JP3584589B2 - 軸流ファン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪乾燥用ドライヤー等に用いられる軸流ファンに関し、軸流ファンの低騒音化を図るための構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の軸流ファンは図6に示すように構成されていた。ボス部1とボス部1から外周方向に一体に羽根2を突設した羽根車3を円筒状のハウジング4内に内装し、ハウジング4の吸い込み口5側を上流側とすると共にハウジング4の吐出口6側を下流側としたとき羽根車3より下流側にモータ7を配置し、モータ7の駆動軸8を羽根車3のボス部1の中心に連結してある。そしてモータ7を駆動することにより羽根車3を回転駆動することで吸い込み口5から空気を吸い込んで吐出口6から空気を吐出するようになっている。このとき羽根車3の羽根2の下流側の面が圧力面9となり、羽根2の上流側の面が負圧面10となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来から軸流ファンの騒音の主な原因として羽根車3周りの流れの乱れが挙げられるが、上記の従来例の軸流ファンの羽根車3周りの空気の流れが次のようになっており、騒音を発生しやすいものであった。つまり、軸流ファンにおける空気の主な流れaは側面側から見た場合、図6に示すように羽根車3の下流側の抵抗物のため軸方向と平行でなく外周方向に向くようになる。そのため、図7に示すように圧力の高い圧力面9から負圧面10へと羽根2の外周部から流れが矢印bに示すように漏れることとなり、この漏れた流れが翼端渦となって下流に流れ騒音の原因となる。またボス部1の外面が軸方向と平行な円柱状になっているが、空気の流れaは外周方向に流れているため、ボス部1の外面形状と一致せず、矢印cのような流れの乱れの原因となり、騒音となるという問題がある。
【0004】
また上記のようなボス部1周りの矢印cのような流れの乱れに対し、従来よりボス部1の軸方向と平行な断面形状を上流側程径が小さくなるテーパー状にし、空気の流れ方向とボス部1の外面形状を一致させる軸流ファンが提供されているが、次の問題がある。ボス部1の全体をテーパー状にした場合、ボス部1の周りの流れがスムーズになるが、外周方向へはむしろ流れやすくなり、特に羽根2の圧力面9より下流側をテーパー状にした場合、上記羽根2の外周部の翼端渦は減少せず、むしろ増加する傾向がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、羽根車のボス部の周りの流れをスムーズにし、また羽根の外周部からの翼端渦の発生を抑えることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明軸流ファンは、ボス部1とボス部1から外周方向に一体に羽根2を突設した羽根車3を円筒状のハウジング4内に内装し、羽根車3を回転駆動する駆動軸8をボス部1の中心に連結したものにおいて、ハウジング4の吸い込み側を上流側とすると共に吐出側を下流側とし、ボス部1の外周面をボス部1の軸方向に亙って上流側に行く程外径が小さくなるテーパー状にし、羽根車3の羽根2の下流側の面である圧力面9に対応する部分で圧力面9より下流側ではボス部1の外面をボス部1の軸方向と平行な面にして成ることを特徴とする。つまり、ボス部1の外周面をボス部1の軸方向に亙って上流側に行く程外径が小さくなるテーパー状にしたことでボス部1の外周の流れがボス部1の外面に沿い、ボス部1の周りの流れがスムーズになり、しかも羽根車3の羽根2の下流側の面である圧力面9に対応する部分で圧力面9より下流側ではボス部1の外面をボス部1の軸方向と平行な面にしたことにより、羽根2の圧力面6より下流側の部分でボス部1の周りに負圧領域が発生し、圧力面9上の流れが外周方向に流れるのを抑える力が働き、羽根2の外周部にて圧力面9から負圧面10に流れが漏れるのを減少させることができ、よって翼端渦が減少し騒音を減少できる。
【0007】
また羽根車3の下流側に羽根車3を駆動するモータ7を配置し、モータ7を保持するモータ保持部11の外面を羽根車3のボス部1のテーパーの延長線上に位置させて成ることを特徴とすることも好ましい。この場合、空気の流れが一層スムーズになり、風の流れの乱れによる騒音を低減できる。
さらに羽根車3のボス部1の上流側の先端に外面が軸方向と略平行な円柱部12を形成したことを特徴とすることも好ましい。この場合、円柱部12にて羽根車3が掴みやすく羽根車3の取り外しが容易になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
軸流ファンは、図1に示すように円筒形のハウジング4と、ハウジング4内に配置した羽根車3、羽根車3を駆動するモータ7で主体が構成されている。ハウジング4の一端は吸い込み口5となっており、吸い込み口5側が空気の流れの上流側となっている。ハウジング4の他端は吐出口6となっており、吐出口6側が空気の流れの下流側となっている。羽根車3はボス部1から外周方向に向けて複数枚の羽根2を突設して形成されており、羽根車3をハウジング4内に回転自在に内装してある。ハウジング4内で羽根車3の下流側にはモータ7を配置してあり、モータ7の駆動軸8をボス部1の中心に連結してある。このモータ7はモータ保持部11を介してハウジング4に保持してあるが、このモータ保持部11は空気の流れを整流する整流翼11aとなっている。この軸流ファンはモータ7を駆動することで羽根車3が回転駆動され、吸い込み口5から空気が吸い込まれると共に吐出口6から空気が吐出される。このとき、羽根車3の羽根2の上流側の面が圧力面9となり、羽根2の下流側の面が負圧面10となっている。図1では羽根車3から下流側に流れの抵抗となるものを示していないが、一般の軸流ファンにおいては、羽根車3と吐出口6との間に冷却物などの抵抗物が存在する。
【0009】
上記羽根車3のボス部1は図2に示すようにボス部1の外周面をボス部1の軸方向に亙って上流側に行く程外径が小さくなるテーパー状にしてある。しかも羽根2の下流側の面である圧力面9に対応する部分で圧力面9より下流側ではボス部1の外面は軸方向と平行な面にしてある。つまり、ボス部1の外面はボス部1の上流側から下流側に向けて径の大きくなるテーパー面にしてあり、羽根2の圧力面9に対応する部分で圧力面9より下流側はテーパーのない軸方向と平行な平坦面13としてある。この平坦部13は羽根2とボス部1の交わる点での径にて軸方向と平行になるように形成されている。ボス部1のテーパーの傾きは25°〜40°にするのが望ましく、最適値は下流側の圧力損失により決まる。また図1ではボス部1は直線状のテーパーになっているが、円弧面のテーパーになっていてもよい。
【0010】
軸流ファンを上記のようにした場合、負圧面10側のボス部1の外面がテーパー状になっているため、図1や図3に示すように空気の流れaがボス部1の外面に沿い、ボス部1の周りの流れがスムーズになって騒音を低減できる。また羽根2の圧力面9より下流側では図1や図4に示すように平坦面13の外周の領域Aの部分が負圧になり、圧力面9上の外周方向に向かう流れを軸方向側に引っ張る力が働き、圧力面9から負圧面10へ流れる漏れ流れ及び羽根2の外周端の翼端渦が減少され、騒音が低減できる。また上記軸流ファンの流れをスムーズにするために羽根車3の下流側に設置してあるモータ保持部11としての整流翼11aの外径をボス部1のテーパーの延長線上にくるようにするのが望ましい。さらに図1に示すようにボス部1の上流側の先端部分に軸方向と平行な円柱部12を設けてあることが望ましい。この場合、円柱部12を掴むことで羽根車3を掴みやすくして羽根車3の取り外しが容易になる。
【0011】
また図5は上記軸流ファンを毛髪乾燥用のドライヤーに応用した例を示す。ヘアードライヤーの本体ハウジング4′は円筒形をしており、本体ハウジング4′の一端の開口部が吸い込み口5′となっており、本体ハウジング4′の他端の開口部が吐出口6′となっている。本体ハウジング4′の吐出口6′には整髪用のブラシアタッチメント15が設置できるようになっている。本体ハウジング4′には上記と同様に羽根車3と、羽根車3を駆動するモータ7と、モータ7の固定と風の整流を目的としたモータ保持部11としての整流翼11aを設置してある。また本体ハウジング4′内には羽根車3の下流側でヒータ16を設置してあり、風を温風にする働きを持つようになっている。羽根車3のボス部1の外面の形状は前述せる構造と同じ構造になっている。上記のような構造のドライヤーが動作した場合、羽根車3の下流側にヒータ等の抵抗物があるため、羽根車3の羽根2の表面の流れは図1に示すように外周方向に向くが、ボス部1の外面が前述のようになっているために空気の流れがスムーズになると共に羽根2の先端部で翼端渦等が発生することなく、騒音を低減することができる。上記構造のドライヤーの場合、従来のものと比較して約1〜2dB(A)の騒音低減効果が得られた。
【0012】
【発明の効果】
本発明は叙述のようにボス部の外周面をボス部の軸方向に亙って上流側に行く程外径が小さくなるテーパー状にしているので、ボス部の外周の流れがボス部の外面に沿い、ボス部の周りの流れがスムーズになるものであり、しかも羽根車の羽根の下流側の面である圧力面に対応する部分で圧力面より下流側ではボス部の外面を軸方向と平行な面にしたので、羽根の圧力面より下流側の部分でボス部の周りに負圧領域が発生し、圧力面上の流れが外周方向に流れるのを抑える力が働き、羽根の外周部にて圧力面から負圧面に流れが漏れるのを減少させることができ、よって翼端渦が減少し騒音を減少できるものである。
【0013】
また本発明の請求項2記載の発明にあっては、羽根車の下流側に羽根車を駆動するモータを配置し、モータを保持するモータ保持部の外面を羽根車のボス部のテーパーの延長線上に位置させているので、空気の流れが一層スムーズになり、風の流れの乱れによる騒音を低減できるものである。
さらに本発明の請求項3記載の発明にあっては、羽根車のボス部の上流側の先端に外面が軸方向と略平行な円柱部を形成したので、円柱部にて羽根車が掴みやすく羽根車の取り外しが容易になるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の軸流ファンの断面図である。
【図2】同上の羽根車を示し、(a)(b)は異なる方向から見た斜視図である。
【図3】同上の負圧面の空気の流れを示す正面図である。
【図4】同上の圧力面の空気の流れを示す正面図である。
【図5】同上の実施の形態の他例のドライヤーの断面図である。
【図6】同上の従来例の断面図である。
【図7】従来例の問題を説明する要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ボス部
2 羽根
3 羽根車
4 ハウジング
8 駆動軸
9 圧力面
10 負圧面
Claims (3)
- ボス部とボス部から外周方向に一体に羽根を突設した羽根車を円筒状のハウジング内に内装し、羽根車を回転駆動する駆動軸をボス部の中心に連結した軸流ファンにおいて、ハウジングの吸い込み側を上流側とすると共に吐出側を下流側とし、ボス部の外周面をボス部の軸方向に亙って上流側に行く程外径が小さくなるテーパー状にし、羽根車の羽根の下流側の面である圧力面に対応する部分で圧力面より下流側ではボス部の外面をボス部の軸方向と平行な面にして成ることを特徴とする軸流ファン。
- 羽根車の下流側に羽根車を駆動するモータを配置し、モータを保持するモータ保持部の外面を羽根車のボス部のテーパーの延長線上に位置させて成ることを特徴とする請求項1記載の軸流ファン。
- 羽根車のボス部の上流側の先端に外面が軸方向と略平行な円柱部を形成したことを特徴とする請求項1記載の軸流ファン。
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