JP3588954B2 - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵トルクに基づきステアリングモータを駆動することによりステアリング軸にアシスト力を付与する電動式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動式パワーステアリング装置(特開平4−163280)は、電動のステアリングモータが焼き付き等の原因によってロックするような状況が発生した場合に、ステアリング軸に取り付けたトルクセンサから出力される操舵トルクを時間微分し、その微分値が閾値を越えた場合にロックと判定して、前記ステアリングモータを停止するとともに、クラッチをオフにするフェイルセーフ機構を設けたものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の電動式パワーステアリング装置においては、以下に述べるような問題点がある。
【0004】
キックバックその他による路面からの外乱が入力された場合に、前記ステアリングモータのパワーアシストが間に合わないため、操舵トルクが急激に変化し、図7に示されるようにその微分値が設定された前記閾値を越えてしまいロック状態と誤判定する場合があるという問題点があった。
【0005】
上記問題を解消するために操舵トルクの微分値に対する前記閾値を大きく設定すれば、ロック発生後にドライバがゆっくりと操舵トルクを付与する場合において、操舵トルクの変化率が少ないために微分値が小さくなり、図8に示されるようにロック発生の検出が遅れることになるという問題があった。
【0006】
しかも上述のような操舵を行った場合に、ロック解除時の操舵トルクが大きくなるために、解除直後に操舵角が大きく変化するという問題があった。
【0007】
さらに上記従来の電動式パワーステアリング装置における前記閾値の設定にあたり、ドライバの操作方法や操舵量に個人差があるため、操舵トルクの微分値を比較する前記閾値の設定が、一元的に決定できないという問題があった。
【0008】
本発明者らによる本発明案出に至った着眼点について、以下に述べる。
操舵系がロックされた場合には、操舵トルクの変化に対して操舵角の変化がほぼゼロに近い現象となること。なお、操舵系のねじり剛性による操舵角変化があるため、機械的なロックのように操舵速度が全くゼロになることはないので、ほぼゼロに近いと示した。
【0009】
操舵系の特性設定法として、操舵角と操舵トルクとの関係において所定のヒステリシス特性を与えたほうが運転しやすい操舵性能が得られるため、通常の操舵装置では図3に示されるような操舵特性となっているのが一般的である。
【0010】
このような操舵特性において操舵系がロックするような状態に陥ると、図4に示されるような操舵特性となり、通常設定されているヒステリシス特性を越えることが系統的実験から明らかとなった。
【0011】
そこで、本発明者らは、このヒステリシス特性を考慮した基準値を設定することにより、操舵角の変化量が基準値以下である場合において、操舵トルクの最大値および最小値を演算してその差を求め、この差が上記ヒステリシス量を考慮した基準値を越えると操舵系がロック状態にあると判断する本発明の技術的思想に着眼し、種々の車両挙動およびドライバ操舵挙動に対しても、確実にロック状態を検出するという目的を達成する本発明に到達したのである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動式パワーステアリング装置は、
操舵トルクに基づきステアリングモータを駆動することによりステアリング軸にアシスト力を付与する電動式パワーステアリング装置において、
操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
操舵角を検出する操舵角センサと、
車速を検出する車速センサと、
検出された操舵角と車速に基づき演算した操舵角の変化量が基準値以下かどうかを判定する操舵速度判定手段と、
操舵角の変化量が基準値以下の場合における操舵トルクの最大値と最小値との差が操舵系の特性である基準値としてのヒステリシス量を考慮した基準値を越えるかどうかにより前記ステアリングモータのロック状態を判定するロック判定手段と
から成るものである。
【0013】
(発明の作用)
上記構成より成る第1発明の電動式パワーステアリング装置は、操舵トルクに基づきステアリングモータを駆動することによりステアリング軸にアシスト力を付与する電動式パワーステアリング装置において、前記操舵トルクセンサが操舵トルクを検出し、前記操舵角センサが操舵角を検出し、前記車速センサが車速を検出し、前記操舵速度判定手段が、検出された操舵角と車速に基づき演算した操舵角の変化量が基準値以下かどうかを判定し、前記ロック判定手段が、操舵角の変化量が基準値以下の場合における操舵トルクの最大値と最小値との差が操舵系の特性である基準値としてのヒステリシス量を考慮した基準値を越えるかどうかにより、前記ステアリングモータのロック状態を判定するものである。
【0014】
【発明の効果】
上記作用を奏する第1発明の電動式パワーステアリング装置は、前記ロック判定手段が、操舵角の変化量が基準値以下の場合における操舵トルクの最大値と最小値との差が操舵系の特性である基準値としてのヒステリシス量を考慮した基準値を越えるかどうかにより、前記ステアリングモータのロック状態を判定するので、種々の車両挙動およびドライバ操舵挙動に対しても、確実にロック状態を検出するという効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
本第1実施形態の電動式パワーステアリング装置は、図1に示されるように一端にステアリングホイール1が配設されたステアリング軸2に取付けられた操舵トルクセンサ4により操舵トルクを検出し、検出された操舵トルクに応じて電動モータとしてのステアリングモータ5を駆動することによって前記ステアリング軸2にアシスト力を付与するものである。
【0017】
本第1実施形態の電動パワーステアリング装置は、前記トルクセンサ4のほかに操舵角を検出する操舵角センサ3と、車速を検出する車速センサ8と、これらの検出された操舵角および車速信号を入力として操舵角の変化量を求めるコントローラ9内の操舵速度演算手段91と、求められた前記操舵角の変化量が所定の基準値以下であるかどうかの判定を行う操舵速度判定手段92とを備えている。
【0018】
さらに第1実施形態の電動パワーステアリング装置は、操舵角の変化量が前記基準値以下である場合の操舵トルクの最大値および最小値を演算する最大値および最小値演算手段93と、演算された前記トルクの最大値と最小値の差と操舵系の特性であるヒステリシス量の20%増の基準値とを比較するステアリングモータのロック判定手段94とを備えている。
【0019】
上記構成より成る第1実施形態の電動パワーステアリング装置は、前記操舵速度判定手段92によって前記操舵角の変化量が所定の基準値以下であると判定された場合には、操舵系のロックが考えられるため前記最大値および最小値演算手段93によって前記基準値以下である場合の操舵トルクの最大および最小値を演算する。
【0020】
次に前記ステアリングモータのロック判定手段94によって、操舵角の変化と操舵トルクの変化が所定の特性となっているかを判断するため、前記操舵トルクの最大値と最小値との差を演算するとともに、前記演算された前記操舵トルクの最大値と最小値との差と操舵系の特性であるヒステリシスの量の基準値とが比較される。
【0021】
すなわち、操舵角の変化がないにも関わらず操舵トルクの変化量が操舵系の特性値(ヒステリシス量の基準値)を超えると操舵系がロックしたと判断する。
ここで、このヒステリシス特性は、車速が低い場合や停止時の据え切り等により特性が変化するため、本第1実施形態では、車速信号により車速が低速または停止している状況を判断し、誤検出を防止するように構成されている。
【0022】
上述したように前記操舵系がロックされたと判定された場合には、前記ステアリングモータ5へのモータ電流が停止されるとともに、該ステアリングモータ5を前記ステアリング軸2に結合するクラッチ6をオフにするように制御されることにより、マニュアルステアが可能な操舵系となり、フェールセーフ機構を実現するものである。
【0023】
上記作用を奏する第1実施形態の電動式パワーステアリング装置は、電動パワーステアリング装置において、種々の車両挙動およびドライバ操舵挙動に対しても確実に前記ステアリングモータ5のロック状態を検出できるという効果を奏する。
【0024】
(第2実施形態)
本第2実施形態の電動式パワーステアリング装置は、図1に示されるように操向操作を行うためのステアリングホイール1と、該ステアリングホイール1に上端が連結されたステアリング軸2と、前記ステアリングホイール1の操舵力をアシストするステアリングモータ5と、該ステアリングモータ5のアシスト力をステアリング軸2へ伝達するクラッチ6と、操舵力を操向車輪Wへ伝達するためのステアリングリンク7とから成る。
【0025】
また、前記ステアリング軸2の回転角度を検出する操舵角センサ3と、前記ステアリング軸2に取り付けられステアリング軸における操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ4と、前記ステアリングモータ5のロック判定に必要な車速を検出する車速センサ8が電動式パワーステアリング装置に配設されている。
【0026】
さらに前記操舵角センサ3によって検出された前記ステアリング軸の操舵角度と、前記ステアリング軸2に取り付けられステアリング軸における前記操舵トルクセンサ4によって検出された前記操舵トルクと、前記ステアリングモータ5のロック判定に必要な前記車速センサ8によって検出された前記車速に基づき前記ステアリングモータ5およびクラッチ6の動作を制御するコントローラ9を備えている。
【0027】
前記コントローラ9を構成するCPUにおけるロック検出とステアリングモータの制御手順のプログラム(フローチャート)は、図2に示されるもので、前記CPUのROMに予め格納されている。
【0028】
図2に示される本第2実施形態におけるフローチャートは、前記ステアリングモータ5のアシスト力が付与されるようにクラッチONの状態で走行している場合に、ステアリングモータ5がロックしたか否かのフェールセーフ機構を示したものである。
【0029】
まずステップ10において、前記操舵トルクセンサ4により検出された操舵トルクTが読み込まれ、ステップ20において、前記操舵角センサ3からの操舵角θが読み込まれ、ステップ30において前記車速センサ8からの車速信号Vが読み込まれる。
【0030】
次にステップ40において、前記ステップ10ないしステップ30において読み込まれた前記操舵トルクT、前記操舵角θおよび前記車速信号Vに基づき、操舵アシスト量が演算される。
【0031】
ステップ50において、前記操舵角θの絶対値が基準値θend(ハンドルエンドを判定するための正の定数) 以上であるか否かの判定が行われる。従って、前記基準値を越える場合にはハンドルエンドと判定してステップ90へ進み、前記基準値を越えない場合にはハンドルエンド以外すなわち本来ならば実質操舵可能な範囲であるとの判別が行われ、ステップ60へ進む。
【0032】
ステップ60において、車速Vが停車状態または低速での走行状態を判定するための正の数である基準値V0以下であるか否かの判別が行われ、基準値以下の場合にはステップ90へ進み、基準値を越えている場合にはステップ70へ進む。この判定は、以降で記述する操舵系のヒステリシス特性が停止または低速状態で異なるために行うものである。
【0033】
ステップ70において、操舵角θの微分値を演算し、操舵速度を求める。そしてステップ80において、前記ステップ70において求めた操舵速度dθ/dtが基準値dθ0/dt以下であるか否かの判定が行われる。すなわちここでは、操舵速度が基準値以下であるならば前記ステアリングモータ5がロックされステアリング軸が回転できない恐れがある状態であり、前記基準値以下の場合にはステップ100へ進み、基準値を越えている場合にはステップ90へ進む。
【0034】
ステップ90においては、操舵速度が基準値を越えているためステアリング軸は回転している状況であり、かつ車速も基準値を超えるとともにハンドルエンドの状況でもないことから、正常にステアリングモータが作動していると判定し、ロック判定に必要な値の初期化を行う。
【0035】
ステップ100において、操舵速度が所定の基準値以下である場合の回数Nをインクリメントし、所定の回数(時間)内に操舵速度が変化しないことをチェックする。
【0036】
ステップ110において、操舵速度が前記基準値以下すなわち操舵速度が変化しない状況で操舵トルクが変化するか否かを調べるために操舵トルクの最大値および最小値を求める。
【0037】
ステップ120において、インクリメントされたNの回数を所定の回数(時間)に達したか否かを判別し、所定の回数(時間)に達しない場合にはステップ140へ進み、所定の回数(時間)に達した場合にはステップ130へ進む。
【0038】
ステップ130において、前記ステップ110で求めた操舵トルクの最大値と最小値の差を求めるとともに、求めた差と操舵系のヒステリシス特性値T0とを比較し、前記求めた差が操舵系のヒステリシス特性値T0 より小さく、正常にステアリングモータが作動している場合には通常の操舵範囲内と判断してステップ140へ進む。
【0039】
ステップ130において、上述のように判定する状況としては、例えば直進走行中のような操舵角の変化がなく操舵トルクが小さい場合が考えられ、このような状況での誤判定を解消することができる。
【0040】
ステップ140において、前記ステップ40において演算されたアシスト量に基づき前記ステアリングモータ5への制御信号が出力される。
【0041】
ステップ130において、操舵速度が所定の基準値以下で、かつ操舵トルクの最大値と最小値の差が、操舵系のヒステリシス特性値T0 よりも大きいと判定された場合は、操舵トルクが作用しているにも関わらず操舵速度が変化しない状況すなわち前記ステアリングモータ5のロック状態であると判定される。
【0042】
ステップ150において、前記ステアリングモータ5への電流をオフにしてマニュアルステアリングによる操舵が可能として、フェールセーフ機構を達成するものである。
【0043】
ステップ160においては、運転者へ電動パワーステアリング装置にステアリングモータのロック状態が発生したことを伝達する警報が表示される。
【0044】
上記構成より成る第2実施形態の電動式パワーステアリング装置は、ステアリング軸に取り付けられた前記操舵角センサ3と前記操舵トルクセンサ4によって操舵角および操舵トルクが検出され、通常の操舵においては操舵トルクまたは操舵角の検出結果に応じて前記ステアリングモータ5を駆動することによってアシスト力を付与するものである。
【0045】
本第2実施形態の電動式パワーステアリング装置において、前記ステアリングモータ5が焼き付けや異物の噛み込み等によってロック状態になった後、ドライバがさらに操舵しようとすると、操舵角の変化量が少ないにも関わらず大きな操舵トルクが作用する。
【0046】
したがって、コントローラ9においては、操舵角の検出結果を微分して操舵速度を求め、この操舵速度が所定の基準値以内であり、かつ操舵トルクの最大値と最小値の差が、通常の操舵におけるヒステリシス値T0 より大きな操舵トルクが作用した場合には前記ステアリングモータ5を停止するとともに、該ステアリングモータ5をステアリング軸に結合する前記クラッチ6をオフするように制御し、アシスト力が作用しないマニュアル操舵が可能な状態に切り替えるものである。
【0047】
図3は、本第2実施形態に用いられる操舵装置の操舵角と操舵トルクの特性を示したものであって、操舵トルクと操舵角の間には図示されているようにヒステリシスを有する特性となっている。この特性は、運転者が操縦しやすいように設定されており、ヒステリシスが全く無い場合には運転者の操舵力によって操舵角が敏感に変化するため、直進走行時のふらつきが大きくなったり、レーンチェンジのような走行タスクにおいてはレーン復帰後の修正操舵が多くなる等の運転挙動が見られ、運転者にとって走行しずらい特性となる。
【0048】
上記のような操舵トルクと操舵角の特性を着眼点として、操舵装置のロック状態が発生した結果を示したものが図4であるが、図3に示されたヒステリシスの値よりも大きな操舵トルクが作用するとともに、操舵角の変化がほとんどないことが確認出来る。
【0049】
上記作用を奏する第2実施形態の電動式パワーステアリング装置は、実際にステアリングモータがロックした場合の結果を示す図5(A)ないし(C)から明かなように前記ステアリングモータ5がロックしてから、運転者が所定の操舵トルクを付与すると前記ステアリングモータ5をオフするとともに前記クラッチをオフするためマニュアルステアリング装置に切り替えられ、ロック発生から解除後の車両走行軌跡も安定した挙動が示され運転者に違和感がなく、かつ車両の走行安定性を確保することができるという効果を奏する。
【0050】
また、図5(B)中に示す上述した従来技術においては、操舵トルクの微分値を判定値とするために運転者がゆっくりとした操舵トルクを付与する場合になかなか解除されないという問題点があったが、本第2実施形態によれば操舵トルクの微分値すなわち変化速度がゆっくりとした操舵においても解除されるという効果があることが確認される。
【0051】
また第2実施形態において、前記ステアリングモータ5がロックしておらず正常に動作している状況において、キックバック等によって路面からの外乱が付与された場合には、操舵トルクが急激に大きくなるが、操舵角の変化すなわち操舵速度が前記基準値を超えるため、これらの外乱による誤検出を防ぐことができる。
【0052】
すなわち本第2実施形態においては、従来における操舵トルクが急激に変化してその微分値が設定された前記閾値を越えることによるロック状態であるとの上記誤検知は、防止される。操舵トルクの変化とともにそれに応じて操舵角度の変化があるかどうかの判断を行っているので、キックバック等による路面外乱入力時の車両挙動の影響によって操舵トルクが大きくなった場合でも、操舵角の変化すなわち操舵速度が大きくなるためである。
【0053】
また本第2実施形態においては、ドライバがゆっくりと操舵する場合においても、操舵トルクを検出してその大きさによって判定を行うため、従来における操舵トルクの微分値に対する前記閾値を大きく設定した時のロック発生の検出が遅れることを防止して、ドライバの操作方法や操舵能力に左右されることなく検出を行うことができる。
【0054】
さらに第2実施形態においては、ロックを解除する操舵トルクの前記基準値が通常の操舵における操舵トルクよりもやや大きい値を設定することができるため、従来のように解除時の操舵トルクが大きいために操舵してしまうことを抑制することができる。
【0055】
また第2実施形態においては、ドライバの操作方法や経験、操舵能力に左右されることなく車両の操舵特性からの判断を行うため、個々の車両に設定される操舵特性を与えることにより、基準値の設定が一元的に設定することができる。
【0056】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0057】
上記実施形態においては、一例としてステップ70において操舵角の微分値を用いたが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、下記の式に示すように操舵角の差分Δθを求め、該差分に基づき判定を行っても良いものである。
Δθ=θn −θn−k
【0058】
また上記実施形態においては、一例として操舵トルクの最大値と最小値の差を操舵系のヒステリシス特性値T0 と比較したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、操舵トルクのピーク値を用いて比較する方法もあり得る。
【0059】
さらに操舵系のヒステリシス特性値T0 は、車両走行中に学習しながら決定させる方法もあるし、停止時や低速での特性を予めマップ化して比較する方法を用いれば、より正確な検出を行うことができる。
【0060】
また上記実施形態においては、操舵角と操舵トルクとのヒステリシス特性値を用いたが、図6に示されるような操舵速度と操舵トルクのヒステリシス特性値を用いても良い。この場合には、上記実施形態に示した操舵速度の判定機構が不要となる利点が挙げられる。また、この場合は、操舵トルクの基準値を固定値とすることもできるし、車速の増大に応じて基準値を減少する設定としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2実施形態の電動式パワーステアリング装置の概略を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態におけるステアリングモータのロック検出およびステアリングモータの制御の手順を示すチャート図である。
【図3】本第2実施形態の操舵装置における操舵角と操舵トルクの関係を示す線図である。
【図4】図2の特性において、ステアリングモータがロックした場合の特性を示す線図である。
【図5】本第2実施形態において実際のステアリングモータのロック検出を行った際における操舵角および操舵速度の時間変化、操舵トルクの時間変化、および車両走行軌跡をそれぞれ示す線図である。
【図6】本発明のその他の実施形態におけるステアリングモータのロック検出を行う場合の操舵系の特性を示す線図である。
【図7】従来装置における路面からの外乱入力時に操舵トルクの微分値が大きくなって誤検出となる場合を説明する線図である。
【図8】従来装置において操舵トルクの微分値を比較する閾値の設定値を大きくした場合の問題点を説明する線図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリング軸
4 操舵トルクセンサ
5 ステアリングモータ
Claims (1)
- 操舵トルクに基づきステアリングモータを駆動することによりステアリング軸にアシスト力を付与する電動式パワーステアリング装置において、
操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
操舵角を検出する操舵角センサと、
車速を検出する車速センサと、
検出された操舵角と車速に基づき演算した操舵角の変化量が基準値以下かどうかを判定する操舵速度判定手段と、
操舵角の変化量が基準値以下の場合における操舵トルクの最大値と最小値との差が操舵系の特性である基準値としてのヒステリシス量を考慮した基準値を越えるかどうかにより前記ステアリングモータのロック状態を判定するロック判定手段と
から成ることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
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