JP3588956B2 - ロボット制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外力に対してロボットが従動的に動作するロボットの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロボットが作業する際にワークまたは加工機側からロボットに対して外力が作用する場合がある。このような場合、ロボットをその外力に追従するように同期制御を行うか、ハンド部に弾性部材等を有するフローティングブラケットを取り付けて、機械的に外力を逃がす手段が行われていた。
【0003】
しかし、上記した同期制御の場合には制御プログラムが複雑になり、フローティングブラケットの場合には、コスト高になるという欠点がある。このため特開平2−145278号に開示されているようなロボットの各軸を駆動するサーボモータに供給する電流を制限する方法が行われている。この技術は、サーボモータに供給する最大電流を通常よりも低く制限することによって、ロボットにその最大電流よりも大きな電流を必要とする負荷が作用すると、ロボットはその負荷に負け柔軟な状態になることを利用して、ロボットを外力に対して従動させるようにしたものである。この電流制限を用いることによって、簡単な方法で外力に対するロボットの従動動作を実現することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の電流制限は、図12に示すようにサーボモータのトルク(電流値)0を基準としてプラス、マイナス両方向にα%という形式で設定されている。しかし、ロボットのある動作に対して電流制限を行う場合、各サーボモータレベルで見た場合の電流値の変化は、必ずしもトルク0を中心として変化するわけではない。このため、例えばロボットの特定の動作における外力が作用しない状態でのあるサーボモータの電流指令値の変化が図12の曲線L1で示すように不規則に変動するものである場合、電流指令値に対する電流制限幅は、プラス方向にd1、マイナス方向にd2となり、異なったものとなる。これは方向によって、ロボットが外力に耐え得る力が異なることになり、柔軟度合いが一定にならないという問題がある。
【0005】
また、曲線L1の二点鎖線部分で示すようにロボットの姿勢を維持するのに必要なトルクが、既に電流制限幅を越えている状態で電流制限を作用させた場合、トルクの不足分d3だけロボットの姿勢が外力に関係なく重力に負けて変化してしまうという問題があった。
本発明は以上述べた問題を解決するためになされたものであり、ロボットの外力に対する柔軟度合いを一定とし、安定した従動動作が可能なロボット制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するための請求項1に記載された手段は、サーボモータによって駆動される複数の軸を備えたロボットを制御するロボット制御装置において、前記ロボットの姿勢に応じた重力トルク値を演算する演算手段と、前記演算手段によって演算された前記重力トルク値に基づいて前記ロボットの姿勢を維持する姿勢維持手段と、前記演算手段によって演算された前記重力トルク値に基づいて前記サーボモータに供給する電流の制限値を補間周期毎に決定する制限値決定手段と、この制限値決定手段によって決定された制限値内に前記サーボモータに供給する電流を制限して前記サーボモータを駆動する電流制限手段と、外部装置から前記ロボットに作用する外力に対して前記電流制限手段により前記サーボモータを駆動すると共に、前記ロボットを前記電流の制限値を越えて作用する外力に対して従動的に動作させる従動動作手段とを備え、前記従動動作手段は、外力に対して前記ロボットを移動させる方向を記憶する移動方向記憶手段と、前記移動方向記憶手段に記憶された移動方向と直交する方向に前記ロボットが移動した誤差量を検出する誤差量検出手段と、この誤差量検出手段によって検出された誤差量があらかじめ設定された設定範囲以内かを判別する判別手段と、この判別手段によって前記誤差量が前記設定範囲より外れる場合、前記移動方向記憶手段に記憶された移動方向に基づいて前記ロボットの従動動作を補正する動作補正手段とを備えたものである。
【0008】
(作用)
請求項1において、演算手段はロボットの姿勢に応じた重力トルク値を演算し、姿勢維持手段はこの重力トルク値に基づいてロボットの姿勢を維持し、制限値決定手段はこの重力トルク値に基づいてサーボモータに供給する電流の制限値を決定する。そして、電流制限手段は、この制限値内にサーボモータに供給する電流を制限する。このため制限値以上の電流が必要な外力がロボットに作用した時には、ロボットは外力に対して柔軟に従動する状態となる。
【0009】
請求項1において、従動動作手段によって、ロボットが外力に対して従動的に動作している間、誤差量検出手段は移動方向記憶手段に記憶された移動方向と直交する方向にロボットが移動した誤差量を検出し、この誤差量があらかじめ設定された設定範囲から外れることが判別手段によって判別された場合には、動作補正手段により移動方向記憶手段に記憶された移動方向に基づいてロボットの従動動作が補正される。従って、ロボットの従動動作があらかじめ定められた方向から一定値以上ずれた場合のみ移動方向が補正される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の全体構成を示した図である。図1において10は6軸垂直多関節ロボット、30は搬出装置31(外部装置)を備えたダイキャストマシン、40はダイキャストマシン30から搬出したワークWを載置する載置台である。
【0011】
ロボット10は、固定ベース27上にローテータ11(1軸)が鉛直な軸線を中心に水平面内で回転自在に支持され、ローテータ11上には、第1アーム12(2軸)が水平な軸線を中心に揺動自在に支持されている。この第1アーム12には第2アーム13(3軸)が水平な軸線を中心に揺動自在に支持されている。また、ローテータ11上には、水平な軸線を中心に揺動自在に第1リンク18が支持されており、この第1リンク18と第2アーム13の末端が第2リンク19で連結されいる。従って、第2アーム13は、第1リンク18が駆動されることによって揺動するようになっている。
【0012】
第2アーム13の先端部には、4軸、5軸、6軸を備える手首部14が回動可能に支持されている。手首部14の先端のフランジには、一対の把持爪17a(図5参照)を有するハンド17が取り付けられている。
ダイキャストマシン30は、鋳造されたワークWをガイド37に沿って搬出する搬出装置31を備えている。搬出装置31は、図略のシリンダによって駆動されるものであり、ワークWの搬出を開始する位置(後退端)にあることを検出するリミットスイッチ35と、搬出装置31がワークWの搬出を完了する位置(前進端)にあることを検出するリミットスイッチ36を備えている。
【0013】
次に図2に基づいてロボット10の制御装置の主な構成について説明する。図2において80は中央処理装置(CPU)である。この中央処理装置80には、メモリ81、各軸に対応するサーボユニット91〜96およびティーチングボックス70が接続されている。
サーボユニット91〜96はそれぞれサーボCPUとメモリを備えており、中央処理装置80から出力される指令回転角信号θ1〜θ6、重力トルク値Gf1〜Gf6、イナーシャ値JL1〜JL6等に基づいて、ロボット10が有する1軸から6軸を駆動するためのサーボモータM1〜M6を制御する。各サーボモータM1〜M6に連結されたエンコーダE1〜E6の出力α1〜α6は中央処理装置80およびサーボユニット91〜96に入力しており、中央処理装置80による各軸の重力トルク値およびイナーシャ値の演算とサーボユニット91〜96による位置フィードバック制御および速度フィードバック制御等に用いられる。
【0014】
メモリ81はロボット10の動作プログラムを記憶するプログラムエリアや、教示点等の加工に必要なデータを記憶する加工データエリア、エンコーダE1〜E6の出力α1〜α6等を記憶する制御データエリア等を備えている。
ティーチングボックス70は、ロボットの教示作業や、動作プログラムを入力するためのものであり、動作プログラム等を表示するディスプレイ70aと、ロボット10に対する動作指令や、動作プログラム等の入力を行うキーボード70bを備えている。
【0015】
また、中央処理装置80は、ダイキャストマシン30の制御装置37からの出力信号を入力するようになっている。この出力信号には、搬出装置31に設けられたリミットスイッチ35,36の出力信号等がある。
上記サーボユニット91〜96は、図3に示す回路の機能をディジタル制御によって達成するものである。即ち、サーボユニット91〜96は、位置ループ401、速度ループ402を備えると共に、重力トルクフィードフォワード405、加速度トルクフィードフォワード406、速度フィードフォワード407を備えている。重力トルクフィードフォワード405および加速度トルクフィードフォワード406は、速度ループ402後の指令値に入力され、速度フィードフォワード407は、位置ループ401後の指令値に入力されるようになっている。
【0016】
また、速度ループ402に重力トルクフィードフォワード405および加速度トルクフィードフォワード406が入力された後には、電流制限部403が設けられており、この電流制限部403で定められた電流指令値は、アンプ部404に出力されるようになっている。後述するように電流制限部403は、重力トルクフィードフォワード405の重力トルク値Gfに基づいて電流制限値を決定するようになっている。
【0017】
以上の構成に基づいて本実施の形態の作用を説明する。
図4に示すように本実施の形態では、ロボット10は初期位置P0(図略)から移動を開始し、P1の位置においてダイキャストマシン30から搬出されたワークWを把持する。そして搬出装置31の搬出動作に従動しながら搬出装置31が搬出を完了する搬出完了点P1’までワークWを把持し続ける。この従動動作において本実施の形態の特徴部分である後述する電流制限が実行される。また、従動動作をより安定的なものとするため、従動動作時にロボットの動作軌跡を補正する補正演算が行われる。
【0018】
ロボット10は、搬出が完了したP1’の位置から載置台40上の位置P2にワークWを移載した後、初期位置P0に復帰して1サイクルを終了する。以上の動作において、上記P0,P1,P2の位置におけるロボット10の位置および姿勢が教示点データとしてメモリ81に記憶されている。この教示点データは作業者があらかじめティーチングボックス70により教示するものである。なお、本実施の形態では、ティーチングをより容易とするために、位置P1’は教示点とせず、単にロボット10が搬出装置31の動作に従動して移動する位置となっているが、教示点として記憶しておくことも可能である。
【0019】
また、作業者は、ハンド17の位置および姿勢の基準となる工具座標系をあらかじめ設定しておく必要ある。本実施の形態の場合、工具座標系は図5に示すようにハンド17が有する2つの把持爪17aの中間に座標原点PTが設定され、この座標原点PTに対して3つの姿勢ベクトルが設定されている。即ち、ハンド17がワークWに接近する方向を示すアプローチベクトルAは、ハンド17がワークWに取り付けられている突設部Waを把持した時、搬出装置31がワークWを搬出する方向Awと平行な方向となるように設定されている。ただし、図5の場合、アプローチベクトルAとワークWの搬出方向Awとは逆向きとなる。また、一方の把持爪17aから他方の把持爪17aに向かう方向にオリエントベクトルO、アプローチベクトルAとオリエントベクトルOの両者に直交し、右手系をなす方向にノーマルベクトルNが設定されている。
【0020】
次に図6に示すフローチャートにより本実施の形態の全体の流れを説明する。動作開始時のステップ100おいてロボット10は、初期位置P0に位置している。ステップ102においてダイキャストマシン30の加工が終了し、搬出装置31のリミットスイッチ35がONとなり、ワークWが搬出開始位置に設置されたことが検出されると、ステップ104に移行し、ロボット10は教示点P1に移動して、ワークWの突設部Waを把持する。
【0021】
ロボット10に設置された図略のリミットスイッチがONとなり、ワークWの把持が完了すると、ステップ106においてロボット10は、従動動作モードとなる。従動動作モードが開始されると、ロボット10のその時の姿勢を維持するのに最低必要な重力トルクが重力トルクフィードフォワード405により指令され(姿勢維持手段)、ロボット10のモータM1〜M6に対する最大電流の制限幅が後述する通常の制限幅より低減された電流制限状態となる。この電流制限については後に図7,8にて詳述する。ロボット10は、重力トルクフィードフォワード405によりその時の姿勢を維持しつつ、この電流制限によって、搬出装置31からの外力によって従動的に変位可能となる。なお、本実施の形態では6軸全てに対して電流制限を行っているが、従動動作に関与しない軸がある場合は必ずしも全ての軸に電流制限を行う必要はない。
【0022】
ロボット10がワークWを把持したことに対応して、搬出装置31がワークWの搬出動作を開始すると、ステップ108では、従動動作モードとなったロボット10が搬出装置31の搬出方向に沿って滑らかに移動するように補正演算を行う。この補正演算については後に図9,10によって詳述する。
ステップ110では、搬出装置31のリミットスイッチ36がONとなり、ワークWの搬出動作が完了すると、従動動作モードから通常の動作を実行する通常モードに変更する。即ち、モータM1〜M6に対する電流制限状態を解除し、電流の制限幅を通常の状態とする。この後、ステップ112に移行し、ロボット10は現在位置P1’から載置台40上の教示点P2までワークWを移載する。これにより一連のワークWの取り出し作業は終了し、ステップ114に移行して、ロボット10は初期位置P0に戻り、動作を終了する(ステップ116)。
【0023】
次に上記した電流制限について説明する。本実施の形態は、従来サーボモータのトルク0を基準に設定されていた電流制限幅を、サーボユニット91〜96の制御で使用するために中央処理装置80が逐次演算する重力トルク値Gfを利用して、この重力トルク値を基準に電流制限幅を設定するものである。まず重力トルク値Gfの求め方の概要について説明する。
【0024】
各軸の重力トルク値Gf1〜Gf6は、ロボット10をモデル化することによって以下のように求められる。なお、1軸の重力トルク値Gf1は0となる理由は、ロボット10を床面に設置した場合、1軸は床面に対して垂直な軸となり重力トルクが作用しないためである。
Gf1=0
Gf2=g1・m1 +g4・m4+R1(m2+m3+m6)+g6・m6
Gf3=g2・m2+g3・m3−g5・m5+g6・m6
Gf4=−g3・m3−g6・m6
Gf5=g3・m3+g6・m6
Gf6=g6・m6
ただし、
g1:1軸から第1アーム12の重心までの水平距離
g2:2軸から第2アーム13の重心までの水平距離
g3:手首部軸心(4軸、5軸)から手首部14重心までの水平距離
g4:第2リンク19軸心より第2リンク19の重心までの水平距離
g5:第1リンク18軸心より第1リンク18の重心までの水平距離
g6:6軸よりハンド17の重心までの水平距離
R1:第1アーム12の長さ
m1:第1アーム12の質量
m2:第2アーム13の質量
m3:手首部14の質量
m4:第2リンク19の質量
m5:第1リンク18の質量
m6:ハンド17の質量
なお、g1からg6はロボット10の姿勢に応じて変化する変数である。
【0025】
次に図7により補間周期毎に各サーボユニット91〜96にて実行される各軸における電流制限部403の作用を説明する。
ステップ200で電流制限部403が実行される。この時、電流制限部403には、上記式に基づいて中央処理装置80において演算されたロボット10の現在の姿勢に対応した重力トルク値Gfと、重力トルクフィードフォワード405および加速度フィードフォワード406が入力された速度ループ402からの電流指令値Ioが入力されている。なお、重力トルク値Gfは電流指令値に換算された値となっている。
【0026】
ステップ202では、現在が従動動作モードであるか通常モードであるかを判別する。上記したステップ106で従動動作モードに設定されている場合は(YES)、ステップ204に移行して重力トルク値Gfを基準とした電流制限を行う。また、通常モードに設定されている場合は(NO)、従来のサーボモータのトルク0を基準とした通常の電流制限を行うため、ステップ216に移行する。
【0027】
従動動作モードでは、ステップ204にて電流指令値Ioが電流制限の上限値を越えていないかを判断する。この上限値は、重力トルク値Gfを基準として設定されてGf+dとなり、制限幅dは後述する通常モードの制限幅Imax,Iminより小さい値に設定されている。このステップ204において、電流指令値Ioが電流制限の上限値Gf+dを越えていないならば(YES)、ステップ208に移行する。また、電流指令値Ioが電流制限の上限値Gf+dを越えているならば(NO)、ステップ206に移行して、電流指令値Ioを上限値Gf+dとし、ステップ212に移行する。
【0028】
ステップ208では、電流指令値Ioが電流制限の下限値を下回っていないかを判断する。電流制限の下限値は、上限値と同様に重力トルク値Gfを基準として設定され、Gf−dとなる。電流指令値Ioが下限値Gf−dを下回っていないならば(YES)、ステップ212に移行する。また、電流指令値Ioが電流制限の上限値Gf−diを越えているならば(NO)、ステップ210に移行して、電流指令値Ioを下限値Gf−diとし、ステップ212に移行する。
【0029】
ステップ212では、ステップ206から210で決定した電流指令値Ioをアンプ部404に出力し、電流制限部の作用を終了する(ステップ214)。
一方、ステップ216以降の通常モードの場合は、上記したように電流制限幅がトルク0を基準とした上限値Imaxと下限値Iminに設定される点が異なるのみで基本的を流れは同じであるため説明を省略する。
【0030】
以上の過程によって、電流指令値Ioは、ロボットの姿勢に対応した重力トルク値Gfを基準として電流が制限され、この制限幅を越える電流値を必要とする外力がロボット10に作用した場合には、ロボット10は柔軟な状態となる。図8は、あるサーボユニットにおけるロボット10が教示点P1から搬出完了点P1’まで従動動作する時の電流制限の様子を示したものである。曲線L2は、ロボット10のモデルより中央処理装置80が演算した重力トルク値Gfの変化を示したものであり、曲線L2−1,L2−2は、曲線L2の重力トルク値Gfに基づいて設定された制限幅の上限値および下限値の変化を示したものである。また、曲線L3は実際にロボット10を教示点P1から搬出完了点P1’まで外力を作用させずに移動させた場合に出力された電流指令値の変化を示したものである。これから判るように、制限幅を実際のロボット10の電流変化にほぼ対応して設定することが可能となる。
【0031】
次に図9および図10のフローチャートに基づいて上記したステップ108における補正演算について説明する。この補正演算は、ロボット10が搬出装置31からの外力によって従動的に変位する際、ハンド17の姿勢を一定に保ちつつ、搬出装置31の動きに滑らかに追従して、ロボット10に余分な負荷を生じさせないための制御を行うものである。以下の説明では、ロボット10の移動における補間時tでの同時変換行列をKt、この同時変換行列Ktにおける姿勢データをCt、位置データPtとする。従って、同時変換行列Ktは数1で表される。
【0032】
【数1】
Figure 0003588956
【0033】
なお、上記数1において、(Ntx,Nty,Ntz),(Otx,Oty,Otz),(Atx,Aty,Atz),(Ptx,Pty,Ptz)は、ロボット座標系から見た補間時tにおけるノーマルベクトルNt、オリエントベクトルOt、アプローチベクトルAt、位置ベクトルPtの各成分である。
上記したステップ108において補正演算プログラムが起動されると(ステップ300)、ステップ302では、補間時tにおけるエンコーダE1〜E6の出力αt1〜αt6を入力して、順変換し、同時変換行列Kt’を求める。
【0034】
ステップ304では、現在従動動作中のロボット10が所定の範囲以上に搬出装置31の搬出方向Awから誤差を生じていないかを判断する。この誤差hは次のように求める。
図9に示すように、まず教示点P1から教示点P1におけるアプローチ方向A1方向に点Bを設定する。この教示点P1から点Bまでの距離は、教示点P1から搬出完了位置P1’までの距離より十分長い値にあらかじめ設定されたものである。このように点Bを設定することによって、教示点P1と点Bを通る直線Sが求まる。誤差hはロボット10の現在位置である同時変換行列Kt’の位置ベクトルPt’から直線Sまでの直線距離であるから以下の数2の関係より位置ベクトルPt’から直線Sへ垂直に下ろした点Hの位置が求まる。
【0035】
【数2】
Figure 0003588956
【0036】
この数2によって求めた点Hの位置と位置ベクトルPt’の距離を求めることにより誤差hを求めることができる。従って、誤差hがあらかじめ設定された範囲r内にある場合、即ち、図9のように直線Sを中心とする許容半径rの円柱内に位置ベクトルPt’が存在する場合は(YES)、ロボット10の補正演算を行う必要がないため、ステップ306にて目標同時変換行列Kt=Kt’としてステップ312に移行する。
【0037】
また、誤差hがあらかじめ設定された範囲内にない場合は(NO)、ロボット10の追従動作の軌跡が許容範囲以上に誤差を生じていることを示しているため、ステップ308に移行して補正演算を行う。なお、このように補正演算を行う前にステップ304にて補正を必要とするか否かを判断する理由は後に詳述する。
【0038】
ステップ308では、同時変換行列Kt’の位置ベクトルPt’を用いて目標位置データPtを求める。即ち、目標位置ベクトルPtは以下の数3で表される。
【0039】
【数3】
Figure 0003588956
【0040】
数3において、Pp1は教示点P1における位置ベクトルであり、Signは、現在の位置ベクトルPt’が教示点P1におけるアプローチベクトルA1に対して正逆いずれの方向かを示すものであり、アプローチベクトルA1に対してロボット10が移動している方向を示している。また、Spは、ロボット10が教示点P1からtまでの間に移動した距離であり以下の数4によって求まる。
【0041】
【数4】
Figure 0003588956
【0042】
ステップ310では、ステップ308によって求めた目標位置ベクトルPtと、教示点P1の姿勢ベクトルCp1より、目標同時変換行列Kt=〔Cp1,Pt〕を求め、ステップ312にてこれを逆変換し、指令回転角信号θt1〜θt6を求めてサーボユニット91〜96に出力する。以上のステップで従動動作モードの1サイクルを終了する。
【0043】
ステップ314では、ロボット10がP1’の位置まで移動し、搬出装置31によるワークWの搬出が完了したか否かを判別する。この判別はワークWの搬出完了を示す搬出装置31のリミットスイッチ36がONしたか否かを判別する。ワークWの搬出が完了したと判別された場合(YES)、ステップ320に移行して補正演算を終了し、図6におけるステップ110に移行する。また、ワークWの搬出が完了していないと判別された場合(NO)、ステップ316に移行する。
【0044】
ステップ316は、従動動作モードが開始されて所定の時間が経過したかを判別する。これは、搬出装置31のリミットスイッチ36に異常が生じた等の理由によりリミットスイッチ36がONしない場合が考えられるためである。従って、従動動作モードが開始されて所定の時間が経過した場合には(YES)、ステップ318に移行して警告を発する等の異常処理を行う。また、所定の時間が経過していない場合には(NO)、現在まだ正常な状態でワークWの搬出が行われているため、ステップ302に戻り、補正演算を繰り返す。
【0045】
以上述べたように本実施の形態では、搬出装置31からワークWが搬出される動作に従動的にロボット10が移動する際、ワークWが搬出される方向に常にロボット10の位置を補正すると共に、姿勢はワークWを把持した教示点P1の姿勢を保持するようにしたため、ロボット10が搬出装置31からの外力によって従動的に移動しても余分な力が作用することはなく、滑らかな動作が実現でき、ロボット10の耐久性が向上する。
【0046】
次に上記ステップ304における補正演算を行うか否かを判断する理由について説明する。図11(a)の模式図に示すように搬出装置31から搬出されるワークWは、搬出が開始されてしばらくの間は、ガイド37によって支持されており、この状態では、仮に上記補正演算を行わなくとも、ガイド37の存在によってロボット10が従動動作によって移動する方向と搬出装置31の搬出方向Awとはほぼ一致した状態となる。しかし、図11(b)のように搬出の最終段階でワークWがガイド37から外れると、ワークWは自由な状態となり、ロボット10の従動的に移動する方向と搬出装置31の搬出方向Awとがロボット10の剛性等によって、一致しない状態となり結果的にロボット10に余分な負荷がかかることになる。このため、上記したような補正演算によって、ロボット10の従動的に移動する方向を搬出方向Awに補正するのである。
【0047】
しかし、この補正方向は、上記したように教示点P1にて教示したアプローチベクトルA1に基づくものであるため、アプローチベクトルA1と搬出方向Awとの間には、教示誤差が存在し必ずしも一致しない。このため、図11(c)に示すように教示誤差がある状態で厳密にアプローチベクトルA1に基づいて補正を行うと、むしろロボット10の移動に伴って位置誤差dDが増大し、ワークWをガイド37に押し付け、特にガイド37の出口近傍Cでは大きな力が作用し、ワークWまたはガイド37を傷める可能性がある。このため、本実施の形態では、ある一定の範囲では補正を行わずガイド37による案内に従う遊びの状態を設けることによって、ワークWまたはガイド37を傷めず、かつある一定以上の誤差が生じた場合には適切な補正が行われるようにしているのである。
【0048】
次に他の実施の形態について説明する。上記実施の形態では、ロボット10のアプローチ方向と、搬送装置31の搬出方向とを平行とすることによって、ロボット10の従動動作の際に常に教示時のアプローチ方向A1に動作を補正するようにしているが、搬送装置31の搬出方向をあらかじめ記憶するようにしておき、この方向にロボット10をの動作を補正するようにしても良い。例えば、上記実施の形態では教示しなかった点P1’を教示し、教示点P1から教示点P1’に向かう方向をベクトルBvとして記憶する。このベクトルBvの方向にロボット10を補正すれば良く、上記数3は以下の数5となる。なお、この場合は上記した工具座標系の設定において、アプローチベクトルAをワークWの搬出方向Awと平行となるように設定する必要はない。
【0049】
〔数5〕
Pt=Pp1 + Sign・Sp・Bv
また、上記実施の形態では、ロボット10の姿勢を常に教示点P1の姿勢データCp1に保持している。しかし、搬送装置31からの外力に応じてロボット10の姿勢を変化させたほうが都合が良い場合は、ステップ302で求めた同時変換行列Kt’の姿勢データCt’を用いて、ステップ310の目標同時変換行列KtをKt=〔Ct’,Pt〕として求めれば良い。このように上記した式は、搬送装置31とロボット10の構成に応じて種々の変更が許されることは勿論である。
【0050】
さらに、以上述べた実施の形態では、図3における重力トルクフィードフォワード405の重力トルク値Gfに基づいて電流制限幅を設定したが、重力トルク値Gfに加えてロボット10の加速度トルクを考慮して電流制限幅を設定しても良い。即ち、加速度トルクフィードフォワード406は、下記の式に基づいて設定されているため、この加速度トルクフィードフォワード406から得られる値を利用することができる。
【0051】
(Jm+JL)/Kt
ただし、JLはロボット10のイナーシャ値、Jmは各サーボモータのロータのイナーシャ値であり固定値である。また、Ktはトルク定数であり固定値である。
また、加速度トルクの求め方は、特開平6−190750号等の公知技術を利用することができる。このように重力トルク値Gfに加えて加速度トルクを考慮することによって、ロボット10の動作によって生じる加速度トルクに対応して電流制限幅を設定できるため、より安定したロボット10の従動動作を実現できる。
【0052】
請求項1では、重力トルク値に基づいてサーボモータに供給する電流の制限値が決定されるため、ロボットのその時の姿勢を維持するのに最低必要なトルク(電流値)を基準として制限値を設定することができる。従って、ロボットの従動動作中にロボットの姿勢が変化しても各姿勢に対応した制限値となるため、外力の方向に関係なく柔軟度合いを一定にでき、従動動作を安定したものにでき、ロボットに外力に対する従動動作を行わせる際、ロボットの従動動作があらかじめ定められた方向から一定値以上ずれた場合にのみ移動方向を補正するようにしたため、設定されたロボットの従動方向と外力の方向との間に誤差があったとしても、その誤差を増大させることなく安定した従動動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の電気的構成を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態のサーボユニットの処理を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態の作用を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態の工具座標系の設定を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態の全体的流れを示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の電流制限部の作用を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の電流制限の様子を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態の補正演算を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態の補正演算を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態の補正演算の作用を説明するための図である。
【図12】従来の技術を説明するための図である。
【符号の説明】
10 ロボット
17 ハンド
30 ダイキャストマシン
31 搬出装置
A アプローチベクトル
W ワーク
Aw 搬出方向

Claims (1)

  1. サーボモータによって駆動される複数の軸を備えたロボットを制御するロボット制御装置において、前記ロボットの姿勢に応じた重力トルク値を演算する演算手段と、前記演算手段によって演算された前記重力トルク値に基づいて前記ロボットの姿勢を維持する姿勢維持手段と、前記演算手段によって演算された前記重力トルク値に基づいて前記サーボモータに供給する電流の制限値を補間周期毎に決定する制限値決定手段と、この制限値決定手段によって決定された制限値内に前記サーボモータに供給する電流を制限して前記サーボモータを駆動する電流制限手段と、外部装置から前記ロボットに作用する外力に対して前記電流制限手段により前記サーボモータを駆動すると共に、前記ロボットを前記電流の制限値を越えて作用する外力に対して従動的に動作させる従動動作手段とを備え、前記従動動作手段は、外力に対して前記ロボットを移動させる方向を記憶する移動方向記憶手段と、前記移動方向記憶手段に記憶された移動方向と直交する方向に前記ロボットが移動した誤差量を検出する誤差量検出手段と、この誤差量検出手段によって検出された誤差量があらかじめ設定された設定範囲以内かを判別する判別手段と、この判別手段によって前記誤差量が前記設定範囲より外れる場合、前記移動方向記憶手段に記憶された移動方向に基づいて前記ロボットの従動動作を補正する動作補正手段とを備えたことを特徴とするロボット制御装置
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