JP3586255B2 - 検査装置および検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は検査装置および検査装置の制御方法に係り、特にいわゆるスナップ・オン・キャップ付き容器の容器本体の不良品判別を行うための検査装置および検査装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるスナップ・オン・キャップ付き容器は、特開昭50−50178号公報に開示されているように、口部を有する容器と、この容器の口部に着脱自在に被せられ、当該口部に対し回転可能な蓋と、を有する蓋付き容器である。
【0003】
より具体的には、容器の口部の先端に形成された環状のビードと、このビードより下方の位置に形成された山部及び谷部の交互に並ぶ膨らみのある張出部とを有している。
【0004】
一方、蓋は、外方に弾性的に広がることのできるスカート部と、このスカート部の内側に形成されビードに係合可能なフックと、フックよりも下方の位置にあって張出部の山部と接触してスカート部を外側に拡げるための突起とを有している。
【0005】
蓋を被せるときは、容器の口部に蓋をあてがい下方に押し下げると、蓋のスカート部に形成された突起が容器の張出部に接触してその谷部に導かれ、スカート部のフックと容器口部のビードとが係合し、蓋が容器口部に係止されることとなる。
【0006】
また、蓋を開けるときは、蓋を容器に対して水平に回転させると、蓋のスカート部に形成された突起が容器の張出部に接触して山部に導かれ、スカート部が外側に膨らむように変形してフックとビードの係合がはずれるとともに、上方に押し上げられて蓋が容器から取り外されるようになっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のスナップ・オン・キャップ付きの容器は、蓋を開ける際に、蓋を容器に対して回転させてそのスカート部を変形させるものであり、特に冬季の気温が低いときは、合成樹脂製の剛性が増す。
【0008】
従って、蓋を開ける際に蓋を水平回転させるためのトルクが大きくなり、年配者、子供、女性など比較的力が弱い人が蓋を開けにくくなるという不具合があった。
【0009】
これを解決すべく、従来のスナップ・オン・キャップ付きの容器の構成の内、ビードを張出部の谷部の上方において半径方向の突出量が多い大径部とし、山部の上方において半径方向の突出量の少ない小径部とするものを出願人は提案している。
【0010】
このような構成によれば、容器に蓋をしているときは、スカート部のフックが容器口部のビードの大径部に係合しているため、従来通り、容器に対してしっかりと係止された状態となる。
【0011】
一方、蓋を開けるときには、蓋を容器に対して水平回転させると、スカート部のフックが容器口部のビードの小径部に移動することとなり、係合がはずれすくなる。
【0012】
従って、少ない回転角度で蓋を開けることができ、蓋を開ける際のスカート部の変形量を少なくすることができる。ひいては、蓋を開ける際の回転トルクを少なくすることができ、年配者、子供、女性など比較的力が弱い人でも蓋を容易に開けることができるという効果が得られる。
【0013】
ところで、容器の成型時において、大径部の位置が谷部に対してずれが生じる場合がある。このようなずれが発生する原因としては、容器をガラスビンとする場合には、成形の際の口型(粗型)から胴部仕上げ型へインバートする場合に、口型が開く際にパリソンが胴部仕上げ型の中で短時間フリーとなった状態で回転することが考えられる。
【0014】
このずれは、容器の胴部が平面視円形状あるいは蓋の形状が平面視円形状であれば、大径部と谷部の位置が多少ずれていても外観上おかしくはないが、容器の胴部を平面視、多角形とし、蓋も容器の胴部の形状に合わせて平面視、多角形とした場合には、容器に蓋をし、スカート部のフックが容器口部のビードの大径部に係合した状態とすると、蓋を平面視した場合の多角形の辺と、容器を平面視した場合の多角形とが平行な状態とならず、ずれた状態となり、実用的には問題はないものの、ユーザに違和感を感じさせてしまう可能性がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、スナップ・オン・キャップ付きの容器の成形段階において、大径部の位置が谷部に対してずれが生じた場合に、容易に検出することができる検査装置および検査装置の制御方法を提供することにある。、
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、胴部および蓋が略多角形状を有し、前記蓋を閉めた状態で胴部および蓋の外形が略一致する容器であって、円形状を有する口部近傍に、前記胴部の多角形の辺の形成位置に対応して位置基準部が形成された容器の検査を行う検査装置は、前記容器における前記位置基準部の形成位置および前記容器の口部の周面に形成され、前記蓋を閉めた状態で当該蓋に設けられた凹部と係合させるための大径部の形成位置を検出する形成位置検出部と、前記位置基準部の形成位置に対する前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否かを判別する形成位置判別部と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、形成位置検出部は、容器における前記位置基準部の形成位置および前記容器の口部の周面に形成され、前記蓋を閉めた状態で当該蓋に設けられた凹部と係合させるための大径部の形成位置を検出する。
【0018】
形成位置判別部は、位置基準部の形成位置に対する大径部の形成位置の口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否かを判別する。
【0019】
この場合において、前記形成位置検出部は、前記位置基準部および前記大径部の形成範囲を抽出する形成範囲抽出部と、前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲を特定する形成範囲特定部と、特定された前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲に基づいて前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を算出する形成位置算出部と、を備えるようにしてもよい。また、前記形成位置算出部は、前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲のそれぞれについて、重心位置を算出し、当該重心位置を前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置とするようにしてもよい。
【0020】
さらに、前記形成位置判別部は、前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を仮想平面に投影した場合における、前記位置基準部の形成位置と前記大径部の形成位置との距離が所定の基準距離以内である場合に、前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であると判別するようにしてもよい。
【0021】
さらにまた、前記形成位置判別部は、前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を仮想平面に投影した場合の前記蓋の円周の接線方向における前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置の差が所定の基準量以下である場合に、前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であると判別するようにしてもよい。また、前記形成位置検出部は、前記容器に検査光を照射する投光部と、前記検査光を受光可能な位置に配置され、前記容器の撮像を行う撮像部と、前記撮像された画像の画像処理を行う画像処理部と、を備えるようにしてもよい。
【0022】
さらに、前記容器は、前記口部の先端にビードが形成され、前記ビードより下方に山部および谷部が交互に形成配置されており、前記位置基準部として、前記谷部を用いるようにしてもよい。
【0023】
さらにまた、前記所定範囲は、前記大径部の形成位置が前記多角形の辺と略平行な位置となるように設定してもよい。
【0024】
また、胴部および蓋が略多角形状を有し、前記蓋を閉めた状態で胴部および蓋の外形が略一致する容器であって、円形状を有する口部近傍に、前記胴部の多角形の辺の形成位置に対応して位置基準部が形成された容器の検査を行う検査方法は、前記容器における前記位置基準部の形成位置および前記容器の口部の周面に形成され、前記蓋を閉めた状態で当該蓋に設けられた凹部と係合させるための大径部の形成位置を検出する形成位置検出過程と、前記位置基準部の形成位置に対する前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否かを判別する形成位置判別過程と、を備えたことを特徴としている。
【0025】
この場合において、前記形成位置検出過程は、前記位置基準部および前記大径部の形成範囲を抽出する形成範囲抽出過程と、前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲を特定する形成範囲特定過程と、特定された前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲に基づいて前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を算出する形成位置算出過程と、を備えるようにしてもよい。
【0026】
また、前記形成位置算出過程は、前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲のそれぞれについて、重心位置を算出し、当該重心位置を前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置とすることを特徴としている。
【0027】
さらに、前記形成位置判別過程は、前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を仮想平面に投影した場合における、前記位置基準部の形成位置と前記大径部の形成位置との距離が所定の基準距離以内である場合に、前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であると判別するようにしてもよい。さらにまた、前記形成位置判別過程は、前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を仮想平面に投影した場合の前記蓋の円周の接線方向における前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置の差が所定の基準量以下である場合に、前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であると判別するようにしてもよい。また、前記容器は、前記口部の先端にビードが形成され、前記ビードより下方に山部および谷部が交互に形成配置されており、前記位置基準部として、前記谷部を用いるようにしてもよい。さらに、前記所定範囲は、前記大径部の形成位置が前記多角形の辺と略平行な位置となるように設定されるようにしてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0029】
図1は、実施形態の検査装置の側面図である。図2は、実施形態の検査装置の平面図である。
【0030】
検査装置100は、大別すると、搬送コンベア101と、搬送ガイドレール102,103と、検査光照射装置104と、撮像カメラ105と、検査装置本体106と、排出装置107と、ロータリーエンコーダ108と、検査位置センサ112と、を備えている。
【0031】
搬送コンベア101は、スナップ・オン・キャップ付き容器として用いられる容器1を載置した搬送部材110を徐冷がま側から後段の検査・梱包工程側に搬送する。
【0032】
搬送ガイドレール102,103は、搬送コンベア101による容器を検査が容易となる状態で案内する。
【0033】
検査光照射装置104は、容器1の背面方向から検査光Lを照射する。
【0034】
撮像カメラ105は、容器1の背面方向から検査光Lが照射され、拡散、吸収あるいは屈折している状態で、正面方向の所定角度θ上方から容器1の口部近傍を撮像する。例えば、所定角度θとしては、本実施形態では、例えば、23〜25[゜]程度としているが、容器1の形状などに基づいて適宜設定される。
【0035】
検査装置本体106は、撮像カメラ105を制御し、撮像カメラ105により撮像された容器1の口部近傍の検査画像に基づいて、対応する容器1の良品/不良品判定を行う。また、検査装置本体106には、作業者が検査画像を確認するためのディスプレイ111が設けられている。具体的には、検査装置本体は、コンピュータシステムとして構成されており、図示しないMPU、検査用制御プログラムを含む各種制御プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に格納するRAM、ハードディスクなどの外部記憶装置、各種制御用インターフェース部および各種検出用インターフェースを備えている。また、他の制御装置、製造装置あるいは検査装置との連携を図る場合には、通信インターフェースおよび通信ネットワークを介してそれらの装置と接続される。
【0036】
排出装置107は、エアノズルあるいはエアシリンダなどを備えており、検査装置本体106の制御下で、不良品の容器1を搬送コンベア101外に排出する。
【0037】
ロータリーエンコーダ108は、検査における撮像タイミングあるいは不良品の排出タイミングを検出するために用いられる。
【0038】
検査位置センサ112は、機械的スイッチあるいは光学センサにより構成され、検査における撮像タイミングを検出するために用いられる。
【0039】
次に、検査装置100の動作説明に先立ち、本実施形態の検査装置の対象となるスナップ・オン・キャップ付き容器について説明する。
【0040】
図3はスナップ・オン・キャップ付き容器の平面図である。図4は、スナップ・オン・キャップ付き容器のビード部分の断面図である。図5は、スナップ・オン・キャップ付き容器の略斜視図である。図6は、スナップ・オン・キャップ付き容器の蓋の下面図である。図7は、蓋の断面図である。
【0041】
容器1は、ガラス製であり、口部が円形に、胴部が多角形状、具体的には、概略正方形状に形成されている。口部の先端外周には環状のビード2が形成されている。このビード2の突出量は、場所により異なっている。
【0042】
ビード2の下方には、山部6および谷部7の交互に並ぶ膨らみのある張出部5が形成されている。
【0043】
山部6は胴部の隅角部上面に、谷部7は、胴部の辺部分の上面中央に設けられている。
【0044】
ビード2の突出量の大きい大径部3は、谷部7の上方に突出量の小さな小径部4は、山部6の上方に位置している。
【0045】
本実施形態では、大径部3と小径部4の突出量の差tは、0.6[mm]であり、大径部3の幅(中心角α)は12[゜]としている。
【0046】
蓋10は、平面形状が容器1の胴部と同じ多角形状である概略正方形状をなしている。蓋10は、外方に弾性的に拡がることができるスカート部11を有している。このスカート部11の内側には、ビード2に係合可能なフック12と、フック12より下方位置に形成され、張出部22の山部23と接触して、スカート部11を外方に拡げるための突起13とが一体的に形成されている。
【0047】
容器1に蓋10を被せた場合、蓋10のスカート部11のフック12が容器1の口部のビード2の大径部3に係合するので、蓋10は、容器1にしっかりと係止される。
【0048】
一方、蓋10をはずす場合は、蓋10を容器1に対して水平開店させると、蓋10のスカート部11のフック12が容器1の口部のビード2の小径部4に対向する位置に移動して係合が外れやすくなる。従って、少ない回転角度でふた10を開けることができ、蓋を開ける際に蓋10のスカート部11の変形量が少なくて済み、少ない回転トルクで蓋を開けることが可能となっている。
【0049】
次に検査装置の動作を説明する。
【0050】
本検査装置100においては、胴部および蓋10が略多角形状を有し、蓋10を閉めた状態で胴部および蓋の外形が略一致する容器1であって、円形状を有する口部近傍に、胴部の多角形の辺の形成位置に対応して位置基準部としての谷部7が形成された容器1の検査を行うに際し、容器1における谷部7(位置基準部)の形成位置および蓋10を閉めた状態で蓋10に設けられたフック12により形成される凹部と係合させるための大径部3の形成位置を検出し、谷部7(位置基準部)の形成位置に対する大径部3の形成位置の口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否か、すなわち、谷部7(位置基準部)の形成位置を基準として、大径部3の形成位置が多角形の辺と略平行な位置となっているか否かを判別している。
【0051】
まず、搬送コンベア101は、スナップ・オン・キャップ付き容器として用いられる容器1を載置した搬送部材210を、容器1が傾いたりすることにより検査の障害とならないように搬送ガイドレール102、103により案内した状態で、徐冷がま側から後段の検査・梱包工程側に向かって搬送する。この場合において、撮像カメラ105から見て容器1の背面側正面には、容器1の谷部7が位置するようにされている。このようなことが可能なのは、胴部仕上げ型内で谷部7が形成されるため、胴部仕上げ型から容器1を取り外す段階で谷部7の配置位置は容易に把握できるためのである。
【0052】
この容器1の搬送と並行して、検査光照射装置104は、容器1の背面方向から検査光Lを照射する。
【0053】
容器1の背面方向から照射された検査光Lは、容器1により拡散、吸収あるいは屈折される。
【0054】
そして、検査装置本体106は、検査位置センサ112の出力に基づいて、撮像対象の容器1が検査位置、すなわち、撮像カメラ105の正面に至ったことを検出すると、撮像カメラ105を制御して、正面方向の所定角度θ上方から容器1の口部近傍を撮像する。所定角度θとしては、本実施形態では、例えば、23〜25[゜]程度としているが、容器1の形状などに基づいて適宜設定される。
【0055】
図8に良品の容器の場合における谷部7と大径部3との関係を表す平面図を示す。また、図9に良品の容器の場合における撮像カメラ105により撮像された容器1の口部近傍の検査記録画像(2値画像)を示す。
【0056】
図8に示すように、理想的な良品の容器1の場合、谷部7の形成位置と、大径部3の形成位置とは、口部の平面視的には一致している。すなわち、容器1の口部の中心から見た谷部7の形成位置の方向と、大径部3の形成位置の方向とは、略同一方向にあることとなる。
【0057】
この検査記録画像20の左右方向中心近傍の上下方向中心部分には、大径部3に対応する画像F3が記録され、左右方向中心近傍の下部には、谷部7に対応する画像F7が記録されている。
【0058】
次に検査装置本体106は、得られた検査記録画像20上で、大径部3に対応する画像F3の位置を検出するための矩形状の第1検査ゲートG1および谷部7に対応する画像F7の位置を検出するための矩形状の第2検査ゲートG2を設定し、検査記録画像20上を走査する。より詳細には、例えば、第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG2のY軸方向(図9中、上下方向)の位置は固定で、X軸方向(図9中、左右方向:走査方向)に走査する。
【0059】
そして、検査装置本体106は、第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG7のそれぞれの領域含まれる画像に二値化処理を施し、黒点部分(=“1”)部分が最も多く含まれる場合のX軸方向の位置を大径部3あるいは谷部7の検出位置とし、当該検出位置で、第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG2の走査を終了する。
【0060】
そして、第1検査ゲートG1の重心位置X1および第2検査ゲートG2の重心位置X7をそれぞれ、大径部3の配置位置および谷部7の配置位置とする。この場合において、第1検査ゲートG1の重心位置X1および第2検査ゲートG2の重心位置X2は、処理の簡略化のため、第1検査ゲートG1の対角線の交点あるいは第2検査ゲートG2の対角線の交点としている。
【0061】
このとき、ディスプレイ111には、検査記録画像20が表示されている。
【0062】
次に検査装置本体106は、第1検査ゲートG1あるいはおよび第2検査ゲートG7のそれぞれの重心位置X1、X2を大径部3あるいは谷部7の重心位置とする。
【0063】
この場合においては、重心位置X1の座標(x1、y1)、重心位置X2の座標(x2、y2)とし、良品および不良品を識別するための基準値をTHとする。この基準値THは、重心位置X1のX座標と重心位置X2のX座標の差が基準値未満であれば良品と判断するものである。
【0064】
従って、検査記録画像20の場合においては、
|x1−x2|≒0<TH
となるので、検査装置本体106は、当該検査記録画像20に対応する容器1を良品と判断する。
【0065】
その後、良品である容器1は、搬送コンベア101により搬送されて、排出装置107に対向する位置を通過し、後段の検査・梱包工程側に向かって搬送されることとなる。
【0066】
図10に不良品の容器の場合における谷部7と大径部3との関係を表す平面図を示す。また、図11に不良品の容器の場合における撮像カメラ105により撮像された容器1の口部近傍の検査記録画像(2値画像)を示す。
【0067】
図10においては、不良の状態を明確にするため、大径部3の形成位置のずれを大きく示している。図10に示すように、不良品の容器1の場合、谷部7の形成位置と、大径部3の形成位置とは、口部の中心から見た場合、平面視的には所定角度βだけずれた位置に形成されている。すなわち、容器1の口部の中心から見た谷部7の形成位置の方向と、大径部3の形成位置の方向とは、異なる方向にあることとなる。
【0068】
検査装置本体106は、良品の場合と同様に、検査装置本体106は、第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG7のそれぞれの領域含まれる画像に二値化処理を施し、黒点部分(=“1”)部分が最も多く含まれる場合のX軸方向の位置を大径部3あるいは谷部7の検出位置とし、当該検出位置で、第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG2の走査を終了する。このとき、ディスプレイ111には、検査画像20Aが表示されている。
【0069】
次に検査装置本体106は、第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG2のそれぞれの重心位置X1、X2を大径部3あるいは谷部7の重心位置とする。
【0070】
この場合においては、重心位置X1の座標(x11、y11)、重心位置X2の座標(x12、y12)とすると、
|x1−x2|>TH
であるので、検査装置本体106は、当該検査記録画像20に対応する容器1を不良品と判断する。
【0071】
この結果、検査装置本体106は、ロータリーエンコーダ108の出力に基づいて、当該不良品と判断した容器1が排出装置107に対向する位置に至ると、排出装置107を制御し、不良品の容器1を搬送コンベア101外に排出する。
【0072】
以上の説明のように、本実施形態によれば、胴部および蓋が平面視、多角形状を有し、蓋を閉めた状態で胴部および蓋の多角形の辺が略平行状態とされるとともに、平面視、円形状を有する口部に胴部の多角形の辺に沿って谷部が設けられたスナップ・オン・キャップ付き容器である容器1の谷部7の形成位置に基づいて大径部3形成位置が多角形の辺と略平行な位置となっているか否かを容易に判別でき、容器の良品、不良品を確実かつ迅速に判別することができる。
【0073】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
以上の説明においては、良品の容器と、不良品の容器と、を第1検査ゲートG1および第2検査ゲートG2のそれぞれの重心位置X1、X2のX座標の差が基準値TH未満であるか否かに基づいて判別していたが、重心位置X1と重心位置X2との距離が基準距離を超えたか否かに基づいて判別するようにしてもよい。
【0075】
すなわち、上述の例の場合、重心位置X1と重心位置X2との距離Lは次式により表されるので、この距離Lが所定の基準距離を超えている場合には、不良品と判断する。
【0076】
L=√{(x1−x2)+(y1−y2)
また、重心位置X1を通る縦軸(Y軸に平行な直線)と、重心位置X1および重心位置X2を通る直線とのなす角度が所定角度以上であれば不良品であると判断するようにしてもよい。
【0077】
以上の説明においては、位置基準部として谷部7を用いていたが、これに限られるものではなく、山部6やリブ8など胴部の多角形の辺の形成位置に対応して形成されているものであれば、任意のものを用いることが可能である。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、胴部および蓋が略多角形状を有し、蓋を閉めた状態で胴部および蓋の外形が略一致する容器であって、円形状を有する口部近傍に、胴部の多角形の辺の形成位置に対応して位置基準部が形成された容器の検査を行う検査装置において、位置基準部の形成位置に対する前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否か、すなわち、大径部の形成位置が多角形の辺と略平行な位置となっているか否かを容易に判別でき、容器の良品、不良品を確実かつ迅速に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の検査装置の側面図である。
【図2】実施形態の検査装置の平面図である。
【図3】スナップ・オン・キャップ容器の平面図である。
【図4】スナップ・オン・キャップ容器の口部のビードの断面図である。
【図5】スナップ・オン・キャップ容器の略斜視図である。
【図6】スナップ・オン・キャップ容器の蓋の下面図である。
【図7】スナップ・オン・キャップ容器の蓋の断面図である。
【図8】良品の容器の谷部と大径部との関係を説明するための説明図である。
【図9】良品の容器に対応する検査記録画像の説明図である。
【図10】不良品の容器に対応する検査記録画像の説明図である。
【図11】不良品の容器の谷部と大径部との関係を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 容器(スナップ・オン・キャップ付き容器)
2 ビード
3 大径部
4 小径部
5 張出部
6 山部
7 谷部(位置基準部)
10 蓋
100 検査装置
101 搬送コンベア
102、103 搬送ガイドレール
104 検査光照射装置
105 撮像カメラ
106 検査装置本体
107 排出装置
108 ロータリーエンコーダ
110 搬送部材
111 ディスプレイ

Claims (7)

  1. 胴部および蓋が略多角形状を有し、前記蓋を閉めた状態で胴部および蓋の外形が略一致する容器であって、円形状を有する口部近傍に、前記胴部の多角形の辺の形成位置に対応して位置基準部が形成された容器の検査を行う検査装置において、
    前記容器における前記位置基準部の形成位置および前記容器の口部の周面に形成され、前記蓋を閉めた状態で当該蓋に設けられた凹部と係合させるための大径部の形成位置を検出する形成位置検出部と、
    前記位置基準部の形成位置に対する前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否かを判別する形成位置判別部と、
    を備えたことを特徴とする検査装置。
  2. 請求項1記載の検査装置において、
    前記形成位置検出部は、前記位置基準部および前記大径部の形成範囲を抽出する形成範囲抽出部と、
    前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲を特定する形成範囲特定部と、
    特定された前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲に基づいて前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を算出する形成位置算出部と、
    を備えたことを特徴とする検査装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の検査装置において、
    前記形成位置判別部は、前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を仮想平面に投影した場合における、前記位置基準部の形成位置と前記大径部の形成位置との距離が所定の基準距離以内である場合に、前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であると判別することを特徴とする検査装置。
  4. 請求項1または請求項2記載の検査装置において、
    前記形成位置判別部は、前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を仮想平面に投影した場合の前記蓋の円周の接線方向における前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置の差が所定の基準量以下である場合に、前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であると判別することを特徴とする検査装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検査装置において、
    前記容器は、前記口部の先端にビードが形成され、前記ビードより下方に山部および谷部が交互に形成配置されており、
    前記位置基準部として、前記谷部を用いることを特徴とする検査装置。
  6. 胴部および蓋が略多角形状を有し、前記蓋を閉めた状態で胴部および蓋の外形が略一致する容器であって、円形状を有する口部近傍に、前記胴部の多角形の辺の形成位置に対応して位置基準部が形成された容器の検査を行う検査方法において、
    前記容器における前記位置基準部の形成位置および前記容器の口部の周面に形成され、前記蓋を閉めた状態で当該蓋に設けられた凹部と係合させるための大径部の形成位置を検出する形成位置検出過程と、
    前記位置基準部の形成位置に対する前記大径部の形成位置の前記口部の周方向へのずれが所定範囲内であるか否かを判別する形成位置判別過程と、
    を備えたことを特徴とする検査方法。
  7. 請求項6記載の検査方法において、
    前記形成位置検出過程は、前記位置基準部および前記大径部の形成範囲を抽出する形成範囲抽出過程と、
    前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲を特定する形成範囲特定過程と、
    特定された前記位置基準部の形成範囲および前記大径部の形成範囲に基づいて前記位置基準部の形成位置および前記大径部の形成位置を算出する形成位置算出過程と、
    を備えたことを特徴とする検査方法。
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