JP3586393B2 - ストレッチ包装機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パレット積みされた複数個の荷物に、プラスチックフィルムを延伸させながら巻き付けて包装するストレッチ包装機に関する。
【0002】
【従来の技術】
流通・販売される各種商品は、段ボール箱などに小規模単位で梱包され、その梱包(荷物)を所定個数ずつパレット積みした状態で、輸送・荷役・保管されることが多い。
【0003】
パレット積みされた荷物は、輸送・荷役・保管時等において荷崩れが起こりやすく、また、輸送時等において雨水等による水濡れが発生したり、汚れが付着して商品価値が低下することがある。さらに保管時等において荷抜きされる恐れもある。そこで、最近では、パレット積みされた複数個の荷物に、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを巻き付ける、いわゆるストレッチ包装を行って荷崩れを防止するとともに、雨水や汚れ・荷抜きなどから荷物を保護するという対策が採られている。
【0004】
このようなストレッチ包装を行う装置として、従来、荷物を載せるターンテーブルと、フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジを支持するマストと、キャリッジをマストに沿って上下動させる昇降機構とを備え、キャリッジにフィルムロールをセットし、パレット積みされた荷物をターンテーブルに載せた状態で、ターンテーブルを回転させながらフィルムを荷物側面に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより、パレット積みされた荷物にフィルムをスパイラル状に巻き付ける包装機がある(例えば特開昭55−33854号公報)。また、繰出ロールに対向して延伸ロールを設け、その延伸ロールにてフィルムに予備延伸(プレストレッチ)を与えた状態でフィルムを荷物に巻き付ける、いわゆるプレストレッチ方式のストレッチ包装機も提案されている(特公昭59−40682号公報)。
【0005】
この種のストレッチ包装機においては、例えば、パレット積みされた荷物が荷崩れしやすいときには、ターンテーブルの回転数を遅くする等、パレット積みされた荷物の種類や荷積み状態に応じて、ターンテーブルの回転数やキャリッジの昇降速度などを調整できることが要求され、そのような要求に応える装置の1つとして、ターンテーブル、キャリッジ昇降機構、及びフィルムの繰出ローラの各駆動モータにそれぞれ個別のインバータを接続し、その各インバータの周波数をアナログボリュームの操作にて調整することにより、ターンテーブルの回転数、キャリッジの昇降速度、繰出ロールの回転速度等を制御する方式のストレッチ包装機がある。なお、プレストレッチ方式のストレッチ包装機においては、繰出ローラと延伸ローラとの間に設けた変速機や歯車機構などを操作して、延伸比率つまり繰出ローラと延伸ローラとの回転比を調整している。
【0006】
ここで、ストレッチ包装機としては、上記したようなターンテーブル回転式の包装機のほか、繰出ローラを搭載したキャリッジがアームの回転によって荷物の周囲を周回するアーム回転式のストレッチ包装機がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来のストレッチ包装機によれば、作業者がアナログボリュームを操作して、ターンテーブル(またはアーム)の回転数、キャリッジの昇降速度、繰出ロールの回転速度等を設定するので、それら設定値が作業者の感覚によって大きく左右され、設定値にばらつきが生じる。このため、常に良好なフィルム包装状態を得ることが難しい。
【0008】
しかも、フィルムのオーバーラップ量、フィルムの巻付テンションなどのフィルム包装に関するデータから、ターンテーブル回転数、キャリッジ昇降速度及びフィルム繰出量などの各制御量を求める、といった計算を作業者らが行う必要があるので、その作業に多くの時間を要する。
【0009】
なお、ストレッチ包装機において、フィルムに予備延伸(プレストレッチ)を与えた状態でフィルムを荷物に巻き付ける場合、従来、変速歯車を利用した機構あるいは繰出ローラと延伸ローラとを延伸させたい率にて歯車の比を設定する機構(特公昭59−40682号公報)などが採用されているが、それらの機構では、延伸率の調整を段階的にしか行うことができないため、各種荷物に対して最適なフィルム包装を得ることが難しいという問題もある。
【0010】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、荷物の種類・形態等に関わらず、常に良好なフィルム包装状態を得ることのできるストレッチ包装機の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のストレッチ包装機は、フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジと被包装物とを相対的に回転させる回転機構(例えばターンテーブル)と、キャリッジを上下動させる昇降機構と、それら回転機構、繰出ローラ及び昇降機構の各駆動を制御するコントローラとを備え、キャリッジにフィルムロールを搭載し、そのキャリッジと被包装物とを相対的に回転させながら、フィルムを被包装物に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより被包装物にフィルムを巻き付ける包装機において、フィルム包装に関するデータを入力するための入力装置(例えばタッチパネル式入力装置)と、被包装物の上端を検出する検出手段とが設けられており、上記コントローラは、入力装置によって入力された回転機構の回転数及びオーバーラップ量の各設定値を用いてキャリッジ昇降速度を演算し、その演算結果に基づいて昇降機構の駆動を制御するように構成されているとともに、上記入力装置によって入力された上折込み量の設定値と上記検出手段の出力に基づいてキャリッジ上昇時における上限位置を演算し、この演算結果と上記キャリッジ昇降速度の演算値とからキャリッジが上限位置に達するまでの時間を求めて、キャリッジ上昇時の上限位置を制御するように構成されていることによって特徴づけられる。
【0015】
以上の本発明のストレッチ包装機によれば、ターンテーブル回転数(またはアームの回転数)、オーバーラップ量、上折込み量等の各設定値を入力するだけで、キャリッジの昇降速度、キャリッジが上限位置に達するまでの時間が自動的に演算されてフィルム包装が実行されるので、作業者の個人差による影響が現れることがなく、誰が操作しても、常に良好なフィルム包装状態を得ることができる。しかも、フィルム包装に関するデータから、ターンテーブル回転数、キャリッジ昇降速度、キャリッジ上昇時の上限位置などの各制御量を求める、といった計算を作業者が行う必要がなくなる。
【0016】
ここで、本発明のストレッチ包装機において、延伸比率を制御する場合、以下の構成を採用することが好ましい。
【0017】
すなわち、フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジと被包装物とを相対的に回転させる回転機構(例えばターンテーブル)と、キャリッジを上下動させる昇降機構と、それら回転機構、繰出ローラ及び昇降機構の各駆動を制御するコントローラとを備えた包装機において、フィルム包装に関するデータを入力するための入力装置と、繰出ローラに対向して配置された延伸ローラとが設けられており、その延伸ローラの回転軸が繰出ローラの駆動軸に、伝達トルクを無段階で調整できるクラッチを介して連結されているとともに、上記コントローラは、上記入力装置によって入力された延伸比率の設定値から繰出ローラと延伸ローラとの回転比を演算し、その演算値を目標値として前記クラッチの伝達トルクを制御する、という構成を採用すれば、延伸比率を無段階で調整することが可能になるので、あらゆる荷物に対し最適なフィルム包装を行うことが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明のストレッチ包装機の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【0020】
図1に示す実施形態は、ターンテーブル回転式のストレッチ包装機であって、ベースフレーム1に下端が固定されたマスト2、ターンテーブル3、キャリッジ4、昇降機構5、フィルム繰出装置6、及びコントロールボックス7などを主体として構成されており、そのコントロールボックス7の前面に、タッチパネル式入力装置12のディスプレイ12aが配置されている。なお、図1に示すストレッチ包装機には、ターンテーブル3上に載置した荷物Wの回転時における荷崩れを防止するための押え板(プラテン)8がマスト2の上部に設置されている。
【0021】
ターンテーブル3はベースフレーム1の先端部に回転自在に支持されている。このターンテーブル3に回転力を与えるテーブル回転モータ30は、ベースフレーム1のマスト2側の端部に設置されている。
【0022】
キャリッジ4は、マスト2に上下動自在に支持されており、昇降機構5によって上下動が与えられる。昇降機構5は、キャリッジ昇降モータ50と、そのモータ50の回転軸にプーリ(図示せず)等を介して巻きかけられたベルト51とからなり、キャリッジ昇降モータ50の回転によりベルト51が上下に動いてキャリッジ4を上昇・下降するように構成されている。
【0023】
キャリッジ4の上部には、ターンテーブル3上に載置された荷物Wを検出するための光電スイッチ21が設置されている。この光電スイッチ21は、キャリッジ4が下降端(原点)から上昇する過程において検出光が荷物Wを捉えている間はONの状態が維持され、検出光が荷物Wから外れた時点つまり光電スイッチ21が荷物Wの上端を超えた時点でOFFとなる。
【0024】
フィルム繰出装置6は、前記したキャリッジ4に搭載されており、図2(A)及び(B)に示すように、繰出ローラ61と延伸ローラ62の2本のローラを備えている。繰出ローラ61の回転軸61aは、フィルム繰出モータ60の回転軸60aに一対の平歯車64、65を介して連結されている。繰出ローラ61の回転軸61aに固定されている歯車65には、電磁クラッチ63に連結された歯車66が噛み合わされており、その電磁クラッチ63の出力軸63aに延伸ローラ62の回転軸62aがジョイント67を介して連結されている。なお、電磁クラッチ63としては、例えば、トルクの伝達に磁性鉄粉を使用したクラッチで、印加電圧の制御により伝達トルクを無段階で調整することのできるパウダクラッチを用いる。
【0025】
以上のフィルム繰出装置6においては、図3に示すように、フィルムロールRからのフィルムFが延伸ローラ62と繰出ローラ61との間を縫うようにして通され、繰出ローラ61からターンテーブル3上の荷物Wの側面に向けてフィルムFが繰り出される。その繰出量はフィルム繰出モータ60の回転数によって制御することができる。また、このフィルム繰出装置6では、電磁クラッチ63に印加する電圧を変更することにより、繰出ローラ61と延伸ローラ62との回転比を無段階で調整することが可能であり、従って、それら2本のローラ61、62によって、フィルムFにプレストレッチ(予備延伸)を与えた状態で、フィルムFをターンテーブル3上の荷物Wに繰り出すことができる。なお、フィルム繰出装置6には、フィルム繰出時に繰出ローラ61に作用する力つまりフィルム巻付テンションを検出するためのフィルム繰出センサ22が設置されている。
【0026】
次に、この実施形態の制御系の構成を図4のブロック及び先の図1を参照しつつ説明する。
【0027】
この実施形態の制御系は、コントローラ11と、コントローラ11に包装条件に関するデータを設定するためのタッチパネル式入力装置12とを備えている。
【0028】
コントローラ11は、テーブル回転モータ30、キャリッジ昇降モータ50、フィルム繰出モータ60にそれぞれ個別に接続されたインバータ13、15、16、及び電磁クラッチ63に接続された電圧変換器17に制御信号をD/A変換器18を介して供給する。また、コントローラ11には、キャリッジ4に設置された光電スイッチ21の出力が入力され、さらにフィルム繰出装置5に設置されたフィルム繰出センサ22の出力がA/D変換器19を介して入力される。
【0029】
タッチパネル式入力装置12は、図5〜図9に示すような自動操作画面D1 、手動操作画面D2 、設定画面D3 、データ表示画面D4 または数量表示画面D5 のいずれか1つの画面をディスプレイ12aに選択的に表示することができる。その画面選択は、各画面D1 、D2 、D3 、D4 、D5 の上部に表示された「自動」、「手動」、「設定」、「データ」または「数量」の文字上を指で押すという操作で行うことができる。
【0030】
自動操作画面D1 には、図5に示すように、包装形態(ダブル巻/シングル巻)、トップシート、フィルムカット、押え板(プラテン)の有無等の包装選択、包装数量などの設定入力を行うためのキー、並びに後述するプログラムP1 〜P5 を選択するためのキーが表示される。
【0031】
手動操作画面D2 には、図6に示すように、ターンテーブル3の回転を手動操作するためのボタン、キャリッジ4及び押え板(プラテン)8の各上昇・下降を手動操作するためのボタンが表示される。
【0032】
設定画面D3 には、図7に示すように、設定を行う項目、ターンテーブルの回転数、オーバーラップ量、延伸比率、巻付テンション、上巻回数、下巻回数及び上折込み量の各項目を指定するためのキーと、各設定項目に設定する数値を入力するためのUP/DOWNキーと、プログラムP1 〜P5 を選択するためのキーが表示される。この設定画面D3 では、各設定項目の設定値がデジタル(数値)表示され、その各設定項目の数値をUP/DOWNキーの操作により設定することができる。そして、各項目設定後にデータ書込キーを押し、次いでプログラム選択キーを押す、という操作によって5種類の設定データを記憶させることができる。
【0033】
なお、この例において、各設定項目に設定できる数値の範囲は、ターンテーブル:6〜12rpm、オーバーラップ量:−10〜40%、延伸比率:0〜250%、巻付テンション:2〜20kgf、上巻回数:0〜9回、下巻回数:0〜9回、上折込み量:0〜15cmである。
【0034】
データ表示画面D4 には、図8に示すように、稼働状況、現在の包装時間、フィルム使用量等のデータが表示される。数量表示画面D5 には、図9に示すように、各プログラムP1 〜P5 に基づいて処理を行うパレット数が表示される。
【0035】
そして、コントローラ11は、タッチパネル式入力装置12によって設定された設定値と、光電スイッチ21及びフィルム繰出センサ22の出力信号に基づいて、テーブル回転数、キャリッジ昇降速度、キャリッジの上限位置、フィルム繰出量、延伸比率の制御を行う。その各処理の詳細を以下に説明する。
[テーブル回転数]
タッチパネル入力装置12にて設定されたテーブル回転数の設定値を採り込み、その設定値にテーブル回転モータ30の回転数を一致させるべく、インバータ13に制御信号をD/A変換器18を介して供給して、テーブル回転モータ30に導入する電力の周波数を制御する。
[キャリッジ昇降速度]
タッチパネル入力装置12にて設定されたテーブル回転数とオーバーラップ量の各設定値を採り込み、それら設定値に基づいて、ターンテーブル3の回転数に対するキャリッジ昇降速度を演算し、その演算値にキャリッジ4の昇降速度を一致させるべく、インバータ15に制御信号をD/A変換器18を介して供給して、キャリッジ昇降モータ50に導入する電力の周波数を制御する。
[キャリッジの上限位置]
タッチパネル入力装置12にて設定された折込み量の設定値を採り込み、その設定値、光電スイッチ21からの検出OFF信号、及び光電スイッチ21とフィルムロールRの上端との距離h(図10参照)を用いて、キャリッジ4の上昇時における上限位置を演算し、この演算値とキャリッジ昇降速度とから、キャリッジ4が上限位置に達するまでの時間を求めて、キャリッジ上昇時の上限位置を制御する。
[フィルム繰出量]
タッチパネル入力装置12にて設定されたテーブル回転数と巻付テンションの各設定値を採り込み、その各設定値及びフィルム繰出センサ22の出力に基づいてフィルム繰出量を演算し、この演算値に、繰出ローラ61による繰出量を一致させるべく、インバータ16に制御信号をD/A変換器18を介して供給して、フィルム繰出モータ60に導入する電力の周波数を制御する。
[延伸比率]
タッチパネル入力装置12にて設定された延伸比率の設定値を採り込み、その設定値に基づいて、繰出ローラ61と延伸ローラ62との回転比を演算し、この演算値を目標値として、電圧変換器17に制御信号をD/A変換器18を介して供給して、電磁クラッチ63に印加する電圧を制御する。
【0036】
以上の実施形態によれば、パレット積みの形態・大きさ等が異なる5種類の荷物のフィルム包装に関するデータを設定・記憶することができるので、フィルム包装を行う荷物を変更する場合、その変更後の荷物に対応するプログラムを、タッチパネル式入力装置12の自動操作画面D1 において選択するだけで、包装条件を自動的に変更することができる。これにより、フィルム包装を行う荷物を変更するごとに、テーブル回転数、オーバーラップ量、延伸比率及び巻付テンション等の各データの設定を行う必要がなくなり、速やかに次の荷物のフィルム包装に移行することができる結果、フィルム包装の作業性が向上する。
【0037】
図11は本発明のストレッチ包装機の他の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【0038】
図11に示す実施形態は、アーム回転式のストレッチ包装機であって、トップビーム101aとその両端を支えるベースフレーム101bからなる門形の架台101、コンベア102、アーム103、キャリッジ104、昇降機構105、フィルム繰出装置106、及びコントロールボックス107などを主体として構成されており、そのコントロールボックス107の前面に、タッチパネル式入力装置112のディスプレイ112aが配置されている。
【0039】
コンベア102は、パレット積みされた荷物Wを架台101のトップビーム101aの中央下方位置に搬送・配置するための装置である。
【0040】
アーム103は、水平ビーム103aと垂直ビーム103bとからなる逆L字形の部材で、その水平ビーム103aの一端が、架台101のトップビーム101aの中央位置に回転自在に支持されている。アーム103には、架台101のトップビーム101aの中央上部に設置されたアーム回転モータ130によって回転力が与えられ、このアーム103の回転により、キャリッジ104が、架台101の中央位置に配置された荷物Wの側方周囲を回転(公転)する。
【0041】
キャリッジ104は、アーム103の垂直ビーム103bに上下動自在に支持されており、昇降機構105によって上下動が与えられる。昇降機構105は、キャリッジ昇降モータ150と、そのキャリッジ昇降モータ150の回転軸にプーリ等を介して巻きかけられたベルト(図示せず)とからなり、キャリッジ昇降モータ150の回転によりベルトが上下に動いてキャリッジ104を上昇・下降するように構成されている。
【0042】
キャリッジ104の上部には、架台101の中央位置(コンベア102上)に配置された荷物Wを検出するための光電スイッチ121が設置されている。この光電スイッチ121は、キャリッジ104が下降端(原点)から上昇する過程において検出光が荷物Wを捉えている間はONの状態が維持され、検出光が荷物Wから外れた時点つまり光電スイッチ21が荷物Wの上端を超えた時点でOFFとなる。
【0043】
キャリッジ104にはフィルム繰出装置106が搭載されている。このフィルム繰出装置106は、先の図2及び図3に示したものと同様な構造で、繰出ローラ161と延伸ローラ162、フィルム繰出モータ160及び電磁クラッチ(図示せず)を備えており、フィルムロールRからのフィルムFにプレストレッチ(予備延伸)を与えた状態で、フィルムFをコンベア102上の荷物Wの側面に向けて繰り出すことができる。なお、フィルム繰出装置6には、フィルム繰出時に繰出ローラ61に作用する力つまりフィルム巻付テンションを検出するためのフィルム繰出センサ122(図2、図12参照)が設置されている。
【0044】
そして、この実施形態のストレッチ包装機においては、キャリッジ104にフィルムロールRを設置し、架台101の中央位置にパレット積みの荷物Wを配置した状態で、アーム103を回転させながら、フィルムロールRからフィルムFを荷物Wの側面に繰り出すとともに、キャリッジ104をアーム103の垂直ビーム103bに沿って昇降させることにより、荷物WにフィルムFをスパイラル状に巻き付けることができる。
【0045】
次に、この実施形態の制御系の構成を、図12のブロック図及び先の図11を参照しつつ説明する。
【0046】
この実施形態の制御系は、コントローラ111と、コントローラ111に包装条件に関するデータを設定するためのタッチパネル式入力装置112とを備えている。コントローラ111は、アーム回転モータ130、キャリッジ昇降モータ150、フィルム繰出モータ160にそれぞれ個別に接続されたインバータ113、115、116、及び電磁クラッチ163に接続された電圧変換器117に制御信号をD/A変換器118を介して供給する。また、コントローラ111には、キャリッジ104に設置された光電スイッチ121の出力が入力され、さらにフィルム繰出装置105に設置されたフィルム繰出センサ122の出力がA/D変換器119を介して入力される。
【0047】
タッチパネル式入力装置112は、先の図5〜図9に示した表示例と同様な表示形式の自動操作画面D1 、手動操作画面D2 、設定画面D3 、データ表示画面D4 または数量表示画面D5 のいずれか1つの画面をディスプレイ12aに選択的に表示することができる。その画面選択は、各画面D1 、D2 、D3 、D4 、D5 の上部に表示された「自動」、「手動」、「設定」、「データ」または「数量」の文字上を指で押すという操作で行うことができる。ただし、この実施形態では、図7の設定画面D3 において、ターンテーブルの回転数(rpm)に代えて、アームの回転数(rpm)を表示する。また、図6の自動操作画面D2 において、「ターンテーブル」の表示に代えて、「アーム」を表示する。
【0048】
コントローラ111は、タッチパネル式入力装置112によって設定された設定値と、光電スイッチ121及びフィルム繰出センサ122の出力信号に基づいて、アーム回転数、キャリッジ昇降速度、キャリッジの上限位置、フィルム繰出量、延伸比率の制御を行うように構成されている。なお、その各処理の内容は、先の実施形態と同様であり、ターンテーブル回転数がアーム回転数に代わるだけであるので、その詳細な説明はここでは省略する。
【0049】
そして、この実施形態においても、パレット積みの形態・大きさ等が異なる5種類の荷物のフィルム包装に関するデータを設定・記憶することができるので、フィルム包装を行う荷物を変更する場合、その変更後の荷物に対応するプログラムを、タッチパネル式入力装置112の自動操作画面において選択するだけで、包装条件を自動的に変更することができる。これにより、フィルム包装を行う荷物を変更するごとに、アーム回転数、オーバーラップ量、延伸比率及び巻付テンション等の各データの設定を行う必要がなくなり、速やかに次の荷物のフィルム包装に移行することができる結果、フィルム包装の作業性が向上する。
【0050】
ここで、以上の各実施形態では、フィルム包装に関するデータをタッチパネル式入力装置のディスプレイにデジタル数値化して表示しているが、本発明はこれに限られることなく、例えばグラフや図形等によりフィルム包装に関するデータをデジタル表示してもよい。
【0051】
また、本発明のストレッチ包装機に用いる入力装置としては、上記したようなタッチパネル式入力装置のほか、一般に用いられている各種の入力装置を適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のストレッチ包装機によれば、ターンテーブルの回転数(またはアームの回転数)、オーバーラップ量、上折込み量、あるいは延伸比率等の各設定値を入力するだけで、キャリッジの昇降速度、キャリッジが上限位置に達するまでの時間、あるいは繰出ローラと延伸ローラとの回転比が自動的に演算されてフィルム包装が実行されるので、作業者の個人差による影響が現れることがなく、誰が操作しても、常に良好なフィルム包装状態を得ることができる。しかも、フィルム包装に関するデータから、ターンテーブル回転数、キャリッジ昇降速度、キャリッジ上昇時の上限位置、あるいは繰出ローラと延伸ローラとの回転比などの各制御量を求める、といった計算を作業者が行う必要がなくなるので、包装作業の効率化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に用いるフィルム繰出装置の構成を示す正面図(A)及び側面図(B)である。
【図3】同じくフィルム繰出装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】タッチパネル式入力装置のディスプレイに表示する画面の例を示す図である。
【図6】同じくディスプレイに表示する画面の例を示す図である。
【図7】同じくディスプレイに表示する画面の例を示す図である。
【図8】同じくディスプレイに表示する画面の例を示す図である。
【図9】同じくディスプレイに表示する画面の例を示す図である。
【図10】キャリッジの上限位置の制御方法の説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態の制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ベースフレーム
2 マスト
3 ターンテーブル
30 テーブル回転モータ
4 キャリッジ
5 昇降機構
50 キャリッジ昇降モータ
6 フィルム繰出装置
60 フィルム繰出モータ
61 繰出ローラ
62 延伸ローラ
63 電磁クラッチ
7 コントロールボックス
11 コントローラ
12 タッチパネル式入力装置
12a 表示画面
13 インバータ(テーブル回転モータ用)
15 インバータ(キャリッジ昇降モータ用)
16 インバータ(フィルム繰出モータ用)
17 電圧変換器
18 D/A変換器
19 A/D変換器
21 光電スイッチ
22 フィルム繰出センサ
R フィルムロール
F フィルム
W 荷物(被包装物)
Claims (2)
- フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジと被包装物とを相対的に回転させる回転機構と、キャリッジを上下動させる昇降機構と、それら回転機構、繰出ローラ及び昇降機構の各駆動を制御するコントローラとを備え、キャリッジにフィルムロールを搭載し、そのキャリッジと被包装物とを相対的に回転させながら、フィルムを被包装物に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより被包装物にフィルムを巻き付ける包装機において、
フィルム包装に関するデータを入力するための入力装置と、被包装物の上端を検出する検出手段とが設けられており、
上記コントローラは、入力装置によって入力された回転機構の回転数及びオーバーラップ量の各設定値を用いてキャリッジ昇降速度を演算し、その演算結果に基づいて昇降機構の駆動を制御するように構成されているとともに、上記入力装置によって入力された上折込み量の設定値と上記検出手段の出力に基づいてキャリッジ上昇時における上限位置を演算し、この演算結果と上記キャリッジ昇降速度の演算値とからキャリッジが上限位置に達するまでの時間を求めて、キャリッジ上昇時の上限位置を制御するように構成されていることを特徴とするストレッチ包装機。 - フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジと被包装物とを相対的に回転させる回転機構と、キャリッジを上下動させる昇降機構と、それら回転機構、繰出ローラ及び昇降機構の各駆動を制御するコントローラとを備え、キャリッジにフィルムロールを搭載し、そのキャリッジと被包装物とを相対的に回転させながら、フィルムを被包装物に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより被包装物にフィルムを巻き付ける包装機において、
フィルム包装に関するデータを入力するための入力装置と、繰出ローラに対向して配置された延伸ローラとが設けられており、その延伸ローラの回転軸が繰出ローラの駆動軸に、伝達トルクを無段階で調整できるクラッチを介して連結されているとともに、
上記コントローラは、上記入力装置によって入力された延伸比率の設定値から繰出ローラと延伸ローラとの回転比を演算し、その演算値を目標値として前記クラッチの伝達トルクを制御するように構成されていることを特徴とするストレッチ包装機。
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