を以下に示す。
【0040】
第1のコア:GeO2添加SiO2(溶解速度R1,外周面の半径r1)
第2のコア:純粋SiO2(溶解速度R2,外周面の半径r2)
第1のクラッド:低濃度F添加SiO2(溶解速度R3,外周面の半径r3)
第2のクラッド:高濃度F添加SiO2(溶解速度R4,外周面の半径r4)
R1<R2<R3<R4なる溶解速度分布でエッチングを行うと、外周面では第2のクラッド24がエッチングされてファイバー径が細くなり、先端面では4層の溶解速度の違いによって先鋭形状が現れる。そして、エッチング時間が次式で示されるT4となったところで、αなる傾斜角を有する第1のテーパー面25aが第1のコア21に形成され、βなる傾斜角を有する第2のテーパー面25bが第2のコア22に形成され、γなる傾斜角を有する第3のテーパー面25cが第1のクラッド23に形成されたかたち、すなわち3段階の傾斜角で先鋭化された先端形状が得られる。
【0041】
T4=[(r3−r2)/R3][(R3+R4)/(R4−R3)]1/2
ここで、第2のクラッド24を多モードコアのクラッドとして機能させるには、T4の時点で第1のクラッド23の周りに第2のクラッド24が残っていなければならない。それには、第2のクラッド24の外周面の半径r4が、次式で示されるr4Pよりも大きい値に設定されており、且つr4−r4pの値が光の波長よりも十分に大きい値とされていることが必要である。
【0042】
r4P=r3+(r3−r2)[(R2+R3)/(R3−R2)]1/2
なお、光ファイバーとしては、このような3重構造ファイバーや4重構造ファイバーの他、第2のクラッドを高濃度F添加SiO2よりなる層と純粋SiO2よりなる層の2重構造としたものであっても良い。光ファイバーの高濃度F添加SiO2の割合が大きい場合、ファイバーの作製に際する線引き過程で残留応力が生じ易く、ファイバーのへき開によって平坦なカット面を得るのは難しい。第2のクラッドを高濃度F添加SiO2よりなる層と純粋SiO2よりなる層の2重構造とすると、純粋SiO2を用いる分、高濃度F添加SiO2の割合が減少するので残留応力が抑えられ、平坦なへき開面が得られるようになる。
【0043】
また、この光ファイバープローブには、図4、図5に示すように遮光性被覆層5,26によって末端に微小開口6,27を形成するようにしても良い。
【0044】
すなわち、図4あるいは図5に示す光ファイバープローブの開口部6,27近傍を図6(a),(b),(c)に拡大して示す。遮光性被覆層5,26によって開口部を形成するには、図6(b),(c)に示すように、遮光性被覆層5,25を先端面近傍を除いて形成し、この遮光性被覆層5,26から先鋭部の先端を露出あるいは突出させる。あるいは図6(a)に示すようにこの先端での遮光性被覆層5,26の厚さを薄くする。このとき先端以外の領域での遮光性被覆層5,26の厚さは、遮光性被覆層5,26を構成する遮光性物質において透過光が入射光の1/eとなるときの厚さ(表皮厚さ)をdsとしたときに、dsより十分厚いこと、例えば100nm以上とすることが必要である。また、先端での遮光性被覆層の厚さは、ds以下であること、例えば30nm以下とすることが必要である。
【0045】
このようにして遮光性被覆層5,26を形成すると、遮光性被覆層5,26が形成された部分では光の入射が遮られ、先鋭部の露出部分あるいは遮光性被覆層5,26の厚さの薄い部分でのみ光が選択的に取り込まれるようになるので、分解能が向上する。なお、この遮光性被覆層5,26としては、アルミニウム、金、銀、白金、ニッケル等の金属材料を用いるのが望ましい。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明では、光ファイバープローブを、単一導波モードの光を伝搬するようになされたコアと、複数の導波モードを伝搬するようになされた第1のクラッドと、第2のクラッドによって構成する。そして、この光ファイバープローブを、例えば発光の波長分光測定を行う近接場光学顕微鏡において、励起光の照射と検出光の検出を行うための光プローブとして使用する。このような光ファイバープローブを用いる近接場光学顕微鏡では、半導体のように光透過率が低く、しかも励起した電子が空間的に拡散するような試料であったとしても、試料の検出位置に対して局所的に励起光を照射することができ、また光励起された試料が発生する検出光を高い空間分解能をもって検出することができる。また、単一モードのコア内では、光の減衰が小さく、励起光の損失が小さく抑えられるので、高い励起効率が得られる。また、多モードのコア(第1のクラッド)は結合できる導波モードが多数存在するので、試料からの検出光を効率よく集光することができる。したがって、高い空間分解能をもって試料の波長分光特性を感度よく測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ファイバープローブの先鋭形状の一例を示す要部断面図である。
【図2】本発明を適用した近接場光学顕微鏡の一構成例を示す模式図である。
【図3】本発明を適用した光ファイバープローブの先鋭形状の他の例を示す要部断面図である。
【図4】3重構造の光ファイバープローブに遮光性被覆層を形成した様子を示す要部断面図である。
【図5】4重構造の光ファイバープローブに遮光性被覆層を形成した様子を示す要部断面図である。
【図6】遮光性被覆層によって形成される開口部を示すものであり、(a)は遮光性被覆層の厚さを薄くすることによって形成された開口部を示す要部断面図であり、(b)は遮光性被覆層から先鋭部を露出させることで形成された開口部を示す要部断面図であり、(c)は遮光性被覆層から先鋭部を突出させることで形成された開口部を示す要部断面図である。
【図7】イルミネーションモードの近接場光学顕微鏡の構成を示す模式図である。
【図8】コレクションモードの近接場光学顕微鏡の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 コア、2,23 第1のクラッド、3,24 第2のクラッド、4,25先鋭部、21 第1のコア、22 第2のコア、11 試料、12 照明、13 レンズ、14 光ファイバープローブ、15 ダイクロイックミラー、16光検出部
Claims (2)
- 単一導波モードの光を伝搬する単一モードコアとして機能するコアの周りに、上記単一モードコアに対するクラッドとして機能するとともに、複数の導波モードの光を伝搬する多モードコアとして機能する第1のクラッドと、上記多モードコアに対するクラッドとして機能する第2のクラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、
基端部から突出したコアと第1のクラッドを先鋭化することで形成された先鋭部を有し、上記先鋭部の先端から試料に照射する励起光を上記コアを介して伝搬し、上記多モードコアは上記励起光を照射した試料から発生した検出光を上記先鋭部の先端から取り込んで上記第1のクラッドを介して伝搬することを特徴とする光ファイバープローブ。 - 励起光を発生する照明と、この照明からの励起光を伝搬して試料に照射するとともに励起光の照射によって試料から発生した検出光を伝搬する光ファイバープローブと、この光ファイバープローブによって伝搬された検出光を反射するとともに励起光を透過する半透鏡と、この半透鏡によって反射された検出光を検出する光検出部を備えた近接場光学顕微鏡であって、
上記光ファイバープローブは、単一導波モードの光を伝搬する単一モードコアとして機能するコアの周りに、上記単一モードコアに対するクラッドとして機能するとともに、複数の導波モードの光を伝搬する多モードコアとして機能する第1のクラッドと、上記多モードコアに対するクラッドとして機能する第2のクラッドが設けられてなる光ファイバーよりなり、基端部から突出したコアと第1のクラッドを先鋭化することで形成された先鋭部を有し、上記照明からの励起光を上記コアを介して伝搬して上記先鋭部の先端から試料に照射し、上記多モードコアは上記励起光の照射によって試料から発生した検出光を上記第1のクラッドを介して伝搬することを特徴とする近接場光学顕微鏡。
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