JP3584175B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱・加圧によって記録材上にトナー像を定着させる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置において、画像形成部で記録材上に形成したトナー像を、加熱・加圧して記録材表面に定着させる定着装置が知られている。さらに、近時、エネルギーの利用効率を高めるために、定着装置の定着回転体の熱容量を小さくし、定着回転体を定着動作可能温度まで上昇させるのに必要なエネルギー(電力)を少なくした定着装置も知られている。
【0003】
このような定着装置では、定着回転体は、熱容量が小さいために、定着時の記録材によって熱を奪われやすい。したがって、定着回転体及びこれに当接されている加圧回転体は、長手方向についての記録材が通過する領域(以下「通紙領域」という。)とこれ以外の領域(以下「非通紙領域」という。)とで温度が不均一になりやすい。そして、非通紙領域の温度が上昇し、定着回転体表面に形成されている高離型性層(一般にPFA、PTFE等のテフロン樹脂又はSiゴム層)が熱劣化してしまう、という欠点があった。
【0004】
これを防止するために、最大幅の記録材に対して小さな幅の記録材(以下「小サイズ紙」という。)を用いる場合に、小サイズ紙と次の小サイズ紙との間の通紙間隔を広げ、温度がある程度均一化されてから次の小サイズ紙の定着動作をさせるものが実用化されている。
【0005】
ところがこの方法は、スループットが低下し、その分、画像形成装置本体の動作時間が長くなってエネルギーを余分に消費するという別の欠点がある。
【0006】
図2に、この欠点を解消した定着装置を示す。この定着装置は、内側にヒータ(加熱部材)3を有する定着ローラ(定着回転体)1に加圧ローラ(加圧回転体)2を当接させて定着ニップ部N を構成し、さらに、矢印R2方向に回転する加圧ローラ2の長手方向のほぼ全長にわたって良熱伝導部材4を当接させたものである。
【0007】
表面に未定着トナー像を担持し、定着入口ガイド5にガイドされて定着装置に供給された記録材Pは、定着ニップ部N にて挟持搬送されつつ、ヒータ3の加熱によって表面にトナー像が定着される。定着ローラ1は、熱容量が小さく構成されているので、記録材Pの通紙によって通紙領域と非通紙領域との温度差が大きくなり、非通紙領域の温度が高くなる。加圧ローラ2も同様に通紙領域よりも非通紙領域の温度が高くなるが、加圧ローラ2には、良熱伝導部材4が長手方向のほぼ全長にわたって当接されているので、通紙領域と非通紙領域との温度が均一化される。このため、全体として、通紙領域と非通紙領域との温度差が少なくなる。
【0008】
この良熱伝導部材4を使用した定着装置においては、定着ローラの熱劣化を防止し、かつ、スループットの低下を防止することが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この図2に示す定着装置では、良熱伝導部材4にオフセットトナー等が付着しやすいため、熱の均一化効果が減殺されて定着性が低下し、記録材Pの裏汚れが発生するという問題があった。
【0010】
同図に示すように、良熱伝導部材4は、加圧ローラ2の回転方向(矢印R2方向)についての定着ニップ部N のすぐ下流側に配設されている。これは、同図中の左方が画像形成装置本体の外部にあたり、良熱伝導部材4を図中の位置に配置した場合には、外部からの整備性・交換性が向上するからである。
【0011】
しかし、良熱伝導部材4は、このような位置に配置された場合、定着動作に伴って発生する微量なオフセットトナーが定着ローラ1から加圧ローラ2を経て付着しやすい。そして、定着動作を繰り返しているとオフセットトナーが良熱伝導部材4上に蓄積され、良熱伝導部材4の熱均一化の効果が弱まる。また、良熱伝導部材4の表面にトナーが多量に堆積した場合には、例えば小サイズ紙の連続して定着したときに、良熱伝導部材4上の堆積トナーが溶融し、加圧ローラ2側に逆転移し、これにより記録材Pの裏面が汚される現象、いわゆる裏汚れが生じるという問題があった。さらには良伝導部材4は表面に堆積したトナーが定着装置の壁等に接触して負荷抵抗が増大するため、定期的に清掃又は交換する必要があった。
【0012】
上述のような良熱伝導部材4へのオフセットトナーの付着は、特開昭61−67070号公報などに記載されているように、良熱伝導部材4の表面にあらかじめトナー又はトナーと同系統の樹脂層を有するクリーニングローラでは顕著に現れる。
【0013】
このような良熱伝導部材4へのトナーの付着の問題は、例えば、特開平10−268690号公報に記載されているように、良熱伝導部材4にクリーニング部材を設けることにより解消することが可能であるが、この場合には、クリーニング部材を設ける分、装置構成が複雑になる。
【0014】
さらに紙粉の問題もある。定着時には、記録材Pから発生する紙粉(主に紙中に含まれる填料である、タルクや炭酸カルシウム)が加圧ローラ2に付着する。記録材Pによっては、紙粉が多量に発生し、その紙粉が加圧ローラに表面に付着すると、加圧ローラ2表面の離形性が低下して加圧ローラ2表面に付着するオフセットトナーが増加する。これにより、記録材Pの裏汚れが発生する。
【0015】
上述のように、従来、オフセットトナーが加圧ローラ2を介して良熱伝導部材4に付着し、良熱伝導部材4の熱均一化の効果が弱まって、定着性が低下し、記録材Pの裏汚れが発生しやすかった。また、紙粉が加圧ローラ2表面に付着し、加圧ローラ2の離型性が低下し、このことによっても記録材Pの裏汚れが発生しやすかった。
【0016】
本発明は、上述事情に鑑みなされたものであり、良熱伝導部材にクリーニング部材を設けることなく、オフセットトナーについてはこれが加圧回転体を介して良熱伝導部材に付着することを防止し、かつ紙粉については加圧回転体に付着した紙粉を良熱伝導部材で積極的に回収することにより、定着性の低下や記録材の裏汚れを防止するようにした定着装置を提供することを目的とするものである。
【0017】
なお、紙粉が良熱伝導部材に付着することは必ずしも好ましいことではないが、紙粉が加圧回転体に付着していることによる弊害の方が大きい。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、加熱部材を有し、熱により記録材上の未定着トナー像を定着する定着回転体と、前記定着回転体に圧接し、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧回転体と、前記加圧回転体に当接し、前記加圧回転体に従動して回転する良熱伝導回転体と、を有する定着装置において、前記良熱伝導回転体は、定着されるトナーよりもメルト・インデックス値の小さい樹脂がコートされる表面層を有し、定着動作中に前記加圧回転体表面に付着する汚れの量Wに対する、前記加圧回転体から前記良熱伝導回転体に回収される汚れ量Wを、回収率α(=W/W)としたときに、前記加圧回転体と前記良熱伝導回転体との当接部が、前記回収率α<0.1を満たすような、前記ニップ部から前記加圧回転体の回転方向に前記加圧回転体の表面に沿って離れた位置にある、ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の定着装置において、前記良熱伝導回転体の外径は、前記加圧回転体の外径よりも小さい、ことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
〈実施の形態1〉
図1に、本発明に係る定着装置の一例を示す。なお、同図は、概略構成を示す縦断面図である。
【0021】
同図に示す定着装置は、定着回転体である定着ローラ1と、この定着ローラ1に下方から当接された加圧回転体である加圧ローラ2と、定着ローラ1の内側に配設されたヒータ3と、加圧ローラ2に当接された良熱伝導部材である放熱ローラ4と、を主要構成部材として構成されている。上述の定着ローラ1と加圧ローラ2との間には、定着ローラ1(又は加圧ローラ2)の長手方向(同図の表裏方向)に沿って帯状の定着ニップ部N が形成されている。記録材Pの搬送方向(矢印Kp方向)に沿っての定着ニップ部N の上流側には定着入口ガイド5が配設されている。
【0022】
以下、定着ローラ1から順に説明する。
【0023】
定着ローラ1は、省電力やクイックスタートを目的として熱容量を小さくするために、材質として外径32mm、肉厚0.58tのアルミニウム製の素管を使用した。この素管の外周面には、離型性に優れたテフロンコートを施した。定着ローラ1は、駆動手段(不図示)によって矢印1方向に周速V で回転駆動される。
【0024】
加圧ローラ2は、直径8mmの鉄製の芯金2aの外周面に、ASKER C硬度で50度の、外径30mmのスポンジ層2bを設け、さらにその外周面を厚さ50μmのPFAチューブ2cで被覆して構成した。加圧ローラ2全体は、付勢手段(不図示)によって所定の当接圧をもって定着ローラ1に押圧されており、これにより、定着ローラ1と加圧ローラ2との間には、両ローラの長手方向に沿って帯状の定着ニップ部N が形成される。この定着ニップ部N の長さは、ここに通紙される最大幅の記録材Pの左右方向の幅よりも長く形成されている。加圧ローラ2は、定着ローラ1の矢印R1方向の回転に伴って矢印R2方向に周速V で従動回転される。
【0025】
ヒータ3としては、棒状のハロゲンヒータを使用し、定着ローラ1の回転中心に、軸に沿って配設した。
【0026】
放熱ローラ4としては、Al、Cuなどの金属又はアルミナ等の良熱伝導性の材料が用いることができる。本実施の形態では、直径16mmのAlの金属ローラ4aを使用した。Alの金属ローラ4aの表面には、定着装置によって記録材P上に定着されるトナーよりも、MI値(メルト・インデックス値)が小さい樹脂による表面コート4bが施されている。この表面コート4bについては、後に詳述する。放熱ローラ4は、付勢手段(不図示)によって加圧ローラ2に所定の圧力で当接されている。この当接部N までの距離は、定着ニップ部N から加圧ローラ2表面の移動方向に沿って測った距離でL(本実施の形態では60mm)に設定してある。放熱ローラ4は、加圧ローラ2の矢印R2方向の回転に伴って矢印R4方向に従動回転する。
【0027】
定着入口ガイド5は、記録材Pの搬送方向(矢印Kp方向)に沿っての定着ニップ部N のすぐ上流側に配設されている。定着入口ガイド5は、画像形成部(不図示)において表面にトナー像を担持した記録材Pが定着装置に供給される際に、その記録材Pの裏面に接触してこれをガイドし、記録材Pの先端が円滑に定着ニップ部N に進入するようにするものである。
【0028】
上述構成の定着装置が、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に装着された場合の動作は、次の通りである。
【0029】
画像形成装置の画像形成部において、記録材P上にトナー像が形成される。例えば、感光ドラム表面を均一に帯電し、露光して静電潜像を形成する。この静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。このトナー像を記録材Pに転写することで、記録材P上にトナー像を形成することができる。
【0030】
画像形成部で記録材P上に形成されたトナー像は、未定着トナー像である。この未定着トナー像を表面に担持した記録材Pは、定着入口ガイド5に沿って矢印Kp方向に搬送され、定着ニップ部N に挿通される。記録材Pは、定着ニップ部N によって挟持搬送されながら、所定の加熱・加圧を受け、表面にトナー像が定着される。トナー像定着後の記録材Pは、画像形成装置本体(不図示)の外部に排出され、これにより画像形成が終了する。
【0031】
本実施の形態で使用した定着装置では、図3に示すように中央通紙基準とし、定着ローラ1表面における長手方向の中央部には温調用の第1サーミスタが当接されている(図3の「第1サーミスタ位置」参照。)。この第1サーミスタ位置は、通紙領域の中央と一致する。また、定着ローラ1表面における長手方向の一方の端部には、端部昇温監視用の第2サーミスタが当接されている(図3の「第2サーミスタ位置」参照。)。この第2サーミスタ位置は、通紙最大幅の記録材Pにとっては通紙領域内に相当するが、小サイズ通紙幅の記録材P(小サイズ紙)にとっては非通紙領域に相当する。
【0032】
本実施の形態の定着装置では、第1サーミスタの検知信号に応じてヒータ3への通電を制御し、定着温度が一定となるようにしている。
【0033】
最大通紙幅の記録材Pを使用した場合、第1サーミスタ及び第2サーミスタの検知温度にほとんど差は生じないが、小サイズ通紙幅の記録材Pを使用した場合には、定着ローラ1表面の熱が通紙領域のみ記録材P及びトナーによって奪われるので、第1サーミスタと第2サーミスタとの間に大きな温度差を生じる。第2にサーミスタの検知温度の方が高くなるのである。
【0034】
例えば、上述構成の定着装置を、キヤノン製複写機NP6016に組み込み、第1サーミスタで160℃になるように温調したところ、最大通紙幅(297mm)であるA4横の記録材Pを使用した場合は、通紙領域に入る第2サーミスタの検知温度は記録材Pの通紙枚数に関係なく、160℃前後の値を示した。これに対し、第1サーミスタの温調温度を同じ160℃として、通紙幅が210mmのA4縦の記録材Pを使用した場合には、通紙領域から外れる(非通紙領域に入る)第2サーミスタは検知温度が約500枚の連続通紙で200℃前後に上昇した。このとき第1サーミスタと第2サーミスタとの検知温度の差は、約40℃となった。
【0035】
従来の、放熱ローラを有しない定着装置においては、第2サーミスタの検知温度が所定以上の値になった場合には、定着ローラ1近傍の多くの部品の寿命に影響を与えるので、所定以上にならないように、記録材Pと次の記録材Pとの紙間を広げる等で対処して、非通紙領域の昇温を防止するようにしていた。
【0036】
また、放熱ローラ4を有する定着装置であっても、図2に示す従来のものでは、放熱ローラ4がトナー(オフセットトナー)で汚れやすいため、トナー層が厚く蓄積して放熱ローラ4による温度の均一化の効果が薄れ、非通紙部昇温が大きくなりがちであった。このため、記録材Pの紙間をあける必要が生じ、コピー速度が減少してスループットが低下し、初期の性能を維持できないことがあった。
【0037】
本出願人は、前述の、定着ニップ部N から放熱ローラ4の当接部N までの距離Lをある一定値以上にすると放熱ローラ4の汚れが極端に減少することを見出した。この点について、以下に説明する。
【0038】
図4に、ヒータ3の温調温度(温調)、定着ローラ1の周長(周長)、加圧ローラ2の直径(加圧径)、放熱ローラ4の直径(放熱径)、距離L(L)の関係を示す。同図中の結果欄の「○」は放熱ローラ4の「汚れなし」、「×」は「汚れあり」を示す。
【0039】
同図からは、放熱ローラ4の汚れは、定着ローラ1の周長、加圧ローラ2の直径、及び放熱ローラ4の直径には依存せず、距離Lへの依存が高いことがわかる。
【0040】
つづいて、加圧ローラ2の周速V 、距離Lをパラメータとして、放熱ローラ4の汚れの実験を行った。このとき、温調温度は160℃、定着ローラ1の周長は141mm、放熱ローラ4の直径は16mmに固定している。
【0041】
この結果、放熱ローラ4の汚れは、加圧ローラ2の周速V と距離Lに依存し、トナー表面固化時間T=L/V の値が約0.47以下であれば発生し、L/V が約0.5以上であれば発生しないことがわかる。このように、L/V に依存するいうことは、定着ニップ部N を出てからの時間Tにのみ依存しているということを意味している。
【0042】
さらにトナーの種類を変化させて、L/V に変化があるかの実験を行った。トナーとして、メインの樹脂の種類・磁性体量等の異なる4種類のトナーについてL/V の値と、汚れの発生との関係を調べた。ここで、トナーAは、本実施の形態で使用したトナーである。
【0043】
この結果を図6に示す。トナーの種類によって、放熱ローラ4の汚れを発生しなくなる時間L/V は異なるが、ある値以上になれば放熱ローラ4の汚れは極めて減少することがわかる。放熱ローラ4の汚れの発生が、加圧ローラ2と放熱ローラ4との当接部N の温度によらず、定着ローラ1と加圧ローラ2との間の定着ニップ部N を通過してからの時間に依存するのは、定着ニップ部N 内で溶融したオフセットトナーが加圧ローラ2の回転に伴って空気に触れ、急速にごく表面のトナーの温度が低下して固化し、ある時間を過ぎると放熱ローラ4に付着しずらくなるためと考えられる。
【0044】
また、トナー種によって汚れが防止されるまでの時間L/V が異なる。これは、トナーのごく表面層部での現象なので、オフセットトナー自体の量、トナーの熱容量、トナーの熱伝導率が微妙に影響していると考えられるが、詳細は、未解決である。
【0045】
ただし、実験的には、このトナー表面固化時間T=L/V は、容易に求めることができる。実験的には、加圧ローラ2に対する放熱ローラ4の当接部N の位置を変えて、5万枚程度の耐久を行い、放熱ローラ4の汚れを見ればよいが、非常に手間のかかる作業となる。
【0046】
本出願人は、簡易にこの当接部N の位置(したがって、距離L)を決定する方法を見出した。
【0047】
図7にその概要を示す。同図中の4A〜4Eは、当接部N の位置を変化させた(定着ニップ部N からの距離Lを変化させた)ときの放熱ローラ4を示す。図5の実験装置で、51は、加圧ローラ2に当接されたSUS又はリン青銅等の薄板で形成された弾性体のスクレーパである。A3サイズの記録材P上に反射濃度0.4〜0.5の濃度のベタトナー画像を形成し、200枚分定着動作を行い、スクレーパ51で加圧ローラ2表面上の汚れ物質を全量回収し、その重量(汚れ量)W を測定する。次に、放熱ローラ4を加圧ローラ2に当接させ、上述と同様に200枚の定着動作を行い、放熱ローラ4の重量変化(汚れ量)W (実験終了後と開始前の放熱ローラ4の重量差)を測定する。ここでW /W を回収率αと呼ぶことにする。
【0048】
図8は、トナー種を変えてL/V の値と、回収率αとの関係を示した図である。これと、前述の図6との結果を合わせると、回収率αが0.1未満となるように放熱ローラ4の位置を、したがって、このような位置となるように距離Lを設定すると実際の定着動作を長くつづけても、放熱ローラ4へのトナーの付着が防止され、良好な性能を維持できることがわかった。
【0049】
しかしながら、記録材Pとして紙粉の発生量の多い紙を通紙した場合、紙粉(紙中の填料であるタルク、炭酸カルシウム等)が、加圧ローラ2表面に付着し、その付着部分の離型性が低下し、オフセットトナーが紙粉を核として加圧ローラ2表面に付着し、加圧ローラ汚れを引き起こし、記録材Pの裏汚れ等の問題が発生することがある。
【0050】
本実施の形態の定着装置では、放熱ローラ4は、金属ローラ4aの表面に、MI値(メルト・インデックス値)が、画像形成で使用するトナーより小さい樹脂による表面コート4bを設けている。定着装置の動作に伴って加圧ローラ2及び放熱ローラ4の表面温度が上昇し、表面コート4bを構成する樹脂が熱により軟化し、粘性が低くなるので、加圧ローラ2の表面に付着している紙粉を放熱ローラ4表面の樹脂で回収することができる。
【0051】
なお、放熱ローラ4表面の樹脂の粘性が逆に高い場合には、加圧ローラ2上の紙粉だけでなく、トナーをも回収してしまい、そのトナーにより次々とトナーを回収することになり、放熱ローラ4が太り、長期にわたって使用した場合には、蓄積したトナーにより端部の温度上昇が大きくなり、画像形成効率が下がり、さらにトナー層が厚くなると、加圧ローラ2と放熱ローラ4との回転時に異音が発生し、ついには回転がスムースでなくなり通紙が困難となった。
【0052】
加圧ローラ2上のトナーを回収せずに、紙粉のみを回収させるには、次の2点を抑える必要がある。
【0053】
第1は、加圧ローラ2上のトナーの粘度、特に放熱ローラ4と接触する面に付着しているトナーの粘度が低下していて、放熱ローラ4への転移が抑制される点であり、第2は、加圧ローラ2と放熱ローラ4との当接部N において加圧ローラ2からの紙粉を除去し、かつトナーは加圧ローラ2に残すことが可能な粘度を放熱ローラ4の表面コート4bに与える点である。
【0054】
第1の点については、加圧ローラ2と放熱ローラ4との当接部N を、加圧ローラ2上のトナー表面が固化した後に配置することにより達成される。これは、前述した通りである。
【0055】
第2の点については、放熱ローラ4は、トナーとの接着力が加圧ローラ2よりも弱く、かつ紙粉との接着力が加圧ローラ2よりも大きくなるようにすればよい。すなわち、
(放熱ローラとトナーとの接着力)<(加圧ローラとトナーとの接着力)
かつ、
(放熱ローラと紙粉との接着力)(加圧ローラと紙粉との接着力)
の条件を同時に満足すればよい。
【0056】
以下に、これらの条件を満たす構成について説明する。
【0057】
加圧ローラ2上のトナーは、定着動作に伴って一度、定着ニップ部N 内で溶融状態になり、加圧ローラ2の回転駆動に伴って空気に触れることにより、表面から徐々に冷却されていく。このとき定着ニップ部N から十分に離れた位置では、トナーの温度は、空気との表面近くでは固化が進みほぼ粘性を示さなくなるが、加圧ローラ2表面近くは温度が下がり、溶融状態よりも粘性が強く加圧ローラ2表面に強く接着する状態になっており、放熱ローラ4の表面コート4bの樹脂が熱的に軟化して粘性を示しても、加圧ローラ2から放熱ローラ4に転移することはない。
【0058】
また、紙粉については、加圧ローラ2へ付着する力としては、メカ的な付着力と静電吸着力だけであり、加圧ローラ2の表面電位が数kVになって強力な静電吸着力を示さない限り、軽い粘着性で簡単に加圧ローラ2から放熱ローラ4へ転移することができる。加圧ローラ2表面を高電位にしないためには、加圧ローラ2を導電化して接地する。又はバイアスを印加する。又は表面を除電部材で除電する等の既知の方法を用いればよい。このとき樹脂材料として、トナーと同等又はトナーよりも融けやすいもの、すなわちMI値が元のトナーと同等かそれ以上のものを用いると放熱ローラ4と加圧ローラ2との当接部N での接着力が上昇し、トナーをも回収してしまうので好ましくない。また、小サイズ紙を連続通紙して非通紙領域が昇温した場合には、放熱ローラ4上の樹脂が溶融し、加圧ローラ2側に逆転移し、加圧ローラ汚れ、定着ローラ汚れなどを引き起こすために、好ましくない。
【0059】
少なくともトナーよりもMI値の低い、溶融しにくい樹脂を用いることにより、過大な接着力を示すことが無く、加圧ローラ2上のトナーを回収せずに紙粉のみを回収することができる。
【0060】
また、樹脂に鉄粉、磁性粉、セラミック粉等のフィラーを混入させることにより、非通紙領域に昇温が発生しても、溶融しにくく、逆転移のない樹脂層とすることができる。このような樹脂中に含まれるフィラー等を入れてのトナーの溶融性を表す指標としてMI値を採用する。
【0061】
本実施の形態の定着装置のトナーとしてNP6016用(MI値=15)のトナーを用い、放熱ローラ4に形成する表面コート(樹脂層)4bとしては、定着温度の高いNP1215用(MI値=2)のトナーをメチルエチルケトンに溶いて、10μmの厚みにコーティングしたものを用いた。
【0062】
この放熱ローラ4を回収率αが0.1になる距離Lの位置に設置し、記録材Pa(紙粉発生量の少ない紙)、記録材Pb(紙粉発生の多い紙)に対してそれぞれ画像形成動作を10万回行ったところ、記録材Pbを用いた場合には、放熱ローラ4には紙粉が蓄積されていたが、加圧ローラ2のトナー汚れは発生せず、いずれの場合にもこの状態でA5縦を500枚通紙しても、第2サーミスタの検知温度は205℃程度であり、コピー速度を落とす必要がなく初期の性能を得ることができた。
【0063】
[比較例1]
上述の定着装置で放熱ローラ4に樹脂の表層コート4bを設けない場合、記録材Paを用いたときには、10万枚を超えても、加圧ローラ2の汚れは発生せず、また小サイズ紙を通紙時の第2サーミスタの検知温度も202℃程度であり、初期と同等の性能を示したが、記録材Pbを用いた場合には、5万枚程度の通紙で加圧ローラ2の汚れが発生し、記録材Pbの裏汚れが発生し、加圧ローラ2の清掃が必要になった。
【0064】
[比較例2]
上述の定着装置で放熱ローラ4の表面コート4bの樹脂のコーティング材として、NP6016用のトナー自身を用いた場合には、10万枚通紙後では記録材Pa、Pbに関係なく、放熱ローラ4上の表面コート層4bによりトナーが次々と回収され、小サイズ紙を連続通紙した場合に、第2サーミスタの検知温度は220℃を超えるので、コピースピード(スループット)を落とす必要があった。また、このとき非通紙領域の放熱ローラ4によって回収されたトナーが加圧ローラ2側に戻り、次に大サイズ紙を通紙した場合、記録材Pの裏汚れを発生するという問題を生じた。
【0065】
また、放熱ローラ4の位置を定着フィルム2と加圧ローラ2の形成する定着ニップ部N の上流近傍に設けると、定着入口ガイド5を暖めやすくなり、記録材Pの裏面からの加熱効果が加わり定着性能が増加するとともに定着ニップ部N で生じやすい急激な紙内の水分の気化・蒸発による画像乱れが、軽減される効果もあり、より好ましい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、定着ニップ部N から、加圧回転体と良熱伝導部材との当接部N までの距離Lを、回収率α(=W /W )<0.1を満たすように設定し、かつ良熱伝導部材表面に、トナーよりもMI値の小さい樹脂による表面コートを設けることにより、良熱伝導部材にクリーニング部材を設けることなく、オフセットトナーについてはこれが加圧回転体を介して良熱伝導部材に付着することを防止し、かつ紙粉については加圧回転体に付着した紙粉を良熱伝導部材で積極的に回収することができるので、定着性の低下や記録材の裏汚れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の概略構成を示す縦断面図。
【図2】従来の定着装置の概略構成を示す縦断面図。
【図3】図1の定着装置の定着ニップ部に挿通される記録材の幅と、サーミスタ位置との関係を示す図。
【図4】放熱ローラの汚れと、定着ローラの周長、加圧ローラの直径、放熱ローラの直径、距離Lとの関係を示す図。
【図5】放熱ローラ汚れと、L/V との関係を示す図。
【図6】放熱ローラ汚れと、トナー種、L/V との関係を示す図。
【図7】加圧ローラに対する放熱ローラの当接部N (距離L)を決めるための装置を示す図。
【図8】トナー種を変化させたときの、L/V と回収率αとの関係を示す図。
【符号の説明】
1 定着回転体(定着ローラ)
2 加圧回転体(加圧ローラ)
3 加熱部材(ヒータ)
4 良熱伝導部材(放熱ローラ)
4b 表面コート
5 定着入口ガイド
L 定着ニップ部から当接部までの距離
定着ニップ部
当接部
P 記録材
定着動作に伴って発生する加圧回転体の汚れ量
汚れ量W のうち良熱伝導部材に捕獲される汚れ量
α 回収率(=W /W

Claims (2)

  1. 加熱部材を有し、熱により記録材上の未定着トナー像を定着する定着回転体と、前記定着回転体に圧接し、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧回転体と、前記加圧回転体に当接し、前記加圧回転体に従動して回転する良熱伝導回転体と、を有する定着装置において、
    前記良熱伝導回転体は、定着されるトナーよりもメルト・インデックス値の小さい樹脂がコートされる表面層を有し、
    定着動作中に前記加圧回転体表面に付着する汚れの量Wに対する、前記加圧回転体から前記良熱伝導回転体に回収される汚れ量Wを、回収率α(=W/W)としたときに、
    前記加圧回転体と前記良熱伝導回転体との当接部が、前記回収率α<0.1を満たすような、前記ニップ部から前記加圧回転体の回転方向に前記加圧回転体の表面に沿って離れた位置にある、
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記良熱伝導回転体の外径は、前記加圧回転体の外径よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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