JP3586399B2 - ストレッチ包装機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パレット積みされた複数個の荷物に、プラスチックフィルムを延伸させながら巻き付けて包装するストレッチ包装機に関する。
【0002】
【従来の技術】
流通・販売される各種商品は、段ボール箱などに小規模単位で梱包され、その梱包(荷物)を所定個数ずつパレット積みした状態で、輸送・荷役・保管されることが多い。
【0003】
パレット積みされた荷物は、輸送・荷役・保管時等において荷崩れが起こりやすく、また、輸送時等において雨水等による水濡れが発生したり、汚れが付着して商品価値が低下することがある。さらに保管時等において荷抜きされる恐れもある。そこで、最近では、パレット積みされた複数個の荷物に、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを巻き付ける、いわゆるストレッチ包装を行って、荷崩れを防止するとともに、雨水や汚れ・荷抜きなどから荷物を保護するという対策が採られている。
【0004】
このようなストレッチ包装を行う装置として、従来、荷物を載せるターンテーブルと、フィルム繰出用のローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジを支持するマストと、キャリッジをマストに沿って上下動させる昇降機構とを備え、キャリッジにフィルムロールをセットし、パレット積みされた荷物をターンテーブルに載せた状態で、ターンテーブルを回転させながらフィルムを荷物側面に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより、パレット積みされた荷物にフィルムをスパイラル状に巻き付けるターンテーブル式の包装機がある(例えば特公昭59−9403号公報)。
【0005】
また、他のストレッチ包装機として、荷物を載せる固定台と、フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジを荷物の側方周囲に回転させるアームと、キャリッジを上下動させる昇降機構を備え、パレット積みされた荷物を固定台に載せた状態で、キャリッジを荷物の側方周囲に回転させながらフィルムを荷物側面に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより、パレット積みされた荷物にフィルムをスパイラル状に巻き付けるアーム回転式のストレッチ包装機がある(例えば特開平8−156908号公報)。
【0006】
さらに、この種のストレッチ包装機として、フィルムに予備延伸(プレストレッチ)を与えた状態でフィルムを荷物に巻き付ける、いわゆるプレストレッチ方式の包装機がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ターンテーブル式のストレッチ包装機において、包装を行う荷物の平面形状が正方形または長方形である場合、フィルム巻付け過程において荷物側から要求されるフィルムの繰り出し量(以下、フィルム繰出要求量という)が変動する。例えば、図9に示すように、荷物Wの1つの角部Cがフィルム繰出装置90に近い位置(図9(A))から図9(B)に示す位置へと回転移動すると、その回転移動に伴ってフィルム繰出要求量が大きくなる。このようなフィルム繰出要求量の変動はアーム回転式のストレッチ包装機においても同様に発生する。
【0008】
そして、フィルム繰出要求量に変動がある場合に、繰出ローラの回転数が一定であると、荷物に向けて繰り出されるフィルムのテンションがフィルム繰出要求量に応じて変動することなり、フィルムを均一なテンションで荷物に巻き付けることができなくなる。しかも、フィルムのテンションが変動して荷物の角部に掛かる荷重が強すぎると、フィルムが破れることがあり、また荷物自体の角部が潰れたり、あるいは荷崩れが起こるなどの不具合が発生する。
【0009】
なお、以上のようなフィルム繰出要求量の変動は、パレット積みされた荷物の平面形状が正方形または長方形である場合に限られず、荷物の種類や荷積み状態等によっても発生する。
【0010】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、荷物の種類・形態等に関わらず、フィルムを最適かつ均一なテンションで巻き付けることができ、もって常に良好なフィルム包装状態を得ることのできるストレッチ包装機の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のストレッチ包装機は、フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジと被包装物とを相対的に回転させる回転機構と、キャリッジを上下動させる昇降機構と、それら回転機構、繰出ローラ及び昇降機構の各駆動を制御するコントローラとを備え、キャリッジにフィルムロールを搭載し、そのキャリッジと被包装物とを相対的に回転させながら、フィルムを被包装物に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより被包装物にフィルムを巻き付ける包装機において、フィルム包装に関するデータを入力するための入力装置と、繰出ローラから被包装物に繰り出されるフィルムに掛かる荷重を検出する荷重検出手段と、繰出ローラに対向して配置された延伸ローラとが設けられており、上記コントローラは、上記荷重検出手段の出力信号から得られるフィルムテンションの実測値と、入力装置にて入力されたフィルムテンションの設定値との差を刻々と演算し、その差を0にすべく繰出ローラの回転数をフィードバック制御するとともに、そのフィードバック制御されている繰出ローラの回転数と上記入力装置にて入力された延伸比率の設定値とから、延伸ローラの回転数を逐次演算し、その演算値を目標値として延伸ローラの回転数を制御するように構成されていることによって特徴づけられる。
【0012】
本発明のストレッチ包装機によれば、フィルム包装時において、繰出ローラから荷物に向けて繰り出されるフィルムに実際に掛かっているテンションを刻々と検出し、その検出値を用いて繰出ローラの回転数をフィードバック制御しているので、フィルム繰出要求量が変動したときには、これに追従して繰出ローラの回転数が変動する結果、フィルムの巻き付けテンションが一定に保たれ、フィルムが破れ難くなる。
【0013】
しかも、フィルムに掛かるテンションを直接検出しているので、繰出ローラにおいてフィルムの滑りが生じても、それに左右されず常に正確な制御を行うことができる。また、高価なサーボモータ等を用いることなく、一般的なモータのフィードバック制御でフィルムのテンションを一定に保つことができる。
【0014】
さらに、本発明のストレッチ包装機によれば、フィードバック制御されている繰出ローラの回転数と入力装置にて入力された延伸比率の設定値とから、延伸ローラの回転数を逐次演算し、その演算値を目標値として延伸ローラの回転数を制御するように構成しているので、フィルムにプレテンションを与えた状態で荷物に繰り出すことができる。しかも、フィードバック制御されている繰出ローラの回転数がフィルム繰出要求量に応じて変動したときには、これに追従して延伸ローラの回転数が変動するので、繰出ローラの回転数の変動に関わらず、フィルムに与えるプレテンションを常に一定に保つことができる。
【0015】
なお、本発明のストレッチ包装機において、上記繰出ローラと延伸ローラとはそれぞれ個別のモータによって回転力が与えられるように構成されていてもよい。また、延伸ローラの回転軸が繰出ローラの駆動軸に、伝達トルクを無段階で調整できるクラッチを介して連結されていてもよい。
【0016】
さらに、本発明のストレッチ包装機に適用する荷重検出手段としては、フィルムに掛かる荷重(テンション)を直接かつ正確に検出することができ、しかも構造が簡単なロードセルを用いることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明のストレッチ包装機の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【0019】
図1に示す実施形態は、ターンテーブル式のストレッチ包装機であって、ベースフレーム1に下端が固定されたマスト2、ターンテーブル3、キャリッジ4、昇降機構5、フィルム繰出装置6、及びコントロールボックス10などを主体として構成されており、そのコントロールボックス10の前面に、タッチパネル式入力装置12のディスプレイ12aが配置されている。なお、図1に示すストレッチ包装機には、ターンテーブル3上に載置した荷物Wの回転時における荷崩れを防止するための押え板(プラテン)8がマスト2の上部に設置されている。
【0020】
ターンテーブル3はベースフレーム1の先端部に回転自在に支持されている。このターンテーブル3に回転力を与えるテーブル回転モータ30は、ベースフレーム1のマスト2側の端部に設置されている。
【0021】
キャリッジ4は、マスト2に上下動自在に支持されており、昇降機構5によって上下動が与えられる。昇降機構5は、キャリッジ昇降モータ50と、そのモータ50の回転軸にプーリ(図示せず)等を介して巻きかけられたベルト51とからなり、キャリッジ昇降モータ50の回転によりベルト51が上下に動いてキャリッジ4を上昇・下降するように構成されている。
【0022】
フィルム繰出装置6は、前記したキャリッジ4に搭載されており、図2〜図4に示すように、繰出ローラ61、延伸ローラ62及びガイドローラ(非駆動ローラ)63の3本のローラを備えており、そのガイドローラ63は支持アーム64に回転自在に支持されている。繰出ローラ61と延伸ローラ62はそれぞれフィルム繰出モータ71とフィルム延伸モータ72によって回転力が与えられ、そのフィルム繰出モータ71に対するフィルム延伸モータ72の回転数を制御することにより、フィルムFにプレストレッチ(予備延伸)を与えた状態でフィルムFを繰り出すことができる。
【0023】
以上のフィルム繰出装置6において、図3に示すように、フィルムロールRからのフィルムFが延伸ローラ62と繰出ローラ61との間を縫うようにして通され、繰出ローラ61からガイドローラ63を経てターンテーブル3上の荷物Wの側面に向けてフィルムFが繰り出される。
【0024】
ガイドローラ63はロードセル64に支持されており、そのロードセル64によって、ガイドローラ63に作用する力つまり荷物Wに向けて繰り出すフィルムFに掛かる荷重(テンション)を直接検出することができ、ロードセル64の出力からフィルムFに掛かるテンションを数値化(デジタル)した情報を得ることができる。
【0025】
そして、この実施形態のストレッチ包装機においては、キャリッジ4にフィルムロールRをセットし、パレット積みされた荷物Wをターンテーブル3に載せた状態で、ターンテーブル3を回転させながらフィルムFを荷物Wの側面に繰り出すとともに、キャリッジ4を昇降させることにより、パレット積みされた荷物WにフィルムFをスパイラル状に巻き付けることができる。
【0026】
次に、この実施形態の制御系の構成を図5のブロック及び先の図1を参照しつつ説明する。
【0027】
この実施形態の制御系は、コントローラ11と、コントローラ11に包装条件に関するデータを設定するためのタッチパネル式入力装置12とを備えている。
【0028】
コントローラ11は、テーブル回転モータ30、キャリッジ昇降モータ50、フィルム繰出モータ71、フィルム延伸モータ72にそれぞれ個別に接続されたインバータ23、24、25、26に制御信号をD/A変換器21を介して供給する。また、コントローラ11には、フィルム繰出装置6に設置されたロードセル64の出力がA/D変換器22を介して入力される。
【0029】
タッチパネル式入力装置12は、ディスプレイ12aに表示のタッチキーの操作により、テーブル回転数、オーバーラップ量、延伸比率、フィルムテンションなどのフィルム包装に関するデータ(設定値)をコントローラ11に設定することができる。
【0030】
そして、コントローラ11は、タッチパネル式入力装置12によって設定された設定値に基づいて、テーブル回転数及びキャリッジ昇降速度の制御を行うとともに、入力設定値及びロードセル64の出力信号を用いて、繰出ローラ61及び延伸ローラ62の回転数を制御する(ローラ回転数制御)。その各処理の詳細を以下に説明する。
[テーブル回転数]
タッチパネル入力装置12にて設定されたテーブル回転数の設定値を採り込み、その設定値にテーブル回転モータ30の回転数を一致させるべく、インバータ23に制御信号をD/A変換器21を介して供給してテーブル回転モータ30に導入する電力の周波数を制御する。
[キャリッジ昇降速度]
タッチパネル入力装置12にて設定されたテーブル回転数とオーバーラップ量の各設定値を採り込み、それら設定値に基づいて、ターンテーブル3の回転数に対するキャリッジ昇降速度を演算し、その演算値にキャリッジ4の昇降速度を一致させるべく、インバータ24に制御信号をD/A変換器21を介して供給してキャリッジ昇降モータ50に導入する電力の周波数を制御する。
[ローラ回転数制御]
タッチパネル入力装置12にて設定されたフィルムテンション及び延伸比率の各設定値を採り込んでおき、そのフィルムテンションの設定値と、ロードセル64の出力信号(荷重検出値)から刻々と得られるフィルムテンションの実測値との差を求め、その差を0にすべく、インバータ25に制御信号をD/A変換器21を介して供給して、フィルム繰出モータ71に導入する電力の周波数つまり繰出ローラ61の回転数をフィードバック制御するとともに、そのフィードバック制御されている繰出ローラ61の回転数と延伸比率の設定値とから、延伸ローラ62の回転数を逐次演算し、この演算値を目標値として、インバータ26に制御信号をD/A変換器21を介して供給してフィルム延伸モータ72に導入する電力の周波数を制御する。
【0031】
以上の実施形態によれば、荷物W側からのフィルム繰出要求量に変動があった場合、その変動量に応じて繰出ローラ61の回転数がリアルタイムで変動するので、フィルムFを荷物Wに常に一定のテンションで巻き付けることができ、良好なフィルム包装状態を得ることができる。しかも、繰出ローラ61の回転数が変動しても、これに追従して延伸ローラ62の回転数を変動するので、フィルムFに与えるプレテンションを常に一定とすることができる。
【0032】
また、フィルムFのテンションを一定に保つことができることから、プレテンションによりフィルムFに高い延伸比率を与えて薄くしても、包装中にフィルムFが破れることがなくなるので経済的である。ちなみに、この実施形態では、フィルムFの厚さを、従来のプレストレッチ方式の包装機で適用されているフィルム厚さ(例えば16μm)の半分としても包装可能であり、フィルムFの使用量(コスト)を従来の1/2程度にまで削減することができる。
【0033】
図6は本発明のストレッチ包装機の他の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【0034】
図6に示す実施形態は、アーム回転式のストレッチ包装機であって、トップビーム101aとその両端を支えるベースフレーム101bからなる門形の架台101、コンベア102、アーム103、キャリッジ104、昇降機構105、フィルム繰出装置106、及びコントロールボックス110などを主体として構成されており、そのコントロールボックス110の前面に、タッチパネル式入力装置112のディスプレイ112aが配置されている。
【0035】
コンベア102は、パレット積みされた荷物Wを架台101のトップビーム101aの中央下方位置に搬送・配置するための装置である。
【0036】
アーム103は、水平ビーム103aと垂直ビーム103bとからなる逆L字形の部材で、その水平ビーム103aの一端が、架台101のトップビーム101aの中央位置に回転自在に支持されている。アーム103には、架台101のトップビーム101aの中央上部に設置されたアーム回転モータ130によって回転力が与えられ、このアーム103の回転により、キャリッジ104が、架台101の中央位置に配置された荷物Wの側方周囲を回転(公転)する。
【0037】
キャリッジ104は、アーム103の垂直ビーム103bに上下動自在に支持されており、昇降機構105によって上下動が与えられる。昇降機構105は、キャリッジ昇降モータ150と、そのモータ150の回転軸にプーリ等を介してに巻きかけられたベルト(図示せず)とからなり、キャリッジ昇降モータ150の回転によりベルトが上下に動いてキャリッジ104を上昇・下降するように構成されている。
【0038】
キャリッジ104にはフィルム繰出装置106が搭載されている。このフィルム繰出装置106は、先の図2〜図4に示したものと同様な構造で、繰出ローラ161とテンションローラ162、及びフィルム繰出モータ171とフィルム延伸モータ172を備えており、フィルムロールRからのフィルムFにプレストレッチを与えた状態で、フィルムFを繰出ローラ161からガイドローラ163を経てコンベア102上の荷物Wの側面に向けて繰り出すことができる。
【0039】
ガイドローラ163は、図4に示す構造と同様に、ロードセルに支持されており、そのロードセルによって、ガイドローラ163に作用する力つまり荷物Wに向けて繰り出すフィルムFに掛かる荷重(テンション)を直接検出することができ、ロードセルの出力からフィルムFに掛かるテンションを数値化(デジタル)した情報を得ることができる。
【0040】
そして、この実施形態のストレッチ包装機においては、キャリッジ104にフィルムロールRを設置し、架台101の中央位置にパレット積みの荷物Wを配置した状態で、アーム103を回転させながら、フィルムロールRからフィルムFを荷物Wの側面に繰り出すとともに、キャリッジ104をアーム103の垂直ビーム103bに沿って昇降させることにより、荷物WにフィルムFをスパイラル状に巻き付けることができる。
【0041】
次に、この実施形態の制御系の構成を、図7のブロック図及び先の図6を参照しつつ説明する。
【0042】
この実施形態の制御系は、コントローラ111と、コントローラ111に包装条件に関するデータを設定するためのタッチパネル式入力装置112とを備えている。コントローラ111は、アーム回転モータ130、キャリッジ昇降モータ150、フィルム繰出モータ171及びフィルム延伸モータ172にそれぞれ個別に接続されたインバータ123、124、125、126に制御信号をD/A変換器21を介して供給する。また、コントローラ111には、フィルム繰出装置106に設置されたロードセル164の出力がA/D変換器122を介して入力される。
【0043】
コントローラ111は、タッチパネル式入力装置112によって設定された設定値に基づいて、アーム回転数及びキャリッジ昇降速度の制御を行うように構成されている。なお、その各処理の内容は、先の実施形態と同様であり、ターンテーブル回転数がアーム回転数に代わるだけであるので、その詳細な説明はここでは省略する。
【0044】
また、コントローラ111は、先の実施形態と同様に、タッチパネル入力装置12にて設定されたフィルムテンション及び延伸比率の各設定値を採り込んでおき、そのフィルムテンションの設定値と、ロードセル164の出力信号(荷重検出値)から刻々と得られるフィルムテンションの実測値との差を求め、その差を0にすべく、インバータ125に制御信号をD/A変換器121を介して供給して、フィルム繰出モータ171に導入する電力の周波数つまり繰出ローラ161の回転数をフィードバック制御するとともに、そのフィードバック制御されている繰出ローラ161の回転数と延伸比率の設定値とから、延伸ローラ162の回転数を逐次演算し、この演算値を目標値として、インバータ126に制御信号をD/A変換器121を介して供給して、フィルム延伸モータ172に導入する電力の周波数を制御する。
【0045】
以上の実施形態においても、荷物W側からのフィルム繰出要求量が変動したときには、その変動量に応じて繰出ローラ161の回転数がリアルタイムで変動するので、フィルムFを荷物Wに常に一定のテンションで巻き付けることができ、良好なフィルム包装状態を得ることができる。しかも、繰出ローラ161の回転数が変動しても、これに追従して延伸ローラ162の回転数も変動するので、フィルムFに与えるプレテンションを常に一定とすることができる。
【0046】
また、フィルムFのテンションを一定に保つことができることから、プレテンションによりフィルムFに高い延伸比率を与えて薄くしても、包装中にフィルムFが破れることがなくなるので経済的であり、この実施形態においても、フィルムFの厚さを、従来のプレストレッチ方式の包装機で適用されているフィルム厚さ(例えば16μm)の半分としても包装可能であり、フィルムFの使用量(コスト)を従来の1/2程度にまで削減することができる。
【0047】
ここで、以上の実施形態では、繰出ローラと延伸ローラとをそれぞれ個別のモータで回転するように構成しているが、これら繰出ローラと延伸ローラとを1台のモータで回転する構造のフィルム繰出装置を備えたストレッチ包装機にも本発明を適用できる。そのフィルム繰出装置の具体的な例を図8に示す。
【0048】
図8のフィルム繰出装置206は、先の実施形態と同様に、繰出ローラ261と延伸ローラ262の2本のローラを備えており、繰出ローラ261の回転軸261aがフィルム繰出モータ260の回転軸260aに一対の平歯車264、265を介して連結されている。繰出ローラ261の回転軸261aに固定されている歯車265には、電磁クラッチ263に連結された歯車266が噛み合わされており、その電磁クラッチ263の出力軸263aに延伸ローラ262の回転軸262aがジョイント267を介して連結されている。
【0049】
そして、このようなフィルム繰出装置206では、電磁クラッチ263に印加する電圧を変更することにより、繰出ローラ261と延伸ローラ262との回転比を無段階で調整することが可能であり、従って、この例の場合、延伸比率の設定値を用いて繰出ローラ261に対する延伸ローラ262との回転数を演算し、その演算値を目標値として、電磁クラッチ263に印加する電圧を制御することにより、延伸比率の設定値に応じたプレストレッチをフィルムに与えることができる。ただし、繰出ローラ261の回転数については、先の実施形態と同様なフィードバック制御を行う。
【0050】
なお、この例に用いる電磁クラッチ263としては、例えば、トルクの伝達に磁性鉄粉を使用したクラッチで、印加電圧の制御により伝達トルクを無段階で調整することのできるパウダクラッチを挙げることができる。
【0051】
以上の実施形態では、荷物に繰り出すフィルムに掛かる荷重を検出する荷重検出手段として、ロードセルを用いた例を示したが、これに限られることなく、一般に知られている公知の他の荷重センサを用いた検出手段を適用してもよい。
【0052】
また、以上の実施形態では、ロードセルをガイドローラの上部側のみに配置しているが、本発明はこれに限られず、ガイドローラの上端部と下端部の双方をロードセルで支持するように構成すれば、より正確なフィードバック制御を行うことができる。
【0053】
本発明のストレッチ包装機に用いる入力装置としては、上記したようなタッチパネル式入力装置のほか、一般に用いられている各種の入力装置を適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のストレッチ包装機によれば、繰出ローラから被包装物に繰り出されるフィルムに掛かる荷重を検出する荷重検出手段を設け、その検出値から得られるフィルムテンションの実測値と、入力装置にて入力されたフィルムテンションの設定値との差を刻々と演算し、その差を0にすべく繰出ローラの回転数をフィードバック制御するように構成されているので、フィルム繰出要求量が変動したときには、これに追従して繰出ローラの回転数が変動してフィルムのテンションが一定に保たれる。その結果として、荷物の種類・形態等に関わらず、フィルムを最適かつ均一なテンションで巻き付けることができ、常に良好なフィルム包装状態を得るができる。
【0055】
また、フィルムFのテンションを一定に保つことができることから、プレテンションによりフィルムに高い延伸比率を与えて薄くしても、フィルム包装が可能になるので、フィルムの使用量(コスト)の低減化をはかることができる。しかも、ロードセル等の荷重検出手段でフィルムに掛かるテンションを直接検出しているので、繰出ローラにおいてフィルムの滑りが生じても、これに左右されることなく、常に正確なフィードバック制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に用いるフィルム繰出装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図3】同じくフィルム繰出装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】ガイドローラの支持構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態の制御系の構成を示すブロック図である。
【図8】フィルム繰出装置の変形例の構成を模式的に示す正面図(A)及び側面図(B)である。
【図9】フィルム繰出要求量の変動を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ベースフレーム
2 マスト
3 ターンテーブル
30 テーブル回転モータ
4 キャリッジ
5 昇降機構
50 キャリッジ昇降モータ
6 フィルム繰出装置
61 繰出ローラ
62 延伸ローラ
63 ガイドローラ
64 支持アーム
64 ロードセル
71 フィルム繰出モータ
72 フィルム延伸モータ
10 コントロールボックス
11 コントローラ
12 タッチパネル式入力装置
21 D/A変換器
22 A/D変換器
23 インバータ(テーブル回転モータ用)
24 インバータ(キャリッジ昇降モータ用)
25 インバータ(フィルム繰出モータ用)
26 インバータ(フィルム延伸モータ用)
R フィルムロール
F フィルム
W 荷物(被包装物)

Claims (4)

  1. フィルム繰出用の繰出ローラが搭載されたキャリッジと、このキャリッジと被包装物とを相対的に回転させる回転機構と、キャリッジを上下動させる昇降機構と、それら回転機構、繰出ローラ及び昇降機構の各駆動を制御するコントローラとを備え、キャリッジにフィルムロールを搭載し、そのキャリッジと被包装物とを相対的に回転させながら、フィルムを被包装物に繰り出すとともに、キャリッジを昇降させることにより被包装物にフィルムを巻き付ける包装機において、
    フィルム包装に関するデータを入力するための入力装置と、繰出ローラから被包装物に繰り出されるフィルムに掛かる荷重を検出する荷重検出手段と、繰出ローラに対向して配置された延伸ローラとが設けられており
    上記コントローラは、上記荷重検出手段の出力信号から得られるフィルムテンションの実測値と、上記入力装置にて入力されたフィルムテンションの設定値との差を刻々と演算し、その差を0にすべく繰出ローラの回転数をフィードバック制御するとともに、そのフィードバック制御されている繰出ローラの回転数と上記入力装置にて入力された延伸比率の設定値とから、延伸ローラの回転数を逐次演算し、その演算値を目標値として延伸ローラの回転数を制御するように構成されていることを特徴とするストレッチ包装機。
  2. 上記繰出ローラと延伸ローラとはそれぞれ個別のモータによって回転力が与えられることを特徴とする請求項1記載のストレッチ包装機。
  3. 上記延伸ローラの回転軸が繰出ローラの駆動軸に、伝達トルクを無段階で調整できるクラッチを介して連結されていることを特徴とする請求項1記載のストレッチ包装機。
  4. 上記荷重検出手段がロードセルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のストレッチ包装機。
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