JP3586579B2 - 指向性マイクロホン及びこれを用いた音源探査装置 - Google Patents

指向性マイクロホン及びこれを用いた音源探査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数個のマイクロホンで構成される指向性マイクロホン及びこれを用いた音源探査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、指向性を形成することによって得られる指向性マイクロホンとして、アレイマイクロホンが提案されている。
図20は、従来提案された特開平3−113998号公報及び特開平7−131886号公報に示されるアレイマイクロホンの基本構成を示す。
図20において、101,102,103はそれぞれ第1マイクロホンユニット、第2マイクロホンユニット、第Nマイクロホンユニットである。104は、この第1マイクロホンユニット101から第Nマイクロホンユニット103までを同一線分上に配置することによって構成されるマイクロホンアレイである。105は指向性形成装置であり、106は出力端子である。ここで、第1マイクロホンユニット101から第Nマイクロホンユニット103は到来音波を受波し、それぞれ指向性形成装置105に出力する。この指向性形成装置105では、マイクロホンアレイ104に平面波が到来した場合に現われる各マイクロホンユニットの出力信号の位相ずれと平面波の入射角度の関係を利用して指向性を形成する。
【0003】
指向性形成装置105の基本構成は、マイクロホンアレイ104の各マイクロホンユニット101〜103に対応した図21に示すマイクロホンユニットと同数の遅延装置111〜113と、この遅延装置111〜113による遅延計算結果を加算する1つの加算装置114による構成である。第1入力端子108は、図20に示す第1マイクロホンユニット101からの信号を受け、第2入力端子109は図20に示す第2マイクロホンユニット102からの信号を受け、また第N入力端子110は図20に示す第Nマイクロホンユニット103からの信号を受ける。更に、第1遅延装置111は第1入力端子108からの信号に時間遅れを与える装置であり、第2遅延装置112は第2入力端子109からの信号に時間遅れを与える装置であり、第N遅延装置113は第N入力端子110からの信号に時間遅れを与える装置である。加算装置114は第1遅延装置111から第N遅延装置113までのそれぞれの遅延装置での遅延計算結果の全てを重ね合せ、出力端子115で加算装置114の加算計算結果を出力する。
【0004】
指向性形成装置105の指向性形成原理を説明するに、図22にてマイクロホンアレイ104を含む直線をx軸とし、それと互いに直交するようにy軸、z軸を考え、直角空間座標(x,y,z)を導入して、図22に示すようにマイクロホンアレイと導入された直角空間座標との関係とする。そして、マイクロホンアレイ104に到来する平面波の伝播方向とマイクロホンアレイ104とのなす角をθとし、マイクロホンアレイ104に到来する平面波の周波数を単一周波数fとし、振幅を単位振幅とするとき、平面波がマイクロホンアレイ軸の直角方向以外の方向から到来するとすると、平面波の波面がマイクロホンアレイ104を構成する各マイクロホンユニット101〜103に到達する時刻は互いに差が現われるため、各マイクロホンユニット101〜103の出力には位相差が現われる。そのため、マイクロホンアレイ上での出力を時間についてフーリエ変換すると、次式(1)で表わされるような空間波形が得られる。
【0005】
p(x) = exp(ikx cosθ) …… (1)
ただし、kは平面波の波数であり、k≡2πf/c で定義され、ここでπ,cはそれぞれ円周率と音速である。また、iは虚数単位であり、i≡(−1)1/2 で定義される。また、xはマイクロホンユニットの座標を意味する。
この位相差を補正するように各マイクロホンユニットの出力に対して時間遅れを与え、得られた遅延計算結果を時間についてフーリエ変換したものをq(x)とする。q(x)は次式(2)で表わされる。
【0006】
q(x) = exp(ikx cosθ) exp(−ikx cosθ) …… (2)
ただし、θは指向性を持たせたい方向である。音波の到来方向θが指向性の方向θに一致する時、式(2)で表わされる各マイクロホンユニット101〜103に遅延時間を与えた結果は全て同位相となる。式(2)で表わされる各マイクロホンユニット101〜103の遅延計算結果q(x)を全て重ね合せ、平均値を計算する。遅延計算結果の平均値をA(θ)とする。A(θ)は次式(3)[数1]で表わされる。
【数1】
Figure 0003586579
【0007】
ただし、Lはマイクロホンアレイの長さであり、積分はマイクロホンアレイに沿う積分を意味する。
ここで、無限個数のマイクロホンユニット101〜103にて構成される無限長さのマイクロホンアレイを仮定するとき、式(3)より遅延和A(θ)はデイラクのデルタ関数δ(θ−θ)として表わされる。この結果、式(3)の遅延和によってθの方向からくる平面波のみを強く出力することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
デルタ関数は無限個のマイクロホンユニットと無限長のマイクロホンアレイにつき表わされるが、実際上のマイクロホンアレイ104は有限長さであり、また、マイクロホンユニット数も有限であるため、理想的なデルタ関数では表わせない。つまり、従来の指向性形成装置によって形成される指向性は、無限長のマイクロホンアレイに対する遅延和計算の式(3)を、有限長さのマイクロホンアレイの場合にも用いることにより、計算誤差が現われることから、理想的なデルタ関数では表わせない。
そして、上述の如き従来の指向性形成原理の計算誤差では、到来音波の周波数が低くなるに従って大きくなり、この結果低い周波数の音波に対してのアレイマイクロホンの指向性は弱くなる。因に、特開平7−131886号公報にて開示されたアレイマイクロホンの指向性を図23に示す。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑み、音波の周波数が低くなるに従って指向性が低下することなく、周波数によらずすぐれた指向性を持つ指向性マイクロホン及びこれを用いた音源探査装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成する本発明は、次の発明特定事項を有する。
第1の発明は、任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットの各出力を、上記面内の規則性に基づく有限な空間座標を用いた処理を行ない指向性を得ることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明にあって、任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットは、複数のマイクロホンユニットが円形に配列されたものであることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1の発明にあって、任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットは、複数のマイクロホンユニットを円形に配列したマイクロホンリングの複数個を相互に重ならないようにその中心を一致させて球面上に分布させたものとしたことを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1の発明にあって、任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットは、円形に配置された複数個のマイクロホンユニットで構成される複数のマイクロホンリングを、それぞれが重ならないように、かつそれぞれのマイクロホンリングの中心が同一直線上にあるように、かつその時にマイクロホンユニットによって形成される円筒面上でマイクロホンユニットが円筒軸と平行な直線となりマイクロホンアレイを構成するように配置して多層マイクロホンリングを構成するものとし、
この多層マイクロホンリングのマイクロホンアレイを構成するマイクロホンユニットの出力に対して遅延時間を与えて加算して出力としたことを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1の発明にあって、有限領域に配置された複数個のマイクロホンユニットの出力をもとにして上記有限領域外の領域にわたってのマイクロホンユニットのデータを予測し、この予測データと実測データとを加算して出力としたことを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第5の発明にあって、上記有限領域は円弧であり有限領域外の領域をも含めて円周としたことを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第5の発明にあって、上記有限領域は、マイクロホンユニット列であるマイクロホンアレイを円弧上に並べて形成し有限領域外の領域をも含めてマイクロホンアレイを円周上に配列したことを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第5の発明にあって、上記有限領域は回転円弧面であり、有限領域外の領域も含めて球面としたことを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第1〜第8のいずれかの発明にあって、基準方向からのみ到来すると想定した平面波による上記マイクロホンユニットの各出力データと実際に計測された上記マイクロホンユニットの各出力データとを比較するようにしたことを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、第1〜第8のいずれかの発明にあって、上記処理としては、上記マイクロホンユニットの各出力に生ずる位相差の変化を上記有限な空間座標にて直交性を有する関数列に展開するようにしたことを特徴とする。
【0020】
第11の発明は、第1〜第10のいずれかの発明にあって、得られる指向性の方向を変化させることによって音波の到来方向を探査することを特徴とする。
【0021】
第12の発明は、基準方向からのみ到来すると想定した平面波によるマイクロホンユニットの各出力データをマイクロホンユニットを配置した空間で直交な関数に展開した値とマイクロホンユニットの出力データをマイクロホンユニットを配置した空間で直交な関数に展開した値との比較を畳込み演算によって時間領域で行なって音波の時間波形を得て、指向性を得るようにしたことを特徴とする。
【0022】
第13の発明は、マイクロホンユニットの各出力データをマイクロホンユニットの周方向に沿ってモード展開する装置と、この装置の出力を各モードごとに畳込みを行なうコンボリューションと、この出力を音波の到来方向に採る乗算器とを有することを特徴とする。
【0023】
第14の発明は、第12、第13の発明にあって、マイクロホンユニットを円周形状及び球面上のいずれかに配列したことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図19を参照して本発明の実施の形態の一例につき述べる。図1は本発明の一例であり、図2,図3にて本発明の原理をも示す。図において、円形に配置された複数個のマイクロホンユニット1,2,3で構成されるマイクロホンリング4と、各マイクロホンユニットからの出力をそれぞれ時間についてフーリエ変換するフーリエ変換装置5と、各マイクロホンユニットの出力を時間についてフーリエ変換した結果をマイクロホンリング4の周方向に沿って空間的にフーリエ展開するフーリエ展開装置6と、フーリエ展開した結果に重みを与えながら重ね合せを行う加算装置7とで構成される指向性形成装置9で構成される。
【0025】
本発明では、閉曲線上に配置された複数個のマイクロホンユニットの出力を、このマイクロホンユニットが配置された閉曲線に沿った曲線座標を用いて演算処理して指向性を得るものであり、図1の円形を閉曲線とした場合には、曲線座標としては円形配置された複数個のマイクロホンユニットによって形成されるマイクロホンリング4の中心を原点とする図2に示すような極座標を用いることとなる。そして、極座標にて空間の全方向を表現するために必要な空間座標は、周方向座標0(rad) から2π(rad) の有限区間となる。この方向を十分に表現するため必要となる空間座標が有限であることが本発明の特徴である。なお、図2において10は、周方向座標θであり、このθについて0rad 〜2πrad の有限区間にて全方向が表現できる。
【0026】
図1に示す構成にあっては、第1マイクロホンユニット1から第Nマイクロホンユニット3では到来音波を受波し、指向性形成装置9に出力する。この指向性形成装置9では、音波到来角度の変化による各マイクロホンユニットの出力の空間的な位相のずれの変化を用いて指向性を形成し、限られた範囲の方向から到来する音波を強く出力する。
【0027】
この場合、指向性形成原理としては、平面波が基準方向として定義された方向からのみ到来する場合にマイクロホンリングで計測されるデータを基準データとして用い、実際にマイクロホンリングより得られる計測データを基準データと比較することによって指向性を形成する。
また、指向性形成にあたっては、計測データと基準データとのそれぞれを空間に関して直交性を有する関数列に展開しその高次項まで考慮する。因に、従来の指向性形成に当っては、各マイクロホンユニットの出力を整相した上で平均値をとりこの平均値を評価しており、いわば直交性を有する関数列に展開した場合の0次項のみ考慮するにすぎない。
【0028】
指向性形成原理を図1,図2と共に図3を用いて説明する。
例えば、周方向座標θ=0の方向を基準方向と定義し、その方向からのみ平面波が到来していると想定した場合にマイクロホンリング4を構成する各マイクロホンユニット1,2,3の出力をフーリエ変換装置5によって時間についてフーリエ変換したものを基準方向データF(θ)と定義する。すると、周方向座標θ=Ψの方向から到来する平面波に対しての各マイクロホンユニット1,2,3の出力をフーリエ変換装置5によって時間についてフーリエ変換して得られる計測データはF(θ−Ψ)と表わされる。
図3(a)はθ=Ψから平面波が到来していると想定した場合、マイクロホンリング4を構成する各マイクロホンユニット1,2,3の出力を、指向性形成装置を構成する装置の1つであるフーリエ変換装置5において時間についてフーリエ変換したものを、横軸をマイクロホンユニット1,2,3の位置として模式的に示したものである。つまり、音波の周波数成分を取り出してマイクロホンユニット1,2,3に対する音圧変化を示している。
【0029】
図3(b)は、θ=Ψの方向から平面波が到来している場合に各マイクロホンユニット1,2,3の出力をフーリエ変換装置5によって時間についてフーリエ変換して得られる計測データF(θ−Ψ)を、空間フーリエ展開装置6によってマイクロホンリング4の周方向θに沿ってフーリエ展開した結果、横軸をフーリエ展開の各モード番号として模式的に示したものである。ここで、基準方向データF(θ)と、計測データF(θ−Ψ)をそれぞれ次の空間フーリエ展開装置6によってマイクロホンリング4の周方向にそってフーリエ展開して得られるフーリエ係数の比は正弦波形の関数で表わされる。この図3(b)ではマイクロホンリング上にてその成分上での位置ずれを取り出している。
【0030】
次式(41),式(42)[数2]は、θ=Ψの方向から平面波が到来している場合に各マイクロホンユニット1,2,3の出力をフーリエ変換装置5によって時間についてフーリエ変換して得られる計測データF(θ−Ψ)を、空間フーリエ展開装置6によってマイクロホンリング4の周方向θに沿ってフーリエ展開して得られるフーリエ係数を表わす。ただし、係数εは、ε=1,ε=2(m>0)である。
【数2】
Figure 0003586579
【0031】
また、次式(51),式(52)[数3]は、θ=0の方向から平面波が到来している場合に各マイクロホンユニット1,2,3の出力をフーリエ変換装置5によって時間についてフーリエ変換して得られる基準方向データF(θ)を空間フーリエ展開装置6によってマイクロホンリング4の周方向θに沿ってフーリエ展開して得られるフーリエ係数を表わす。
【数3】
Figure 0003586579
【0032】
上記式(41),(42)と上記式(51),(52)とを比較することにより、計測データと基準方向データとのフーリエ係数の比は正弦波形の関数で表わされる。基準方向データと計測データとのフーリエ係数比をα,βとするとき、[数4]の式(61),式(62)はα,βを示し、図3(c)にてフーリエ係数比αを模式的に示している。
【数4】
Figure 0003586579
【0033】
ついで、空間フーリエ展開装置6で得られる基準方向データと計測データのフーリエ係数の比を図1に示す加算装置7に出力し、図3(d)は、加算装置7において基準方向データと計測データのフーリエ係数の比を改めてフーリエ係数とみなすフーリエ級数の計算を行った結果を模式的に示している。次式(7)は、基準方向データと計測データのフーリエ係数比α,βをフーリエ係数とするフーリエ級数を表わす。
【数5】
Figure 0003586579
【0034】
上記式(61),式(62)のように基準方向データと計測データのフーリエ係数比α,βは正弦波形の関数で表わされるので、式(7)の計算結果はディラクのデルタ関数δ(・)を用いてA(θ)=δ(θ−Ψ)と表わされ、本発明の指向性形成原理によりデルタ関数的な鋭い指向性が得られる。
以上で説明した本発明の指向性形成原理によって得られる指向性は、マイクロホンリング4の半径、音波の周波数に依存しない。よって、本発明の指向性形成原理では、低い周波数において、従来のアレイマイクロホンに比べ強い指向性を確保することが可能となる。
【0035】
次に、数値実験結果を示す。数値実験では、マイクロホンユニット数を16個、マイクロホンリング半径を250[mm]としたマイクロホンリングに、ある一方向から平面波が到来している場合を想定し、平面波が到来する方向を周方向座標θの原点とし、指向性を持たせる方向をθ=−π[rad] からθ=π[rad] まで変化させた時の図1に示す例の出力を求め、この出力から指向性の強さを求めた。
この時、指向性形成における空間フーリエ展開は15次のモードまでを考慮した。
【0036】
また、図1の例での指向性を従来のアレイマイクロホンの指向性と比較するため、マイクロホンアレイ長さが数値実験に用いる本例のマイクロホンリングの最大マイクロホンユニット距離と等しく500[mm]、かつ、マイクロホンユニット数を数値実験に用いる本例のマイクロホンユニット数と等しく16個としたアレイマイクロホンの指向性の数値実験を行った。ただし、アレイマイクロホンの指向性の数値実験は、平面波がマイクロホンアレイの軸方向から到来してきている場合を想定し、その平面波到来方向の到来角度θの原点とし、指向性を持たせる方向をθ=−π[rad] からθ=π[rad] まで変化させた時のアレイマイクロホンの出力を求め、アレイマイクロホンの出力から指向性の強さを求めた。また、音波の周波数は250[Hz],500[Hz]のそれぞれの場合を考える。
【0037】
図4は、数値実験による本例と従来のアレイマイクロホンの指向性の比較を示しており、音波の周波数が低くなるにしたがい、従来のアレイマイクロホンの指向性が弱くなるのに対して、本例の指向性は周波数によらず、強い指向性を示す。また、マイクロホンリングの計測データを空間フーリエ展開装置で周方向モードに展開する際のモード数が多い程、本例の指向性は強い。さらに、本例の指向性はマイクロホンリングの半径によらないため、従来のアレイマイクロホンと比べ装置の大きさを小さくすることが可能である。
【0038】
本例では、限られた狭い方向から到来する音波をよく集音する指向性マイクロホンとして用いる以外にも、複数の方向から音波が到来する場合に、どの方向からどの程度の大きさの音波が到来してきているのかを出力する、音源探査装置として用いることも可能である。複数の方向から音波が到来する場合には、本例の出力は、それぞれの方向からの音波に対応したデルタ関数の重ね合せとして得られる。図5は、周方向座標θ=0[rad] と、周方向座標θ=π/2[rad] の方向からそれぞれ音圧レベル100[dB],90[dB]の平面波が到来する音場を想定した場合の本例を用いた計測結果を数値実験によって検討した結果を示す。ただし、図5は、数値実験に用いたマイクロホンリングを構成するマイクロホンユニット数を32個、マイクロホンリング半径を250[mm]とした時の結果である。
【0039】
図6,7,8は本発明の実施の形態の第2例を示しており、図6では構成、図7は指向性形成装置のブロックを示している。これらの図において、11は第0.1マイクロホンユニット、12は第0.2マイクロホンユニット、13は0.Nマイクロホンユニット、14は第M.1マイクロホンユニット、15は第−M.1マイクロホンユニット、16は複マイクロホンリング、17は球面型指向性形成装置、18は出力端子であり、また、球面型指向性形成装置にあって、19は第−M.1入力端子、20は第0.1入力端子、21は第0.2入力端子、22は第M.1入力端子、23はフーリエ変換装置、24は方球関数展開装置、25は加算装置である。
【0040】
ここでは、それぞれが円形に配置された複数個のマイクロホンユニット11,12,13,14,15で構成される複数のマイクロホンリング16を、それぞれのマイクロホンリングが重ならないように、かつそれぞれのマイクロホンリングの中心が一致するように配置することによって全てのマイクロホンユニットが1つの球面上に分布した複マイクロホンリング16と、各マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニット11,12,13,14,15からの出力をそれぞれ時間についてフーリエ変換するフーリエ変換装置23、各マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニットの出力を時間についてフーリエ変換した結果を複数のマイクロホンリングが形成する球面上で方球関数展開する方球関数展開装置24、方球関数展開した結果に重みを与えながら重ね合せを行う加算装置25で構成される指向性形成装置17で構成される。
【0041】
本例では、球である閉曲面上に配置された複数個のマイクロホンユニット11,12,13,14,15の出力を、複数個のマイクロホンユニットが配置された閉曲面に沿った3次元極座標空間での曲面座標を用いて演算処理することとしており、また、本例は、平面波が基準方向として定義された方向からのみ到来すると想定した場合に得られるデータを基準データとし、実際に得られる測定データと比較することによって指向性を形成することとしており、また、本例の指向性形成における基準データと計測データの比較は、基準データと計測データのそれぞれを複数個のマイクロホンユニットが配置された閉曲面上で直交性を有する関数列に展開して行うこととしている点、図1の同一思想に立った改良となっている。
【0042】
本例では、それぞれが円形に配置された複数個のマイクロホンユニット11,12,13,14,15で構成される複数のマイクロホンリングを、それぞれのマイクロホンリングが重ならないように、かつそれぞれのマイクロホンリングの中心が一致するように配置することによって1つの球面上に分布した全てのマイクロホンユニットの出力を、それぞれが円形に配置された複数個のマイクロホンユニットで構成される複数のマイクロホンリングを、それぞれのマイクロホンリングが重ならないように、かつそれぞれのマイクロホンリングの中心が一致するように配置することによって全てのマイクロホンユニットが球面上に分布した複マイクロホンリング16の中心を原点とする極座標を用いて演算処理することを特徴とする。極座標を用いることにより、3次元空間の全方向を表現するために必要な空間座標は、経度方向座標0[rad] から2π[rad] 、緯度方向座標0[rad] からπ[rad] の有限区間となる。図8において、26は緯度方向座標θ、27は経度方向座標φである。
【0043】
動作において、複マイクロホンリング16を構成する第M.1マイクロホンユニット14から第−M.1マイクロホンユニット15までの全てのマイクロホンユニットは到来音波を受波し、それぞれ球面型指向性形成装置17に出力する。球面型指向性形成装置17は、音波到来角度の変化による各マイクロホンユニットの出力の空間的な位相のずれの変化を用いて指向性を形成し、限られた範囲の方向から到来する音波を強く出力する。
球面型指向性形成装置17の指向性形成原理を説明するに本例の指向性は、平面波が基準方向として定義された方向からのみ到来する場合に複マイクロホンリングで計測されるデータを基準データとして用い、実際に複マイクロホンリングで計測されるデータを基準データと比較することによって得る。
【0044】
例えば、緯度方向座標θ=π/2[rad] 、経度方向座標φ=0[rad] の方向を基準方向と定義し、その方向からのみ平面波が到来していると想定した場合に複マイクロホンリング16を構成する各マイクロホンユニットの出力を各マイクロホンユニットに対応した入力端子19〜22で受け、入力端子19〜22で受けた信号を、それぞれの入力端子に対応したフーリエ変換装置23によって時間についてフーリエ変換して得られるデータを基準方向データF(θ,φ)と定義する。すると、緯度方向座標θ=π/2+Ψ、経度方向座標φ=ηの方向から到来する平面波を複マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニットで受波する場合に、複マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニットの出力を各マイクロホンユニットに対応した入力端子19〜22で受け、入力端子で受けた信号を、それぞれの入力端子に対応したフーリエ変換装置23によって時間についてフーリエ変換して得られる計測データはF(θ−Ψ,φ−η)と表わされる。
【0045】
基準方向データF(θ,φ)と計測データF(θ−Ψ,φ−η)をそれぞれ方球関数展開装置24によって複マイクロホンリングによって形成される球面上で方球関数展開して得られる展開係数の比は方球関数で表わされる。[数6]に示す次式(81),式(82)は、緯度方向座標θ=π/2+Ψ、経度方向座標φ=ηの方向から平面波が到来する平面波を複マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニットで受波する場合に、複マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニットの出力を各マイクロホンユニットに対応した入力端子19〜22で受け、この入力端子で受けた信号を、それぞれの入力端子に対応したフーリエ変換装置23によって時間についてフーリエ変換して得られる計測データF(θ−Ψ,φ−η)を、方球関数展開装置24によって複マイクロホンリングによって形成される球面上で方球関数展開して得られる展開係数を表わす。ただし、係数εは、ε=1,ε=2(m>0)である。
【数6】
Figure 0003586579
【0046】
この式(81),(82)にてP (・)はルジャンドル(Legendre)陪関数である。
[数7]で示す次式(91),式(92)は、基準方向からのみ平面波が到来していると想定した場合に複マイクロホンリングを構成する各マイクロホンユニットの出力を各マイクロホンユニットに対応した19から22の入力端子で受け、入力端子で受けた信号を、それぞれの入力端子に対応したフーリエ変換装置23によって時間についてフーリエ変換して得られる基準方向データF(θ,φ)を複マイクロホンリングによって形成される球面上で方球関数展開して得られる展開係数を表わす。
【数7】
Figure 0003586579
【0047】
上記式(81),(82)と式(91),(92)の比較より、計測データと基準方向データの展開係数の比は方球関数で表わされる。基準方向データと計測データの展開係数比をξmn,ζmnとする。[数8]の次式(101),式(102)は計測データと基準方向データの展開係数比ξmn,ζmnを示す。
【数8】
Figure 0003586579
【0048】
方球関数展開装置24で得られる基準方向データと計測データの展開係数比を加算装置25に出力し、加算装置25において基準方向データと計測データの展開係数比を改めて展開係数とみなす方球関数級数の計算を行う。[数9]の次式(11)は、基準方向データと計測データの展開係数比ξmn,ζmnの展開係数とする方球関数級数を表わす。
【数9】
Figure 0003586579
【0049】
[数8]の基準方向データと計測データの展開係数比ξmn,ζmnは方球関数で表わされるので、[数9]の式(11)の計算結果はディラクのデルタ関数δ(・)を用いてA(θ,φ)=δ(θ−Ψ)δ(φ−η)と表わされ、本例の指向性形成原理によりデルタ関数的な鋭い指向性が得られる。
以上の本例の指向性形成原理によって指向性は、複マイクロホンリングによって形成される球面の半径、音波の周波数に依存しない。よって、本例の指向性形成原理により、低い周波数において、従来のアレイマイクロホンに比べ強い指向性を確保することが可能となる。また、本例の指向性形成原理により3次元空間の分析が可能となる。
【0050】
本例は、限られた狭い方向から到来する音波をよく集音する指向性マイクロホンとして用いる以外にも、指向性の方向を連続的に変化させることによって、複数の方向から音波が到来する場合に、どの方向からどの程度の大きさの音波が到来してきているかを出力する音源探査装置として用いることも可能である。複数の方向から音波が到来する場合には、リングマイクロホンの出力は、それぞれの方向から音波に対応したデルタ関数の重ね合せとして得られる。
【0051】
図9〜図11は更に他の例を示しており、図9において、28は第1.1マイクロホンユニット、29は第1.2マイクロホンユニット、30は第1.Nマイクロホンユニット、31は第2.1マイクロホンユニット、32は第2.2マイクロホンユニット、33は第2.Nマイクロホンユニット、34は第M.1マイクロホンユニット、35は第M.2マイクロホンユニット、36は第M.Nマイクロホンユニット、37は第1マイクロホンリング、38は第2マイクロホンリング、39は第Mマイクロホンリング、40は第1マイクロホンアレイ、41は第2マイクロホンアレイ、42は第Nマイクロホンアレイ、43は多層マイクロホンリング、44は第1マイクロホンアレイ指向性形成装置、45は第2マイクロホンアレイ指向性形成装置、46は第Nマイクロホンアレイ指向性形成装置、47は円筒周方向指向性形成装置、48は出力端子である。
【0052】
ここでは、図9の如くそれぞれの半径、マイクロホンユニット数(28,29,30),(31,32,33),(34,35,36)、マイクロホンユニット間隔が等しい複数のマイクロホンリング37,38,39を、それらの中心が同一直線上に並び、かつこの時にマイクロホンユニットによって形成される円筒面上においてマイクロホンユニットが互いに平行な複数の直線40,41,42を形成するように配置した多層マイクロホンリング43と、そのような多層マイクロホンリング43の円筒面上で形成される複数のマイクロホンアレイ40,41,42のそれぞれを従来のマイクロホンアレイとみなして各マイクロホンアレイ軸を含む平面内で従来通りの指向性を形成させる指向性形成装置44,45,46と、それら指向性形成装置の出力より円筒周方向の指向性を形成する指向性形成装置47で構成される。
【0053】
図10は多層マイクロホンリング43上で構成されるマイクロホンアレイ40,41,42に対して、マイクロホンアレイ軸を含む平面内で指向性を形成する指向性形成装置44,45,46の構成を示しており、従来技術説明での図21と同様のものである。49はマイクロホンアレイの出力を受ける入力端子、50は遅延装置、51は加算装置、52は出力端子である。
図11は円筒周方向に指向性を形成する指向性形成装置47の構成を示しており、前述した例1での図1の装置9と同様のものである。54はマイクロホンアレイ軸を含む面内での指向性形成装置の出力を受ける入力端子、55は信号を時間についてフーリエ変換するフーリエ変換装置、56は空間についてのフーリエ展開を行うフーリエ展開装置、57は加算装置、58は出力端子である。
【0054】
本例は、前述した例1で示したリングマイクロホンの原理と従来のアレイマイクロホンの原理を併用することによって、3次元空間で指向性を形成する。
本例でのマイクロホンの配置は、円筒軸と直交する面内においてリング状であり、かつ円筒軸と平行な方向において直線状である。本例は、まずマイクロホンユニットの配置として、円筒軸と平行な直線状配置に着目し、円筒面上で形成される各マイクロホンアレイ40,41,42を構成する各マイクロホンユニットの出力に対して従来のアレイマイクロホン同様に遅延時間を与える演算を施すことによって、マイクロホンアレイ軸を含む平面内での指向性を形成し、そして得られた複数のアレイマイクロホンの出力に対して先述の例1で示した原理による演算を施すことによって円筒周方向の指向性を形成する。
【0055】
本例は、先述の例と同様のマイクロホンリング37,38,39を構成する各マイクロホンユニットを、複数のマイクロホンユニットで構成されるマイクロホンアレイに置き換えたものに相当する。よって、例1同様、本例は円筒周方向に関して、音波の周波数に依存しない強い指向性を示す。
また、本例は先述例1同様、限られた狭い方向から到来する音波をよく集音する指向性マイクロホンとして用いる以外にも、指向性の方向を連続的に変化させることによって複数の方向から音波が到来する場合に、どの方向からどの程度の大きさの音波が到来してきているのかを出力する音源探査装置として用いることも可能である。
【0056】
図12は更に他の例を示すもので、仮想点の予測を行なう手法を加えている。図12は、マイクロホンユニットを直線状に4個配置した場合を示している。図12にて、59はマイクロホンユニット、60は遅延装置、61は予測データを算出する予測装置、62は加算装置、63は出力端子、64は指向性形成装置である。図13は予測装置61の構成を示す。65は遅延時間を与えられた各マイクロホンユニット出力を受けとる入力端子、66は各信号に重みづけをする抵抗、67は2チャンネルの信号を重ね合せる加算装置、68は出力端子である。
本例は、複数個のマイクロホンユニット59の出力をもとに、マイクロホンユニットが配置された領域の外部の仮想点での信号を予測し、実測データと実測データから予測されるデータに遅延時間を与えた結果の全てを加算することにより指向性を形成するものである。
【0057】
本例は、複数個のマイクロホンユニット59の出力をもとに、マイクロホンユニット59が配置された領域の外部での信号を予測し、実測データと実測データから予測されるデータに遅延時間を与えた結果の全てを加算することによって指向性を形成することであり、仮想的に信号受信領域を拡大するため、鋭い指向性を形成することが可能であることを特徴とする。
本例として、複数個のマイクロホンユニット59を配置する領域として直線上の有限区間を考える。各マイクロホンユニット59の位置座標をxと表わし、各マイクロホンユニット出力に遅延時間を与えた結果をy(x,t)と表わすことにする。図14ではマイクロホンユニットの位置と、その出力を模式的に示す。図14において、丸印はその位置におけるマイクロホンユニットの出力に遅延時間を与えた実測結果を意味し、実線は仮想的に無限個数のマイクロホンユニットが直線上の無限区間に配置されていると考えた場合の仮想結果を意味している。
図14において、丸印の実測データから実線の仮想データを予測すれば、マイクロホンユニットの配置区間は仮想的に拡大され、指向性を向上させることが可能である。予測データの算出方法として、図13に示す抵抗66による重みづけと、加算装置67による重ね合せによる方法を用いる。予測データ算出のための漸化式を[数10]の式(12)に示す。
【数10】
Figure 0003586579
【0058】
漸化式(12)の初期値はB=y(x,t)であり、xはデータを予測したい仮想点の座標である。式(12)をもとに、図13中の抵抗それぞれの抵抗値を決定する。図14の予測装置61は式の漸化式に従い仮想点でのデータを予測する。予測装置61は予測したい仮想点と同数必要である。各マイクロホンユニットの出力に遅延時間を与えた実測データと、実測データをもとに予測された予測データの全てを加算装置で加算すると、指向性が形成される。
図15は、本例と従来手法の指向性の比較を数値シミュレーションで行った結果を示す。実線が本例の指向性であり、点線が従来手法の指向性である。数値シミュレーションの条件として、マイクロホンユニット数は10個とし、マイクロホンユニットは直線上の有限区間に配置されており、その区間長さは1mとし、指向性を持たせる方向はマイクロホンユニット列軸方向とした。また、音波の周波数を200[Hz]と想定した。図15より、本装置の指向性が鋭いことが確認できる。
【0059】
図16は他の例を示すものであり、69はマイクロホンユニット、70はフーリエ変換装置、71は空間フーリエ展開装置、72は加算装置、73は出力端子、74はフーリエ変換装置と空間フーリエ展開装置で構成される周方向データ分析装置である。
本例では、円弧上に配置された複数個のマイクロホンユニット69で構成される円弧形マイクロホンユニット列と、各マイクロホンユニットからの出力をそれぞれ時間についてフーリエ変換するフーリエ変換装置70、各マイクロホンユニットの出力を時間についてフーリエ変換した結果をマイクロホンリングの周方向に沿って空間的にフーリエ展開する空間フーリエ展開装置71、フーリエ展開した結果に重みを与えながら加算を行う加算装置72で構成される。
【0060】
本例では、ある半径の円の一部分の円弧上に配置された複数個のマイクロホンユニット69の出力をもとに、マイクロホンユニットが配置された円弧を含む円上でマイクロホンユニットが配置されていない部分でのデータを予測し、そして、マイクロホンユニットが配置された円弧を含む円上でデータを円に沿ってフーリエ展開し、フーリエ係数の変化より指向性を形成することを特徴とする。
【0061】
円弧上に配置されたマイクロホンユニットの数をM個とし、空間座標としてマイクロホンユニットが配置された円弧を含む円の中心を原点とする極座標を考え、各マイクロホンユニットの位置座標をθ(1<m<M)とし、各マイクロホンユニットの出力をP(1<m<M)と表わすことにする。仮に、マイクロホンユニットが円の全周にわたって配置されているとした時に得られるデータを角度θに関する関数F(θ)として表わすことにする。F(θ)は周期2πの関数であるから、[数11]の式(13)のようになる。
【数11】
Figure 0003586579
【0062】
ここで、フーリエ係数aは実測データを用いて[数12]の式(14)を解いて得られる。
【数12】
Figure 0003586579
【0063】
こうして、実測データにて式(14)でaを算出することにより、円全周でのデータF(θ)を予測することができる。
一方、基準方向として定義された方向より音波が到来する場合に得られる円弧上のデータから予測された円全周にわたってのデータのフーリエ係数をbとし、実際のある未知の方向から到来する音波を計測したデータから予測された円全周にわたってのデータのフーリエ係数をaとすると、音波の到来方向は先述の例1の原理に従い、[数13]の次式(15)の出力A(θ)より知ることができる。
【数13】
Figure 0003586579
【0064】
図16において、空間フーリエ展開装置71において式(14)に従った予測を行い、加算装置72において式(15)の音波到来方向の出力を行う。
以上のように、本例では、円の一部分である円弧上のみに配置されたマイクロホンユニット69の出力から、マイクロホンユニットが配置された円弧を含む円上のマイクロホンユニットが配置されていない部分のデータを予測することによって、マイクロホンユニットが全周にわたって配置された場合と同様の効果を得ることができる。
【0065】
図17は更に他の実施例であり、図17にあって、69はマイクロホンユニット、64は指向性形成装置、74は周方向データ分析装置、70はフーリエ変換装置、71は空間フーリエ展開装置、72は加算装置、73は出力端子である。
本例は、ある円弧を含む平面と直交するように、かつ互いに平行であるように円弧上に配置された複数本のマイクロホンユニット列と、各マイクロホンユニット列に対して各マイクロホンユニット列を含む平面内で指向性を形成させる指向性成形装置64と、そして、各マイクロホンユニット列の出力を時間についてフーリエ変換するフーリエ変換装置70と、マイクロホンユニット列が配置された円弧面を含む円筒面上のマイクロホンユニット列が配置された領域の外部でのデータを空間についてのフーリエ展開によって予測する空間フーリエ展開装置71で構成される周方向データ分析装置74と、実測データと実測データから予測されたデータを重みづけをしながら加算する加算装置72で構成される。
【0066】
本例においてマイクロホンユニット69は、ある円弧を含む平面と直交するように円弧と交わり、かつ互いに平行である複数の直線上に配置される。各直線上においてマイクロホンユニット69が配置された領域は有限区間である。
本例は、マイクロホンユニット列軸方向に関して、マイクロホンユニットが配置された領域は有限領域であるが、これは先の例4に従い、マイクロホンユニットの配置領域を仮想的に拡大することが可能であり、これにより、円筒軸方向の指向性を向上させることが可能である。
つまり、図17の指向性形成装置64において、式(15)に従い、予測装置によってマイクロホンユニット列軸方向に関してマイクロホンユニットが配置された領域の外部でのデータを予測する。そして、実測データと実測データから予測されたデータから、各マイクロホンユニット列ごとに遅延和を算出し、マイクロホンユニット列を含む平面内での指向性を形成する。
【0067】
各マイクロホンユニット列ごとに各マイクロホンユニット列を含む平面内に関しての指向性を形成したのち、各マイクロホンユニット列と直交する平面内での指向性形成を行う。これは周方向データ分析装置74において先の例5に従い、円弧上のデータから円弧を含む円の全周にわたってのデータを予測することが可能であり、基準方向として定義された方向から音波が到来する場合の円周上のデータの円周に沿ったフーリエ展開の結果と、実際に未知の方向から音波が到来している場合に計測されるデータのフーリエ展開の結果の比較より指向性を形成する。
つまり、各マイクロホンユニット列ごとに各マイクロホンユニット列を含む平面内に関しての指向性を形成した結果を、先の例5の式(14)におけるPとみなして、各マイクロホンユニット列と直交する平面と各マイクロホンユニット列の交点が形成する円弧上のデータから円弧を含む円全周にわたってのデータを予測する。そして、実測データと実測データから予測されたデータを先の例1のデータF(θ−Ψ)とみなして先の例1の式(7)に従って、各マイクロホンユニット列と直交する平面内での指向性を形成する。
【0068】
図18,図19は他の例を示しており、図18にて75はマイクロホンユニット、76は球面型指向性形成装置、77は出力端子、図19は図18の球面型指向性形成装置であって、78は入力端子、79は球面型予測装置、80は入力端子、81はフーリエ変換装置、82は実測データ出力装置、83は方球関数展開装置、84は加算装置である。
【0069】
本例では、それぞれ半径の異なる円上にマイクロホンユニットを配置させて得られる複数のマイクロホンリングを、円弧を回転させて得られる回転円弧面上に、各マイクロホンリングを含む平面が互いに平行となるように配置させる。本例では、回転円弧面上に配置させた各マイクロホンユニットより得られるデータをもとに、回転円弧面を含む球面全域にわたってのデータを予測し、予測されたデータを直交性を有する関数で展開し、指向性を形成する。
【0070】
本例は、それぞれ半径の異なる円上にマイクロホンユニットを配置させて得られる複数のマイクロホンリングを、円弧を回転させて得られる回転円弧面上に、各マイクロホンリングを含む平面が互いに平行となるように配置させる。本発明では、回転円弧面上に配置させた各マイクロホンユニットより得られるデータをもとに、回転円弧面を含む球面全域にわたってのデータを予測し、予測されたデータを直交性を有する関数で展開し、指向性を形成する。
例えば、円弧面上に配置された複数のマイクロホンリングのそれぞれを構成するマイクロホンユニット数を同数とし、各マイクロホンリングを構成するマイクロホンユニットの間隔は等間隔であるとする。この時、円弧面上のマイクロホンユニットの配列は、複数の円形マイクロホンユニット列とする見方と、その円のそれぞれに直交する円弧上に配置された複数の円弧形マイクロホンユニット列とする見方ができる。円弧上に配置された複数の円弧形マイクロホンユニット列とする見方に注目すれば、先の例5に従い、円弧上のデータから、その円弧を含む円全周にわたってのデータが得られる。同様の操作を複数の円弧形マイクロホンユニット列全てに対して行えば、結果として回転円弧面上の実測データから、回転円弧面を含む球面全域にわたってのデータが予測されることになる。
【0071】
図19において、球面型予測装置79を構成する装置の1つであるデータ分析装置74は、回転円弧面上の円弧形マイクロホンユニット列の数と同数用意し、各円弧形マイクロホンユニット列に1対1に対応させる。各データ分析装置の入力端子は各データ分析装置と対応した円弧形マイクロホンユニット列を構成するマイクロホンユニットからの出力を受け取る。各円弧形マイクロホンユニット列を構成する各マイクロホンユニットの出力から、データ分析装置74は、円弧を含む円上のマイクロホンユニットが配置された領域外部の点でのデータを予測する。
予測された球面全域にわたってのデータを用いて、先の例3に従い、図19の83方球関数展開装置と加算装置84を用いて指向性を形成することができる。本例により、球面上のわずかな領域に配置されたマイクロホンユニットの出力から、球面全域にマイクロホンユニットが配置された場合と同様の指向性を形成することが可能である。
【0072】
さて、これまでの説明は、音波の周波数に依存する指向特性、特に低周波領域における指向特性の低下を防止するため、周波数に依存しない周波数領域での処理を行なうものである。
ところが、この周波数領域での処理は、その精度にも関係するが、高速フーリエ変換演算により処理しており、計測・処理時間を要することが判明した。
そのために、本発明者は、周波数領域での処理によらず、時間領域での処理を行なうようにして実時間にて処理ができしかも出力を耳にして聴けるようにした。
【0073】
装置の説明に先立って理論構成と時間領域での処理のアルゴリズムを述べる。今マイクロホンユニット(センサ)を円周上に複数個配置した図1と同じ図24による状況を述べる。この図24による配置状況は半径aの円周上にマイクロホンホンユニットをM個等間隔に配置し、このマイクロホンユニットの円の中心を原点とする極座標(r,θ)を考える。そして、円周配置されたマイクロホンユニットには平面波が到来し、各平面の伝播方向ベクトルはマイクロホンユニット配置平面内にのみ存在し、平面波によって重ね合わされた音場を考える。なお、処理について、ディジタル、サンプリングの時間間隔をΔtとする。
【0074】
かかる状況において、円周上でのマイクロホンユニットの出力Aに対する指向性を持たせ平面波を重ね合わせた信号から抽出して到来方向Ψの音波のみからなる信号Bを求めることになる。
この場合、各マイクロホンの円周上での出力をA(nΔt,2πμ/M)とし指向性を持たせる方向をΨとし、指向性を持たせることによる音波のみの信号B(nΔt|Ψ)を求めるにつき、nは時刻でnΔtは時間を表わし、μは円周状に配置されたマイクロホンの空間座標であって、μは1,2,3…M個存在し、よって2πμ/Mは空間角を示す。また、円周状に配置されたマイクロホンについては、空間位相を勘案し、次式[数14]とした。
【数14】
Figure 0003586579
さて、結論の前に上記AからBを求める演算方法を順を追って述べる。
【0075】
例えば一次元空間において、音波f(t,x)は次式[数15]の波動方程式の解として書けるとする。
【数15】
Figure 0003586579
【0076】
この式において、直角座標xは極座標表示ではr cosθと書くことができ、音波の伝播方向θ(到来方向θ−π)の平面波をr=aの半径上で受波した場合の出力A(t,θ)は、[数16]にθ及びaを加味した次式[数16]となる。
【数16】
Figure 0003586579
【0077】
つまり、xをa、θを(θ−θ)とすることによってA(t,θ)が得られる。
更に、実際の計測に当っては、時間と空間に関して離散式であること及び分析可能な周波数には上限が存在することを勘案するとき、出力Anmは次式[数17]となる。
【数17】
Figure 0003586579
【0078】
ここにおいて、平面波による信号Anmにあって、表示Anmのうち下付の添字の最初のもの、ここではnは時間あるいは周波数領域でのデータ番号、下付の添字の次のもの、ここではmは空間あるいは円周上のモード番号を示すものであり、また、上式[数16][数17]中、例えばAに示す#は周波数領域であることを示し、また後述の例えばAに示す*は円周上のモードであることを示す。
【0079】
更に、前述の式[数17]においては、空間位相を加味し、平面波を受波した場合の円周上での出力を円周上でモード展開する。この結果、次式[数18]を得る。
【数18】
Figure 0003586579
【0080】
上記式[数15][数16][数17][数18]における理論展開においては、音波の伝播方向をθとした例につき述べたのであるが、ここで基準方向から到来する音波Fnmを次式[数19]にて示す。この式[数19]ではθを基準方向に採っており、θ=0としている。
【数19】
Figure 0003586579
【0081】
前述の式[数18]のAnm と式[数19]のFnm とを比較するとFnm に次式[数20]の空間位相を与えた形である。
【数20】
Figure 0003586579
【0082】
この式[数19]と式[数18]との関係は、例えばあるデータf(m) をフーリエ変換して任意の位相差θを与えた場合と同様である。
すなわち次式[数21]の如くであり、基本データf(m) に対してθに係るbμeの−2πiθμ/M乗が与えられる。
【数21】
Figure 0003586579
【0083】
因に、基本データf(m) の逆フーリエ変換に対して任意の位相差θを与えた場合も同様であり、次式[数22]の如く基本データaμに対してθに係るeの2πiθμ/M乗が与えられる。
【数22】
Figure 0003586579
【0084】
このようにして、基本データf(m) に対しても任意の位相差θを与えて式[数21][数22]が成立することと同様に、式[数19]から式[数18]が得られることとなり、つまりFnm からAnm が得られ、成立することになる。
【0085】
この式[数18]及び式[数19]のAnm 及びFnm をフーリエ変換すると、次式[数23]が得られる。
【数23】
Figure 0003586579
【0086】
このフーリエ変換によるAlm ,Flm の式[数23]は時間についてのフーリエ変換の箇所は、フーリエ変換の周波数分解能が十分高い場合にはクロネッカーのデルタ(kronecker のδ)の式にて、0.1に近似でき、次式[数24]の様になる。
【数24】
Figure 0003586579
【0087】
ここで、式[数24]中、(Gの下付lμ)については、本発明における理論展開としては、本質的な問題とならないので、解析はしないが、円周上のマイクロホンユニットが無限個数であるような理想モデルを考えた場合には、Flm はベッセル関数にて表示される。
【0088】
こうして、上式[数24]により下記の式[数25]が導出される。
【数25】
Figure 0003586579
【0089】
以上の結果今までの伝播方向θの音波を得て、基準方向のデータに関してフーリエ変換と逆フーリエ変換を行ない到来方向Ψの音波Bを得ることになる。
つまり、次式[数26]において円周上のマイクロホン出力により指向性を持たせる方向Ψにつき平面波を重ね合わせてBを得るもので、時間におけるフーリエ変換を空間に一時置きかえ逆変換して時間につき置きかえ畳込みを行なっている。
【数26】
Figure 0003586579
【0090】
この式[数26]が本発明の結論である。つまり、円周上でのマイクロホン出力Aμに空間位置を加味して式[数18]よりAnm (式(26−1))を求める。一方、基準方向からの信号Fnm の式[数19](式(26−2))につき空間フーリエ変換を行なってFlm *#(式(26−3))を行ないかつ逆変換を行なってKnm (式(26−4))を得る。
ここにおいて、式(26−5)の畳込み部分にてAjm n−jm に基づき指向性音波を得る。
【0091】
ここで、式(26−5)の証明を行なう。
式(26−5)の畳込み部分を次式[数27]のIとする。
【数27】
Figure 0003586579
【0092】
この式[数27]にフーリエ変換を適用すると次式[数28]を得る。
【数28】
Figure 0003586579
【0093】
この式[数28]にてδklはクロネッカーのデルタである。また、Klm #*は[数25]にて示す如くFの逆変換であり、式[数25]を式[数28]に代入すると次式[数29]となる。
【数29】
Figure 0003586579
【0094】
この結果[数26]の式(26−5)は次式[数30]となる。
【数30】
Figure 0003586579
【0095】
この式[数30]はΨを音波の到来方向にとると、その音波の時間波形A(nΔt|θ)を出力し、Ψを音波の到来方向以外にとると非常に微弱なノイズのみを出力するような指向性を形成することを示す。
そして、その指向性の鋭さは、次式[数31]となる。
【数31】
Figure 0003586579
【0096】
この結果、[数26]の式(26−1)と式(26−5)とによりパラメータΨ方向の指向性の鋭さを得ることができることになる。
したがって、本発明の実施の形態にあって指向性を得る構造は、図25にて表わすことができ、各マイクロホンの入力1,2,…MをA/D変換器100を通し、遅延器111を通って装置112にてマイクロホンリングの周方向に添うフーリエ展開により式(26−1)のAnm を求め、各モード1,2,…Mごとにコンボリューション113に入力し、式(26−5)の右辺を求め、更に乗算器114にて式(26−5)の左辺(Ψ方向ビーム入力)を入力して全体を加算し、D/A変換器115にて出力Bを得るものである。この結果式(26−5)が得られる。
【0097】
次に、具体例として図26(a)の如くマイクロホンユニット配置を図6と同様球面上に配置した場合を考え、各マクロホンユニットからの出力をもとにして音波の周波数に依存しない音源推定手法を述べる。この場合、まず球面に無限個数のマイクロホンユニットが一様に配置されているようなモデルを考えて解析する。図26(b)は解析で用いた空間標を示し、方向ベクトルを極座標表示γθ,z軸とのなす角Ψとする。
音場が平面波の重ね合せで記述できるとし、この時の球面上のマイクロホン出力はフーリエ積分により次式[数32]となる。
【数32】
Figure 0003586579
【0098】
この出力からある特定方向から到来する平面波にのみ注目すると、次式[数33]を得る。
【数33】
Figure 0003586579
【0099】
このデータに対し次式[数34]の方球関数展開を行なう。
【数34】
Figure 0003586579
【0100】
この方球関数展開の係数αmn(計測データ)のうち、特に音波の到来方向がΨ=0、θ=0で音波の大きさA(Ψθ)=1の場合の展開係数をα0,mnとするとき、
α0,mn=i(2n+1)j(ka),(m=0)あるいは0、(m>0)となる。
【0101】
一方、基準データとしてβmnを次式[数35]の如く定める。
【数35】
Figure 0003586579
【0102】
この式[数35]を前式α0,mnに代えると基準データβmnは次式[数36]となる。
【数36】
Figure 0003586579
【0103】
そして計測データαmnと基準データβmnとの比をγmnとすると、次式[数37]を得る。
【数37】
Figure 0003586579
【0104】
最終的な音源探査結果をF(θΨ)とすると、この結果は、方球関数の級数演算により次式[数38]にて求まる。
【数38】
Figure 0003586579
【0105】
実際上式[数37]を代入すると、結果はディラクのデルタ関数によって音源方向を以下の如く示すことができる。
F(θΨ)=A(θΨ)δ(θ−θ,Ψ−Ψ
このように、球の場合も円形配置と同様出力結果が球の半径や音波の波長に依存しない。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次の効果を有する。
任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットの各出力を、上記面内の規則性に基づく有限な空間座標を用いた処理を行ない指向性を得ることにより、音波の周波数の依存なく強い指向性を得ることができる。
【0107】
また、上記マイクロホンユニットの出力には、有限領域に配置された複数個のマイクロホンユニットの出力をもとにして上記有限領域外の領域にわたってのマイクロホンユニットのデータを予測し、この予測データと実測データとを加算して出力したことにより、簡素化した構成により上述と同等の効果を得ることができる。
【0108】
更に、基準方向からのみ到来すると想定した平面波による上記マイクロホンユニットの各出力データと実際に計測された上記マイクロホンユニットの各出力データとを比較するようにしたことにより、
また、上記処理としては、上記マイクロホンユニットの各出力に生ずる位相差の変化を上記有限な空間座標にて直交性を有する関数列に展開するようにしたことにより、
確実にて鋭い指向性を得ることができる。
【0109】
得られる指向性の方向を変化させることによって音波の到来方向を探知することができる。
【0110】
また、基準方向からのみ到来すると想定した平面波によるマイクロホンユニットの各出力データをマイクロホンユニットを配置した空間で直交な関数に展開した値とマイクロホンユニットの出力データをマイクロホンユニットを配置した空間で直交な関数に展開した値との比較を畳込み演算によって時間領域で行なって音波の時間波形を得て、指向性を得るようにしたことにより、計測時間を短縮化でき、リアルタイムでの計測が可能となって、計測結果を耳にて聴くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の構成図。
【図2】極座標の説明図。
【図3】指向性形成原理の説明図。
【図4】本発明と従来例との数値実験結果を示す波形図。
【図5】音源探査の数値実験結果を示す波形図。
【図6】本発明の実施の形態の他例の構成図。
【図7】図6に係る構成の指向性形成装置の構成図。
【図8】3次元空間での極座標の説明図。
【図9】本発明の実施の形態の一例の構成図。
【図10】図9の円筒軸の含む面内での指向性形成装置の構成図。
【図11】円筒周方向指向性形成装置の構成図。
【図12】本発明の実施の形態の他の例の構成図。
【図13】予測データ算出回路の構成図。
【図14】予測データ算出原理の説明図。
【図15】本発明と従来方法との比較図。
【図16】本発明の実施の形態の他の例の構成図。
【図17】本発明の実施の形態のその他の例の構成図。
【図18】本発明の実施の形態の他の例の構成図。
【図19】図18に係る指向性形成装置の構成図。
【図20】従来のアレイマイクロホンの基本構成図。
【図21】遅延装置を示す図。
【図22】直角空間座標とマイクロホンアレイとの関係図。
【図23】従来のマイクロホンの指向性を示す図。
【図24】本発明の他の実施形態例の説明図。
【図25】本発明の他の実施形態例の具体的構成図。
【図26】本発明の他の実施形態例の球面上配置の構成と座標系の説明を示す図。
【符号の説明】
1 第1マイクロホンユニット
2 第2マイクロホンユニット
3 第Nマイクロホンユニット
4 マイクロホンリング
5 フーリエ変換装置
6 空間フーリエ展開装置
7 加算装置
8 出力端子
9 指向性形成装置
10 周方向座標
11 第0.1マイクロホンユニット
12 第0.2マイクロホンユニット
13 第0.Nマイクロホンユニット
14 第M.1マイクロホンユニット
15 第−M.1マイクロホンユニット
16 複マイクロホンリング
17 球面型指向性形成装置
18 出力端子
19 第−M.1入力端子
20 第0.1入力端子
21 第0.2入力端子
22 第M.1入力端子
23 フーリエ変換装置
24 方球関数展開装置
25 加算装置
28 第1.1マイクロホンユニット
29 第1.2マイクロホンユニット
30 第1.Nマイクロホンユニット
31 第2.1マイクロホンユニット
32 第2.2マイクロホンユニット
33 第2.Nマイクロホンユニット
34 第M.1マイクロホンユニット
35 第M.2マイクロホンユニット
36 第M.Nマイクロホンユニット
37 第1マイクロホンリング
38 第2マイクロホンリング
39 第Mマイクロホンリング
40 第1マイクロホンアレイ
41 第2マイクロホンアレイ
42 第Nマイクロホンアレイ
43 多層マイクロホンリング
44 第1マイクロホンアレイ指向性形成装置
45 第2マイクロホンアレイ指向性形成装置
46 第Nマイクロホンアレイ指向性形成装置
47 円筒周方向指向性形成装置
48 出力端子
49 入力端子
50 遅延装置
51 加算装置
52 出力端子
54 入力端子
55 フーリエ変換装置
56 フーリエ展開装置
57 加算装置
58 出力端子
59 マイクロホンユニット
60 遅延装置
61 予測装置
62 加算装置
63 出力端子
64 指向性形成装置
65 入力端子
66 抵抗器
67 加算装置
68 出力端子
69 マイクロホンユニット
70 フーリエ変換装置
71 空間フーリエ展開装置
72 加算装置
73 出力端子
74 周方向データ分析装置
75 マイクロホンユニット
76 球面型指向性形成装置
77 出力端子
78 入力端子
79 球面型予測装置
80 入力端子
81 フーリエ変換装置
82 実測データ出力装置
83 方球関数展開装置
84 加算装置
111 遅延器
112 装置
113 コンボリューション
114 乗算器

Claims (14)

  1. 任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットの各出力を、上記面内の規則性に基づく有限な空間座標を用いた処理を行ない指向性を得る指向性マイクロホン。
  2. 任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットは、複数のマイクロホンユニットが円形に配列されたものである請求項1記載の指向性マイクロホン。
  3. 任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットは、複数のマイクロホンユニットを円形に配列したマイクロホンリングの複数個を相互に重ならないようにその中心を一致させて球面上に分布させたものとした請求項1記載の指向性マイクロホン。
  4. 任意な面内に規則性をもって複数個配列されたマイクロホンユニットは、円形に配置された複数個のマイクロホンユニットで構成される複数のマイクロホンリングを、それぞれが重ならないように、かつそれぞれのマイクロホンリングの中心が同一直線上にあるように、かつその時にマイクロホンユニットによって形成される円筒面上でマイクロホンユニットが円筒軸と平行な直線となりマイクロホンアレイを構成するように配置して多層マイクロホンリングを構成するものとし、
    この多層マイクロホンリングのマイクロホンアレイを構成するマイクロホンユニットの出力に対して遅延時間を与えて加算して出力とした請求項1記載の指向性マイクロホン。
  5. 有限領域に配置された複数個のマイクロホンユニットの出力をもとにして上記有限領域外の領域にわたってのマイクロホンユニットのデータを予測し、この予測データと実測データとを加算して出力とした請求項1記載の指向性マイクロホン。
  6. 上記有限領域は円弧であり有限領域外の領域をも含めて円周とした請求項5記載の指向性マイクロホン。
  7. 上記有限領域は、マイクロホンユニット列であるマイクロホンアレイを円弧上に並べて形成し有限領域外の領域をも含めてマイクロホンアレイを円周上に配列した請求項5記載の指向性マイクロホン。
  8. 上記有限領域は回転円弧面であり、有限領域外の領域も含めて球面とした請求項5記載の指向性マイクロホン。
  9. 基準方向からのみ到来すると想定した平面波による上記マイクロホンユニットの各出力データと実際に計測された上記マイクロホンユニットの各出力データとを比較するようにした請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の指向性マイクロホン。
  10. 上記処理としては、上記マイクロホンユニットの各出力に生ずる位相差の変化を上記有限な空間座標にて直交性を有する関数列に展開するようにした請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の指向性マイクロホン。
  11. 得られる指向性の方向を変化させることによって音波の到来方向を探知する請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9又は10記載の指向性マイクロホンを備えた音源探査装置。
  12. 基準方向からのみ到来すると想定した平面波によるマイクロホンユニットの各出力データをマイクロホンユニットを配置した空間で直交な関数に展開した値とマイクロホンユニットの出力データをマイクロホンユニットを配置した空間で直交な関数に展開した値との比較を畳込み演算によって時間領域で行なって音波の時間波形を得て、指向性を得るようにした指向性マイクロホン。
  13. マイクロホンユニットの各出力データをマイクロホンユニットの周方向に沿ってモード展開する装置と、この装置の出力を各モードごとに畳込みを行なうコンボリューションと、この出力を音波の到来方向に採る乗算器とを有する指向性マイクロホン。
  14. マイクロホンユニットを円周形状及び球面上のいずれかに配列した請求項12又は13の指向性マイクロホン。
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