JP3587709B2 - 樹脂複合材料 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,熱可塑性樹脂とゴム及び/または熱可塑性エラストマと有機化クレイとよりなる樹脂複合材料に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,高分子材料の機械的特性や物質透過に対するバリア性を改良するために,有機化クレイを添加した複合材料が検討されている。
例えば,ナイロン,ビニル系高分子,エポキシなどの熱硬化性高分子,またはゴムに,有機化クレイを添加することが知られている(特開昭62−74957号,特開平1−198645号,E.P.GiannelisらChem.Mater.5,1694−1696(1993)等)。
【0003】
これらはクレイを有機オニウムイオンで有機化した後,層間でモノマーの重合を開始させる方法,クレイを成長種に組み込む方法,あるいはクレイを高分子と混練して高分子をクレイの層間に入れる方法により得ることができる。
なお,ここにクレイ(粘土鉱物)とは,後述するごとく層状構造を持つ珪酸塩鉱物等で,多数のシートが積層することで構成された層状構造を有する物質である。上記層間とは,各シート間の間隙のことである。
【0004】
ところで,熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良するために,ゴム及び/または熱可塑性エラストマを添加することが一般に行われている。
この場合の上記ゴムや熱可塑性エラストマとしては,熱可塑性樹脂に対する親和性を持つ官能基が結合されたり,または熱可塑性樹脂に対する親和性を持つ官能基を含むモノマが共重合されたものが使用されている。
【0005】
そして,このようにして得られた耐衝撃性に優れた上記熱可塑性樹脂に有機化クレイを加えて,耐衝撃性と共に機械的特性に優れた材料を得ようとすることが提案されていた。
この材料において,有機化クレイは熱可塑性樹脂と共に耐衝撃性を改善するために加えたゴム及び/または熱可塑性エラストマに対しても分散し,それぞれを構成する分子を拘束し,材料の機械的強度を高めていた。
【0006】
【解決しようとする課題】
しかしながら,耐衝撃性に優れた従来の熱可塑性樹脂では,添加されたゴムや熱可塑性エラストマの占める部分が,樹脂全体に対し柔軟性を付与することで,耐衝撃性の向上が図られているのである。
【0007】
そして,有機化クレイの分散でゴムや熱可塑性エラストマの部分が硬くなった場合,樹脂の柔軟性が減少するため,耐衝撃性が低下するという問題があった。
また,クレイ分散による分子の拘束により,樹脂の軟化した状態での粘度が高くなるため,成形困難という問題も生じていた。
従来材料で高い機械的特性と耐衝撃性及び優れた成形性とを兼ね備えた材料は見当たらなかった。
これら機械的特性,耐衝撃性,成形性との全てを備えた材料であれば,例えば,自動車の内外板,エンジン室内部品,電子機器のパッケージ,油などを納める容器等という分野で利用することができるため,多いに産業上有用である。
【0008】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,機械的特性と共に,耐衝撃性や成形性についても優れる樹脂複合材料を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,極性のある熱可塑性樹脂と,極性基を含有するゴム及び/または極性基を含有する熱可塑性エラストマと,有機化クレイとからなる樹脂複合材料であって,
上記極性のある熱可塑性樹脂は,ポリフェニレンエーテル系の樹脂,またはポリフェニレンエーテル系の樹脂とこれに相溶した熱可塑性樹脂であり,
また上記極性基を含有する熱可塑性エラストマはスチレン系エラストマであり,
また,上記極性基を含有するゴム及び上記極性基を含有する熱可塑性エラストマにおける極性基の含有量は上記ゴム及び上記熱可塑性エラストマ中に32mol%以下であり,
上記有機化クレイは,上記熱可塑性樹脂中に分散した状態にあることを特徴とする樹脂複合材料にある。
【0012】
また,本発明における『ゴム』『熱可塑性エラストマ』とは,極性のある樹脂と親和性を高めることができる芳香族環,水酸基,チオール基,チオエーテル基,エポキシ基,カルボン酸基,スルホン基,ハロゲン基,マレイン酸基,ニトリル基などの極性基を有するものがある。
本発明において,上記熱可塑性エラストマとしては,ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体,ポリスチレン−水添ポリブタジエンブロック共重合体,ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ブロック共重合体等のスチレン系エラストマを用いる。
【0013】
上記有機化クレイは,クレイ(粘土鉱物)を有機化剤にて有機化したものである。ここにクレイ(粘土鉱物)とは,層状構造を持つ珪酸塩鉱物等で,多数のシートが積層することで構成された層状構造を有する物質である。上記シートの中で,あるものは珪酸で構成された四面体が平面方向に多数結合して形成された四面体シートであり,あるものはAlやMgなどを含む八面体が平面方向に多数結合して形成された八面体シートである。
このシートによる層状構造やシートを構成する元素の種類等は個々のクレイによって様々である。
【0014】
このようなクレイとしては,例えば,モンモリロナイト,サポナイト,ヘクトライト,バイデライト,スティブンサイト,ノントロナイト,バーミキュライト,ハロイサイト,マイカ,フッ素化マイカ,カオリナイト,パイロフィロライト等が挙げられる。また,天然物でも合成物でもよい。
また,上記有機化剤としては各種オニウムイオン等を使用することができる。
【0015】
この各種オニウムイオンは1〜4級のアンモニウムイオンで,例えば,ヘキシルアンモニウムイオン,オクチルアンモニウムイオン,2−エチルヘキシルアンモニウムイオン,ドデシルアンモニウムイオン,ラウリルアンモニウムイオン,オクタデシルアンモニウムイオン,ジオクチルジメチルアンモニウムイオン,トリオクチルアンモニウムイオン,ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン,トリオクチルアンモニウムイオン,ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン,トリオクタデシルアンモニウムイオン等を用いることができる。
【0016】
また,ホスフォニウムイオンを用いることができる。
ホスフォニウムイオンとしては,テトラエチルホスフォニウムイオン,トリエチルベンジルホスフォニウムイオン,テトラ−n−ブチルホスフォニウムイオン,トリ−n−ブチルヘキサデシルホスフォニウムイオン,トリ−n−ブチルベンジルホスフォニウムイオン等を用いることができる。
【0017】
また,本発明の樹脂複合材料は,熱可塑性樹脂,ゴム,有機化クレイとからなる材料,熱可塑性樹脂,熱可塑性エラストマ,有機化クレイとからなる材料の他,熱可塑性樹脂,ゴム及び熱可塑性エラストマ,有機化クレイとからなる材料がある。
【0018】
そして,本発明にかかる複合材料としては,(1)熱可塑性樹脂からなる母材に対し,島状にゴム及び/または熱可塑性エラストマが点在し,母材である熱可塑性樹脂に対し有機化クレイが分散した状態にあるもの,その反対に(2)ゴム及び/または熱可塑性エラストマからなる母材に対し,島状に有機化クレイが分散した熱可塑性樹脂が点在した状態にあるもの,または(3)両者が互いに別相を構成しつつ,共存した状態にあるものが挙げられる。
【0019】
また,有機化クレイの分散状態であるが,最も望ましいのはすべての有機化クレイが熱可塑性樹脂の側に分散することであるが,ある程度の量の有機化クレイがゴム及び/または熱可塑性エラストマに対し分散しても,本発明にかかる効果を得ることができる。
具体的には,ゴム及び/または熱可塑性エラストマ100重量部に対して,有機化クレイが1重量部以下であれば,本発明にかかる効果を得ることができるため,好ましい。
【0020】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明においては,有機化クレイが熱可塑性樹脂に対して分散している。
ところで有機化クレイが熱可塑性樹脂に分散するとは,次のような状態を指している。有機化クレイは多数のシートが積層することで構成された層状構造を有しており,このシートがばらばらになって熱可塑性樹脂に分散するが,この時,各シートは熱可塑性樹脂の分子を拘束する役割を果たしている。
よって,本発明にかかる樹脂複合材料は高い引張強度,高い引張弾性率等の機械的特性に優れた材料となる(実施形態例参照)。
【0021】
そして,上記クレイは熱可塑性樹脂に対して分散しており,ゴムや熱可塑性エラストマには分散していない。そのため,本発明にかかる樹脂複合材料はゴムや熱可塑性エラストマの存在部分を中心に柔軟性や弾力性を付与されることとなり,耐衝撃性に優れた材料となる。
また,樹脂複合材料が加熱等により軟化した場合,上記ゴムや熱可塑性エラストマの部分が樹脂複合材料に流動性を付与するため,成形時には型のすみずみまで樹脂が行き渡ることができる。よって,成形性に優れた材料である。
【0022】
以上,本発明によれば,機械的特性と共に,耐衝撃性や成形性についても優れる樹脂複合材料を提供することができる。
【0023】
また,熱可塑性樹脂中に分散したクレイが物質透過を阻害するため,本発明にかかる樹脂複合材料はバリア性にも優れている。
これにより,本発明にかかる樹脂複合材は,自動車用の各種燃料タンク,各種燃料ホース,エアコン用の冷媒ホース,ラジエータタンク,酸素等の気体を遮断する必要のある食品包装用フィルム等に利用することができる。
【0024】
本発明にかかる樹脂複合材料の組成であるが,熱可塑性樹脂の含有量及びゴム及び/または熱可塑性エラストマの含有量は特に制限されることはないが,有機化クレイの含有量は熱可塑性樹脂に対して0.01〜20wt%であることが好ましい。
20wt%を越えて複合化すると,熱可塑性樹脂以外のゴム及び/または熱可塑性エラストマの側に有機化クレイが分散するおそれがある。
また,0.01wt%未満では充分な効果が得られないおそれがある。
【0025】
さらに,熱可塑性樹脂に対する有機化クレイの含有量は,0.1wt%〜10wt%であることがより好ましい。0.1wt%未満では強度,剛性等は向上するものの,バリア性が向上しないおそれがある。
10wt%を越えるとぜい化しすぎて,ゴム及び/または熱可塑性エラストマにより耐衝撃性を改善できないおそれがある。
【0026】
本発明において,上記極性のある熱可塑性樹脂としては,ポリフェニレンエーテル系の樹脂,またはポリフェニレンエーテル系の樹脂とこれに相溶した熱可塑性樹脂を用いる。
有機化クレイは上記樹脂との親和性が高く,有機化クレイが分子レベルで分散しやすく,少量の添加で,強度,剛性を大きく向上させることができる。
【0027】
また,『ポリフェニレンエーテル系の樹脂』の具体例としては,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが代表的なポリフェニレンエーテル系樹脂として挙げられるが,これを主構造とした樹脂でフェノール類,具体的にはフェノール,o−クレゾール,2,5−キシレノール,2,3,6−トリメチルフェノール類を共重合した樹脂も用いることができる。また,2種類以上のポリフェニレンエーテル樹脂を混合物としても使用できる。
【0028】
これらに相溶する熱可塑性樹脂にはポリスチレンが代表的な熱可塑性樹脂として挙げられるが,これを主構造とした樹脂で,メチルスチレン,エチルスチレン,t−ブチルスチレンを共重合した樹脂も用いることができる。
これの組み合わせで,もっとも一般的なものはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレンである。
【0029】
また本発明において,上記ゴム及び上記熱可塑性エラストマは極性基を含有してなり,更に上記極性基の含有量は上記ゴム及び上記熱可塑性エラストマ中に32mol%以下である。
これにより,ゴムや熱可塑性エラストマと,極性のある熱可塑性樹脂との間の結合をより強くすることができると共に,ゴムや熱可塑性エラストマに対する有機化クレイの分散を防止することができる。
なお,『上記極性基の含有量は上記ゴム及び上記熱可塑性エラストマ中に32mol%以下である』とは,上記エラストマは共重合体であるが,その共重合組成比として,極性基が含有されているモノマとしての割合が32mol%以下であるという意味である。
【0030】
32mol%を越えると,ゴムや熱可塑性エラストマに対し有機化クレイが分散し,ゴムや熱可塑性エラストマを硬化させ,樹脂複合材料の耐衝撃性を低下させてしまうおそれがある。また,加熱時の樹脂複合材料の流動性が低下し,成形性を低下させてしまうおそれがある。
【0031】
また,15mol%以下に制限することがより好ましい。
これにより,より確実にゴムや熱可塑性エラストマに対し,有機化クレイが殆ど分散しないようにすることができ,殆どの有機化クレイが熱可塑性樹脂に対して分散するようにできる。更に,樹脂複合材料の耐候性を維持することができる。
15mol%を越えた場合には,含有する極性基の種類によっては,耐侯性が低下するおそれがある。
【0032】
また,さらに好ましくは,2.5mol%以下とすることが好ましい。
これにより,更に確実にゴムや熱可塑性エラストマに対し,有機化クレイが殆ど分散しないようにすることができ,殆どの有機化クレイが熱可塑性樹脂に対して分散するようにできる。
2.5mol%を越えると,ゴムや熱可塑性エラストマと熱可塑性樹脂との間の接着が強くなりすぎて,場合によっては歪みが生じて熱可塑性樹脂に亀裂が入るおそれがある。
【0033】
また,本発明にかかる複合樹脂材料の製造方法としては,以下のような方法が挙げられるが,これにより制限されるわけではない。
(1)熱可塑性樹脂とゴム及び/または熱可塑性エラストマとが混合され,かつ上記熱可塑性樹脂が溶融した状態にあり,ここに有機化クレイを添加する。
(2)熱可塑性樹脂樹脂とゴム及び/または熱可塑性エラストマとを溶媒に溶解または分散させ,得られた溶液または分散液に有機化クレイを添加し,その後乾燥する。
これらの方法によって,有機化クレイが熱可塑性樹脂に分散してゴムや熱可塑性エラストマに対し分散していない樹脂複合材料を得ることができる。
なお,これらの樹脂複合材料中の有機化クレイの分散状態は,透過型電子顕微鏡観察により確認できる。
【0034】
また,上記(1)の方法においては,例えば2軸押出機を用いることで,効率よい樹脂複合材料の生産を行うことができる。
また,この場合,二軸押出機における混練の温度は,熱可塑性樹脂の溶融温度以上で混練することが必要であるが,ゴムや熱可塑性エラストマも溶融状態にあればさらに望ましい。
これは,ゴムや熱可塑性エラストマが溶融していないと,粘性が高くなりすぎて,装置を損傷する恐れがあるためである。
【0035】
また,熱可塑性樹脂やゴム,熱可塑性エラストマが溶融していれば,必要以上に温度を上げる必要がない。これにより,熱による熱可塑性樹脂やゴム,熱可塑性エラストマの劣化を防ぐことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
実施形態例
本発明の実施形態例にかかる樹脂複合材料について説明する。
本例にかかる樹脂複合材料は,極性のある熱可塑性樹脂と,ゴム及び/または熱可塑性エラストマと,有機化クレイとからなり,上記有機化クレイは,上記熱可塑性樹脂に対して分散した状態にある。
【0037】
このような本例にかかる樹脂複合材料である試料1〜5を作製し,その性質を比較試料と共に測定した。
以下に試料1〜5について説明する。
【0038】
(試料1)
極性のある熱可塑性樹脂として,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(以下,PPE1と省略する。)を準備した。
また,極性基を含有する熱可塑性エラストマとして,スチレンとブタジエンとの共重合体で,極性基としてのスチレン含有量が25mol%のもの(以下,エラストマ1と省略する。)を準備した。
また,ナトリウム型モンモリロナイト(クニミネ工業製商品名クニビアF)を用意し,これをオクタデシルアンモニウムによるイオン交換で有機化したものを有機化クレイとして用いた(以下,有機化クレイ1と省略する。)。
また,これらの材料を混練する混練機として2軸押出機を用意した。
【0039】
まず,PPE1とエラストマ1とを7対3の割合(重量)で混合,ドライブレンド物を得た。該ドライブレンド物100wt%に対して,3wt%の割合で有機化クレイ1を混合し,混合物を得た。該混合物を上記2軸押出機中に投入し,5kg/時間の速度で押出した。また,この時の2軸押出機内部の温度は280℃とした。
上記押出された溶融混練物を水冷してペレット化した。
これが試料1にかかる樹脂複合材料である。
【0040】
(試料2)
有機化クレイ1の添加量を5wt%にした他は,試料1と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料2である。
【0041】
(試料3)
有機化クレイとして,上記ナトリウム型モンモリロナイトをドデシルアンモニウムで有機化したもの(有機化クレイ2)を用いた以外は,試料1と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料3である。
【0042】
(試料4)
熱可塑性樹脂として,PPE1とこれに相溶するポリスチレンを準備し,重量比で5対5にブレンドし,ドライブレンド物を得た。該ドライブレンド物を,エラストマ1と重量比で8対2に混合し,混合物を得た。該混合物を上記と同様の2軸押出機のフィーダーから投入し,さらにサイドフィーダーから有機化クレイ1を上記混合物100wt%に対して3wt%の割合で投入した。
それ以外は,試料1と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料4である。
【0043】
(試料5)
熱可塑性樹脂としてPPE1を、極性基を含有するゴムとしての耐衝撃性ポリスチレンを用意した。
上記衝撃性ポリスチレンとは,スチレン−ブタジエン系ゴムがポリスチレン100wt%に対し20wt%添加されたものである。また,上記スチレン−ブタジエン系ゴムにおける極性基としてのスチレンの含有量は14mol%である。
なお,PPE1と耐衝撃性ポリスチレンとは,溶融・混練するとポリスチレンがPPE1と相溶し,ゴムは相溶せず,島状の構造を呈する。
【0044】
そして,上記PPE1と耐衝撃性ポリスチレンとを重量比で75対25でドライブレンドした。得られた混合物に試料1と同様にして有機化クレイ1を添加し,溶融・混練して,樹脂複合材料を作製した。これが試料5である。
【0045】
(試料6)
熱可塑性エラストマとして,スチレンとブタジエンとの共重合体で,スチレン含有量が40mol%のもの(エラストマ2)を用いた。
これ以外は試料1と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料6である。
【0046】
(試料7)
熱可塑性エラストマとして,スチレンとブタジエンとの共重合体で,スチレン含有量が40mol%のもの(エラストマ2)を用いた。これ以外は試料2と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料7である。
【0047】
(試料8)
有機化クレイとして,ドデシルアンモニウムで有機化したもの(有機化クレイ2),また熱可塑性エラストマとしてエラストマ2(上記試料7参照)を用いた以外は,試料3と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料8である。
【0048】
(試料9)
熱可塑性エラストマとして,エラストマ2を用いた以外は試料4と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料9である。
【0049】
(試料10)
衝撃性ポリスチレンを構成するスチレン−ブタジエン系ゴムにおけるスチレンの含有量は35mol%である。
それ以外は試料5と同様にして樹脂複合材料を作製した。これが試料10である。
【0050】
試料1〜10の得られたペレットについて,日精樹脂工業製 射出成形機PS40EASEで射出成形し,試験片を成形した。
この試験片で,ASTM638Mにしたがって引張試験を行い,引張強度,引張弾性率,伸びを求め,表1に記載した。
また,作製した試験片でアイゾット式衝撃試験(ノッチあり)を行い,耐打撃性を評価し,表1に記載した。
また,試料1〜10のペレットを上記射出成形機で射出し,スパイラルフロー試険を行い,樹脂の流れ性を調べ,表1に記載した。
また,試料1〜10のペレットを薄片に切断し,透過型電子顕微鏡により有機化クレイの分散状態を観察し,結果を表1に記載した。
【0051】
表1によれば,有機化クレイはいずれの試料においても,分子レベルで分散していることが確認された。しかし,試料1〜5については,ゴム及び/または熱可塑性エラストマ相への有機化クレイの分散は認められず,熱可塑性樹脂相のみに分散していた。
一方,試料6〜10については,熱可塑性樹脂及びゴム及び/または熱可塑性エラストマ相へ有機化クレイの分散がほぼどちらの相についても同様に認められた。
【0052】
熱可塑性樹脂と,ゴム及び/または熱可塑性エラストマの混合比率が同じで有機化クレイの分散状態の異なる次の組み合わせをそれぞれ比較した。
ここに組み合わせとは,(試料1と試料6),(試料2と試料7),(試料3と試料8),(試料4と試料9),(試料5と試料10)である。
【0053】
これらのそれぞれ比較すると,引張強度や弾性率は同等であるが,伸びアイゾット衝撃値やスパイラルフロー試験値では,ゴム及び/またはエラストマ相にも有機化クレイが分散した複合材料よりも,分散していない複合材料のほうが優れていることが分かった。
また,試料4と試料9は伸びは同じであるが,アイゾット衝撃値やスパイラルフローの試験値は試料4のほうが優れていることが分かった。試料5と試料10も同様にアイゾット衝撃値やスパイラルフローの試験値は試料5のほうが優れていることが分かった。
【0054】
以上のように,本例にかかる樹脂複合材料は,殆どの有機化クレイが,これを構成するシートがばらばらになって熱可塑性樹脂に分散するが,この時,各シートは熱可塑性樹脂の分子を拘束する役割を果たしている。
よって,本例にかかる樹脂複合材料は高い引張強度,高い引張弾性率等の機械的特性に優れた材料となる。
【0055】
そして,上記クレイは,ゴムや熱可塑性エラストマには殆ど分散していない。そのため,本発明にかかる樹脂複合材料はゴムや熱可塑性エラストマの存在部分を中心に柔軟性や弾力性を付与されることとなり,耐衝撃性に優れた材料となる。
また,樹脂複合材料が加熱等により軟化した場合,上記ゴムや熱可塑性エラストマの部分が樹脂複合材料に流動性を付与するため,成形時には型のすみずみまで樹脂が行き渡ることができる。よって,成形性に優れた材料である。
【0056】
以上,本例によれば,機械的特性と共に,耐衝撃性や成形性についても優れる樹脂複合材料を提供することができる。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,機械的特性と共に,耐衝撃性や成形性についても優れる樹脂複合材料を提供することができる。
Claims (1)
- 極性のある熱可塑性樹脂と,極性基を含有するゴム及び/または極性基を含有する熱可塑性エラストマと,有機化クレイとからなる樹脂複合材料であって,
上記極性のある熱可塑性樹脂は,ポリフェニレンエーテル系の樹脂,またはポリフェニレンエーテル系の樹脂とこれに相溶した熱可塑性樹脂であり,
また上記極性基を含有する熱可塑性エラストマはスチレン系エラストマであり,
また,上記極性基を含有するゴム及び上記極性基を含有する熱可塑性エラストマにおける極性基の含有量は上記ゴム及び上記熱可塑性エラストマ中に32mol%以下であり,
上記有機化クレイは,上記熱可塑性樹脂中に分散した状態にあることを特徴とする樹脂複合材料。
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