JP3588815B2 - 音源装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、楽音波形データをメモリから順次読みだして楽音を形成する音源装置に関し、特に、ピッチ変化があっても楽音波形データとエンベロープ信号のアタック部での読出しの同期を取ることのできる音源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
楽音波形データ(サウンドデータ)メモリを使用する音源装置では、通常、サウンドデータを記憶するメモリとともにEG(エンベロープジェネレータ)信号の発生部を備えており、メモリから読み出すサウンドデータに対してEG信号を付与するようにしている。図9は、上記サウンドデータとEGデータ(信号)の一例を示している。サウンドデータは、図に示すように楽音のアタック部を構成するアタックデータと、その後方に配置されているループデータを含んでおり、EGデータは、A(アタックフェーズ)、D(ディケイフェーズ)、S(サスティンフェーズ)又はD2(第2ディケイフェーズ)、及びR(リリースフェーズ)に分けられ、一般に、図に示すような形状にある。そして、サウンドデータを読み出していく時に、同時にEGデータも形成し、サウンドデータに対してEGデータを付与する。なお、ループデータはLSA(ループスタートアドレス)とLEA(ループエンドアドレス)間に設定されており、読出アドレスがLEAに達するとLSAに戻り再びループデータを読み出すといった繰り返し読出しが行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の楽音形成方法において、ピッチを変化させる場合にはサウンドデータの読出アドレスの変化幅を変える。たとえば、ピッチが高くなるとアドレスの変化幅を大きくし、ピッチが低くなるとアドレスの変化幅を小さくする。しかし、このように、ピッチの変化に応じて読出アドレスの変化幅を変えていくと、EGデータの発生速度は一定であるために、EGデータのアタックフェーズからディケイフェーズに移行するタイミングと、サウンドデータのアタックデータからループデータに切り変わるタイミングとが一致しなくなり、適正な楽音を形成できなくなる問題がある。
【0004】
そこで、従来は、ピッチ変化に応じてアタックフェーズの傾きを変化させる、いわゆるキースケーリング手法が提案されていた。
【0005】
しかしながら、上記のキースケーリング手法では、EGデータのアタックフェーズとサウンドデータのアタックデータとを一応対応させることが出来ても、厳密な連動が難しく、しかもEGデータの形状を変えるための構成が複雑になる問題があった。
【0006】
この発明の目的は、サウンドデータ(楽音波形データ)に厳密に連動するEGデータの形成を簡単な構成で実現することのできる音源装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る音源装置は、楽音波形データの読出しを監視する手段を設け、アタックフェーズの楽音波形データの読出しの終了を検出した時に、強制的に、EGデータをアタックフェーズからそれ以降のフェーズに移行させるようにしたものである。
【0008】
すなわち、この発明の音源装置は、楽音の少なくとも立ち上がりのアタックフェーズの楽音波形データ及びアタックフェーズ以降の楽音波形データを記憶した楽音波形データ記憶手段と、
前記楽音波形データを、外部から与えられる発音指令の楽音ピッチに応じた速度でアタックフェーズの部分から連続して読み出す読出制御手段と、
外部から与えられる発音指令に従い、アタックフェーズ及びそれ以降のフェーズの楽音特性の時間変化を表すエンベロープ信号を発生するエンベロープ信号発生手段と、
前記読出制御手段が読み出した楽音波形データに前記エンベロープ信号を付与するエンベロープ付与手段と、
前記読出制御手段がアタックフェーズの楽音波形データの読出しの終了を検出すると、その検出信号を前記エンベロープ信号発生手段に与えて、前記エンベロープ信号発生手段が発生するエンベロープ信号をアタックフェーズからそれ以降のフェーズに移行させ、その移行のタイミングと、前記読出制御手段による前記楽音波形データの読み出しがアタックフェーズからそれ以降のフェーズへ移行するときの移行のタイミングとを連動させるフェーズ移行制御手段と、
を備えることを特徴とするものであり、
また、前記読出制御手段は、前記楽音波形データ記憶手段に記憶されているアタックフェーズの楽音波形データについては1回だけ、それ以降のフェーズの楽音波形データについては繰り返し読出し制御を行うようにしたものである。
【0009】
【作用】
楽音発生の指令があると、楽音波形データ記憶手段の発音すべき楽音のスタートアドレスが設定され、アタックデータの読出しが開始される。それとともに、EG(エンベロープ)信号発生手段がEG信号を発生し始める。このEG信号を前記楽音波形データ記憶手段から読みだされる楽音波形データに付与することにより、EG制御された楽音波形データが形成される。このような制御中に、フェーズ移行制御手段が楽音波形データの読出しを監視しており、アタックフェーズの楽音波形データの読出しの終了を検出すると、前記EG信号をアタックフェーズからそれ以降のフェーズへ強制的に移行させる。発音すべき楽音のピッチが変わると、この楽音波形データの読出し速度が変化するが、このフェーズ移行制御によりピッチの高低に係わらず、アタックフェーズの楽音波形データの読出し終了と同時にEG信号のアタックフェーズも終了し、その後ループデータの読出しとなる。したがって、楽音波形データのアタック部分とEG信号のアタック部分はピッチの高低に係わらず、常に厳密に連動する。
【0010】
アタック部の制御が上記のようにして行われた後は、公知のループ部の制御が行われる。すなわち、ループ部のスタートアドレスから順次楽音波形データを読みだしていき、ループエンドアドレスに達すると再びループスタートアドレスに戻りループデータの繰り返し読出しを行う。このループデータに対しては、キーオフされるまでD及びそれに続くS又はD2のフェーズのEG信号が付与され、キーオフのタイミングでRのフェーズのEG信号が付与される。
【0011】
【実施例】
以下、この発明に係る音源装置をテレビゲーム機に使用される音源LSIに適用した実施例について詳細に説明する。
【0012】
図1は上記テレビケーム機の構成図である。ゲーム機本体1には、ディスプレイ4及びスピーカ5が接続されている。これらディスプレイ4及びスピーカ5としてはテレビ受像機に内蔵のものを用いることもできる。また、ゲーム機本体1には前記ディスプレイ4,スピーカ5の他に、ゲームプログラムを記憶したROM19を内蔵するゲームカートリッジ3、及び、ゲームを行うためにプレーヤーが操作するコントローラ2が接続されている。コントローラ2はケーブルを介してゲーム機本体1と接続され、ゲームカートリッジ3はゲーム機本体1に設けられたスロットに挿入される。ゲーム機本体1にはMCPU10が内蔵されており、このMCPU10はゲームの進行等装置全体の動作を制御する。MCPU10には、前記コントローラ2、ゲームカートリッジ3内のROM19、表示制御用のディスプレイコントローラ14、及び、効果音やBCM発生用の音源LSI11が接続されている。音源LSI11には発音制御用のサウンドCPU(SCPU)12、SCPU12のプログラムやPCM波形データ(楽音波形データ)等が記憶されるDRAM13、及び発生した楽音データをアナログの楽音信号に変換するD/A変換回路16が接続されている。D/A変換回路16には前記スピーカ5が接続されている。音源LSI11は外部入力端子を備えており、外部から外部音源装置18を接続し、ディジタル音声データを入力することも可能である。また、ディスプレイコントローラ14には画面表示データを記憶するVRAM15及び前記ディスプレイ4が接続されている。
【0013】
このゲーム機本体1にゲームカートリッジ3がセットされ電源がオンされると、まずMCPU10は所定の画面データを読み込んでディスプレイコントローラ14に送るとともに、効果音やBGMを発生するためのプログラムや楽音波形データとしてのPCM波形データをDRAM13に書き込む。この後、コントローラ2の操作によってゲームがスタートし、ゲームの進行に従って、画面データの書換えや効果音,BGMの発音が行われる。ゲーム進行制御すなわち画面データの書換えはMCPU10が直接制御する。効果音やBGMの発生は、MCPU10がSCPU12に対して指示し、具体的な音声信号の合成は、DRAM13に書き込まれたプログラム,PCM波形データに基づいてSCPU12が行う。
【0014】
図2は前記音源LSI11の内部ブロック図である。この音源LSI11ではPCM回路23が、DRAM13に記憶されたPCM波形データを順次読みだすことによってディジタル低周波信号を形成する。上述したように、ゲームカートリッジ3がスロットにセットされ電源がオンされるごとに、その内蔵ROM19からDRAM13に対して新たなデータが書き込まれる。これにより、ゲームごとに異なる独自の効果音やBGMが発音される。DRAM13にはメモリコントローラ21を介してMCPU10,SCPU12、及び、音源LSI11内のPCM回路23,DSP24が接続されており、それぞれが時間をシェアしながらDRAM13をアクセス可能になっている。MCPU10及びSCPU12はCPUインターフェイス20を介してメモリコントローラ21と接続されている。CPUインターフェイス20には、MCPU10及びSCPU11がPCM回路23やDSP24にデータをセットするためのレジスタ22が接続されている。図3は上記DRAM13の内部構成図である。同図に示すように、DRAM13には、ボイス波形データ記憶エリアが割り当てられている。また、その他、DSPリングバッファ等も設けられている。ボイス波形データ記憶エリアには、BGMや効果音用の音声信号を発生するための複数種類のボイス波形データ、すなわち、PCM波形データが記憶される。ボイス波形データには、たとえば、サンプリングされた効果音や楽器音等の楽音波形データが記憶されるが、いわゆるループ読出しを可能にするために、スタートアドレスSA,ループスタートアドレスLSA,ループエンドアドレスLEAが設定されており、図の矢印で示すような順序によってループによるLSAからLEAまでの繰り返し読出しを可能にし、メモリの節約を図っている。
【0015】
図2に示す音源LS111では、PCM回路23において32スロット(32チャンネル)の時分割処理が出来るようになっていて、PCM回路23の構成を工夫することより、任意のスロットの楽音信号を他の任意のスロットの楽音信号の変調用に使用することができたり、DRAM13に変調用PCM波形データを記憶しておいて、このPCM波形データを、PCM内で生成される楽音信号の変調用に使用できるようになっている。
【0016】
前記DSP24は、入力されたディジタル低周波信号のうち楽音信号に対してモジュレーションやフィルタリング等の種々の効果を付与して出力ミキシング回路OMIX25に出力する。
【0017】
図4は前記PCM回路23の内部構成を示す図である。このPCM回路23は、位相発生器30、アドレスポインタ31、補間器32、振幅変調用低周波発振器(ALFO)35、エンベロープジェネレータ(EG)36、乗算器37、出力コントローラ38からなっている。なお、以下に説明する動作は、時分割で32スロット(チャンネル)並行に行われている。
【0018】
位相発生器30にはSCPU12から音名に対応するFNSデータ及びオクターブデータOCTが設定される。位相発生器30は、これらのデータに基づいて所定のサンプリング周期(例えば32kHz)毎に位相データを発生出力する。この位相データはアドレスポインタ31に入力される。アドレスポイント31には、PCM波形データを指定するデータとしてスタートアドレスSA,ループスタートアドレスLSA,ループエンドアドレスLEAがSCPU12から入力される。アドレスポインタ31は位相発生器30から入力された位相データに基づいてアドレスの歩進量を決定し、小数部を含むアドレスデータを出力する。小数部データFRAは補間器32に出力され、この小数部を挟む2つの整数アドレスMEAはメモリコントローラ21を介してDRAM13に出力される。
【0019】
入力された2つの整数アドレスMEAによってDRAM13から隣接する2つのPCM波形データが読みだされる。DRAM13から読みだされたPCM波形データはメモリコントローラ21を介して補間器32に入力される。補間器32は、入力された2個のPCM波形データをアドレスポインタ31から入力された小数部データFRAの値に応じて補間することにより該サンプリングタイミングのディジタル低周波信号を形成する。補間器32の出力は乗算器37に入力される。乗算器37には、さらに、ALFO35及びEG36から矩形波や鋸歯状波等の低周波信号又は図5に示すようなEGデータが供給される。乗算器37では、各スロットの処理単位である1ワードごとに乗算を行って、出力コントローラ38に出力する。このようにして、補間器32の出力であるディジタル低周波信号はALFO35又はEG36のデータでエンベロープ制御を受け、その信号が出力コントローラ38を介してDSP24に出力される。
【0020】
DSP24では、そのように制御されたデータを、適当なフィルタ操作をしてから楽音出力のためにD/A変換器16に導く。
【0021】
PCM回路23では、さらにアドレスポインタ31からEG36に対して信号CHNGを出力するための制御線が設けられている。この信号CHNGは、アドレスポインタ31において、アタックフェーズのPCM波形データの読出し終了を検出した時に発生する信号である。後述のように、EG36では、この信号CHNGを受けると、EG信号をアタックフェーズからそれ以降のフェーズに移行させる制御を行う。
【0022】
図6は、PCM回路23内の位相発生器30及びアドレスポインタ31の詳細なブロック図を示している。
【0023】
位相発生器30は、シフト回路70と累算器71とで構成されている。シフト回路70は、音名に対応するFNSデータを、オクターブデータOCTに対応する分シフトして周波数データを形成する。この周波数データは累算器71に入力され位相データ、すなわちPCM波形データを読み出す相対アドレスデータ(スタートアドレスSAを0としたときのアドレス)となる。
【0024】
アドレスポインタ31は、上記累算器71から出力される相対アドレスデータからループデータ部記憶エリアの(図3参照)ループエンドアドレスLEAを減算する減算器80と、この減算器80の符号以外の出力とループスタートアドレスLSAを加算する加算器81と、該加算器81の加算結果か上記累算器71の出力のいずれかを選択するセレクタ82と、このセレクタ82の出力に絶対アドレスであるスタートアドレスSAを加算する加算器83と、上記補間器32において隣接するPCM波形データから小数部FRAに対応するデータを補間によって求めるための加算器84及びセレクタ85と、さらに、上記累算器71の出力の相対アドレスデータとループスタートアドレスLSAとを比較する比較器86とで構成される。なお、スタートアドレスSAは絶対アドレスで与えられ、各ループアドレスLSAとLEAは、ループスタートアドレスSAからの相対アドレスで与えられる。
【0025】
アドレスポインタ31の動作を、図3のボイス波形データ記憶エリアのアドレスを参照しながら次に説明する。減算器80は、累算器71の出力の相対アドレスデータからループエンドアドレスLEAのアドレスを減算するために、PCM波形データ(ボイス波形データ)の読出しの開始時には減算器80の出力の符号は負である。セレクタ82は、この減算器80の出力の符号が負である時には累算器71の出力を選択して加算器83に導く。したがって、読出し開始時においては、累算器71の出力がそのまま加算器83に出力され、ここで絶対アドレスであるスタートアドレスSAと加算されてDRAM13の実アドレスとして出力される。なお、加算器83の加算結果は整数部アドレスMEAと小数部アドレスFRAに分離され、整数部アドレスは1スロット周期の最初のサイクルでセレクタ85を介してそのまま出力され、同スロットの後半のサイクルで加算器84で前記整数部アドレスに1が加算されてセレクタ85を介して出力される。メモリコントローラ21では、1スロット周期内に上記の2つの整数部アドレスMEAを受けることにより、隣接する2つのアドレスのデータを読みだして補間器32に出力し、ここで、上記小数部アドレスFRAに対する補間を行う。
【0026】
PCM波形データの読出しが進んでいき、減算器80による減算結果の符号が負から正に変わると、その瞬間にセレクタ82を切り換える。また、上記減算器80の符号出力端子が累算器71のロード端子に接続されているために、上記符号が負から正に切り換わった瞬間に、累算器71は加算器81の出力をロードする。このロードの瞬間には、減算器80の符号以外の出力は略0(>0)であるから、累算器71にはループスタートアドレスLSAを僅かに上回る値LSA′がロードされることになる。累算器71にループスタートアドレスLSA′がロードされると、再び減算器80の出力の符号が負になる。それゆえ、セレクタ82は再び累算器71の出力を選択する。したがって、セレクタ82は、累算器71の出力の相対アドレスがループエンドアドレスLEAを越えた瞬間に加算器81の出力を選択してループスタートアドレスLSA′を出力するが、その直後に再び累算器71の出力を選択してループスタートアドレスLSA′からの歩進量を次段の加算器83に出力する。このような動作により、図3に矢印で示すような繰り返し読出しを行う。
【0027】
一方、比較器86は累算器71の出力の相対アドレスとループスタートアドレスLSAとを比較しており、両者が一致した段階でCHNG信号をEG36に対して出力する。この信号CHNGが出るタイミングは、累算器71の出力がスタートアドレスSAからループスタートアドレスLSAに達した時のタイミングである。なお、ループ動作において、ループエンドアドレスLEAからループスタートアドレスLSA′に戻った時には累算器71の出力の相対アドレスはループスタートアドレスLSAよりもわずかに進んでいるLSA′となっているから、この戻ったタイミングで信号CHNGは出ない。後述のように、このCHNGが発生するとEG36においてEGデータのフェーズをアタックフェーズからそれ以降のフェーズに切り換える。
【0028】
図7は、EG36の詳細なブロック図である。セレクタ90は、フェーズ移行制御回路91の出力に応じて“0”,“D1R”,“D2R”,“RR”のいずれかのレートデータを選択して減算器92に出力する。なお、これらのレート信号はEGデータ形成のための1クロック当たりのEGデータレート変化幅を示している。セレクタ90で選択されたレートデータは減算器92で最初は“0”から減算するデータとして使用され、次のクロックからは1クロックの遅延回路93から減算するのに使用される。減算器92の出力はEG36の出力であるEGデータとなり、また、後述のように、同EGデータがディケイレベルDLに達したかどうかレベル監視を行うためにフェーズ移行制御回路91に対して供給され、さらに上記遅延回路93にも出力される。
【0029】
上記の構成で、減算器92の出力、すなわち、EG36の出力は、セレクタ90で選択されたレートデータに基づいて、階段状に減衰していく(もちろん、レートが“0”の場合には減衰することがない)。一方、減算器92の出力がフェーズ移行制御回路91に入力されることにより、この制御回路91において、該出力と、第1ディケイから第2ディケイフェーズに移るときのディケイレベルDLとが比較され、両者が一致するかどうかの監視が行われる。一致した場合には、セレクタ90に対しD2Rのレートデータが選択されるように指示する。このディケイレベルDLは予め設定されている値であり、KON等のようなイベント発生により入力されるものではない。フェーズ移行制御回路91には、さらに、キーオン信号KON、キーオフ信号KOFF及びアドレスポインタ31からの信号CHNGが入力している。このフェーズ移行制御回路91は、キーオン信号KONを受けると、セレクタ90に対し、“0”が選択されるように指示する。また、その後、アドレスポインタ31から信号CHNGを受けると、セレクタ90に対し、D1Rが選択されるように指示する。さらに、キーオフ信号KOFFを受けると、セレクタ90に対しRRが選択されるように指示する。フェーズ移行制御回路91がこのような制御動作を行うことにより、キーオン信号KONが最初に入力されると、図8のアタックフェーズAのEGデータが出力され、続いてアドレスポインタ31より信号CHNGが入力されると第1ディケイフェーズD1のEGデータが出力され、そのEGデータレベルがディケイレベルDLに達した段階で第2ディケイフェーズのEGデータが出力されるようになり、さらに続いてキーオフ信号KOFFが入力されると、その時点からリリースフェーズRのEGデータが出力される。
【0030】
以上の制御において、アドレスポインタ31から信号CHNGが出力されるタイミングは、図6において説明したように、比較器86が、累算器71の出力の相対アドレスデータとループスタートアドレスLSAとを比較し、両者が一致したことを検出した時である。従って、この信号CHNGは、PCM波形データの読出しがループスタートアドレスLSAに達した時に発生するから、EG36においてこのタイミングでアタックフェーズAから第1ディケイフェーズD1に移行することにより、PCM波形データとEGデータとのアタックフェーズの期間が正確に連動する。即ち、図8におけるLのアタックフェーズの長さがPCM波形データのアタックフェーズの長さに連動し、発音すべき楽音のピッチに応じて正確に伸縮するようになる。
【0031】
このように、アドレスポインタ31において楽音波形データ(PCM波形データ)のアタックフェーズの読出の完了を監視し、その読出が完了したことを検出すると、信号CHNGをEG36に出力し、EG36において、この信号CHNGに基づいてEGデータのフェーズをアタックフェーズからそれ以降のフェーズに切り替えることにより、EGデータと楽音波形データとのアタック部の連動を確実に行わせることができる。これにより、ピッチ変化があっても正しい楽音を発音することができる。
【0032】
【発明の効果】
この発明では、アタックフェーズの楽音波形データの読み出し終了タイミングを検出することにより、エンベロープ信号をアタックフェーズからそれ以降のフェーズへ移行させるように制御するために、楽音波形データのアタックフェーズとエンベロープ信号のアタックフェーズとを正確に連動させることができる。このため、ピッチが変化しても常に正しい楽音の発音を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る音源装置を含む音源用LSIが適用されるゲーム機のブロック図。
【図2】同音源用LSIのブロック図。
【図3】同音源用LSIに接続されるDRAMの内部構成図。
【図4】同音源用LSIのPCM回路のブロック図。
【図5】EG36が出力するエンベロープ波形の例を示す図。
【図6】同音源用LSIの位相発生器およびアドレスポインタの詳細なブロック図。
【図7】同音源用LSIのEGの詳細なブロック図。
【図8】上記EGの動作を説明するための図。
【図9】従来の音源装置の欠点を説明するための図。
【符号の説明】
13 DRAM(楽音波形データ記憶手段)
36 EG(エンベロープ信号発生手段)
37 乗算器(エンベロー付与手段)
91 フェーズ移行制御回路
CHNG (楽音波形データ読み出し終了時に発生する信号)
Claims (2)
- 楽音の少なくとも立ち上がりのアタックフェーズの楽音波形データ及びアタックフェーズ以降の楽音波形データを記憶した楽音波形データ記憶手段と、
前記楽音波形データを、外部から与えられる発音指令の楽音ピッチに応じた速度でアタックフェーズの部分から連続して読み出す読出制御手段と、
外部から与えられる発音指令に従い、アタックフェーズ及びそれ以降のフェーズの楽音特性の時間変化を表すエンベロープ信号を発生するエンベロープ信号発生手段と、
前記読出制御手段が読み出した楽音波形データに前記エンベロープ信号を付与するエンベロープ付与手段と、
前記読出制御手段がアタックフェーズの楽音波形データの読出しの終了を検出すると、その検出信号を前記エンベロープ信号発生手段に与えて、前記エンベロープ信号発生手段が発生するエンベロープ信号をアタックフェーズからそれ以降のフェーズに移行させ、その移行のタイミングと、前記読出制御手段による前記楽音波形データの読み出しがアタックフェーズからそれ以降のフェーズへ移行するときの移行のタイミングとを連動させるフェーズ移行制御手段と、
を備えることを特徴とする音源装置。 - 前記読出制御手段は、前記楽音波形データ記憶手段に記憶されているアタックフェーズの楽音波形データについては1回だけ、それ以降のフェーズの楽音波形データについては繰り返し読出し制御を行う請求項1記載の音源装置。
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