JP3588759B2 - 鉄道軌条用電気融雪器用配電盤 - Google Patents

鉄道軌条用電気融雪器用配電盤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道軌条の分岐器に付設される電気融雪器用配電盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道軌条の分岐器では、冬季に基本軌条とトングレールとの間に積雪が固まったり結氷を生じて、トングレールの移動を困難にすることがあるため、分岐器の基本軌条に電気式の融雪器を設けて融雪や解凍することが知られており、1つの分岐器には凡そ10〜30個の電気融雪器が用いられる。道床或いは道床側部の鉄道用電柱には電気融雪器の配電盤が設けられており、電気融雪器は、配電盤のスイッチボックスに配設された複数の入切スイッチとそれぞれケーブルにて接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成にあっては、電気融雪器やケーブルが、車両の走行振動を始め、風雪や熱射等の寒暑に長期間晒されることによって断線を生じ、分岐器の融雪や解凍を部分的に妨げることとなるため、断線状態を早期に発見することが望まれるが、断線を特定できない積雪時や結氷時以外には、電気融雪器とケーブルの1つづつを絶縁抵抗器で計測しなければならず、多大な時間と労力を要するものであった。
【0004】
更に、配電盤のスイッチボックス形状は一般に矩形であって、このスイッチボックスに多数のケーブルが集中して接続されるためいわゆるタコ足配線となり、ケーブル同士が絡み合って断線の検知やメンテナンスを妨げたり、ケーブル長が必要以上に長くなって余分な負荷を生じることとなる。また、各ケーブルはスイッチボックスを貫通して、それぞれの入切スイッチに直接接続されるため、ケーブルの交換作業が繁雑なものとなっていた。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電気融雪器とその配電盤とを接続するケーブルの断線検知やメンテナンスを確実で且つ容易に行なうことのできる鉄道軌条用電気融雪器用配電盤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の目的を達成するため、鉄道軌条の分岐器に付設される複数の電気融雪器用配電盤において、前記配電盤のスイッチボックスを長尺に形成して、該スイッチボックスに収容された複数の入切スイッチをスイッチボックスの長手方向に配列し、各入切スイッチと各電気融雪器用配電盤とを接続する各ケーブルを、入切スイッチに接続される給電側ケーブルと電気融雪器に接続される受電側ケーブルとに分断して、双方のケーブルを一対のプラグにて着脱可能に連結すると共に、給電側ケーブルの複数のプラグを前記スイッチボックスの一側面に間隔を置いて突設し、各入切スイッチに前記電気融雪器と前記ケーブルの断線を報知する表示灯をそれぞれ設けたことを特徴としている
【0007】
また、前記一対のプラグは、雄型と雌型とで形成され、内外に嵌り合う両プラグの雄雌嵌合部をシールリングにて液密にシールし、両プラグの少なくともいずれか一方の反連結側端部に弾性ブッシュを内挿して、該反連結側端部外側に有底筒状のねじキャップを螺着し、該ねじキャップの底板と前記弾性ブッシュとにケーブル挿通孔を穿設すると共に、前記一方のプラグの反連結側端部の内周面を端部開口へ向けて拡開するテーパ状に形成し、前記弾性ブッシュの外周面を、前記一方のプラグの反連結側端部内周面と嵌り合う逆テーパ状に形成し、該弾性ブッシュの外周面と一方のプラグの反連結側端部内周面とでテーパ状嵌合部を形成することができる
【0008】
上述のケーブル連結構造は、弾性ブッシュのケーブル挿通孔から前記一方のプラグ内へ突出するケーブルの端部に、弾性ブッシュの内端面と当接する抜止め用突部を設けることもできる。
【0009】
【作 用】
本発明は、上述の構成によって、入切スイッチから電気融雪器までを結ぶケーブルと、それぞれの電気融雪器の断線が、入切スイッチに設けた表示灯の滅灯或いは点灯によって視覚的に表示される。分断したケーブルを一対のプラグで着脱できるようにしたことにより、ケーブルの交換やメンテナンスが容易に行なえるようになる。また、配電盤のスイッチボックスを長尺に形成して、その一側面に入切スイッチ側ケーブルのプラグを間隔を置いて突設することにより、電気融雪器側ケーブルが梯子状に間隔を置いて配設されるのでケーブル同士が錯綜しなくなり、断線時の交換やメンテナンス性に優れると共に、給電側及び受電側ケーブルの長さの画一化が図れる。
【0010】
た、一方または双方のプラグの反連結側端部においてねじキャップをねじ込みすると、弾性ブッシュがキャップの底板によってプラグ内へ押し込まれながら、テーパ状嵌合部によって弾性ブッシュが外側から圧縮され、ケーブル挿通孔の縮径によって挿通孔内のケーブルを緊締する。このように、弾性ブッシュがケーブルを緊締するので、ケーブルに引き抜き方向の外力が作用した場合にもこれによく堪え、また弾性ブッシュが一方または双方のプラグの反連結側端部内周面とケーブルとの間で圧縮されるので、プラグの反連結側端部を液密にシールし、連結側の雄雌嵌合部と共に一方または双方のプラグ内部を有効に防水するようになる。
【0011】
更に、弾性ブッシュのケーブル挿通孔からプラグ内へ突出する一方のケーブルの端部に、弾性ブッシュの内端面と当接する抜止め用突部を設けることにより、ケーブルに抜け方向の力が作用した場合に、抜止め用突部が弾性ブッシュの内端面と当接してケーブルの抜け外れが強固に防止される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図中、図1〜図4は本実施例の電気融雪器用の配電盤をそれぞれ示し、図1はスイッチボックスの蓋を取り除いた状態の平面図、図2は一部切欠き正面図、図3は断面右側面図、図4は給電側と受電側とに分断したケーブルを、一対の雄型・雌型プラグで連結した状態を示す一部断面拡大側面図である。
【0013】
配電盤1のスイッチボックス2は、ダクトの如き長尺状の筐体に形成されていて、分岐器に付設される14個の電気融雪器L1〜L14と同様に、鉄道軌条の分岐器に沿って道床(いずれも図示せず)に敷設される。スイッチボックス2には、一端外部に受電部3が、内部に受電部3で受電した電力を各融雪器に給電するための配電部4がそれぞれ設けられ、更にスイッチボックス2の一側面2a外側には、配電部4に負荷である発熱体を用いた電気融雪器L1〜L14を接続するためのコネクタ部5が設けられており、配電部4とコネクタ部5は、それぞれスイッチボックス2に枢支された開閉蓋6,7にて覆われている。
【0014】
受電部3には、単相三線式の外部電源ラインに接続するための端子が設けられ配電部4に接続されている。配電部4には、両端部にアース端子ETが1つづつ設けられ、両アース端子ET,ETの間に、図1において左から、三極型の端子ブロックTB、2個のアレスタSAR1,SAR2、単相三線式のブスバーR,N,T及び14個の単相の入切スイッチSW1〜SW14が設けられている。この入切スイッチSW1〜SW14は、電源を投入したまま入り切りが可能な負荷開閉式で、スイッチボックス2の内部に長手方向へ並設されており、それぞれの上面には電気融雪器L1〜L14及びケーブル8の断線を表示するための発光ダイオードLEDが1個づつ設けられている。
【0015】
コネクタ部5は、スイッチボックス2の一側面2aに間隔を置いて突設される雌型プラグFP1〜FP14と、これら雌型プラグFP1〜FP14に着脱可能に連結される雄型プラグMP1〜MP14とからなっている。入切スイッチSW1〜SW14と電気融雪器とをつなぐそれぞれの単相ケーブル8は、入切スイッチSW1〜SW14に接続される給電側ケーブル8aと、電気融雪器に接続される受電側ケーブル8bとの2本に分断されており、雌型プラグFP1〜FP14は給電側ケーブル8aの端部に、また雄型プラグMP1〜MP14は受電側ケーブル8bの端部にそれぞれ取付けられ、雌型プラグFP1〜FP14と雄型プラグMP1〜MP14の連結を通して、配電部4からの供給電力を電気融雪器L1〜L14のそれぞれへ給電するようになっている。
【0016】
図5は、上記配電盤1の結線を示し、受電部3は単相三線式配線により配電部4に接続される。配電部4では、端子ブロックTB及びブスバーR,N,Tを介して、入切スイッチSW1〜SW14がブスバーのR,N間またはT,N間に接続される。入切スイッチSW1〜SW14のそれぞれは、二極単相スイッチSと断線検出回路DET及び発光ダイオードLEDを備えている。
【0017】
図6は、14個の入切スイッチSW1〜SW14が共通とする内部回路を入切スイッチSWとして示したもので、二極スイッチSの負荷側二線の一方には変流器CTの一次巻線が接続されており、変流器CTの二次巻線には整流器RECが接続されている。この整流器RECの出力端間には、ツェナーダイオードZD、ブリーダ抵抗R1及び発光ダイオードLEDと限流抵抗R2との直列回路が互いに並列に接続されている。
【0018】
このような構成から、入切スイッチSW1〜SW14の断線検出回路DETに負荷電流が流れていれば、それぞれの発光ダイオードLEDが点灯し、また電気融雪器L1〜L14や給電側ケーブル8a,受電側ケーブル8bが断線して断線負荷電流が流れなくなれば、対応する発光ダイオードLEDが滅灯する。
即ち、電気融雪器L1〜L14や各ケーブル8のいずれにも断線がない場合には、入切スイッチSW1〜SW14のスイッチSが閉じているときに変流器CTの一次巻線に電流が流れ、整流器RECの出力が生じる。この出力はツェナーダイオードZDにより定電圧にされて発光ダイオードLEDに供給され、発光ダイオードLEDが点灯して、電気融雪器L1〜L14とそれぞれのケーブル8に断線のないことが表示される。
【0019】
一方、電気融雪器L1〜L14とそれぞれの給電側ケーブル8a,受電側ケーブル8bのいずれかが断線した場合には、対応する入切スイッチSW1〜SW14のスイッチSが閉じていても変流器CTの一次巻線に電流が流れず、整流器RECが出力を生じないから発光ダイオードLEDが滅灯して、電気融雪器L1〜L14とケーブル8の一方または双方に断線を生じたことが表示される。
【0020】
また、配電盤1のスイッチボックス2をダクトの如き長尺状の筐体に形成して、この配電盤1を電気融雪器L1〜L14が敷設される分岐器に沿って道床に敷設し、スイッチボックス2の一側面2aに、給電側ケーブル8aに接続された雌型プラグFP1〜FP14を間隔を置いて突設すると共に、これら雌型プラグFP1〜FP14に、受電側ケーブル8bに接続された雄型プラグMP1〜MP14を着脱可能に連結するようにしたから、14本の受電側ケーブル8bが梯子状に間隔を置いて道床に配設されるので、ケーブル同士が錯綜しなくなり、更に電気融雪器L1〜L14やケーブル8の断線時の交換やメンテナンス性に優れると共に、給電側及び受電側ケーブル8a,8bの長さを画一化して経済性及び作業性の向上が図れる。
【0021】
更に、電気融雪器L1〜L14やケーブル8の断線時には、これに対応する入切スイッチSW1〜SW14の発光ダイオードLEDが滅灯してこれを知らせるので、絶縁抵抗器で断線を計測していた従来と較べると、大幅な作業時間の短縮と労力の削減とが図れる。また従来の入切スイッチは、入り切りの度に電源を落とさなければならなかった断路器であったが、本実施例の入切スイッチSW1〜SW14は、電源を投入したまま入り切りが可能な開閉器であるので、断線時の交換作業やメンテナンス作業を一層容易に行なうことができる。
【0022】
図7は、2つの配電盤1,1を直列につないで、1組の電気融雪器L1〜L14の2倍の台数への配電とその断線の監視を行うための構成を示しており、従属の配電盤1(図7の右側)からは受電部3が省略され、始端の配電盤1(図7の左側)と直接結線されている。このように、スイッチボックス2を長尺に形成した2つの配電盤1,1を分岐器に沿って直列に敷設することにより、電気融雪器L1〜L14が2倍の個数となっても受電側ケーブル8bを複雑に錯綜させないで済むようになり、更に電気融雪器L1〜L14が2倍以上多数の場合にも、3つ以上の配電盤1を分岐器に沿って直列に接続することにより、受電側ケーブル8bを錯綜させることなく対応することができる。
【0023】
図4には、前記雌型プラグFP1〜FP14と雄型プラグMP1〜MP14に共通する構造を、雌型プラグFPaと雄型プラグMPとして示している。雌型プラグFPaは、スイッチボックス2の一側面2aに等間隔で穿設されるプラグ取付け孔2bと同径の円筒体20と、該円筒体20に収容される円筒状の給電側絶縁体21とからなっており、円筒体20の略中間部外周には矩形の取付けフランジ20aが周設されている。円筒体20には、反連結側の開口部にリング状の底板20bが周設され、雄型プラグMPとの連結側となる雌部20cの外周におねじ20dが刻設されている。
【0024】
円筒体20の内孔には、上述の給電側絶縁体21が接続端子を円筒体20の底板20b内側へ臨ませて収容されており、雌型プラグFPaは、シートパッキン22を外挿した円筒体20の連結側を、スイッチボックス2の一側面2a外側から取付け孔2bへ差し込み、取付けフランジ20aを一側面2aへねじ止めして、スイッチボックス2に突設され、給電側絶縁体21に給電側ケーブル8aが接続される。
【0025】
雄型プラグMPは、雌型プラグFPaの円筒体20よりも細長い円筒体23と、該円筒体23の中間部外周及び反連結側端部に螺着されるねじリング24及びねじキャップ25と、円筒体23に収容される受電側絶縁体26及び弾性ブッシュ27とからなっている。
円筒体23には、中間部から雌型プラグFPaとの連結側へやや寄った外周面にリング状のフランジ23aが周設され、該フランジ23aから連結側の雄部23b外周が、雌型プラグFPaの雌部20cと同径に形成されており、フランジ23aの連結側面に凹設された周状のシール溝に、Oリング等のシールリング28が嵌着されている。円筒体23の反連結側外周にはおねじ23cが周設され、同じく円筒体23の反連結側内周にリング状のストッパ23dが周設されると共に、ストッパ23dから反連結側の内周面23eが、端部開口へ向けて拡開するテーパ状に形成されており、雄型プラグMPの雄部23bと雌型プラグFPaの雌部20cとを雄雌嵌合部29となしている。
【0026】
ねじリング24は、内周面に雌型プラグFPaの円筒体20のおねじ20dと螺合するめねじ24aが刻設され、一端開口部には雄型プラグMPの円筒体23の外径と同一の内径を有するリング状の底板24bが周設されている。またねじキャップ25は、内周面に雄型プラグMPの円筒体23のおねじ23cと螺合するめねじ25aが刻設され、一端開口部にリング状の底板25bが周設されると共に、該底板25b内にケーブル挿通孔25cが形成されている。
【0027】
弾性ブッシュ27は、ゴムや軟質の合成樹脂材料によって、雄型プラグMPの円筒体23の内周面23eよりも長く、且つ外周面27aが円筒体23の内周面23eと嵌り合う逆テーパ状に形成されている。弾性ブッシュ27の中心軸上にケーブル挿通孔27bが貫通形成されており、弾性ブッシュ27の外周面27aと雄型プラグMPの円筒体23の内周面23eとでテーパ状嵌合部30を構成している。
【0028】
ねじキャップ25は、弾性ブッシュ27を雄型プラグMPの円筒体23の内周面23eに嵌合したのち該ブッシュ27を覆って円筒体23に螺着される。ねじキャップ25と弾性ブッシュ27のケーブル挿通孔25c,27b及びストッパ23dの内周は、受電側ケーブル8bよりもやや大径に形成されていて、該ケーブル8bを余裕を以て挿通できるようにしており、ケーブル挿通孔25c,27b及びストッパ23dの内側を通して円筒体23内へ差し込まれた受電側ケーブル8bの端部は、円筒体23の連結側に収容される受電側絶縁体26に接続される。しかるのち、ねじキャップ25をねじ込みすると、弾性ブッシュ27がねじキャップ25とストッパ23dとの間で圧縮され、ケーブル挿通孔27bを縮径させて受電側ケーブル8bを強固に挟持すると共に、弾性ブッシュ27のケーブル挿通孔27b及び受電側ケーブル8bの間と、テーパ状嵌合部30の内周面23e及び外周面27aとの間とを、それぞれ液密にシールする。
【0029】
雄型プラグMPは、円筒体23の雄部23bを、雌型プラグFPaの円筒体20の雌部20cと給電側絶縁体21との間に差し込み、ねじリング24のめねじ24aを雌型プラグFPaの円筒体20のおねじ20dに螺着して、雌型プラグFPaに連結される。シールリング28は、ねじリング24のねじ込みによって、雄型プラグMPの円筒体23のフランジ23aと雌型プラグFPaの円筒体20の雌部20cの端面との間に圧縮され、雄雌嵌合部29の雄部23bと雌部20cとの間を液密にシールする。また、給電側絶縁体21と受電側絶縁体26は、上述の連結によって雌型プラグFPaと雄型プラグMPの内部で凹凸嵌合され、給電側ケーブル8aと受電側ケーブル8bとが電気的に接続される。
【0030】
雌型プラグFPaと雄型プラグMPは、ねじリング24の螺回によって簡便に着脱することができ、双方のケーブル8a,8bの交換やメンテナンスを容易に行なうことができる。また両プラグFPa,MPの内部は、上述のようにシールリング28と弾性ブッシュ27とによって液密にシールされるので、双方のプラグFPa,MPを簡便に着脱できるようにしたにも拘らず、降雨や積雪による水の浸入が有効に防止することができる。
【0031】
更に、ねじキャップ25のねじ込みによって圧縮される弾性ブッシュ27が、ケーブル挿通孔27b内の受電側ケーブル8bを強固に挟持するので、外力による給電側ケーブル8aの断線を防止できることはもとより、道床上に露出する受電側ケーブル8bを保安作業員が足で引っ掛けたり、作為的に受電側ケーブル8bを牽引することがあっても、受電側ケーブル8bの断線や給電側及び受電側絶縁体21,26の凹凸嵌合が外れるなどの不具合を有効に抑止することができるようになる。
【0032】
図8は、2本の受電側ケーブル8b,8bを連結して、配電盤1から電気融雪器L1〜L14までのケーブル長を延長するなど、ケーブル延長用の一対のプラグ構造を示しており、一方の受電側ケーブル8bには上述の雄型プラグMPがそのまま用いられている。
【0033】
上述の雄型プラグMPと組合わせされる雌型プラグFPbは、円筒体40と、該円筒体40の反連結側端部に螺着されるねじキャップ25と、円筒体40に収容される受電側絶縁体26及び弾性ブッシュ27とからなっている。
円筒体40には、連結側の雌部40a内周が、雄型プラグMPの雄部23bと同径の大径に形成されており、該雌部40aの外周に、雄型プラグMPのねじリング24のめねじ24aと螺合するおねじ40bが刻設されている。円筒体40の反連結側には、おねじ40cとリング状のストッパ40dとテーパ状の内周面40eとが、雄型プラグMPと同様に形成されており、両プラグMP,FPbの雄部23bと雌部40aとで雄雌嵌合部41が、また弾性ブッシュ27の外周面27aと雌型プラグFPbの円筒体40の内周面40eとでテーパ状嵌合部42が、それぞれ構成される。
【0034】
ねじキャップ25と弾性ブッシュ27のケーブル挿通孔25c,27b及びストッパ40dの内部には、受電側ケーブル8bが挿通され、該ケーブル8bの端部を受電側絶縁体26に接続したのち、ねじキャップ25で弾性ブッシュ27を押圧しながら、該キャップ25を円筒体40の反連結側端部に螺着する。そして、雄型プラグMPの円筒体23の雄部23bを、雌型プラグFPbの円筒体40の雌部40aと給電側絶縁体21との間に差し込み、ねじリング24のめねじ24aを雌型プラグFPbの円筒体40のおねじ40bに螺着することにより、双方のプラグFPb,MPが連結されると同時に、給電側及び受電側絶縁体21,26が凹凸嵌合して、2本の受電側ケーブル8b,8bが電気的に接続される。
【0035】
上述したケーブル延長用の雌型プラグFPbと雄型プラグMPとの組合わせによれば、配電盤1から電気融雪器L1〜L14までのそれぞれのケーブル長が異なる場合にも、一定長さの受電側ケーブル8bをつなぐことによって簡便に対応することができ、更に電気融雪器L1〜L14や受電側ケーブル8bの交換とメンテナンスにも頗る有益である。
【0036】
更に、両プラグFPb,MPの内部が、シールリング28と2つの弾性ブッシュ27,27とによって液密にシールすることができ、またそれぞれの弾性ブッシュ27が、ケーブル挿通孔27b内の受電側ケーブル8bを強固に挟持するので、受電側ケーブル8bの断線や給電側及び受電側絶縁体21,26の凹凸嵌合が外れるなどの不具合を有効に抑止することができる。
【0037】
尚、上述の雄型プラグには、円筒体内に弾性ブッシュを支承するストッパを設けたが、円筒体の反連結側の内周面と弾性ブッシュの外周面とをテーパ状に嵌合させるので、円筒体のストッパを省略しても、弾性ブッシュを有効に圧縮して受電側ケーブルの挟着力を持たせることができる。
【0038】
弾性ブッシュのケーブル挿通孔から雄型または雌型プラグの円筒体内へ突出させた給電側または受電側ケーブルの端部に抜止め用突部を設けておくことにより、受電側ケーブルが強大な外力で牽引されることがあっても、抜止め用突部が弾性ブッシュの内端面と当接するので、受電側ケーブルの断線を尚一層有効に防止することができる。また本発明の配電盤は、道床に敷設する以外に、鉄道用の電柱等に架設することも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、配電盤のスイッチボックスを長尺に形成して、該スイッチボックスの内部に複数の入切スイッチを長手方向に配列し、各入切スイッチに電気融雪器とケーブルの断線を報知する表示灯を設け、各ケーブルを入切スイッチに接続される給電側ケーブルと電気融雪器に接続される受電側ケーブルとに分断して、双方のケーブルを一対のプラグにて着脱可能に連結すると共に、給電側ケーブルの複数のプラグをスイッチボックスの一側面に間隔を置いて突設したことにより、多数の受電側ケーブルが絡み合うことなく梯子状に間隔を置いて道床に配設されるので、受電側ケーブル同士が錯綜しなくなり、電気融雪器や給電側,受電側ケーブルの断線時の交換やメンテナンス性に優れると共に、給電側及び受電側双方のケーブル長さを画一化して経済性及び作業性の向上が図れる。また、電気融雪器や給電側,受電側ケーブルの断線時には、これに対応する入切スイッチの表示灯が滅灯或いは点灯してこれを知らせるので、絶縁抵抗器で断線を計測していた従来と較べると、大幅な作業時間の短縮と労力の削減とが図れる。
【0040】
また、前記一対のプラグを雄型と雌型とに形成して、内外に嵌り合う両プラグの雄雌嵌合部をシールリングにて液密にシールし、両プラグの少なくともいずれか一方の反連結側端部に弾性ブッシュを内挿して、該反連結側端部外側に有底筒状のねじキャップを螺着し、該ねじキャップの底板と前記弾性ブッシュとにケーブル挿通孔を穿設すると共に、前記一方のプラグの反連結側端部の内周面を端部開口へ向けて拡開するテーパ状に形成し、前記弾性ブッシュの外周面を、前記一方のプラグの反連結側端部内周面と嵌り合う逆テーパ状に形成し、該弾性ブッシュの外周面と一方のプラグの反連結側端部内周面とでテーパ状嵌合部を形成することにより、双方のプラグを簡便に着脱することができるようになり、それぞれのプラグに連結された給電側または受電側ケーブルの交換やメンテナンスを容易に行なうことができるようになる。
【0041】
更に、ねじキャップのねじ込みによって圧縮される弾性ブッシュが、ケーブル挿通孔内の受電側ケーブルを強固に挟持するので、道床上に露出する受電側ケーブルを保安作業員が足で引っ掛けたり、受電側ケーブルを作為的に牽引することがあっても、受電側ケーブルを断線する等の不具合を有効に抑止することができるようになる。しかも、連結された両プラグの内部は、シールリングと弾性ブッシュとによって液密にシールされるので、降雨や積雪による水の浸入を有効に防止することができる。
【0042】
た、弾性ブッシュのケーブル挿通孔から一方のプラグ内へ突出する受電側ケーブルの端部に、弾性ブッシュの内端面と当接する抜止め用突部を設けてもよく、この場合には、受電側ケーブルが強大な外力で牽引されることがあっても、抜止め用突部が弾性ブッシュの内端面と当接するので、受電側ケーブルの断線を尚一層有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す配電盤の平面図
【図2】本発明の一実施例を示す配電盤の一部切欠き正面図
【図3】本発明の一実施例を示す配電盤の断面右側面図
【図4】給電側ケーブルと受電側ケーブルとを、一対の雄型プラグと雌型プラグとで連結した状態を示す一部断面拡大側面図
【図5】本発明の一実施例を示す配電盤の結線図
【図6】本発明の一実施例を示す入切スイッチの内部回路図
【図7】本発明の一実施例に示す配電盤を配列した状態の一部切欠き平面図
【図8】ケーブル長さを延長するために、一対の受電側ケーブルを延長用の雄型プラグと雌型プラグとで連結した状態を示す一部断面拡大側面図
【符号の説明】
ET…アース端子
TB…端子ブロック
SAR1,SAR2…アレスタ
R,N,T…ブスバー
SW1〜SW14…入切スイッチ
L1〜L14…電気融雪器
LED…発光ダイオード
FP1〜FP14,FPa,FPb…雌型プラグ
MP1〜MP14,MP…雄型プラグ
S…スイッチ
DET…断線検出回路
CT…変流器
REC…整流器
ZD…ツェナーダイオード
R1…ブリーダ抵抗
R2…限流抵抗
1…配電盤
2…配電盤1のスイッチボックス
2a…スイッチボックス2の一側面
2b…プラグ取付け孔
3…受電部
4…配電部
5…コネクタ部
8……給電側ケーブル8aと受電側ケーブル8bとからなる単相のケーブル
20…雌型プラグFP1〜FP14の円筒体
21…給電側絶縁体
20a…取付けフランジ
20b…リング状の底板
20c…雌部
20d…おねじ
21…給電側絶縁体
23…雄型プラグMPの円筒体
23a…フランジ
23b…雄部
23c…おねじ
23d…リング状のストッパ
23e…テーパ状の内周面
24…ねじリング
24a,25a…めねじ
24b,25b…リング状の底板
25…ねじキャップ
25c,27b…ケーブル挿通孔
26…受電側絶縁体
27…弾性ブッシュ
27a…テーパ状の外周面
28…Oリング等のシールリング
29…雄型プラグMPの雄部23bと雌型プラグFPの雌部20cとからなるる雄雌嵌合部
30…弾性ブッシュ27の外周面27aと雄型プラグMPの円筒体23の内周面23eとで構成されるテーパ状嵌合部
40…雌型プラグFPbの円筒体
40a…雌部
40b,40c…おねじ
40d…リング状のストッパ
40e…テーパ状の内周面
41…プラグMP,FPbの雄部23bと雌部40aとからなる雄雌嵌合部
42…弾性ブッシュ27の外周面27aと雌型プラグFPbの円筒体40の内周面40eとからなるテーパ状嵌合部

Claims (3)

  1. 鉄道軌条の分岐器に付設される複数の電気融雪器用配電盤において、前記配電盤のスイッチボックスを長尺に形成して、該スイッチボックスに収容された複数の入切スイッチをスイッチボックスの長手方向に配列し、各入切スイッチと各電気融雪器用配電盤とを接続する各ケーブルを、入切スイッチに接続される給電側ケーブルと電気融雪器に接続される受電側ケーブルとに分断して、双方のケーブルを一対のプラグにて着脱可能に連結すると共に、給電側ケーブルの複数のプラグを前記スイッチボックスの一側面に間隔を置いて突設し、各入切スイッチに前記電気融雪器と前記ケーブルの断線を報知する表示灯をそれぞれ設けたことを特徴とする鉄道軌条用電気融雪器用配電盤
  2. 前記一対のプラグは、雄型と雌型とで形成され、内外に嵌り合う両プラグの雄雌嵌合部をシールリングにて液密にシールし、両プラグの少なくともいずれか一方の反連結側端部に弾性ブッシュを内挿して、該反連結側端部外側に有底筒状のねじキャップを螺着し、該ねじキャップの底板と前記弾性ブッシュとにケーブル挿通孔を穿設すると共に、前記一方のプラグの反連結側端部の内周面を端部開口へ向けて拡開するテーパ状に形成し、前記弾性ブッシュの外周面を、前記一方のプラグの反連結側端部内周面と嵌り合う逆テーパ状に形成し、該弾性ブッシュの外周面と一方のプラグの反連結側端部内周面とでテーパ状嵌合部を形成したことを特徴とする鉄道軌条用電気融雪器用配電盤
  3. 前記弾性ブッシュのケーブル挿通孔から前記一方のプラグ内へ突出する一方のケーブルの端部に、弾性ブッシュの内端面と当接する抜止め用突部を設けたことを特徴とする請求項2記載の鉄道軌条用電気融雪器用配電盤
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