JP3586970B2 - 微細パターンの検査方法および検査装置 - Google Patents

微細パターンの検査方法および検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターンの検査方法および検査装置に関し、とりわけ、半導体集積回路におけるレジストパターンや回路パターン、TFT液晶平面ディスプレイ等の物品の反射型パターン等の欠陥をはじめ、金属顕微鏡などによる観察画像に基づき微細パターンの特徴を光学的に検出する、微細パターンの検査方法および検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の方法および装置としては、例えば半導体ウエハーの表面上の欠陥や汚染粒子の検査に使用されるものがあり、その原理として明視野撮像方法、ならびに暗視野撮像方法が知られている。
明視野撮像方法としては、特開昭63―205775号公報および特開平2―114386号公報で開示されているような、被検パターンをその面に垂直に照射して、被検パターンに垂直な反射光に載った光波のうち、正常な被検パターンの回折光を空間フィルタで遮断し、被検パターンの正常な部分だけが除去された欠陥部のみの像が明視野撮像されるものである。
【0003】
しかし、このような明視野撮像は、ウエハーの表面上の微粒子を検査するには十分であるが、ウエハーの表面機構に埋め込まれたり、繰り返しパターンのエラーとなる、さらに小寸法の微粒子の検出には効率的ではなかった。
【0004】
そこで、低角度暗視野撮像技術が提案された。このような構成としては、例えば特開平5―118994号公報(名称”繰り返しパターンを持つ表面の欠陥検査方法及び装置”)に記載のものがある。
これは、低角度での光照射による暗視野撮像と、フーリエ空間濾波の組合せ技術に基づいて、主として繰り返しパターンによって構成される低空間周波成分を減衰させることで背景を暗くし、この暗視野映像中に目的とする欠陥パターン画像を選択的に強調して表示させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来の暗視野撮像は、ウエハーの表面上の繰り返しパターンのエラーとなる、微細な粒子や付着物の検査には適するものの、ウエハーの表面機構に埋め込まれ、構成要素として機能する部分、たとえば半導体プロセスにおけるレジスト形成の良否の検査には効率的ではないという欠点があった。
【0006】
例えば、半導体製造でリソグラフィー工程を経た半導体ウエハーには、パターン転写がなされたことによる、0.3μmから数μmの微細なパターンがフォトレジストによって形成されている。このパターン転写が正常に行われた場合のフォトレジストの断面形状は、稜部の矩形性が保持されている。すなわち稜部のエッジが鋭角状となっている。
【0007】
ところで、このパターン転写に用いる露光装置(ステッパー)の焦点深度は1μm〜2μm程度であり、非常に浅い構成となっている。このため、ウエハー裏面のダストによって容易にフォーカスずれを生じ、パターン転写が正常になされず、フォトレジスト形状が劣化する場合がある。すなわち稜部のエッジが鋭角状に形成されない。
【0008】
したがって前記のような微細なパターンに光を照射すると、ウエハーに形成されたフォトレジスト部分の断面形状に応じて、散乱光の状態が異なることになるが、こうしたウエハーの表面またはそれより低い位置にある形状の欠陥部分は、低角度光線からの散乱光によってしても、暗視野映像中には顕著には現われないという問題がある。
【0009】
さらに加えて従来の、明視野撮像方法あるいは低角度暗視野撮像方法のアルゴリズムは、いずれも被検査部分の画像と参照用画像とを比較して欠陥や異常部分を判定処理するものであるから、参照用画像が予め別途準備されたものや、あるいは隣接する被検査部分の画像を参照用画像に用いるものであるにかかわらず、着目領域毎の比較過程が必要であり、実施においては着目領域の走査が必須となるから、よってウエハー全体の検査を短時間で実施するのには困難があった。
【0010】
そこで発明者らは、前記のような従来の検査方法および検査装置の問題点に鑑み、開発と検討を重ねた結果、微細パターンを低角度で光照射する際の散乱光に形成される、微細パターンの構造的差異による光学的模様の変化に着目して本方法と装置を発明するに至った。
その開発過程において、発明者らはまず図8に示されるような、検査作業者が斜光目視を行う手動式検査装置を検討した。
【0011】
同図において、ステージ50上に載置された被検査物体2(この場合は微細パターンが形成された半導体ウエハー)に対して斜め方向から光源54による光線55を照射し、微細パターンによる散乱光56を接眼レンズ53で捕捉して、散乱光56中に顕現される光学模様を観測し、この光学模様の状態に基づいて微細パターンの欠陥検査を行う。
ここで光学模様は、微細パターンの形状や、被検査物体の表面の状態等によってその出現状態が異なる。そのため、観測可能な光学模様を得るには、照射角度や散乱光の検出位置を調節して、その被検査物体に最適の照射条件を具現させねばならない。
【0012】
そこで、ステージ50に回動軸を設けて、二股形状のフレーム51の先端で図中矢印R方向に回動自在とし、さらにフレーム51を、その根本で図中矢印Q方向に回動自在に構成し、前記構成によって、まず矢印R方向への回動でステージ50をピッチ揺動させ、さらに矢印Q方向への回動でステージ50をヨーク揺動させ、こうした揺動により被検査物体2を歳差揺動させることで、好適な光学模様を得るに最適の照射条件を探索することを可能にした。
【0013】
前記構成によって、好適な光学模様が得られ、この光学模様に基づいて微細パターンの欠陥部分を検出できることが確認できたが、しかしながら被検査物体を歳差揺動させる操作は容易ではなく、熟練を要するという問題があった。
さらに、検査作業者が斜光目視を行うため低効率であり、加えて検査作業者毎の判定のバラツキが発生するという難点があった。
【0014】
本発明は前記のような課題や欠点を解決するためなされたもので、その目的は半導体ウエハーに形成されたフォトレジストの断面形状など微細パターンの検査を短時間で高速に実施でき、しかも判定のバラツキがなく均質な検査が実施できる微細パターンの検査方法および検査装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る微細パターンの検査方法は、微細パターンが配設されている平坦面を有する被検査物体の前記微細パターン、光源が発する光線照射し、その散乱光を観測することにより前記微細パターンを検査する方法において、前記被検査物体の微細パターンが配設された平坦面の位置を固定し、かつ前記散乱光の観測位置を前記固定された平坦面の法線方向に固定する第1工程と、前記微細パターンに光源からの光線を所定の照射角度で照射する第2工程と、前記光線を照射して前記散乱光に観測される光学模様のうち、前記微細パターンの欠陥に起因する縞模様が抽出可能かを評価する第3工程と、前記光源の位置を移動させることで、前記縞模様が観測可能となるように、前記照射角度を調節する第4工程と、調節した前記照射角度で前記微細パターンに前記光線を照射して光学模様を観測し、前記縞模様の有無で微細パターンの欠陥を判定する第5工程とを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる微細パターンの検査装置は、被検査物体の微細パターンが配設されている平坦面を照射する光線を発する光源と、前記光源の発する光線による前記被検査物体の平坦面に対する照射角度を調節する照射角度調節手段と、前記被検査物体の平坦面の法線方向上に固定配設され、前記平坦面が発する散乱光を受けて画像信号を形成させる撮像センサーと、前記撮像センサーの出力する画像信号に基づいて光学模様を検出する画像処理手段と、前記画像処理手段の検出結果に基づいて前記照射角度調節手段を制御する制御手段とを備えて好適な前記照射角度を探索する構成とされた検査装置であって、前記画像処理手段は、検出した前記光学模様から前記微細パターンの欠陥に起因する縞模様の有無に基づき、微細パターンの欠陥を有する被検査物体を決定して表示する縞模様発生チップ同定手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る微細パターンの検査方法および検査装置によれば、例えば半導体プロセスに適用された場合、ウエハーに形成されたフォトレジスト部分の断面形状などの、ウエハーの表面またはそれより低い位置にある形状の欠陥部分が低角度光線からの散乱光に載った顕著な光学模様の形成によって検出され、検査が効果的になされる。
【0018】
しかも、最適な照射条件の探索が、光源位置の調節だけで実施され、散乱光の観測位置と被検査物体はいずれも固定されているから、探索が簡単になる。
【0019】
さらに、ウエハー全体のパターンからの、あるいはウエハーの広い領域のパターンからの散乱光に載った光学模様に基づき一挙に検査するアルゴリズムであるから、小領域毎の比較を反復する処理が不必要となり、よってウエハー全体のパターン検査が一挙になされ、検査時間が短縮される。しかもこれは自動化構成によってさらに効率的となり、加えて検査の均質化により品質向上がなされる。
【0020】
本発明に係る微細パターンの検査方法が、被検査物体を平坦面に平行な方向に段階的に移動する構成とされ、あるいは本発明に係る微細パターンの検査装置が、被検査物体を平坦面に平行な方向に段階的に移動するステージを設けて構成される場合は、狭視野の観測あるいは撮像手段によっても広面積の被検査物体の観測・検査をなし得る。
【0021】
本発明に係る微細パターンの検査装置の照射角度調節手段が、微細パターンのパターン方向に平行で平坦面から垂直に立ち上がる面上で照射角度を調節する構成の場合は、散乱光に載せられる光学模様が、パターン方向に平行な照射光で効率的に形成されるようなパターンをもつ被検査物体の検査を容易にする。
【0022】
本発明に係る微細パターンの検査装置の照射角度調節手段が、平坦面上で微細パターンのパターン方向から所定の回転角を張る、平坦面から垂直方向に立ち上がる面上で照射角度を調節する構成の場合は、散乱光に載せられる光学模様が、パターン方向に平行でない照射光によって形成されるようなパターンをもつ被検査物体の検査に対しても効率的な検査を可能にする。
【0023】
本発明に係る微細パターンの検査装置が、照射角度調節手段の調節した照射条件を記憶する記憶手段を具備して構成される場合は、同種の被検査物体を検査する際に記憶された照射条件の取り出し利用が可能になることで、調節の手間および時間が節約される。
【0024】
本発明に係る微細パターンの検査方法あるいは検査装置が、被検査物体をウエハー状の半導体製品あるいは中間品とする場合は、こうした半導体ウエハーが非破壊で検査されることで、検査によるロスが解消され、コスト削減がなされる。
【0025】
本発明に係る微細パターンの検査方法あるいは検査装置が、被検査物体をフラットパネルディスプレイあるいは中間品とする場合は、こうした被検査物体が非破壊で検査されることで、従来発生していた検査によるロスが解消される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る微細パターンの検査装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す微細パターンの検査装置の照射角度調節原理の説明図である。図3は、図1に示す微細パターンの検査装置の部分断面正面図である。
【0027】
図1に示されるように、本発明に係る微細パターンの検査装置1は、平坦な表面に微細パターン8が配設されているウエハー(被検査物体)2を照射角度θ1で斜め方向から照射する照射光5を発する光源4と、ウエハー2の上方、ウエハー2の平坦面の法線方向上に固定配設され、ウエハー2の平坦面が発する散乱光6を撮像して画像信号を出力するカメラユニット(撮像センサー)3と、カメラユニット3の出力する画像信号に基づいて縞模様(光学模様)30を検出する画像処理手段および、画像処理手段の検出結果に基づいて照射光5の照射角度を制御して好適な照射角度を探索する制御手段の両手段を備えるコンピュータ10を具備する。
【0028】
光源4として例えばヘリウムネオンレーザを用いれば、モノクローム光線の平行光線による照射光5を形成できる。照射光5はウエハー2の平坦面で反射され、反射光7と、ウエハー表面にほぼ垂直の方向に散乱される散乱光6を形成する。
散乱光6は、撮像中の被検査物体の点の画像を載せるものではなく、干渉により形成されるモアレ縞などの光学模様を載せた光線として処理される。散乱光6は、必要に応じてレンズにより集光する。
また、カメラユニット3は、反射光7の受光を排除するため、被検査物体であるウエハー2に対し、ほぼ垂直の位置に設置するのが好ましい。
【0029】
光源4は、軸4aを中心にホルダユニット13に回動可能に軸支され、軸4aには第1ギヤ12が連設されている。第1ギヤ12はホルダユニット13に取り付けられた第1モータ11の回転軸に噛合して、第1モータ11の回転にともない回動し、光源4が軸4aを中心に回動する。
【0030】
ホルダユニット13は、その下部が矢印z方向(上下方向)に竣立する2基のガイドフレーム17、18に挟まれて、z方向に移動可能となっている。
ホルダユニット13側部には、ラック14が取り付けられ、このラック14はガイドフレーム18に取り付けられた第2モータ16の回転軸に連設された第2ギヤ15と噛合している。したがって第2モータ16の回転にともない、ホルダユニット13はz方向に上下移動可能になっている。
【0031】
このように、本実施形態においては、第1モータ11、第1ギヤ12、ホルダユニット13、ラック14、第2ギヤ15、第2モータ16、ガイドフレーム17、18によって、照射角度θ1を調節する照射角度調節手段を形成している。ここで照射角度θ1は、ウエハー2の平坦面に設けられた微細パターン8のパターン方向25に平行で平坦面から垂直に立ち上がる面上に張る角度である。
【0032】
したがって図2および図3に示されるように、照射光5が照射されるウエハー2上位置Pから、ウエハー2の平坦面方向に測った光源4までの距離をDとすると、照射角度θ1を実現するには光源4の位置を、z方向に平坦面からz1の高さに置くとよい。ここでz1は、
z1=D・tanθ1
で決定される。したがって照射角度調節手段は、ホルダユニット13を高さz1まで移動させ、ついで光源4を回動させて照射角度θ1を実現する。
【0033】
同様に、照射角度θ2を実現するには光源4の位置を、z方向に平坦面からz2の高さに置く。ここでz2は、
z2=D・tanθ2
で決定される。
【0034】
前記のような構成で、微細パターン8が繰り返されたウエハー2に照射光5を照射すると、パターンからの散乱光6には回折光や干渉光に基づき形成される光学的模様が発生し、この光学的模様は、照射光5の照射角度θ1に依存する。
そして、この光学的模様は、パターンの形状、すなわちパターンの欠陥・異常に応じて異なった形となる。
例えば微細パターン8がレジストで形成されたものであり、レジストの露光が正常であれば、パターン稜部が鋭角に形成され、この繰り返しパターンから発した散乱光からは、虹色の規則的な光学的模様が観察される。
【0035】
しかしながら、露光不備などの原因でパターン稜部が鋭角に形成されていない際には、正常な際に観察される虹色の規則的な光学的模様のかわりに、例えば図1に示されるような縞模様30が観察される。この光学的模様は、照射条件によって変化するので、本実施形態では照射角度調節手段により照射角度θ1を可変として、好適な光学的模様が発生する照射角度θ1を探索するものである。
【0036】
本実施形態においては、さらに、前記の好適な照射角度θ1の探索制御と、光学的模様の画像処理に、制御ならびに画像処理が可能なコンピュータ10を用いる。コンピュータ10は、まず、カメラユニット3から送られる画像信号に基づき、照射角度調節手段を構成する第1モータ11、第2モータ16を制御して光学模様30が好適に出現する角度に照射角度θ1を制御調節し、光学模様30が好適に出現した状態で、欠陥の識別ならびに分析を行うアルゴリズムを実行し、その欠陥の特徴を判定するとともに、欠陥チップを特定する。このように本実施形態により、照射光の入射角を変化させながらリアルタイムで検査でき、パターン検査のスループットを向上させることが可能になる。
【0037】
このようにパターンの欠陥・異常を検出しやすい条件で、例えばフォトレジストを露光現像後のシリコンウエハーを照射撮像し、撮像信号をコンピュータに取り込んで光学模様の検出を行った結果として、ウエハー上に形成された38個の半導体チップパターンのうちで第27番のチップパターンにパターン異常による縞模様が検出されたとすると、この画像に基づいて、第27番のチップのレジストパターンが異常であると判定される。
【0038】
前記構成において、光学的模様の目視確認のために、コンピュータ10にモニター10Aを接続することが望ましい。また、ウエハー2は真空吸着するウエハーチャックに支持される構成とすることもできる。
さらに、前記構成のかわりに、光源を自在可動アームに固定して、自在可動アームを動かすことで光源を自在に移動し、照射角を任意の角度に調節する構成にすることも可能である。
また前記構成のかわりに、光学模様が好適に出現する角度に照射角度を調節する作業を手動とし、画像処理をコンピュータで実行する構成とすることもできる。
【0039】
つぎに本発明に係る微細パターンの検査装置の別の実施形態を、前記図1および図3に基づき説明する。なお前記実施形態と同じ部分は説明を省略する。
本実施形態の微細パターンの検査装置は、被検査物体であるウエハー2を直接あるいは間接に載置し、固定されたカメラユニット(撮像センサー)3の光軸に垂直方向に被検査物体であるウエハー2を段階的に移動させる、Xステージ20、Yステージ21を設けて構成する。Xステージ20、Yステージ21はコンピュータ10の、後述する制御手段によりその作動が制御される。
この構成により、ウエハー2は2次元方向に移動可能になる。しかも移動スパンは、小スパンで連続的移動であっても、あるいは大きいスパンで離散的に移動するものであってもよい。
【0040】
この構成の結果、ウエハー2が比較的大きい寸法の場合であっても、撮像センサーは狭視野のものでよく、広視野機能を必要としないから、装置コストを削減でき、しかも円滑にウエハー2全体を有効に検査することができる。これにより、検査時間の短縮がなされる。
【0041】
つぎに本発明に係る微細パターンの検査装置のさらに別の実施形態を、前記図1、図3および図4、図5に基づき説明する。なお前記実施形態と同じ部分は説明を省略する。
この実施形態の構成においては、前記照射角度調節手段を構成する各部品ならびに光源4は、カメラユニット3の光軸上に回転軸を有して、ウエハー2の下方に配設された回転台19の端部に設けられる。回転軸は第3モータ9によって駆動され、これにより回転台19が回転角φだけ回転すると、照射光35は平面図において角度φだけ傾斜する。ここで照射光35は、平坦面に関しては立上がり角度θを張るから、結果的に照射光35は立上がり角度θおよび回転角φを同時に張る照射角度でウエハー2を照射することになる。
第3モータ9はコンピュータ10の、後述する制御手段によりその作動が制御される。
【0042】
したがって、この構成により、照射角度を任意の角度に設定することができ、種々のパターンを備える種々の被検査物体のパターン検査に適応することが可能になる。
すなわち、被検査物体は、その平坦面に関して立上がり角度θおよびその支配的パターンによって特定されるパターン線に関して回転角φで照射され、この各角度は、モアレ縞などの干渉により形成される光学模様を形成するに好適に選択される。
【0043】
図6は、本発明に係る微細パターンの検査装置に組込まれた画像処理手段および制御手段のブロック構成例を示す図である。
図7は、図6に示す画像処理手段および制御手段の動作フローチャートである。
画像処理手段31は、画像信号標本化・量子化手段32、平滑化・輪郭強調処理手段33、特徴抽出手段34、縞模様発生チップ同定手段35を備えてなる。また制御手段37は、XY位置調節手段38、θ調節手段39、φ調節手段40、z位置調節手段41、最適照射条件記憶手段42を備えてなる。
【0044】
画像信号標本化・量子化手段32は、画像信号入力があると(ステップS1)散乱光の撮像信号(アナログ信号)をサンプリング処理してデジタルデータとなし(ステップS2)、平滑化・輪郭強調処理手段33は前記デジタルデータにソフト的に平滑化処理を施すとともに(ステップS3)、ソフト的な輪郭強調処理を行う(ステップS4)。
この平滑化および輪郭強調処理の結果、所定のウエハー領域が撮像されていない場合は(ステップS5)、情報を制御手段37のXY位置調節手段38に送り、制御手段37はXY位置調節を行って所定のウエハー領域が撮像される状態にする(ステップS6)。
【0045】
特徴抽出手段34では、平滑化加工ならびに輪郭強調加工がなされたデジタルデータに基づき、エルミート多項式による関数展開で模様の同定がなされ(ステップS7)、幾何学的性質の抽出をおこない(ステップS8)、この結果に基づいて評価関数演算を行い、処理を続行するのに好適な光学模様、例えば縞模様が抽出できたかを評価して(ステップS9)、角度およびz位置が最適か否かを判定する(ステップS10)。この光学模様抽出過程における判定情報は制御手段37に入力される。
【0046】
制御手段37は、入力された判定情報をθ調節手段39、φ調節手段40、z位置調節手段41に送り、θ調節手段39はモータ11を駆動して立上がり角度θを、φ調節手段40はモータ9を駆動して回転角φを、またz位置調節手段41はモータ16を駆動して光源のz位置を、それぞれ調節し(ステップS11)、このループにより最適な角度およびz位置を実現する。
【0047】
そして好適な光学模様抽出がなされた際に、抽出情報が縞模様発生チップ同定手段35に入力される。
縞模様発生チップ同定手段35はこの抽出情報に基づき、縞形状がなければ欠陥部分なしと判定し(ステップS12〜S13)、縞形状があれば縞模様を発生させた欠陥あるいは異常パターンを有するチップを決定して表示する(ステップS12〜S14)。
【0048】
また、好適な光学模様抽出がなされた際に、抽出完了の通知が制御手段37になされ、制御手段37は現在の照射条件(立上がり角度θ、回転角φ、z位置)を最適照射条件として最適照射条件記憶手段42に記憶させる(ステップS15)。記憶された最適照射条件は、そのパターンを有する被検査物体に共通に使用できるから、同種の被検査物体が装荷された際には微調整だけでそのまま流用できる。これによって、照射角度調節に要する時間をさらに短縮することができる。
【0049】
なお本発明の装置では、光源として平行光源を使用する構成が好ましく、よって照射光あるいは散乱光を平行化する手段、例えばレンズや鏡を具備して構成することもできる。
また、光源として発散または収束光源を適用することもできる。
さらに、照射光あるいは散乱光を偏光する手段、例えば偏光版を具備して構成することもできる。
【0050】
また、前記の実施形態例では、半導体ウエハー製造におけるレジストパターンの検査システムの状況で説明したが、本発明に係る微細パターンの検査方法および検査装置はこれに限らず、半導体集積回路の回路パターンや写真製版マスク、TFT液晶平面ディスプレイ装置の部品等、繰返しパターンを持つ製品のパターン検査をはじめ、金属顕微鏡などによる観察画像に基づき微細パターンの検査等、散乱光に載った光学模様が検出できる構成であればその分野を問わず適用実施できることは言うまでもない。
【0051】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の請求項1に係る微細パターンの検査方法は、被検査物体の微細パターンが配設された平坦面の位置を固定し、散乱光の観測位置を平坦面の法線方向に固定し、光源位置を移動させて照射角度を、散乱光に形成される光学模様が観測可能な角度に調節して光学模様を観測することにより微細パターンを検査する構成であるから、調節操作は光源位置の移動だけであり、よって操作が容易になるという効果がある。
【0052】
本発明の請求項8に係る微細パターンの検査方法は、微細パターンが配設された平坦面を有する被検査物体を段階的に移動して光学模様を観測する構成であるから、ウエハーが比較的大きい寸法の場合であっても、円滑にウエハー全体を有効に検査することができ、検査時間の短縮がなされる。
【0053】
請求項9に係る微細パターンの検査方法は、被検査物体がウエハー状の半導体製品あるいは中間品であるから、こうした半導体ウエハーを非破壊で検査ができ、従来発生していた検査によるロスを解消できるという効果がある。
【0054】
請求項10に係る微細パターンの検査方法は、被検査物体がフラットパネルディスプレイあるいは中間品であるから、こうしたフラットパネルディスプレイ製品あるいは中間品を非破壊で検査ができ、よって従来発生していた検査によるロスを解消できるという効果がある。
【0055】
請求項11に係る微細パターンの検査装置は、被検査物体の平坦面の法線方向上に固定配設された撮像センサーと、撮像センサーの出力する画像信号に基づいて光学模様を検出する画像処理手段と、光源の発する光線の照射角度を調節する照射角度調節手段と、画像処理手段の検出結果に基づいて照射角度調節手段を制御する制御手段とを備えて好適な照射角度を探索する構成であるから、最適な照射条件の探索を光源位置の調節だけで実施でき、探索が簡単になる。
さらに、ウエハー全体あるいはウエハーの広い領域のパターンからの、散乱光に載った光学模様に基づき一挙に検査でき、よって操作を簡素化できるとともに検査時間の大幅な短縮が可能になる。しかも自動化構成することによってさらに効率的にでき、加えて検査の均質化により品質向上を実現できる。
【0056】
請求項12に係る微細パターンの検査装置の照射角度調節手段は、平坦面に設けられた微細パターンのパターン方向に平行で平坦面から垂直に立ち上がる面上で照射角度を調節するように構成されるから、散乱光に載せられる光学模様が、パターン方向に平行な照射光で効率的に形成されるようなパターンをもつ被検査物体の検査が極めて容易となり、使い勝手が向上する。
【0057】
請求項13に係る微細パターンの検査装置の照射角度調節手段は、平坦面上で微細パターンのパターン方向から所定の回転角を張る、平坦面から垂直方向に立ち上がる面上で照射角度を調節する構成であるから、散乱光に載せられる光学模様が、パターン方向に平行でない照射光によって形成されるようなパターンをもつ被検査物体の検査に対しても効率的な検査が可能となり、検査時間の短縮が可能になる。
【0058】
請求項14に係る微細パターンの検査装置は、固定された撮像センサーの光軸に垂直方向に被検査物体を段階的に移動させるステージを設けて構成したものであるから、ウエハーが比較的大きい寸法の場合であっても、円滑にウエハー全体を有効に検査することができ、検査時間の短縮がなされる。また、撮像センサーは狭視野のものでよく、広視野機能を必要としないから、装置コストを削減できる。
【0059】
請求項15に係る微細パターンの検査装置は、照射角度調節手段の調節した照射条件を記憶する記憶手段を具備して構成したものであるから、同種の被検査物体を検査する際に記憶された照射条件を取り出し利用でき、よって手間及び時間の短縮が可能になる。
【0060】
請求項16に係る微細パターンの検査装置は、被検査物体がウエハー状の半導体製品あるいは中間品であるから、こうした半導体ウエハーを非破壊で検査ができ、従来発生していた検査によるロスを解消でき、コスト削減できるという効果がある。
【0061】
請求項17に係る微細パターンの検査装置は、被検査物体がフラットパネルディスプレイあるいは中間品であるから、こうしたフラットパネルディスプレイ製品あるいは中間品を非破壊で検査ができ、よって従来発生していた検査によるロスを解消できるという効果がある。
【0062】
前記のように本発明に係る微細パターンの検査方法および検査装置によって、例えばこれを半導体プロセスに適用した際には、ウエハーに形成されたフォトレジスト部分の断面形状などの、ウエハーの表面またはそれより低い位置にある形状の欠陥部分を、低角度光線からの散乱光に載った顕著な光学模様の形成によって検出できるから、検査を効果的に行うことが可能になる。
【0063】
さらに、従来の明視野撮像方法あるいは低角度暗視野撮像方法のアルゴリズムのような、被検査部分の画像と参照用画像とを比較して欠陥や異常部分を判定処理するものとは異なり、ウエハー全体のパターンからの、あるいはウエハーの広い領域のパターンからの散乱光に載った光学模様に基づき一挙に検査するものであるから、小領域毎の比較を反復する処理が不必要となり、よってウエハー全体のパターン検査を一挙に短時間で実施することが可能になる。
【0064】
しかも、従来にような検査作業者による斜光目視を行うものと異なって、自動化することにより効率的となり、スループットが向上して低コストが実現できる上、検査判定が均一化されることで判定のバラツキを極小にでき、よって良好な品質管理をも併せ実現することができるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微細パターンの検査装置の実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す微細パターンの検査装置の照射角度調節原理の説明図である。
【図3】図1に示す微細パターンの検査装置の部分断面正面図である。
【図4】本発明に係る微細パターンの検査装置の別の実施形態を説明する正面図である。
【図5】図4の装置の平面図である。
【図6】本発明に係る微細パターンの検査装置に組込まれた画像処理手段および制御手段のブロック構成例を示す図である。
【図7】図6に示す画像処理手段および制御手段の動作フローチャートである。
【図8】従来の手動式微細パターンの検査装置の説明図である。
【符号の説明】
1……微細パターンの検査装置、2……ウエハー(被検査物体)、3……カメラユニット(撮像センサー)、4……光源、5……照射光、6……散乱光、7……反射光、8……微細パターン、9……第3モータ、10……コンピュータ、10A……モニター、11……第1モータ、12……第1ギヤ、13……ホルダユニット、14……ラック、15……第2ギヤ、16……第2モータ、17……ガイドフレーム、18……ガイドフレーム、19……回転台、20……Xステージ、21……Yステージ、25……パターン方向

Claims (22)

  1. 微細パターンが配設されている平坦面を有する被検査物体の前記微細パターン、光源が発する光線照射し、その散乱光を観測することにより前記微細パターンを検査する方法において、
    前記被検査物体の微細パターンが配設された平坦面の位置を固定し、かつ前記散乱光の観測位置を前記固定された平坦面の法線方向に固定する第1工程と、
    前記微細パターンに光源からの光線を所定の照射角度で照射する第2工程と、
    前記光線を照射して前記散乱光に観測される光学模様のうち、前記微細パターンの欠陥に起因する縞模様が抽出可能かを評価する第3工程と、
    前記光源の位置を移動させることで、前記縞模様が観測可能となるように、前記照射角度を調節する第4工程と、
    調節した前記照射角度で前記微細パターンに前記光線を照射して光学模様を観測し、前記縞模様の有無で微細パターンの欠陥を判定する第5工程とを有する
    ことを特徴とする微細パターンの検査方法。
  2. 前記第2工程では、前記微細パターンに前記光線を所定の照射角度で照射するとともに、散乱光の撮像信号を処理してデジタルデータとし、当該デジタルデータにソフト的に平滑化処理を施す
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  3. 前記第2工程では、前記微細パターンに前記光線を所定の照射角度で照射するとともに、散乱光の撮像信号を処理してデジタルデータとし、当該デジタルデータにソフト的な輪郭強調処理を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  4. 前記第2工程と前記第3工程との間に、
    所定の前記微細パターンの配設された領域が撮像されていない場合は、前記平坦面の位置を移動することで、前記領域が撮像される状態にする工程を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  5. 前記第3工程では、エルミネート多項式による関数展開で前記光学模様を同定して、前記縞模様が抽出可能かを評価する
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  6. 前記第3工程と前記第4工程との間には、
    前記縞模様が抽出可能かの評価に基づき、前記照射角度が最適か否かを判定する工程を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  7. 前記第3工程と前記第4工程との間には、
    前記縞模様が抽出可能かの評価に基づき、前記光源の位置が最適か否かを判定する工程を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  8. 前記第5工程では、調節した前記照射角度で前記微細パターンに前記光線を照射するとともに、前記微細パターンが配設された平坦面を有する被検査物体を前記平坦面に平行な方向に段階的に移動して前記光学模様を観測し、前記縞模様の有無で微細パターンの欠陥を判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の微細パターンの検査方法。
  9. 前記被検査物体がウエハー状の半導体製品あるいは中間品である
    ことを特徴とする請求項1または8記載の微細パターンの検査方法。
  10. 前記被検査物体がフラットパネルディスプレイあるいは中間品である
    ことを特徴とする請求項1または8記載の微細パターンの検査方法。
  11. 被検査物体の微細パターンが配設されている平坦面を照射する光線を発する光源と、前記光源の発する光線による前記被検査物体の平坦面に対する照射角度を調節する照射角度調節手段と、前記被検査物体の平坦面の法線方向上に固定配設され、前記平坦面が発する散乱光を受けて画像信号を形成させる撮像センサーと、前記撮像センサーの出力する画像信号に基づいて光学模様を検出する画像処理手段と、前記画像処理手段の検出結果に基づいて前記照射角度調節手段を制御する制御手段とを備えて好適な前記照射角度を探索する構成とされた検査装置であって、
    前記画像処理手段は、検出した前記光学模様から前記微細パターンの欠陥に起因する縞模様の有無に基づき、微細パターンの欠陥を有する被検査物体を決定して表示する縞模様発生チップ同定手段を備えている
    ことを特徴とする微細パターンの検査装置。
  12. 前記照射角度調節手段は、前記平坦面に設けられた微細パターンのパターン方向に平行で前記平坦面から垂直に立ち上がる面上で照射角度を調節する
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
  13. 前記照射角度調節手段は、前記平坦面上で前記平坦面に設けられた微細パターンのパターン方向から回転角を張る、前記平坦面から垂直方向に立ち上がる面上で照射角度を調節する
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
  14. 前記平坦面に平行な方向に前記被検査物体を段階的に移動するステージを設け、前記ステージ上に前記被検査物体が載置可能な構成とした
    ことを特徴とする請求項11、12または13記載の微細パターンの検査装置。
  15. 前記照射角度調節手段の調節した少なくとも照射角度を含む照射条件を記憶する記憶手段を具備した
    ことを特徴とする請求項11、12、13または14記載の微細パターンの検査装置。
  16. 前記被検査物体がウエハー状の半導体製品あるいは中間品である
    ことを特徴とする請求項11、12、13、14または15記載の微細パターンの検査装置。
  17. 前記被検査物体がフラットパネルディスプレイあるいは中間品である
    ことを特徴とする請求項11、12、13、14または15記載の微細パターンの検査装置。
  18. 前記画像処理手段は、前記画像信号の標本化を行う標本化手段を備えている
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
  19. 前記画像処理手段は、前記画像信号の量子化を行う量子化手段を備えている
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
  20. 前記画像処理手段は、デジタル化された前記画像信号にソフト的に平滑化処理を施す平滑化処理手段を備えている
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
  21. 前記画像処理手段は、デジタル化された前記画像信号にソフト的な輪郭強調処理を行う輪郭強調処理手段を備えている
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
  22. 前記画像処理手段は、前記画像信号に基づき、エルミネート多項式による関数展開で光学模様の同定をするとともに、幾何学的性質の抽出を行い、前記縞模様が抽出できたかを評価して前記照射角度および前記光源の位置が最適か否かを判定する特徴抽出手段を備えている
    ことを特徴とする請求項11記載の微細パターンの検査装置。
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