JP3589244B2 - 浴室用床パネル - Google Patents

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Description

本発明はユニットバスの一部として組み込まれる樹脂製の浴室用床パネルに関する。
近年の住宅等の浴室はユニットバスが主流になっている。これは、床が防水性を有するFRP等の材質からなる防水床パンを用いることにより建築の浴室空間にあらかじめ防水工事を施す必要がないためである。
また、近年の高齢化社会到来に準じ、防水床パンは洗い場での洗体行為を行う場合に使用者が脚を滑らせて転倒することを極力防ぐために、石鹸水等が湯水に混じった場合でも滑りにくいように凹凸を施したノンスリップ仕様にしている。また、防水床パンの洗い場面には岩肌模様や石目模様を採用し、意匠性を向上させている。
このようなユニットバスとして、例えば、特許文献1に開示されるものが知られている。
特開平6−93745号公報
しかしながら、上記したユニットバスの防水床パンは、洗い場での洗体行為を行う場合等は滑りにくいため使用感が良いが、前記凹凸が洗い場面の排水性に悪影響を及ぼし、島状に排水を残水させてしまい、翌日になってもこの島状に残った残水は表面積の割に水量が多いため、乾きにくく、翌日になっても自然乾燥せずに残ってしまっていた。これは翌日、使用者が浴槽の清掃を行う際、靴下のまま浴室内の洗い場部に立つと靴下を濡らしてしまう結果となり、非常に不快であり、また掃除の度に靴下を脱がなければならないので煩わしく、特に冬場では残水が冷水となっているため、高齢者にはつらいものであった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ユニットバスの洗い場部の滑り止め効果を損うことなく、翌日には洗い場部に残水が残ることがない浴室用床パネルを提供することにある。
上記課題を解決すべく本発明に係る浴室用床パネルは、ユニットバスの一部として組み込まれる樹脂製の浴室用床パネルであって、前記床パネルの表面に、基本形状を長方形とする滑り止め用の凸部を縦・横、互い違いにずらして配置し、これら凸部の間に、流れ込んだ水を途切れさせずに一時捕水出来る状態にする流路を排水口あるいは排水流し溝に連続させて形成し、前記床パネルの表面で水玉を形成した残水は、前記流路内に一時捕水されている水と接触することで、前記流路から排水口あるいは排水流し溝に途切れることなく排水される構成とした。
また、前記流路内の水に接触すること無く前記凸部の上面に留まれる水量が0.2CC以下となるようにすることが好ましい。
更に前記流路の断面形状としては略V字型が考えられる。
本発明によれば、ユニットバスの洗い場の滑り止め効果を損なうことなく、翌日には洗い場部に残水が残ることがない浴室用の床パネルを提供できる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は第1参考発明に係る浴室用床パネルの平面図、図2は同床パネルの拡大平面図、図3は第1参考発明に係る他の実施例の浴室用床パネルの拡大平面図、図4は図2のA−A線拡大断面図、図5は図3のB−B線拡大断面図、図6(a)〜(c)は床パネル上の水の挙動を示す図である。
床パネル1は樹脂材料(例えばFRP)を成形してなり、浴槽設置部2とそれに隣接する洗場部より構成される。浴槽設置部2は洗場側床パネルと別体で形成され、接続される分割タイプや、浴槽側の床パネルそのものを浴槽形状にした洗場付きの浴槽の場合もある。
床パネル1の洗場面上には、排水のための排水口凹部4が形成され、排水口凹部4の中に排水口3が配置されている。
床パネル1は、上記排水口凹部4が最も低くなるように排水勾配が取られており、床パネル1上の水が排水勾配に沿って流れ、排水口凹部4に集水されるようになっている。本実施例では、床面排水勾配と合せて、排水を補助するための排水流し溝5を設け、床パネル1上の水を集め、排水口凹部4に集水させる構造を採用している。
第1参考発明では、床パネル1表面には滑り止め用の凸部6と、これら凸部6の間に連続する流路7が形成されている。この流路7は、概ね上記排水口3または排水流し溝5に向かうように設定している。滑り止め用の凸部6の形状は図2及び図4に示す比較的長尺形状、或いは図3及び図5に示す円形に限らず、どのような形状でもよい。
また、滑り止めの凸形状の上面に、凸形状の周囲を区画した流路内に流れ込むこと無く、独立して残留することのできる水玉の水量を平均的な浴室環境下、例えば温度15.3℃、湿度66%の環境下において8時間程度の間に自然乾燥可能な2CC以下に抑えることによって、万が一凸形状部の上面に残留する水玉が発生した場合でも、その水を翌日まで残留させることなく乾燥させることができるようにしている。
また、床パネル1上の少なくとも流路7の上には、水玉の表面張力を破壊する凹凸形状部8が重ねて形成されている。この凹凸形状部8は線状をなし、その方向は凸部6及び流路7を横切る方向に形成され、その結果、流路7の中を流れる水の速度が凹凸形状部8に邪魔されて抑制され、ゆっくり流れるようになり、流路7内で水が途切れることがない。
また、床パネル1表面には、滑り止め用の凸部6、流路7及び表面張力を破壊する凹凸形状部8の機能を損わない範囲で、格子状の境界部9を設けて意匠性を高めている。
以上において、床パネル1表面に水が落下すると、図6(a)に示すように、凹凸形状部8によって表面張力が破壊され、想像線で示す水玉を形成することなく流路7の中に広がる。そして広がった水は連続して形成されている流路7を流れて排水口3に直接、若しくは排水流し溝5を介して排水口3に入る。
上記凹凸形状部8は表面張力を破壊して水が蒸発する表面積を大きくするだけでなく、流路7内に流れ込んで流れようとする水に対して抵抗になるため、流路内の流速が抑制され、図6(b)に示すように、流路7を流れる水が途切れることがない。即ち、流路7内の排水は、ゆっくりではあるが排水口3若しくは流し溝5まで連続して繋がった状態で確実に排水され、その結果、水が島状に残ることがない。
更に、流路7を水が流れた後に、図6(c)に示すように、凹凸形状部8間に水が残る場合であっても、この場合の残水量は極めて少ないため、短時間のうちに蒸発してしまい、実使用上問題とならない。
図7は第2参考発明に係る床パネルの平面図である。床パネルの表面形状以外の構成は前述の第1参考発明と同じ構成である。この実施例の床パネルにあっては、床パネル1表面の全域に滑り止め兼、表面張力を破壊する目的の凸形状部10を形成し、この凸形状部10の間を流路11とし、流路11内の排水速度を抑制する手段を施して形成されている。
また、滑り止めの凸形状の上面に、凸形状の周囲を区画した流路内に流れ込むこと無く、独立して残留することのできる水玉の水量を平均的な浴室環境下、例えば温度15.3℃、湿度66%の環境下において8時間程度の間に自然乾燥可能な2CC以下に抑えることによって、万が一凸形状部の上面に残留する水玉が発生した場合でも、その水を翌日まで残留させることなく乾燥させることができるようにしている。
図7で示した流路11内の流速抑制手段は、水下部の流路11を排水勾配に抗する方向へ曲げた状態で形成した例となっているが、その他にも水下側の排水勾配をその他の部分と比較して緩く形成したり、流路11内に排水抵抗になるような微細凸凹を形成するなどの手段がある。
前記したように、効率よく床パネル1表面の水を乾燥させるには、床パネル1表面に落下した水を排水口3まで導く際に、水の流れの速度を制御し、排水が途中で途切れないようにして、島状に孤立して残る水を無くすことが肝心である。通常、床面上の排水速度が速い方が、「水はけが良い床」と感じやすいが、流下して排水される速度が速いと、連続して繋がって排水されている水が途中で途切れてしまい、取り残されてしまう水が発生するため、島状の孤立した残水が発生しやすく、最終的に見ると乾きにくい床となってしまう。
このため、図7に示す実施例にあっては、流路11の下流側を曲げることで下流側の排水性を低下させ、流路11内の排水に先詰りの渋滞状態を発生させることで排水が途中で途切れることのない構造としている。また、下流側の排水勾配を緩くすることでも同様の効果が得られる。
同じく、流路11内の排水流速を制御する方法として、流路11内に微細な凹凸を設け、障害物とすることで流路11内を流れる排水の速度を制御することも可能で、この場合も上記と同様の効果が得られる。
図8及び図9は、本発明に係る浴室用床パネルの流速抑制手段を施した実施例の斜視図及び平面図である。この実施例の床パネルにあっては、床パネル1表面の全域に滑り止め兼、表面張力を破壊する目的の凸形状部12が形成されている。この凸形状部12は、約5mm×約10mmの略長方形で、高さを0.5mmと比較的高く形成されている。また、各々の凸形状部12の間隔を2mmと非常に接近させることで、隣り合う凸形状部12の間で形成される流路13は、その深さと幅をそれぞれ0.5mmと2mmとし、水下側の排水口3(図示せず)もしくは流し溝5(図示せず)に連続させて形成している。このような、細くて深い流路内では水の粘性抵抗が流速抑制効果として顕著に発現され、合わせて細い流路で発生する表面張力の効果とあいまって、効率的に流路13内の流速を抑制することができる。
本発明の実施例では、図9に示したように、凸形状部12を小さく形成することで、流路13によって区画される凸形状部12の上面に、周囲の流路13内に流れ込むことなく独立して残留することのできる水玉の水量を、約0.2CCと非常に少なくしているため、万が一、この凸形状部12の上に水玉が独立して残留しても、前記した浴室環境の条件下においても、よりすばやく自然乾燥し、より短時間での床表面の乾燥を確実なものにしている。
このように、基本形状を長方形とする凸形状部12は縦・横、互い違いにずらして配置され、その間に形成される流路13を細かく方向転換・枝別れさせ、細かい網目状に流路13を配置することで、流路内の流下抵抗を高めるとともに、水下側に向かって水が流れて行く際に様々な経路を採ることができるようにされている。
図10(a)及び図10(b)で示したように本実施例での流路13の断面形状は、清掃性などを考慮し、略V字型の流路としているが、このほかにも流路13の断面形状としては図11(a)乃至図11(c)に示すように略角型、略丸型など、どのような形態でも良い。また、流路13の断面形状における各々の形態の場合の幅と深さは、図10及び図11に示したように各々W・Dで定義されるものとする。この場合、流路13の断面形状を問わず、図10(b)、図11(b)、及び図11(d)に示すように、途中で断面形状を変化させた2段形状などで形成した場合は、実質的に最小限の水を溜められる流路形状部の幅を流路幅Wとするものとする。また、凸形状部12の形状や配置も本実施例に記載されている略長方形の他、略円形・略正方形・幾何学模様など、どのような形状をどのように並べても、また異なる形状の組み合わせでも、それら凸形状部間に形成される流路13自体の寸法や経路、その他流路13内で発生する水の粘性抵抗あるいは表面張力の効果によって、結果として、床パネル1上に水を流した際、表面上に形成された水玉が壊され、水玉の姿を消すまでの一時の間、流路13内に流れ込んだ水を途切れさせずに一時捕水出来るような状態にするような流速抑制効果を生むことが出来るものであれば、その配置・形状・経路を問わない。
次に以上のように構成される本発明の作用について説明する。まず、第1参考発明では、床パネル1表面での水の使用に伴って形成される水玉は、図6(a)の想像線で示すように、流路7の中に広がって流れ込もうとする。これは水玉が床表面の凸凹の高低差によって切り裂かれ、高い凸部分から低い凹部分に流れようとする一般的な物理現象によるものであり、滑り止め用の凸部6や表面張力破壊用の凸凹形状部8はこの作用を補助する働きをする。流路7に流れ込んだ水は、連続して形成されている流路7を流れて排水口3に直接、もしくは排水流し溝5を介して排水される。
従来の一般的な床の場合、床パネルの材質がプラスチックなど疎水性のものであり、素材自体が水を弾こうとすることや、流路の中での水はけが良すぎて流速が早くなりすぎたり、流速に不均一な部分が発生したりすることで、折角、床の表面形状の効果で水玉を流路7の中に押し込んでも、流し込んだ流路7内で早期に水が途切れてしまう現象が多発し、取り残された部分の水は停滞し、結果として床パネル1上に流された水は水玉の形態を完全に壊す事ができず、独立した水玉となって残留してしまいがちであった。
第1参考発明の前記凸凹形状部8は、水玉の表面張力を破壊し、流路7内に水を導く効果とともに流路7内に流れ込んで流下しようとする水に対して抵抗となることで、水の流速を抑制し、流路7内の水をゆっくりと進む渋滞状態にする効果を持つ。それにより流路7内を繋がった水で満たされた捕水状態とすることが可能となり、さらに、流路7内の水をゆっくりとした速度でしか排水させないため、その捕水状態を長時間保持する事ができる。そのため、たとえ床パネル1の表面が疎水性のものであっても、図6(b)に示すように、流路7を流れる水が早期に途中で途切れることがなく、上記の一時捕水した状態を長時間に渡って保持できる。
この状態から入浴行為などにより新たな水が床パネル1表面に流され、その水が表面張力によって、いったん床パネル1の表面に水玉を形成した場合でも、これらの水玉が床パネル1上の流路7内にすでに存在している一時捕水状態の水に接触しているため、この流路7内の水の誘引・導水作用と前述した滑り止め用凸部6や凸凹形状部8の表面張力破壊作用の相乗効果によって、水玉内の水が徐々に流路7内に流れ込み、ゆっくりと、しかし途切れること無く、排水口3あるいは排水流し溝5に導かれて確実に排水される。その結果、床パネル1上の水玉は消滅してしまい、床パネル1上に残留することがない。
この流路7内に一時捕水された水による誘引・導水作用は、水の表面張力を利用したものである。水は表面張力によって、その表面積を最も小さくするべく、球状になろうとし、その結果、疎水性の物質上では水玉となって安定する。しかし、各々の表面張力で別々に安定して存在している複数の水玉が接触した場合、これらが個別に水玉を形成し続けるよりも、1つにまとまった大きな水玉を形成した方がトータルの表面積が小さくて済み、より安定するため、接触した時点でこれらの水に1つにまとまろうとする力が発生する。この力は、各々の水が持つ表面張力によるものであるが、これによって他に外的な力が働いていない停滞状態の水玉でも、その他の水玉や水分と接触した瞬間に水自身が持つ表面張力によって動こうとする動力を得ることができるのである。第1参考発明では流路7内に一時捕水した水と、新たに床パネル1表面で水玉を形成した残水とを接触させることで、これら2つの水の表面張力によって発生する力を流路7内への誘引・導水力として利用し、単独で残留する水玉を削減することで床パネル1表面の乾燥時間を短縮しているのである。
流路7内に流れ込み、一時捕水された水は、完全に停滞しているわけではなく、速度を抑制された状態でゆっくりと流れているため、水玉の消滅後も時間の経過とともに床パネル1上の流路7内に一時捕水されたトータル水量を着実に削減でき、床パネル1を早期に乾燥させることができる。しばらくして、流路7を水が流れてしまった後に、図6(c)に示すように、凸凹形状部8間に水が残る場合であっても、この場合の残水量は極めて少ないため、短時間の内に蒸発してしまい、実使用上なんら問題とならない。
また、流路7内の一時捕水状態は、床パネル1表面上に発生した水玉が流路7内におおむね誘引・導水されるまでの間、保持されれば良く、水玉消滅前に床パネル1上のどこか一部で部分的に流路7内の連続状態が途切れたとしても、実際に水玉に触れている流路7と床パネル1の水下部分とが、いずれかの経路の捕水状態の流路7で繋がっているのであれば、水玉の水はその経路を伝わって流れ、排水されてしまうため、第1参考発明の効果を損なうものではない。また、万が一、水玉消滅直後に流路7内の繋がった捕水状態が途切れてしまい流路7内のみに水が残留してしまった場合でも、残された水は床パネル1上の広範囲に拡散されて存在するため、独立して残る水玉状態の残水より自然乾燥しやすく、同じく第1参考発明の効果を損なうものではない。
また、それとあわせて流路で区画される床パネル上の滑り止め用凸形状部の上面に流路内の水に接触すること無く留まれる水量を一般的な浴室の換気条件や平均的な温度・湿度の環境下において8時間程度の時間で乾燥可能な2CC以下のレベルに抑えている。この範囲の残水量であれは、一般的な浴室の環境下において、入浴後から翌日の朝まで8時間程度の間に自然乾燥が可能なため、運悪く、流路に一切接触せず、独立して残留してしまう水玉が発生した場合でも、その水量を規定時間内に乾燥可能な量に抑えることができ、本発明の目的を十分達成することができるため、何ら問題にならない。
また、図7に示す第2参考発明の実施例においては、床パネル1の表面の全域に滑り止め効果と表面張力破壊効果を兼用する凸形状部10を形成し、凸形状部10の間を流路11としている。床パネル1表面に流された水は凸形状部10によって切り裂かれ、流路11内に押し込まれる。流路11内では流速抑制手段として水下側の流路を排水勾配に抗する方向に曲げたり、水下側の排水勾配をその他の部分と比較して、ゆるくすることで下流側の排水性を低下させ、流路11内の排水に先詰まりの渋滞状態を発生させている。そのため、流路11内の水が途中で途切れることのない構造となっている。また、流路11内の排水流速を制御する方法として、流路11内に微細な凸凹を設け、障害物とすることで流路11内を流れる排水の速度を抑制する手段もある。
一般的な感覚では、床面上の排水速度が速い方が、「水はけが良い床」と感じやすいため、従来から特開平4−243941に開示されているように排水流路内の排水性を少しでも良くする方向での様々な工夫が行われてきたが、特にプラスチックなどの疎水性の材料で形成された床では、流下して排水される速度が速すぎると、折角、連続状態で繋がって排水されている水が途中で途切れてしまいやすく、その結果、取り残されてしまう水が発生するため、島状の孤立した水玉残水が発生し、一見、水はけが良さそうに見えても最終的に見ると逆に乾きにくい床となってしまっていた。そこで、第2参考発明では前述した第1参考発明と同様に、従来の技術とまったく逆の視点からの発想で流路11内の流速を抑制し、床の一部分の水を流れにくくすることで、全体としての排水性・乾燥性を向上させる構造を採用している。
それによれば流路11内の流速を抑制する手段を施すことで、床パネル1上に流された水の一部をいったん流路11内に捕水し、水で繋がった連続状態の流路11をしばらくの間形成することで、床パネル1上の水玉を流路11内に誘引・導水し、水玉を徐々に破壊することができる。またその後も途切れることなく、ゆっくり確実に流路11内を流れ、表面上の水を排水するため、床面上の水分を時間の経過とともに確実に削減することができ、同時に床パネル1上に広範囲に水分を散らすことで効率的な自然乾燥を促進させ、床の乾燥時間を大幅に短縮することができる。
また、それとあわせて流路で区画される床パネル上の滑り止め用凸形状部の上面に流路内の水に接触すること無く留まれる水量を一般的な浴室の換気条件や平均的な温度・湿度の環境下において8時間程度の時間で乾燥可能な2CC以下のレベルに抑えている。この範囲の残水量であれは、一般的な浴室の環境下において、入浴後から翌日の朝まで8時間程度の間に自然乾燥が可能なため、運悪く、流路に一切接触せず、独立して残留してしまう水玉が発生した場合でも、その水量を規定時間内に乾燥可能な量に抑えることができ、本発明の目的を十分達成することができるため、何ら問題にならない。
また、図8及び図9に示す本発明の実施例においては、床パネル1表面の全域に形成された略長方形の凸形状部12の間で形成される流路13の幅と深さを細く深くすることで、流路13内の水を途切れないようにしている。これは水の粘性抵抗と表面張力の効果を利用したものである。水にはそれ自身に粘性が有るため、細く深く形成された流路13内では粘性抵抗が流速抑制効果として発現しやすくなるため、十分な流速抑制効果が得られる。また細く深い流路形態で発生する表面張力の効果と合わせて水を流路13内に一時捕水する効果が高くなり、たとえ床パネル1の材質が水を弾く疎水性のものであっても、流路13内は一見、水を弾かずに連続して繋がった状態で一時捕水する事が可能となる。
また細かいピッチで配された流路や網目状の流路形態などでも同様に水が流下する際に粘性抵抗が発現しやすく、前述した事例と同じく流路13内に連続して繋がった状態で一時捕水する事を可能とする流速抑制効果を生むことができる。
また、それとあわせて流路で区画される床パネル上の滑り止め用凸形状部の上面に流路内の水に接触すること無く留まれる水量を一般的な浴室の換気条件や平均的な温度・湿度の環境下において8時間程度の時間で乾燥可能な2CC以下のレベルに抑えている。この範囲の残水量であれは、一般的な浴室の環境下において、入浴後から翌日の朝まで8時間程度の間に自然乾燥が可能なため、図9に示すように、運悪く、流路に一切接触せず、独立して残留してしまう水玉が発生した場合でも、その水量を規定時間内に乾燥可能な量に抑えることができ、本発明の目的を十分達成することができるため、何ら問題にならない。図9の実施例では、滑り止め凸形状部12を小さく形成することで、その量を0.2CCと更に少量にし、より短時間での確実な乾燥を実現している。
なお、床パネル1上の凸形状部12の上面に流路13内の水に接触すること無く留まれる水玉の水量を2CC以下とするという状態は実質的な状態を言い、部分的にこの条件から逸脱する量の水が残留できる凸形状部12が部分的に存在したとしても、得られる床乾燥効果が第1参考発明及び第2参考発明の要旨を変更しない範囲であれば実質的に同一のものとする。
図9に示すとおり本実施例では、凸形状部12を約5×約10mmの大きさとし、縦・横、互い違いにずらして配置され、その間に形成される流路13を細かく方向転換・枝別れさせ、細かい網目状に流路13を配置することで、流路内の流下抵抗を高めるとともに、水下に向かって水が流れて行く際に様々な経路を採れるようにされている。これは流路13内で繋がって捕水している状態が、たとえ部分的に途切れたとしても、別の経路を伝って水玉の水が確実に排水される効果を生む。また凸形状部12の幅を約5mmとし、水滴の平均液滴径に近い寸法で形成することで、水玉破壊の効果を高めることができるとともに、床パネル1上の水は、高い確率で流路13内の水に接触できるようになり、凸形状部12の上に独立した水玉として存在し難くなるため、運悪く凸形状部12の上に残留してしまう可能性のある水量を自然乾燥で乾ききるだけの範囲に制限することができる。本実施例の場合には上記の工夫などにより、約0.2CC以下の水量しか凸形状部12の上に独立して存在できないようにされているため、より確実な水玉破壊とより確実な床面乾燥を実現している。
これらの流速抑制効果と表面張力の効果を利用して流路13内に繋がった状態で一時捕水された水は、前述の第1参考発明及び、第2参考発明と同様の作用を生み、図12に示すように流路13内に水玉を誘引・導水して残さず排水させることが可能となり、結果として第1参考発明及び第2参考発明と同様の効果で早期に床を乾燥せしめることができる。
第1参考発明に係る浴室用床パネルの平面図 同床パネルの拡大平面図 第1参考発明に係る他の実施例の床パネルの拡大平面図 図2のA−A線拡大断面図 図3のB−B線拡大断面図 (a)〜(c)は床パネル上の水の挙動を示す図 第2参考発明に係る床パネルの平面図 本発明の実施例による床パネルの斜視図 本発明の実施例による床パネルの平面詳細図 (a)〜(b)は図9におけるC−C断面での床パネルの溝形状断面図 (a)〜(d)は本発明に係る他の実施例による溝形状の詳細図 本発明に係る実施例による床パネル上の水玉消滅の様子を示した斜視図
符号の説明
1…床パネル、 2…浴槽設置部、 3…排水口、 4…排水口凹部、 5…流し溝、 6…滑り止め用の凸部、 7,11,13…流路、 8,10,12…表面張力を破壊する凹凸形状部、 9…境界部。

Claims (3)

  1. ユニットバスの一部として組み込まれる樹脂製の浴室用床パネルであって、前記床パネルの表面に、基本形状を長方形とする滑り止め用の凸部を縦・横、互い違いにずらして配置し、これら凸部の間に、流れ込んだ水を途切れさせずに一時捕水出来る状態にする流路を排水口あるいは排水流し溝に連続させて形成し、前記床パネルの表面で水玉を形成した残水は、前記流路内に一時捕水されている水と接触することで、前記流路から排水口あるいは排水流し溝に途切れることなく排水されることを特徴とする樹脂製の浴室用床パネル。
  2. 前記流路内の水に接触すること無く前記凸部の上面に留まれる水量が0.2CC以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製の浴室用床パネル。
  3. 前記流路の断面形状が略V字型であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂製の浴室用床パネル。
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