JP3584441B2 - ロックアップ機構付きトルクコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の変速機などに用いられるトルクコンバータに関し、さらに詳しくは、インペラとタービンとを係脱可能なロックアップ機構を有してなるロックアップ機構付きトルクコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
トルクコンバータは自動車の自動変速機などに用いられているが、トルクコンバータにインペラとタービンとを直結させるロックアップクラッチを設けることが多く、ロックアップクラッチを係合させることにより動力伝達効率を高めて燃費向上が図られている。このようなロックアップクラッチ機構として、タービンを覆ってエンジン出力軸とインペラとを繋ぐコンバータカバー(カバー部材)の内側空間内に、タービンに連結されたロックアップピストン(ピストン部材)を配設して構成されるものがある。このような構成のロックアップクラッチ機構においては、コンバータカバーの内側空間におけるロックアップピストンとタービンの背面とに囲まれたロックアップ空間内の油圧力を受けてロックアップピストンがコンバータカバーの内側面に押圧係合されてインペラとタービンが直結され、ロックアップが行われる。
【0003】
ところでこのようなロックアップ機構の作動特性がトルクコンバータ内圧の影響を受けて変化するということが分かっている。例えば、タービン羽根をタービンシェルに形成されたスリットに差し込んで折り曲げ固定する形式のトルクコンバータにおいては、スリットの隙間からトルクコンバータ内の作動油がロックアップ空間内に流入するため、このような隙間の無いトルクコンバータ(例えば、タービン羽根をタービンシェルにロー付けするタイプのトルクコンバータ)に比べて、減速時のロックアップ作動特性が向上する。これは、減速時にはコンバータ内圧が高くなって上記隙間からロックアップ空間内に作動油が流入してロックアップピストンの押圧力が高くなるためと考えられる。
【0004】
このようなことからロー付けタイプのトルクコンバータにおいてタービンシェルに連通孔を形成したトルクコンバータが考案され、実用に供されている。しかしながら、このように連通孔を形成した場合、緩加速時にタービン内圧がロックアップ空間内圧より低くなってロックアップ作動特性が逆に低下するという問題がある。
【0005】
このため、例えば、特開平5−126231号公報や、特開平8−105537号公報には、タービンシェルにロックアップ空間に連通する連通孔を形成するとともに、この連通孔にタービン側からロックアップ空間側への作動油の流れは許容するが逆の流れは抑制する一方向弁(チェックバルブ、ワンウェイバルブとも称される)機構を設けることが提案されている。また、実公平5−32687号公報には、タービンシェルにロックアップ空間に連通する連通孔を形成するとともに、この連通孔を形成する部分をタービン内側に切り起こし、減速時にタービン内に発生する流れをロックアップ空間内に導くように構成することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一方向弁機構を構成するためにはタービンにそれだけ余分な部品が必要であり、コスト高となるという問題や、トルクコンバータのタービンは高回転および高圧下で運転されるものであり、一方向弁機構の作動性および強度、耐久信頼性が低いという問題がある。また、連通孔を形成する部分をタービン内側に切り起こした構成では、減速時にタービン内に発生する流れをロックアップ空間内に導くガイドとしてある程度の機能は果たすが、その機能は小さく、却って流れを乱す要因となりトルクコンバータ特性を低下させるおそれがある。さらに、緩加速時のように減速時とは逆方向に発生する流れに対しても流れを乱して切り起こし部の内側に流れを導き、ロックアップ空間内に一部の作動油を流れ込ませるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、余分な部品が不要でシンプルな構成であり、且つ、ロックアップ機構の作動性をできる限り向上させることができるような構造を有したロックアップ機構付きトルクコンバータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するため、本発明においては、エンジン出力軸に連結されるインペラ部材(例えば、実施形態におけるインペラ11)と、変速機入力軸に連結されるタービン部材(例えば、実施形態におけるタービン12)と、固定保持されるステータ部材(例えば、実施形態におけるステータ13)と、タービン部材の背面側を覆ってインペラ部材に接続されたカバー部材(例えば、実施形態におけるコンバータカバー11a)と、インペラ部材とタービン部材とを係脱させるロックアップ機構を有してロックアップ機構付きトルクコンバータが構成される。そして、ロックアップ機構が、カバー部材に囲まれた空間内にカバー部材の内側面に対向して配設されるとともにタービン部材に連結されたピストン部材(例えば、実施形態におけるロックアップピストン15)を備え、カバー部材に囲まれた空間におけるピストン部材とタービン部材の背面とに囲まれたロックアップ空間(例えば、実施形態におけるロックアップ締結室17)内の油圧力を受けてピストン部材がカバー部材の内側面に押圧係合されてロックアップが行われるように構成される。
【0009】
その上で、タービン部材に、タービン内に生じる作動油の所定方向の流れに向かって開口してタービン内部とロックアップ空間とを繋げて所定方向の流れをロックアップ空間内に導く連通孔を形成している。さらに、この連通孔は所定方向の流れと逆の作動油の流れに対しては、この逆の流れが連通孔によって乱されることが少なく、且つ連通孔を通ってロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成されている。
【0010】
このような構成のトルクコンバータにおいては、タービン部材に形成された連通孔は所定方向の作動油の流れに向かって開口するため、この開口からタービン内の作動油がロックアップ空間内に効率よく導かれ、この所定方向の流れが生じている状態でのロックアップクラッチの作動特性が向上する。なお、これと逆方向の流れに対してこの流れが乱されることなく且つロックアップ空間内に向かうことを抑制するように連通孔が形成されているため、この逆方向の流れが生じている状態で、ロックアップ空間内に作動油が流れこんでロックアップクラッチ作動特性が低下するおそれもない。
【0011】
このトルクコンバータにおいて、上記連通孔を、減速時にタービン内に生じる作動油の減速側方向の流れに向かって開口して減速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、減速側方向の流れと逆の作動油の流れが乱されることなく且つ連通孔を通ってロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成するのが好ましい。
【0012】
このような構成のトルクコンバータにおいては、タービン部材に形成された連通孔(実施形態における減速用連通孔)は減速時に作動油の流れに向かって開口するため、この開口からタービン内の作動油がロックアップ空間内に効率よく導かれ、減速時におけるロックアップクラッチの作動特性が向上する。減速時にはロックアップクラッチを係合させてエンジンブレーキ作用を行わせることが要求されるが、このようにロックアップクラッチの作動特性が向上するので、エンジンブレーキ作用が迅速に且つ効率よく得られる。なお、加速時にはタービン内に減速側方向の流れと逆の流れが発生するが、この流れに対して上記開口を通って作動油がロックアップ空間内に向かうことが抑制されるようになっているため、加速時のトルクコンバータ特性を損ねるおそれがない。
【0013】
上記連通孔(実施形態における減速用連通孔)の開口を、ステータ部材の内面の半径方向内径側底部から外径側に向かってタービン部材を構成するタービン羽根の屈曲点に至る範囲内に設けるのが好ましい。この範囲においては、減速時にタービン内圧が高くなってタービン側からロックアップ空間内への作動油の流れが促進されるため、減速時のロックアップ作動特性がより向上する。また、この範囲は加速時にタービン内圧の内では比較的低めの圧となる範囲であり、この範囲内に連通孔を設けても加速時のトルクコンバータの性能にあまり影響を与えない。すなわち、加速時にトルクコンバータの性能に影響することない範囲に連通孔が設けられる。これにより、連通孔が加速時のトルクコンバータの性能に影響を及ぼすことがなく、且つ、この連通孔により減速時でのロックアップクラッチの作動特性が向上する。
【0014】
以上のような基本構成を有する第1の本発明に係るトルクコンバータは、上記連通孔を、緩加速時にタービン内に生じる作動油の緩加速側方向の流れに向かって開口して緩加速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、緩加速側方向の流れと逆の作動油の流れがロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成される。
【0015】
このような構成のトルクコンバータにおいては、タービン部材に形成された連通孔(実施形態における緩加速用連通孔)は緩加速時に作動油の流れに向かって開口するため、この開口からタービン内の作動油がロックアップ空間内に効率よく導かれ、緩加速時におけるロックアップクラッチの作動特性が向上する。緩加速時にはロックアップクラッチを係合させて動力伝達効率を向上させることが要求されるが、このようにロックアップクラッチの作動特性が向上するので、緩加速時におけるロックアップクラッチの係合が迅速に行われる。なお、減速時にはタービン内に緩加速側方向の流れと逆の流れが発生するが、この流れに対して上記開口を通って作動油がロックアップ空間内に向かうことが抑制されるようになっているため、減速時のトルクコンバータ特性を損ねるおそれがない。
【0016】
上記連通孔(実施形態における緩加速用連通孔)の開口を、タービン部材の内面の半径方向外径側端部から内径側に向かってタービン部材を構成するタービン羽根の屈曲点に至る範囲内に設けるのが好ましい。この範囲においては、緩加速時にタービン内圧が高くなってタービン側からロックアップ空間内への作動油の流れが促進されるため、緩加速時のロックアップ作動特性がより向上する。また、この範囲は減速時にタービン内圧が比較的低めの圧となる範囲であり、この範囲内に連通孔を設けても減速時のトルクコンバータの性能にあまり影響を与えない。すなわち、減速時でのトルクコンバータの性能に影響することない範囲に連通孔が設けられる。これにより、連通孔が減速時のトルクコンバータの性能に影響を及ぼすことがなく、且つ、この連通孔により緩加速時でのロックアップクラッチの作動特性が向上する。
【0017】
さらに、以上のような基本構成を有する第2の本発明に係るトルクコンバータは、上記連通孔を、減速時にタービン内に生じる作動油の減速側方向の流れに向かって開口して減速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、減速側方向の流れと逆の作動油の流れがロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成された減速用連通孔と、緩加速時にタービン内に生じる作動油の緩加速側方向の流れに向かって開口して緩加速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、緩加速側方向の流れと逆の作動油の流れがロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成された緩加速用連通孔とから構成される。
【0018】
このように構成すれば、減速時および緩加速時のいずれの場合にもロックアップ係合特性を向上させることができ、且ついずれの場合にもトルクコンバータ特性を損なうおそれがない。
【0019】
なお、この場合に、減速用連通孔および緩加速用連通孔を、タービン内においてタービン羽根により仕切られて形成される複数の流路における異なる流路内に位置して設けるのが好ましい。これにより、同一流路内に両連通孔を設けた場合、互いの連通孔が流路内の流れを相乗的に乱しあうおそれがあるが、異なる流路内に配設することによりこのようなおそれがなくなり、トルクコンバータの性能を維持することができる。
【0020】
本発明の構成の場合には、特に、タービンに開口方向を特定した連通孔を設けるというシンプルな構成であるため、製造コストが低く、且つ強度および耐久信頼性が高いという利点があり、その上で、減速時のロックアップ作動特性や、緩加速時のロックアップ作動特性を向上させることができるという利点がある。また、本発明では、この連通孔をタービンシェル自体にプレス一体成型したり、連通孔および羽根を有したタービンを鋳造により一体成型したりすることも可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係るロックアップ機構付きトルクコンバータTCを図1に示している。トルクコンバータTCは、コンバータカバー11aを介してエンジン出力軸(図示せず)と繋がるインペラ11と、インペラ11と対向して配設されるとともにタービンハブ12aを介して変速機入力軸(図示せず)と繋がるタービン12と、固定保持されるステータ13とから構成される。タービン12の背面とコンバータカバー11aの内面とに囲まれた空間内にロックアップピストン15が配設されてロックアップ機構が構成されている。この空間はロックアップピストン15により二分割され、コンバータカバー11aとロックアップピストン15に囲まれたロックアップ解放室16と、タービン12とロックアップピストン15に囲まれたロックアップ締結室17とに分けられている。なお、このロックアップピストン15はタービンハブ12aに対して軸方向移動可能で、且つタービンハブ12aと一体回転するように取り付けられている。
【0022】
トルクコンバータTC内は、ロックアップ油入口16aおよびコンバータ油入口17aから供給される作動油が満たされ、エンジンによりインペラ11が回転されるときに発生する作動油の動圧を受けてタービン12が回転駆動される。このとき、インペラ11、タービン12およびステータ13の羽根の作用により、インペラ11からのトルクが増幅されてタービン12に伝達されるが、流体を介する動力伝達であるため、インペラ11とタービン12とが同一回転するような運転条件下においてもある程度の動力伝達ロスが生じる。このような動力伝達ロスを抑えるため、インペラ11とタービン12とが同一回転するような運転条件下で、両者を機械的に直結させて一体回転させるためにロックアップ機構が設けられている。
【0023】
ロックアップ機構の作動は、ロックアップ油入口16aおよびコンバータ油入口17aから供給される作動油圧を制御して、ロックアップ解放室16とロックアップ締結室17内の油圧を制御することにより行われる。例えば、ロックアップ解放室16内の油圧を低下させることによりロックアップ締結室17内の油圧によりロックアップピストン15をコンバータカバー11aの内面に押しつけ、ロックアップピストン15の側面に設けられたクラッチ摩擦材16aとコンバータカバー11aの内面との摩擦によりロックアップピストン15とコンバータカバー11aとを結合させる。この結果、インペラ11とタービン12が係合されて一体回転するロックアップ作動状態となる。これとは逆に、ロックアップ油入口16aからロックアップ解放室16に作動油を供給してロックアップ解放室16内の油圧をロックアップ締結室17内の油圧より高くすると、ロックアップピストン15はコンバータカバー11aの内面から離れてロックアップ解放状態となり、インペラ11とタービン12とは独立して回転可能となり、トルクコンバータTCが作動する状態となる。
【0024】
このように、ロックアップ油入口16aおよびコンバータ油入口17aから供給される作動油圧を制御することにより、ロックアップピストン15とコンバータカバー11aの内面との接触を制御し、ロックアップを作動させたり、解放させたり、さらには、部分係合させたり(これをロックアップクラッチのスリップ制御と称する)することができる。このようなロックアップ制御を行うために、ロックアップ制御装置CUが設けられている。
【0025】
ロックアップ制御装置CUは、オイルタンク6内の作動油を供給する油圧ポンプ5と、油圧ポンプ5から供給される供給圧を調整する供給圧調整手段4と、供給圧調整手段4により調圧された作動油をロックアップ油入口16aおよびコンバータ油入口17aに供給する制御を行う油圧回路切替手段3と、ロックアップ油入口16aからロックアップ解放室16に供給される作動油圧を制御する締結力調整手段2と、締結力調整手段2の作動を制御する信号圧を供給する信号圧発生手段1とを備えて構成される。この構成のロックアップ制御装置CUによれば、ロックアップ解放室16内の油圧を締結力調整手段2により調圧制御し、ロックアップ締結室17内の油圧を供給圧調整手段4により調圧制御し、且つ、油圧回路切替手段3による供給油圧の切替制御することにより、ロックアップクラッチの係合作動制御が行われる。
【0026】
以上のように構成されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータTCにおいて、ロックアップクラッチの係合特性を向上させるため、タービン12の外側シェル12bにトルクコンバータ内部空間とロックアップ締結室17とを連通させる減速用連通孔18および緩加速用連通孔19が設けられている。タービン12の内部形状を図2に示しており、この図から分かるように、タービン12は外側シェル12bと内側シェル12dとの間に複数のタービン羽根12cが設けられて構成されており、ここではタービン羽根12cはロー付けされて取り付けられている。
【0027】
減速用連通孔18は、内径側におけるタービン羽根12cの間に位置してプレス成形により外側シェル12bと一体に形成されている。また、緩加速用連通孔19は、外径側におけるタービン羽根12cの間に位置してプレス成形により外側シェル12bと一体に形成されている。なお、ここでは、減速用連通孔18と緩加速用連通孔19とを、タービン12におけるタービン羽根12cに挟まれて形成される複数の流路のうちの異なる流路に形成されているが、同一流路内に両連通孔18,19を形成しても良い。
【0028】
減速用連通孔18は、外側シェル12bを内方にプレス成形されて、盛り上がり部18bを有するとともに内径方向に開口する開口部18aを有して、例えば、図4に示すような形状に形成され、盛り上がり部18bの外面側において開口部18aからロックアップ締結室17に至る連通孔が形成されている。また、緩加速用連通孔19も同様に、外側シェル12bを内方にプレス成形されて、盛り上がり部19bを有するとともに内径方向に開口する開口部19aを有して、例えば、図4に示すような形状に形成され、盛り上がり部19bの外面側において開口部19aからロックアップ締結室17に至る連通孔が形成されている。
【0029】
図3にトルクコンバータTCとタービン12内における作動油の流れを示しており、作動油は減速時には矢印B方向に流れ、加速時(緩加速時を含む)には矢印A方向に流れる。ここで、減速用連通孔18の開口部18aは図示のように減速時に発生する矢印B方向の流れに対向するように形成されており、減速時に発生する流れにより作動油が開口部18a内に導かれロックアップ締結室17内に流れ込む。このため、減速時におけるロックアップクラッチの作動特性が向上する。このような矢印B方向の流れに対して、緩加速用連通孔19の開口部19aは下流側に開口しており、且つ盛り上がり部19bは図4から分かるように下流に向かって流線型となる形状をしている。このため、盛り上がり部19bが矢印B方向の流れを乱すことがない。
【0030】
緩加速用連通孔19の開口部19aは図示のように緩加速時に発生する矢印A方向の流れに対向するように形成されており、緩加速時に発生する流れにより作動油が開口部19a内に導かれロックアップ締結室17内に流れ込む。このため、緩加速時におけるロックアップクラッチの作動特性が向上する。このような矢印A方向の流れに対して、減速用連通孔18の開口部18aは下流側に開口しており、且つ盛り上がり部18bは図4から分かるように下流に向かって流線型となる形状をしている。このため、盛り上がり部18bが矢印A方向の流れを乱すことがない。
【0031】
ここで、減速時および緩加速時におけるトルクコンバータ内の圧力分布を考える。まず、緩加速を含む加速時には、タービン内におけるタービン羽根12cの屈曲点Pより外径側の領域であるハッチング領域F内における内圧が、これより内側の領域内の内圧より高圧となる。一方、減速時には、ハッチング領域F内の内圧がこれより内側の領域の内圧より低圧となる。このようなことに鑑みれば、減速用連通孔18は、ハッチング領域Fを避けたこれより内側の領域に設けるのが好ましい。一方、緩加速用連通孔19は、ハッチング領域F内に設けるのが好ましい。なお、図3においては、タービン内の一つの流路にのみハッチング領域Fを示しているが、全ての流路内にハッチング領域Fが設定される。
【0032】
ハッチング領域Fは、タービン内におけるタービン羽根12cの屈曲点Pより外径側の領域であり、屈曲点半径R2からタービン羽根最外周半径R1までの領域である。このことから分かるように、減速用連通孔18は屈曲点半径R2からステータ底部半径R3に至る領域内に形成され、緩加速用連通孔19は屈曲点半径R2からタービン羽根最外周半径R1までの領域内に形成される。
【0033】
上記連通孔18,19の位置とロックアップ作動特性との関係について、図5および図6を参照して説明する。図5には、緩加速用連通孔19の位置を半径比で横軸に示し、各対応位置に緩加速用連通孔19を形成したときのロックアップ作動時間を縦軸に示している。線L0は、単なる貫通孔をロックアップ時間が最も短くなるタービンの最適位置に形成した場合のロックアップ作動時間を示し、線L1は緩加速用連通孔19を対応する位置に形成した場合でのロックアップ作動時間を示している。なお、半径比が0.0の位置がタービン羽根12cの最内径位置を意味し、0.5が半径方向中央位置を意味し、1.0がタービン羽根12cの最外径位置を意味する。
【0034】
図5から分かるように、緩加速用連通孔19はタービンの外径側に設けるほど、ロックアップ作動時間は短くなる。そして、緩加速用連通孔19の位置が、内径側に移動するに応じてロックアップ作動時間は長くなり、半径比0.55近傍において単なる貫通孔の場合と同等となり、これより内径側になると単なる貫通孔の場合より長くなる。なお、半径比0.55の位置はタービン羽根12cの屈曲点Pの近傍であり、このことから分かるように、緩加速用連通孔19は、図3におけるハッチング領域Fに形成するのが好ましい。より好ましくは、半径比0.55〜1.00の領域に形成するのが良い。
【0035】
一方、図6には、減速用連通孔18の位置を半径比で横軸に示し、各対応位置に減速用連通孔18を形成したときのロックアップ作動時間を縦軸に示している。線L0は、単なる貫通孔をロックアップ時間が最も短くなるタービンの最適位置に形成した場合のロックアップ作動時間を示し、線L2は減速用連通孔18を対応する位置に形成した場合でのロックアップ作動時間を示している。
【0036】
図6から分かるように、減速用連通孔18はタービンの内径側に設けるほど、ロックアップ作動時間は短くなる。そして、減速用連通孔18の位置が、外径側に移動するに応じてロックアップ作動時間は長くなり、半径比0.65近傍において単なる貫通孔の場合と同等となり、これより外径側になるとロックアップ作動時間は急激に長くなる。半径比0.65の位置がタービン羽根12cの屈曲点Pの近傍であり、このことから分かるように、減速用連通孔18は、図3におけるハッチング領域Fより内径側の領域に形成するのが好ましい。より好ましくは、半径比0.0〜0.65の領域に形成するのが良い。
【0037】
以上のような形状の減速用および緩加速用連通孔18,19を上記のように形成した場合と、従来のように単なる貫通孔(盛り上がり部18bの無いフラットな貫通孔)をタービンシェルに設けた場合とのロックアップ作動特性の相違についての実験結果を図7および図8に示す。図7には緩加速時のロックアップ作動特性を示し、図8には減速時でのロックアップ作動特性を示す。
【0038】
図7において、線a1が単なる緩通孔のみの場合の特性を示し、線a2が減速用連通孔18のみの場合の特性を示し、線a3が減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに形成した場合の特性を示す。この図から分かるように、単なる貫通孔もしくは減速用連通孔18のみの場合には、入力回転数が大きい領域においてロックアップ作動時間が長くなるが、減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに形成した場合にはほぼ全域においてロックアップ作動時間を短くすることができる。
【0039】
一方、図8において、線b1が単なる緩通孔のみの場合の特性を示し、線b2が減速用連通孔18のみの場合の特性を示し、線b3が減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに形成した場合の特性を示す。この図から分かるように、単なる貫通孔のみの場合より、減速用連通孔18のみを設けた場合や、減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに形成した場合の方がロックアップ作動時間を短くすることができる。
【0040】
次に、タービンに連通孔を設けない場合(線c1)、単なる緩通孔を設けた場合(c2)、減速用連通孔18のみを設けた場合(c3)、減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに設けた場合(c4)について、トルクコンバータの速度比とロックアップ作動時間との関係を求め、これを図9に示している。
【0041】
図9から分かるように、連通孔が無い場合には、線c1で示すように、減速時のロックアップ作動時間は短いのであるが、緩加速時におけるロックアップ作動時間が長くなる。単なる貫通孔が形成された場合には、線c2で示すように、速度比0.9近傍においてロックアップ作動時間が長くなり、且つ速度比1.1以上となる領域においてもロックアップ作動時間が長くなる。
【0042】
一方、減速用連通孔18を設けた場合には、線c3で示すように、単なる貫通孔を有する場合に比べてロックアップ作動時間が大幅に短縮される。但し、速度比0.9近傍および1.1以上の領域においてはまだ若干ロックアップ作動時間が長くなる傾向がある。これに対して、減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに設けた場合には、線c4で示すように、速度比0.9近傍でのロックアップ作動時間が短くなり、全体として良好なロックアップ作動特性を得ることができる。
【0043】
減速用連通孔18および緩加速用連通孔19をともに設ける場合、図2および図3に示すように、タービン内におけるタービン羽根により仕切られて形成された複数の流路における異なる流路に、減速用連通孔18および緩加速用連通孔19を別々に設けても良く、また、同一の流路内に減速用連通孔18および緩加速用連通孔19を設けても良い。但し、同一の流路内に設けた場合、盛り上がり部が流れを乱しやすく、異なる流路に設ける方が好ましい。
【0044】
同一の流路内に減速用連通孔18および緩加速用連通孔19を設けた場合、これら連通孔18,19は盛り上がり部18b,19bを有しているため、流路内を流れる高速の油流が盛り上がり部18b,19bに衝突する際に発生する剥離等による流体損失が大きくなる。このため、連通孔18,19が設定された流路と、これら連通孔が設けられていない流路とではタービン出口部の圧力低下量が相違する。この結果、タービン出口部の圧力が相違し、連通孔が設定された流路と設定されていない流路とが近接している場合、出口部において連通孔が設定されていない側から設定されている側に流れが曲げられるようになる。このような流れの影響で、タービン出口から流れ出た油流はステータに大きな迎え角で流入するようになり、トルクコンバータの伝達効率が低下する。このようなことに鑑みれば、タービン内におけるタービン羽根により仕切られて形成された複数の流路における異なる流路に、減速用連通孔18および緩加速用連通孔19を別々に設けるのが望ましい。
【0045】
また、緩加速用連通孔19については、図10(A),(B),(C)に示すように、タービン外側シェル12bの外周端部に曲げ加工を施して緩加速用連通孔19を形成しても良い。
【0046】
以上のように、減速用および緩加速用連通孔18,19を形成する場合における定性的な向きおよび位置は分かるが、実際のトルクコンバータを設計するに際しては、具体的にどこに連通孔18,19を設けるかを特定する必要がある。トルクコンバータの単体性能、断面(トーラス)形状、トルクコンバータ運転状態、作動油温度等によってロックアップクラッチの応答性は変化するため、連通孔18,19の最適設定位置はこれらを考慮する必要があるが、これを実際に実験して確認したのでは膨大な工数が必要となる。このようなことから、本例では連通孔18,19の最適設定位置を計算により求めており、その方法を以下に説明する。
【0047】
発明者らの研究によれば、ロックアップ作動特性に影響を与える因子としては、ロックアップ作動油圧以外に、タービンシェル内面に発生する圧力の大きさによりロックアップ解放室16および締結室17の油圧差を変化させ得る圧力干渉が発生し、この圧力干渉によってロックアップピストン15の押圧力(推力)が増減するため、作動遅れが発生するということが分かった。そこで、このようなロックアップピストン15へ作用する解放側の押圧力を数値化することによりロックアップクラッチの作動遅れの予測を可能とする計算手法を以下に示すように考え出した。
【0048】
本計算手法においては、ロックアップピストンの解放側押圧力を数値化するために、数値流体ソフトを用い、Navier−Stokes の回転座標系方程式を解くことで、ロックアップ締結室および解放室の圧力分布を直接計算し、ロックアップクラッチ機構各部に発生する押圧力(軸方向推力)を算出する。数値流体ソフトを用いてトルクコンバータの特性を予測する計算手法は従来から存在するが、これらは計算対象をインペラ、タービンおよびステータのみとし、またトルクコンバータ全体を回転する閉空間として扱っていたため、ロックアップピストンの解放側押圧力を算出できなかった。
【0049】
本計算手法では、図11に示すように、「ロックアップクラッチ周辺および作動油の流入出部を含めた計算用メッシュの設定」を行うとともに、「作動油の流入出条件の追加」を行ってロックアップピストンの解放側押圧力の算出を可能とした。図11に示すにように、本例では、計算時間短縮のため、計算対象をインペラ、タービン、ステータの羽根一枚分の空間をメッシュ化しているが、トルクコンバータ内部の全空間をメッシュ化して計算することも可能である。また、本例においては、乱流モデルに標準κ−εモデル、解析アルゴリズムとしてSIMPLE法を使用したが、求める計算精度、収束性等を考慮すれば、他のモデルの選択も可能である。
【0050】
計算の手順としては、設定すべき連通孔の形状、諸元(例えば、設定半径、個数、貫通孔面積等)を反映した計算格子を作成後、ロックアップクラッチ周辺の圧力分布の計算結果を用い、押圧力を求める。本計算手法を用いれば、設定すべき連通孔の形状、諸元において、トルクコンバータ単体性能、断面(トーラス)形状、トルクコンバータ運転状態、作動油温度等の相違に対応して、それぞれロックアップクラッチの解放側押圧力が計算できるため、目標とするロックアップ作動応答性を達成できる連通穴の位置、形状および諸元の設定が可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、タービン部材に、タービン内に生じる作動油の所定方向の流れに向かって開口してタービン内部とロックアップ空間とを繋げて所定方向の流れをロックアップ空間内に導く連通孔を形成し、この連通孔は所定方向の流れと逆の作動油の流れに対しては、この逆の流れが連通孔によって乱されることが少なく、且つ連通孔を通ってロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成されている。このため、このような構成のトルクコンバータにおいては、タービン部材に形成された連通孔は所定方向の作動油の流れに向かって開口するため、この開口からタービン内の作動油がロックアップ空間内に効率よく導かれ、この所定方向の流れが生じている状態でのロックアップクラッチの作動特性が向上する。なお、これと逆方向の流れに対してこの流れが乱されることなく且つロックアップ空間内に向かうことを抑制するように連通孔が形成されているため、この逆方向の流れが生じている状態で、ロックアップ空間内に作動油が流れこんでロックアップクラッチ作動特性が低下するおそれもない。
【0052】
本発明のトルクコンバータにおいて、上記連通孔を、減速時にタービン内に生じる作動油の減速側方向の流れに向かって開口して減速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、減速側方向の流れと逆の作動油の流れが乱されることなく且つ連通孔を通ってロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成するのが好ましい。
【0053】
このような構成のトルクコンバータにおいては、タービン部材に形成された連通孔(実施形態における減速用連通孔)は減速時に作動油の流れに向かって開口するため、この開口からタービン内の作動油がロックアップ空間内に効率よく導かれ、減速時におけるロックアップクラッチの作動特性が向上する。減速時にはロックアップクラッチを係合させてエンジンブレーキ作用を行わせることが要求されるが、このようにロックアップクラッチの作動特性が向上するので、エンジンブレーキ作用が迅速に且つ効率よく得られる。なお、加速時にはタービン内に減速側方向の流れと逆の流れが発生するが、この流れに対して上記開口を通って作動油がロックアップ空間内に向かうことが抑制されるようになっているため、加速時のトルクコンバータ特性を損ねるおそれがない。
【0054】
上記連通孔(実施形態における減速用連通孔)の開口を、ステータ部材の内面の半径方向内径側底部から外径側に向かってタービン部材を構成するタービン羽根の屈曲点に至る範囲内に設けるのが好ましい。この範囲においては、減速時にタービン内圧が高くなってタービン側からロックアップ空間内への作動油の流れが促進されるため、減速時のロックアップ作動特性がより向上する。また、この範囲は加速時にタービン内圧の内では比較的低めの圧となる範囲であり、この範囲内に連通孔を設けても加速時のトルクコンバータの性能にあまり影響を与えない。すなわち、加速時にトルクコンバータの性能に影響することない範囲に連通孔が設けられる。これにより、連通孔が加速時のトルクコンバータの性能に影響を及ぼすことがなく、且つ、この連通孔により減速時でのロックアップクラッチの作動特性が向上する。
【0055】
本発明のトルクコンバータにおいて、上記連通孔を、緩加速時にタービン内に生じる作動油の緩加速側方向の流れに向かって開口して緩加速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、緩加速側方向の流れと逆の作動油の流れがロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成しても良い。
【0056】
このような構成のトルクコンバータにおいては、タービン部材に形成された連通孔(実施形態における緩加速用連通孔)は緩加速時に作動油の流れに向かって開口するため、この開口からタービン内の作動油がロックアップ空間内に効率よく導かれ、緩加速時におけるロックアップクラッチの作動特性が向上する。緩加速時にはロックアップクラッチを係合させて動力伝達効率を向上させることが要求されるが、このようにロックアップクラッチの作動特性が向上するので、緩加速時におけるロックアップクラッチの係合が迅速に行われる。なお、減速時にはタービン内に緩加速側方向の流れと逆の流れが発生するが、この流れに対して上記開口を通って作動油がロックアップ空間内に向かうことが抑制されるようになっているため、減速時のトルクコンバータ特性を損ねるおそれがない。
【0057】
上記連通孔(実施形態における緩加速用連通孔)の開口を、タービン部材の内面の半径方向外径側端部から内径側に向かってタービン部材を構成するタービン羽根の屈曲点に至る範囲内に設けるのが好ましい。この範囲においては、緩加速時にタービン内圧が高くなってタービン側からロックアップ空間内への作動油の流れが促進されるため、緩加速時のロックアップ作動特性がより向上する。また、この範囲は減速時にタービン内圧が比較的低めの圧となる範囲であり、この範囲内に連通孔を設けても減速時のトルクコンバータの性能にあまり影響を与えない。すなわち、減速時でのトルクコンバータの性能に影響することない範囲に連通孔が設けられる。これにより、連通孔が減速時のトルクコンバータの性能に影響を及ぼすことがなく、且つ、この連通孔により緩加速時でのロックアップクラッチの作動特性が向上する。
【0058】
さらに、本発明のトルクコンバータにおいて、上記連通孔を、減速時にタービン内に生じる作動油の減速側方向の流れに向かって開口して減速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、減速側方向の流れと逆の作動油の流れがロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成された減速用連通孔と、緩加速時にタービン内に生じる作動油の緩加速側方向の流れに向かって開口して緩加速側方向の流れをロックアップ空間内に導くとともに、緩加速側方向の流れと逆の作動油の流れがロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成された緩加速用連通孔とから構成するのが好ましい。
【0059】
このように構成すれば、減速時および緩加速時のいずれの場合にもロックアップ係合特性を向上させることができ、且ついずれの場合にもトルクコンバータ特性を損なうおそれがない。
【0060】
なお、この場合に、減速用連通孔および緩加速用連通孔を、タービン内においてタービン羽根により仕切られて形成される複数の流路における異なる流路内に位置して設けるのが好ましい。これにより、同一流路内に両連通孔を設けた場合、互いの連通孔が流路内の流れを相乗的に乱しあうおそれがあるが、異なる流路内に配設することによりこのようなおそれがなくなり、トルクコンバータの性能を維持することができる。
【0061】
本発明の構成の場合には、特に、タービンに開口方向を特定した連通孔を設けるというシンプルな構成であるため、製造コストが低く、且つ強度および耐久信頼性が高いという利点があり、その上で、減速時のロックアップ作動特性や、緩加速時のロックアップ作動特性を向上させることができるという利点がある。また、本発明では、この連通孔をタービンシェル自体にプレス一体成型したり、連通孔および羽根を有したタービンを鋳造により一体成型したりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロックアップ機構付きトルクコンバータの断面図およびロックアップ制御装置構成を示すブロック図である。
【図2】上記トルクコンバータを構成するタービンの形状を示す部分斜視図である。
【図3】上記トルクコンバータの構成を示す断面図およびタービンの概略形状を示す正面概略図である。
【図4】上記タービンに形成される連通孔の形状例を示す斜視図である。
【図5】上記タービンに形成される緩加速用連通孔の位置とロックアップ作動時間との関係を示すグラフである。
【図6】上記タービンに形成される減速用連通孔の位置とロックアップ作動時間との関係を示すグラフである。
【図7】従来および本発明のタービンを用いた場合での、緩加速時における入力回転数とロックアップ作動時間との関係を示すグラフである。
【図8】従来および本発明のタービンを用いた場合での、減速時における入力回転数とロックアップ作動時間との関係を示すグラフである。
【図9】従来および本発明のタービンを用いた場合での、トルクコンバータ速度比とロックアップ作動時間との関係を示すグラフである。
【図10】本発明に係るトルクコンバータにおいて、タービン外周端部に形成される緩加速用連通孔の形状例を示す斜視図である。
【図11】ロックアップクラッチの推力計算のためのメッシュ化例を示す説明図である。
【符号の説明】
TC トルクコンバータ
11 インペラ
12 タービン
13 ステータ
15 ロックアップピストン
16 ロックアップ解放室
17 ロックアップ締結室
18 減速用連通孔
19 緩加速用連通孔
Claims (4)
- エンジン出力軸に連結されるインペラ部材と、変速機入力軸に連結されるタービン部材と、固定保持されるステータ部材と、前記タービン部材の背面側を覆って前記インペラ部材に接続されたカバー部材と、前記インペラ部材と前記タービン部材とを係脱させるロックアップ機構とを有してなるロックアップ機構付きトルクコンバータにおいて、
前記ロックアップ機構が、前記カバー部材に囲まれた空間内に前記カバー部材の内側面に対向して配設されるとともに前記タービン部材に連結されたピストン部材を備え、前記カバー部材に囲まれた空間における前記ピストン部材と前記タービン部材の背面とに囲まれたロックアップ空間内の油圧力を受けて前記ピストン部材が前記カバー部材の内側面に押圧係合されてロックアップが行われるように構成され、
前記タービン部材に、前記タービン内に生じる作動油の所定方向の流れに向かって開口して前記タービン内部と前記ロックアップ空間とを繋げて前記所定方向の流れを前記ロックアップ空間内に導く連通孔を形成し、
前記連通孔が、緩加速時に前記タービン内に生じる作動油の緩加速側方向の流れに向かって開口して前記緩加速側方向の流れを前記ロックアップ空間内に導くとともに、前記緩加速側方向の流れと逆の作動油の流れが前記ロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成されていることを特徴とするロックアップ機構付きトルクコンバータ。 - 前記連通孔は、前記タービン部材の内面の半径方向外径側端部から内径側に向かって前記タービン部材を構成するタービン羽根の屈曲点に至る範囲内に設けられることを特徴とする請求項1に記載のロックアップ機構付きトルクコンバータ。
- エンジン出力軸に連結されるインペラ部材と、変速機入力軸に連結されるタービン部材と、固定保持されるステータ部材と、前記タービン部材の背面側を覆って前記インペラ部材に接続されたカバー部材と、前記インペラ部材と前記タービン部材とを係脱させるロックアップ機構とを有してなるロックアップ機構付きトルクコンバータにおいて、
前記ロックアップ機構が、前記カバー部材に囲まれた空間内に前記カバー部材の内側面に対向して配設されるとともに前記タービン部材に連結されたピストン部材を備え、前記カバー部材に囲まれた空間における前記ピストン部材と前記タービン部材の背面とに囲まれたロックアップ空間内の油圧力を受けて前記ピストン部材が前記カバー部材の内側面に押圧係合されてロックアップが行われるように構成され、
前記タービン部材に、前記タービン内に生じる作動油の所定方向の流れに向かって開口して前記タービン内部と前記ロックアップ空間とを繋げて前記所定方向の流れを前記ロックアップ空間内に導く連通孔を形成し、
前記連通孔が、
減速時に前記タービン内に生じる作動油の減速側方向の流れに向かって開口して前記減速側方向の流れを前記ロックアップ空間内に導くとともに、前記減速側方向の流れと逆の作動油の流れが前記ロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成された減速用連通孔と、
緩加速時に前記タービン内に生じる作動油の緩加速側方向の流れに向かって開口して前記緩加速側方向の流れを前記ロックアップ空間内に導くとともに、前記緩加速側方向の流れと逆の作動油の流れが前記ロックアップ空間内に向かうことを抑制するように形成された緩加速用連通孔とからなることを特徴とするロックアップ機構付きトルクコンバータ。 - 前記減速用連通孔および前記緩加速用連通孔が、
前記タービン内においてタービン羽根により仕切られて形成される複数の流路における異なる流路内に位置して設けられていることを特徴とする請求項3に記載のロックアップ機構付きトルクコンバータ。
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