JP3587332B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なメチン化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハロゲン化銀写真感光材料の高感度化のために、多大な努力がなされてきた。増感色素においては、その光吸収率を増加させることによってハロゲン化銀への光エネルギ−の伝達効率が向上し、分光感度の高感度化が達成されると考えられる。
しかし、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着量には限界があり、単層飽和吸着以上の増感色素を吸着させるのは困難である。従って、分光増感領域における個々のハロゲン化銀粒子の入射光量子の吸収率は極めて低いのが現状である。
【0003】
これらの点を解決する方法として提案されたものを以下に述べる。
ピー・ビー・ギルマン・ジュニアー(P.B.Gilman,Jr.)らは、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジンニアリング(Photographic Science and Engineering)第20巻3号、第97貢(1976年)において、1層目にカチオン色素を吸着させ、さらに2層目にアニオン色素を静電力を用いて吸着させた。
ジー・ビー・バード(G.B.Bird)らは米国特許3,622,316号において、複数の色素をハロゲン化銀に多層吸着させ、フェルスター(Forster)型励起エネルギ−移動の寄与によって増感させた。
【0004】
杉本らは、特開昭63−138,341号、及び同64−84,244号において、発光性色素からのエネルギー移動による分光増感を行った。
アール・スタイガー(R.Steiger)らは、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジンニアリング(Photographic Science and Engineering)第27巻2号、第59貢(1983年)において、ゼラチン置換シアニン色素からの、エネルギ−移動による分光増感を試みた。
池川らは、特開昭61−251842号において、シクロデキストリン置換色素からのエネルギ−移動による分光増感を行った。
【0005】
2つの別々に共役しておらず、共有結合で連結された発色団をもつ、いわゆる連結色素については、例えば米国特許2,393,351号、同2,425,772号、同2,518,732号、同2,521,944号、同2,592,196号、欧州特許565,083号などに記載されている。しかし、これらは光吸収率向上を狙ったものではなかった。積極的に光吸収率向上を狙ったものとして、ジー・ビー・バード(G.B.Bird)、エー・エル・ボロアー(A.L.Borror)らは米国特許3,622,317号及び同3,976,493号において、複数のシアニン発色団を有する連結型増感色素分子を吸着させて光吸収率を増やし、エネルギ−移動の寄与によって増感を図った。鵜飼、岡崎、杉本は特開昭第64ー91134号において、少なくとも2個のスルホ基及び/又はカルボキシル基を含む実質的に非吸着性色素を少なくとも1つを、ハロゲン化銀に吸着されうる分光増感色素に結合させることを提案した。
【0006】
また、エム・アール・ロバーツ(M.R.Roberts)らは、米国特許4,950,587号において、シアニン色素ポリマーによる分光増感を提案した。
このように、現在まで光吸収率向上のために数多くの検討が行われてきたが、いずれも高感度化効果が十分ではなく、固有減感の増大・現像抑制なども問題であった。
以上の理由から、ハロゲン化銀感光材料の光吸収率を向上させ、高感度化させる分光増感技術が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規なメチン化合物を含有する、高感度なハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は鋭意研究を行なった結果、下記一般式(II)、又は一般式(III)で表される化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料によって達成されることを見出した。
【0010】
一般式(II)
【0011】
【化5】
【0012】
式中、Q2 は2価の連結基、又は単結合を表す。Z1 、及びZ2 は5又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表す。R1 ,及びR2 はアルキル基を表す。R3 、及びR4 はアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。L1 、L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、L7 、及びL8 はメチン基を表す。n1 、及びn2 は0、1、2、3、又は4を表す。p1 、及びp2 は0、又は1を表す。M2 は電荷均衡対イオンを表し、m2 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
一般式(III)
【0013】
【化6】
【0014】
式中、Q3 は2価の連結基、又は単結合を表す。Z3 、及びZ4 は酸性核を形成するのに必要な原子群を表す。R5 、R6 、R7 、及びR8 はアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。L9 、L10 、L11 、L12 、L13 、及びL14 はメチン基を表す。n3 、及びn4 は0、1、2、3、又は4を表す。M3 は電荷均衡対イオンを表し、m3 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【0015】
一般式(II)及び(III)のうち、好ましくは一般式(II)である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
【0017】
一般式(II)において、Z1 、及びZ2 で表される5又は6員の含窒素複素環としては、チアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3、3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、ピロリン核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核を挙げることができる。
【0018】
好ましくはオキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、チアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、及びピロリン核であり、さらに好ましくはオキサゾリン核、チアゾリン核、イミダゾリン核、イミダゾール核、及びピロリン核であり、特に、好ましくはチアゾリン核である。
また、p1 は0又は1であり、好ましくは1である。
【0019】
Z1 、及びZ2 上の置換基をVとすると、Vで示される置換基としては特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1から10、好ましくは炭素数2から8、さらに好ましくは炭素数2から5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカルボニル)、炭素数0から10、好ましくは炭素数2から8、さらに好ましくは炭素数2から5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルホニル)、ニトロ基、炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2ーメトキシエトキシ、2ーフェニルエトキシ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、
【0020】
炭素数1から20、好ましくは炭素数2から12、さらに好ましくは炭素数2から8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数2から12、さらに好ましくは炭素数2から8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1から20、好ましくは炭素数2から12、さらに好ましくは炭素数2から8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素1から20、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、炭素1から20、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素1から20、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から8のスルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなど)、
【0021】
アミノ基、、炭素1から20、好ましくは炭素数1から12、さらに好ましくは炭素数1から8の置換アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、炭素数0から15、好ましくは炭素数3から10、さらに好ましくは炭素数3から6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基)、炭素数0から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から6のウレイド基(例えばウレイド基、N、Nージメチルウレイド基)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素数1から20、好ましくは炭素数1から12、さらに好ましくは炭素数1から8のアルキルまたはアリールチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、カルボキシエチルチオ、スルホブチルチオ、フェニルチオなど)、炭素2から20、好ましくは炭素数2から12、さらに好ましくは炭素数2から8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル)、炭素6から20、好ましくは炭素数6から12、さらに好ましくは炭素数6から8のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、
【0022】
炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の置換アルキル基(ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、また、ここでは好ましくは炭素数2から18、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ましくは炭素数3から5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基、1ーシクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする。)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10の置換または無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3、5ージクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル)、
【0023】
炭素数1から20、好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数4から6の置換されても良いヘテロ環基(例えばピリジル、5ーメチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)が挙げられる。また、ベンゼン環、ナフタレン環やアントラセン環が縮合した構造をとることもできる。
さらに、これらの置換基上にさらにVが置換していても良い。
【0024】
Z1 、及び上の置換基として好ましいものは上述のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、スルホニル基、及びベンゼン環縮合であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、スルホニル基、及びベンゼン環縮合であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、沃素原子、及びベンゼン環縮合である。最も好ましくは、フェニル基、塩素原子、臭素原子、沃素原子である。
【0025】
L1 ,L2 、L7 ,及びL8 で表されるメチン基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述のVで示した置換基が挙げられる。好ましくは無置換メチン基である。
【0026】
R1 、及びR2 はそれぞれアルキル基を表し、例えば、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基{例えば前述のZ1 などの置換基として挙げたVが置換したアルキル基が挙げられる。好ましくはアラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル)、不飽和炭化水素基(例えばアリル基)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2−フェノキシエチル、2−(1−ナフトキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボニルメチル、2−ベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3−フェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば2−アセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば2−モルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−〔3−スルホプロポキシ〕エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル)、スルホアルケニル基(例えば、スルホプロペニル基)、スルファトアルキル基(例えば、2ースルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、テトラヒドロフルフリル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル基)}が挙げられる。
【0027】
R1 、及びR2 のアルキル基として好ましくは、上述のカルボキシアルキル基、スルホアルキル基、スルホアルケニル基、無置換アルキル基であり、さらに好ましくはスルホアルキル基、及び無置換アルキル基である。
【0028】
一般式(III)において、Z3 、及びZ4 は酸性核を形成するために必要な原子群を表すが、いかなる一般のメロシアニン色素の酸性核の形をとることもできる。ここでいう酸性核とは、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory ofthe Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、198貢により定義される。具体的には、米国特許第3,567,719号、第3,575,869号、第3,804,634号、第3,837,862号、第4,002,480号、第4,925,777号、特開平3−167546号などに記載されているものが挙げられる。
酸性核が、炭素、窒素、及びカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる5員又は6員の含窒素複素環を形成するとき好ましく、次の核が挙げられる。
2−ピラゾリン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソオキサゾリン−5−オン、2−チアゾリン−4−オン、チアゾリジン−4−オン、チアゾリジン−2,4−ジオン、ローダニン、チアゾリジン−2,4−ジチオン、イソローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリニウム、3−オキソインダゾリニウム、5,7ージオキソー6,7ージヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3ージオキサン−4,6、ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クロマン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド〔1,2−a〕ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロ〔1,5−a〕ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリドン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−2,4−ジオン、3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ〔d〕チオフェンー1,1−ジオキサイド、3−ジシアノメチン−2,3−ジヒドロベンゾ〔d〕チオフェン−1,1−ジオキサイドの核。
【0029】
Z3 、及びZ4 として好ましくはヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2,4−ジオン、ローダニン、チアゾリジン−2,4−ジチオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸であり、さらに好ましくは、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン、5−オン、ローダニン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸である。特に好ましくは2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、ローダニンである。
【0030】
R5 、及びR6 として表されるアルキル基としては、上述のR1 などの例として挙げた無置換アルキル基、置換アルキル基が挙げられ、同様なものが好ましい。また、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から10、さらに好ましくは炭素数6から8の無置換アリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から10、さらに好ましくは炭素数6から8の置換アリール基(例えば前述のZ1 などの置換基として挙げたVが置換したアリール基が挙げられる。具体的にはp−メトキシフェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基などが挙げられる。)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から10、さらに好ましくは炭素数4から8の無置換複素環基(例えば2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピラゾリル、3−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、2−チアゾリル、2−ピリダジル、2−ピリミジル、3−ピラジル、2−(1,3,5−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5ーテトラゾリル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から10、さらに好ましくは炭素数4から8の置換複素環基(例えば前述のZ1 などの置換基として挙げたVが置換した複素環基が挙げられる。具体的には5−メチル−2−チエニル基、4−メトキシ−2−ピリジル基などが挙げられる。)が挙げられる。
R5 及びR6 として好ましいものはメチル、エチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、フェニル、2−ピリジル、2−チアゾリルであり、さらに好ましくはエチル、2−スルホエチル、カルボキシメチル、フェニル、2−ピリジルである。
【0031】
一般式(II)及び(III)において、Q2及びQ3 は2価の連結基、又は単結合を表し、好ましくは2価の連結基である。この2価の連結基は、好ましくは炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のうち、少なくとも1種を含む原子又は原子団からなる。好ましくは、アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン)、アルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、アルキニレン基(例えば、エチニレン、プロオピニレン)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、−N(Ra)−(Raは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基を表す。)、複素環2価基(例えば、6−クロロ−1,3、5−トリアジン−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)を1つ又はそれ以上組み合わせて構成される炭素数1以上20以下の2価の連結基を表す。これらの2価の連結基はさらに置換されていても良く、置換基としては前述のVが挙げられる。
【0032】
さらに好ましくは、炭素数1以上4以下のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン)、炭素数6以上10以下のアリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン)、炭素数1以上4以下のアルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、炭素数1以上4以下のアルキニレン基(例えば、エチニレン、プロオピニレン)を1つ又はそれ以上組み合わせて構成される炭素数1以上10以下の2価の連結基である。
【0033】
一般式(II)、及び(III)において、R3 、R4 ,R7 、及びR8 はアルキル基、アリール基、又は複素環基であり、前述のR5 、及びR6 と同様のものが挙げられ、同様なものが好ましい。また、R3 とR4 ,R7 とR8 が一緒になって、前述のQ 2 、及びQ3 と同様な2価の連結基を形成することもできる。
【0034】
一般式(II)、及び(III)において、L3 、L4 、L5 、L6 、L9 、L10、L11、L12、L13、及びL14はそれぞれ独立にメチン基を表す。これらのメチン基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えば置換もしくは無置換の炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5のアルキル基(例えばメチル、エチル、2ーカルボキシエチル)、置換もしくは無置換の炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10のアリール基(例えばフェニル、o−カルボキシフェニル)、置換もしくは無置換の炭素数3から20、好ましくは炭素数4から15、さらに好ましくは炭素数6から10の複素環基(例えばN,N−、ジエチルバルビツール酸基)、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素、沃素)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールチオ基(例えばフェニルチオ)、炭素数0から15、好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数4から10のアミノ基(例えば、N,N−ジフェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−メチルピペラジノ)などが挙げられる。また他のメチン基と環を形成してもよく、あるいはZ1 ,Z2 、Z3 、及びZ4 はR1 ,R2 ,R5 ,及びR6 と共に環を形成することもできる。
【0035】
n1 、n2 、n3 、及びn4 として好ましくは0、1、2、3であり、さらに好ましくは0、1,2であり、特に好ましくは2である。n1 、2 、3 、4 が2以上の時、メチン基が繰り返されるが同一である必要はない。
【0036】
一般式(II)及び(III)において、M 2 及びM3 は色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオン又は陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H+ ) 、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。本発明では、スルホ基をSO3 −と表記しているが、対イオンとして水素イオンを持つときはSO3 Hと表記することも可能である。m1 、m2 、及びm3 は電荷を均衡させるのに必要な数を表わし、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜4の数である。分子内で塩を形成する場合には0である。
【0037】
以下に本発明の一般式(II)、(III)で表される化合物の具体例を示すが、これにより本発明が制限されるわけではない。
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0049】
【化18】
【0050】
本発明の一般式(II)及び(III)で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515貢、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422貢、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨークなどに記載の方法に基づいて合成することができる。
【0051】
(合成例);(7)の合成
下記ルートで合成した。
【0052】
【化19】
【0053】
(a)2g(0.00483mol)、エタノール30mlに、(b)0.21g(0.00241mol)を加えて、蒸気浴上で1時間加熱環流した。放冷後析出した結晶を吸引ろ過でろ別し、得られた粉末を、メタノール100ml/クロロホルム100mlに加熱環流させて溶解させ、自然ろ過後、溶媒を100ml常圧下留去した。放置後析出した結晶を吸引ろ過によりろ別し乾燥した。
(7)(黄色粉末、収量0.95g、収率61%、λmax=449nm、ε=114000(メタノール)、融点280℃以上で分解)
【0054】
次に本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳しく説明する。本発明の一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物(以下、本発明のメチン化合物)は単独又は他の増感色素と組合せてハロゲン化銀写真感光材料に用いることができる。
【0055】
本発明の化合物(又、その他の増感色素についても同様)を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認められている乳剤調製の如何なる工程中であってもよい。例えば、米国特許2,735,766号、同3,628,960号、同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、特開昭58−113920号等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗布迄の時期の乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工程に於いて添加されても良い。また、米国特許4,225,666号、特開昭58−7629号等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類をも変えて添加されても良い。
【0056】
本発明の化合物の添加量としては、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6〜8×10−3モルで用いることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当たり、2×10−6〜3.5×10−3モルの添加量が好ましく、7.5×10−6〜1.5×10−3モルの添加量がより好ましい。
【0057】
本発明の化合物は、直接乳剤中へ分散することができる。また、これらはまず適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加することもできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添加物を共存させることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。また、このメチン化合物の添加方法としては米国特許第3,469,987号などに記載のごとき、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号などに記載のごとき、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号に記載のごとき、界面活性剤にメチン化合物を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号に記載のごとき、メチン化合物を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられる。その他、乳剤中への添加には米国特許第2,912,343号、同3,342,605号、同2,996,287号、同3,429,835号などに記載の方法も用いられる。
【0058】
また、本発明の化合物は、鮮鋭度、色分解能向上などの目的のための種々のフィルター染料、イラジェーション防止染料またはアンチハレーション用染科等として用いることができる。
このメチン化合物は慣用の方法でハロゲン化銀写真感光材料層、フィルター層および/またはハレーション防止層などの塗布液に含有させることができる。染料の使用量は写真層を着色させるに充分な量でよく、当業者は容易にこの量を使用目的に応じて適宜選定できる。一般には、光学濃度が0.05ないし3.0の範囲になるように使用するのが好ましい。
添加時期は塗布される前のいかなる工程でもよい。
また、染料イオンと反対の荷電をもつポリマーを媒染剤として層に共存させ、これを染料分子との相互作用によって、染料を特性層中に局在化させることもできる。
ポリマー媒染剤としては例えば米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号、同3,958,995号、同4,168,976号、同3,445,231号に記載されているものなどを挙げることができる。
【0059】
本発明における分光増感において有用な強色増感剤は、例えば米国特許3,511,664号、同3,615,613号、同3,615,632号、同3,615,641号、同4,596,767号、同4,945,038号、同4,965,182号、同4,965,182号等に記載のピリミジルアミノ化合物、トリアジニルアミノ化合物、アゾリウム化合物などであり、その使用法に関しても上記の特許に記載されている方法が好ましい。
【0060】
本発明のハロゲン化銀感光材料に使用しうるハロゲン化銀は、臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩化銀のいずれであってもよい。好ましいハロゲン化銀は臭化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀、または特開平2−42号に記載されている高塩化銀である。
また、以下に感光材料の構成、処理などについて述べるが、特開平2−42号に記載の構成、処理は特に高塩化銀において好ましく用いられる。
また、特開昭63−264743号に記載の構成、処理は特に塩臭化銀において好ましく用いられる。
【0061】
ハロゲン化銀粒子は内部と表層とが異なる相をもっていても、均一な相から成っていてもよい。また潜像が主として表面に形成されるような粒子(例えばネガ型感光材料)でもよく、粒子内部に主として形成されるような粒子(例えば、内部潜像型感光材料)、または予めかぶらせた粒子(例えば直接ポジ型感光材料)であってもよい。
前記の種々のハロゲン組成、晶癖、粒子内構造、形状および分布を有するハロゲン化銀粒子は、各種用途の感光性写真材料(要素)に於て使用される。
【0062】
写真感光材料中のハロゲン化銀粒子は、立方体、14面体、菱12面体のような規則的(regular)な結晶体を有するものでもよく、また球状、平板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、あるいはこれらの結晶形の複合形をもつものでもよい。種々の結晶形の粒子の混合から成ってもよい。
【0063】
本発明の写真感光材料においては、乳剤層を形成するハロゲン化銀粒子のアスペクト比が3以上100以下である場合が好ましい。ここでのアスペクト比が3以上100以下であるとは、アスペクト比(ハロゲン化銀粒子の円相当直径/粒子厚み)が3以上100以下のハロゲン化銀粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上存在することを意味する。アスペクト比は好ましくは3以上20以下、最も好ましくは4以上12以下である。平板状粒子はガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering),第14巻、248〜257頁(1970年);US4,434,226号、同4,414,310、同4,433,048、同4,439,520及びGB2,112,157に記載の方法により簡単に調整できる。
本発明の写真感光材料においては、その存在率が70%以上、特に好ましくは85%以上である。
【0064】
本発明のメチン化合物は、増感剤、増感色素、フィルター、アンチハレーションあるいはイラジェーション防止等の目的で下記の如き用途の感光材料に用いられる。これらの色素は感光性乳剤層以外に、中間層、保護層、バック層など所望の層に添加できる。
本発明のメチン化合物は、種々のカラー及び白黒用のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる。
さらに詳しくは、カラーポジ用感光材料、カラーぺーパー用感光材料、カラーネガ用感光材料、カラー反転用感光材料(カプラーを含む場合もあり、含まぬ場合もある)、直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料、製版用写真感光材料(例えばリスフィルム、リスデュープフィルムなど)、陰極線管ディスプレイ用感光材料、X線記録用感光材料(特にスクリーンを用いる直接及び間接撮影用材料)、銀塩拡散転写プロセス(Silver Salt diffusion transfer process)に用いられる感光材料、カラー拡散転写プロセスに用いる感光材料、ダイ・トランスファー・プロセス(imhibition process)に用いる感光材料、銀色素漂白法に用いる感光材料、熱現像用感光材料等に用いられる。
【0065】
本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤は、ピー・グラフキデス(P. Glaflkides)著「シミー・エ・フィジーク・フォトグラフィーク(Chimie et Physique Photograhique」(ポールモンテル(Paul Montel)社刊、1967年)、ジー・エフ・デフェイン(G.F.Duffin)著「フォトグラフィク・エマルジョン・ケミストリー(Photographic Emulsion Chemistry)」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press)刊、1966年)、ヴィ・エル・ツェリクマンら(V.L.Zelikman et al)著「メーキング・アンド・コーティング・フォトグラフィク・エマルジョン(Making and Coating Photographic Emulsion) 」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press)刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0066】
またハロゲン化銀粒子の形成時には粒子の成長をコントロールするためにハロゲン化銀溶剤として例えばアンモニア、ロダンカリ、ロダンアンモン、チオエーテル化合物(例えば米国特許第3,271,157号、同3,574,628号、同3,704,130号、同4,297,439号、同4,276,374号など)、チオン化合物(例えば特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号など)、アミン化合物(例えば特開昭54−100717号など)などを用いることができる。
ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩または鉄錯塩などを共存させてもよい。
本発明に用いられる内部潜像型ハロゲン化銀乳剤としては例えば米国特許2,592,250号、同3,206,313号、同3,447,927号、同3,761,276号、及び同3,935,014号等に記載があるコンバージョン型ハロゲン化銀乳剤、コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤、異種金属を内蔵させたハロゲン化銀乳剤を挙げることができる。
【0067】
ハロゲン化銀乳剤は、通常は化学増感される。化学増感のためには、例えば、エイチ・フリーザー(H.Frieser)編「ディ・グランドラーゲン・デア・フォトグラフィッシェン・プロヅェッセ・ミット・ジルベルハロゲニーデン(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silberhalogeniden) 」、アカデミッシェ フェアラーグス社(Akademische Verlagsgesellschaft)社、(1968年)675〜734頁に記載の方法を用いることができる。
すなわち、活性ゼラチンや銀と反応し得る硫黄を含む化合物(例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メルカプト化合物類、ローダニン類)を用いる硫黄増塩感法;セレン増感法;還元性物質(例えば、第一すず塩、アミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物)を用いる還元増感法;貴金属化合物(例えば、金錯塩のほか、Pt、Ir、Pdなどの周期律表VIII族の金属の錯塩)を用いる貴金属増感法等を単独または組合せて用いることができる。
【0068】
本発明に用いられる写真感光材料には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類たとえば米国特許第3,954,478号、同4,942,721号、特開昭59−191032号などに記載されているベンゾチアゾリウム塩、また特公昭59−26731号に記載されているその開環体、ニトロインダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換体);へテロ環メルカプト化合物類たとえばメルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン類;カルボキシル基やスルホン基などの水溶性基を有する上記のへテロ環メルカプト化合物類;チオケトン化合物たとえばオキサゾリンチオン;アザインデン類たとえばテトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類);ベンゼンチオスルホン酸類;ベンゼンスルフィン酸;特開昭62−87957号に記載されているアセチレン化合物等;などのようなカブリ防止剤または安定剤として知られた多くの化合物を加えることができる。
【0069】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料はシアンカプラー、マゼンタカプラー、イエローカプラーなどのカラーカプラー及びカプラーを分散する化合物を含むことができる。
すなわち発色現像処理において芳香族1級アミン現像薬(例えば、フェニレンジアミン誘導体や、アミノフェノール誘導体など)との酸化カップリングによって発色しうる化合物を含んでもよい。例えば、マゼンタカプラーとして、5−ピラゾロンカプラー、ピラゾロベンズイミダゾールカプラー、シアノアセチルクマロンカプラー、開鎖アシルアセトニトリルカプラー等があり、イエローカプラーとして、アシルアセトアミドカプラー(例えばベンゾイルアセトアニリド類、ピバロイルアセトアニリド類)等があり、シアンカプラーとして、ナフトールカプラーおよびフェノールカプラー等がある。これらのカプラーは分子中にバラスト基とよばれる疎水基を有する非拡散のものが望ましい。カプラーは銀イオンに対し4当量性あるいは2当量性のどちらでもよい。また色補正の効果をもつカラードカプラー、あるいは現像にともなって現像抑制剤を放出するカプラー(いわゆるDIRカプラー)であってもよい。
またDIRカプラー以外にも、カップリング反応の生成物が無色であって現像抑制剤を放出する無呈色DIRカップリング化合物を含んでもよい。
【0070】
本発明の写真感光材料には感度上昇、コントラスト上昇、または現像促進の目的で、例えばポリアルキレンオキシドまたはそのエーテル、エステル、アミンなどの誘導体、チオエーテル化合物、チオモルフォリン類、四級アンモニウム塩化合物、ウレタン誘導体、尿素誘導体、イミダゾール誘導体、3−ピラゾリドン類などを含んでいてもよい。
本発明のハロゲン化銀感光材料にはフィルター染料として、あるいはイラジエーション防止その他の種々の目的で、本発明のメチン化合物以外に、種々の染料を含んでいてもよい。
この様な染料には、例えば英国特許第506,385号、同1,177,429号、同1,311,884号、同1,338,799号、同1,385,371号、同1,467,214号、同1,433,102号、同1,553,516号、特開昭48−85130号、同49−114420号、同52−117123号、同55−161233号、同59−111640号、特公昭39−22069号、同43−13168号、同62−273527号、米国特許第3,247,127号、同3,469,985号、同4,078,933号等に記載されたピラゾロン核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料、米国特許第2,533,472号、同3,379,533号、英国特許第1,278,621号、特開平1−134447号、同1−183652号等記載されたその他のオキソノール染料、英国特許第575,691号、同680,631号、同599,623号、同786,907号、同907,125号、同1,045,609号、米国特許第4,255,326号、特公昭59−211043号等に記載されたアゾ染料、特開昭50−100116号、同54−118247号、英国特許第2,014,598号、同750,031号等に記載されたアゾメチン染料、米国特許第2,865,752号に記載されたアントラキノン染料、米国特許第2,533,009号、同2,688,541号、同2,538,008号、英国特許第584,609号、同1,210,252号、特開昭50−40625号、同51−3623号、同51−10927号、同54−118247号、特公昭48−3286号、同59−37303号等に記載されたアリーリデン染料、特公昭28−3082号、同44−16594号、同59−28898号等に記載されたスチリル染料、英国特許第446,583号、同1,335,422号、特開昭59−228250号等に記載されたトリアリールメタン染料、英国特許第1,075,653号、同1,153,341号、同1,284,730号、同1,475,228号、同1,542,807号等に記載されたメロシアニン染料、米国特許第2,843,486号、同3,294,539号、特開平1−291247号等に記載されたシアニン染料などが挙げられる。
【0071】
このような染料の拡散を防止するために以下の方法を用いることができる。
例えば、解離したアニオン性染料と反対の電荷をもつ親水性ポリマーを媒染剤として層に共存させ、染料分子との相互作用によって染料を特定層中に局在化させる方法が、米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号等に開示されている。
また、水に不溶性の染料固体を用いて特定層を染色する方法が、特開昭56−12639号、同55−155350号、同55−155351号、同63−27838号、同63−197943号、欧州特許第15,601号等に開示されている。
また、染料が吸着した金属塩微粒子を用いて特定層を染色する方法が米国特許第2,719,088号、同2,496,841号、同2,496,843号、特開昭60−45237号等に開示されている。
【0072】
本発明の写真感光材料には塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止および写真特性改良(たとえば現像促進、硬調化、増感)など種々の目的で種々の界面活性剤を含んでもよい。
本発明を実施するに際しては、その他添加剤がハロゲン化銀乳剤または他の親水性コロイドと共に用いられる、例えば、退色防止剤、無機もしくは有機の硬膜剤、色カブリ防止剤、紫外線吸収剤、媒染剤、可塑剤、ラテックスポリマー、マット剤などを挙げることができる。具体的には、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)Vol.176(1978、XI)、D−17643などに記載されている。
また、本発明に用いられる写真感光材料には、保護コロイドとしてゼラチン等の親水性ポリマーが用いられる。
完成(finished)ハロゲン化銀乳剤等は、適切な支持体、例えばバライタ紙、レジンコート紙、合成紙、トリアセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、その他のプラスチックベースまたはガラス板の上に塗布される。
【0073】
写真像を得るための露光は通常の方法を用いて行なえばよい。すなわち、自然光(日光)、タングステン電灯、蛍光灯、水銀灯、キセノンアーク灯、炭素アーク灯、キセノンフラッシュ灯、陰極線管フライングスポットなどの公知の多種の光源をいずれでも用いることができる。露光時間は通常カメラで用いられる1/1000秒から1秒の露光時間はもちろん、1/1000秒より短い露光、たとえばキセノン閃光灯や陰極線管を用いた1/104 〜1/106 秒の露光を用いることもできるし、1秒より長い露光を用いることもできる。必要に応じて色フィルターで露光に用いられる光の分光組成を調節することができる。露光にレーザー光を用いることもできる。また電子線、X線、γ線、α線などによって励起された蛍光体から放出する光によって露光されてもよい。
本発明を用いて作られる感光材料の写真処理には、例えばリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176号第28〜30頁(RD−17643)に記載されているような、公知の方法及び公知の処理液のいずれをも適用することができる。この写真処理は、目的に応じて、銀画像を形成する写真処理(黒白写真処理)、あるいは色素像を形成する写真処理(カラー写真処理)のいずれであってもよい。処理温度は普通18℃から50℃の間に選ばれるが、18℃より低い温度または50℃を越える温度としてもよい。
【0074】
本発明で用いてもよい磁気記録を担持したハロゲン化銀写真感光材料(以下「感材」ともいう。)は、特開平6−35118号、特開平6−17528号、発明協会公開技報94−6023に詳細に記載される予め熱処理したポリエステルの薄層支持体、例えば、ポリエチレン芳香族ジカルボキシレート系ポリエステル支持体で、50μm〜300μm、好ましくは50μm〜200μm、より好ましくは80〜115μm、特に好ましくは85〜105μmを40℃以上、ガラス転移温度以下の温度で1〜1500時間熱処理(アニール)し、特公昭43−2603号、特公昭43−2604号、特公昭45−3828号記載の紫外線照射、特公昭48−5043号、特開昭51−131576号等に記載のコロナ等の表面処理し、USP5,326,689号に記載の下塗りを行い必要に応じUSP2,761,791に記載された下引き層を設け、特開昭59−23505号、特開平4−195726号、特開平6−59357号記載の強磁性体粒子を塗布すれば良い。
なお、上述した磁性層は特開平4−124642号、特開平4−124645号に記載されたストライプ状でも良い。
更に、必要に応じ、特開平4−62543号の帯電防止処理をし、最後にハロゲン化銀乳剤を塗布した物を用いる。ここで用いるハロゲン化銀乳剤は特開平4ー166932号、特開平3−41436号、特開平3−41437号を用いる。
こうして作る感材は特公平4−86817号記載の製造管理方法で製造し、特公平6−87146号記載の方法で製造データを記録するのが好ましい。その後、またはその前に、特開平4−125560号に記載される方法に従って、従来の135サイズよりも細幅のフィルムにカットし、従来より小さいフォーマット画面にマッチするようにパーフォレーションを小フォーマット画面当たり片側2穴せん孔する。
こうして出来たフィルムは特開平4−157459号のカートリッジ包装体や特開平5−210202号実施例の図9記載のカートリッジ、またはUSP4,221,479号、フィルムパトローネやUSP4,834,306号、US4,834,366号、USP5,226,613号、USP4,846,418号記載のカートリッジに入れて使用する。
ここで用いるフィルムカートリッジまたはフィルムパトローネはUSP4,848,693号、USP5,317,355号の様にベロが収納できるタイプが光遮光性の観点で好ましい。
さらには、USP5,296,886号の様なロック機構を持ったカートリッジやUSP5,347,334号に記載される使用状態が表示されるカートリッジ、二重露光防止機能を有するカートリッジが好ましい。
また、特開平6−85128号に記載の様にフィルムを単にカートリッジに差し込むだけで容易にフィルムが装着されるカートリッジを用いても良い。
こうして作られたフィルムカートリッジは次に述べるカメラや現像機、ラボ機器を用いて合目的に撮影、現像処理、色々な写真の楽しみ方に使用できる。
例えば、特開平6−8886号、特開平6−99908号に記載の簡易装填式のカメラや特開平6−57398号、特開平6−101135号記載の自動巻き上げ式カメラや特開平6−205690号に記載の撮影途中でフィルムの種類を取り出し交換できるカメラや特開平5−293138号、特開平5−283382号に記載の撮影時の情報、例えば、パノラマ撮影、ハイヴィション撮影、通常撮影(プリントアスペクト比選択の出来る磁気記録可能)をフィルムに磁気記録出来るカメラや特開平6−101194号に記載の二重露光防止機能を有するカメラや特開平5−150577号に記載のフィルム等の使用状態表示機能の付いたカメラなどを用いるとフィルムカートリッジ(パトローネ)の機能を充分発揮できる。
この様にして撮影されたフィルムは特開平6−222514号、特開平6−222545号に記載の自現機で処理するか、処理の前または最中または後で特開平6−95265号、特開平4−123054号に記載のフィルム上の磁気記録の利用法を用いても良いし、特開平5−19364号記載のアスペクト比選択機能を利用しても良い。
現像処理する際シネ型現像であれば、特開平5−119461号記載の方法でスプライスして処理する。
また、現像処理する際または後、特開平6−148805号記載のアッタヂ、デタッチ処理する。
こうして処理した後で、特開平2−184835号、特開平4−186335号、特開平6−79968号に記載の方法でカラーペーパーへのバックプリント、フロントプリントを経てフィルム情報をプリントヘ変換しても良い。
更には、特開平5−11353号、特開平5−232594号に記載のインデックスプリント及び返却カートリッジと共に顧客に返却しても良い。
【0075】
また、支持体上に各々少なくとも1層の、黄色発色カラーカプラーを含有する青感性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色カラーカプラーを含有する緑感性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色カラーカプラーを含有する赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、かつ該赤感性ハロゲン化銀乳剤層全体に重層効果を与えるハロゲン化銀乳剤層を少なくとも1層有するカラー感光材料において、該重層効果を与えるハロゲン化銀乳剤層が一般式(I)で表される化合物、好ましくは一般式(VII)で表される化合物を含むハロゲン化銀カラー写真感光材料が好ましく用いられる。
このような感材の詳細については、特開平7−159950号(米国特許第5,538,838号)において、述べられている。
【0076】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
実施例1
(1)乳剤の調製
平均分子量15000のゼラチンを含む水溶液(水1200ml、ゼラチン7.0g、KBr4.5gを含む)を30℃に保って攪拌しながら、1.9MAgNO3 水溶液と1.9MKBr水溶液を25ml/minで70秒間のダブルジェット法により添加して平板状粒子の核を得た。この乳剤の内400mlを種晶とし、これに不活性ゼラチン水溶液650ml(ゼラチン20g、KBr1.2gを含む)を添加して75℃に昇温し、40分間熟成した。そしてAgNO3 水溶液(AgNO3 1.7gを含む)を1分30秒間かけて添加し、続いてNH4 NO3 (50wt%)水溶液7.0mlとNH3 (25wt%)7.0mlを添加し、さらに40分間熟成した。
【0078】
次に乳剤をHNO3 (3N)でpH7にしてKBr1.0gを添加した後、1.9MAgNO3 水溶液366.5mlとKBr水溶液を、続いて1.9MAgNO3 水溶液53.6mlとKBr(KIを33.3mol %含む)水溶液を、そして1.9MAgNO3 水溶液160.5mlとKBr水溶液をpAgを7.9に保ちながら添加して、乳剤1を得た。
【0079】
得られた乳剤1は、中間殻に沃化銀含有率が最も高い領域を有する三重構造粒子であり、アスペクト比の平均が2.8であり、アスペクト比3以上の平板状粒子の全投影面積に占める割合は26%であった。粒子サイズの変動係数は7%であり、粒子サイズの平均は球相当径で0.98μmであった。
【0080】
乳剤1を通常のフロキュレーション法により脱塩後、銀1mol に対して増感色素を添加し、その存在下で金・硫黄・セレン増感を最適に行った。
【0081】
(2)塗布試料の作製
下塗り層を設けてあるトリアセチルセルロースフィルム支持体に、表1に示すような乳剤層および保護層を塗布し、試料101〜118を作成した。
【0082】
【表1】
【0083】
これらの試料にセンシトメトリー用露光(1/100秒)を与え、下記のカラー現像処理を行った。
【0084】
次に、処理液の組成を記す。
【0085】
処理済みの試料を緑色フィルターで濃度測定し、フレッシュ感度、被りを評価した。
感度は被り濃度より0.2高い濃度を与える露光量の逆数で定義し、各試料の感度は試料101の値を100とした相対値で表した。各試料に使用した乳剤およびメチン化合物種と各試料の感度の結果を後掲の表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
【化20】
【0088】
表2より、本発明の化合物は比較化合物に比べ、低かぶりかつフレッシュ感度が高いことが分かる。
【0089】
実施例2
特開平8−29904号の実施例5の乳剤Dと同様に平板状沃臭化銀乳剤を調製して、乳剤2とした。
多層カラー感光材料は特開平8−29904号の実施例5の試料101に従い同様に作製した。特開平8−29904号の実施例5の試料101における第5層の乳剤Dを乳剤2に置き換え、ExS−1、2、3を増感色素(S−6)もしくは増感色素(11)に置き換えハロゲン化銀1モルあたり5.0×10−4モル添加した試料を試料201および試料202とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フイルム株式会社)の光に光学ウエッジと赤色フィルターを通して1/100秒露光を与え、特開平8−29904号の実施例1と同じ処理工程と処理液を用いて発色現像処理をしてシアン濃度測定を行なった。感度はかぶり濃度+0.2の相対値で表示した。
その結果、比較試料201の感度100(基準)に対して、本発明の試料202は151と高感度であった。
【0090】
実施例3
特開平7−92601号の実施例1の乳剤1とは、分光増感色素を増感色素(S−2)もしくは増感色素(7)に置き換えハロゲン化銀1モルあたり8×10−4モル添加したことのみ異なる14面体状沃臭化銀乳剤を調製して、これを乳剤301および302とした。また、特開平7−92601号の実施例1の乳剤1とは、2回目のダブルジェット中の銀電位を+65mVから+115mVに変更したことと、分光増感色素を増感色素(S−2)もしくは増感色素(7)に置き換えハロゲン化銀1モルあたり8×10−4モル添加したことのみ異なる立方体沃臭化銀乳剤を調製して、これを乳剤303および304とした。
多層カラー感光材料は特開平7−92601号の実施例4の試料401に従い同様に作製した。特開平7−92601号の実施例4の試料401の第15層の乳剤Jを乳剤301もしくは乳剤302に変更した試料を試料311および試料312とした。同様に、同実施例の第15層の乳剤Jを乳剤303もしくは乳剤304に変更した試料を試料313および試料314とした。
こうして得た試料の感度評価を行なった。特開平7−92601号の実施例4と同様に1/50秒の露光とカラー反転現像処理してイエロー濃度測定を行なった。感度は十分な露光を与えて得られる最低濃度+0.2の濃度を与えるのに必要な露光量の逆数を求め、比較試料311の感度を100とする相対値として示した。その結果、本発明の試料312の感度は147と高感度であった。また、同様に比較試料313の感度を100としたとき、本発明の試料314の感度は150と高感度であった。
【0091】
実施例4
特開平5−313297号の実施例1の乳剤1および乳剤5と同様に八面体臭化銀内部潜像型直接ポジ乳剤および六角平板状臭化銀内部潜像型直接ポジ乳剤を調製して、これを乳剤401および乳剤402とした。
カラー拡散転写写真フィルムは特開平5−313297号の実施例1の試料101に従い同様に作製した。特開平5−313297号の実施例1の試料101の第11層の乳剤−2と増感色素(2)を乳剤401と増感色素(S−5)もしくは増感色素(32)に置き換えて、試料411および試料412とした。なお、置き換えた増感色素(S−5),(32) はハロゲン化銀1モルあたり9×10−4モル添加した。
こうして得た試料の感度を調べるために、特開平5−313297号の実施例1と同様の露光と処理工程と処理液を用いて処理し、転写濃度をカラー濃度計で測定した。感度は濃度1.0の相対値で表示した。比較の試料411の感度を100としたとき本発明の試料412の感度は143と高感度であった。
【0092】
実施例5
特開平4−142536号の実施例2の乳剤Fとは、赤感性増感色素(S−1)を硫黄増感前に添加しないこと、トリエチルチオ尿素の硫黄増感に加えて、塩化金酸も併用して最適に金硫黄増感したこと、金硫黄増感後、増感色素(S−2)(本発明の比較色素)もしくは増感色素(7)をハロゲン化銀1モルあたり2×10−4モル添加したことのみ異なる塩臭化銀乳剤を調製して、これを乳剤501および502とした。
多層カラー印刷紙は特開平6−347944号の実施例1の試料20に従い同様に作製した。特開平6−347944号の実施例1の試料20における第1層の乳剤を乳剤501もしくは乳剤502に変更した試料を試料511および試料512とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フイルム株式会社)の光に光学ウェッジと青色フィルターを通して1/10秒露光を与え、特開平6−347944号の実施例1と同じ処理工程と処理液を用いて発色現像処理を行なった。その結果、比較試料511の感度を100としたとき本発明の試料512の感度は142と高感度であった。
【0093】
実施例6
特開平8−122954号の実施例1の乳剤Aと同様に平板状塩化銀乳剤を調製して、同実施例の化学増感(B)とは、増感色素−1,2を増感色素(S−5)もしくは増感色素(32)に置き換えハロゲン化銀1モルあたり2×10−4モル添加したことのみ異なる化学増感を行い、これを乳剤601および乳剤612とした。塗布試料は特願平7−232036号の実施例1の乳剤を乳剤601もしくは乳剤602に置き換え、同実施例と同様に支持体上に乳剤層と表面保護層とを組合せて同時押し出し法により両面に塗布し、これを試料611および試料612とした。片面当たりの塗布銀量は1.75g/m2とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士写真フイルム(株)社製のXレイオルソスクリーンHGMを使用して両側から0.05秒の露光を与え、特願平7−232036号の実施例1と同様に自動現像機と処理液を用いて処理した。感度はかぶり+0.1の濃度を与えるに要する露光量の逆数の対数で表し試料611の感度を100として他を相対値で表した。その結果、本発明の試料612の感度は141と高感度であった。
露光時に使用したXレイオルソスクリーンHGMのかわりにHR−4もしくはHGHで露光しても同様の効果が得られた。
【0094】
実施例7
特願平7−146891号の実施例2の乳剤Dとは、増感色素−2および3を添加しないことのみ異なる平板状塩化銀乳剤を調製して、これを乳剤701とした。
塗布試料は特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fに従い同様に作製した。特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fの乳剤Fと増感色素−1を乳剤701と増感色素(S−5)もしくは増感色素(32) に置き換えて、試料711および試料712とした。なお、置き換えられた増感色素(S−5)と(32)はハロゲン化銀1モルあたり5×10−4モル添加した。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フイルム株式会社)の光に光学ウェッジと緑色フィルターを通して1/100秒露光を与え、富士写真フイルムCN16処理を行い写真性を比較した。
感度はかぶり+0.2の濃度を与えるに要する露光量の逆数の対数で表し、試料711の感度を100とした。本発明の試料712の感度は138と高感度であった。
【0095】
実施例8
特願平7−146891号の実施例3の乳剤Fと同様に八面体塩化銀乳剤を調製して、これを乳剤層801とした。
塗布試料は特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fに従い同様に作製した。特願平7−146891号の実施例3の塗布試料Fの乳剤Fと増感色素−1を乳剤801と増感色素(S−5)もしくは増感色素(32)に置き換えて、試料811および試料812とした。なお、置き換えられた増感色素(S−5)と(32)はハロゲン化銀1モルあたり5×10−4モル添加した。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フイルム株式会社)の光に光学ウェッジと緑色フィルターを通して1/100秒露光を与え、富士写真フイルムCN16処理を行い写真性を比較した。感度はかぶり+0.2の濃度を与えるに要する露光量の逆数の対数で表し、試料811の感度を100とした。本発明の試料812の感度は151と高感度であった。
【0096】
実施例9
特開平7−159950号の実施例1の乳剤Eと同様に沃臭化銀乳剤を調製して乳剤9とした。
多層カラー感光材料は特開平7−159950号の実施例1の試料101に従い同様に作製した。特開平7−159950号の実施例1の試料101における第10層の乳剤Eを乳剤9に置き換え、ExS−3を増感色素(S−5)もしくは(32)に置き換えハロゲン化銀1モルあたり9.8×10−4モル添加した試料901および試料902とした。
こうして得た試料の感度を調べるために、富士FW型感光計(富士写真フイルム株式会社)の光に光学ウェッジと緑色フィルターを通して1/100秒露光を与え、特開平7−159950号の実施例1と同じ処理工程と処理液を用いて発色現像処理をして、マゼンタ濃度測定を行なった。
【0097】
感度はかぶり+0.2の相対値で表示した。その結果、比較試料901の感度100(基準)に対して本発明の試料902の感度は145と高感度であった。
また、特開平7−159950号の実施例1と同様に色再現性(緑の弁別性)を官能的に評価したところ、試料901は31であるのに対して、本発明の試料902は4.9と優れていた。
【0098】
【発明の効果】
本発明の新規な化合物を用いることにより高感度なハロゲン化銀写真感光材料を得ることができる。
Claims (4)
- 一般式(II)又は、一般式(III)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(II)
一般式(III)
- 一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物において、式中、Q2又はQ3が、炭素数1以上4以下のアルキレン基、炭素数6以上10以下のアリ−レン基、炭素数1以上4以下のアルケニレン基、及び炭素数1以上4以下のアルキニレン基から成る群から選ばれる基を一つ又はそれ以上組み合わせて構成される、炭素数1以上10以下の2価の連結基であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物において、式中、R3、R4、R7及びR8が、それぞれアルキル基であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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