JP3589515B2 - 芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメント - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り糸や漁網等の水産資材用に適した強度特性、特に結節強度及び曲げ剛性に優れたポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ポリ弗化ビニリデン（ＰＶＤＦ）系モノフィラメントは、比重が大きく、耐候性に優れ、屈折率が水に近く、吸水性が低く、表面張力が小さい等の特性を有することから、釣り糸や漁網用として好適である。しかしながら、ＰＶＤＦモノフィラメントは結節強度が十分でないという問題があった。
【０００３】
従来、結節強度の高いＰＶＤＦ系モノフィラメントを得るべく、多くの検討がなされている。例えば、特公昭６３−３９７０号公報には、鞘層と芯層の少なくとも２層構造からなり、いずれの層もＰＶＤＦ系樹脂からなり、鞘層樹脂の見かけ粘度が芯層樹脂の見かけ粘度より小さい芯鞘型複合モノフィラメントが開示されている。このモノフィラメントによれば、結節強度は改良されるが、単層モノフィラメントと比較して曲げ剛性が低くなるという問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実用上の重要な力学的特性と加工性とを有し、かつ、高い結節強度と曲げ剛性を有するＰＶＤＦ系モノフィラメントを提供しようとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するもので、その要旨は、芯層と鞘層との２層構造からなるポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントであって、芯層が対数粘度1.25〜1.45、鞘層が対数粘度0.70〜1.20のポリ弗化ビニリデン系樹脂で構成され、芯層の断面積が全断面積の70〜90％で、繊維横断面の芯層、鞘層の界面に回転対称な凹凸部を有し、芯層断面の異形度が 0.7 〜 0.9であり、結節強度4.0g/d以上、曲げ剛性値が0.12 〜 0.15 g・ cm2/cm以上であることを特徴とする芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントにある。
【０００６】
本発明において、対数粘度（ηｉｎｈ）は、ジメチルホルムアミドを溶媒とし、濃度 ０．４ｇ／ｄｌ、温度３０℃で測定した値であり、芯層断面の異形度とは、芯層断面の外接円の半径に対する内接円の半径の比を意味する。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【０００８】
本発明において、ＰＶＤＦ系樹脂とは、ＰＶＤＦホモポリマー及び弗化ビニリデン単位を主体とするコポリマーを意味する。ＰＶＤＦコポリマーの具体例としては、弗化ビニリデン単位を主体とし、テトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン、弗化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロイソプロポキシエチレン等を共重合成分としたコポリマーが挙げられる。ＰＶＤＦ系樹脂は、２種以上のポリマーの混合物であってもよく、製糸性あるいは透明性等を向上させる目的で、熱安定剤、着色剤、可塑剤等の添加剤を含有しているものでもよい。
【０００９】
本発明のモノフィラメントにおいて、芯層は対数粘度が１．２５〜１．４５、鞘層は対数粘度が０．７０〜１．２０のＰＶＤＦ系樹脂で構成されていることが必要である。鞘層樹脂の対数粘度が０．７０未満であると製糸性が悪く、１．２０を超えるとモノフィラメントの柔軟性が不十分で、結節強度が低くなる。また、芯層樹脂の対数粘度が１．２５未満であるとモノフィラメントの強度が低くなり、１．４５を超えると製糸性が悪くなる。
【００１０】
芯層樹脂としてＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として上記のような共重合成分を含有した弗化ビニリデン単位８５〜９８モル％のＰＶＤＦコポリマーを用いると、製糸性及び糸質性能の良好なモノフィラメントが得られ、より好ましい。
【００１１】
本発明のモノフィラメントは、芯層の断面積が全断面積の７０〜９０％であることが必要である。芯層の断面積が７０％未満であると強度が低下し、 ０．９を超えると芯層樹脂が表層部に露出し、真円性が悪くなり、繊維表面の荒れが顕著になる。
【００１２】
また、本発明のモノフィラメントは、繊維横断面の芯層、鞘層の界面に回転対称な凹凸部を有し、芯層断面の異形度が ０．９以下であることが必要である。この異形度が ０．９を超えると単層モノフィラメントと比較して曲げ剛性が低くなる。なお、芯層の断面積を７０〜９０重量％とすると、芯層断面の異形度の下限は約 ０．７となる。
【００１３】
芯層、鞘層の界面の凹凸の凸部の数は、６〜３２となるようにするのが適当である。この数が少なすぎると、フィラメントを曲げる位置によって曲げ剛性が斑が生じ、一方、この数が多すぎると凸部の形成が困難になるとともに、コスト高になって好ましくない。
【００１４】
図１は、本発明のモノフィラメントの一例を示す断面模式図である。図１において、１は芯層、２は鞘層を示し、ｒ１ は芯層の内接円の半径、ｒ２ は芯層の外接円の半径を表す。
【００１５】
【作用】
本発明のモノフィラメントは、鞘層が対数粘度の小さい樹脂で構成されているので、表層部の柔軟性が増し、結節部の応力集中を緩和することができるため、高い結節強度を示す。また、横断面の芯層と鞘層の界面に回転対称の凹凸部を有するため、芯層部の曲げモーメントが高くなり、曲げに対して強い剛性を示す。さらに、対数粘度の大きい樹脂からなる芯層の割合が高いため、高い直線強度を示す。
【００１６】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお、測定法は次のとおりである。
（ａ） 直線及び結節強度
ＪＩＳ Ｌ １０１３ 法に準じて測定した。
（ｂ） 曲げ剛性値
カトーテック社製純曲げ試験機 ＫＥＳ−ＦＢ２型を用い、次のようにして測定した。
長さ２５ｍｍのサンプル糸を用い、両端部を１０ｍｍ間隔のチャックで固定し、曲率−２．５（ｃｍ） から＋２．５（ｃｍ） まで０．５０ｃｍ／ｓｅｃの速度で変形させ、曲率−１．５（ｃｍ） から−０．５（ｃｍ） の間の傾きの平均値を求めた。
【００１７】
実施例１〜３
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び ２５０℃で溶融計量押出し、孔径 ０．９ｍｍの紡糸孔を有する複合紡糸用口金を用いて図１に示す断面形状の芯鞘複合モノフィラメントを紡糸した。
紡出糸を３５℃の水浴中で冷却し、未延伸糸を得た。この未延伸糸をグリセリン浴中で６．７５倍延伸し、次に０．９５倍の弛緩熱処理を行い、延伸モノフィラメントを得た。
【００１８】
比較例１〜３
実施例１と同様の方法で表１に記載した芯／鞘層断面積比、芯層断面異形度になるように紡糸延伸して図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００１９】
比較例４
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．２２のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び２６０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２０】
比較例５
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度０．６７のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び２３０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２１】
比較例６
芯層樹脂として対数粘度１．４６のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２８０℃及び２５０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２２】
比較例７
芯層樹脂として対数粘度１．２３のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２６０℃及び２５０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２３】
比較例８
対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマーのみを用い、 ２７０℃で溶融計量押出し、実施例１と同様に紡糸延伸して単層モノフィラメントを得た。
【００２４】
比較例９
対数粘度１．００のＰＶＤＦホモポリマーのみを用い、 ２５０℃で溶融計量押出し、実施例１と同様に紡糸延伸して単層モノフィラメントを得た。
【００２５】
比較例１０
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び２５０ ℃で溶融計量押出し、孔径 ０．９ｍｍの紡糸孔を有する複合紡糸用口金を用いて図２に示す断面形状の芯鞘複合モノフィラメントを紡糸し、実施例１と同様にして延伸し、芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２６】
上記の実施例及び比較例の結果を表１に示す。
【００２７】
【表１】
【００２８】
表１から明らかなように、本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、直線強度、結節強度及び曲げ剛性に優れた特性を示したが、比較例のモノフィラメントは、満足すべき物性を示さなかった。
【００２９】
【発明の効果】
本発明によれば、ＰＶＤＦ系モノフィラメント本来の優れた特性を保持しつつ、結節強度及び曲げ剛性に優れたモノフィラメントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のモノフィラメントの一例を示す断面模式図である。
【図２】比較例のモノフィラメントを示す断面模式図である。
【符号の説明】
１ 芯層
２ 鞘層
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り糸や漁網等の水産資材用に適した強度特性、特に結節強度及び曲げ剛性に優れたポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ポリ弗化ビニリデン（ＰＶＤＦ）系モノフィラメントは、比重が大きく、耐候性に優れ、屈折率が水に近く、吸水性が低く、表面張力が小さい等の特性を有することから、釣り糸や漁網用として好適である。しかしながら、ＰＶＤＦモノフィラメントは結節強度が十分でないという問題があった。
【０００３】
従来、結節強度の高いＰＶＤＦ系モノフィラメントを得るべく、多くの検討がなされている。例えば、特公昭６３−３９７０号公報には、鞘層と芯層の少なくとも２層構造からなり、いずれの層もＰＶＤＦ系樹脂からなり、鞘層樹脂の見かけ粘度が芯層樹脂の見かけ粘度より小さい芯鞘型複合モノフィラメントが開示されている。このモノフィラメントによれば、結節強度は改良されるが、単層モノフィラメントと比較して曲げ剛性が低くなるという問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実用上の重要な力学的特性と加工性とを有し、かつ、高い結節強度と曲げ剛性を有するＰＶＤＦ系モノフィラメントを提供しようとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するもので、その要旨は、芯層と鞘層との２層構造からなるポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントであって、芯層が対数粘度1.25〜1.45、鞘層が対数粘度0.70〜1.20のポリ弗化ビニリデン系樹脂で構成され、芯層の断面積が全断面積の70〜90％で、繊維横断面の芯層、鞘層の界面に回転対称な凹凸部を有し、芯層断面の異形度が 0.7 〜 0.9であり、結節強度4.0g/d以上、曲げ剛性値が0.12 〜 0.15 g・ cm2/cm以上であることを特徴とする芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントにある。
【０００６】
本発明において、対数粘度（ηｉｎｈ）は、ジメチルホルムアミドを溶媒とし、濃度 ０．４ｇ／ｄｌ、温度３０℃で測定した値であり、芯層断面の異形度とは、芯層断面の外接円の半径に対する内接円の半径の比を意味する。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【０００８】
本発明において、ＰＶＤＦ系樹脂とは、ＰＶＤＦホモポリマー及び弗化ビニリデン単位を主体とするコポリマーを意味する。ＰＶＤＦコポリマーの具体例としては、弗化ビニリデン単位を主体とし、テトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン、弗化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロイソプロポキシエチレン等を共重合成分としたコポリマーが挙げられる。ＰＶＤＦ系樹脂は、２種以上のポリマーの混合物であってもよく、製糸性あるいは透明性等を向上させる目的で、熱安定剤、着色剤、可塑剤等の添加剤を含有しているものでもよい。
【０００９】
本発明のモノフィラメントにおいて、芯層は対数粘度が１．２５〜１．４５、鞘層は対数粘度が０．７０〜１．２０のＰＶＤＦ系樹脂で構成されていることが必要である。鞘層樹脂の対数粘度が０．７０未満であると製糸性が悪く、１．２０を超えるとモノフィラメントの柔軟性が不十分で、結節強度が低くなる。また、芯層樹脂の対数粘度が１．２５未満であるとモノフィラメントの強度が低くなり、１．４５を超えると製糸性が悪くなる。
【００１０】
芯層樹脂としてＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として上記のような共重合成分を含有した弗化ビニリデン単位８５〜９８モル％のＰＶＤＦコポリマーを用いると、製糸性及び糸質性能の良好なモノフィラメントが得られ、より好ましい。
【００１１】
本発明のモノフィラメントは、芯層の断面積が全断面積の７０〜９０％であることが必要である。芯層の断面積が７０％未満であると強度が低下し、 ０．９を超えると芯層樹脂が表層部に露出し、真円性が悪くなり、繊維表面の荒れが顕著になる。
【００１２】
また、本発明のモノフィラメントは、繊維横断面の芯層、鞘層の界面に回転対称な凹凸部を有し、芯層断面の異形度が ０．９以下であることが必要である。この異形度が ０．９を超えると単層モノフィラメントと比較して曲げ剛性が低くなる。なお、芯層の断面積を７０〜９０重量％とすると、芯層断面の異形度の下限は約 ０．７となる。
【００１３】
芯層、鞘層の界面の凹凸の凸部の数は、６〜３２となるようにするのが適当である。この数が少なすぎると、フィラメントを曲げる位置によって曲げ剛性が斑が生じ、一方、この数が多すぎると凸部の形成が困難になるとともに、コスト高になって好ましくない。
【００１４】
図１は、本発明のモノフィラメントの一例を示す断面模式図である。図１において、１は芯層、２は鞘層を示し、ｒ１ は芯層の内接円の半径、ｒ２ は芯層の外接円の半径を表す。
【００１５】
【作用】
本発明のモノフィラメントは、鞘層が対数粘度の小さい樹脂で構成されているので、表層部の柔軟性が増し、結節部の応力集中を緩和することができるため、高い結節強度を示す。また、横断面の芯層と鞘層の界面に回転対称の凹凸部を有するため、芯層部の曲げモーメントが高くなり、曲げに対して強い剛性を示す。さらに、対数粘度の大きい樹脂からなる芯層の割合が高いため、高い直線強度を示す。
【００１６】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお、測定法は次のとおりである。
（ａ） 直線及び結節強度
ＪＩＳ Ｌ １０１３ 法に準じて測定した。
（ｂ） 曲げ剛性値
カトーテック社製純曲げ試験機 ＫＥＳ−ＦＢ２型を用い、次のようにして測定した。
長さ２５ｍｍのサンプル糸を用い、両端部を１０ｍｍ間隔のチャックで固定し、曲率−２．５（ｃｍ） から＋２．５（ｃｍ） まで０．５０ｃｍ／ｓｅｃの速度で変形させ、曲率−１．５（ｃｍ） から−０．５（ｃｍ） の間の傾きの平均値を求めた。
【００１７】
実施例１〜３
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び ２５０℃で溶融計量押出し、孔径 ０．９ｍｍの紡糸孔を有する複合紡糸用口金を用いて図１に示す断面形状の芯鞘複合モノフィラメントを紡糸した。
紡出糸を３５℃の水浴中で冷却し、未延伸糸を得た。この未延伸糸をグリセリン浴中で６．７５倍延伸し、次に０．９５倍の弛緩熱処理を行い、延伸モノフィラメントを得た。
【００１８】
比較例１〜３
実施例１と同様の方法で表１に記載した芯／鞘層断面積比、芯層断面異形度になるように紡糸延伸して図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００１９】
比較例４
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．２２のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び２６０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２０】
比較例５
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度０．６７のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び２３０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２１】
比較例６
芯層樹脂として対数粘度１．４６のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２８０℃及び２５０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２２】
比較例７
芯層樹脂として対数粘度１．２３のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２６０℃及び２５０ ℃で溶融計量押出し、実施例１と同様にして図１に示す形状の芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２３】
比較例８
対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマーのみを用い、 ２７０℃で溶融計量押出し、実施例１と同様に紡糸延伸して単層モノフィラメントを得た。
【００２４】
比較例９
対数粘度１．００のＰＶＤＦホモポリマーのみを用い、 ２５０℃で溶融計量押出し、実施例１と同様に紡糸延伸して単層モノフィラメントを得た。
【００２５】
比較例１０
芯層樹脂として対数粘度１．２９のＰＶＤＦホモポリマー、鞘層樹脂として対数粘度１．００のヘキサフルオロプロピレン成分を ４．８モル％共重合したＰＶＤＦコポリマーを用い、それぞれ ２７０℃及び２５０ ℃で溶融計量押出し、孔径 ０．９ｍｍの紡糸孔を有する複合紡糸用口金を用いて図２に示す断面形状の芯鞘複合モノフィラメントを紡糸し、実施例１と同様にして延伸し、芯鞘複合モノフィラメントを得た。
【００２６】
上記の実施例及び比較例の結果を表１に示す。
【００２７】
【表１】
【００２８】
表１から明らかなように、本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、直線強度、結節強度及び曲げ剛性に優れた特性を示したが、比較例のモノフィラメントは、満足すべき物性を示さなかった。
【００２９】
【発明の効果】
本発明によれば、ＰＶＤＦ系モノフィラメント本来の優れた特性を保持しつつ、結節強度及び曲げ剛性に優れたモノフィラメントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のモノフィラメントの一例を示す断面模式図である。
【図２】比較例のモノフィラメントを示す断面模式図である。
【符号の説明】
１ 芯層
２ 鞘層
Claims (1)
- 芯層と鞘層との２層構造からなるポリ弗化ビニリデン系モノフィラメントであって、芯層が対数粘度1.25〜1.45、鞘層が対数粘度0.70〜1.20のポリ弗化ビニリデン系樹脂で構成され、芯層の断面積が全断面積の70〜90％で、繊維横断面の芯層、鞘層の界面に回転対称な凹凸部を有し、芯層断面の異形度が 0.7 〜 0.9であり、結節強度4.0g/d以上、曲げ剛性値が0.12 〜 0.15 g・ cm2/cm以上であることを特徴とする芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメント。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27399495A JP3589515B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | 芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメント |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27399495A JP3589515B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | 芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメント |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09119020A JPH09119020A (ja) | 1997-05-06 |
| JP3589515B2 true JP3589515B2 (ja) | 2004-11-17 |
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ID=17535470
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27399495A Expired - Fee Related JP3589515B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | 芯鞘型ポリ弗化ビニリデン系モノフィラメント |
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| JP (1) | JP3589515B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4343638B2 (ja) * | 2003-09-30 | 2009-10-14 | 株式会社クレハ | フッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントおよびその製造方法 |
| CN109355780A (zh) * | 2018-11-06 | 2019-02-19 | 安徽太平洋特种网业有限公司 | 一种强热缩网的生产工艺 |
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1995
- 1995-10-23 JP JP27399495A patent/JP3589515B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
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| JPH09119020A (ja) | 1997-05-06 |
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