JP3586327B2 - フェノール−ナフトールノボラック縮合体 - Google Patents
フェノール−ナフトールノボラック縮合体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3586327B2 JP3586327B2 JP33659195A JP33659195A JP3586327B2 JP 3586327 B2 JP3586327 B2 JP 3586327B2 JP 33659195 A JP33659195 A JP 33659195A JP 33659195 A JP33659195 A JP 33659195A JP 3586327 B2 JP3586327 B2 JP 3586327B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phenol
- biphenyl
- bis
- epoxy resin
- condensate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
- Phenolic Resins Or Amino Resins (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフェノール−ナフトールノボラック縮合体およびエポキシ樹脂用硬化剤に関し、有機材料および無機材料の結合剤やエポキシ樹脂の硬化剤として使用でき、特に電気および電子産業用、電子部品の封止用、積層板材料用のエポキシ樹脂の硬化剤として好適に用いられる低吸水性、耐熱性などに優れたフェノール−ナフトールノボラック縮合体およびそれを含むエポキシ樹脂用硬化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子材料用樹脂材料にはエポキシ樹脂が多く用いられ、そのエポキシ樹脂の硬化剤としては各種のフェノールノボラック縮合体、アミン類、酸無水物が使用される。特に半導体(IC)封止用エポキシ樹脂の硬化剤としては、耐熱性、信頼性の面からフェノール性ノボラック縮合体が主に用いられている。
近年、ICの高集積化、パッケージの小型、薄型化、また表面実装方式の適用が進み、その封止用材料には耐熱衝撃性および表面実装作業時のソルダリング耐熱性をより一層向上させることが要求される。
ソルダリング耐熱性を左右する大きな要因として、封止用樹脂材料の吸湿性が挙げられる。すなわち、吸湿した封止用材料は表面実装作業時の高温下で水分の気化による内圧が発生し、内部剥離やパッケージクラックが発生してソルダリング耐熱性が劣る。したがって、エポキシ樹脂用硬化剤として使用されるフェノール性ノボラック縮合体は低吸湿性であることが特に要求される。
封止用材料の吸湿性を低下する方法として、充填材として封止用樹脂材料に充填される非吸湿性のシリカなどの充填材を増量する方法がある。この場合、ベースの樹脂材料の粘度が高いと充填材の高充填性が損なわれるので、硬化剤として用いるフェノール性ノボラック縮合体の粘度が低いことが望まれる。また、封止用材料には耐熱性、高強度、強靱性、接着強さなどが求められる。
封止用エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノールノボラック縮合体を用いた従来の封止用樹脂材料では、吸湿性が比較的高く、また他の物性の面からも十分に満足できるものではなかった。
【0003】
そこで、低吸湿性、耐熱性、接着性などを向上させるために各種のフェノール性ノボラック縮合体が提案されている。
例えば、o−クレゾールなどのアルキルフェノール類を用いたノボラック縮合体、また、1−ナフトールなどのナフトール類を用いたノボラック縮合体がある(特開昭59−230017号、特開平5−78437号、特開平5−86156号など)。また、フェノールの縮合剤としてジ(ヒドロキシプロピル)ビフェニルを用いたフェノール性化合物が開示されている(特開平5−117350号)。さらに、本発明者の一部が発明者として、ビス(メトキシメチル)ビフェニル混合物を用いたフェノールノボラック縮合体を提案している(特願平6−251328号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、さらに一層高性能の材料が望まれている。
本発明の目的は、低吸湿性、耐熱性、機械物性、接着性、充填性などに優れ、特に電気および電子産業用、電子部品の封止用、積層板材料用のエポキシ樹脂の硬化剤として好適に用いられる新規なフェノール−ナフトールノボラック縮合体およびそれを含むエポキシ樹脂用硬化剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、フェノール類およびナフトール類とビフェニル化合物の縮合反応により得られるフェノール−ナフトールノボラック縮合体に関する。
【0006】
また、本発明は、上記のフェノール−ナフトールノボラック縮合体を含むことを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤である。
【0007】
さらに本発明は、前記のフェノール−ナフトールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるフェノール類とは、縮合していない芳香環に少くとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物である。具体的には、下式(1)で表される化合物;
【0009】
【化2】
(式(1)中、R1は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基、iは1〜3の整数、jは0〜2の整数を示し、iとjの合計は4以下である。)
【0010】
式(1)の化合物と、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜8のアルデヒドまたはケトン類との縮合反応によって得られるビスフェノール化合物;式(1)の化合物がカップリングした構造のビフェノール化合物である。
【0011】
R1として、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。また、iは1〜2が好ましい。
【0012】
前記のハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜8のアルデヒドまたはケトン類としては、ハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜4のものが好ましく、具体的には、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド)およびアセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサフルオロアセトン等を挙げることができる。
【0013】
フェノール類を具体的に例示すると、フェノール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどのjが0であるフェノール類;クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノールなどのjが1であるフェノール類;キシレノール、メチルエチルフェノール、メチルブチルフェノール、メチルヘキシルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノール、グアヤコール、グエトールなどのjが2であるフェノール類;ビフェノールなどのビフェノ−ル類;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類などが挙げられる。
【0014】
この中でも、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、キシレノール、メチルエチルフェノール、メチルブチルフェノール、メチルヘキシルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノール等のiが1、jが0〜2、R1が炭素数1〜8のアルキル基である化合物、およびビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類が好ましい。
そして、これらフェノール類は単独であっても、混合物であってもよい。
【0015】
本発明に用いるナフトール類とは、下記一般式(2)で表されるナフタレン環に少なくと1個のフェノール性水酸基を有する化合物である。
【0016】
【化3】
(式(2)中、R2およびR3は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基、kは1〜3の整数、pおよびqは0〜2の整数を示す。)
【0017】
R2およびR3として、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。kは、好ましくは1〜2である。pおよびqは、pとqの合計が3以下であることが好ましい。
【0018】
ナフトール類を具体的に例示すると、1−ナフトール、2−ナフトール、1,6 − ナフトール、ナフトレゾルシン、α− ナフトヒドロキノン、β− ナフトヒドロキノン、ナフトピロガロール、メチルナフトール、エチルナフトール、n−プロピルナフトール、iso−プロピルナフトール、t−ブチルナフトール、オクチルナフトール、メチルエチルナフトール、メチルプロピルナフトール、メチルブチルナフトール、メチルヘキシルナフトール、ジメチルナフトール、ジエチルナフトール、ジブチルナフトールなどが挙げられる。この中でも好ましくは、1−ナフトール、2−ナフトール、1,6 − ナフトール、ナフトレゾルシン、α− ナフトヒドロキノン、β− ナフトヒドロキノンであり、1−ナフトールおよび2−ナフトールが最も好ましい。
そして、これらのナフトール類は単独であっても、混合物であってもよい。
【0019】
また、本発明に用いるビフェニル化合物とは、下記一般式(3)で表される化合物である。
【0020】
【化4】
(式(3)中、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は水素または炭素数1〜8のアルキル基、X1およびX2は水酸基、ハロゲンまたは炭素数1〜8のアルコキシ基を示す。)
【0021】
R4およびR5として、好ましくは水素または炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基であり、特に好ましくは水素または炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基、最も好ましくは水素である。R6、R7、R8およびR9として、好ましくは水素または炭素数1〜4のアルキル基、特に好ましくは水素である。前記のハロゲンとしては、塩素または臭素が好ましい。X1およびX2として、好ましくは水酸基または炭素数1〜8のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。
【0022】
ビフェニル化合物を具体的に例示すると、ビス(クロロメチル)ビフェニル、ビス(ブロモメチル)ビフェニル、ビス(1−クロロ−1− エチル)ビフェニル、ビス(1−ブロモ−1− エチル)ビフェニル、ビス(1−クロロ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(1−ブロモ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(2−クロロ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(2−ブロモ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(1 〜2−クロロ−1〜2 ブチル)ビフェニル、ビス(1 〜2−ブロモ−1〜2 ブチル)ビフェニル、ビス(1 〜4−クロロ−1〜4−ヘプチル)ビフェニル、ビス(1 〜4−ブロモ−1〜4−ヘプチル)ビフェニル等のビス(ハロゲノアルキル)ビフェニル類;ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(1−ヒドロキシ−1− エチル)ビフェニル、ビス(1−ヒドロキシ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(2−ヒドロキシ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(1 〜2−ヒドロキシ−1〜2 ブチル)ビフェニル、ビス(1 〜4−ヒドロキシ−1〜4−ヘプチル)ビフェニル等のビス(ヒドロキシアルキル)ビフェニル類;ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(1−メトキシ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(2−メトキシ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(1 〜4−メトキシ−1〜4−ヘプチル)ビフェニル、ビス(エトキシメチル)ビフェニル、ビス(1−エトキシ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(2−エトキシ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(ブトキシメチル)ビフェニル、ビス(1 〜2−ブトキシ−1〜2−プロピル)ビフェニル等のビス(アルコキシアルキル)ビフェニル類などが挙げられる。尚、1 〜4 等の表示は、4−ブロモ−4− ヘプチルの如く対応するものとする。
【0023】
これらの中でも、好ましいものはビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(1−メトキシ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(2−メトキシ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(3 〜4−メトキシ−3〜4−ヘプチル)ビフェニル、ビス(エトキシメチル)ビフェニル、ビス(1−エトキシ−1− プロピル)ビフェニル、ビス(2−エトキシ−2− プロピル)ビフェニル、ビス(ブトキシメチル)ビフェニル、ビス(1 〜2−ブトキシ−1〜2−プロピル)ビフェニル等のビス(アルコキシアルキル)ビフェニル類である。
そして、ビフェニル化合物は単独であっても、混合物であってもよい。
【0024】
前記のビフェニル化合物の中で最も好ましいものはビス(メトキシメチル)ビフェニルであり、具体的には下記一般式(4)で表される。
【0025】
【化5】
【0026】
ビス(メトキシメチル)ビフェニルには下記構造式(4a)〜(4f)で示される異性体がある。
【0027】
【化6】
【0028】
これらのビス(メトキシメチル)ビフェニルは、例えばメトキシメチルベンゼンのハロゲン化物を脱ハロゲン化カップリング反応により製造することができる。この反応の生成物中の異性体の割合は特に限定されないが、一般に、5a:5b:5c:5d:5e:5f=(1):(0.2〜0.6):(4〜7):(0.01〜0.2):(0.1〜2.0):(5〜15)である。本発明にはこの反応生成物をそのまま使用することができる。また、蒸留精製して異性体の割合を変えたものも使用することができる。
【0029】
本発明のフェノール−ナフトールノボラック縮合体は、フェノール類およびナフトール類とビフェニル化合物とを酸触媒の存在下で1〜7時間縮合反応することによって得られる。
【0030】
その際のフェノール類とナフトール類とを合わせたモル数とビフェニル化合物のモル数の比率は1:(0.1〜1)の範囲が好ましい。ビフェニル化合物のモル比率を小さくするほど低粘度の縮合体が得られるが、その比率が0.1未満の場合には、多量の未反応フェノール類およびナフトール類を除去する必要があり、経済的でない。また、その比率が1を超える場合には、ゲル化が起こり実用の縮合体としては好ましくない。
【0031】
使用するフェノール類とナフトール類のモル比率は、(20〜95):(80〜5)、好ましくは(40〜90):(60〜10)、さらに好ましくは(60〜85):(40〜15)である。ナフトール類のモル比率が5%未満であると吸湿特性、耐熱性の向上効果が少なく、また、その比率が80%を超えると縮合体の粘度が増大し過ぎるので好ましくない。
【0032】
縮合反応に使用する触媒としては、p−トルエンスルフォン酸、硫酸、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルなどを挙げることができる。その使用量はフェノール類とナフトール類とを合わせたモル数に対して0.1〜0.01倍モルが好ましい。反応温度は120〜190℃が好ましい。それより低温であると反応速度が遅く、高温であるとゲル化が起こるなどの問題がある。
【0033】
このようにして得られる本発明のフェノール−ナフトールノボラック縮合体は、下式の構造を有するものである。
【0034】
【化7】
(式中、R1〜R9、i、j、k、p、qは前記と同義である。m及びnは0〜20の整数であるが平均値は0より大きく10以下の自然数である。)
【0035】
このフェノール−ナフトールノボラック縮合体は、フェノール性の水酸基を有しているので、通常のフェノールノボラック樹脂と同様に、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることができる。このフェノール−ナフトールノボラック縮合体を硬化剤として用いたエポキシ樹脂の硬化物は、低吸湿性、耐熱性、機械特性、接着性および可撓性の点で優れている。
【0036】
このときに用いるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類にエポキシ基を付与したビスフェノールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;通常のフェノールノボラック樹脂、オルトクレゾールノボラック樹脂および臭素化フェノールノボラック樹脂等のフェノールノボラック系の樹脂にエポキシ基を付与したノボラック型エポキシ樹脂;ジフェニルメタンジアミンテトラグリシジルエーテル、シクロヘキサンジアミンテトラグリシジルエーテル等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ化SBR、エポキシ化大豆油等の脂肪族エポキシ樹脂;4,4’−ジヒドロキシビフェニルや3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類にエポキシ基を付与したジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等の多環芳香族型エポキシ樹脂等を挙げることができる。この中でも、ノボラック型エポキシ樹脂、ジヒドロキシビフェビルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および多環芳香族型エポキシ樹脂が好ましく、特にノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0037】
本願のフェノール−ナフトールノボラック縮合体を硬化剤として用いてエポキシ樹脂硬化物を得るには、本願のフェノール−ナフトールノボラック縮合体の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基との比が概ね等量となるように、本縮合体と前記のエポキシ樹脂とを混合してエポキシ樹脂組成物とし、これを100〜250℃程度で加熱する。この際に、エポキシ樹脂組成物中には、硬化を促進するために一般的に用いられる硬化促進剤、例えば、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリフェニルフォスフィン等が添加されているのが好ましい。また、必要に応じて、充填剤、カップリング剤、難燃剤、滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤、増粘剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0038】
また、本発明のフェノール−ナフトールノボラック縮合体をヘキサメチレンテトラミンやアルデヒド類などの硬化剤を用いて硬化させる方法で、各種の接着剤、塗料、封止材、摩擦材、耐火物、鋳型および砥石などに使用でき、優れた低吸湿性、耐熱性、機械特性、接着性を示す。
【0039】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の実施例および比較例において「部」は「重量部」を意味する。
【0040】
実施例1
フェノール−ナフトールノボラック縮合体(縮合体A)の合成
滴下ロート、攪拌機、温度計、冷却器を取り付けたフラスコにフェノール564g(6モル)、1−ナフトール173g(1.2モル)および一般式(4)の混合物(4a:4b:4c:4d:4e:4f=1:0.5:5.5:0.08:0.3:7.5)484g(2モル)を仕込み、硫酸ジエチル15.4g(0.1モル)を滴下し、攪拌下、反応温度を160℃に保ちながら3時間反応した。その間に生成するメタノールを留去した。反応終了後冷却し、水洗を3回行って油層を分離し、減圧蒸留により未反応の原料モノマーを大部分留去して、縮合体A700gを得た。得られた縮合体Aの軟化点は74℃、水酸基当量は215g/eq、150℃における溶融粘度は0.2Pa・sであった。
【0041】
実施例2
フェノール−ナフトールノボラック縮合体(縮合体B)の合成
実施例1において、1−ナフトール288g(2モル)を使用した以外は同様の操作、反応を行い、縮合体B710gを得た。得られた縮合体Bの軟化点は78℃、水酸基当量は220g/eq、150℃における溶融粘度は0.3Pa・sであった。
【0042】
実施例3
フェノール−ナフトールノボラック縮合体(縮合体C)の合成
実施例1において、1−ナフトール403g(2.8モル)を使用した以外は同様の操作、反応を行い、縮合体C720gを得た。得られた縮合体Cの軟化点は90℃、水酸基当量は230g/eq、150℃における溶融粘度は0.4Pa・sであった。
【0043】
実施例4
フェノール−ナフトールノボラック縮合体(縮合体D)の合成
実施例1において、フェノール564gをオルソクレゾール432g(4モル)に変えた以外は同様の操作、反応を行い、縮合体D710gを得た。得られた縮合体Dの軟化点は70℃、水酸基当量は220g/eq、150℃における溶融粘度は0.3Pa・sであった。
【0044】
比較例1
フェノールノボラック縮合体(縮合体E)の合成
実施例1において、1−ナフトールを用いなかった以外は同様の操作、反応を行い、縮合体E700gを得た。得られた縮合体E軟化点は74℃、水酸基当量は175g/eq、150℃における溶融粘度は0.2Pa・sであった。
【0045】
実施例5〜12、比較例2〜5
実施例1〜4および比較例1で得られた縮合体A、B、C、DおよびEをエポキシ樹脂の硬化剤として用いた実施例5〜12および比較例2〜5の各種配合と硬化物の特性を測定した結果を表1および表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表1および表2中のフェノールノボラック樹脂は明和化成(株)製H−1(軟化点86℃、水酸基当量104g/eq)であり、エポキシ樹脂として使用したエポキシ化オルソクレゾールノボラック樹脂は日本化薬(株)製EOCN−1020(軟化点70℃、エポキシ当量200g/eq)であり、また充填剤としてのシリカは龍森化学(株)製RD−8を使用し、硬化促進剤としてトリフェニルフォスフィンを使用した。
【0049】
表1に示す各成分を配合し、150℃に加熱して溶融混合し、真空脱泡した後に150℃の金型(厚さ4mm)に注型し、150℃、3時間で硬化させた後、180℃、5時間後硬化した。
各種物性の試験方法は次の通り。
吸水率 24時間煮沸法; 試験片寸法 4×25×70mm
曲げ強さ 3点曲げ試験法; 試験片寸法 4×6×70mm
曲げ弾性率 同上
破断エネルギー 同上
Tg TMA法(Thermal Mechanical Analysis 、熱機械分析法)
【0050】
また、接着性試験は、表2に示す接着剤配合を行い、150℃に加熱して溶融混合し、あらかじめ脱脂した被着体(アルミニウム箔 0.1×20×100mm)の一端10mmに塗布した後、被着体を重ね合わせ、接着剤の厚さが0.1mmになるように調整し、クランプで固定して150℃、3時間で硬化させた後、180℃、5時間後硬化した。硬化後、T型剥離強さを測定した。
【0051】
表1および2から、本発明のフェノール−ナフトールノボラック縮合体はエポキシ樹脂用硬化剤として使用された場合、従来品と比較して、吸水性、機械特性、耐熱性、接着特性などに極めて優れた性質を有することが分かる。
【0052】
[参考例] 本発明で用いるビス(メトキシメチル)ビフェニルの合成例
〔参考例1〕 メトキシメチルベンゼンのヨード化
メトキシメチルベンゼン 146.5g (1.20 mol)、酢酸300ml 、n−ヘキサン80mlの溶液にヨウ素101.5g(0.40mol) 、ヨウ素酸70.3g (0.40mol) 及び硫酸4ml を加え、80℃で5時間攪拌した。反応液にn−ヘキサン600ml と水700ml を加えて良く振り混ぜた後n−ヘキサン層を分離、洗浄、乾燥した。溶媒を留去した後減圧蒸留してメトキシメチルヨードベンゼンの3 種の異性体の混合物 216.5g (0.87mol) を得た。
沸点:93 〜96℃/4mmHg 。
ガスクロマトグラフィー( カラム:アピエゾングリースL 10% on Uniport 2m)では、ピークが2 本(ピーク面積比 1:3) であった。しかし、13C−NMR 測定の結果、o−体、p−体の他にm−体も混入していることが分かった。これ等の結果をもとに1H−NMRから組成物中の異性体の求め、o−体:m−体:p−体=1:0.25:2.8 であることが分かった。
【0053】
〔参考例2〕 メトキシメチルヨードベンゼンの脱ヨウ素カップリング
参考例1で得られたメトキシメチルヨードベンゼン(3種の異性体混合物)174.3g(0.70mol) 、ビピリジルニッケルジクロリド(Ni(bipy)Cl2 ・H2O )14.2g(46.7mmol) 、亜鉛粉末 50.4g(0.77g原子) 、ピリジン9.2g(0.117mol)およびDMI350mlから成る混合物を90℃で5.5 時間激しく攪拌した。反応応終了後、固形物を吸引濾過で除き、大部分の溶媒を減圧蒸留で除去した。冷却後釜残に5%塩酸水溶液を加えて充分混合して分液した。油層部を更に水で洗浄し、残存する少量の溶媒を減圧留去した。残滓をガスクロ分析(SE−30,5%,2m,120〜230 ℃) した結果、ビス(メトキシメチル)ビフェニルの6種の異性体混合物80.3g(0.332mol) が得られた。
各異性体の割合は、
2,2’−:2,3’−:2,4’−:3,3’−:3,4’−:4,4’− = 1: 0.5: 5.5: 0.08: 0.3: 7.5
であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明が提供する新規なフェノール−ナフトールノボラック縮合体は、低吸湿性や耐熱性に優れ、かつ経済的に無理なくその溶融粘度を低く製造できるので、それがエポキシ樹脂用硬化剤として用いられるときに、各種充填材の充填性を妨げることが少なく、そのエポキシ樹脂硬化物に極めて優れた吸水性、機械特性、耐熱性、接着特性などを付与することができる。特に、電気および電子産業用、電子部品の封止用、積層板材料用のエポキシ樹脂の硬化剤として好適に用いられる。
Claims (4)
- 請求項1に記載のフェノール−ナフトールノボラック縮合体を含むことを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。
- 請求項1に記載のフェノール−ナフトールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1に記載のフェノール−ナフトールノボラック縮合体とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂硬化物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33659195A JP3586327B2 (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | フェノール−ナフトールノボラック縮合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33659195A JP3586327B2 (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | フェノール−ナフトールノボラック縮合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09176262A JPH09176262A (ja) | 1997-07-08 |
JP3586327B2 true JP3586327B2 (ja) | 2004-11-10 |
Family
ID=18300741
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33659195A Expired - Lifetime JP3586327B2 (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | フェノール−ナフトールノボラック縮合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3586327B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4805503B2 (ja) * | 1999-08-31 | 2011-11-02 | 大日本塗料株式会社 | 芳香族オリゴマーを使用した粘着性付与剤及び制振性付与剤 |
JP4605681B2 (ja) * | 2000-11-28 | 2011-01-05 | 日本化薬株式会社 | ポリクレゾール樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 |
JP5322143B2 (ja) * | 2007-03-16 | 2013-10-23 | 日本化薬株式会社 | フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物 |
JP2012077152A (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-19 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 電子部品封止用樹脂組成物及び電子部品装置 |
JP5752574B2 (ja) | 2011-11-29 | 2015-07-22 | 明和化成株式会社 | フェノールノボラック樹脂及びそれを用いたエポキシ樹脂組成物 |
-
1995
- 1995-12-25 JP JP33659195A patent/JP3586327B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09176262A (ja) | 1997-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3122834B2 (ja) | 新規フェノールノボラック縮合体 | |
EP0720630B1 (en) | Epoxy resin composition | |
JP5228328B2 (ja) | 低溶融粘度フェノールノボラック樹脂、その製造方法およびそれを用いたエポキシ樹脂硬化物 | |
JP5013234B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物、その硬化物、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、及び半導体封止材料 | |
JP5413488B2 (ja) | フェノールノボラック樹脂、その製造方法、それを用いたエポキシ樹脂組成物および硬化物 | |
JP4539025B2 (ja) | 液状封止材用樹脂組成物及び半導体装置 | |
US5612442A (en) | Phenol novolak condensate and bis(methoxymethyl)biphenyl for production thereof | |
JP3586327B2 (ja) | フェノール−ナフトールノボラック縮合体 | |
US7259213B2 (en) | Indole resins epoxy resins and resin compositions containing the same | |
JP4188022B2 (ja) | 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物 | |
EP0644216B1 (en) | Naphthalene-ring resin, resin composition, and cured product thereof | |
JP5605629B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物、その硬化物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及び半導体封止材 | |
JP5139914B2 (ja) | 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物 | |
US20040024167A1 (en) | Epoxy resins, process for preparation thereof, epoxy resin compositions and cured articles | |
JP2006160868A (ja) | ナフトール樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 | |
JP3728373B2 (ja) | フェノールノボラック縮合体 | |
JP3074013B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 | |
JP2004123859A (ja) | 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物 | |
US5780571A (en) | Naphthalene ring-containing resins, resin compositions and cured products thereof | |
JP5590416B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物、その硬化物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及び半導体封止材料 | |
JPH11140148A (ja) | ビフェニルノボラック縮合体 | |
JPH06145309A (ja) | ヒドロキシナフタレン共重合体、そのエポキシ化物、それらの製造方法および用途 | |
JP3712512B2 (ja) | ビフェニルノボラック縮合体 | |
JP3806217B2 (ja) | 新規多価ヒドロキシ化合物、新規エポキシ樹脂、それらの製造方法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 | |
JP2000204141A (ja) | 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂及びそれらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040713 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040806 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090813 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100813 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110813 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110813 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120813 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130813 Year of fee payment: 9 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |