JP3589647B2 - 洗面室ユニットのフロア構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗面室ユニットのフロア構造に係り、更に詳しくは、洗濯機等の対象物が設置領域に置かれた状態で排水口のメンテナンス作業を行うことのできる洗面室ユニットのフロア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時における住宅には、洗面室をユニット化した洗面室ユニットが多く用いられている。この洗面室ユニットのフロア構造としては、例えば、図7に示されるように、洗濯機Wの設置領域A1内の排水口73に設けられた排水トラップ72のエルボ72Aに、洗濯機Wの排水ホースHが接続されるタイプのものが知られている。ここで、排水口73は、排水ホースHとの接続部分からの排水漏れが生じたときにこの漏れた排水によって床面Fが濡れないようにすると共に、排水口73にエルボ72Aを備えた排水トラップ72を設けた場合に、このエルボ72Aと洗濯機Wの底部との接触を避ける等の理由により、当該床面Fよりも落ち込んだ凹部74内に形成されており、この凹部74は、洗濯機Wの脚部W1が載らない設置領域A1の略中央位置に設けられている。更に、図7に示されるタイプの場合、設置領域A1の隣接領域A2が浴室出入口側となり、当該隣接領域A2には、簀子75が着脱自在に装着される構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記洗面室ユニットUにあっては、洗濯機Wを設置領域A1に置いたときに排水口73が洗濯機Wの底部略中央に相対する位置にあるため、そのままの状態では、排水口73の掃除や点検等のメンテナンス作業を行うことができず、当該メンテナンス作業を行う際には、洗濯機Wを設置位置A1から移動し、作業終了後に、再び、洗濯機Wを設置位置A1に戻す面倒な移動作業が必要になるという不都合がある。ここで、設置領域A1よりも外側の床面F上に排水口73を形成すれば、このような不都合を回避することも可能であるが、この場合には、排水ホースHや排水口73が表出することとなって、これら排水ホースHや排水口73が邪魔になる他、外観上の体裁を損ねるという別異の不都合を招来する。
【0004】
また、前記簀子75の下には、他の排水口78が形成される構造となっているため、設置領域A1側の排水口73を含めた排水設備のメンテナンス作業を複数箇所で行わなければならず、このことも、排水設備のメンテナンス作業に手間が掛かる要因となる。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、通常時には排水口を隠蔽することができ、且つ、設置領域に対象物を置いた状態で排水設備の掃除や点検等のメンテナンス作業を行うことができる洗面室ユニットのフロア構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、排水機能を備えた対象物が設置される設置領域と、前記対象物からの排水を受け入れる排水口と、前記設置領域の隣接領域内に着脱自在に装着される床パネル形成部材とを備えてなる洗面室ユニットのフロア構造において、
前記排水口は、設置される前記対象物に隠蔽されるとともに、前記床パネル形成部材を取り外すことにより前記隣接領域側からアクセス可能となる位置に設けられる、という構成を採っている。このような構成によれば、通常時には、従来構造のように設置領域内に置かれた対象物で排水口が隠蔽されることに加え、設置領域の隣接領域に装着された床パネル形成部材を取り外すことで、設置領域に置かれた対象物を移動させずに設置領域内の排水口にアクセス可能となるため、設置領域に対象物を置いた状態でも排水口等の排水設備の掃除や点検等のメンテナンス作業を行うことができる
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記床パネル形成部材は、その厚み程度分前記設置領域よりも低く形成された隣接領域に装着されることにより、床パネル形成部材の上面と設置領域の上面とが略面一とされる、という構成を採ることが好ましい
【0008】
記排水口の上方には、前記床パネル形成部材を取り外すと前記設置領域に対象物を置いた状態で脱着自在となる蓋部材が設けられる、という構成を採ることが好ましい。このような構成によれば、排水口の周りに埃やゴミ等が溜まり難い構造とすることができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1には、本実施例に係るフロア構造が適用された床部材の一部概略斜視図が示されている。また、図2には、図1の要部分解斜視図が示され、図3には、図2の一部を分解した概略斜視図が示されている。これらの図において、床部材10は、洗面室ユニットUの床面領域を形成する部材として設けられており、排水機能を備えた対象物としての洗濯機Wを設置可能とする設置領域A1と、この設置領域A1及び浴室出入口に隣接する隣接領域としての出入口側領域A2と、これら各領域A1,A2の境界に跨った位置で脱着自在に装着される蓋部材14と、各領域A1,A2と別体に設けられるとともに、当該各領域A1,A2を除く床面領域を形成する主領域A3とを備えて構成されている。
【0011】
前記設置領域A1は、洗濯機Wの脚部W1の接地面となる上面17と、この上面17よりも下方に落ち込む凹部18とを備えている。凹部18は、蓋部材14にカバーされない平面視略長方形状の中央部20と、この中央部20に連通するとともに、洗濯機Wからの排水を受け入れる排水口22が形成された排水口形成部24とにより構成され、これにより、凹部18は平面視略T字状とされている。なお、凹部18の深さは、特に限定されるものではないが、洗濯機Wの排水ホースHを上面17側にはみ出すことなく収容可能な大きさに設定されている。
【0012】
前記中央部20は、下方に向かって次第に内側に傾斜するテーパー面領域を含む第1内壁面26と、この第1内壁面26の下端側に位置する第1底面27とを備えている。
【0013】
前記排水口22には、排水ホースHが接続されるエルボ23Aを備えた排水トラップ23が取り付けられており、この排水トラップ23によって排水ホースHからの排水を排水口22内に案内するようになっている。排水口22は、設置領域A1に設置される洗濯機Wにより隠蔽される。
【0014】
前記排水口形成部24は、出入口側領域A2側に開放するように延出するとともに、図3〜図5に示されるように、出入口側領域A2側となる設置領域A1の外周部分の図4中上下方向略中央位置に形成されている。この排水口形成部24は、前記第1内壁面26に連なって出入口側領域A2側に向かって延びる一対の第2内壁面29,29と、当該第2内壁面29,29の下端側間に位置して第1底面27と面一に連なるとともに、前記排水口22が外方端側に形成される第2底面30と、第2内壁面29,29の内側にそれぞれ添設されるとともに、上面17よりも一段下がった段部32を形成する片状の第1受部33,33とを備えて構成されている。
【0015】
前記出入口側領域A2は、図1〜図5に示されるように、脱着自在に装着される床パネル形成部材としての簀子15と、この簀子15を下方から支持する設置面35と、この設置面35よりも低い位置に形成された溝状の排水路36と、この排水路36と排水口形成部24とを連通させるとともに、前記蓋部材14の一部が装着される蓋装着溝38とを備えて構成されている。
【0016】
前記設置面35は、前記排水路36及び蓋装着溝38を除く領域に分散して設けられるとともに、簀子15の厚み程度分前記上面17よりも低い位置、換言すれば、前記排水トラップ23の上端位置よりも低い位置に形成されている。このため、設置面35に簀子15を載せたときには、当該簀子15の上面が設置領域A1側の上面17及び主領域A3側の上面と略面一となる。この際、簀子15は、周囲に対して隙間無く略ぴったりと装着されるようになっている。なお、設置面35のうち排水路36に囲まれた浮島状部分35Aは、図示しない点検口を閉塞する着脱自在の蓋体の上面となっている。
【0017】
前記排水路36は、蓋装着溝38側すなわち排水口22側に向かう水勾配が形成されている。なお、特に限定されるものではないが、本実施例における排水路36は、図4中左右方向に延びる同図中上下一対の主流路36A,36Aと、これら主流路36A,36A間を連結する複数の副流路36Bとを備えて構成されている。主流路36A,36Aは、図4中右側から左側に向かって次第に下降する水勾配が形成される一方、副流路36Bは、各主流路36A,36A間の中央付近から当該各主流路36A,36Aに向かって次第に下降する水勾配が形成されている。
【0018】
前記蓋装着溝38は、前記排水口形成部24の第2内壁面29,29に連なって排水路36側に向かって延びる一対の第3内壁面42,42と、当該第3内壁面42,42の下端側間に位置して前記第2底面30と略面一に連なるとともに、排水路36よりも若干落ち込んだ位置に設けられた第3底面43と、第3内壁面42,42の内側にそれぞれ添設されるとともに、設置面35よりも一段下がった段部45を形成する片状の第2受部46,46とを備えて構成されている。各第2受部46,46における排水路36側の端部には、第2受部46,46の上端面よりもやや上方に突出する突起47,47が設けられている。
【0019】
前記蓋部材14は、図3、図5及び図6に示されるように、前記本体12に装着されたときに排水口22を上方からカバー可能な形状、すなわち、前記排水口形成部24及び蓋装着溝38の各上端側に略ぴったりと装着することのできる側面視略クランク状に設けられている。この蓋部材14は、その装着時に第1受部33,33の上端面間に掛け渡されて排水口22の上方に位置する平面視略方形状の蓋本体51と、この蓋本体51の一端側から下方に垂下する垂下部52と、この垂下部52の下端側から蓋本体51の反対側に向かって略水平に延びるとともに、第2受部46,46の上端面間に掛け渡される平面視略方形状の延長部分53と、蓋本体51の裏面側で垂下するとともに、蓋装着状態で第1受部33,33の間に位置する一対の片部材55,55とを備えて構成されている。
【0020】
前記蓋本体51は、排水口形成部24側の段部32の高さと略同一の厚みを有する平板状に設けられ、これによって、蓋部材14の装着時において蓋本体51の上面が周囲の上面17に対して略面一となる。
【0021】
前記垂下部52には、蓋本体51側に凹む二条の溝からなる指掛け部57,57が形成され、当該指掛け部57,57は、蓋本体51の上方及び延長部分53側から指掛け可能に設けられている。
【0022】
前記延長部分53は、前記第2受部46,46の上端面に下端面が係合する厚肉部53Aと、この厚肉部53Aの先端側に設けられるとともに、前記突起47に係合する薄肉部53Bとを備えている。厚肉部53Aの厚みは、蓋装着溝38側の段部45の高さと略同一に設定され、これによって、延長部分53を第2受部46,46の上端面間に掛け渡すと、延長部分53の上面が周囲の設置面35に対して略面一となる。
【0023】
蓋部材14が定位置に嵌め込まれたときには、薄肉部53Bと突起47との係合、並びに、垂下部52と第1受部33の端面との係合によって、蓋部材14の図4中左右方向の位置ずれが規制されることとなる。この際、蓋部材14の図4中上下方向の位置ずれは、第2内壁面29,29の上端縁側と蓋本体51の端面との係合、並びに、第3内壁面42,42の上端縁側と延長部分53の端面との係合によって規制されることとなる。また、蓋部材14が定位置に嵌め込まれたときには、延長部材53の上部側に簀子15が着脱自在に装着されて、蓋部材14の浮き上がりを規制できるようになっている。また、蓋部材14が定位置に嵌め込まれた状態では、図2及び図5に示されるように、延長部分53の下方に隙間が形成され、この隙間が排水路36から排水口22への排水を許容する通路60となる。
【0024】
以上のように構成した床部材10における蓋部材14は、設置領域A1に洗濯機Wを置いた状態で、以下のように脱着される。
【0025】
すなわち、図1に示される状態から、先ず、簀子15を取り外して、図2に示されるような状態とする。この際、蓋部材14と簀子15との境界部分に形成された指掛け部57に指を入れて簀子15を持ち上げるとよい。そして、当該指掛け部57に指を掛け、若しくは、通路60内に指を入れて延長部分53を直接掴んで、当該延長部分53側をやや上方に持ち上げて突起47と薄肉部53Bとの係合を解除し、蓋部材14を設置領域A1から離れる方向に向かってスライドさせながら取り外す。この際、蓋本体51が出入口側領域A2に向かって若干上方に傾斜する姿勢となるが、当該蓋本体51は、洗濯機Wの脚部W1,W1の間に位置するため、洗濯機Wの底部と上面17との間に若干存在する隙間によって洗濯機Wの底部に干渉することなく出入口側領域A2側に引き出し可能になる。そして、図3に示されるように蓋部材14が取り外されると、洗濯機Wを置いたままでも出入口側領域A2側から排水口22にアクセス可能となる。この状態から、蓋部材14を取り付けるには、洗濯機Wを動かさずに前述した動作と逆の動作によって行うことができる。このように、前記蓋部材14は、設置領域A1に洗濯機Wを置いた状態で脱着自在に設けられ、また、前記排水口22は、蓋部材14及び簀子15を取り外すことにより出入口側領域A2側からアクセス可能となる位置に設けられていることになる。
【0026】
従って、このような実施例によれば、洗濯機Wを設置領域A1から移動することなく排水口22の掃除や点検等のメンテナンス作業を行うことが可能になるという効果を得る。
【0027】
また、前記排水口22が、簀子15の被らない設置領域A1内に形成されているため、簀子15の厚み程度分低くなった出入口側領域A2の設置面35を考慮して排水トラップ23を低くする必要がなく、図示例のように、配管の取り回しが行い易い等、排水口22が最適な位置に設けられることになる。
【0028】
なお、本発明における排水口22の位置は、簀子15を取り外すことにより出入口側領域A2側からアクセス可能となる位置に設けられる限りにおいて、種々の位置に形成可能である。例えば、前記実施例の位置よりも更に中央部20寄りに形成し、或いは、前記設置領域A1よりも外側の蓋装着溝38側に形成することもできる。但し、前記実施例の位置が、洗濯機Wから排水口22までの距離を短くしつつも出入口側領域A2側からのアクセスが容易になり、しかも、前述したように排水トラップ23を高くすることができる好適位置となる。
【0029】
また、設置領域A1に置かれる対象物として洗濯機Wを例示したが、本発明はこれに限らず、排水機能を備えた他の対象物、例えば、洗面化粧台等を適用することも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、設置領域の隣接領域に装着された床パネル形成部材を取り外すことにより前記隣接領域側からアクセス可能となる位置に排水口を設けたから、排水口を隠蔽することができ、しかも、設置領域に対象物を置いた状態でも、床パネル形成部材を取り外すことにより排水口のメンテナンス作業を行うことができる。
【0032】
また、設置領域の隣接領域に装着された床パネル形成部材を取り外すことにより前記隣接領域側からアクセス可能となる位置に排水口を設けたから、設置領域に置かれた対象物を移動させることなく排水口のメンテナンス作業を行うことが可能となる
【0034】
また、前記排水口の上方に前記設置領域に対象物を置いた状態で脱着自在となる蓋部材を設けたから、排水口の周りに埃やゴミ等が溜まることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るフロア構造が適用された床部材の一部概略斜視図。
【図2】図1の要部分解斜視図。
【図3】図2の一部を分解した概略斜視図。
【図4】図3の概略平面図。
【図5】(A)は、図2のA−A線矢視拡大断面図であり、(B)は、図2のB−B線矢視拡大断面図である。
【図6】(A)は、蓋部材の拡大斜視図であり、(B)は、(A)をC方向から見た図である。
【図7】従来例に係る洗面室ユニット用床部材の一部概略斜視図。
【符号の説明】
10・・・床部材、14・・・蓋部材、15・・・簀子(床パネル形成部材)、22・・・排水口、36・・・排水路、60・・・通路、A1・・・設置領域、A2・・・出入口側領域(隣接領域)、U・・・洗面室ユニット、W・・・洗濯機(対象物)

Claims (3)

  1. 排水機能を備えた対象物が設置される設置領域と、前記対象物からの排水を受け入れる排水口と、前記設置領域の隣接領域内に着脱自在に装着される床パネル形成部材とを備えてなる洗面室ユニットのフロア構造において、
    前記排水口は、設置される前記対象物に隠蔽されるとともに、前記床パネル形成部材を取り外すことにより前記隣接領域側からアクセス可能となる位置に設けられていることを特徴とする洗面室ユニットのフロア構造。
  2. 前記床パネル形成部材は、その厚み程度分前記設置領域よりも低く形成された隣接領域に装着されることにより、床パネル形成部材の上面と設置領域の上面とが略面一とされることを特徴とする請求項1記載の洗面室ユニットのフロア構造。
  3. 前記排水口の上方には、前記床パネル形成部材を取り外すと前記設置領域に対象物を置いた状態で脱着自在となる蓋部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗面室ユニットのフロア構造。
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