JP3589018B2 - 樹脂モデルの製造方法および型製造用治具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、透明感に優れた樹脂モデルを制作するに際して、その外型および内型を所定位置で正確に係合させ得るようにした樹脂モデルの製造方法およびこれに使用する型製造用治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば飲料メーカーが新商品を開発したり、既存の商品のイメージの一新を図ったりする場合は、新たなデザインの飲料容器を一般に使用する。殊に容器のデザインは飲料のイメージと販売動向に大きな影響を与えるものであり、その顕著な例として洋酒が挙げられる。このため各メーカーは、市場での売れ行きに大きな影響を与える容器のデザインに多大の関心を寄せている。
【0003】
このような飲料容器のデザインをメーカーが決定するに際しては、予め複数製作した原寸大の試作モデルを前にして検討が行なわれる。この検討の場で最も重要な点は、容器の新たなデザインを原寸で確認することと、飲料を充填した状態で該容器が実際に如何なる質感を呈するかを観察することである。しかるに試作依頼がなされる飲料容器はその殆どが透明または半透明の瓶容器であるため、実物と同様にガラスを使用して製作した瓶容器を原寸モデルとして使用するのが最も好ましい。しかし試作モデルを製作する毎に金型を作成し、実物同様のガラス容器を製造するのではコストが大幅に嵩むだけでなく、モデル製作に長時間を要することになり、メーカーの要請から大きく逸脱してしまう難点がある。
【0004】
このため瓶容器の試作においては、アクリル樹脂が一般に使用されている。例えば円筒状容器を製作する際には、該アクリル樹脂ブロックを旋盤にかけて削り出す手段が採用されている。この場合には、瓶の外表面に複雑な装飾を施すことが極めて困難である。また角瓶では、注ぎ口や側面等の各パーツを別体で成型しておき、これらを接着剤等で相互に接合する手段が採られている。しかしながら各パーツを接合した部分に不自然なシーム(パーティションライン)が残存して実物感を損なう点が指摘される。更に何れの場合にしても、複雑な形状の容器を製作するにあたっては、時間と製作コストが多大に嵩むことになる。
【0005】
そこで前述した欠点を解決したモデルの製造方法として、本件出願人が所有する特許第1927083号に係る発明「樹脂モデルの製造方法」が存在する。この発明は、所要モデルの外部輪郭が内面に形成される外型と、この外型の内部に挿入されて外型内面との間に所要間隙が付与される内型とからなり、前記間隙中に樹脂を流し込んで所要形状の樹脂モデルを製造する方法において、前記外型および内型の間に形成される間隙中に透明樹脂を流し込んで、これを固化させた後に脱型することにより底部が開口した中空樹脂モデルを製造し、得られた中空樹脂モデルの内面および必要に応じ外面を前記底部開口を介して研磨し、前記中空樹脂モデルの底部開口における底部形成予定部位を除いて離型材を塗布した後、その底部開口近傍を流動状態にある同質の透明樹脂に浸漬して、これを固化させた後引上げることにより前記底部開口に底面を形成し、更に、モデル外面の研磨仕上げをした後、その透明樹脂材質と近い屈折率を有する透明樹脂塗料を中空樹脂モデルの全面に塗布することにより、透明感に優れた中空透明樹脂容器のモデルを製造する方法を内容としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特許発明に係る「樹脂モデルの製造方法」によれば、試作モデルを製作するうえで、その製造コストを大幅に低減させると共に短期間で製作し得る利点がある。ところで該方法を実施するに際して最も重要なのは、予め所定の工程を経て成形された前記外型および内型を正確に位置決めした状態で樹脂を流し込むことであるが、外型および内型には前記位置決めの手掛りとなるものがないため一般に極めて困難であった。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に内在している解決課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、試作モデルを成形する外型と内型とを係合させる際に、その位置決めを容易にするための樹脂モデルの製造方法および型製造用治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本発明に係る樹脂モデルの製造方法は、最終的に製造されるべき樹脂モデルの外部輪郭に合致する内部輪郭を内側に形成した外型と、この外型における内部輪郭よりも一回り小さな外部輪郭を有し、該外型の内部に同心的に挿入した際に前記小さな外部輪郭と前記内部輪郭との間に所要の中空部を画成し得る内型とからなり、前記中空部に樹脂を注入した後に硬化させることで所要形状の樹脂モデルを製造する方法において、
旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座に前記樹脂モデルと同じ外形を有する第1原形雄型を載置し、この第1原形雄型に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を前記台座の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第1原形雄型を除去することにより、前記第1凹部に対応する第1凸部が下面に一体成形された前記外型を製造し、
同じく前記円板状の台座に前記第1原形雄型より一回り小さな外形を有する第2原形雄型を載置し、該第2原形雄型に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を台座周縁部における前記第1凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第2原形雄型を除去することにより、前記第1凹部に対応する第2凸部が下面に一体成形された原形雌型を製造し、
更に前記原形雌型に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を該原形雌型に成形した前記第2凸部にも付与し、
固化した後の型材料から前記原形雌型を除去することにより、前記第2凸部に対応する第2凹部が上面に一体成形された前記内型を製造し、
前記外型の内部に前記内型を同心的に挿入するに際して、該内型に成形した前記第2凹部を該外型に成形した前記第1凸部に対応的に合致させることにより、これら外型および内型の正確な位置決めを確保した状態で前記樹脂の注入を行なうようにしたことを特徴とする。
【0009】
また前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本発明に係る型製造用治具は、旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座と、この台座の表面周縁部に形成した適宜数の凹部とからなり、
前記台座に載置した第1原形雄型に流動性の型材料を付与して固化させるに際して、該型材料を台座周縁部の前記凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第1原形雄型を除去することにより、前記凹部との対応部である下面に凸部が一体成形された外型を製造し得るよう構成したことを特徴とする。
【0010】
また前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本願の別の発明に係る型製造用治具は、旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座と、この台座の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部とからなり、
前記台座に載置した第2原形雄型に流動性の型材料を付与するに際して、該型材料を台座周縁部の前記第1凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第2原形雄型を除去することにより、前記第1凹部との対応部である下面に凸部が一体成形された原形雌型を製造し、
この原形雌型に流動性の型材料を付与するに際して、該型材料を該原形雌型に成形された前記凸部にも付与し、
固化した後の型材料から前記原形雌型を除去することにより、前記凸部との対応部である上面に第2凹部が一体成形された内型を製造し得るよう構成したことを特徴とする
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る樹脂モデルの製造方法および型製造用治具につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。図1に示すように、この型製造用治具10は、旋盤の回転軸に着脱自在に装着可能な円板状の台座14と、この台座14の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部14aおよび台座14の中心に立設された軸体16とから形成されている。
【0012】
前記台座14の表面周縁部に沿って凹設された前記第1凹部14aは、図2に示す如く、これを平面から観察した場合に台座14の周縁部分を中心とする半円弧状に成形されたものであって、この第1凹部14aが、該台座14の軸心に立設した軸体16を挟んで例えば3箇所形成されている。このうち2箇所形成された第1凹部14aは、図に示すように、該第1凹部14aの直径と略同一距離だけ離間した位置に隣接されると共に、他の一箇所の第1凹部14aは、台座14の中心を挟んで略反対側に形成される。すなわち直径方向に対向する位置から台座14の周方向に沿って若干偏倚した位置に設定される。なおこの第1凹部14aは3箇所設けた例を挙げて説明するが、設置数としてはこれに限定されるものではなく、1箇所から2箇所あるいは4箇所以上設けるようにしてもよい。また仮に2箇所とする場合には、各第1凹部14aが台座14の直径方向から若干偏倚した位置に設定されるのが望ましい。
【0013】
前記台座14の上面には所要高さの段部18が形成されており、この段部18に、該台座14の直径よりも充分に小さくかつ台座14よりも充分に高い寸法に設定された前記軸体16が立設されている。軸体16は、図3に示すように、先端に向かうにつれて細くなるテーパ状になっており、該先端から段部18に対する根元に向けて、断面円弧状を呈するの所要深さの溝部16aが、少なくとも一箇所形成されている。すなわち本実施例に係る型製造用治具の場合、該溝部16aは軸体16の周面方向に沿って等間隔に4箇所形成される。また各溝部16aが軸体16の開放上端部で隣接している部分の1箇所には、該溝部16aよりも充分に小さい径に設定された円弧状の切欠16bが切欠かれている。なお前述したように、溝部16aを2箇所以上設けた際の溝部16aは、これらが回転対称にならないようそのうちの少なくとも1つが、軸体16の長手方向に対して延在する長さを他の溝部16aと相違するよう設定される。
【0014】
前述した構成に係る型製造用治具は、樹脂モデルの製作において図4から図11に示す工程内で好適に使用される。なおこの場合には、円筒状容器の試作モデルを製作する過程を例に挙げて説明するが、この他に角状や各種のデザイン形状を象った容器を製作する過程においても、該円筒状容器の製作工程と同様に供される。図4および図5は、この試作モデルの成型に供される外型12を形成する過程を示すと共に、図6から図8では、該外型12に型合わせされる内型20の成型過程を示す。先ず外型12の成型にあたっては、台座14の上面に形成された前記段部18の上面全体に、前記軸体16を軸心として流動性の型材料22を円筒状に固化状態で設けておく。この型材料22を設けた台座14は、例えば上下方向に垂設された旋盤の回転軸24に対して、これと連設する回転台座27の上面に所要のチャック機構26を介して装着される。チャック機構26から上方に位置する部分には、該回転軸24の軸心の延長線上に対して、図示しない機構に連設された切削バイト28が近接離間可能に配設されている。なお前記流動性の型材料22は、物品成型として従来から使用されている石膏が好適に採用される。
【0015】
前記回転台座27の回転に伴って、切削バイト28が型材料22の上端部から切込みを開始する。これにより、図4に示すように、最終的に製造されるべき樹脂モデルと同じ外形を有する第1原形雄型Aが作成されることになる。なおこのとき型材料22は、その表面に該切削バイト28が所要圧で接触することにより回転方向に対する抵抗を受けることになる。しかしながら、型材料22の内部が前記軸体16の溝部16aに介在して固化しており、この部分が所謂軸止めの役目をするために、切削バイト28からの抵抗を受けて型材料22(第1原形雄型A)が軸体16に対して移動すると云った所謂空回りが確実に防止される。また型材料22の材質である石膏自体は容易に切削加工できるので、この切削が終了して得られた第1原形雄型Aの外表面に、各種のデザイン模様を刻設するようにしてもよい。
【0016】
次いで、図5(a)に示す如く、前記台座14に載置された状態の第1原形雄型Aの外表面全体に、別の流動性型材料であるシリコンゴム30を付与すると共に、このシリコンゴム30を該台座14の表面周縁部に形成した前記第1凹部14aにも付与する。そしてシリコンゴム30が固化した後に、図5(b)に示す如く、該シリコンゴム30を第1原形雄型Aから除去させることで、内側に該第1原形雄型Aの外部輪郭に合致する内部輪郭を内側に形成すると共に、第1凹部14aに対応する適宜数の第1凸部12aが下面に一体成形された外型12が得られる。そして型製造用治具10に残留する第1原形雄型Aは、該型製造用治具10の段部18および軸体16から離脱しておく。
【0017】
次に内型20の製作工程に移行する。この内型20の製作には、前記第1原形雄型Aを製作した前記型製造用治具10がそのまま使用される。すなわち前記外型12と同様に、該型製造用治具10を形成する台座14の段部18の上面全体に、軸体16を軸心とする流動性の型材料32を円筒状に固化状態で設け、前記回転台座27の上面に前記チャック機構26を介して装着する。この状態で回転台座27を回転させることによって前記切削バイト28が前記軸体16に近接する方向に移動するが、該切削バイト28は、前記第1原形雄型Aの外径寸法に対して、予め設定された試作モデルの厚み分だけ前記軸体16に近接し、この位置において型材料32の上端部から切込みを開始する。これにより、図6の想像線で示す第1原形雄型Aよりも一回り小さな外形を有する第2原形雄型Bが得られる。この第2原形雄型Bの材質にも、前記石膏が好適に使用される。
【0018】
前記台座14に載置された状態の第2原形雄型Bの外表面には、図7(a)に示すように、別の流動性型材料としての石膏が付与される。この石膏は、前記外型12の製作で行ったのと同様に、台座14の表面周縁部から軸体16の軸心方向に沿って所要高さの円筒体に形成すると共に、該表面周縁部に凹設された前記第1凹部14aに石膏を付与する。そして該石膏が充分に固化した後、図7(b)に示す如く、この固化した石膏体を第2原形雄型Bから除去させる。これにより、内側に該第2原形雄型Bの外部輪郭が型取りされると共に、第1凹部14aに対応する第2凸部34aが一体成形された原形雌型34が製造される。
【0019】
前記原形雌型34には、開口部を呈する下部を上方に位置させた所謂倒立状態において、第2原形雄型Bの外部輪郭が型取りされている内側に、更に別の流動性型材料であるシリコンゴム36を付与する。この際に該シリコンゴム36は、図8(a)に示すように、原形雌型34の下部(図では上方)に形成した前記第2凸部34aが完全に埋没する位置にまで該シリコンゴム36が付与される。そしてシリコンゴム36が固化した後に、図8(b)に示す如く、原形雌型34をシリコンゴム36から除去させる。これにより、前記第2原形雄型Bと同一寸法に設定された部分と、前記型製造用治具10の段部18および台座14が象られた内型20が、該シリコンゴム36によって一体成型される。また、内型20の下端部となる台座14を象った部分の表面周縁部には、原形雌型34の第2凸部34aと対応する第2凹部20aが、台座14を象った上面に所定間隔で一体成形される。
【0020】
前述した工程を経て得られた前記外型12および内型20は、図9に示すように、相互に型合わせされる。この外型12の内部に内型20を同心的に挿入するに際して、内型20に成形した前記第2凹部20aを、外型12の下端部に成形した前記第1凸部12aに対応的に合致させる。すなわち隣接する2箇所の第1凸部12aを、内型20に設けた2箇所の第2凹部20aに係合させると共に、1箇所設けた第1凸部12aを、該内型20に設けた1箇所の第2凹部20aに係合させる。これにより両型12,20は、そのセンター位置が完全に整列した状態で型合わせされる。
【0021】
この型合わせされた外型12および内型20は、図10に示す如く、予め設定された試作モデルの厚み分だけ相互に離間した中空部38が画成される。例えば外型12の内部に形成された部分の内径を100mmとし、内型20の外径寸法を92mmすると、該中空部38は4mmの幅に設定されることになる。そしてこれら外型12と内型20が正確に位置決めを確保された状態で、中空部38に対して上方の開口部分から経時硬化性の樹脂40を注入する。該樹脂40としては、例えば主剤と硬化剤とを混合することにより、常温で経時的に硬化するエポキシ樹脂が好適に使用される。この場合に、加熱することは必ずしも要件ではないが、加熱することにより一般に知られる如く硬化時間が短縮される。そして透明なエポキシ樹脂が硬化したところで、外型12と内型20とを脱型することにより、図11に示すような底面が開口した中空の瓶型容器の試作モデル42が得られる。しかる後、この底面開口を所定の工程を介して同じエポキシ樹脂で閉成し、更にバリ取り工程から樹脂塗料の塗布工程を経ることにより、極めて透明度に優れた試作モデルが得られる。
【0022】
また円筒状容器以外に多角形状の容器や装飾的にデザインされた容器モデルを製作する際においても、石膏によって前記型製造用治具の段部上に所定形状のモデルが製作される。この場合、例えば図12に示す如く、前記軸体16の軸心から容器の外表面までの距離が段階的に変化するような正五角形状の容器を製作するには、外型12と内型20の位置合わせが円筒状容器よりも複雑になるため、該軸体16に形成した前記溝部16aが、外型12と内型20の位置決めに寄与することになる。すなわちこの円筒状容器以外では、型製造用治具10の上面で成型したシリコンゴムを石膏体から離脱させるに際しては、先に石膏体とシリコンゴムが一体化した状態で型製造用治具10から離脱される。
【0023】
そしてこのシリコンゴムから離脱した石膏体は、内型を製作するために再び型製造用治具10上に載置されて試作モデルの厚み分だけ削成されるが、この場合には各頂点の設置位置が、該モデルが型製造用治具10から離脱する前と同一箇所に設定されることが必須である。この条件を満たすように、前記溝部16aによって石膏体の内側に突設成型された延在溝の長さが異なっているので、型製造用治具から脱型した該石膏体は、この溝部16aが合致する位置においてのみ該治具の上面に正しく載置されることになる。すなわち該石膏体からなるモデルは、型製造用治具に対してその方向および取付け高さが常に一定に位置決めされる。また軸体の開放上端面に形成された凹部は、石膏体を軸体に対して完全に係合させる前段階における目安となるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る樹脂モデルの製造方法および型製造用治具によれば、透明なガラス材質の容器その他複雑形状の物品を試作するための検討用モデルを製作するに際して、外型と内型とに位置決め用の凹凸を設け、両者を相互に係合するようにしたことにより、両型の型合わせを所定位置で完全に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を示す全体斜視図である。
【図2】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を示す平面図である。
【図3】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を示す正面図である。
【図4】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して外型を製作する工程を示す正面図である。
【図5】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して外型を製作する工程を示す別の正面図である。
【図6】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して内型を製作する工程を示す正面図である。
【図7】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して内型を製作する工程を示す正面図である。
【図8】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して内型を製作する工程を示す別の正面図である。
【図9】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して得られた外型および内型を合致させる状態を示す要部斜視図である。
【図10】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して得られた外型および内型を合致させた状態を示す正面図および側面図である。
【図11】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して得られた外型および内型から成型された樹脂モデルを示す正面図である。
【図12】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して多角形状の容器を成型する際の樹脂モデルの位置決め状態を示す平面図である。
【符号の説明】
12 外型
12a 第1凸部
14 台座
14a 第1凹部
16 軸体
16a 溝部
20 内型
20a 第2凹部
34 原形雌型
34a 第2凸部
A 第1原形雄型
B 第2原形雄型
42 樹脂モデル
【発明の属する技術分野】
この発明は、透明感に優れた樹脂モデルを制作するに際して、その外型および内型を所定位置で正確に係合させ得るようにした樹脂モデルの製造方法およびこれに使用する型製造用治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば飲料メーカーが新商品を開発したり、既存の商品のイメージの一新を図ったりする場合は、新たなデザインの飲料容器を一般に使用する。殊に容器のデザインは飲料のイメージと販売動向に大きな影響を与えるものであり、その顕著な例として洋酒が挙げられる。このため各メーカーは、市場での売れ行きに大きな影響を与える容器のデザインに多大の関心を寄せている。
【0003】
このような飲料容器のデザインをメーカーが決定するに際しては、予め複数製作した原寸大の試作モデルを前にして検討が行なわれる。この検討の場で最も重要な点は、容器の新たなデザインを原寸で確認することと、飲料を充填した状態で該容器が実際に如何なる質感を呈するかを観察することである。しかるに試作依頼がなされる飲料容器はその殆どが透明または半透明の瓶容器であるため、実物と同様にガラスを使用して製作した瓶容器を原寸モデルとして使用するのが最も好ましい。しかし試作モデルを製作する毎に金型を作成し、実物同様のガラス容器を製造するのではコストが大幅に嵩むだけでなく、モデル製作に長時間を要することになり、メーカーの要請から大きく逸脱してしまう難点がある。
【0004】
このため瓶容器の試作においては、アクリル樹脂が一般に使用されている。例えば円筒状容器を製作する際には、該アクリル樹脂ブロックを旋盤にかけて削り出す手段が採用されている。この場合には、瓶の外表面に複雑な装飾を施すことが極めて困難である。また角瓶では、注ぎ口や側面等の各パーツを別体で成型しておき、これらを接着剤等で相互に接合する手段が採られている。しかしながら各パーツを接合した部分に不自然なシーム(パーティションライン)が残存して実物感を損なう点が指摘される。更に何れの場合にしても、複雑な形状の容器を製作するにあたっては、時間と製作コストが多大に嵩むことになる。
【0005】
そこで前述した欠点を解決したモデルの製造方法として、本件出願人が所有する特許第1927083号に係る発明「樹脂モデルの製造方法」が存在する。この発明は、所要モデルの外部輪郭が内面に形成される外型と、この外型の内部に挿入されて外型内面との間に所要間隙が付与される内型とからなり、前記間隙中に樹脂を流し込んで所要形状の樹脂モデルを製造する方法において、前記外型および内型の間に形成される間隙中に透明樹脂を流し込んで、これを固化させた後に脱型することにより底部が開口した中空樹脂モデルを製造し、得られた中空樹脂モデルの内面および必要に応じ外面を前記底部開口を介して研磨し、前記中空樹脂モデルの底部開口における底部形成予定部位を除いて離型材を塗布した後、その底部開口近傍を流動状態にある同質の透明樹脂に浸漬して、これを固化させた後引上げることにより前記底部開口に底面を形成し、更に、モデル外面の研磨仕上げをした後、その透明樹脂材質と近い屈折率を有する透明樹脂塗料を中空樹脂モデルの全面に塗布することにより、透明感に優れた中空透明樹脂容器のモデルを製造する方法を内容としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特許発明に係る「樹脂モデルの製造方法」によれば、試作モデルを製作するうえで、その製造コストを大幅に低減させると共に短期間で製作し得る利点がある。ところで該方法を実施するに際して最も重要なのは、予め所定の工程を経て成形された前記外型および内型を正確に位置決めした状態で樹脂を流し込むことであるが、外型および内型には前記位置決めの手掛りとなるものがないため一般に極めて困難であった。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に内在している解決課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、試作モデルを成形する外型と内型とを係合させる際に、その位置決めを容易にするための樹脂モデルの製造方法および型製造用治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本発明に係る樹脂モデルの製造方法は、最終的に製造されるべき樹脂モデルの外部輪郭に合致する内部輪郭を内側に形成した外型と、この外型における内部輪郭よりも一回り小さな外部輪郭を有し、該外型の内部に同心的に挿入した際に前記小さな外部輪郭と前記内部輪郭との間に所要の中空部を画成し得る内型とからなり、前記中空部に樹脂を注入した後に硬化させることで所要形状の樹脂モデルを製造する方法において、
旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座に前記樹脂モデルと同じ外形を有する第1原形雄型を載置し、この第1原形雄型に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を前記台座の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第1原形雄型を除去することにより、前記第1凹部に対応する第1凸部が下面に一体成形された前記外型を製造し、
同じく前記円板状の台座に前記第1原形雄型より一回り小さな外形を有する第2原形雄型を載置し、該第2原形雄型に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を台座周縁部における前記第1凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第2原形雄型を除去することにより、前記第1凹部に対応する第2凸部が下面に一体成形された原形雌型を製造し、
更に前記原形雌型に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を該原形雌型に成形した前記第2凸部にも付与し、
固化した後の型材料から前記原形雌型を除去することにより、前記第2凸部に対応する第2凹部が上面に一体成形された前記内型を製造し、
前記外型の内部に前記内型を同心的に挿入するに際して、該内型に成形した前記第2凹部を該外型に成形した前記第1凸部に対応的に合致させることにより、これら外型および内型の正確な位置決めを確保した状態で前記樹脂の注入を行なうようにしたことを特徴とする。
【0009】
また前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本発明に係る型製造用治具は、旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座と、この台座の表面周縁部に形成した適宜数の凹部とからなり、
前記台座に載置した第1原形雄型に流動性の型材料を付与して固化させるに際して、該型材料を台座周縁部の前記凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第1原形雄型を除去することにより、前記凹部との対応部である下面に凸部が一体成形された外型を製造し得るよう構成したことを特徴とする。
【0010】
また前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本願の別の発明に係る型製造用治具は、旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座と、この台座の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部とからなり、
前記台座に載置した第2原形雄型に流動性の型材料を付与するに際して、該型材料を台座周縁部の前記第1凹部にも付与し、
固化した後の型材料から前記第2原形雄型を除去することにより、前記第1凹部との対応部である下面に凸部が一体成形された原形雌型を製造し、
この原形雌型に流動性の型材料を付与するに際して、該型材料を該原形雌型に成形された前記凸部にも付与し、
固化した後の型材料から前記原形雌型を除去することにより、前記凸部との対応部である上面に第2凹部が一体成形された内型を製造し得るよう構成したことを特徴とする
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る樹脂モデルの製造方法および型製造用治具につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。図1に示すように、この型製造用治具10は、旋盤の回転軸に着脱自在に装着可能な円板状の台座14と、この台座14の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部14aおよび台座14の中心に立設された軸体16とから形成されている。
【0012】
前記台座14の表面周縁部に沿って凹設された前記第1凹部14aは、図2に示す如く、これを平面から観察した場合に台座14の周縁部分を中心とする半円弧状に成形されたものであって、この第1凹部14aが、該台座14の軸心に立設した軸体16を挟んで例えば3箇所形成されている。このうち2箇所形成された第1凹部14aは、図に示すように、該第1凹部14aの直径と略同一距離だけ離間した位置に隣接されると共に、他の一箇所の第1凹部14aは、台座14の中心を挟んで略反対側に形成される。すなわち直径方向に対向する位置から台座14の周方向に沿って若干偏倚した位置に設定される。なおこの第1凹部14aは3箇所設けた例を挙げて説明するが、設置数としてはこれに限定されるものではなく、1箇所から2箇所あるいは4箇所以上設けるようにしてもよい。また仮に2箇所とする場合には、各第1凹部14aが台座14の直径方向から若干偏倚した位置に設定されるのが望ましい。
【0013】
前記台座14の上面には所要高さの段部18が形成されており、この段部18に、該台座14の直径よりも充分に小さくかつ台座14よりも充分に高い寸法に設定された前記軸体16が立設されている。軸体16は、図3に示すように、先端に向かうにつれて細くなるテーパ状になっており、該先端から段部18に対する根元に向けて、断面円弧状を呈するの所要深さの溝部16aが、少なくとも一箇所形成されている。すなわち本実施例に係る型製造用治具の場合、該溝部16aは軸体16の周面方向に沿って等間隔に4箇所形成される。また各溝部16aが軸体16の開放上端部で隣接している部分の1箇所には、該溝部16aよりも充分に小さい径に設定された円弧状の切欠16bが切欠かれている。なお前述したように、溝部16aを2箇所以上設けた際の溝部16aは、これらが回転対称にならないようそのうちの少なくとも1つが、軸体16の長手方向に対して延在する長さを他の溝部16aと相違するよう設定される。
【0014】
前述した構成に係る型製造用治具は、樹脂モデルの製作において図4から図11に示す工程内で好適に使用される。なおこの場合には、円筒状容器の試作モデルを製作する過程を例に挙げて説明するが、この他に角状や各種のデザイン形状を象った容器を製作する過程においても、該円筒状容器の製作工程と同様に供される。図4および図5は、この試作モデルの成型に供される外型12を形成する過程を示すと共に、図6から図8では、該外型12に型合わせされる内型20の成型過程を示す。先ず外型12の成型にあたっては、台座14の上面に形成された前記段部18の上面全体に、前記軸体16を軸心として流動性の型材料22を円筒状に固化状態で設けておく。この型材料22を設けた台座14は、例えば上下方向に垂設された旋盤の回転軸24に対して、これと連設する回転台座27の上面に所要のチャック機構26を介して装着される。チャック機構26から上方に位置する部分には、該回転軸24の軸心の延長線上に対して、図示しない機構に連設された切削バイト28が近接離間可能に配設されている。なお前記流動性の型材料22は、物品成型として従来から使用されている石膏が好適に採用される。
【0015】
前記回転台座27の回転に伴って、切削バイト28が型材料22の上端部から切込みを開始する。これにより、図4に示すように、最終的に製造されるべき樹脂モデルと同じ外形を有する第1原形雄型Aが作成されることになる。なおこのとき型材料22は、その表面に該切削バイト28が所要圧で接触することにより回転方向に対する抵抗を受けることになる。しかしながら、型材料22の内部が前記軸体16の溝部16aに介在して固化しており、この部分が所謂軸止めの役目をするために、切削バイト28からの抵抗を受けて型材料22(第1原形雄型A)が軸体16に対して移動すると云った所謂空回りが確実に防止される。また型材料22の材質である石膏自体は容易に切削加工できるので、この切削が終了して得られた第1原形雄型Aの外表面に、各種のデザイン模様を刻設するようにしてもよい。
【0016】
次いで、図5(a)に示す如く、前記台座14に載置された状態の第1原形雄型Aの外表面全体に、別の流動性型材料であるシリコンゴム30を付与すると共に、このシリコンゴム30を該台座14の表面周縁部に形成した前記第1凹部14aにも付与する。そしてシリコンゴム30が固化した後に、図5(b)に示す如く、該シリコンゴム30を第1原形雄型Aから除去させることで、内側に該第1原形雄型Aの外部輪郭に合致する内部輪郭を内側に形成すると共に、第1凹部14aに対応する適宜数の第1凸部12aが下面に一体成形された外型12が得られる。そして型製造用治具10に残留する第1原形雄型Aは、該型製造用治具10の段部18および軸体16から離脱しておく。
【0017】
次に内型20の製作工程に移行する。この内型20の製作には、前記第1原形雄型Aを製作した前記型製造用治具10がそのまま使用される。すなわち前記外型12と同様に、該型製造用治具10を形成する台座14の段部18の上面全体に、軸体16を軸心とする流動性の型材料32を円筒状に固化状態で設け、前記回転台座27の上面に前記チャック機構26を介して装着する。この状態で回転台座27を回転させることによって前記切削バイト28が前記軸体16に近接する方向に移動するが、該切削バイト28は、前記第1原形雄型Aの外径寸法に対して、予め設定された試作モデルの厚み分だけ前記軸体16に近接し、この位置において型材料32の上端部から切込みを開始する。これにより、図6の想像線で示す第1原形雄型Aよりも一回り小さな外形を有する第2原形雄型Bが得られる。この第2原形雄型Bの材質にも、前記石膏が好適に使用される。
【0018】
前記台座14に載置された状態の第2原形雄型Bの外表面には、図7(a)に示すように、別の流動性型材料としての石膏が付与される。この石膏は、前記外型12の製作で行ったのと同様に、台座14の表面周縁部から軸体16の軸心方向に沿って所要高さの円筒体に形成すると共に、該表面周縁部に凹設された前記第1凹部14aに石膏を付与する。そして該石膏が充分に固化した後、図7(b)に示す如く、この固化した石膏体を第2原形雄型Bから除去させる。これにより、内側に該第2原形雄型Bの外部輪郭が型取りされると共に、第1凹部14aに対応する第2凸部34aが一体成形された原形雌型34が製造される。
【0019】
前記原形雌型34には、開口部を呈する下部を上方に位置させた所謂倒立状態において、第2原形雄型Bの外部輪郭が型取りされている内側に、更に別の流動性型材料であるシリコンゴム36を付与する。この際に該シリコンゴム36は、図8(a)に示すように、原形雌型34の下部(図では上方)に形成した前記第2凸部34aが完全に埋没する位置にまで該シリコンゴム36が付与される。そしてシリコンゴム36が固化した後に、図8(b)に示す如く、原形雌型34をシリコンゴム36から除去させる。これにより、前記第2原形雄型Bと同一寸法に設定された部分と、前記型製造用治具10の段部18および台座14が象られた内型20が、該シリコンゴム36によって一体成型される。また、内型20の下端部となる台座14を象った部分の表面周縁部には、原形雌型34の第2凸部34aと対応する第2凹部20aが、台座14を象った上面に所定間隔で一体成形される。
【0020】
前述した工程を経て得られた前記外型12および内型20は、図9に示すように、相互に型合わせされる。この外型12の内部に内型20を同心的に挿入するに際して、内型20に成形した前記第2凹部20aを、外型12の下端部に成形した前記第1凸部12aに対応的に合致させる。すなわち隣接する2箇所の第1凸部12aを、内型20に設けた2箇所の第2凹部20aに係合させると共に、1箇所設けた第1凸部12aを、該内型20に設けた1箇所の第2凹部20aに係合させる。これにより両型12,20は、そのセンター位置が完全に整列した状態で型合わせされる。
【0021】
この型合わせされた外型12および内型20は、図10に示す如く、予め設定された試作モデルの厚み分だけ相互に離間した中空部38が画成される。例えば外型12の内部に形成された部分の内径を100mmとし、内型20の外径寸法を92mmすると、該中空部38は4mmの幅に設定されることになる。そしてこれら外型12と内型20が正確に位置決めを確保された状態で、中空部38に対して上方の開口部分から経時硬化性の樹脂40を注入する。該樹脂40としては、例えば主剤と硬化剤とを混合することにより、常温で経時的に硬化するエポキシ樹脂が好適に使用される。この場合に、加熱することは必ずしも要件ではないが、加熱することにより一般に知られる如く硬化時間が短縮される。そして透明なエポキシ樹脂が硬化したところで、外型12と内型20とを脱型することにより、図11に示すような底面が開口した中空の瓶型容器の試作モデル42が得られる。しかる後、この底面開口を所定の工程を介して同じエポキシ樹脂で閉成し、更にバリ取り工程から樹脂塗料の塗布工程を経ることにより、極めて透明度に優れた試作モデルが得られる。
【0022】
また円筒状容器以外に多角形状の容器や装飾的にデザインされた容器モデルを製作する際においても、石膏によって前記型製造用治具の段部上に所定形状のモデルが製作される。この場合、例えば図12に示す如く、前記軸体16の軸心から容器の外表面までの距離が段階的に変化するような正五角形状の容器を製作するには、外型12と内型20の位置合わせが円筒状容器よりも複雑になるため、該軸体16に形成した前記溝部16aが、外型12と内型20の位置決めに寄与することになる。すなわちこの円筒状容器以外では、型製造用治具10の上面で成型したシリコンゴムを石膏体から離脱させるに際しては、先に石膏体とシリコンゴムが一体化した状態で型製造用治具10から離脱される。
【0023】
そしてこのシリコンゴムから離脱した石膏体は、内型を製作するために再び型製造用治具10上に載置されて試作モデルの厚み分だけ削成されるが、この場合には各頂点の設置位置が、該モデルが型製造用治具10から離脱する前と同一箇所に設定されることが必須である。この条件を満たすように、前記溝部16aによって石膏体の内側に突設成型された延在溝の長さが異なっているので、型製造用治具から脱型した該石膏体は、この溝部16aが合致する位置においてのみ該治具の上面に正しく載置されることになる。すなわち該石膏体からなるモデルは、型製造用治具に対してその方向および取付け高さが常に一定に位置決めされる。また軸体の開放上端面に形成された凹部は、石膏体を軸体に対して完全に係合させる前段階における目安となるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る樹脂モデルの製造方法および型製造用治具によれば、透明なガラス材質の容器その他複雑形状の物品を試作するための検討用モデルを製作するに際して、外型と内型とに位置決め用の凹凸を設け、両者を相互に係合するようにしたことにより、両型の型合わせを所定位置で完全に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を示す全体斜視図である。
【図2】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を示す平面図である。
【図3】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を示す正面図である。
【図4】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して外型を製作する工程を示す正面図である。
【図5】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して外型を製作する工程を示す別の正面図である。
【図6】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して内型を製作する工程を示す正面図である。
【図7】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して内型を製作する工程を示す正面図である。
【図8】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して内型を製作する工程を示す別の正面図である。
【図9】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して得られた外型および内型を合致させる状態を示す要部斜視図である。
【図10】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して得られた外型および内型を合致させた状態を示す正面図および側面図である。
【図11】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して得られた外型および内型から成型された樹脂モデルを示す正面図である。
【図12】実施例に係る樹脂モデルの型製造用治具を使用して多角形状の容器を成型する際の樹脂モデルの位置決め状態を示す平面図である。
【符号の説明】
12 外型
12a 第1凸部
14 台座
14a 第1凹部
16 軸体
16a 溝部
20 内型
20a 第2凹部
34 原形雌型
34a 第2凸部
A 第1原形雄型
B 第2原形雄型
42 樹脂モデル
Claims (8)
- 最終的に製造されるべき樹脂モデル(42)の外部輪郭に合致する内部輪郭を内側に形成した外型(12)と、この外型(12)における内部輪郭よりも一回り小さな外部輪郭を有し、該外型(12)の内部に同心的に挿入した際に前記小さな外部輪郭と前記内部輪郭との間に所要の中空部を画成し得る内型(20)とからなり、前記中空部に樹脂を注入した後に硬化させることで所要形状の樹脂モデルを製造する方法において、
旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座(14)に前記樹脂モデル(42)と同じ外形を有する第1原形雄型(A)を載置し、この第1原形雄型(A)に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を前記台座(14)の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部(14a)にも付与し、
固化した後の型材料から前記第1原形雄型(A)を除去することにより、前記第1凹部(14a)に対応する第1凸部(12a)が下面に一体成形された前記外型(12)を製造し、
同じく前記円板状の台座(14)に前記第1原形雄型(A)より一回り小さな外形を有する第2原形雄型(B)を載置し、該第2原形雄型(B)に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を台座周縁部における前記第1凹部(14a)にも付与し、 固化した後の型材料から前記第2原形雄型(B)を除去することにより、前記第1凹部(14a)に対応する第2凸部(34a)が下面に一体成形された原形雌型(34)を製造し、
更に前記原形雌型(34)に流動性の型材料を付与すると共に、該型材料を該原形雌型(34)に成形した前記第2凸部(34a)にも付与し、
固化した後の型材料から前記原形雌型(34)を除去することにより、前記第2凸部(34a)に対応する第2凹部(20a)が上面に一体成形された前記内型(20)を製造し、
前記外型(12)の内部に前記内型(20)を同心的に挿入するに際して、該内型(20)に成形した前記第2凹部(20a)を該外型(12)に成形した前記第1凸部(12a)に対応的に合致させることにより、これら外型(12)および内型(20)の正確な位置決めを確保した状態で前記樹脂の注入を行なうようにした
ことを特徴とする樹脂モデルの製造方法。 - 旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座(14)と、この台座(14)の表面周縁部に形成した適宜数の凹部(14a)とからなり、
前記台座(14)に載置した第1原形雄型(A)に流動性の型材料を付与して固化させるに際して、該型材料を台座周縁部の前記凹部(14a)にも付与し、
固化した後の型材料から前記第1原形雄型(A)を除去することにより、前記凹部(14a)との対応部である下面に凸部(12a)が一体成形された外型(12)を製造し得るよう構成した
ことを特徴とする型製造用治具。 - 旋盤の回転軸に装着可能な円板状の台座(14)と、この台座(14)の表面周縁部に形成した適宜数の第1凹部(14a)とからなり、
前記台座(14)に載置した第2原形雄型(B)に流動性の型材料を付与するに際して、該型材料を台座周縁部の前記第1凹部(14a)にも付与し、
固化した後の型材料から前記第2原形雄型(B)を除去することにより、前記第1凹部(14a)との対応部である下面に凸部(34a)が一体成形された原形雌型(34)を製造し、
この原形雌型(34)に流動性の型材料を付与するに際して、該型材料を該原形雌型(34)に成形された前記凸部(34a)にも付与し、
固化した後の型材料から前記原形雌型(34)を除去することにより、前記凸部(34a)との対応部である上面に第2凹部(20a)が一体成形された内型(20)を製造し得るよう構成した
ことを特徴とする型製造用治具。 - 前記台座(14)に設けられる凹部(14a)は、例えば台座(14)の上面周縁部に3箇所形成され、2つの凹部(14a)は隣接的に形成されると共に、他の1つの凹部(14a)は該台座(14)の中心を挟んで略反対側に形成される請求項2または3記載の型製造用治具。
- 前記台座(14)の中心には先端に向かうにつれて細くなるテーパ状軸体(16)が立設され、この軸体(16)には先端から根元に向けて延在する溝部(16a)が少なくとも1つ形成されている請求項2〜4の何れかに記載の型製造用治具。
- 前記溝部(16a)が2つ以上あるときは、これらの溝部(16a)は回転対称にならないよう形成される請求項5記載の型製造用治具。
- 前記溝部(16a)が2つ以上あるときは、これらの溝部(16a)の軸方向長さを相違させて形成される請求項5記載の型製造用治具。
- 前記第1原形雄型(A)および第2原形雄型(B)を削り出すための硬化性の型材料ブロックを前記台座(14)に載置するに際して、前記テーパ状軸体(16)は、該ブロックの垂直中心部に挿通された状態で位置し、これにより該台座(14)に対する該ブロックの定位置決めが行なわれる請求項2,3および5〜7の何れか記載の型製造用治具。
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