JP3586058B2 - インモールドラベル容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、確実なガスバリア性を得ることができるインモールドラベル容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
インモールドラベル成形は、ブローまたは射出成形時に金型にあらかじめヒートシール層をもつラベルをセットしておき、成形時の樹脂のもつ熱でラベルのヒートシール層を成形品表面に融着させることにより、成形と同時にラベリングを行う成形方法である。
【0003】
ガスバリア性のラベルを使用したインモールドラベル容器としては、例えば、実開平5−95847号公報に開示されたものがある。このインモールドラベル容器は合成樹脂製射出成形品で有底筒形状の肉薄な容器の側部全域および底部全域に、腰が強くガスバリア性の高いラベルをインサート材として固着したものである。このような構成により、ラベルの腰の強さにより容器全体の機械的強度を高めることができ、またバリア性を高めることができる。ここで、ラベルとしては、腰の強い紙もしくは合成紙から成る本体層とガスバリア性の合成樹脂材料から成るバリア層が積層されたものが使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガスバリア性インモールドラベル容器およびその製造方法において、インモールドラベルは容器の側部に対応するとともに外面側に位置する側面ラベルと、容器の底部に対応する底面ラベルを有し、側面ラベルは大きな扇形から、この大きな扇形と同一中心を有する小さな扇形を除いた形状をなし、底面ラベルは円形状をなしている。このうち側面ラベルの両側縁が金型に当接すると側面ラベルの両側縁がめくれて側面ラベルの外面側に樹脂が流入することがある。この場合は側面ラベルが正しい位置に配置されず、このためガスバリア性に問題が生じてしまう。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ガスバリア性が高くかつ容易に製造することができるインモールドラベル容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下方に糸じり部を有する側部と、この側部の糸じり部上端内側に設けられた底部とを有するインモールドラベル容器において、側部に対応する側面ラベルを有するインモールドラベルと、このインモールドラベル表面に射出された射出樹脂とを備え、側面ラベルはその外形が大きな扇形から、この大きな扇形と同一中心を有する小さな扇形を除いた形状をなし、この側面ラベルの形状の両側縁下方部分に切欠部分が形成されていることを特徴とするインモールドラベル容器である。
【0007】
本発明によれば側面ラベルの両側縁下方部分に切欠部が形成されているので、側面ラベルを両側縁下方部分側から金型内に装着する際、側面ラベルの両側縁下方部分が金型内部に当接してこの部分がめくれることはない。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1(a)(b)に示すように、インモールドラベル容器10は下方に糸じり部11を有する円筒状側部10aと、側部10aの糸じり部11上端内側に設けられた底部10bと、側部10aの上部に設けられたフランジ部10cとを有している。
【0010】
このうち側部10aはバリア層を含むとともに外側に位置する大きな扇形から、この大きな扇形と同一中心を有する小さな扇形を除いた形状をなし、この側面ラベルの形状の側面ラベル1(図4(a))と、側面ラベル1の内側表面に射出された射出樹脂7とからなっている。また底部10bはバリア層を含む円形の底面ラベル2(図4(b))と、底面ラベル2の内側表面に射出された射出樹脂7とからなっている。このうち底面ラベル2の中央部には、ゲート穴6が形成されている。
【0011】
また側面ラベル1および底面ラベル2は金型の雌型3内に装着されるとともに、雌型3に設けられた真空吸引孔8により吸引されている。このため側面ラベル1および底面ラベル2は、容器10の側部10aおよび底部10bの外面側に各々配置されている。
【0012】
次に側面ラベル1について図4(a)により詳述する。図4(a)に示すように側面ラベル1は大きな扇形から、この大きな扇形と同一中心を有する小さな扇形を除いた形状をなし、この側面ラベルの形状をなしており、側面ラベル1の両側縁1a,1aの下方部分(図1(a)の下方側部分)に切欠部12,12が形成されている。
【0013】
この切欠部12,12は側部10aの糸じり部11に対応する部分まで延びており、このため切欠部12,12の高さhは側面ラベル1の下端から糸じり部11上端までの距離に略一致している。
【0014】
このように側面ラベル1に切欠12,12を設けることにより、側面ラベル1を雌型3内に装着する際、側面ラベル1の両側縁1a,1aの下方部分が雌型3の突起部分3aに当接してこの側面ラベル1の下方部分がめくれてしまうことがない。このため、側面1ラベルのめくれに伴って射出樹脂7が側面ラベル1の外側に回り込むことはなく、側面ラベル1を側部1aの外側位置に正しく配置することができる。
【0015】
また図1(b)に示すように、底面ラベル2はその直径が、底面ラベル2の配置面上における側部10aの外径Aより小さく、かつ底面ラベル2の配置面上における底部10bの外径Bより大きくなっている。
【0016】
すなわち
B<底面ラベル2の直径<A
となっている。
【0017】
さらに底面ラベル2の周縁部2aは、底部10bから外方へ突出するとともに下方へ降下している。
【0018】
このように底面ラベル2の直径を底部10bの外径Bより大きくすることにより、底面ラベル2を雌型3内に装着する際底面ラベル2がわずかにずれても、底面ラベル2によって容器10の底部10bを十分に覆うことができる。このため底部10bのガスバリア性を高めることができる。さらに底面ラベル2の周縁部2aが底部10bより外方へ突出して下方へ降下することにより、側部10aの糸じり部11におけるガスバリア性を向上させることができる。
【0019】
また底面ラベル2の直径を側部10aの外径Aより小さくすることにより、射出樹脂7を糸じり部11へスムースに回り込ませることができる。
【0020】
次に各部の材料について詳述する。まず射出樹脂7の材料としてポリプロピレンを用い、側面ラベル1および底面ラベル2としてポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/アルミ箔(15μm)/ポリプロピレンフィルム(60μm)の3層が順に積層されたフィルムを用いることができる。側面ラベル1および底面ラベル2は最外層である、PETフィルムに文字、絵柄等を印刷した後、接着剤を用いてバリア層であるアルミ箔をラミネートした後、最内層であるポリプロピレンフィルムを接着剤を用いてラミネートした3層フィルムから形成され所定の形状に打ち抜かれている。
【0021】
なお、容器本体となる射出樹脂の材料としてポリプロピレンを用いるとともに、側面ラベルおよび底面ラベル1,2として上記の他に、最外側から最内側へ向けて順に、以下の層構成からなるフィルムを用いてもよい。
【0022】
▲1▼ 延伸ポリプロピレンフィルム(印刷基材)(25μm)/アルミ箔(バリア層)(15μm)/ヒートシール層を有する延伸ポリプロピレンフィルム(接着層)(25μm)、
▲2▼ 延伸ポリプロピレンフィルム(印刷基材)(25μm)/酸化珪素蒸着ポリエチレン・テレフタレートフィルム(バリア層)(12μm)/ヒートシール層を有する延伸ポリプロピレンフィルム(接着層)(25μm)、
▲3▼ 未延伸ポリプロピレンフィルム(30μm)/ポリエチレン・テレフタレートフィルム(印刷基材)(12μm)/酸化珪素蒸着ポリエチレン・テレフタレートフィルム(バリア層)(12μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(接着層)(30μm)、
▲4▼ 延伸ポリプロピレンフィルム(25μm)/ポリエチレン・テレフタレートフィルム(印刷基材)(12μm)/酸化珪素蒸着ポリエチレン・テレフタレートフィルム(バリア層)(12μm)/ヒートシール層を有する延伸ポリプロピレンフィルム(接着層)(25μm)、
▲5▼ 未延伸ポリプロピレンフィルム(30μm)/ポリエチレン・テレフタレートフィルム(印刷基材)(12μm)/アルミ箔(バリア層)(9μm)/ポリエチレン・テレフタレートフィルム(12μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(接着層)(30μm)。
【0023】
一般に所定の形状に打ち抜かれた側面および底面ラベル1,2を雌型3内に配置する場合、側面および底面ラベル1,2のカールの大小が射出成形の歩留りに影響する。すなわち、側面および底面ラベル1,2のカールは、小さい方が歩留りが良好となる。
【0024】
また側面および底面ラベル1,2のカールを軽減するためには、側面および底面ラベル1,2の層構成を中央の層を中心とした対称型の層構成とすることが好ましい。
【0025】
上記▲1▼▲2▼▲5▼の層構成を有する側面および底面ラベル1,2において、中央の層を中心として対称型の層構成とすることができ、また▲3▼、▲4▼のラベル1,2もポリエチレンテレフタレートフィルム、酸化硅素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを一つのポリエチレンテレフタレートフィルムと考えると対称型の層構成となる。このため打ち抜き時においてラベル1,2のカールを軽減することができた。また▲1▼〜▲5▼の層構成を有するラベル1,2の場合、ガスバリア特性および射出樹脂との密着性はいずれも良好となる。
【0026】
次にインモールドラベル容器の製造方法を図3(a)−(f)により説明する。まず図3(a)に示すように雌型3と雄型4とからなる金型によってインモールドラベル容器10が成形され、次に雄型4が雌型3から離れて、雄型4と雌型3との間にラベル装入兼容器取り出し治具(ダミーコア)15が配置される(図3(b))。
【0027】
この場合、容器10は雄型4側に装着されており、次にダミーコア15が雄型4に装着されている容器10に接近する(図3(c))。図3(c)においてダミーコア15には、予め側面ラベル1および底面ラベル2が吸着されている。これら側面ラベル1および底面ラベル2は、後工程でダミーコア15により雌型3内に装着されるものである。
【0028】
次に図3(d)に示すように、ダミーコア15が雌型3側へ移行し、このダミーコア15の吸着部15aに吸着された容器10が雄型4から引離され、このようにして容器10の金型からの取出しが行なわれる。その後ダミーコア15が雌型3内に進入し、ダミーコア15によって吸着された側面ラベル1と底面ラベル2が雌型3内に受渡される。
【0029】
次に図3(e)に示すように、ダミーコア15が雌型3から取出され、ダミーコア15はその後容器10を吸着したまま雌型3と雄型4との間から外方へ出ていく。この場合、雌型3内の側面ラベル1と底面ラベル2は、真空吸引孔8によって吸引保持される。
【0030】
次に図3(f)に示すように、雌型3に対して雄型4が押付けられ、雌型3のゲート5から射出樹脂7が射出される。射出樹脂7は底面ラベル2のゲート穴6を通って、雌型3と雄型4との間のキャビティ内に注入される。キャビティ内の射出樹脂7は、側面ラベル1および底面ラベル2を雌型3に対して押付けるとともに、底面ラベル2の周縁部2aを降下させる。このようにしてインモールドラベル容器10が得られる。
【0031】
第2の実施の形態
次に図2(a)(b)により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0032】
図2(a)(b)に示すインモールドラベル容器は、底面ラベルが雄型側に装着されている点を除いて、図1(a)(b)に示すインモールドラベル容器と略同一である。
【0033】
図2(a)(b)において、図1(a)(b)に示すインモールドラベル容器と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
すなわち図2(a)(b)に示すように、インモールドラベル容器10は側部10aと、底部10bと、フランジ部10cとを備えている。このうち側部10aは側面ラベル1と、側面ラベル1の表面に射出された射出樹脂7とからなり、また底部10bは底面ラベル2と、底面ラベル2の表面に射出された射出樹脂7とからなっている。
【0035】
底部10bを構成する底面ラベル2は、雄型4の下面に装着され、雄型4に設けられた真空吸引孔9により吸引されている。このように底面ラベル2は雄型4の下面に装着されるため、ゲート穴6(図4(b))を設ける必要はない。また底面ラベル2はその直径が、底面ラベル2の配置面上における側部10aの外径Cより小さく、かつ底面ラベル2の配置面上における底部10bの外径Dより大きくなっている。
【0036】
すなわち
D<底面ラベルの直径<C
となっている。
【0037】
さらに底面ラベル2の周縁部2aは、底部10bより外方へ突出するとともに上方へ持上げられている。
【0038】
このように底面ラベル2の直径を底部10bの外径Dより大きくすることにより、底面ラベル2が雄型4の下面上でわずかにずれても、底面ラベル2によって容器10の底部10bを十分に覆うことができる。このため底部10bのガスバリア性を高めることができる。
【0039】
次に図2(a)(b)に示すインモールドラベル容器の製造方法について述べる。
【0040】
インモールドラベル容器の製造方法は、図3(e)に示す工程の後に、底面ラベル2を雄型4の雌型側の面に装着する工程を加えたものであり、他は図3(a)−(f)に示す製造方法と略同一である。
【0041】
すなわち側面ラベル1が装着された雌型3と底面ラベル2が装着された雄型4はその後押圧され、雌型3のゲート5から射出樹脂7が射出される。射出樹脂7は、雌型3と雄型4との間のキャビティ内に注入され、射出樹脂7は側面ラベル1を雌型3に対して押付ける。同時に射出樹脂7は底面ラベル2を雄型4に対して押付けるとともに、底面ラベル2の周縁部2aを上方へ持上げる。
【0042】
なお、本実施の形態においては底面ラベル2は雄型4に装着されるため、ダミーコア15によって側面ラベル1のみが雌型3内に装着される。
変形例
上記各実施の形態において、ゲート穴6が形成された底面ラベル2を雌型3側に装着した後、ゲート5から射出樹脂7を射出した例を示したが(図1(a)(b)参照)、ゲート穴6のない底面ラベル2を雌型3側に装着した後、ゲート5から射出樹脂7を射出してもよい。この場合は、ゲート5から射出された射出樹脂7は、底面ラベル2を雌型3側から引離して雄型4側へ押付け底面ラベル2の周縁部2aを上方へ持上げる。このようにして成形されたインモールドラベル容器10は、図2(a)(b)に示す容器に近似する。
【0043】
またゲート穴6のない底面ラベル2を雄型4側に装着した後、ゲート5から射出樹脂を射出した例を示したが(図2(a)(b)参照)、ゲート穴6を有する底面ラベル2を雄型4側に装着した後、ゲート5から射出樹脂7を射出してもよい。この場合はゲート5から射出された樹脂7はゲート穴6から雌型3と雄型4との間のキャビティ内に入り込む。その後射出樹脂7は、底面ラベル2を雌型3側へ押付けるとともに底面ラベル2の周縁部2aを下方へ降下させる。このようにして成形されたインモールドラベル容器10は、図1(a)(b)に近似する容器となる。
【0044】
さらにまた、側面ラベル1と、ゲート穴6を有する底面ラベル2とを予め連結させてカップ状ラベルを作成しておき、このカップ状ラベルを雌型3内に装着した後、ゲート5から射出樹脂7を射出してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば側面ラベルを両側縁下方部分側から金型内に装着する際、側面ラベルの両側縁下方部分が金型内部に当接してこの部分がめくれることはない。このため側面ラベルのめくれに伴なって射出樹脂が側面ラベルの外側に回り込むことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインモールドラベル容器の第1の実施の形態を示す図。
【図2】本発明によるインモールドラベル容器の第2の実施の形態を示す図。
【図3】インモールドラベル容器の製造方法を示す図。
【図4】側面ラベルおよび底面ラベルを示す図。
【符号の説明】
1 側面ラベル
2 底面ラベル
3 雌型
4 雄型
5 ゲート
6 ゲート穴
7 射出樹脂
10 インモールドラベル容器
10a 側部
10b 底部
10c フランジ部
11 糸じり部
12 切欠部
Claims (6)
- 下方に糸じり部を有する側部と、この側部の糸じり部上端内側に設けられた底部とを有するインモールドラベル容器において、
側部に対応する側面ラベルを有するインモールドラベルと、
このインモールドラベル表面に射出された射出樹脂とを備え、
側面ラベルはその外形が大きな扇形から、この大きな扇形と同一中心を有する小さな扇形を除いた形状をなし、この側面ラベルの形状の両側縁下方部分に切欠部分が形成されていることを特徴とするインモールドラベル容器。 - インモールドラベルのうち射出樹脂側表面は、ヒートシール層を有する延伸ポリプロピレンフィルムからなることを特徴とする請求項1記載のインモールドラベル容器。
- インモールドラベルは、バリア層を含むことを特徴とする請求項1または2記載のインモールドラベル容器。
- インモールドラベルは、中央の層を中心として最外側および最内側に向かって対称型の層構成を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のインモールドラベル容器。
- インモールドラベルは、底部に対応する底面ラベルを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のインモールドラベル容器。
- 切欠部は側部の糸じり部に対応する部分まで延びていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のインモールドラベル容器。
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