以下、本発明の幾つかの実施の形態について図を用いて詳細に説明し、本発明の理解に供する。なお、以下に説明する実施の形態は電子部品をプリント基板などの回路基板に実装して電子回路基板を製造する部品実装機の場合の代表的な具体例を示すだけであって、特許請求の範囲における本発明の記載事項を限定するものではない。
以下に本発明の第1の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、 図1に示すような部品実装ライン100と、この部品実装ライン100との情報の送受を行い、この部品実装ライン100を管理する管理装置101と、を備えた部品実装システム120に対するサービスシステムに関するもので、図2に本実施の形態のサービスシステム380の全体システム構成を示している。このサービスシステム380は、部品実装システム120を有する実装機納入先の各工場と納入先企業のサービス受給装置1とをネットワーク3で接続し、このサービス受給装置1と部品実装機供給メーカのサービス供給装置2とをネットワーク60で接続した場合の1つの例を示す。
図2において、サービス供給装置2はサービス情報データベース26(以後、サービス情報DBと呼ぶ)を有している。また、納入先企業にあるサービス受給装置1は、ネットワーク60を介して部品実装機供給メーカにあるサービス供給装置2からサービス情報を取り込み、取り込んだサービス情報により、納入先企業の傘下にある工場A,B,C等の各工場の部品実装ライン100a、100b、100cに対して管理装置101を経由してサービスを提供する。
ここで、ネットワーク60は、例えばインターネットを始めとする通信ができる通信手段であれば良い。但し、インターネットであれば情報の送受が高速でできるので好適であるので、本実施の形態では、インターネットとする。ネットワーク3も、同様の通信手段で構わないが、本実施の形態では、企業内のグローバルな各拠点を結ぶイントラネットとする。また、納入先企業の各工場A,B、Cはグローバルな各拠点にあるものとするが、これに限定するものではなく、全て国内であっても構わない。
また、サービス供給装置2は、部品実装機供給メーカ以外でも部品実装機のサービスを行うサービスメーカ内に設置されたものでも構わない。
これにより、世界のどの地域にあるユーザに対しても、ユーザ側に備えたサービス受給装置1へネットワーク60を介して、同一のサービスの供給をすることができる。これにより、各地域の部品実装機のオペレータの操作習得レベルに関わらず、回路基板や実装部品の種類によってどのような条件で部品を実装するか、そのノウハウを蓄積した、サービスの供給をすることができ、全世界で均一な高効率、高品質な実装生産を実現できる。また、ユーザ側から主体的にサービスの引き出しを行うことができるので、ユーザ側の必要なタイミングでいつでもサービスの引き出しに供することができ、各ユーザにとって、実装生産の効率、品質を維持するための対応が遅れることによるダメージを受けることがない。
サービス受給装置1がサービス供給装置2から引き出すサービスの開示内容は、納入先企業が部品実装機供給メーカと契約したレベルにより変る。契約レベルが低ければ、最新取説情報、補修パーツ在庫情報のみを開示し、それらを引き出すことができるが、契約レベルが上がるにつれて、開示範囲がネットワークを介してトレーニングを行うバーチャルトレーニング、実装部品情報、実装順序最適化ソフトと、順次広がる。これにより、ユーザのレベルに合致した適切なサービスを供給することができる。また、ユーザ毎に供給するサービスの管理が容易にでき、契約していないユーザからむやみにサービスの引き出しをされることもなくなる。
契約レベルは、部品実装機のオペレータのレベル、または、工場で生産に使用する実装工法の難易度により、更に納入先の要望により決めるのが望ましい。これにより、様々な観点で容易に適切な契約レベルを決定できる。また、サービス受給装置1とオペレータが対話式なやりとりをするか、サービス受給装置1またはサービス供給装置2が自動的に判断して適切な契約レベルを決定することが可能になる。
この契約レベルに基づき納入先ユーザへ課金がされる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。これにより、サービス供給の度に課金せずに、サービスの契約をしたレベルにより、例えば1ヶ月単位で定期的にまとめて課金するので、ユーザにとっても、メーカにとっても課金の処理が簡易化できる。また、ユーザにとっては、不要なサービスを選択し誤まって課金される不具合もなくなる。
契約レベルが高くなると、部品実装機供給メーカのサービス供給装置2がネットワーク60を介して部品実装ライン100の品質、稼動状況を監視するサービス、更に、監視する中で異常が発生した時に、その対策のためのフィードバックを部品実装ライン100に対して行うサービスも可能になる。
上記した監視サービスを行うために、図1に示すように、個々の部品実装機105〜111が連結された部品実装ライン100において、ネットワーク102を介して、各部品実装機105〜111の稼動率、停止時間、品種切替え時間等の設備情報、および回路基板1枚に実装する時間である実装タクト、タクトロス等のタクト情報、更に品質不良の有無、不良内容等の品質情報を管理装置101に収集する。図2において、図1に示す部品実装ライン100a〜100cを有する部品実装機納入先の各工場A〜Cの管理装置101a〜101cと、部品実装機納入先企業のサービス受給装置1とをネットワーク3で接続している。管理装置101a〜101cに収集された設備情報、タクト情報および品質情報は、サービス受給装置1に収集され、更に、ネットワーク60を介して部品実装機供給メーカのサービス供給装置2へ送られる。これらの設備情報、タクト情報および品質情報は、稼動分析し易いデータ構造に変換され、サービス供給装置2に備えた稼動品質情報データベース51(以後、稼動品質情報DBと呼ぶ)に蓄積される。
サービス供給装置2では、稼動率、実装タクトおよび不良率が目標に達しているかを監視し、目標に達してなければ要因分析を行う。要因分析の結果、目標に達してない要因が判明すれば、その要因を解消するためのサービスをサービス受給装置1に対して提供する。サービス受給装置1は、提供されたサービスを各工場の管理装置101a〜101cを経由して部品実装ライン100a〜100cへフィードバックする。
これにより、ユーザの実装工場で部品実装機の停止や品質不良等のトラブルが発生した時に、ユーザ側から、そのトラブルを分析して解決策を授かるためのサービスの供給をいつでも引き出せるので、トラブル停止による生産効率ダウンや品質ダウンを最小限に押さえることができる。従って、従来のように、例えば、操作ミスが原因のトラブルの分析のためにメーカからサービスマンが派遣され数日張り付いて分析を行い、やっと操作ミスが原因と判明するという非効率さが大幅に改善されたものとなる。
また、ユーザ側から、生産状況を監視し問題があったらその分析をするサービスをいつでも引き出すことができる。これにより、トラブルになる前の予兆があれば、これを感知しトラブルの発生を未然に防ぐことができるので、安定した高効率、高品質生産を継続することができる。
なお、ネットワーク102は、本実施の形態では、無線で情報をやり取りするLAN(Local Aria Network)とする(以後、無線LANと呼ぶ)が、これに限定されるものではない。但し、無線LANであれば、部品実装ラインの各部品実装機151のレイアウトが変っても、ネットワーク102のケーブル配線を変更することなく、フレキシブルに対応できる。これにより、より高タクト、高品質な生産を実現できる新しい部品実装機151を加えた新たな実装ラインを構築することを、レイアウト変更によるケーブル配線変更を気にすることなく、自由に積極的に推進することができる。また、引き出したサービス情報を、部品実装機151へ送信するだけでなく、部品実装機151のオペレータが携帯している携帯電話、PHS等の携帯端末へ送信することができるので、部品実装機151のオペレータに直接、受けたサービスの生産への反映を促すことができる。
以上の構成により、納入先が望む契約レベルに応じて、サービス供給装置2は、必要なサービスを納入先工場に提供でき、契約レベルによっては、サービス供給装置2により、各実装工場の稼動、品質状況を同時にリアルタイムに監視し分析することができる。そして、稼動、品質状況が低下する要因を発見してリアルタイムにその要因を解消するためのサービスを提供できる。従って、グローバルに展開された全ての実装工場の稼動、品質状況を同一の手法で管理でき高い均一な品質、生産状況に維持できる。
なお、上記では、各実装機納入先工場と実装機供給メーカとをインターネット3で接続した事例で説明したが、この限りではない。実装生産を行う各工場の中の特定の工場にサービス供給装置2があり、その他の工場にインターネットを始めとするネットワークを介してサービスを提供するものでも構わない。また、1本の部品実装ライン100に1つの管理装置101を設けていたが、この限りではなく、複数本の部品実装ライン100に1つの管理装置101を設けたものであっても構わない。また、部品実装機1台のみに1つの管理装置101を設けたものであっても構わない。
また、図3に示すように各部品実装機1台毎に、その制御部201の中の内部機能として上記したサービス受給装置1が備わり、部品実装機自身からネットワーク60を介してサービス供給装置2からのサービスをその契約レベルに応じて受給するものであっても構わない。
また、上記では、部品実装機151から構成される部品実装ライン100で説明したが、この限りではない。部品実装以外の、被生産物に加工または組み立てを行う生産設備単体でも、その生産設備が連結した生産ラインであっても構わない。
以上、本発明の第3の実施の形態の概要を示したが、その個々のシステム構成、動作についての詳細を以下に説明する。
I 部品実装システム120の構成
部品実装システム120は、部品が実装されていない回路基板に部品を実装することにより、回路基板の実装生産を行う生産システムであり、図1に示すように、管理装置101、ネットワークとしての無線LAN102および部品実装ライン100から構成されている。部品実装ライン100は、供給装置104、クリーム半田印刷機105、クリーム半田印刷検査機106、接着剤塗布機107、高速装着機108a、多機能装着機108b、装着部品検査機109、リフロー装置110、外観検査機111および収納装置112から構成されている。
クリーム半田印刷機105、クリーム半田印刷検査機106、接着剤塗布機107、高速装着機108a、多機能装着機108b、装着部品検査機109、リフロー装置110および外観検査機111は、それぞれ、無線LAN102を介して管理装置101と接続されている。
なお、高速装着機108a、多機能装着機108bは、部品実装機の1種であり、チップ部品を回路基板上に面実装するものであり、マウンタないしはプレイスメント機ともいう。本実施の形態では挙げないが、部品実装機には、回路基板上のリード挿入穴にアキシャル部品またはラジアル部品等の部品のリードを挿入する部品挿入機も含まれる。部品挿入機はインサータとも呼ばれ、ジャンパーワイヤを挿入することもある。また、部品実装ライン100を構成するクリーム半田印刷機105、クリーム半田印刷検査機106、接着剤塗布機107、装着部品検査機109、リフロー装置110、外観検査機111等も広義には部品実装機である。本実施の形態では、特に断わらない限りこれらのクリーム半田印刷機105、クリーム半田印刷検査機106、接着剤塗布機107、装着部品検査機109、リフロー装置110、外観検査機111等も部品実装機に含まれるものとする。
また、同様に、「装着」は、チップ部品を回路基板上に電極ランド間の超音波を利用した摩擦などによる拡散や溶融を金属接合を図る場合を含んで面実装するものであり、部品を回路基板上に実装し回路を形成する「実装」に含まれるものと定義し、本実施の形態で以降で使用される「装着」のみならず「装着」を含む熟語については、特に断わらない限り、上記したチップ部品を面実装する意味のものを表すものとする。一方、「実装」は、「実装」を含む熟語についても、その意味することは、「装着」に限定されるものでなく、特に断わらない限り、「挿入」、「半田印刷」、「接着剤塗布」、「各種検査」をも含む広い概念である回路を形成する意味で使用されるものとする。
また、部品実装機が回路基板1枚の実装をするのに掛かる時間を「実装タクト」と定義とする。その中で、特に、部品実装機の仕様通りにタクトのロスなく動作した場合の実装タクトの標準値を「標準実装タクト」、また、部品実装機から検出または収集した実装タクトの実績値のことを「実装タクト実績値」と呼ぶ。
(1)供給装置104
供給装置104は、予め複数枚の回路基板をストックしている。これらの回路基板には、まだ部品は実装されていない。供給装置104は、回路基板を一枚ずつクリーム半田印刷機105へ供給する。
(2)クリーム半田印刷機105
クリーム半田印刷機105は、供給装置104から一枚ずつ回路基板を受け取り、受け取った回路基板にクリーム半田を印刷し、クリーム半田の印刷された回路基板をクリーム半田印刷検査機106へ供給する。また、クリーム半田の印刷に関する設備情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、クリーム半田印刷機105が印刷するための諸条件を指示するためのNCデータ等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。
クリーム半田印刷機105は図4A、図4Bに主要な構成を示しているように、回路基板10を載置するステージ67と、この回路基板10上を覆い回路基板10上のランドに相当する形と位置に開口部(図示せず)を有するスクリーン板66と、このスクリーン板66上にスキージヘッド64に保持されたスキージ62aとを有している。スキージ62aはスキージ駆動部65によりスキージヘッド64を介し駆動されてスクリーン板66に沿って図の矢印の方向に移動される。この際スキージ62aはスクリーン板66面上に供給されるクリーム半田68をスクリーン板66に押し付けながら移動してスクリーン板66に設けた開口部を通じ回路基板10のランド上に供給し印刷する。スキージヘッド64は今1つのスキージ62bも保持しており、スキージ62aで印刷する時とは逆の方向に移動されるときに印刷することができる。
ここで、クリーム半田印刷機105において、品質を維持するためには、クリーム半田印刷する諸条件を考慮し、NCデータにより設定する必要がある。例えば、回路基板の材質、実装密度等を考慮して、クリーム半田の種類、温度、粘度を選択することが必要である。また、回路基板10の種類やクリーム半田68の種類によって、スキージ62a,62bの移動速度を設定することも必要である。上記条件を的確に選択することにより、クリーム半田がスクリーン板66の開口部を通して回路基板10のランド上に良好にゆきわたり、クリーム半田のかすれやにじみ等の印刷不良を防ぐことができる。更に、印刷後に回路基板10からスクリーン板66を上方に離す速度等を制御することにより、スクリーン板66の開口部と印刷されたクリーム半田68を良好に分離させ、クリーム半田68の欠けをなくすことも重要である。この開口部からクリーム半田68が分離されず、累積的に開口部の半田詰まりが発生すると、半田詰まりを解消するようにクリーニングすることも必要になる。
また、クリーム半田印刷機105における実装タクトは、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、スクリーン板66の回路基板10上への着脱時間や、スキージ62a,62bの移動速度等により決まる。
(3)クリーム半田印刷検査機106
クリーム半田印刷検査機106は、クリーム半田印刷機105から一枚ずつ回路基板10を受け取り、受け取った回路基板10上に印刷されたクリーム半田68の状態を検査し、検査の終了した回路基板10を接着剤の塗布機107へ供給する。また、クリーム半田印刷検査に関する設備情報および検査結果の情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、クリーム半田印刷検査機106は検査用の検査データを指示するためのNCデータ等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。なお、検査データには、クリーム半田68を印刷するランド位置、検査OK/NGの閾値等が含まれる。
ここで、クリーム半田印刷検査機106は、クリーム半田68が印刷された回路基板を撮像し、得られた画像を処理し、クリーム半田68の印刷が正常にできたかを判定する。印刷不良と判定した場合は、基板上のどの場所で、どのような不良が発生しているかを出力する。不良内容の事例を挙げると、クリーム半田68の印刷位置ずれ、クリーム半田68のかすれ、にじみやあふれ等がある。また、基板上の場所の特定については、例えば、実装する部品毎に付与した回路番号と、各実装部品の各電極に付与した電極番号とで特定する。
また、クリーム半田印刷検査機106における実装タクトは、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、回路基板10を撮像する時間や、回路基板10を撮像した画像データを処理し検査する時間等により決まる。
(4)接着剤の塗布機107
接着剤の塗布機107は、クリーム半田印刷検査機106から一枚ずつ回路基板を受け取り、受け取った回路基板10上に部品を基板に装着するための接着剤を塗布し、接着剤が塗布された回路基板10を高速装着機108aへ供給する。また、接着剤の塗布に関する設備情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、接着剤の塗布機107が接着剤を塗布する位置や接着剤を塗布するための諸条件を指示するNCデータ等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。
ここで、接着剤の塗布機107は、接着剤を貯蔵したシリンジと、このシリンジからエア圧で押し出した接着剤を塗布するシリンジにつながった塗布ノズルと、塗布ノズルの下部に回路基板の塗布位置を位置決めするXYテーブルとを備えている。
このような接着剤の塗布機107において、品質を維持するためには、接着剤を塗布する諸条件を考慮し、NCデータにより設定する必要がある。例えば、接着剤の種類、温度、粘度、更に塗布する圧力、塗布時間等を適切に制御して、部品を接着するための適量の接着剤を糸引きが発生することなく塗布することが重要である。また、上記諸条件を制御することにより、ノズル詰まりが発生しないようにもしなければならない。
また、接着剤の塗布機107における実装タクトは、回路基板1枚に対する接着剤の塗布を行うのに必要な時間であり、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、各部品の実装位置に対応する接着剤の全塗布点に対する塗布を行う時間等により決まる。この場合、実装タクトを接着剤の塗布に限定して「塗布タクト」とも呼び、標準実装タクトを接着剤の塗布に限定して「標準塗布タクト」とも呼ぶ。また、実装タクト実績値を接着剤の塗布に限定して「塗布タクト実績値」とも呼ぶ。
また、塗布タクト(または塗布タクト実績値)が標準塗布タクトを越えた時、そのタクトのオーバ分を「タクトロス」という。タクトロスの内訳として、例えば、XYテーブル9の移動ロスがある。また、1塗布点当たりの標準塗布タクトを「1点当標準塗布タクト」、1塗布点当たりの塗布タクトを「1点当塗布タクト」、1塗布点当たりのタクトロスを「1点当タクトロス」と呼ぶ。
(5)高速装着機108a
高速装着機108aは、接着剤の塗布機107から一枚ずつ回路基板10を受け取り、受け取った回路基板10上に部品を高速に装着し、部品が装着された回路基板10を多機能装着機108bへ供給する。また、部品の装着に関する設備情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、部品を装着する位置や部品を装着するための諸条件を指示するNCデータ等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。
部品実装ライン100において、高速装着機108aおよび多機能装着機108bは、それぞれ部品を回路基板10上に装着する装着機の一種類であり、互いに共通するところは同一の符号を符し重複する説明は省略する。高速装着機108aは、主に小型チップ部品を高速に回路基板10上に装着することを目的としており、多機能装着機108bは、異形部品を含む多くの種類のチップ部品を回路基板10上に装着することを目的としており、部品を回路基板10上に装着する点において共通している。
高速装着機108aは図5(a)に示すように、部品を供給する部品供給装置5を複数移動テーブル6上に搭載した部品供給部11と、回路基板10を搭載し、XY方向に移動位置決めして部品の搭載に供するXYテーブル9と、間欠回転する回転テーブル8およびこの回転テーブル8の外周に一定ピッチで配置された部品吸着ノズル7を持ち、部品供給部11から供給される部品を位置決めされた回路基板10上の所定位置に装着する装着ヘッド4とを有している。部品供給装置5は図で詳細に示していないが、前記部品供給のために、同一種類の部品を一定ピッチで複数収納した部品収納テープをリール状にしたものを搭載し、部品収納テープを部品収納ピッチ単位で間欠送りすることにより部品を1個ずつ供給する。部品供給部11は、装着する部品の種類に応じて必要数だけ部品供給装置5を移動テーブル6上に搭載する。移動テーブル6は矢印12に示す方向に移動し、装着する部品を供給できる部品供給装置5が部品供給位置に合致するように位置決めする。装着ヘッド4は部品供給位置に位置決めされた部品供給装置5から部品を取出す位置にある部品吸着ノズル7が部品供給装置5から供給された部品を吸着する都度、回転テーブル8は矢印13の方向に部品吸着ノズル7の配列ピッチ単位で間欠回転する。部品を吸着した部品吸着ノズル7は、回転テーブル8の順次間欠回転により、回転テーブル8の外周上において部品を吸着した位置と反対側の対向する位置に来た時に、回路基板10上の装着位置に部品を装着する。XYテーブル9は、部品吸着ノズル7が装着する部品の装着位置に合わせて回路基板10を位置決めする。上記部品供給部11、XYテーブル9および装着ヘッド4等は制御部201により制御する。
また、図示していないが、回転テーブル8の間欠回転において、部品吸着ノズル7が部品供給装置5から部品を取出す位置から回路基板10上に部品を装着する位置まで移動する途中の回転停止位置で、吸着された部品を下方からカメラで認識し吸着位置ずれ(X,Y方向のずれ量、部品吸着ノズル7の軸線まわりの回転ずれ量)を検出する認識部を備えている。制御部201は、認識部が検出した回転ずれ量を解消するように部品吸着ノズル7をその軸線まわりに回転補正させ、また、認識装置が検出したX,Y方向のずれ量を解消するようにXYテーブル9の位置決め量を補正する制御を行う。
なお、部品供給装置5は、上記したテープ送りタイプのものに限定したものでなく、例えばトレイやスティックタイプのものも含まれる。上記したテープ送りタイプのものは、パーツカセットまたはパーツフィーダとも呼ばれる。
また、上記の事例における高速装着機108aでは、装着ヘッド4に部品吸着ノズル7が備わっており、その部品吸着ノズル7により、部品を吸着保持するものであったが、部品をつかんで保持するチャックであっても構わない。高速装着機108a以外の実装機、例えば、後述する多機能装着機108bでは部品をつかんで保持するチャックが多く使用される。また、部品挿入機では、ほとんどチャックが使用される。これら、部品供給装置5から部品を保持して回路基板10に実装する部品吸着ノズル7やチャック等を総称して部品保持手段という。
ここで、図5(a)に示すような高速装着機108aにおいて、品質を維持するためには、部品を装着する諸条件を考慮し、NCデータにより設定する必要がある。例えば、部品の種類、大きさ、重量等により、装着する速度(具体的には、回転テーブル8の回転速度およびXYテーブル9の移動速度、加速度)を考慮して設定する必要がある。もし、重量の重い部品を高速で装着させようとすると、部品の慣性力による吸着位置ずれが発生し、その結果部品の装着の位置ずれ、または部品吸着ノズル7からの部品落下等の不具合につながる。また、認識部が部品の吸着ずれ量を認識するために、吸着ずれのない正常な部品の姿勢の画像データである認識データを予め教示する必要があり、部品の種類によって、どの認識アルゴリズムを使って画像処理するかを予め選択する必要がある。また、部品供給装置5や部品吸着ノズル7等が不良になった場合は、部品吸着エラーが発生し、装着機の稼働率が低下するため、不良になった部品供給装置5や部品吸着ノズル7等を補修用のものに速やかに交換しなければならない。
また、高速装着機108aにおける実装タクトは、回路基板1枚に対する部品の装着を行うのに必要な時間であり、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、全部品を装着位置に装着を行う時間等により決まる。この場合、実装タクトを部品装着に限定して「装着タクト」とも呼び、標準実装タクトを部品装着に限定して「標準装着タクト」とも呼ぶ。また、実装タクト実績値を部品装着に限定して「装着タクト実績値」とも呼ぶ。
また、装着タクト(または装着タクト実績値)が標準装着タクトを越えた時、そのタクトのオーバ分を「タクトロス」という。タクトロスの内訳として、例えば、XYテーブル9の移動ロス、および、部品供給部11の移動ロスがある。また、1装着点当りの標準装着タクトを「1点当標準装着タクト」、1装着点当たりの装着タクトを「1点当装着タクト」、1装着点当たりのタクトロスを「1点当タクトロス」と呼ぶ。
また、図5(a)に示すような高速装着機108aにおいて、本来の目的である高速で部品を装着すること、即ち標準に装着可能なタクトである標準装着タクトで部品を装着するためには、部品の装着順序や部品供給装置5の移動テーブル6上への配置位置を最適化する必要がある。例えば、装着ヘッド4の回転テーブル8が1ピッチ回転する時間が1点当標準装着タクトに相当するが、その1点当標準装着タクトの間に部品供給装置5が部品供給位置に位置決めされないと1点当標準装着タクトで部品を装着することができない。また、1点当標準装着タクトの間にXYテーブル9が回路基板10を部品装着位置に位置決めしないと1点当標準装着タクトで部品を装着することができない。部品供給装置5およびXYテーブル9のそれぞれの位置決めに関して、1点当標準装着タクト内に移動可能な許容移動範囲が決められている。この許容移動範囲内に部品供給装置5の移動、XYテーブル9の移動の両方がそれぞれ収まるような部品装着順序、部品供給装置5の配置に最適化する。しかし、全ての装着部品を1点当標準装着タクトで装着することは通常は不可能である。この場合、標準装着タクトでは無理でも、標準装着タクトからのオーバ分であるタクトロスを最小にするように最適化する。このタクトロスは、部品供給装置5の移動量が許容移動範囲を越えた分に基づいて算出される時間と、XYテーブル9の移動量が許容移動範囲を越えた分に基づいて算出される時間とのいずれか大きい方の時間を算出することにより理論的に求められる。
なお、部品実装ライン100においては、2台の装着機(即ち、高速装着機108aおよび多機能装着機108b)を直列に接続しているが、さらに多くの装着機を直列に接続しても良い。
従って、ここでは、部品実装ライン100において、複数台の装着機が直列に接続されているものと想定し、複数台の装着機のうちのn番目の装着機を装着機n108とする。以下において、高速装着機108aの説明に代えて装着機n108について説明する。
(5−1)装着機n108
装着機n108の制御系は図6に示すように、制御部201、装着制御部202、装着部203、記憶部204、認識部210、送受信部205、入力部206、画面制御部207および表示部208からなっている。
装着部203は、高速装着機108aにおいては、図5(a)で示した、部品供給部11、XYテーブル9および装着ヘッド4に相当する。送受信部205は、管理装置101との送受信を行うためのもので、本実施例では無線LAN102で送受信可能なアンテナを備えたものとしている。但し、これに限定するものではなく、ケーブルで接続されたネットワークアダプタであっても良い。
(a)記憶部204
記憶部204は、図9に示す設備情報211、図5に示すNCデータ220および制御部が装着機n108を制御するために必要な制御ソフトウェアを記憶している。
設備情報211は、図4に一例として示すように、生産管理情報とカセット情報(部品供給装置5、即ちパーツカセットに関する情報)とから構成されている。生産管理情報は、生産予定枚数、生産予定回路数、生産枚数、・・・、稼働率、吸着率・・などの情報を含んでおり、カセット情報は、部品供給装置5の配置位置を示す番号であるZNO.、部品名称、部品供給装置5の部品残数などの情報を含んでいる。
ここで、生産枚数は、装着機n108が生産した回路基板の枚数であり、稼働率は、装着機n108の回路基板への部品の実装着時間の全稼働時間に対する比率であり、吸着率は、装着機n108における部品吸着ノズル7による部品の実吸着数の全吸着数に対する比率である。
NCデータ220には、図10に示すように、NCプログラム221、配列プログラム231および部品ライブラリ241を含んでいる。
NCプログラム221は、装着機n108が1枚の回路基板に対して、装着する部品の種類と位置および装着順序を指定するプログラムである。具体的に、図10に示すように、ステップNo.が部品の装着順序で、各ステップNo.毎に、装着位置(X,Y、W(装着角度)、回路番号)、Z(部品を取出す部品供給装置5の配置番号)、部品名称が指定される。
配列プログラム231は、NCプログラム221に対応しており、NCプログラム221の各ステップNo.で指定したZ番号の部品供給装置5にセットされている部品名称、形状コードを指定する。なお、形状コードとは、部品の形状が同一のものに対して一意に付けられたコードである。
部品ライブラリ241は、各部品に関する詳細データから構成され、部品配列プログラム231中の形状コード毎に部品の形状(長さ、幅、厚み等)、装着条件(ヘッド速度、XY速度、ノズル、ツール等)、認識データ(図10に図示していないが部品ライブラリに含まれる)等の情報が格納されている。
ここで、ヘッド速度は、図5(a)の高速装着機108aの例では、装着ヘッド4が間欠回転する速度であり、部品の大きさに応じて(形状コード毎に)指定できる。例えば、1005チップ部品(長さ1mm、幅0.5mmのチップ部品)等の微小チップ部品では、高速で装着ヘッド4を回転できるが、SOP部品等の大型部品では低速で回転しないと、吸着した部品が慣性により吸着位置ずれを起こす。同様に、XY速度はXYテーブル9の移動速度、ノズルは使用する部品吸着ノズル7の種類で、形状コード毎に指定できる。なお、図5(a)では、簡単にするため、部品吸着ノズル7は、回転テーブル8の外周における一定ピッチ間隔の各配置位置に1種類しか配置してなかったが、実際には、各配置位置に部品の種類に応じて選択される複数の部品吸着ノズル(例えば、小、中、大)が備わっている。また、認識データは、部品吸着ノズル7が部品を吸着した姿勢を認識部210が認識するのに予めあるべき姿勢を教示したものである。
制御ソフトウェアは、装着機n108を制御するために必要なもので、制御部201は記億部204から読み出した、前記制御ソフトウェアに従って装着機n108の制御を行う。例えば、制御部201が制御ソフトウェアを装着制御部202に渡すことにより、装着部203の制御が行われる。
NCデータ220や制御ソフトウェアは、送受信部205を介して、管理装置101からインストールすることが可能である。
(b)装着制御部202
装着制御部202は、制御部201の指示により、記憶部204からNCデータ220を読み出し、NCデータ220が指示する通りに順次部品を装着するように装着部203を制御する。また、装着部203から実装した結果の情報を受け取り、記憶部204に記憶されている設備情報211に含まれる各情報を更新する。
また、装着部203の基本動作、即ち、装着ヘッド4の間欠回転と部品装着動作、部品供給部11の移動動作、XYテーブル9の位置決め動作は、前記制御ソフトウェアに従って制御する。
(c)送受信部205
送受信部205は、管理装置101から設備情報211またはNCデータ220をアップロードする旨の要求を受信すると、受信した前記要求を制御部201へ出力する。制御部201の指示により、記憶部204に記憶されている設備情報211またはNCデータ220を読み取り、管理装置101へ送信する。
また、送受信部205は、管理装置101から新規に作成した、もしくは1度アップロードして上位で最適化し直したNCデータ220を受け取り、受け取ったNCデータ220を制御部201の指示により記憶部204に記憶させる。
また、送受信部205は、管理装置101から制御ソフトウェアを受け取り、記憶部204に記憶させる。
(d)認識部210
認識部210は図5(a)では図示していないが、吸着された部品を下方からカメラで認識し吸着位置ずれ(X,Y方向のずれ量、部品吸着ノズル7の軸線まわりの回転ずれ量)を検出する。制御部201は、認識部210が検出した回転ずれ量を解消するように部品吸着ノズル7をその軸線まわりに回転補正させ、また、認識部210が検出したX,Y方向のずれ量を解消するようにXYテーブル9の位置決め量を補正するように制御する。
また、認識を行うために、予め教示した認識データ(NCデータ220に含まれる)を記憶部204に記憶させる。実際に装着する部品を認識する時は、上記認識データや予め指定した認識アルゴリズム(制御ソフトウェアに含まれる)を記憶部204から読み出して認識処理を行う。
(e)制御部201
制御部201は、装着機の各部の制御を行い、設備情報211、NCデータ220のアップロード、NCデータ220のダウンロードをするために、上記したように、装着制御部202、送受信部205等に指示を行い制御する。
また、制御部201は、入力部206からオペレータからの指示命令を受け取り、受け取った指示命令に応じた処理を行う。また、画面制御部207へ画面表示に関する指示命令と表示内容を出力する。
(5−2)部品実装機k
装着機を含めて複数台の部品実装機が連結された各部品実装機の内でk番目の部品実装機を、部品実装機kとする。部品実装機kは、装着機n108より広義で、当然、装着機n108は部品実装機kに含まれる。
部品実装機kの制御系の構成は、図示しないが、装着機n108の制御系の構成と同様である。例えば、制御部201、記憶部204、認識部210、送受信部205、入力部206、画面制御部207および表示部208を備えている。その他に、装着機n108の装着制御部202に相当し、その部品実装機k本来の動作制御を行う動作制御部を備える。動作制御部は、例えば、部品挿入機であれば部品を回路基板に挿入する動作の、クリーム半田印刷機105であればクリーム半田を回路基板に印刷する動作の制御を行う。
記憶部204は、図9に示すのと同様な設備情報211、図10に示すのと同様なNCデータ220および制御部201が部品実装機kを制御するために必要な制御ソフトウェアを記憶している。
設備情報211は、図9の生産管理情報の内で上から稼動率までは、部品実装機kの種類で共通な項目である。他の生産管理情報およびカセット情報は、部品挿入機においてはそのまま適用できるが、クリーム半田印刷機105、接着剤塗布機107、リフロー装置110、または、各種検査機では、それぞれに特有な情報が存在する。
NCデータ220は、部品ライブラリ241については、各種の部品実装機kにほぼ共通である。NCプログラム221、配列プログラム231は、部品挿入機においてはそのまま適用できる。NCプログラム221は、接着剤塗布機107、各種検査機でそのまま適用できる。クリーム半田印刷機105、リフロー装置110については、それぞれの特有な動作を指示するための特有なフォーマットを有するNCプログラム221が存在する。
送受信部205は、管理装置101との送受信を行うためのもので、本実施の形態では無線LAN102で送受信可能なアンテナを備えたものとしている。但し、これに限定するものではなく、ケーブルで接続されたネットワークであっても良い。
(6)多機能装着機108b
多機能装着機108bは、高速装着機108aから一枚ずつ回路基板10を受け取り、受け取った回路基板10上に部品を装着し、部品が装着された回路基板10を装着部品検査機109へ供給する。また、部品の装着に関する設備情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、部品を装着する位置や部品を装着するための諸条件を指示するNCデータ220等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。
多機能装着機108bは、上述した通り、異形部品を含む多くの種類のチップ部品を回路基板10上に装着する。
多機能装着機108bは部品吸着ノズル7に吸着された部品15を下方からカメラで認識し吸着位置ずれを検出する認識部210を備えている。装着ヘッド4はXYロボット14の駆動により、部品供給装置5から部品15を吸着した後に、認識部210上まで移動する。そこで、認識部210は部品15を認識し、吸着ずれを検出する。その後、XYロボット14の駆動により、装着ヘッド4は認識部210が検出した吸着ずれを解消するように補正した後装着位置まで移動し、部品15を装着する。
ここで、図5(b)のような多機能装着機において、品質を維持するためには、高速装着機108aと同様に、部品の装着速度等の部品装着する諸条件を考慮する必要がある。
また、多機能装着機108bにおける実装タクトは、回路基板1枚に対する部品の装着を行うのに必要な時間であり、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、全部品を装着位置に装着を行う時間等により決まる。この場合、実装タクトを部品装着に限定して「装着タクト」とも呼び、標準実装タクトを部品装着に限定して「標準装着タクト」とも呼ぶ。また、実装タクト実績値を部品装着に限定して「装着タクト実績値」とも呼ぶ。
また、装着タクト(または装着タクト実績値)が標準装着タクトを越えた時、そのタクトのオーバ分を「タクトロス」という。タクトロスの内訳として、例えば、装着ヘッド4の移動ロス、および、部品吸着ノズル7の交換時間がある。また、1装着点当りの標準装着タクトを「1点当標準装着タクト」、1装着点当たりの装着タクトを「1点当装着タクト」、1装着点当たりのタクトロスを「1点当タクトロス」と呼ぶ。
また、上記のような構成の多機能装着機108bにおいて、1点当装着タクトは、装着ヘッド4が部品供給装置5まで移動し、部品を吸着した後装着位置まで移動する1サイクルの移動距離によって決まる。この移動距離が所定の範囲内で収まる場合は1点当標準装着タクトで装着できるが、所定の範囲内を越える場合は1点当標準装着タクトで装着できず、タクトロスを含んだ1点当装着タクトとなる。従って、多機能装着機の場合、装着する部品において、装着位置と部品供給装置5の位置との距離を最小化することが最適化のポイントとなる。また、図5(b)のように、XYロボット14に装着ヘッド4を複数搭載した場合は、複数の装着ヘッド4で同時または連続して部品を部品供給装置5から吸着することもタクトを短縮するポイントとなる。更に、図示してないが、部品の種類に応じて部品吸着ノズル7を交換する必要があり、交換する場合はタクトロスが発生する。従って、部品吸着ノズル7の交換回数を最小にすることも最適化のポイントになる。
また、多機能装着機108bの制御系の構成は、それぞれ上記した装着機n108と同様であるので、説明は省略する。
(7)装着部品検査機109
装着部品検査機109は、多機能装着機108bから一枚ずつ回路基板10を受け取り、受け取った回路基板10上の部品の欠品や位置ずれを検査し、検査の終了した回路基板10をリフロー装置110へ供給する。また、装着部品検査に関する設備情報および検査結果の情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、装着部品検査機109が検査するための検査データを指示するNCデータ220等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。なお、検査データには、部品装着位置、検査OK/NGの閾値等が含まれる。
装着部品検査機109の出力内容は、各部品が正常に装着されたかの判定結果、および、装着不良と判定した部品の位置の特定と不良内容である。部品の位置の特定は、例えば、実装する部品毎に付与した回路番号で行う。
また、装着部品検査機109における実装タクトは、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、回路基板10を撮像する時間や、回路基板10を撮像した画像データを処理し検査する時間等により決まる。
(8)リフロー装置110
リフロー装置110は、装着部品検査機109から一枚ずつ回路基板10を受け取り、受け取った回路基板10についてクリーム半田を溶融し部品の電極と回路基板10上のランドとの半田付けを行う。そして、半田付けがされた回路基板10を外観検査機111へ供給する。また、リフローに関する設備情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、リフロー装置110が半田付けするための諸条件を指示するためのNCデータ220(温度プロファイルも含まれる)等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。
リフロー装置110は、リフロー炉の中を半田付けを行う回路基板10を搬送し、クリーム半田を溶融し部品の電極と回路基板10上のランドとの半田付けを行うものである。このような、リフロー装置110において、品質を維持するためには、リフロー半田付けを行う諸条件を考慮する必要がある。例えば、回路基板10の種類、実装している部品の種類、クリーム半田の種類等により、リフロー炉内の温度プロファイルを適切に設定しなければならない。また、リフロー炉内の雰囲気や送風等の制御も考慮必要な条件である。
また、リフロー装置110における実装タクトは、回路基板10をリフロー装置110の中を搬送する時間等により決まる。
(9)外観検査機111
外観検査機111は、リフロー装置110から一枚ずつ回路基板10を受け取り、受け取った回路基板10について、半田付けの状態、部品実装状態等を外観により検査し、検査の終了した良品の回路基板10を収納装置112へ供給する。また、外観検査に関する設備情報211および検査結果の情報等を無線LAN102を介して管理装置101へ出力する。また、外観検査機111が検査するための検査データを指示するNCデータ220等を、管理装置101から無線LAN102を介してインストール可能である。なお、検査データには、部品装着位置、検査OK/NGの閾値等が含まれる。
外観検査機111の出力内容は、各部品が正常に半田付けされたかの判定結果、および、半田付け不良と判定した部品および電極の位置の特定と不良内容である。部品の位置の特定は、例えば、実装する部品毎に付与した回路番号で行い、電極の位置の特定は、部品の電極毎に付与した電極番号で行う。半田付け不良の事例としては、部品位置ずれ、部品欠品、半田未接続、半田ブリッチ等が挙げられる。
また、外観検査機111における実装タクトは、回路基板10の搬入、搬出時間(ローディング時間)や、回路基板10を撮像する時間や、回路基板10を撮像した画像データを処理し検査する時間等により決まる。
(10)収納装置112
収納装置112は、外観検査機111から一枚ずつ回路基板を受け取り、受け取った回路基板10を収納する。
(11)管理装置101
管理装置101は、図7に示すように、実装機側送受信部401、サービス受給装置側送受信部406、制御部402、データ記憶部403、入力部404および表示部405から構成されている。
実装機側送受信部401は、無線LAN102を介して、各部品実装機kと送受信できるようアンテナを備えている。サービス受給装置側送受信部406は、ネットワーク3を介してサービス受給装置1と送受信可能である。
(a)データ記憶部403
データ記憶部403には、図8に示すように、各部品実装機kの設備情報211、各検査機の検査結果情報212、各部品実装機kの実装タクト情報213、各部品実装機kのNCデータ220、サービスデータ215、サービスプログラム216、納入実績情報217が記憶される。設備情報211、検査結果情報212および実装タクト情報213は、各部品実装機kからアップロードした実績情報であり、各部品実装機k毎に記憶される。NCデータ220は、各部品実装機kにダウンロードするためのもの、または、各部品実装機kからアップロードしたものであり、各部品実装機k毎に記憶されている。
また、サービスデータ215、サービスプログラム216は、サービス受給装置1がサービス供給装置2から引き出したサービス情報の具体内容となるものであり、そのサービス受給装置1から送信されたものが記憶される。ここで、サービスデータ215は、営業情報、取説情報、および、メンテナンス情報等があり、各種部品実装機のユーザにサービスを提供するためのデータである。サービスプログラム216は、バーチャルトレーニングソフト、最適化ソフトウェア等があり、そのサービスプログラム216を実行することによりサービスを提供するものである。
また、納入実績情報217は、部品実装機を納入した実績を表すもので、例えば、納入した機種、その台数等が含まれる。この納入実績情報217は、サービス受給装置を経由してサービス供給装置2へ収集され、サービスデータ215、サービスプログラム216を提供するために利用される。
(b)実装機側送受信部401
実装機側送受信部401は、制御部402から設備情報211およびNCデータ220のアップロード指令を受け取った場合に、無線LAN102を介して、全ての部品実装機kに対して、設備情報211およびNCデータ220のアップロードを行い、受信した設備情報211およびNCデータ220をデータ記憶部403へ書き込む。
また、実装機側送受信部401は、制御部402から部品実装機kにダウンロードすべきNCデータ220を受け取り、無線LAN102を介して部品実装機kへ送信する。
(c)サービス受給装置側送受信部406
サービス受給装置側送受信部406は、サービス受給装置1からのアップロードに伴い、設備情報211、検査結果情報212、実装タクト情報213、納入実績情報217およびNCデータ220をサービス受給装置1へ送信する。
また、サービス受給装置側送受信部406は、サービス受給装置1からダウンロードされるNCデータ220、サービスデータ215およびサービスプログラム216を受信する。
(d)制御部402
制御部402は、自動的に設備情報211、検査結果情報212およびNCデータ220をアップロードするタイミングを判断し、またはオペレータの判断により、実装機側送受信部401に設備情報211、検査結果情報212およびNCデータ220のアップロードを指示する。そして、実装機側送受信部401から各部品実装機k毎の設備情報211、検査結果情報212およびNCデータ220を受け取り、データ記憶部403に各部品実装機k毎に記憶させる。なお、自動的に設備情報211をアップロードするタイミングは、例えば、10分に1度というように定期的なものとして設定するものとする。また、NCデータ220のアップロードは、特定の部品実装機kを指定して発信することもできる。
また、制御部402は、自動的にタイミングを判断し、またはオペレータの判断により、データ記憶部403に記憶されている部品実装機k毎のNCデータ220を読み出す。またこの読み出した部品実装機kのNCデータ220をダウンロードすべく実装機側送受信部401へ出力する。なお、自動的にNCデータ220をダウンロードするタイミングは、例えば、その品種の回路基板の生産が始まる前とする。
また、制御部402は、自動的にタイミングを判断し、またはオペレータの判断により、実装タクト実績値の算出を行う。実装タクト実績値は、実装タクト情報213に含まれるものであり、各部品実装機kが回路基板1枚の生産にかかる実績時間である。特に、高速装着機108a、多機能装着機108bの場合は、回路基板1枚に対して部品を装着するのにかかる実績時間である。
実装タクト実績値を算出するために、上記で説明した一定周期でアップロードする設備情報211を用いる。前回アップロードした時点からの経過時間の間のP板(プリント基板、即ち回路基板)待ち時間、メンテナンス時間、トラブル停止時間および部品切れ停止時間の合計値を引いた値を、その間の生産枚数で割った値が実装タクトの実績値となる。そして、この実装タクトの実績値を数回求めた値の平均を取ったものを実装タクト実績値として出力する。
制御部402は、上記したように算出した実装タクト実績値をデータ記憶部403の実装タクト情報213の領域に書き込み更新する。なお、自動的に実装タクト実績値を算出するタイミングは、例えば、その品種の回路基板の生産が始まった時とする。
なお、実装タクト実績値は、部品実装機kから収集した設備情報211を基に管理装置101において算出された事例を紹介したが、この限りではない。部品実装機kにおいて、回路基板1枚を実装する時間を検出しこれを実装タクト実績値として記憶しておき、この実装タクト実績値を管理装置101が設備情報211等と伴にアップロードするものであっても構わない。
また、制御部402は、オペレータによる入力部404からの入力を受けて、納入実績情報217を作成し、データ記憶部403へ記憶させる。但し、納入実績情報217の作成方法は、この限りではない。部品実装機kが工場に納入され、無線LAN102を介して管理装置101に接続された時点で、制御部402が接続された部品実装機kからの信号を受信したことで、その新しい部品実装機kが納入されたものと検知し、納入実績情報217を作成するものでも構わない。
また、制御部402は、サービス受給装置側送受信部406を介したサービス受給装置1からのアップロードの指示を受け、データ記憶部403から設備情報211、検査結果情報212、実装タクト情報213、納入実績情報217およびNCデータ220を読み出し、サービス受給装置側送受信部406を介してサービス受給装置1へ送信する。
また、制御部402は、サービス受給装置側送受信部406を介したサービス受給装置1からのNCデータ220、サービスデータ215およびサービスプログラム216のダウンロードを受信する。
更に、制御部402は、入力部404からオペレータからの指示命令を受け取り、受け取った指示命令に基づいて、画面データを生成し、生成した画面データを表示部405へ出力する。
II サービス受給装置1およびサービス供給装置2の構成
サービス受給装置1は、実装機納入先に設置され、実装機供給メーカにあるサービス供給装置2からインターネットを始めとするネットワーク60を介して実装に関するサービスの提供を引き出す装置である。
(1)サービス受給装置1の機能
サービス受給装置1は、図11に示すような選択画面の1具体例としてのWEB画面を表示部25において立ち上げ、そのWEB画面に表示されたメニューを押すことにより提供を受けたいサービスを選択することができる。サービス受給装置1は、オペレータが選択したメニューに該当するサービスについて、サービス供給装置2のサービス情報DB26から該当するサービスデータ、サービスプログラムを検索し引き出す。引き出したサービスデータ215、サービスプログラム216は、サービス受給装置1の画面で確認することができ、更に、各工場の管理装置101へ転送できる。
以下に、提供する各サービスについて説明する。
(1−1)契約レベルに応じたサービスの提供
サービス受給装置1がサービス供給装置2から引き出すサービスの開示内容は、納入先企業が部品実装機供給メーカと契約したレベルにより変る。契約レベルが上がるにつれて、開示範囲がより高度なサービスまで広がる。契約レベルは、部品実装機kのオペレータのレベル、または、工場で生産で使用する実装工法の難易度により、更に納入先の要望により決めるのが望ましい。
なお、図11に示す表示部25でのWEB画面において、「契約」のメニューを選択すると、契約レベルを選択することができる。図では、契約の初期レベルの状態にあり、「営業情報」、「電子取説」、「補修パーツ」のメニューだけが選択できる。図では破線でのメニュー表示になっているその他のメニューは、契約のレベルを上げないと選択できない。
(1−2)営業情報
新商品情報を得ることができる。最新の総合カタログや各部品実装機kの機種ごとのカタログや仕様書の電子ファイルの提供を受けられる。
(1−3)電子取説
各部品実装機kをオペレータが操作するために必要な取扱説明書の最新情報の提供を受けることができる。改訂された取扱説明書の内容が最新版ではどのようになっているかを知ることができる。そして、選択した取扱説明書の電子ファイルの提供を受けることができる。
(1−4)補修パーツ
部品供給装置5であるパーツカセット、または部品吸着ノズル7等の補修パーツを実装機納入先工場に発送するように手配するサービスを受けれる。
(1−5)バーチャルトレーニング
実装機納入先工場において部品実装機kを操作するオペレータに対して、管理装置101または部品実装機kの表示部208に操作ガイドを表示させて仮想トレーニングを行う。このサービスを受けると、サービス供給装置2からバーチャルトレーニングソフトが転送されてくる。このバーチャルトレーニングソフトを該当工場の管理装置101へ転送し、該当工場の管理装置101または部品実装機kでバーチャルトレーニングソフトを起動させてトレーニングを実施することができる。また、サービス受給装置1でバーチャルトレーニングソフトを起動させて、ネットワーク3を介して遠隔操作でトレーニングを実施することもできる。
(1−6)メンテナンス情報
部品装着機kでトラブルが発生した時の復帰方法について説明したメンテナンス情報またはメンテナンスマニュアルの電子ファイルの提供を受けられる。また、各部品実装機kにおいて、今まで発生した不具合情報の開示を受けられる。その開示された不具合について、その不具合を解消するためには、例えば、補修パーツの交換が必要か、ソフトウェアのバージョンアップが必要か、その対処方法を知ることができる。
(1−7)ソフトウェアバージョンアップ
部品実装機kにおいて、過去に発生したソフトウェアの不具合を解消させた最新バージョンのソフトウェアにバージョンアップするサービスの提供を受けられる。不具合でなくとも、最新バージョンでは例えば操作性がどれだけ向上したかの情報を知ることができ、バージョンアップは無償か有償かも知ることができる。
バージョンアップを受ける場合、サービス供給装置2から最新バージョンのソフトウェアが転送されてくる。この最新バージョンのソフトウェアを該当工場の管理装置101へ転送し、該当の部品実装機kへインストールする。
(1−8)実装部品データ
NCデータ220の中で部品ライブラリ241の提供を受けることができる。サービス供給装置2のサービス情報DB26には良品生産の実績のある全ての部品を含んだ正常な部品ライブラリ241が保持されており、その部品ライブラリ241の全て、または必要な部品実装機k、部品種類等を指定した範囲について取得することができる。これにより、使用する部品や回路基板の種類に応じて良好な品質を得るのに適した実装生産が初心オペレータでも可能になる。
(1−9)工法データ
各部品や回路基板の種類に対してクリーム半田や接着剤をどのように選ぶか、リフローの温度プロファイルはどうしたら良いか等の工法データを取得することができる。
(1−10)最適化
1台の装着機n108における装着時間を短縮するための部品の装着順序と部品供給部11の部品供給装置5の配列の最適化、部品実装ライン100を構成する複数台の装着機n108の装着タクトのバランスを取るための部品の各装着機n108への振り分け、および、生産回路基板の品種切替え時の部品供給装置5を交換する品種切替え時間を短縮するための部品供給装置5の配列の共通化を図る共通部品配列作成等のNCデータ220の最適化ソフトウェアの提供を受けられる。この最適化ソフトウェアにより、各工場の部品実装機kからアップロードしたNCデータ220に対して最適化を行い、最適化後のNCデータ220を各工場の部品実装機kへフィードバックすることができる。また、最適化ソフトウェアにより最適化を行ったNCデータ220に対して実装タクトシミュレーションを行い実装タクトの理論計算を行う実装タクトシミュレーションソフトの提供を受けられる。
また、装着機n108以外の部品実装機kについても、1台の部品実装機kにおける1枚の回路基板を生産、または、検査する時間である実装時間を短縮する最適化も行い、装着機n108を含めた各部品実装機kの実装タクトのバランスを考慮した各部品実装機kへの実装部品、塗布部品の振り分けも行う。また、装着機n108以外の部品実装機kについても、品種切替え時間を短縮するための最適化も行う。装着機n108以外の部品実装機kのNCデータ220に対して、このような最適化を行い、最適化をしたNCデータ220を各部品実装機kへフィードバックする。
(1−11)監視・分析
部品実装機供給メーカのサービス供給装置2がネットワーク60を介して部品実装ライン100の品質、稼動状況を監視するサービス、更に、監視する中で異常が発生した時に、その原因を分析し対策のためのフィードバックを部品実装ライン100に対して行うサービスの提供を受けるものである。この監視・分析のサービスはサービス供給装置2が提供する監視・分析ソフトウェアを実行することにより実現される。
(2)サービス供給装置2の制御構成
サービス供給装置2の制御構成について、図12を用いて説明する。
サービス供給装置2は、送受信部305、記憶部302、DB変換部308、サービス情報DB26、稼動品質情報DB51、制御部301、入力部306および表示部307により構成される。送受信部305は、ネットワーク60と接続されており、サービス受給装置1のサービス供給装置側送受信部23と情報の送受信が可能である。
(2−1)記憶部302
記憶部302は、プログラム領域303およびデータ領域304から構成される。
プログラム領域303には、サービス供給装置2がサービス受給装置1から要求されるサービスを提供する諸機能を実現するために後述する手順の動作を行うサービス供給プログラムが予めインストールされ記憶されている。サービス供給プログラムは、フロッピ、CDロム等の記憶媒体もしくはインターネット等の伝送媒体を介してインストールおよび販売することが可能である。また、サービス供給プログラムによりサービス情報DB26から引き出したサービスプログラム216を記憶部302のプログラム領域303に記憶し、そのサービスプログラム216をサービス供給装置2で実行させることもある。そのようなサービスプログラム216は、例えば、最適化ソフト、実装タクトシミュレーションソフト、監視・分析ソフトウェア等が挙げられる。サービスプログラム216も、フロッピ、CDロム等の記憶媒体もしくはインターネット等の伝送媒体を介してインストールおよび販売することが可能である。
データ領域304には、各実装機納入先工場の各部品実装機kの設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217およびNCデータ220を記憶する。また、各検査機の検査結果情報212を記憶する。また、実装タクトシミュレーションを行うために使用する速度マスタ414、タクトシミュレーションパラメータ413(図14(a)、(b)参照)も記憶されている。
設備情報211および検査結果情報212は、サービス受給装置1を経由して各部品実装機kからアップロードした実績情報であり、各部品実装機k毎に記憶される。実装タクト情報213は、サービス受給装置1を経由して管理装置101からアップロードした実装タクト実績値を含む実績情報と、実装タクトシミュレーションにて算出した実装タクト、タクトロスの理論値とからなるものであり、各部品実装機k毎に記憶される。納入実績情報217は、サービス受給装置1を経由して管理装置101からアップロードしたもので、納入した部品実装機kの機種、台数、納入日等のデータであり、各実装機納入ユーザ毎に記憶される。NCデータ220は、サービス受給装置1を経由して各部品実装機kにダウンロードするためのもの、または、サービス受給装置1を経由して各部品実装機kからアップロードしたものであり、各部品実装機k毎に記憶されている。
速度マスタ414は、装着機n108の事例とした図14(a)に示すように、装着機n108を識別する名称である装着機名毎に、部品の形状毎に一意に決まる形状コードに対する1点当標準装着タクトが記憶されている。また、装着機名毎に、ローディング時間、ツールチェンジ時間およびカセット交換時間を記憶している。ここで、ローディング時間は、一枚前の回路基板が装着し終えた時から次に装着する回路基板を装着する位置にセッティングするまでの時間であり、ツールチェンジ時間は、部品を吸着する部品吸着ノズル7または部品をチャッキングするツールを交換する時間であり、これは多機能装着機108bで考慮すべきものである。これらにより、回路基板1枚を装着する標準装着タクトを算出できる。
また、カセット交換時間は、1つのパーツカセット、即ち部品供給装置5を交換するのに要する時間である。この予め記憶されたカセット交換時間と、品種切替えの前後のNCデータ220とに基づき品種切替え時間が理論的に算出される。つまり、品種切替えの前後のNCデータ220から部品供給装置5の交換数がわかり、この交換数にカセット交換時間を乗じて品種切替え時間とするものである。
タクトシミュレーションパラメータ413は、部品実装機k毎に存在する。装着機n108の事例を図14(b)に示すが、装着機n108の各装着速度毎に標準タクト(1点当標準装着タクトのことである)、XY範囲(XYテーブル9の標準タクト内許容移動範囲)、XY速度(XYテーブル移動速度)、Z範囲(部品供給装置5の標準タクト内許容移動範囲)およびZ速度(部品供給装置移動速度)が予め記憶されている。なお、装着速度は、装着ヘッド速度またはXYテーブル移動速度のことである。これらにより、XYテーブル移動ロスおよび部品供給装置移動ロスが算出される。
(2−3)送受信部305
送受信部305は、サービス受給装置1からサービスデータ215、サービスプログラム216の引き出し要求を受け、その引き出し要求に対する許可を制御部301から受けて、制御部301がサービス情報DB26から検索したサービスデータ215、サービスプログラム216をサービス受給装置1へネットワーク60を介して送信する。
また、サービス受給装置1へ設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217およびNCデータ220のアップロードを要求し、ネットワーク60を介して設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217およびNCデータ220をサービス受給装置1からアップロードする。また、サービス受給装置1へネットワーク60を介してNCデータ220のダウンロードを行う。
(2−4)稼動品質情報DB51
稼動品質情報DB51は、記憶部302のデータ領域304に記憶された設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212等を取り込み、稼動状況や品質状況を分析し易いデータ構造に加工しデータベースに蓄積したものである。
一例として、図15に示すように、稼動品質情報DB51は、設備情報DB30、実装タクトDB32および検査結果DB34を含んでいる。
設備情報DB30は、設備情報31が、実装機納入先工場名と部品実装機名とで特定される設備のインデックス毎および時間で特定される時間のインデックス毎に書き込まれる。設備情報31は、各実装機納入先工場の管理装置101から取り込み記憶部302のデータ領域304に書き込まれた設備情報211に基づくものであり、稼動率、吸着率、P板待ち時間、トラブル停止時間およびメンテナンス時間等からなる。
実装タクトDB32は、実装機納入先工場名毎に存在する。回路基板の生産品種毎に生産開始時刻および生産終了時刻が記憶されており、実装タクト情報33が、部品実装機名で特定される設備のインデックス毎および生産品種で特定される品種のインデックス毎に書き込まれる。実装タクト情報33は、各実装機納入先工場の管理装置101から取り込み記憶部302のデータ領域304に書き込まれた実装タクト情報213(記憶部302のデータ領域304に予め記憶されているタクトシミュレーションパラメータ413を用いて算出されたタクトロスを含む)に基づく。
検査結果DB34は、実装機納入先工場名毎に存在する。検査結果情報35が、印刷後、装着後および外観の各検査で特定される検査機のインデックス毎および生産品種で特定される品種のインデックス毎に書き込まれる。検査結果情報35は、各実装機納入先工場の管理装置101から取り込み記憶部302のデータ領域304に書き込まれた検査結果情報212に基づく。検査結果情報35は、更に、その中で、各回路基板10の識別コードと回路番号および電極番号で特定することにより、回路基板10の1枚毎についてOK/NGか、どの回路番号、電極番号でどの不良内容かを示す情報を検索することができる。
このように、各部品実装機kから収集した設備情報211および実装タクト情報213を各生産品種のインデックス毎または時間のインデックス毎、並びに各部品実装機kのインデックス毎に蓄積するため、または、各検査機から収集した検査結果情報212を各生産品種のインデックス毎並びに各検査機のインデックス毎に蓄積するため、分析するのに重要なキーワードとなる生産品種、時間、部品実装機k、検査機で簡単に検索し照合し分析することができる。
また、稼動品質情報DB51は、ライン稼動率、ライン実装タクト、吸着率の目標値およびラインタクトバランス、タクトロスの許容範囲が予め書き込まれている。ライン稼動率、ライン実装タクトやこれらの目標値、許容範囲については、「4 サービス受給装置1およびサービス供給装置2の動作」の「(2−2)監視・分析の動作」において、詳細に後述する。
(2−5)DB変換部308
DB変換部308は、記憶部302のデータ領域304に書き込まれた設備情報211、実装タクト情報213(実績値である実装タクト実績値と、理論値であるタクトロスとを含む)および検査結果情報212を稼動品質情報DB51のデータ構造に変換して稼動品質情報DB51に書き込む。例えば、設備情報211を稼動品質情報DB51に書き込む場合は、その設備情報211がどの実装機納入先工場か、どの部品実装機kか、更にどの時間のものかを考慮して、設備情報DB30のインデックスを検索し、該当するインデックスの場所に変換した設備情報31を書き込む。
また、DB変換部308は、記憶部302のデータ領域304に書き込まれた納入実績情報217をサービス情報DB26の契約DB320(後述)にユーザ毎に書き込む。
(2−6)サービス情報DB26
サービス情報DB26は、サービス機能を提供するために必要なサービスデータ215、サービスプログラム216が蓄積されており、必要な時に取出してサービスを提供できるようになっており、図16に示す各データベースで構成されている。
サービスデータ215およびサービスプログラム216は、サービス情報の具体内容である。サービスデータ215は、ユーザにサービスを提供するために必要なデータであり、例えば、契約情報、営業情報、取説情報、補修パーツ情報、メンテナンス情報、部品実装機のソフトウェア、実装部品情報、および、実装工法情報等がある。また、サービスプログラム216は、それ自身を実行することによりユーザにサービスを提供できるものであり、例えば、バーチャルトレーニングソフト、最適化ソフトウェアおよび監視・分析ソフトウェア等がある。
これにより、サービス情報DB26にサービスデータ215、または、サービスプログラム216を新しい実装ノウハウとして次々と一元的に蓄積しておき、世界のどこからでもサービス受給装置1から最新のノウハウであるサービスデータ215、または、サービスプログラム216を容易に検索できるので、ユーザにとって必要な最新のサービスデータ215、サービスプログラム216を即時に確実に取得することができる。これにより、従来では、操作ミスによるトラブルを引き起こしがちな複雑な実装工法でも、試行錯誤をしながら立ち上がりの生産ロスを経て確立しなくても、既に確立された最新のノウハウに基づく実装生産を実現することができる。
以下に、それらの具体内容について説明する。
(a)契約DB320
契約データベース320(以後契約DBと呼び、以下の他のデータベースについてもDBを用いて同様に呼ぶ)は、図17にその内容を示すように、各契約先の部品実装機納入先ユーザ毎の契約情報を蓄積したものである。例えば、契約レベルをユーザコードまたは納入先ユーザ名で検索してアクセスすることができる。これにより、ユーザ毎の契約レベルを一元管理し、契約データベースに登録した契約レベルの内容によりユーザ毎のサービスの開示範囲を容易に決定することができる。
図17において、契約レベルが「0」とは、初期レベルである最下位レベルの契約であることを示し、このユーザに対しては、営業情報や電子取説等の最低限のサービスのみが開示される。また、契約レベルが「2」とは、初期レベルより2ランクアップした契約レベルであることを示し、契約レベル0と比べるとサービスの開示範囲が広くなる。
この契約レベルに基づき納入先ユーザへ課金がされる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。これにより、サービス供給の度に課金せずに、サービスの契約をしたレベルにより、例えば1ヶ月単位で定期的にまとめて課金するので、ユーザにとっても、メーカにとっても課金の処理が簡易化できる。また、ユーザにとっては、不要なサービスを選択し誤まって課金される不具合もなくなる。
また、契約DB320には、ユーザ毎に、サービスデータ215やサービスプログラム216の自動送付の有無、および、部品実装機kの納入実績が登録される。
サービスデータ215やサービスプログラム216の自動送付の有無については、例えば、図17に示すように、一括送付するか、もしくは、各サービスデータ215やサービスプログラム216を個別に送付するかを登録できる。「一括」を選択して登録すると、サービスデータ215やサービスプログラム216の全てにおいて、いずれかのものが改訂、または、バージョンアップされたタイミングで、その改訂、または、バージョンアップされたものを自動送付する。一方、いずれかのサービスデータ215やサービスプログラム216について、例えば、営業情報、取説、メンテナンス情報、部品実装機ソフト、または、最適化ソフトについて、個別に選択したら、その選択登録したサービスデータ215やサービスプログラム216のみについて、改訂、または、バージョンアップされたタイミングで、その改訂、または、バージョンアップされたものを自動送付する。これにより、ユーザは、特に自分からサービス内容の改訂またはバージョンアップを1つ1つチェックしなくても、改訂またはバージョンアップがあった時に即座に新しいものに切替え、最新のサービスの提供を受けることができる。
また、部品実装機kの納入実績については、納入した部品実装機kの機種とその納入台数、および、納入日が登録される。これにより、納入済みの部品実装機kの機種に関するサービスデータ215やサービスプログラム216をその改訂またはバージョンアップしたタイミングで自動送付することが可能になる。従って、ユーザは、必要な部品実装機kの機種に関するサービスのみの提供を受けることができるので、無駄がなく効率よくサービスを受けることができる。
なお、この部品実装機kの納入実績については、サービス受給装置1から収集し記憶部302のデータ領域304に書き込まれた納入実績情報217が、DB変換部308により変換され登録される。
(b)営業情報DB321
営業情報DB321は、図18にその内容を示すように、各部品実装機kの機種毎にカタログの所在アドレスであるカタログコードおよび仕様書の所在アドレスである仕様書コードを記憶したものである。カタログコードにより、該当の機種のカタログの電子ファイル350を検索でき、仕様書コードにより、該当の機種の仕様書の電子ファイル351を検索できる。
また、図18に示すように、営業情報DB321は、ユーザが指定する仕様条件から部品実装機kの機種を特定するために、ユーザの所望の各仕様条件を指定し、それに合致する機種を検索できるようなデータベース構造になっている。ユーザが指定する仕様条件は、例えば、図にあるように、タクト(1点当装着タクト)、装着精度、価格、装着可能部品、占有面積等で、1点当装着タクトが0.15秒より速く、装着精度が0.05mm以上で、1005チップ部品が装着可能な装着機が所望であれば、その条件に合致する装着機を検索する。検索されたのが「部品実装機2」であれば、その該当するカタログコード、仕様書コードで該当する「部品実装機2」のカタログや仕様書の電子ファイルが検索できる。
これにより、ユーザが指定する仕様条件に合致する部品実装機のカタログ、仕様書等の営業情報の引き出しができるので、ユーザが所望する条件を満たした部品実装機kを容易に検索でき、その部品実装機kのカタログ、仕様書等を効率よく取得できる。
なお、図にあるように、カタログや仕様書は、発行された年度とシリアル番号とからなる発行番号毎に記憶されているので、最新版だけでなく古いカタログも参照することができる。また、サマリーな情報を指定(機種を「サマリー」と指定)すると、総合カタログの電子ファイル352を検索することができ、総合カタログの電子ファイルも発行番号毎に記憶されているので、最新版だけでなく古い総合カタログも参照することができる。なお、価格について、図では日本円で表示されているが、アメリカドル、カナダドル、ヨーロッパユーロ等の諸国通貨での価格も営業情報DB321に準備されているものとする。
(c)取説DB322
取説DB322は、図19にその内容を示すように、各部品実装機kの機種毎に取扱説明書の所在アドレスである取説コードを記憶したものである。取説コードにより、該当の機種の取扱説明書の電子ファイル355を検索できる。なお、取扱説明書は、発行された年度とシリアル番号とからなる発行番号毎に記憶されているので、最新版だけでなく古い取扱説明書も参照することができる。また、常に、ユーザにとって必要なタイミングで、最新版の取扱説明書を提供することができる。
(d)補修パーツDB323
補修パーツDB323は、図20にその内容を示すように、在庫情報358と手配情報359とからなる。在庫情報358は、各補修パーツ品番毎に、各サービス拠点にある在庫の数が記憶されている。ここで、補修パーツは、例えば、パーツカセットを始めとする部品供給装置5や部品吸着ノズル7等である。
手配情報359は、補修パーツの注文のあったユーザ毎に、手配する補修パーツ品番、その数量、納期および対応拠点等の情報が記憶される。なお、拠点1、拠点2、…は日本国内の各拠点であっても各国にある各拠点であっても構わない。また、手配情報359は、補修パーツDB323から取出し、納期の早いユーザ順に並べて参照することが可能とする。
(e)バーチャルトレーニングDB324
バーチャルトレーニングDB324は、図21にその内容を示すように、各部品実装機kの機種毎にバーチャルトレーニングソフトの所在アドレスであるトレーニングコードを記憶したものである。トレーニングコードにより、該当の機種のバーチャルトレーニングソフト361を検索できる。
このバーチャルトレーニングDB324からバーチャルトレーニングソフト361をユーザに供給することにより、部品実装機kのオペレータの操作ミスが起こらないように、部品実装機kのオペレータに対するトレーニングを、必要なタイミングでいつでも実施することができる。
(f)メンテナンス情報DB325
メンテナンス情報DB325は、図22にその内容を示すように、各部品実装機kの機種毎に各部位に対応するメンテナンス情報363を検索できるようになっている。各部位としては、装着ヘッド4、XYテーブル9、部品供給部11、認識部等でこれらの部位を指定してメンテナンス情報363を引き出せる。メンテナンス情報363は、エラー内容や過去に起こった不具合内容とそれらの対処方法とからなる。このメンテナンス情報DB325に対して、部品実装機kの機種、部位名を指定して過去に発生した不具合内容のリストを抽出でき、抽出した各不具合内容に対する対処方法を知ることができる。対処方法は、例えば、補修パーツの交換が必要、または、ソフトウェアのバージョンアップが必要という内容である。
また、他の抽出方法としては、このメンテナンス情報DB325に対して、部品実装機kの機種、部位名および不具合内容を指定して、その不具合内容に対する対処方法を抽出することもできる。これにより、膨大なメンテナンス情報の中で、今現在発生し緊急に解消させたい部品実装機kでのエラーについての復帰方法や再発防止策を速やかに抽出できるので、部品実装機kのエラー停止時間を最小限に押さえることができ、再度そのエラーが発生することを防ぐことができる。
また、メンテナンス情報DB325は、図22に示すように、各部品実装機kの機種毎にメンテナンスマニュアルの所在アドレスであるメンテナンスコードを記憶している。メンテナンスコードにより、該当の機種のメンテナンスマニュアルの電子ファイル364を検索できる。ここで、メンテナンスマニュアルは、上記メンテナンス情報363の他に、定期点検や制御配線図、シーケンス制御図面等のメンテナンスに必要な情報から構成される。なお、メンテナンスマニュアルは、発行された年度とシリアル番号とからなる発行番号毎に記憶されているので、最新版だけでなく古いメンテナンスマニュアルも参照することができる。また、常に、最新版のメンテナンスマニュアルを提供することができる。
(g)ソフトウェアDB326
ソフトウェアDB326は、図23にその内容を示すように、各部品実装機kの機種毎にソフトウェアの種類に対応するバージョンアップ情報366、ソフトコードが検索できるようになっている。ソフトウェアの種類は、図にはソフトウェア1、ソフトウェア2、…と示されているが、例えば、操作制御ソフト、部品供給部の位置決めソフト等が挙げられる。バージョンアップ情報366は、ソフトウェアの各バージョンに対するソフトウェアのバージョンアップ内容、例えば、解消させた不具合内容、操作性や機能を向上させた内容等からなる。
また、ソフトコードは、該当するソフトウェアの所在アドレスを示す。ソフトコードにより、該当の機種のソフトウェア367を検索できる。なお、ソフトウェア367は、最新バージョンに加えて過去のバージョンのものも検索できる。
(h)実装部品DB327
実装部品DB327は、図24にその内容を示すように、部品の各形状コード毎に存在する。各形状コードに対して、部品の分類区分を示す種別と、部品実装機kの機種に共通なデータである部品寸法等の共通データ369と、各部品実装機kの機種毎に固有な実装条件データ370とからなる。具体的な内容は、図10の部品ライブラリ241と同様である。例えば、共通データ369は、部品の長さ、幅、厚みやテープで供給する荷姿等である。実装条件データ370は、装着ヘッド4の移動速度、XYテーブル9の移動速度、使用する部品吸着ノズル7の種類等で、認識データも含まれる。これにより、実装部品DB327に対して、形状コードと部品実装機kの機種を指定して部品ライブラリ241の内容を検索し抽出することができる。もちろん、部品実装機kの機種を指定し、指定した機種に登録されている全形状コードの部品ライブラリを取出すこともできる。
この実装部品DB327により、新しい実装ノウハウとして部品ライブラリ241を次々と一元的に蓄積しておき、世界のどこからでもサービス受給装置1から最新のノウハウである部品ライブラリ241を容易に検索できるので、ユーザにとって必要な最新の部品ライブラリ241を即時に確実に取得することができる。これにより、従来では、操作ミスによるトラブルを引き起こしがちな複雑な実装工法でも、試行錯誤をしながら立ち上がりの生産ロスを経て確立しなくても、既に確立された最新のノウハウに基づく実装生産を実現することができる。
また、部品の種別を指定して、例えば、角チップの全部の形状コードについて抽出するように、指定した範囲の形状コードの部品ライブラリを取得することもできる。これにより、全部品の部品ライブラリを取出して、必要がない部品も含めた部品ライブラリを管理し膨大な記憶容量を取られることがなく、ユーザが生産に使用する範囲の種類の部品ライブラリを取出して、管理、記憶できるので、効率的に運用できる。
(i)実装工法DB328
実装工法DB328は、図25にその内容を示すように、各基板条件により、クリーム半田情報、接着剤情報、リフロー情報等の実装工法情報を検索し抽出できる。基板条件は、回路基板の材質や厚み、実装する部品の種類、SOPやQFPのリードピッチの狭隣接状況等であり、条件1、条件2、…と実在するあらゆる条件が想定されている。どの条件に合致するかを検索して、該当する実装工法情報を抽出する。クリーム半田情報は、クリーム半田の材質、粘度、温度等の情報である。接着剤情報は、接着剤塗布する接着剤の材質、粘度、温度等の情報である。リフロー情報は、温度プロファイル、炉内の基板搬送速度等である。
(j)最適化ソフトウェアDB329
最適化ソフトウェアDB329は、図26にその内容を示すように、各部品実装機kの機種毎に最適化ソフトの所在アドレスである最適化コードおよび実装タクトシミュレーションソフトの所在アドレスであるシミュレーションコードを記憶したものである。最適化コードにより、該当の機種の最適化ソフト368を検索でき、シミュレーションコードにより、該当の機種の実装タクトシミュレーションソフト375を検索できる。
最適化ソフト368は、例えば、部品実装機単体の部品実装順序や部品供給装置5の配列の最適化を含む、部品実装機kの1台毎の実装時間を短縮する最適化を行う。機種で「トータル最適化」を選択すると、部品実装ライン100のトータルの最適化を行うトータル最適化ソフト374を検索できる。トータル最適化ソフト374は、部品実装ライン100の各装着機n108を含む部品実装機kへの実装タクトバランスを考慮した実装部品、塗布部品の振り分け、複数の生産品種で共通な部品供給装置5の配列である共通部品配列の生成を行う。
実装タクトシミュレーションソフト375は、例えば、装着機単体のNCデータ220を読み込み、装着機単体のタクトロスを考慮した装着時間の理論計算を行う。機種で「トータル最適化」を選択すると、部品実装ライン100のトータルの実装タクトシミュレーションを行うトータル実装タクトシミュレーションソフト371を検索できる。トータル実装タクトシミュレーションソフト371は、部品実装ライン100の実装タクトバランスの理論計算や1日に生産する品種トータルの生産時間の理論計算を行う。
この最適化ソフトウェアDB329により、部品実装機kの機種毎または使用する用途毎に必要な種々の最適化ソフト368または実装タクトシミュレーションソフト375をデータベースに蓄積し、その機種や用途に合致したものを検索し取出すことができるので、タクトロスを解消させたい機種の部品実装機kに適用できる実装順序の最適化、タクトシミュレーションを速やかに供給できる。これにより、部品実装機kのタクトロスを解消させるためのノウハウをユーザが試行錯誤しながら自ら確立しなくても、既に確立された最適化ノウハウを実装順に反映させて、高効率生産を実現することができる。
(k)監視・分析ソフトウェアDB330
監視・分析ソフトウェアDB330は、図27にその内容を示すように、監視・分析ソフトウェアの各バージョンのバージョンアップした内容を記録したバージョンアップ情報と、監視・分析ソフトウェアの所在アドレスである監視・分析ソフトコードを記憶したものである。監視・分析ソフトコードにより、該当の監視・分析ソフトウェア372を検索できる。監視・分析ソフトウェア372は、最新バージョンだけでなく、その前のバージョンも検索可能である。
監視・分析ソフトウェア372は、サービス供給装置2に、ネットワーク60を介して部品実装ライン100の品質、稼動状況を監視するサービス、更に、監視する中で異常が発生した時に、その原因を分析し対策のためのフィードバックを部品実装ライン100に対して行うサービスを実行させるためのソフトウェアである。
この監視・分析ソフトウェアDB330により、最新の監視・分析ノウハウを蓄積した、実装工場の生産状況を監視・分析を行う監視・分析ソフトウェア372を一元的にデータベースで管理しており、それは最新のノウハウを次々と更に蓄積することができるので、世界のどこからでも、監視・分析のノウハウを試行錯誤して自ら確立しなくても、既に確立された実績のある監視・分析のノウハウをいつでも提供されることができる。これにより、世界のどの地域のユーザに対しても、同一のノウハウによる監視・分析サービスを供給でき、世界の各ユーザで均一品質の生産を実現させることができる。また、その監視・分析ソフトウェア372は、ユーザ側のサービス受給装置1で実行することもできる。
(2−7)制御部301
制御部301は、記憶部302のプログラム領域303からサービス供給プログラムを読み出し、サービス供給プログラムを実行する。これにより、サービス供給装置2がサービス受給装置1から要求されるサービスを提供するための、以下の諸機能を実現することができる。
(a)サービスデータ215、サービスプログラム216の引き出し
制御部301は、送受信部305を介したサービス受給装置1からの引き出し要求により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出し、送受信部305を介してサービス受給装置1へ転送する。ここで、実際には、上記のように、制御部301が、サービス受給装置1からの引き出し要求により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出すものであっても、結果的には、サービス受給装置1により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出したことになる。従って、サービス受給装置1により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出すという意味には、上記のように、制御部301が、サービス受給装置1からの引き出し要求により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出すものも含まれるものとする。また、実際に直接サービス受給装置1がサービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出すものも当然含まれる。
また、サービス受給装置1は、単に、端末であって、サービス供給装置2で動作するサービス供給プログラムに従って、制御部301が、サービス受給装置1の表示部25にWEB画面を表示させ、そこでメニューの選択を促すものでも良い。この場合、選択されたメニューに該当するサービスの引き出し要求が制御部301に入力され、制御部301は、その要求のあったサービスをサービス情報DB26から引き出し、サービス受給装置1に対して出力するものとなる。この場合のものも、サービス受給装置1により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出す、という意味に含まれるものとする。
また、制御部301は、サービス供給装置2を操作するオペレータが表示部307や入力部306を用いて指示した引き出し要求により、サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出し、表示部307に出力するか、送受信部305を介してサービス受給装置1へ転送する。また、制御部301は、表示部307や入力部306からの指令により、入力したサービスデータ215、サービスプログラム216をサービス情報DB26に登録する。
サービス情報DB26からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出す具体内容は、以下の通りである。
制御部301は、部品実装機納入先ユーザを指定して契約DB320を検索し、契約レベル等の契約内容の参照または更新を行う。また、制御部301は、送受信部305を介してサービス受給装置1からアップロードした部品実装機kの納入機種、納入台数、納入日等の納入実績情報217を部品実装機納入先ユーザを指定して契約DB320へ登録する。制御部301は、その納入実績のある機種のサービスデータ215、サービスプログラム216をサービスデータ215、サービスプログラム216の改訂、または、バージョンアップのタイミングで自動送付するか否かを、部品実装機納入先ユーザを指定して契約DB320に登録する。
また、制御部301は、部品実装機kの機種または部品実装機の仕様条件を指定して営業情報DB321を検索し、該当する部品実装機kのカタログや仕様書の抽出を行う。部品実装機kの仕様条件は、装着タクト、装着精度、価格、装着可能部品等である。
また、制御部301は、部品実装機kの機種を指定して取説DB322を検索し、該当する部品実装機kの取扱説明書の電子ファイル355の抽出を行う。検索する時に特に指定しなければ最新版の取扱説明書の電子ファイル355が抽出される。発行番号を指定すれば、指定した発行番号の取扱説明書の電子ファイル355が抽出される。
また、制御部301は、補修パーツ品番を指定して補修パーツDB323を検索し、該当する補修パーツ品番の在庫情報を抽出する。また、制御部301は、ユーザ名と補修パーツ品番とを指定して補修パーツDB323に対して手配する補修パーツの数量、納期および対応拠点を登録する。この時、制御部301は、ユーザの指定した補修パーツの数量、納期に対応できる拠点、ユーザに地理的に最寄りの拠点かを考慮して対応拠点を決定し対応拠点を登録する。
また、制御部301は、部品実装機kの機種を指定してバーチャルトレーニングDB324を検索し、該当する部品実装機kのバーチャルトレーニングソフト361の抽出を行う。
また、制御部301は、部品実装機kの機種と部品実装機kの各部位とを指定してメンテナンス情報DB325を検索し、該当する部品実装機kの該当する部位のメンテナンス情報363を抽出する。部品実装機kの各部位は、装着ヘッド4、XYテーブル9、部品供給部11等であり、メンテナンス情報363は、エラー内容や過去に起こった不具合内容とそれらの対処方法とからなる。また、制御部301は、部品実装機kの機種を指定してメンテナンス情報DB325を検索し、該当する部品実装機kのメンテナンスマニュアルの電子ファイル364を抽出する。メンテナンスマニュアルは、上記メンテナンス情報363の他に、定期点検や制御配線図、シーケンス制御図面等のメンテナンスに必要な情報から構成される。検索する時に特に指定しなければ最新版のメンテナンスマニュアルの電子ファイル364が抽出される。発行番号を指定すれば、指定した発行番号のメンテナンスマニュアルの電子ファイル364が抽出される。
また、制御部301は、部品実装機kの機種とソフトウェアの種類とを指定してソフトウェアDB326を検索し、該当する部品実装機kの該当するソフトウェアの種類のバージョンアップ情報366およびソフトウェア367を抽出する。ソフトウェアの種類は、操作制御ソフト、部品供給部11の位置決めソフト等が挙げられる。バージョンアップ情報366は、ソフトウェアの各バージョンに対するソフトウェアのバージョンアップ内容、例えば、解消させた不具合内容、操作性や機能を向上させた内容等からなる。検索する時に特に指定しなければ最新版のソフトウェア367が抽出される。バージョン番号を指定すれば、指定したバージョン番号のソフトウェア367が抽出される。
また、制御部301は、形状コードと部品実装機kの機種とを指定して実装部品DB327を検索し、該当する形状コードの該当する部品実装機kの部品ライブラリ241を抽出する。また、制御部301は、部品実装機kの機種を指定して実装部品DB327を検索し、該当する部品実装機kの全形状コードの部品ライブラリ241を抽出する。更に、制御部301は、部品の種別と部品実装機kの機種とを指定して実装部品DB327を検索し、該当する種別に含まれる形状コードの該当する部品実装機kの部品ライブラリ241を抽出する。種別は、部品の分類区分で、例えば、「角チップ」、「QFP」等がある。
また、制御部301は、基板条件を指定して実装工法DB328を検索し、該当する基板条件の実装工法情報を抽出する。基板条件は、回路基板の材質や厚み、実装する部品の種類、SOPやQFPのリードピッチの狭隣接状況等であり、実装工法情報は、クリーム半田情報、接着剤情報、リフロー情報等である。クリーム半田情報は、クリーム半田の材質、粘度、温度等の情報である。接着剤情報は、接着剤塗布する接着剤の材質、粘度、温度等の情報である。リフロー情報は、温度プロファイル、炉内の基板搬送速度等である。
また、制御部301は、部品実装機kの機種を指定して最適化ソフトウェアDB329を検索し、該当する部品実装機kの最適化ソフト368を抽出する。最適化ソフト368は、例えば、装着機単体の部品装着順序や部品供給装置5の配列の最適化を行う。機種で「トータル最適化」を選択すると、制御部301は、最適化ソフトウェアDB329を検索し、部品実装ライン100のトータルの最適化を行うトータル最適化ソフト374を検索できる。トータル最適化ソフト374は、部品実装ライン100の各装着機への実装タクトバランスを考慮した部品の振り分け、複数の生産品種で共通な部品供給装置5の配列である共通部品配列の生成、および各装着機単体の部品装着順序や部品供給装置5の配列の最適化を行う。また、制御部301は、部品実装機kの機種を指定して最適化ソフトウェアDB329を検索し、該当する部品実装機kの実装タクトシミュレーションソフト375を抽出する。実装タクトシミュレーションソフト375は、例えば、装着機単体のNCデータ220を読み込み、装着機単体のタクトロスを考慮した装着時間の理論計算を行う。機種で「トータル最適化」を選択すると、部品実装ライン100のトータルの実装タクトシミュレーションを行うトータル実装タクトシミュレーションソフト371を検索できる。トータル実装タクトシミュレーションソフト371は、部品実装ライン100の実装タクトバランスの理論計算や1日に生産する品種トータルの生産時間の理論計算を行う。
また、制御部301は、監視・分析ソフトウェアDB330を検索し、監視・分析ソフトウェア372を抽出する。監視・分析ソフトウェア372は、サービス供給装置2に、ネットワーク60を介して部品実装ライン100の品質、稼動状況を監視するサービス、更に、監視する中で異常が発生した時に、その原因を分析し対策のためのフィードバックを部品実装ライン100に対して行うサービスを実行させるためのソフトウェアである。制御部301は、監視・分析ソフトウェア372を実行し、サービス受給装置1から設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212の収集を行い、収集した設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212を稼動品質情報DB51に蓄積する。制御部301は、これら蓄積した情報に基づき、生産状況の監視を行い、問題を発見したらその原因を分析し、サービス受給装置1へフィードバックを行う。
(b)設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217の収集
制御部301は、自動的に設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212および納入実績情報217を収集するタイミングを判断し、送受信部305に設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212および納入実績情報217の収集要求を指示する。そして、送受信部305から各部品実装機毎の設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212を受け取り、記憶部302のデータ領域304に各部品実装機k毎に記憶させる。また、送受信部305から各ユーザ毎の納入実績情報217を受け取り、記憶部302のデータ領域304に各ユーザ毎に記憶させる。
なお、自動的に設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212および納入実績情報217を収集するタイミングは、任意に設定できるものとする。例えば、1時間毎に収集するもので良い。また、サービス受給装置1に1日分の設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212および納入実績情報217を記憶しているものとし、1日1回サービス受給装置1から収集するものでも良い。また、これ以外のタイミングでも構わない。更に、品質、稼動状況分析をする緊急度に応じて、短い周期で収集するか長い周期で収集するかを判断するものでも良い。また更に、オペレータの操作により、設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212および納入実績情報217を収集するものでも構わない。
(c)NCデータ220の収集、送信
制御部301は、実装タクト情報213を収集したら、実装タクト情報213を収集したのと同じ実装機納入先工場の部品実装ライン100における実装タクト情報213を収集した際の生産品種のNCデータ220をサービス受給装置1から収集するように送受信部305に指示する。送受信部305から指示したNCデータ220を受け取ると、記憶部302のデータ領域304に各部品実装機k毎に記憶させる。そして、収集したNCデータ220と、記憶部302のデータ領域304に記憶されている速度マスタ414およびタクトシミュレーションパラメータ413と、を用いて実装タクト、タクトロスの理論計算を行う。この結果得られた実装タクト、タクトロスの理論値を実装タクト情報213に追加するべく記憶部302のデータ領域304に書き込む。
上記した実装タクト、タクトロスの理論計算、即ち、実装タクトシミュレーションについての詳細は後述する。
なお、タクトロスをタクトシミュレーションにより求める事例を説明したが、この限りではない。タクトロスは装着機n108を始めとする部品実装機kにおいて検出され、このタクトロスを実装タクト情報213に含めて収集し、データ記憶部302のデータ領域304に記憶するものであっても構わない。1例として、装着機n108でのタクトロスの検出方法は、例えば、部品供給装置5またはXYテーブル9の移動開始から位置決め終了までの時間を計測し、標準タクトをオーバした分をタクトロスとして検出するもので良い。
このように、タクトロスを部品実装機kにおいて検出するようにした方が、タクトロスは全くの実績値となり、タクトロスの精度は良くなる。また、サービス供給装置2で実装タクト情報213を更新する度にタクトシミュレーションを行う必要がなくなるので、サービス供給装置2の負荷は軽くなる。しかし、実際にはタクトロスを検出する部品実装機kはほとんどなく、これからタクトロスを検出する部品実装機kが出てきた場合でも、部品実装ライン100の全ての部品実装機kがタクトロスを検出するものであるケースはほとんどないと思われるので、システム構築上タクトシミュレーションによりタクトロスを算出することはかなり有効といえる。
また、制御部301は、NCデータ最適化機能により最適化を行った後のNCデータ220をデータ記憶部302のデータ領域304から読み出し、読み出したNCデータ220をサービス受給装置1へ送信すべく送受信部305へ出力する。
(d)実装タクトシミュレーション
実装タクトシミュレーションは、最適化した後(最適化前でも良い)のNCデータ220に基づき実装タクトの理論計算を行う機能である。回路基板への実装タクトの理論計算および品種切替え時の部品供給装置5の交換時間の理論計算を行う。
サービス情報DB26から検索し記憶部302のプログラム領域303に記憶されている実装タクトシミュレーションソフト375について、該当する部品実装機kの機種の実装タクトシミュレーションソフト375を制御部301が起動することにより、実装タクトシミュレーションが実行される。
以下に、高速装着機の事例についての装着タクトの理論計算方法を説明する。
記憶部302のデータ領域304に記憶されている速度マスタ414およびタクトシミュレーションパラメータ413から各装着部品における標準タクト(1点当標準装着タクトのことである)、XYテーブル9の標準タクト内許容移動範囲、部品供給装置5の標準タクト内許容移動範囲を読み込み、記憶部302のデータ領域304に記憶されている該当するNCデータ220から得られるXYテーブル9や部品供給装置5の各部品装着時の1つ前の装着位置からの相対移動距離に基づき装着タクトの理論値を算出する。具体的に、以下に算出方法を説明する。最初に、(式1)を用いて標準装着タクトを算出する。
(式1)
標準装着タクト=ローディング時間
+Σ(部品の1点当標準装着タクト×部品数)
+ツールチェンジ時間×チェンジ回数
ここで、ローディング時間およびツールチェンジ時間は、速度マスタ414から装着機名を検索して得られる。また、部品の1点当標準装着タクトは、速度マスタ414から装着機名と形状コードとを検索して得られる。部品数は、NCプログラム221より該当部品を装着するステップ数をカウントして得られる。チェンジ回数はNCプログラム221において各装着ステップで使用している部品吸着ノズル7またはツールが切替わる回数をカウントして得られる。また、Σ(部品の1点当標準装着タクト×部品数)は、回路基板1枚に装着する全ての部品の種類について、(部品の1点当標準装着タクト×部品数)の総和を算出することを意味する。また、ツールチェンジ時間×チェンジ回数は、多機能装着機108bで適用されるもので、高速装着機108aでは適用されない(高速装着機108aではツールチェンジ時間=0となる)。
次に、高速装着機108aの場合において、各装着ステップで1点当りの装着をする時のXYテーブル移動ロスを、(式2)を用いて算出する。
(式2)
XY移動量<=XY許容移動範囲 であれば
1点当XY移動ロス=0
XY移動量> XY許容移動範囲 であれば
1点当XY移動ロス=(XY移動量−XY許容移動範囲)/XY速度
ここで、XY移動量は、各装着ステップで1点当りの装着をする時のXYテーブル9の1つ前の装着位置からの相対移動量であり、XY許容移動範囲は、タクトシミュレーションパラメータ413から該当する装着速度で検索したXYテーブル9の標準タクト内許容移動範囲である。また、1点当XY移動ロスは、各装着ステップで1点当りの装着をする時のXYテーブル移動ロスであり、XY速度は、タクトシミュレーションパラメータ413から該当する装着速度で検索したXYテーブル9の移動速度である。
次に、高速装着機108aの場合において、各装着ステップで1点当りの装着をする時の部品供給装置移動ロスを、(式3)を用いて算出する。
(式3)
Z移動量<=Z許容移動範囲 であれば
1点当Z移動ロス=0
Z移動量> Z許容移動範囲 であれば
1点当Z移動ロス=(Z移動量−Z許容移動範囲)/Z速度
ここで、Z移動量は、各装着ステップで1点当りの装着をする時の部品供給装置5の1つ前の装着ステップでの位置からの相対移動量であり、Z許容移動範囲は、タクトシミュレーションパラメータ413から該当する装着速度で検索した部品供給装置5の標準タクト内許容移動範囲である。また、1点当Z移動ロスは、各装着ステップで1点当りの装着をする時の部品供給装置移動ロスであり、Z速度は、タクトシミュレーションパラメータ413から該当する装着速度で検索した部品供給装置5の移動速度である。
次に、XYテーブル移動ロスを算出する。XYテーブル移動ロスは、(式4)を用いて算出する。
(式4)
XYテーブル移動ロス
=Σ((1点当XY移動ロス>=1点当Z移動ロス)
となる1点当XY移動ロス)
ここで、XYテーブル移動ロスは、回路基板1枚装着する時のXYテーブル9の移動に関するタクトロスの合計である。また、Σ((1点当XY移動ロス>=1点当Z移動ロス)となる1点当XY移動ロス)は、各装着ステップで1点当りの装着をする時のXYテーブル移動ロスが部品供給装置移動ロス以上となる装着ステップのXYテーブル移動ロスの合計という意味である。
同様に、部品供給装置移動ロスを算出する。部品供給装置移動ロスは、(式5)を用いて算出する。
(式5)
部品供給装置移動ロス
=Σ((1点当Z移動ロス>1点当XY移動ロス)
となる1点当Z移動ロス)
ここで、部品供給装置移動ロスは、回路基板1枚装着する時の部品供給装置の移動に関するタクトロスの合計である。また、Σ((1点当Z移動ロス>1点当XY移動ロス)となる1点当Z移動ロス)は、各装着ステップで1点当りの装着をする時のZ移動ロスがXY移動ロスを上回る装着ステップのZ移動ロスの合計という意味である。
そして、(式1)で算出した標準装着タクト、(式4)で算出したXYテーブル移動ロスおよび(式5)で算出した部品供給装置移動ロスから、(式6)により装着タクトの理論値が算出される。
(式6)
装着タクトの理論値
=標準装着タクト+XYテーブル移動ロス+部品供給装置移動ロス
なお、同一のNCデータ220により装着生産して得られた実績値である装着タクト実績値と、(式6)により算出された装着タクトの理論値とを比較し、両者の差が誤差の範囲内かチェックする機能も備えている。もし、誤差の範囲内でないと判断した場合は、タクトシミュレーションパラメータ413の各パラメータを調整して誤差の範囲内に入るようにする。
また、上記(式2)〜(式6)は、高速装着機108aのタクトロスおよび装着タクトの理論値を算出するものである。多機能装着機108bの計算式は省略するが、同様にタクトロスを算出する。多機能装着機108bの場合は、装着ヘッド4がXYロボット14により部品供給装置5の供給位置と回路基板10上の装着位置との間を移動するので、この移動距離を算出し、この移動距離が標準タクト内許容移動範囲を越えた場合に越えた分の移動量に基づきタクトロスが算出される。このタクトロスの全装着ステップの合計と(式1)で算出した標準装着タクトとの加算で装着タクトの理論値が求められる。なお、装着ヘッド4が複数設けられたことにより、複数の部品を同時吸着した場合は、装着ヘッド4の移動距離の算出が同時吸着の移動動作に応じて算出される。
また、装着機n108以外の部品実装機kの実装時間もその部品実装機kの実装動作に応じた方法で理論値が算出される。
(3)サービス受給装置1の制御構成
サービス受給装置1の制御構成について、図13を用いて説明する。
サービス受給装置1は、管理装置側送受信部20、サービス供給装置側送受信部23、記憶部22、制御部21、入力部24および表示部25により構成される。管理装置側送受信部20は、ネットワーク3と接続されており、各実装機納入先工場の管理装置101のサービス受給装置側送受信部406と情報の送受信が可能である。サービス供給装置側送受信部23は、ネットワーク60と接続されており、サービス供給装置2と情報の送受信が可能である。
(3−1)記憶部22
記憶部22は、プログラム領域27およびデータ領域28から構成される。
プログラム領域27には、サービス受給装置1がサービス供給装置2から所望のサービスを引き出す諸機能を実現するために後述する手順の動作を行うサービス受給プログラムが予めインストールされ記憶されている。更に、サービス供給装置2から引き出したサービスプログラム216が記憶される。サービス受給プログラムおよびサービスプログラム216は、フロッピ、CDロム等の記憶媒体もしくはインターネット等の伝送媒体を介してインストールおよび販売することが可能である。
データ領域28には、各実装機納入先工場の各部品実装機kの設備情報211、実装タクト情報213およびNCデータ220を記憶する。また、各検査機の検査結果情報212および各ユーザ毎の納入実績情報217を記憶する。更に、サービス供給装置2から引き出したサービスデータ215が記憶される。
設備情報211は、各部品実装機kからアップロードした実績情報であり、各部品実装機k毎に記憶される。実装タクト情報213は、各部品実装機kからアップロードした実装タクト実績値を含むものであり、各部品実装機k毎に記憶される。検査結果情報212は、各検査機からアップロードした実績情報であり、各検査機毎に記憶される。納入実績情報217は、各工場の管理装置101で作成されたものをアップロードされた実績情報であり、各ユーザ毎に記憶される。NCデータ220は、各部品実装機kにダウンロードするためのもの、または、各部品実装機kからアップロードしたものであり、各部品実装機k毎に記憶されている。
また、サービスデータ215、サービスプログラム216は、サービス供給装置2から引き出したものであり、各工場の管理装置101へ転送されるものであるが、サービス受給装置1でサービスプログラム216を実行することも有り得る。
(3−2)管理装置側送受信部20
管理装置側送受信部20は、制御部21から実装機納入先工場を指定した設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217およびNCデータ220の収集要求を受け、指定された実装機納入先工場の管理装置101からネットワーク3を介して設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217およびNCデータ220をアップロードし、記憶部22のデータ領域28に書き込む。
また、管理装置側送受信部20は、制御部21から実装機納入先工場を指定したNCデータ220、サービスデータ215、サービスプログラム216の送信要求を受け、指定された実装機納入先工場の管理装置101へネットワーク3を介して送信する。
(3−3)サービス供給装置側送受信部23
サービス供給装置側送受信部23は、制御部21から引き出し要求を受けて、サービス供給装置2からネットワーク60を介してサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出し、記憶部22のデータ領域28に書き込む。
また、サービス供給装置2から設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217およびNCデータ220のアップロード要求により、ネットワーク60を介して設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212、納入実績情報217およびNCデータ220を送信する。また、サービス供給装置2からネットワーク60を介してNCデータ220のダウンロードを受け、記憶部22のデータ領域28に書き込む。
(3−4)制御部21
制御部21は、記憶部22のプログラム領域27からサービス受給プログラムを読み出し、サービス受給プログラムを実行する。サービス受給プログラムを立ちあげると、図11に示す実装WEB画面が表示部25に表示され、表示部25や入力部24からサービス引き出しのための操作を受けられる状態になる。これにより、サービス受給装置1がサービス供給装置2から所望のサービスを引き出すための、以下の諸機能を実現することができる。
なお、制御部21がサービス受給プログラムを実行することにより、サービス受給装置1が機能するのではなく、サービス供給装置2の制御部301がサービス供給プログラムを実行することによるサービス供給装置2の制御部301の遠隔制御により、以下で説明する制御部21の機能が実施されるものであっても構わない。
(a)サービスデータ215、サービスプログラム216の引き出し
制御部21は、表示部25や入力部24によるオペレータの操作により、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2からサービスデータ215、サービスプログラム216を取り込み、サービスデータ215は記憶部22のデータ領域28に、サービスプログラム216は記憶部22のプログラム領域27に書き込む。制御部21は、サービスデータ215、サービスプログラム216を、管理装置側送受信部20を介して、各工場の管理装置101へ転送する。また、制御部21は、記憶部22に記憶したサービスプログラム216を読み出し実行し、サービス受給装置1において所望のサービスを実施することも可能である。
サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2からサービスデータ215、サービスプログラム216を引き出す具体内容は、以下の通りである。
制御部21は、部品実装機納入先ユーザ名を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へ、契約レベル等の契約内容の参照または更新の指示を送信し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、契約レベル等の契約内容の参照または更新を行う。また、制御部21は、サービス供給装置側送受信部23を介して、サービス供給装置2へ部品実装機の納入機種、納入台数、納入日等の納入実績情報217をアップロードさせ、部品実装機納入先ユーザ名を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へ納入実績情報217の登録を指示する。また、制御部21は、部品実装機納入先ユーザ名を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へ、その納入実績のある機種のサービスデータ215、サービスプログラム216をサービスデータ215、サービスプログラム216の改訂、または、バージョンアップのタイミングで自動送付するか否かの登録を指示する。
また、制御部21は、部品実装機kの機種または部品実装機kの仕様条件を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対し、該当する部品実装機kのカタログや仕様書の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kのカタログや仕様書の抽出を行う。部品実装機kの仕様条件は、装着タクト、装着精度、価格、装着可能部品等である。
また、制御部21は、部品実装機kの機種を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対し、該当する部品実装機kの取扱説明書の電子ファイル355の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kの取扱説明書の電子ファイル355の抽出を行う。検索する時に特に指定しなければ最新版の取扱説明書の電子ファイル355が抽出される。発行番号を指定すれば、指定した発行番号の取扱説明書の電子ファイル355が抽出される。
また、制御部21は、補修パーツ品番を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対し、該当する補修パーツ品番の在庫情報の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する補修パーツ品番の在庫情報を抽出する。また、制御部21は、ユーザ名と補修パーツ品番とを指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対し、手配する補修パーツの数量、納期の登録を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、手配する補修パーツの数量、納期を登録する。
また、制御部21は、部品実装機kの機種を指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対し、該当する部品実装機kのバーチャルトレーニングソフト361の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kのバーチャルトレーニングソフト361の抽出を行う。
また、制御部21は、部品実装機kの機種と部品実装機kの各部位とを指定して、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へ、該当する部品実装機の該当する部位のメンテナンス情報363の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kの該当する部位のメンテナンス情報363を抽出する。部品実装機kの各部位は、装着ヘッド4、XYテーブル9、部品供給部11等であり、メンテナンス情報363は、エラー内容や過去に起こった不具合内容とそれらの対処方法とからなる。また、制御部21は、部品実装機kの機種を指定して、該当する部品実装機kのメンテナンスマニュアルの電子ファイル364の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kのメンテナンスマニュアルの電子ファイル364を抽出する。メンテナンスマニュアルは、上記メンテナンス情報363の他に、定期点検や制御配線図、シーケンス制御図面等のメンテナンスに必要な情報から構成される。検索する時に特に指定しなければ最新版のメンテナンスマニュアルの電子ファイル364が抽出される。発行番号を指定すれば、指定した発行番号のメンテナンスマニュアルの電子ファイル364が抽出される。
また、制御部21は、部品実装機kの機種とソフトウェアの種類とを指定して、該当する部品実装機kの該当するソフトウェアの種類のバージョンアップ情報366およびソフトウェア367の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kの該当するソフトウェアの種類のバージョンアップ情報366およびソフトウェア367を抽出する。ソフトウェアの種類は、操作制御ソフト、部品供給部11の位置決めソフト等が挙げられる。バージョンアップ情報366は、ソフトウェアの各バージョンに対するソフトウェアのバージョンアップ内容、例えば、解消させた不具合内容、操作性や機能を向上させた内容等からなる。検索する時に特に指定しなければ最新版のソフトウェア367が抽出される。バージョン番号を指定すれば、指定したバージョン番号のソフトウェア367が抽出される。
また、制御部21は、形状コードと部品実装機kの機種とを指定して、該当する形状コードの該当する部品実装機kの部品ライブラリの抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する形状コードの該当する部品実装機kの部品ライブラリを抽出する。また、制御部21は、部品実装機kの機種を指定して、該当する部品実装機kの全形状コードの部品ライブラリの抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kの全形状コードの部品ライブラリを抽出する。更に、制御部21は、部品の種別と部品実装機kの機種とを指定して、該当する種別に含まれる形状コードの該当する部品実装機kの部品ライブラリの抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する種別に含まれる形状コードの該当する部品実装機kの部品ライブラリを抽出する。種別は、部品の分類区分で、例えば、「角チップ」、「QFP」等がある。
また、制御部21は、基板条件を指定して、該当する基板条件の実装工法情報の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する基板条件の実装工法情報を抽出する。基板条件は、回路基板の材質や厚み、実装する部品の種類、SOPやQFPのリードピッチの狭隣接状況等であり、実装工法情報は、クリーム半田情報、接着剤情報、リフロー情報等である。クリーム半田情報は、クリーム半田の材質、粘度、温度等の情報である。接着剤情報は、接着剤塗布する接着剤の材質、粘度、温度等の情報である。リフロー情報は、温度プロファイル、炉内の基板搬送速度等である。
また、制御部21は、部品実装機kの機種を指定して、該当する部品実装機kの最適化ソフト368の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kの最適化ソフト368を抽出する。最適化ソフト368は、例えば、装着機単体の部品装着順序や部品供給装置5の配列の最適化を行う。機種で「トータル最適化」を選択すると、制御部301は、最適化ソフトウェアDB329を検索し、部品実装ライン100のトータルの最適化を行うトータル最適化ソフト374を検索できる。トータル最適化ソフト374は、部品実装ライン100の各装着機への実装タクトバランスを考慮した部品の振り分け、複数の生産品種で共通な部品供給装置5の配列である共通部品配列の生成、および各装着機単体の部品装着順序や部品供給装置5の配列の最適化を行う。また、制御部21は、部品実装機kの機種を指定して、該当する部品実装機kの実装タクトシミュレーションソフト375の抽出を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、該当する部品実装機kの実装タクトシミュレーションソフト375を抽出する。実装タクトシミュレーションソフト375は、例えば、装着機単体のNCデータ220を読み込み、装着機単体のタクトロスを考慮した装着時間の理論計算を行う。機種で「トータル最適化」を選択すると、部品実装ライン100のトータルの実装タクトシミュレーションを行うトータル実装タクトシミュレーションソフト371を検索できる。トータル実装タクトシミュレーションソフト371は、部品実装ライン100の実装タクトバランスの理論計算や1日に生産する品種トータルの生産時間の理論計算を行う。
また、制御部21は、サービス供給装置2における監視・分析ソフトウェア372の実行を指示し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2に対して、監視・分析ソフトウェア372を実行させる。監視・分析ソフトウェア372は、サービス供給装置2に、ネットワーク60を介して部品実装ライン100の品質、稼動状況を監視するサービス、更に、監視する中で異常が発生した時に、その原因を分析し対策のためのフィードバックを部品実装ライン100に対して行うサービスを実行させるためのソフトウェアである。サービス供給装置2で監視・分析ソフトウェア372が実行されると、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2から設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212の収集の指示がくる。これにより、制御部21は、管理装置側送受信部20を介して、管理装置101から設備情報211、実装タクト情報213、検査結果情報212の収集を行い、これら情報をサービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へアップロードする。サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2から分析した結果のフィードバックがくると、制御部21は、そのフィードバックされた情報を管理装置101へ転送する。
(b)設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212の収集
制御部21は、自動的に設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212を収集するタイミングを判断し、管理装置側送受信部20に設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212の収集を指示する。そして、管理装置側送受信部20から各部品実装機k毎の設備情報211および実装タクト情報213を受け取り、記憶部22のデータ領域28に各部品実装機k毎に記憶させる。また、管理装置側送受信部20から各検査機毎の検査結果情報212を受け取り、記憶部22のデータ領域28に各検査機毎に記憶させる。また、管理装置側送受信部20から各ユーザ毎の納入実績情報217を受け取り、記憶部22のデータ領域28に各ユーザ毎に記憶させる。
なお、自動的に設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212を収集するタイミングは、任意に設定できるものとする。例えば、全実装機納入先工場一斉に1時間毎に収集するもので良い。また、各実装機納入先工場の管理装置101に1日分の設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212を記憶しているものとし、1日1回全実装機納入先工場一斉にまたは実装機納入先工場毎にタイミングをずらして収集するものでも良い。また、これ以外のタイミングでも構わない。更に、品質、稼動状況分析をする緊急度に応じて、短い周期で収集するか長い周期で収集するかを判断するものでも良い。また更に、オペレータの操作により、設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212を収集するものでも構わない。
また、制御部21は、サービス供給装置側送受信部23を介したサービス供給装置2からの設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212のアップロードの指示を受けて、記憶部22のデータ領域28から設備情報211、実装タクト情報213、納入実績情報217および検査結果情報212を読み出し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へ送信する。
(c)NCデータ220の収集、送信
制御部21は、実装タクト情報213を収集したら、実装タクト情報213を収集したのと同じ実装機納入先工場における実装タクト情報213を収集したのと同じ生産品種のNCデータ220を収集するように管理装置側送受信部20に指示する。管理装置送受信部20から指示したNCデータ220を受け取ると、記憶部22のデータ領域28に各部品実装機k毎に記憶させる。
また、制御部21は、NCデータ220をデータ記憶部22のデータ領域28から読み出し、読み出したNCデータ220を該当する実装機納入先工場の管理装置101へ送信すべく管理装置側送受信部20へ出力する。
また、制御部21は、サービス供給装置側送受信部23を介したサービス供給装置2からのNCデータ220のアップロードの指示を受けて、記憶部22のデータ領域28からNCデータ220を読み出し、サービス供給装置側送受信部23を介してサービス供給装置2へ送信する。
また、制御部21は、サービス供給装置側送受信部23を介したサービス供給装置2からのNCデータ220のダウンロードを受けて、記憶部22のデータ領域28にNCデータ220を記憶させる。
3 サービスシステム380全体の動作
図28にサービスシステム380の全体の概略のデータフローを示す。
(1)契約
サービス受給装置1は、表示部25において、図11に示す実装WEB画面を立ちあげる。実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「契約」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の契約DB320に対して契約内容の参照や更新をする。この場合、契約内容や更新結果がサービス受給装置1へ送信される。例えば、契約レベルがどれだけか、どれだけに更新されたか、納入実績はどうなのかを知ることができる。そして、サービス受給装置1は、納入実績のある部品実装機kの機種に関するサービスデータ215、サービスプログラム216の自動送付の有無について、サービス供給装置2の契約DB320に対して登録する。
また、サービス供給装置2は、定期的に、サービス受給装置1から納入実績情報217をアップロードし、納入実績情報217を契約DB320へ登録する。サービス受給装置1は、サービス供給装置2からのアップロード要求を受けて、管理装置101から納入実績情報217をアップロードする。
(2)営業情報サービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「営業情報」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の営業情報DB321に対して営業情報の参照を行う。例えば、所望の部品実装機kのカタログや仕様書の電子ファイルを取り込むことができる。サービス受給装置1は、参照した営業情報を工場の管理装置101へ転送する。これにより、各工場の管理装置101においても、営業情報を見ることができる。
また、契約DB320に自動送付の登録がされている場合は、営業情報の改訂がされたタイミングで、サービス供給装置2が営業情報DB321から営業情報を読み出し、サービス受給装置1へ自動送付する。
(3)電子取説サービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「電子取説」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の取説DB322に対して取扱説明書の電子ファイルの取り込みを行う。サービス受給装置1は、取り込んだ取扱説明書の電子ファイルを工場の管理装置101へ転送する。これにより、各工場の管理装置101においても、取扱説明書を見ることができる。
また、契約DB320に自動送付の登録がされている場合は、取扱説明書の改訂がされたタイミングで、サービス供給装置2が取説DB322から取扱説明書の電子ファイルを読み出し、サービス受給装置1へ自動送付する。
(4)補修パーツサービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「補修パーツ」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の補修パーツDB323に対して補修パーツの在庫情報の参照を行う。サービス受給装置1は、参照した補修パーツの在庫情報を工場の管理装置101へ転送する。これにより、各工場の管理装置101においても、補修パーツの在庫情報を見ることができる。
次に、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の補修パーツDB323に対して補修パーツの手配の登録をする。具体的に、補修パーツ品番と数量と納期を登録に行き、その通りに手配できたか結果がサービス受給装置1に送信される。サービス受給装置1は、受信した補修パーツの手配結果を工場の管理装置101へ転送する。これにより、各工場の管理装置101においても、補修パーツの手配結果を見ることができる。
(5)バーチャルトレーニングサービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「バーチャルトレーニング」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2のバーチャルトレーニングDB324に対してバーチャルトレーニングソフトの取り込みを行う。これにより、サービス受給装置1において、バーチャルトレーニングソフトを起動させバーチャルトレーニングをすることができる。
また、サービス受給装置1は、取り込んだバーチャルトレーニングソフトを工場の管理装置101へ転送する。これにより、各工場の管理装置101においても、バーチャルトレーニングソフトを起動させバーチャルトレーニングをすることができる。更に、管理装置101は、バーチャルトレーニングソフトを該当する部品実装機kへ転送し、部品実装機kにおいて、バーチャルトレーニングソフトを起動させバーチャルトレーニングをすることも可能である。
(6)メンテナンス情報サービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「メンテナンス情報」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2のメンテナンス情報DB325に対してメンテナンス情報およびメンテナンスマニュアルの取り込みを行う。サービス受給装置1は、取り込んだメンテナンス情報およびメンテナンスマニュアルを工場の管理装置101へ転送する。これにより、各工場の管理装置101においても、メンテナンス情報およびメンテナンスマニュアルを見ることができる。
また、契約DB320に自動送付の登録がされている場合は、メンテナンス情報の改訂がされたタイミングで、サービス供給装置2がメンテナンス情報DB325からメンテナンス情報を読み出し、サービス受給装置1へ自動送付する。
(7)ソフトウェアバージョンアップサービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「ソフトウェアバージョンアップ」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2のソフトウェアDB326に対してソフトウェアバージョンアップ情報およびバージョンアップするソフトウェアの取り込みを行う。サービス受給装置1は、取り込んだソフトウェアバージョンアップ情報およびバージョンアップするソフトウェアを工場の管理装置101へ転送する。更に、管理装置101は、バージョンアップするソフトウェアを該当する部品実装機kへ転送し、部品実装機kへインストールを行う。これにより、各工場の管理装置101においても、ソフトウェアバージョンアップ情報を見ることができ、部品実装機kを最新バージョンのソフトウェアで動作させることができる。
また、契約DB320に自動送付の登録がされている場合は、ソフトウェアのバージョンアップがされたタイミングで、サービス供給装置2がソフトウェアDB326からソフトウェアを読み出し、サービス受給装置1へ自動送付する。
(8)実装部品データサービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「実装部品データ」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の実装部品DB327に対して部品ライブラリ241の取り込みを行う。サービス受給装置1は、取り込んだ部品ライブラリ241を工場の管理装置101へ転送する。更に、管理装置101は、部品ライブラリ241を該当する部品実装機kへ転送し、部品実装機kへインストールを行う。これにより、工場のオペレータが部品ライブラリを作成する工数をなくすことができる。
(9)工法データサービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「工法データ」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の実装工法DB328に対して実装工法情報の取り込みを行う。サービス受給装置1は、取り込んだ実装工法情報を工場の管理装置101へ転送する。更に、管理装置101は、実装工法情報を該当する部品実装機kへ転送し、部品実装機kへインストールを行う。これにより、工場のオペレータが回路基板の種類等の条件にあった最適な工法でクリーム半田印刷、接着剤塗布、リフローを行うことができる。
(10)最適化サービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「最適化」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2の最適化ソフトウェアDB329に対して最適化ソフトウェアおよび実装タクトシミュレーションソフトの取り込みを行う。これにより、サービス受給装置1で最適化ソフトウェアを起動させ、サービス受給装置1までアップロードした部品実装機kのNCデータ220の最適化を行うことができる。また、サービス受給装置1で実装タクトシミュレーションソフトを起動させ、最適化後のNCデータ220に対して実装タクトシミュレーションを行い、実装タクトの理論値を得ることができる。
また、サービス受給装置1は、取り込んだ最適化ソフトウェアおよび実装タクトシミュレーションソフトを工場の管理装置101へ転送する。これにより、工場の管理装置101において、最適化ソフトウェアを起動させ、アップロードしたNCデータ220の最適化を行うことができる。また、工場の管理装置101において、実装タクトシミュレーションソフトを起動させ、最適化後のNCデータ220に対して実装タクトシミュレーションを行い、実装タクトの理論値を得ることができる。
更に、管理装置101は、最適化ソフトウェアを該当する部品実装機kへ転送し、部品実装機kへインストールを行う。これにより、部品実装機kにおいて最適化ソフトウェアを起動させ、NCデータ220の最適化をした後に、または最適化をしながら最適化後のNCデータ220で実装生産を行うことができる。
また、契約DB320に自動送付の登録がされている場合は、最適化ソフトウェアのバージョンアップがされたタイミングで、サービス供給装置2が最適化ソフトウェアDB329から最適化ソフトウェアを読み出し、サービス受給装置1へ自動送付する。
(11)監視・分析サービス
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「分析」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2に対して、監視・分析ソフトウェア372による自らの工場の部品実装ライン100で発生したトラブルの原因分析を行うことを要求する。この要求を受けると、サービス供給装置2は、監視・分析ソフトウェアDB330から取出した監視・分析ソフトウェア372を起動させ、要求のあったサービス受給装置1に対して、定期的に、設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212のアップロードを行い、トラブルの原因分析を行う。分析の結果で原因が判明すれば、その原因を除去するための対策をサービス受給装置1にフィードバックを行う。
実装WEB画面において、オペレータが入力部24を操作して「監視」のメニューを選択すると、サービス受給装置1は、サービス供給装置2に対して監視・分析ソフトウェア372による自らの工場の部品実装ライン100の監視を行うことを要求する。この要求を受けると、サービス供給装置2は、監視・分析ソフトウェアDB330から取出した監視・分析ソフトウェア372を起動させ、要求のあったサービス受給装置1に対して、定期的に、設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212のアップロードを行い、生産状況の監視を行う。監視の結果でトラブルの発生が判明すれば、もしくは、トラブルの予兆が判明すれば、アップロードした設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212に対して、そのトラブルまたはトラブルの予兆の原因分析を行う。分析の結果で原因が判明すれば、その原因を除去するための対策をサービス受給装置1にフィードバックを行う。
監視・分析の種類としては、稼動分析、タクト分析、品質分析がある。
稼動分析は、部品実装ライン100の稼動率を監視し、稼動率低下の原因を分析し、その原因を取り除くフィードバックを行う。具体的に、管理装置101は、サービス受給装置1からの設備情報211のアップロード要求を受けて、部品実装ライン100から各部品実装機kで集計した設備情報211をアップロードする。サービス受給装置1は、サービス供給装置2からの設備情報211のアップロード要求を受けて、管理装置101から設備情報211をアップロードする。サービス供給装置2は、サービス受給装置1から設備情報211をアップロードする。サービス供給装置2は、収集した設備情報211を稼動品質情報DB51の設備情報DB30に時系列に蓄積する。サービス供給装置2は、設備情報DB30から稼動率の推移を見て、稼動率の低下原因を分析しつきとめる。そして、その原因を取り除くためのフィードバックをサービス受給装置1に対して行う。例えば、部品吸着ノズル7の不良が原因ならば、補修パーツの手配を行う。部品実装機kのオペレータの操作ミスの場合は、バーチャルトレーニングソフトウェアをサービス受給装置1へ送信する。部品ライブラリ241の不備の場合は、最適な部品ライブラリ241をサービス受給装置1へ送信する。
タクト分析は、部品実装ライン100の実装タクトを監視し、タクトロスをつきとめ、タクトロスを取り除くフィードバックを行う。具体的に、管理装置101は、サービス受給装置1からのNCデータ220のアップロード要求を受けて、部品実装ライン100から各部品実装機kのNCデータ220をアップロードする。サービス受給装置1は、サービス供給装置2からの実装タクト情報213およびNCデータ220のアップロード要求を受けて、管理装置101から実装タクト情報213およびNCデータ220をアップロードする。サービス供給装置2は、サービス受給装置1から実装タクト情報213およびNCデータ220をアップロードする。サービス供給装置2は、収集したNCデータ220に対して実装タクトシミュレーションを行い、タクトロスを算出し、収集した実装タクト情報と算出したタクトロスとを稼動品質情報DB51の実装タクトDB32に蓄積する。サービス供給装置2は、実装タクトDB32から実装タクトを見て、タクトの低下原因を分析しつきとめる。そして、その原因を取り除くためのフィードバックをサービス受給装置1に対して行う。例えば、装着機n108のXYテーブル9の移動ロスが原因の場合は、XYテーブル9の移動ロスを取り除く装着順の最適化を収集したNCデータ220に対して行う。各装着機n108のタクトバランスが取れてない場合は、部品の振り分けの補正を収集したNCデータ220に対して行う。このように最適化したNCデータ220は、実装タクトシミュレーションを行い、実装タクトの低下が解消されたことを確認してから、サービス受給装置1へ最適化後のNCデータ220をフィードバックする。サービス受給装置1は、管理装置101へ最適化後のNCデータ220をフィードバックする。管理装置101は、部品実装ライン100の各装着機n108へ最適化後のNCデータ220をフィードバックする。
品質分析は、部品実装ライン100中にある各検査機の検査結果を監視し、品質不良の原因を分析し、その不良原因を取り除くフィードバックを行う。具体的に、管理装置101は、サービス受給装置1からの検査結果情報212のアップロード要求を受けて、部品実装ライン100から各検査機の検査結果情報212をアップロードする。サービス受給装置1は、サービス供給装置2からの検査結果情報212のアップロード要求を受けて、管理装置101から検査結果情報212をアップロードする。サービス供給装置2は、サービス受給装置1から検査結果情報212をアップロードする。サービス供給装置2は、収集した検査結果情報212を稼動品質情報DB51の検査結果DB34に蓄積する。サービス供給装置2は、検査結果DB34で不良を認識し、その原因を設備情報DB30やアップロードしたNCデータ220を参照しながら分析しつきとめる。そして、その原因を取り除くためのフィードバックをサービス受給装置1に対して行う。例えば、部品ライブラリ241で指定したXYテーブル9の移動速度が誤まって速くなっていたため、慣性力による部品の位置ずれが起こる品質不良となっていた場合は、XYテーブル9の移動速度を修正した部品ライブラリ241をサービス受給装置1に対してフィードバックする。
4 サービス受給装置1およびサービス供給装置2の動作
サービス受給装置1がサービス供給装置2からサービスを引き出す際のサービス受給装置1およびサービス供給装置2の動作について、図29〜図53を参照しながら説明する。
(1)サービス契約フロー
部品実装機納入先ユーザが部品実装機供給メーカに対して、どのように契約を結びサービスを受けるようにするかを、図29および図30のフローチャートを参照しながら説明する。
(1−1)ステップS101(契約レベル:0設定)
図29において、ステップS101において、サービス受給装置1で、オペレータによる入力部24からの指示を受けて、制御部21が、記憶部22のプログラム領域27に記憶されているサービス受給プログラムを実行する。サービス受給プログラムを立ちあげると、サービス受給プログラムの指示する内容により、制御部21は、図11に示す実装WEB画面を表示部25に表示し、表示部25や入力部24からサービス引き出しのための操作を促す状態になる。同時に、制御部21は、表示部25や入力部24からユーザ名の入力をオペレータに促す状態になる。
ユーザ名が入力されると、制御部21は、入力されたユーザ名をサービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。サービス供給装置2では、制御部301が、ネットワーク60を介して送受信部305により受信したユーザ名をサービス情報DB26の契約DB320に登録する(この時ユーザ名毎にユニークになるように付与したユーザコードも登録する)。ユーザ名が登録されると、制御部301は、自動的に契約DB320に契約レベル0を設定する。ユーザ名が登録され契約レベル0が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23にて、ネットワーク60を介して、ユーザ名が登録され契約レベル0が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル0のサービスを選択可能な状態に表示させる。即ち、契約レベル0の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、営業情報サービス(ステップS103)、電子取説サービス(ステップS104)および補修パーツサービス(ステップS105)を選択することができる。
契約レベル0が登録されると、契約レベル0における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。これにより、サービス供給の度に課金せずに、サービスの契約をしたレベルにより、例えば1ヶ月単位で定期的にまとめて課金するので、ユーザにとっても、メーカにとっても課金の処理が簡易化できる。また、ユーザにとっては、不要なサービスを選択し誤まって課金される不具合もなくなる。
なお、部品実装機を納入してないユーザでも、部品実装機の納入を検討するために、インターネットを接続したパーソナルコンピュータにおいて部品実装機供給メーカのホームページにアクセスすることにより、サービス受給プログラムを引き出し、自分のパーソナルコンピュータにインストールすることができる。そこで、サービス受給プログラムをインストールしたパーソナルコンピュータでサービス受給プログラムを起動することにより、そのパーソナルコンピュータをサービス受給装置1とすることができる。このサービス受給装置1において、実装WEB画面を立ちあげ、部品実装機を納入してないユーザでも、契約レベル0の設定をし、営業情報サービスを始めとするサービスを受けることができる。
(1−2)ステップS102(自動送付の有無設定)
ステップS102において、サービス受給装置1では、制御部21が、表示部25において、サービスデータ215、サービスプログラム216の自動送付の有無(図17の契約DB320参照)を指定するようにオペレータに促す。制御部21は、サービスデータ215、サービスプログラム216の自動送付の有無の指定が入力部24から入力されると、入力内容をサービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。サービス供給装置2では、制御部301が、送受信部305にて、ネットワーク60を介してサービス受給装置1から受信したサービスデータ215、サービスプログラム216の自動送付の有無の指定内容を契約DB320に登録する。
なお、サービスデータ215、サービスプログラム216の自動送付の有無の指定については、全サービスデータ215、サービスプログラム216を一括して自動送付の対象とするか、個別に各サービスデータ215、サービスプログラム216、例えば、営業情報、取説、メンテナンス情報、ソフトウェアおよび最適化ソフトについて指定したものを自動送付の対象とするかを設定できる。自動送付の対象と設定されたサービスデータ215、サービスプログラム216は、その改訂またはバージョンアップがされたタイミングか、かつ、そのサービスを提供できる契約レベルかをサービス供給装置2の制御部301が判断して、制御部301が、その改訂またはバージョンアップがされたタイミングで、改訂またはバージョンアップがされたサービスデータ215、サービスプログラム216をサービス情報DB26から読み出して、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21は、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2から自動送付されたサービスデータ215、サービスプログラム216を受信すると、その受信したサービスデータ215、サービスプログラム216の改訂またはバージョンアップがあった旨を表示部25に表示させ、既に取り込んであるものと置き換えるかの確認入力を促す表示をさせ、置き換える旨の入力が入力部24からあった場合に、置き換えを行う。
これにより、ユーザは、特に自分からサービスデータ215、サービスプログラム216の改訂またはバージョンアップを1つ1つチェックしなくても、改訂またはバージョンアップがあった時に即座に新しいものに切替え、最新のサービスの提供を受けることができる。
なお、サービスデータ215、サービスプログラム216の自動送付については、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に蓄積されている納入実績を参照し、そのユーザが過去に納入した実績のある部品実装機の機種に関するサービスデータ215、サービスプログラム216のみをサービス情報DB26から読み出して、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信するものであっても良い。これにより、ユーザは、必要な部品実装機の機種に関するサービスデータ215、サービスプログラム216のみの提供を受けることができるので、無駄がなく効率よくサービスを受けることができる。
(1−3)ステップS103(営業情報サービス)
ステップS103では、サービス受給装置1において、オペレータにより「営業情報」のメニューが選択されると、制御部21は、営業情報の参照をする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、営業情報DB321に対して営業情報の参照を行い、参照した営業情報を、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、参照した営業情報を受信すると、制御部21は、営業情報を表示部25に出力し、または、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。
営業情報の参照を行うことにより、例えば、所望の部品実装機のカタログや仕様書の電子ファイルを取り込むことができる(図18の営業情報DB321参照)。これにより、ユーザは最新の部品実装機の仕様をタイムリーに検討できる。または、装着タクトや装着精度等の所望の仕様が実現できる部品実装機の情報を得ることができる。
また、ステップS103で実行される内容ではないが、契約DB320において、一括の自動送付または営業情報の自動送付につき有りと設定されている場合は、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に蓄積されている納入実績を参照し、そのユーザが過去に納入した実績のある部品実装機の機種に関する営業情報の改訂があったかを判断する。その結果、改訂があった場合制御部301は、その改訂があった営業情報を営業情報DB321から取り込み、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。これにより、サービス受給装置1では、営業情報の改訂の有無をサービス供給装置2に対して常にチェックすることなく、改訂のあったタイミングで必要な機種の部品実装機の最新のカタログや仕様書の電子ファイルを取得することができる。
また、営業情報の自動送付のタイミングについて、その改訂があった以外でも、例えば、部品実装機の新機種が発売されるタイミングで、展示会に部品実装機を出品する直前のタイミングで、または、定期的(例えば、年初)に自動送付するものであっても構わない。
(1−4)ステップS104(電子取説サービス)
ステップS104では、サービス受給装置1において、オペレータにより「電子取説」のメニューが選択されると、制御部21は、電子取説の参照をする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、取説DB322に対して取扱説明書の電子ファイルの参照を行い、参照した取扱説明書の電子ファイルを、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、参照した取扱説明書の電子ファイルを受信すると、制御部21は、取扱説明書の電子ファイルを表示部25に出力し、または、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。
これにより、所望の機種の部品実装機の最新の取扱説明書をタイムリーに取得でき、部品実装機の操作について理解することができる。
また、ステップS104で実行される内容ではないが、契約DB320において、一括の自動送付または取説の自動送付の有りと設定されている場合は、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に蓄積されている納入実績を参照し、そのユーザが過去に納入した実績のある部品実装機の機種に関する取説の改訂があったかを判断する。改訂があった場合制御部301は、その改訂があった取説の電子ファイルを取説DB322から取り込み、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。これにより、サービス受給装置1では、取説の改訂の有無をサービス供給装置2に対して常にチェックすることなく、改訂のあったタイミングで必要な機種の部品実装機の最新の取扱説明書の電子ファイルを取得することができる。
(1−5)ステップS105(補修パーツサービス)
ステップS105では、サービス受給装置1において、オペレータにより「補修パーツ」のメニューが選択されると、制御部21は、補修パーツの在庫情報の参照をする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、補修パーツDB323に対して補修パーツの在庫情報(図20参照)の参照を行い、参照した補修パーツの在庫情報を、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、参照した補修パーツの在庫情報を受信すると、制御部21は、補修パーツの在庫情報を表示部25に出力し、または、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。これにより、ユーザは、サービス受給装置1において、または、各工場の管理装置101においても、補修パーツの在庫情報を見ることができ、補修パーツの手配をかけた場合の補修パーツの納期がどれ程かを知ることができる。
また、サービス受給装置1において、制御部21は、表示部25に補修パーツの手配の入力を促す表示をさせ、入力部24から補修パーツの手配の入力があると、補修パーツの手配の内容をサービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、補修パーツDB323に対して補修パーツの手配の内容の登録をする。具体的に、補修パーツ品番と数量と納期を登録する(図20の補修パーツDB323の手配情報359参照)。制御部301は、ユーザが入力した通りに手配できたかその結果を、送受信部305によりネットワーク60を介して、サービス受給装置1に送信する。これにより、ユーザは、手配を依頼した補修パーツがいつ納入されるのかを正確に知ることができる。
(1−6)ステップS106(契約レベル1の条件)
ステップS106において、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が、部品実装機kのオペレータがよく入れ替わるかを判断し、よく入れ替わる場合は、ステップS106にて契約レベル1の設定を行う。
この部品実装機kのオペレータがよく入れ替わるかをサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断する具体方法は、以下の通りで良い。
例えば、サービス受給装置1の制御部21が、表示部25に、部品実装機kのオペレータの入れ替わりの有無についての回答を入力することを促し、入力部24から入力があった回答の内容が「有り」の場合に、制御部21が、部品実装機kのオペレータがよく入れ替わると判断するもので良い。
また、部品実装機kのオペレータ名を部品実装機k、管理装置101またはサービス受給装置1に登録するようにし、サービス受給装置1の制御部21が各部品実装機kにつき登録されているオペレータ名を常にチェックを行い、新しいオペレータ名が登録された場合に、または、頻繁にオペレータ名が切り替わることを認識した場合に、制御部21が部品実装機kのオペレータがよく入れ替わると判断するものでも良い。このような処理において、制御部21は、部品実装機kのオペレータがよく入れ替わると判断した時に、契約レベル1を登録する旨の表示を表示部25に行い、サービス受給装置1のオペレータの確認を促すものでも良い。
また、勿論、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kのオペレータの入れ替わりの有無を判断せず、サービス受給装置1のオペレータが部品実装機kのオペレータの入れ替わりの有無を判断して、サービス受給装置1で「契約」メニューを選択し、契約レベル1を入力することにより、サービス供給装置2が契約DB320に契約レベル1を登録するもので良い。
(1−7)ステップS107(契約レベル:1設定)
ステップS106においてサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断した結果により、または、サービス受給装置1のオペレータが「契約」メニューを選択し、契約レベル1を入力することにより、ステップS107において、サービス供給装置2で、制御部301は、契約DB320に契約レベル1を設定する。契約レベル1が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介して、契約レベル1が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル1のサービスを選択可能な状態に表示させる。即ち、契約レベル1の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、契約レベル0で選択可能なサービスに加えて、バーチャルトレーニングサービス(ステップS108)を新たに選択することができる。
契約レベル1が登録されると、契約レベル1における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。契約レベル1は契約レベル0よりも、高度なサービスを引き出すことができる契約レベルなので、通常は契約レベル0より課金の額を高くする。
(1−8)ステップS108(バーチャルトレーニングサービス)
ステップS108では、サービス受給装置1において、オペレータにより「バーチャルトレーニング」のメニューが選択されると、制御部21は、バーチャルトレーニングソフトの取り込みをする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、バーチャルトレーニングDB324に対してバーチャルトレーニングソフトの取り込みを行い、取り込んだバーチャルトレーニングソフトを、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、取り込んだバーチャルトレーニングソフトを受信すると、制御部21は、その旨を表示部25に出力し、
そのバーチャルトレーニングソフトを記憶部22のプログラム領域27に記憶する。または、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。
これにより、サービス受給装置1において、バーチャルトレーニングソフトを起動させバーチャルトレーニングをすることができる。また、工場の管理装置101へバーチャルトレーニングソフトを転送することにより、工場の管理装置101でバーチャルトレーニングをすることもできる。従って、部品実装機kのオペレータが初心者に入れ替わった場合でも、バーチャルトレーニングにより、初心者が部品実装機kの操作を習得することができ、操作ミスによるトラブルを防ぐことができる。
(1−9)ステップS109(契約レベル2の条件)
ステップS109において、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が、部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要かを判断し、必要と判断された場合は、ステップS110にて契約レベル2の設定を行う。
この部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要かをサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断する具体方法は、以下の通りで良い。
例えば、サービス受給装置1の制御部21が、表示部25に、部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上の必要性の有無についての回答を入力することを促し、入力部24から入力があった回答の内容が「有り」の場合に、制御部21が、部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要と判断するもので良い。
また、各部品実装機kにおいて、部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルにより部品実装機kの生産に支障が生ずるトラブルが発生した頻度を記憶し、その記憶内容に基づき、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要かを判断するものでも良い。このような処理において、制御部21は、部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要と判断した時に、契約レベル2を登録する旨の表示を表示部25に行い、サービス受給装置1のオペレータの確認を促すものでも良い。
また、勿論、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要かを判断せず、サービス受給装置1のオペレータが部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルの向上が必要かを判断して、サービス受給装置1で「契約」メニューを選択し、契約レベル2を入力することにより、サービス供給装置2が契約DB320に契約レベル2を登録するもので良い。
(1−10)ステップS110(契約レベル:2設定)
ステップS109においてサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断した結果により、または、サービス受給装置1のオペレータが「契約」メニューを選択し、契約レベル2を入力することにより、ステップS110において、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に契約レベル2を設定する。契約レベル2が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介して、契約レベル2が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル2のサービスを選択可能な状態に表示させる。この契約レベル2の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、契約レベル0および契約レベル1で選択可能なサービスに加えて、メンテナンス情報サービス(ステップS111)およびソフトウェアバージョンアップサービス(ステップS112)を新たに選択することができる。
契約レベル2が登録されると、契約レベル2における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。契約レベル2は契約レベル1よりも、高度なサービスを引き出すことができる契約レベルなので、通常は契約レベル1より課金の額を高くする。
(1−11)ステップS111(メンテナンス情報サービス)
ステップS111において、サービス受給装置1において、オペレータにより「メンテナンス情報」のメニューが選択されると、制御部21は、メンテナンス情報の参照をする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、メンテナンス情報DB325に対してメンテナンス情報(図22参照)の参照を行う。同時に制御部301は参照したメンテナンス情報を、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、参照したメンテナンス情報を受信すると、制御部21は、メンテナンス情報を表示部25に出力し、または、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。
これにより、ユーザは、サービス受給装置1において、または、各工場の管理装置101においても、タイムリーに、メンテナンス情報363およびメンテナンスマニュアルを見ることができ、部品実装機kの不具合の解消方法や不具合を起こさないための保全方法を知ることができるので、部品実装機kのオペレータのメンテナンスレベルを向上させることができる。
また、ステップS111で実行される内容ではないが、契約DB320において、一括の自動送付またはメンテナンス情報の自動送付の有りと設定されており、かつ、契約レベル2が設定されている場合は、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に蓄積されている納入実績を参照し、そのユーザが過去に納入した実績のある部品実装機の機種に関するメンテナンス情報の改訂があったかを判断する。改訂があった場合制御部301は、その改訂があったメンテナンス情報をメンテナンス情報DB325から取り込み、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。これにより、サービス受給装置1では、メンテナンス情報の改訂の有無をサービス供給装置2に対して常にチェックすることなく、改訂のあったタイミングで必要な機種の部品実装機の最新のメンテナンス情報を取得することができる。
(1−12)ステップS112(ソフトウェアバージョンアップサービス)
ステップS112では、サービス受給装置1において、オペレータにより「ソフトウェアバージョンアップ」のメニューが選択されると、制御部21は、ソフトウェアバージョンアップの取り込みをする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、ソフトウェアDB326に対してソフトウェアのバージョンアップ情報366および最新ソフトウェア367の取り込みを行う。同時に制御部301は取り込んだソフトウェアのバージョンアップ情報366および最新ソフトウェア367を、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。
サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、取り込んだソフトウェアのバージョンアップ情報366および最新ソフトウェア367を受信すると、制御部21は、その旨およびソフトウェアのバージョンアップ情報366を表示部25に出力し、ソフトウェアのバージョンアップ情報366および最新ソフトウェア367を、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。
これにより、ユーザは、サービス受給装置1において、または、各工場の管理装置101においても、ソフトウェアのバージョンアップ情報366を見ることができ、現在部品実装機kで動作しているソフトウェアより新しいバージョンが存在するか、また、存在する場合はバージョンアップ内容がどうであるかを確認することができる。また、管理装置101は、転送された最新ソフトウェア367を部品実装機kへ転送し、インストールする。これにより、部品実装機kを最新のソフトウェアで動作させるようにバージョンアップすることができ、部品実装機kの機能アップまたは古いバージョンでの不具合を解消するメンテナンスをすることができる。
また、ステップS112で実行される内容ではないが、契約DB320において、一括の自動送付またはソフトウェアの自動送付の有りと設定されており、かつ、契約レベル2が設定されている場合は、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に蓄積されている納入実績を参照し、そのユーザが過去に納入した実績のある部品実装機の機種に関するソフトウェアのバージョンアップ情報366の改訂または最新ソフトウェア367のバージョンアップがあったかを判断し、改訂またはバージョンアップがあった場合は、その改訂があったソフトウェアのバージョンアップ情報366またはバージョンアップがあった最新ソフトウェア367をソフトウェアDB326から取り込み、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。これにより、サービス受給装置1では、ソフトウェアのバージョンアップ情報366の改訂または最新ソフトウェア367のバージョンアップの有無をサービス供給装置2に対して常にチェックすることなく、改訂またはバージョンアップのあったタイミングで必要な機種の部品実装機の最新のソフトウェアのバージョンアップ情報366または最新ソフトウェア367を取得することができる。
(1−13)ステップS113(契約レベル3の条件)
ステップS113において、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が、基板立ち上げ時の支援情報が必要かを判断し、必要と判断された場合は、ステップS114にて契約レベル3の設定を行う。
この基板立ち上げ時の支援情報が必要かをサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断する具体方法は、以下の通りで良い。
例えば、サービス受給装置1の制御部21が、表示部25に、基板立ち上げ時の支援情報の必要性の有無についての回答を入力することを促し、入力部24から入力があった回答の内容が「有り」の場合に、制御部21が、基板立ち上げ時の支援情報が必要と判断するもので良い。
また、各部品実装機kにおいて、基板立ち上げ時の支援情報がないことにより部品実装機kの生産に支障が生ずるトラブルが発生した頻度を記憶し、その記憶内容に基づき、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が基板立ち上げ時の支援情報が必要かを判断するものでも良い。このような処理において制御部21は、基板立ち上げ時の支援情報が必要と判断した時に、契約レベル3を登録する旨の表示を表示部25に行い、サービス受給装置1のオペレータの確認を促すものでも良い。
また、勿論、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が基板立ち上げ時の支援情報が必要かを判断せず、サービス受給装置1のオペレータが基板立ち上げ時の支援情報が必要かを判断して、サービス受給装置1で「契約」メニューを選択し、契約レベル3を入力することにより、サービス供給装置2が契約DB320に契約レベル3を登録するもので良い。
(1−14)ステップS114(契約レベル:3設定)
ステップS113においてサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断した結果により、または、サービス受給装置1のオペレータが「契約」メニューを選択し、契約レベル3を入力することにより、ステップS114において、サービス供給装置2で、制御部301は、契約DB320に契約レベル3を設定する。契約レベル3が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介して、契約レベル3が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル3のサービスを選択可能な状態に表示させる。この契約レベル3の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、契約レベル0、契約レベル1および契約レベル2で選択可能なサービスに加えて、実装部品データサービス(ステップS115)および工法データサービス(ステップS116)を新たに選択することができる。
契約レベル3が登録されると、契約レベル3における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。契約レベル3は契約レベル2よりも、高度なサービスを引き出すことができる契約レベルなので、通常は契約レベル2より課金の額を高くする。
(1−15)ステップS115(実装部品データサービス)
ステップS115では、サービス受給装置1において、オペレータにより「実装部品データ」のメニューが選択されると、制御部21は、部品ライブラリ241の取り込みをする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、実装部品DB327に対して部品ライブラリ241の取り込みを行い、取り込んだ部品ライブラリ241を、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、取り込んだ部品ライブラリ241を受信すると、制御部21は、その旨を表示部25に出力し、取り込んだ部品ライブラリ241を、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。また、管理装置101は、転送された部品ライブラリ241を部品実装機kへインストールする。
これにより、新しい基板の生産を立ち上げる際に、オペレータが新規の部品の部品ライブラリ241を作成しなくて済むため、部品ライブラリ241の作成工数を削減でき、即座に新基板の生産を立ち上げることができる。また、オペレータが部品ライブラリ241を作成することによる、部品ライブラリ241の内容に誤まりが生じ、実装生産トラブルや品質トラブルが発生することも防止することができる。
(1−16)ステップS116(工法データサービス)
ステップS116では、サービス受給装置1において、オペレータにより「工法データ」のメニューが選択されると、制御部21は、クリーム半田情報や接着剤情報等の工法データの取り込みをする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、実装工法DB328に対して工法データの取り込みを行う。同時に制御部301は取り込んだ工法データを、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、取り込んだ工法データを受信すると、制御部21は、その旨を表示部25に出力し、取り込んだ工法データを、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。また、管理装置101は、転送された工法データを部品実装機kへインストールする。
これにより、新しい基板の生産を立ち上げる際に、オペレータがクリーム半田の種類、温度、粘度、または接着剤の種類や、リフローの温度プロファイル等の工法ノウハウをオペレータが試行錯誤しながら決定しなくて済むため、工法ノウハウを試行錯誤する工数を削減でき、即座に新基板の生産を立ち上げることができる。また、オペレータが誤まった内容の工法で生産することによる、半田付け不良等の品質トラブルが発生することも防止することができる。
(1−17)ステップS117(契約レベル4の条件)
ステップS117において、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が、生産性の向上支援が必要かを判断し、必要と判断された場合は、ステップS118にて契約レベル4の設定を行う。
この生産性の向上支援が必要かをサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断する具体方法は、以下の通りで良い。
例えば、サービス受給装置1の制御部21が、表示部25に、生産性の向上支援の必要性の有無についての回答を入力することを促し、入力部24から入力があった回答の内容が「有り」の場合に、制御部21が、生産性の向上支援が必要と判断するもので良い。
また、各部品実装機kにおいて、生産性の向上支援がないことにより部品実装機kの生産に支障が生ずるトラブルが発生した頻度を記憶し、その記憶内容に基づき、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が生産性の向上支援が必要かを判断するものでも良い。このような処理において制御部21は、生産性の向上支援が必要と判断した時に、契約レベル4を登録する旨の表示を表示部25に行い、サービス受給装置1のオペレータの確認を促すものでも良い。
また、勿論、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が生産性の向上支援が必要かを判断せず、サービス受給装置1のオペレータが生産性の向上支援が必要かを判断して、サービス受給装置1で「契約」メニューを選択し、契約レベル4を入力することにより、サービス供給装置2が契約DB320に契約レベル4を登録するもので良い。
(1−18)ステップS118(契約レベル:4設定)
ステップS117においてサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断した結果により、または、サービス受給装置1のオペレータが「契約」メニューを選択し、契約レベル4を入力することにより、ステップS118において、サービス供給装置2で、制御部301は、契約DB320に契約レベル4を設定する。契約レベル4が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介して、契約レベル4が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル4のサービスを選択可能な状態に表示させる。この契約レベル4の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、契約レベル0〜契約レベル3で選択可能なサービスに加えて、最適化サービス(ステップS119)を新たに選択することができる。
契約レベル4が登録されると、契約レベル4における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。契約レベル4は契約レベル3よりも、高度なサービスを引き出すことができる契約レベルなので、通常は契約レベル3より課金の額を高くする。
(1−19)ステップS119(最適化サービス)
ステップS119では、サービス受給装置1において、オペレータにより「最適化」のメニューが選択されると、制御部21は、最適化ソフト368、トータル最適化ソフト374、実装タクトシミュレーションソフト375やトータル実装タクトシミュレーションソフト371等の最適化ソフトウェアの取り込みをする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、最適化ソフトウェアDB329に対して最適化ソフトウェアの取り込みを行い、取り込んだ最適化ソフトウェアを、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。サービス受給装置1では、サービス供給装置側送受信部23により、取り込んだ最適化ソフトウェアを受信すると、制御部21は、その旨を表示部25に出力し、取り込んだ最適化ソフトウェアを、記憶部22のプログラム領域27に記憶させる。
サービス受給装置1において、制御部21は、記憶部22のプログラム領域27から最適化ソフト368、トータル最適化ソフト374、実装タクトシミュレーションソフト375やトータル実装タクトシミュレーションソフト371等の最適化ソフトウェアを起動して、工場からアップロードしたNCデータ220に対して、実装順の最適化や実装時間のシミュレーション等を行う。これにより、部品実装機kのタクトロスを低減し実装時間を短縮する実装順にし、部品実装機kで実際に生産しなくても、最適化後のNCデータ220において実装時間を確認することができる。この最適化を行ったNCデータ220を部品実装機kへダウンロードすることにより、生産効率が大幅に向上させた有効な生産支援を実現することができる。
また、制御部21は、最適化ソフトウェアを、管理装置側送受信部20により、イントラネット3を介して該当する工場の管理装置101へ送信する。また、管理装置101は、転送された最適化ソフトウェアを部品実装機kへインストールする。これにより、管理装置101や部品実装機kにおいても、最適化や実装タクトシミュレーションを行うことができる。
また、ステップS119で実行される内容ではないが、契約DB320において、一括の自動送付または最適化ソフトウェアの自動送付の有りと設定されており、かつ、契約レベル4が設定されている場合は、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に蓄積されている納入実績を参照し、そのユーザが過去に納入した実績のある部品実装機の機種に関する最適化ソフトウェアのバージョンアップがあったかを判断する。バージョンアップがあった場合制御部301は、バージョンアップがあった最適化ソフトウェアを最適化ソフトウェアDB329から取り込み、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。これにより、サービス受給装置1では、最適化ソフトウェアのバージョンアップの有無をサービス供給装置2に対して常にチェックすることなく、バージョンアップのあったタイミングで必要な機種の部品実装機の最適化ソフトウェアを取得することができる。
(1−20)ステップS120(契約レベル5の条件)
ステップS120において、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が、部品実装機kの異常時の解析診断が必要かを判断し、必要と判断された場合は、ステップS121にて契約レベル5の設定を行う。
この部品実装機kの異常時の解析診断が必要かをサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断する具体方法は、以下の通りで良い。
例えば、サービス受給装置1の制御部21が、表示部25に、部品実装機kの異常時の解析診断の必要性の有無についての回答を入力することを促し、入力部24から入力があった回答の内容が「有り」の場合に、制御部21が、部品実装機kの異常時の解析診断が必要と判断するもので良い。
また、各部品実装機kにおいて、部品実装機kの異常時の解析診断がないことにより部品実装機kの生産に支障が生ずるトラブルが発生した頻度を記憶し、その記憶内容に基づき、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kの異常時の解析診断が必要かを判断するものでも良い。このような処理において制御部21は、部品実装機kの異常時の解析診断が必要と判断した時に、契約レベル5を登録する旨の表示を表示部25に行い、サービス受給装置1のオペレータの確認を促すものでも良い。
また、勿論、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kの異常時の解析診断が必要かを判断せず、サービス受給装置1のオペレータが部品実装機kの異常時の解析診断が必要かを判断して、サービス受給装置1で「契約」メニューを選択し、契約レベル5を入力することにより、サービス供給装置2が契約DB320に契約レベル5を登録するもので良い。
(1−21)ステップS121(契約レベル:5設定)
ステップS120においてサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断した結果により、または、サービス受給装置1のオペレータが「契約」メニューを選択し、契約レベル5を入力することにより、ステップS121において、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に契約レベル5を設定する。契約レベル5が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介して、契約レベル5が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル5のサービスを選択可能な状態に表示させる。この契約レベル5の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、契約レベル0〜契約レベル4で選択可能なサービスに加えて、分析サービス(ステップS122)を新たに選択することができる。
契約レベル5が登録されると、契約レベル5における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。契約レベル5は契約レベル4よりも、高度なサービスを引き出すことができる契約レベルなので、通常は契約レベル4より課金の額を高くする。
(1−22)ステップS122(分析サービス)
ステップS122では、サービス受給装置1において、オペレータにより「分析」のメニューが選択されると、制御部21は、表示部25に、異常内容の入力を促す表示をさせる。異常内容の入力が入力部24から受けると、制御部21は、その異常内容の分析をする旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、この要求を受けて、監視・分析ソフトウェアDB330から監視・分析ソフトウェア372を取出し、起動させる。これにより、制御部301は、監視・分析ソフトウェア372の手順に従い、定期的に、設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212のアップロード要求を送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。制御部301は、アップロードした設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212に基づき異常に対する分析を行う。
この分析手順については、後で詳細に述べる。分析した結果は、サービス受給装置1へフィードバックされ、このフィードバックは、サービス受給装置1から管理装置101、管理装置101から部品実装機kへと実施される。これにより、部品実装機kで発生した異常の原因が即座にわかり、その対応策が的確に実施されるので、高レスポンスで確実に異常が解消できる。
(1−23)ステップS123(契約レベル6の条件)
ステップS123において、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が、部品実装機kの状態の監視が必要かを判断し、必要と判断された場合は、ステップS124にて契約レベル6の設定を行う。
この部品実装機kの状態の監視が必要かをサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断する具体方法は、以下の通りで良い。
例えば、サービス受給装置1の制御部21が、表示部25に、部品実装機kの状態の監視の必要性の有無についての回答を入力することを促し、その回答の入力が入力部24からあった内容が「有り」の場合に、制御部21が、部品実装機kの状態の監視が必要と判断するもので良い。
また、各部品実装機kにおいて、部品実装機kの状態の監視がないことにより部品実装機kの生産に支障が生ずるトラブルが発生した頻度を記憶し、その記憶内容に基づき、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kの状態の監視が必要かを判断するものでも良い。このような処理において制御部21は、部品実装機kの状態の監視が必要と判断した時に、契約レベル6を登録する旨の表示を表示部25に行い、サービス受給装置1のオペレータの確認を促すものでも良い。
また、勿論、サービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が部品実装機kの状態の監視が必要かを判断せず、サービス受給装置1のオペレータが部品実装機kの状態の監視が必要かを判断して、サービス受給装置1で「契約」メニューを選択し、契約レベル6を入力することにより、サービス供給装置2が契約DB320に契約レベル6を登録するもので良い。
(1−24)ステップS124(契約レベル:6設定)
ステップS123においてサービス受給装置1の制御部21またはサービス供給装置2の制御部301が判断した結果により、または、サービス受給装置1のオペレータが「契約」メニューを選択し、契約レベル6を入力することにより、ステップS124において、サービス供給装置2の制御部301は、契約DB320に契約レベル6を設定する。契約レベル6が設定された旨は、制御部301が、送受信部305によりネットワーク60を介してサービス受給装置1へ送信する。サービス受給装置1では、制御部21が、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介して、契約レベル6が設定された旨を受信し、表示部25において、実装WEB画面のメニュー(図11参照)を、契約レベル6のサービスを選択可能な状態に表示させる。この契約レベル6の状態では、実装WEB画面のメニュー(図11参照)において、契約レベル0〜契約レベル5で選択可能なサービスに加えて、監視サービス(ステップS125)を新たに選択することができる。
契約レベル6が登録されると、契約レベル6における課金がユーザに対して行われる。課金は、例えば、1ヶ月単位で定期的に行われる。契約レベル6は契約レベル5よりも、高度なサービスを引き出すことができる契約レベルなので、通常は契約レベル5より課金の額を高くする。
(1−25)ステップS125(監視サービス)
ステップS125では、サービス受給装置1において、オペレータにより「監視」のメニューが選択されると、制御部21は、監視・分析ソフトウェア372による自らの工場の部品実装ライン100の監視・分析を行う旨の指示を、サービス供給装置側送受信部23により、ネットワーク60を介してサービス供給装置2へ送信する。これを送受信部305により受信してサービス供給装置2では、制御部301が、この要求を受けて、監視・分析ソフトウェアDB330から監視・分析ソフトウェア372を読み出し起動させる。これにより、制御部301は、監視・分析ソフトウェア372の手順に従い、定期的に、設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212のアップロード要求を送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1に送信する。制御部301は、アップロードした設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212に基づき、生産状況の監視を行う。
監視の結果で問題があれば、制御部301は、その問題の原因を分析し分析結果を、送受信部305により、ネットワーク60を介してサービス受給装置1にフィードバックを行う。この監視・分析手順については、後で詳細に述べる。監視して発見した異常または異常になる前の傾向を分析した結果は、サービス受給装置1へフィードバックされ、このフィードバックは、サービス受給装置1から管理装置101、管理装置101から部品実装機kへと実施される。
これにより、部品実装機kで異常が即座に発見でき、または、異常になる手前の状態を発見でき、その原因が即座にわかり、その対応策が的確に実施されるので、高レスポンスで確実に異常の解消または異常の予防ができる。
(2)監視・分析サービスの動作
監視・分析サービスは、サービス供給装置2において、制御部301が、監視・分析ソフトウェア372を実行し、監視・分析ソフトウェア372の手順に従い制御することにより行われる。監視・分析ソフトウェア372には、監視ソフトおよび分析ソフトが含まれ、監視および分析の両方を行う場合は、監視ソフト、分析ソフトの順に実行される。
監視ソフトを実行すると、制御部301は、設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220および検査結果情報212を、送受信部305により、ネットワーク60を介して定期的に収集する。収集した設備情報211、実装タクト情報213、NCデータ220を、稼動品質情報DB51に蓄積する。また、制御部301は、収集し蓄積した稼動品質情報DB51中のデータに基づき、稼動状況や品質状況を監視するためのグラフを作成し、表示部307へ表示させる。これにより、異常の発生が即座にわかり、その異常の分析をするのが容易になる。
分析ソフトを実行すると、制御部301は、監視の結果で判明したもしくはサービス受給装置1から入力された異常の内容の分析を行い、その原因を追求する。原因がわかったらその原因を取り除くフィードバックを、送受信部305により、ネットワーク60を介して、サービス受給装置1に対して行う。
なお、本実施の形態では、サービス供給装置2において監視・分析ソフトウェア372を実行し、監視・分析を行い、サービス供給装置2の表示部307にグラフ表示を行い、サービス供給装置2からフィードバックをかけるものとしているが、この限りではない。例えば、サービス供給装置2からサービス受給装置1へネットワーク60を介して監視・分析ソフトウェア372をインストールし、サービス受給装置1において監視・分析ソフトウェア372を実行し、サービス受給装置1の表示部25にグラフ表示を行い、サービス受給装置1から各工場の管理装置101へフィードバックをかけることも可能である。
上記した監視・分析サービスの中で、監視・分析のグラフ表示を行う動作、および、グラフ表示したものを監視し異常を分析する動作の詳細な処理手順について以下に説明する。
(2−1)監視・分析のグラフ表示の動作
サービス供給装置2の監視・分析のグラフ表示の動作について、図31(a)〜(c)のフローチャートを用いて説明する。
(a)ライン稼動率推移分析のグラフ表示の動作
図31(a)にライン稼動率推移分析の動作のフローチャートを示してある。ライン稼動率は、部品実装ライン100全体の稼動率を表し、例えば、部品実装ライン100で実装タクト実績値が最大の部品実装機であるネック部品実装機における稼動率をライン稼動率とする。
制御部301は、図に示す通り、稼動品質情報DB51の実装タクトDB32から、指定する実装機納入先工場の全部品実装機kの各生産品種における実装タクト実績値を読み込み(ステップS201)、各生産品種でどの部品実装機kがネックになる部品実装機(部品実装ライン100で実装タクト実績値が最大の部品実装機)かを判断する(ステップS202)。次に、稼動品質情報DB51の設備情報DB30から、指定する実装機納入先工場における前記各生産品種毎に判断したネック部品実装機の稼動率につきその生産品種を生産した時間に該当するものを取出し(ステップS203)、ライン稼動率推移を表示部307にグラフ表示させる(ステップS204)。
もし、例えば、サービス供給装置2のオペレータが、ライン稼動率が低下した原因を分析するために、停止時間の詳細を表示させる入力操作を行うと(ステップS205)、稼動品質情報DB51の設備情報DB30から、指定する実装機納入先工場における各部品実装機kの設備情報31を各時間毎に読み込み(ステップS206)、各部品実装機k毎に停止時間の内訳、即ち、P板待ち時間、トラブル停止時間およびメンテナンス時間等を各時間帯毎に表示させる(ステップS207)。
(b)ライン実装タクト分析のグラフ表示の動作
図31(b)にライン実装タクト分析のグラフ表示の動作のフローチャートを示してある。ライン実装タクトは、部品実装ライン100全体の実装タクトを表し、例えば、部品実装ライン100の各部品実装機kの実装タクト実績値の中で最大の実装タクト実績値をライン実装タクトとする。
制御部301は、図に示すように稼動品質情報DB51の実装タクトDB32から指定する実装機納入先工場の全部品実装機kの指定する生産品種における実装タクト情報33を読み込み(ステップS221)、各部品実装機kの実装タクト実績値をタクトバランスがわかるように並べて表示部307にグラフ表示させる(ステップS222)。そして、グラフ表示させた各部品実装機kの実装タクト実績値の内訳として、例えば、装着機n108の場合は、各装着機n108のXYテーブル移動ロス、部品供給装置移動ロスを同時に表示させる。
(c)吸着率推移分析のグラフ表示の動作
図31(c)に吸着率推移分析のグラフ表示の動作のフローチャートを示してある。制御部301は、図に示すように稼動品質情報DB51の設備情報DB30から指定する実装機納入先工場の全装着機の吸着率を取出し(ステップS241)、各装着機n108の吸着率推移を表示部307にグラフ表示させる(ステップS242)。
(d)検査結果不良率推移分析のグラフ表示の動作
図示しないが、図31(a)〜(c)と同様の手法で、制御部301は、検査結果におけるNGが発生する率の推移を表示部307にグラフ表示させる。NGが発生する率とは、例えば、1枚の回路基板でNGが1箇所でも発生するかを示す率でよく、または、各実装する1つ1つの部品でNGが発生する率でも良い。
また、不良の発生状況の詳細として、制御部301は、検査結果のNGの内訳を表示部307にグラフ表示させる。例えば、各時間帯または生産品種における検査結果で、部品の装着ずれ、部品の欠品、ブリッジおよび半田接続不良等のそれぞれが発生する頻度の割合をグラフ表示させる。また、例えば、1枚1枚の回路基板または回路番号を特定した不良の内訳が、部品の装着ずれ、部品の欠品、ブリッジおよび半田接続不良等のいずれであるのかを表示させる。
(2−2)監視・分析の動作
監視・分析の動作について、図32、図33のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の監視・分析の動作は、部品実装ライン100の中で、装着機n108について監視・分析する事例について説明するが、この限りではなく、装着機n108以外の部品実装機kについても同様な考え方で監視・分析するものであっても構わない。
また、監視・分析する動作の主体は、サービス供給装置2のオペレータであり、そのサービス供給装置2のオペレータが上述したような稼動状況のグラフを表示したものをいろいろな切り口でチェックして問題を絞り込み原因を追求するもので良い。しかし、これだけでなく、サービス供給装置2の制御部301が、上述したような稼動状況のグラフを表示させるだけでなく、その稼動状況のグラフを表示させるためのデータを内部的にいろいろな切り口でチェックして問題を絞り込み原因を追求することもできるものとする。以後で説明する監視や分析の手順についても、その監視や分析の動作の主体は、サービス供給装置2のオペレータおよびサービス供給装置2の制御部301のいずれでも該当するものとする。
図32において、ライン稼動率推移のグラフを見て、ライン稼動率が目標値以上を維持しているかを監視する(ステップS300)。例えば、実装機納入先を指定して部品実装ライン100のライン稼動率を表示したものを図34(a)に示す。横軸は時刻、縦軸はライン稼動率で、各時刻毎のライン稼動率を1時間おきにグラフで表示している。ライン40はライン稼動率の目標値を示している。このグラフでは、ライン稼動率の目標値40を73%に設定している。このグラフによるとライン稼動率は目標値40以上を維持して推移している。ここで、ライン稼動率の目標値40は、サービス供給装置2の稼動品質情報DB51に予め記憶されているものである。
なお、ライン稼動率は目標値40以上を維持して推移してない場合の処理は、図33を用いて後述する。
ライン稼動率の監視の後は、同じ部品実装ライン100の指定した生産品種におけるライン実装タクトのグラフを見て、ライン実装タクトが目標値以下を維持しているかを監視する(ステップS301)。ライン実装タクトをグラフ表示させた事例を図34(b)に示す。なお、図34(b)のグラフは、図34(a)のグラフと同一の部品実装ライン100のものである。横軸は装着機、縦軸は装着タクト実績値で、部品実装ライン100の各装着機n108の装着タクト実績値を表示している。装着タクト実績値の内訳として、標準実装タクト、XYテーブル移動ロス(XYロス)および部品供給装置移動ロス(Zロス)もグラフ表示している。ライン41は、ライン実装タクトの目標値を示している。このグラフによるとライン実装タクトは、目標値41より遅い実装タクトになっている。従って、ステップS302へ進む。ここで、ライン実装タクトの目標値41は、サービス供給装置2の稼動品質情報DB51に予め記憶されているものである。
次に、ステップS301で表示させたライン実装タクトのグラフにおいて、全装着機の標準装着タクトがライン実装タクトの目標値41以上になっていないかを監視する(ステップS302)。図34(b)において、標準装着タクトがライン実装タクトの目標値41以上になっている装着機n108はないため、ステップS303へ進む。
次に、ステップS301で表示させたライン実装タクトのグラフにおいて、ラインタクトバランスが許容範囲内かを監視する(ステップS303)。なお、ラインタクトバランスの許容範囲は、予め稼動品質情報DB51に設定しておくものである。一例として、各装着機n108の平均値の5%以内というように設定する。図34(b)において、既述したようなネック装着機である装着機1と装着タクト実績値が最小値である装着機2との装着タクト実績値の差42がラインタクトバランスの許容範囲43を越えているため、ステップS304へ進む。
次に、ステップS301で表示させたライン実装タクトのグラフにおいて、ネック装着機のタクトロスが許容範囲内かを監視する(ステップS304)。なお、タクトロスの許容範囲は、予め稼動品質情報DB51に設定しておくものである。一例として、標準実装タクトの5%以内というように設定する。図34(b)において、ネック装着機である装着機1のタクトロス44がタクトロスの許容範囲45を越えていることがわかる。図34(a)、(b)の事例では、ネック装着機である装着機1のタクトロスが許容範囲45を越えていることが、ライン実装タクトが目標値より遅くなっている原因である。従って、このタクトロスを解消しなければならない。この場合は、ステップS305へ進む。
次に、分析中の生産品種において、部品供給装置5は前の品種と同一位置に固定(共通部品配列)しているかを判断する(ステップS305)。この判断をする方法は、NCデータ220(配列プログラム231)から部品供給装置5の配列が1つ前の生産品種と同一かを調べるものでも良いし、共通部品配列かどうかを示すフラグを装着機n108、管理装置101で設定したものをサービス受給装置1が設備情報211と伴に収集し、収集したフラグを見て判断するものでも構わない。
部品供給装置5の配置が固定でないフリーの場合は、ネック装着機のタクトロスを解消しライン実装タクトを目標値以下とするため装着機単体最適化を行う(ステップS306)。この場合、部品供給装置5の配列と装着順序との両方の最適化を行う。詳細は、後述する。
一方、部品供給装置5の配置が固定の場合は、まず、ネック装着機のタクトロスを解消するため装着機単体での最適化を行う。これは、部品供給装置5の配置を固定した条件での装着順の最適化となる。これでライン実装タクトを目標値以下とすることができれば最適化を終了する。実装タクトが目標値以下にならなければ、部品供給装置5の共通配列を見直す最適化を行う(ステップS307)。詳細は、後述する。
ステップS304において、図35(b)に示すように、ネック装着機である装着機1のタクトロス44がタクトロスの許容範囲45内に収まっている場合は、部品の各装着機n108への振り分けに問題があったことになる。この場合は、振り分けの補正をしてやる必要がある。従って、ステップS308に進む。
ステップS308において、分析中の生産品種において、部品供給装置5は前の品種と同一位置に固定(共通部品配列)しているかを判断する。判断する方法は、ステップS305と同様である。
部品供給装置5の配置がフリーの場合は、ラインタクトアンバランスを解消しライン実装タクトを目標値以下とするため、部品の各装着機n108への振り分けをし直す最適化を行う(ステップS309)。この場合、部品振り分けの後に、部品供給装置5の配列と装着順序との両方の最適化を行う装着機単体最適化を各装着機n108において行う。詳細は、後述する。
一方、部品供給装置5の配置が固定の場合は、部品供給装置5の共通配列を見直す最適化を行う(ステップS310)。この場合、勿論、部品の各装着機n108への振り分けをし直す最適化も行う。詳細は、後述する。
ステップS303において、図36(b)に示すように、ラインタクトバランスが取れている場合は、各装着機のタクトロス分でライン実装タクトが目標値より大きい値になっていることになるので、各装着機のタクトロスが大きいことが原因である。この各装着機のタクトロスを解消する最適化をする必要がある。従って、ステップS311へ進む。
ステップS311において、分析中の生産品種において、部品供給装置5は前の品種と同一位置に固定(共通部品配列)しているかを判断する。判断する方法は、ステップS305と同様である。
部品供給装置5の配置がフリーの場合は、各装着機n108のタクトロスを解消することによりライン実装タクトを目標値以下とするため、各装着機において装着機単体最適化を行う(ステップS312)。この場合、部品供給装置5の配列と装着順序との両方の最適化を行う。詳細は、後述する。
一方、部品供給装置5の配置が固定の場合は、まず、各装着機のタクトロスを解消するため、各装着機n108において装着機単体最適化を行うが、これは、部品供給装置5の配置を固定した条件での装着順の最適化となる。これでライン実装タクトを目標値以下とすることができれば最適化を終了する。ライン実装タクトが目標値以下にならなければ、部品供給装置5の共通配列を見直す最適化を行う(ステップS313)。詳細は、後述する。
ステップS302において、図37(b)に示すように、全装着機の標準実装タクトがライン実装タクトの目標値41以上になっている場合は、この部品実装ライン100の構成ではライン実装タクトが目標値以下となるのは不可能として、部品実装ライン100の構成の提案を行う(ステップS314)。
ステップ300においてライン稼動率が低下した場合の処理について、図33のフローチャートを用いて説明する。
図38(a)において、ライン稼動率が15時から20時の間に目標値40を下回っている。この原因を調べるため、図38(b)に示すように、ネック装着機である装着機1の15時から20時の間における停止時間の内訳をグラフ表示させる。図において、横軸は時刻、縦軸は停止時間で、停止時間の内訳を各時間毎に表示している。図から15時から20時の間において、品種切替え時間が大きいことがわかる(ステップS315)。従って、ライン稼動率が低下した原因は品種切替え時間が大きいことにあるため、この品種切替え時間を減少させる最適化をするべく、ステップS316へ進む。
ステップS316において、部品供給装置5の共通配列の最適化を実施し、各生産品種におけるライン実装タクトおよび各品種間の品種切替え時間をタクトシミュレーションにより理論値を求め検証する。詳細は、後述する。
なお、上記では、ネック装着機において品種切替え時間が大きい場合にライン稼動率が低下した事例を説明したが、ネック装着機以外の装着機であっても部品実装ライン100を構成するいずれかの装着機で品種切替え時間が大きくなった場合は、その影響を受けて、ネック装着機の停止時間が多くなる(例えば、ライン一斉に品種切替えを行い、全装着機の品種切替え終了して次の生産を開始する場合)。その結果、ライン稼動率が低下することもありえる。
次に、図39(a)の例では、ライン稼動率が20時以後目標値40を下回っている。この原因を調べるため、図39(b)に示すように、ネック装着機である装着機1の部品吸着ノズル7の吸着率の推移を表示させて見ると、20時以後吸着率が目標値46(吸着率の目標値を予めサービス供給装置2の稼動品質情報DB51に99.99%に設定している)を下回っていることがわかる(ステップS317)。これにより、ライン稼動率の低下の原因は吸着率の低下にあることが判明する。そこで、更に、装着機1の吸着率が低下した原因を分析する。
まず、装着機1の部品吸着ノズル7の種類別の吸着率の推移を調べ(図9の設備情報211には表示していないが、各装着機n108より部品吸着ノズル7の種類別の吸着率を収集するものとする)、もし特定の部品吸着ノズル7のみの吸着率が低下していたら(ステップS318)、吸着ノズル7で不良が発生したのが原因である。この場合は、吸着ノズル7を交換するよう該当の実装機納入先工場の管理装置101へメッセージを送る。もし必要であれば、サービス情報DB26中の補修パーツDB323へ、部品吸着ノズル7を補修パーツとして該当の実装機納入先工場へ発送する手配をする旨登録を行う(ステップS319)。
次に、装着機1の部品供給装置5(例えばパーツカセット)の種類別の吸着率の推移を調べ(これも設備情報211の中の1データとして収集される)、もし特定の部品供給装置5のみの吸着率が低下していたら(ステップS320)、その部品供給装置5に不良が発生したのが原因である。この場合は、その部品供給装置5を交換するよう該当の実装機納入先工場の管理装置101へメッセージを送る。もし必要であれば、サービス情報DB26中の補修パーツDB323へ、部品供給装置5を補修パーツとして該当の実装機納入先工場へ発送する手配をする旨登録を行う(ステップS321)。
また、該当する生産品種におけるライン実装タクトを調べる。図40(a)の例では、ライン稼動率が20時から22時の間に低下している。その時間帯に該当する生産品種におけるライン実装タクトを表示したのが図40(b)である。図において、ネック装着機である装着機1の部品供給装置5の移動ロス(Zロス)が大きい(ステップS322)。これは部品供給装置5の移動量が大きいことを意味しており、このために、部品供給部11の振動が大きくなり、吸着率の低下に関係したことがわかる。この場合は、装着機1について装着機単体最適化を行い、部品供給装置5の移動ロスを解消させる(ステップS323)。詳細は、後述する。
なお、上記では、ネック装着機において部品吸着ノズル7の吸着率が低下したことが原因でライン稼動率が低下した事例を説明したが、ネック装着機以外の装着機n108であっても部品実装ライン100を構成するいずれかの装着機n108で部品吸着ノズル7の吸着率が低下した場合は、その影響を受けて、ネック装着機の停止時間が多くなる。例えば、ネック装着機が吸着率が低下した装着機n108の下流にある場合は、P板待ち(回路基板搬送待ち)の停止時間が大きくなり、また、ネック装着機が吸着率が低下した装着機n108の上流にあれば、下流で回路基板が滞る下流満杯(P板待ちの1種)の停止時間が大きくなる。その結果、ライン稼動率が低下することもありえる。
次に、図41(a)の事例でも、20時から22時の間にライン稼動率が低下している。この原因を調べるため、図41(b)に示すように、ネック装着機である装着機1の20時から22時の間における停止時間の内訳をグラフ表示させる。図から20時から22時の間において、トラブル停止時間が大きいことがわかる。トラブル停止時間が大きいことがライン稼動率が低下した原因であることが判明する。そこで、更に、装着機1のトラブル停止時間が大きくなった原因を分析する。
まず、操作ミスの発生した回数の推移を調べ(図9の設備情報211には表示していないが、各装着機n108が操作ミスを検知し、操作ミスの発生した回数を収集するものとする)、装着機1の20時から22時の間において操作ミスの回数が多ければ、オペレータの操作ミスがライン稼動率が低下した原因となる(ステップS324)。この場合は、オペレータの操作ミスがライン稼動率が低下した原因である旨のメッセージを該当する実装機納入先工場の管理装置101へ送る。そして、必要であれば、サービス情報DB26中の取説DB322から装着機1の取り扱い説明書の電子ファイル355を取出し、取出した装着機1の取り扱い説明書の電子ファイル355を前記管理装置101へ転送する。また、サービス情報DB26中のバーチャルトレーニングDB324から装着機1用のバーチャルトレーニングソフト361を取出し、取出したバーチャルトレーニングソフト361を起動し、実装機納入先工場の管理装置101または装着機1の表示部を用いたリモート処理による仮想トレーニングをオペレータに対して行う(ステップS325)。この仮想トレーニングは、操作ミスの内容(設備情報211として収集され設備情報DB30に書き込まれているものとする)に応じてミスの起こった操作について行う。また、設備情報DB30には、オペレータのシフトに関するデータも書き込まれており、操作ミスが特定のシフトで発生しているのかも分析できる。これにより、特定のシフト時間帯のみ、即ち、特定のオペレータの時に発生しているとしたら、そのオペレータに対する仮想トレーニングを行う等のオペレータを特定した対策を行うことができる。
次に、装着機1のソフトウェアのバージョンを調べ(図9の設備情報211には表示していないが、各装着機n108のソフトウェアのバージョン情報を設備情報211として収集し、稼動品質情報DB51に保持しているものとする)、サービス情報DB26中のソフトウェアDB326のバージョンアップ情報366を参照し、装着機1の現状のソフトウェアのバージョンが最新か確認する。装着機1の現状のソフトウェアが最新バージョンでなかった場合に、バージョンアップ情報366に保持されている各装着機n108のソフトウェアの各バージョンの履歴データより、各バージョンでのバージョンアップ内容やバグ修正情報を調べることができる。これにより、該当装着機である装着機1のソフトウェアのバージョンでは、未修正のバグが残存しておりそのためのトラブル停止であることが判明したら、ソフトウェアのバージョンが旧いことがトラブル停止の原因、即ち、ライン稼動率が低下した原因となる(ステップS326)。この場合は、サービス供給装置2から該当する装着機の最新バージョンのソフトウェア367をサービス情報DB26中のソフトウェアDB326から取り込み、該当する実装機納入先工場の管理装置101に転送し、リモート処理で該当の装着機n108へインストールする(ステップS327)。この時、インストールした最新バージョンに関する情報、例えば、バージョンアップ内容や修正バグ内容も管理装置101に転送する。また、最新バージョンになったことにより、装着機n108の操作やメンテナンス方法またはトラブル時のメッセージ等の変更、追加が生じた場合は、その内容がわかる取り扱い説明書の電子ファイル355をサービス情報DB26中の取説DB322から取出し転送する、または、サービス情報DB26中のバーチャルトレーニングDB324からバーチャルトレーニングソフト361を取出し、仮想トレーニングを実施する等のサービスも行う。
次に、NCデータ220に不備がないか、特に部品ライブラリ241の中身のデータに不備がないかを調べた結果(部品ライブラリ241は、上述した通り、データ記憶部22に装着機毎に保持している)、不備があったとする。例えば、部品ライブラリ241中のヘッド速度が低速にすべき部品なのに高速に設定してあったとする。この場合は、装着ヘッド4が回転する速度が速すぎるため、部品吸着ノズル7の吸引力が部品の質量による慣性力に抗しきれず、部品の吸着ずれや部品脱落等のトラブルになる。従って、この場合は、部品ライブラリ241の不備がライン稼動率が低下した原因となる(ステップS328)。この場合は、サービス情報DB26中の実装部品DB327から該当する装着機の部品ライブラリ241を読み出し、該当する実装機納入先工場の管理装置101へ転送する(ステップS329)。実装部品DB327に保持した部品ライブラリ241は、実装業界で使用している全部品メーカの部品のデータをカバーしている。しかし、サービスする先の使用部品メーカや生産する回路基板のタイプにより、その条件に合致した部品に関する部品ライブラリ241のみを検索し転送できる。これにより、必要最小限の部品ライブラリ241を転送するため、部品ライブラリ241を入力された装着機n108が不必要なデータで記憶量を取ることがない。
なお、上記では、ネック装着機においてトラブル停止時間が大きいことが原因でライン稼動率が低下した事例を説明したが、ネック装着機以外の装着機であっても部品実装ライン100を構成するいずれかの装着機でトラブル停止時間が大きくなった場合は、その影響を受けて、ネック装着機の停止時間が多くなる。例えば、ネック装着機がトラブル停止時間が大きい装着機の下流にある場合は、P板待ち(回路基板搬送待ち)の停止時間が大きくなり、また、ネック装着機がトラブル停止時間が大きい装着機の上流にあれば、下流で回路基板が滞る下流満杯(P板待ちの1種)の停止時間が大きくなる。その結果、ライン稼動率が低下することもありえる。
また、図42(a)の事例において、20時から22時の間にライン稼動率が低下している。この原因を調べるため、図42(b)に示すように、ネック装着機である装着機1の20時から22時の間における停止時間の内訳をグラフ表示させる。図から20時から22時の間において、部品切れ停止時間が大きいことがわかる。部品切れ停止時間が大きいことがライン稼動率が低下した原因であることが判明する(ステップS330)。この場合は、部品切れの生じた部品供給装置5を速やかに交換することが肝要であるが、例えば、1つの部品供給装置5が供給する部品の使用数に応じて、その部品供給装置5を複数の部品供給装置5から分担して供給するように増設すると、部品切れそのものが発生することがなくなる。そのために、同一の部品供給装置5を複数に増設する最適化を行う選択肢もある(ステップS331)。詳細は、後述する。
なお、上記では、ネック装着機において部品切れ停止時間が大きいことが原因でライン稼動率が低下した事例を説明したが、ネック装着機以外の装着機n108であっても部品実装ライン100を構成するいずれかの装着機n108で部品切れ停止時間が大きくなった場合は、その影響を受けて、ネック装着機の停止時間が多くなる。例えば、ネック装着機が部品切れ停止時間が大きい装着機n108の下流にある場合は、P板待ち(回路基板搬送待ち)の停止時間が大きくなり、また、ネック装着機が部品切れ停止時間が大きい装着機n108の上流にあれば、下流で回路基板が滞る下流満杯(P板待ちの1種)の停止時間が大きくなる。その結果、ライン稼動率が低下することもありえる。
以上のように、ライン実装タクトまたはライン稼動率が目標値に達しない原因を、得られた現象に基づき様々な角度から分析し、そのケ−スバイケースにより、NCデータ220の最適化やサービスの提供などの最適な対処をネットワーク60を介した遠隔操作により行えるので、リアルタイムに確実にライン実装タクトまたはライン稼動率を目標値に復帰させることができる。また、様々な角度で稼動状況を監視分析することにより、致命的なトラブルや生産停止になる前に予防の対策を打つことができる。
以上、図32、図33のフローチャートに基づき、稼動率や実装タクトの悪化を防ぐための監視・分析について説明したが、品質不良を防ぐための監視・分析についても同様な手法でできる。
例えば、検査結果の不良率の推移を監視し、その目標より不良率がオーバする場合にその原因を分析する。そのために、不良率が目標をオーバする時に具体的にどのような不良が発生しているかを調べる。
例えば、部品の装着位置ずれが発生しており、その装着位置ずれが発生している部品がSOPやQFP等の大型の低速で装着すべき部品に限っている場合、部品ライブラリ241におけるそれらの部品の装着速度の指定内容を調べる。これが、高速と指定されていたことが判明したとすると、低速で装着すべき部品が高速で装着されたために部品吸着ノズル7の慣性による位置ずれが発生したのが原因であるとして、その部品ライブラリ241の装着速度の指定を低速に修正し、その修正後の部品ライブラリ241をサービス受給装置1へフィードバックする。
また、例えば、クリーム半田印刷検査の結果で半田のかすれの発生が検出できた場合は、クリーム半田の粘度、温度等の工法データを調べ、または版離れ速度を調べる。それらの内でその回路基板の種類では、例えば狭リードピッチの印刷工法としては適切でないものが判明した時は、その工法を実装工法DB328から検索して取出した内容を反映するように、サービス受給装置1へフィードバックをかける。
他にも品質分析を行う事例は非常に多くあるが、本実施の形態では省略する。しかし、上述した手法と同様にして分析しフィードバックをかけるものとする。
(2−3)NCデータ最適化の動作
前述した図32、図33の稼動状況分析のフローチャートにおいて、分析の結果わかった原因を取り除く対処法としてのNCデータ最適化を随所に紹介したが、その詳細処理動作を以下に説明する。
(a)ステップS306の装着機単体最適化の動作
ステップS306の装着機単体最適化の動作について、高速装着機108aの場合の例を図43に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS306の装着機単体最適化の目的は、ネック装着機のタクトロスが許容範囲を越えたのを解消させることである。
最初に、装着部品を装着速度毎にグルーピングし、回路基板10への装着順序および部品供給装置5の配列において、装着速度が高速から低速のグループの順序にする(ステップS401)。なお、装着速度は、装着ヘッド4の移動速度やXYテーブル9の移動速度である。また、部品供給装置5の配列は、移動テーブル6上の初期位置(原点)の近傍から高速から低速のグループ順とする。
次に、上記各速度グループ内の装着順序および部品供給装置5の配列を決定する(ステップS402)。装着順序および部品供給装置5の配列の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブルの標準タクト内の許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。これにより、部品供給装置5の移動ロスは全くなくなる。
このように、部品供給装置5の移動ロスを全くなくしたことにより、現装着位置から次に選べる装着位置の部品に制約ができるため、回路基板上の現装着位置から近い装着位置の部品より遠い装着位置の部品を選ばざるを得ないこともあるので、逆にXYテーブル9の移動ロスはどうしても残りうる。部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲内になるようにするということは、例えば、部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲が±1とすると、同一の部品供給装置5またはその隣の部品供給装置5の部品に限られる。それらの部品の中で現装着位置から標準タクト内許容移動範囲内の装着位置の部品がなければXYテーブル9の移動ロスになる。しかし、XYテーブル9の移動量がXYテーブル9の標準タクト内の許容移動範囲に収まらないにしても、最小の移動量になる次の装着位置の部品を選ぶように考慮する。これにより、部品供給装置5の移動ロスを全くなくした条件の中でも最小のXYテーブル9の移動ロスになる装着順にすることができる。
なお、標準タクトが0.2秒以下で装着するような高速装着機108aの場合は、もっと厳密に部品供給装置5の移動量を制限する。即ち、1つの部品供給装置5の全ての部品を装着し終えて初めて隣の部品供給装置5へ移動させる装着順序とする。こうすれば、部品供給装置5の移動量を最小にすることができ、部品供給装置5の振動による吸着率低下を防ぐことができる。但し、こうすると、厳密に部品供給装置5の移動量を制限することにより、XYテーブル9の移動ロスが若干増えるので装着タクトは遅くなる。
次に、決定された部品供給装置5の配列、部品装着順序となった最適化後のネック装着機のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、装着タクトの理論値、即ち、ライン実装タクトを算出する(ステップS403)。装着タクトの理論値は、上述した(式1)〜(式6)を用いて算出する。
次に、算出したライン実装タクトの理論値が目標値を達成してるか評価する(ステップS404)。目標値を達成していれば、最適化処理を終了する。目標値を達成してなければ、ステップS405へ進む。
ステップS405において、図44に示すように、回路基板(P板)10上に1つの部品供給装置5が供給する部品が大きく分散しているものがあれば、分散している部品のグループ(図の例では各グループが個別の部品になっている)毎に複数の部品供給装置5に増設して分担供給するようにする。図の例では、部品aの部品供給装置5を3つの部品供給装置5に増設している。これにより、増設前は、部品供給装置5の移動ロスをなくす装着順序にするため、例えば、同一の部品供給装置5の部品を連続して装着させると、図のように、XYテーブル9の移動量がかなり大きくなっていたが、増設後は、図のように、回路基板10の装着位置が近い順に部品供給装置5の配列を決めれるため、XYテーブル9の移動量が大幅に低減される。
次に、部品供給装置5の増設後のNCデータ220に対して、ステップS402と同じ処理の部品供給装置5の配列および装着順序の決定を行う(ステップS406)。また、ステップS406の最適化後のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、装着タクトの理論値、即ち、ライン実装タクトの理論値を算出する(ステップS407)。
次に、算出したライン実装タクトの理論値が目標値を達成してるか評価する(ステップS408)。目標値を達成していれば、最適化処理を終了する。ほとんどの場合、目標値を達成するものと考えられる。しかし、目標値を達成していなければ、ステップS409へ進む。
ステップS409において、上記のように最適化しても目標値を達成できないということは、回路基板上の部品配置に問題がある可能性があるため、回路設計の修正の提案を行う。または、部品実装ライン100の構成をもっと能力が高くなるように提案する。
(b)ステップS307の最適化の動作
ステップS307の最適化の動作について、高速装着機108aの場合の例を図45に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS307の最適化の目的は、ネック装着機のタクトロスが許容範囲を越えたのを解消させることである。
(b−1)ネック装着機の部品供給装置5の配列固定の条件での最適化
最初に、ネック装着機において、現在の部品供給装置5の配列を変えずに固定した条件で、装着順序を決定する(ステップS421)。装着順序の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブルの標準タクト内の許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。これにより、部品供給装置5の移動ロスは全くなくなる。
しかし、部品供給装置5の配列を固定した条件では、XYテーブル9の移動ロスは固定してない場合よりも更に大きくなる。その点について、図46(a)、(b)を用いて説明する。図46(a)に示すように、部品供給装置5の配列が固定されていると、部品供給装置5の移動を標準タクト内の許容範囲内におさえようとすると、例えば、部品aを装着し終わると必ず隣の部品供給装置5の部品bを装着しなければならない。図のように部品bが部品aの現装着位置から離れていると、XYテーブル移動ロスになる。一方、図46(b)に示すように、部品供給装置5の配列が固定されてなくてフリーの場合は、部品aを装着し終わると部品aから標準タクト内の許容範囲内にある部品dの部品供給装置5を部品aの部品供給装置5の隣に配置することができる。即ち、XYテーブル9の移動ロスが発生しない部品供給装置5の配列にすることができる。従って、部品供給装置5の配列を固定した場合は、固定しない場合に比べてXYテーブル9の移動ロスが発生する可能性が高くなる。
次に、決定された部品装着順序となった最適化後のネック装着機のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、装着タクトの理論値、即ち、ライン実装タクトを算出する(ステップS422)。装着タクトの理論値は、上述した(式1)〜(式6)を用いて算出する。
次に、算出したライン実装タクトの理論値が目標値を達成してるか評価する(ステップS423)。目標値を達成していれば、最適化処理を終了する。目標値を達成してなければ、生産品種間で共通化した部品供給装置5の配列、即ち、部品供給装置5の共通配列(以後、共通部品配列という)に問題があるため、評価した生産品種ではライン実装タクトが目標値を達成できなかったものとして、共通部品配列を見直す最適化をするべく、ステップS424へ進む。
(b−2)共通部品配列最適化
ステップS424において、共通部品配列を作成する。共通部品配列の作成した事例を図47(a)に示す。対象とする範囲の生産品種分(例えば、1日の生産または1週間の生産の品種)における部品実装ライン100の全装着機のNCデータ220に基づき作成する。ここでは、簡単のため、図のように、部品実装ライン100の装着機は装着機1,2の2台のみ、生産品種はA,B,Cの3品種の例で説明する。なお、生産する回路基板の枚数は、品種Aが200枚、品種Bが120枚、品種Cが70枚と、A>B>Cの順に多いものとし、生産順序は、A、B,Cの順とする。
図47(a)において、装着機1および装着機2の部品供給装置5の配列(図のZが配置番号)を品種A,B,Cの順に表示している。共通部品配列では、全品種の配列が同一になる。その中で、品種間で共通に使用する部品の部品供給装置5は同一の位置に配置する。また、例えばその品種でしか使用しない部品の場合は、他の品種ではその部品の部品供給装置5を配置したままにし、その部品供給装置5は使用しない(例えば、装着機1のZ7の部品gは、品種Aのみで使用し、品種B,Cでは使用せず部品供給装置5をそのまま配置させている)。なお、部品の装着機1,2への振り分けは、最も生産枚数が多い品種Aにとって標準タクトで算出した標準装着タクトでのタクトバランスが取れるように振り分けているものとする。また、複数の品種で共通に使用する部品の部品供給装置5の配置位置は、生産枚数が最大の品種において最適な配置になるようにする。例えば、部品a、b、cは、品種Aに最適な配置にする。また、1つの品種でしか使用しない部品の部品供給装置5の配置位置はその品種にとって最適な配置位置とする。例えば、部品hは、品種Bにとって最適な配置位置とする。
次に、ステップS424で作成した共通部品配列で部品供給装置5を固定した条件で、各品種の各装着機n108の部品装着順を決定する(ステップS425)。最適化方法は、ステップS421と同じである。
次に、対象とする全品種トータルの生産時間のシミュレーションを行い、ト−タル生産時間を算出する(ステップS426)。これを以後は実装生産タクトシミュレーションと呼ぶ。実装生産タクトシミュレーションの具体的な算出方法を図47の事例で説明する。
まず、図47(a)に示すように、各装着機の装着タクトを各生産品種毎に算出する。装着タクトの算出には、ステップS422と同様、(式1)〜(式6)を用いて算出する。算出した結果を装着機1、装着機2の装着タクトの欄に各品種毎に示している。そして、各装着機の装着タクトの最大値がライン実装タクトになり、図に示す通り、各品種毎得られる。更に、ライン実装タクトに該当品種の生産枚数を乗ずると、図に示す品種生産時間が得られる。品種生産時間は、その品種の基板を生産枚数分の実装生産するのに要する時間である。
また、品種切替え時の部品供給装置5の交換回数に基づき、図47(b)に示すように、各品種間の品種切替え時間を算出する。共通部品配列の場合は、全ての対象品種で使用する部品供給装置5が各装着機に搭載されているので、部品供給装置5の交換は全く発生しない。
以上、算出した結果の各生産品種の品種生産時間と各生産品種間の品種切替え時間との合計を取ることにより、トータル生産時間が算出される。ステップS426にて、図47の事例において算出されたトータル生産時間は、506分20秒である。この共通部品配列を用いた場合の実装生産タクトシミュレーションを実装生産タクトシミュレーション(1)と呼ぶ。なお、ステップS426では、簡単にするため、品種切替え時間を部品供給装置5の交換に要する時間のみを考慮したが、この限りではない。例えば、NCデータ220を各装着機n108にて選択する時間、各装着機n108における回路基板の搬送幅を変更する時間や回路基板を下側からサポートするサポートピンの配置を変更する時間等の段取り替え作業時間を考慮するものであっても構わない。
(b−3)部分共通部品配列最適化
共通部品配列を用いた最適化の次に、ステップS424と同一の部品実装ライン100の各装着機の同一の生産品種のNCデータ220に基づき、部分共通部品配列を作成する(ステップS427)。部分共通部品配列は、品種間で共通で使用する部品の部品供給装置5は同一の配置とするが、その品種のみで使用する部品の部品供給装置5は、その品種のみの生産で使用し、部分的に部品の交換が発生する部品供給装置5の配列である。
部分共通部品配列の作成した事例を図48(a)に示す。図48(a)は、図47(a)に示した場合と同一の回路基板を同一のライン構成で生産するものである。図48(a)において、装着機1および装着機2の部品供給装置5の配列(図のZが配置番号)を品種A,B,Cの順に表示している。部分共通部品配列では、生産順序が連続する品種間で共通で使用する部品の部品供給装置5の配列が同一になる。例えば、装着機1のZ1からZ3までは、品種A、B、Cともに同一の配列である。しかし、連続する品種間で共通で使用しない部品の部品供給装置5は、その品種のみの配置になり、品種が替わると交換される。例えば、装着機1のZ5は、品種Aでは部品eの部品供給装置5が配置されているが、品種Bになると部品hの部品供給装置5に交換し、品種Cになると部品eの部品供給装置5に再度戻される。同様に、図中で矢印を付した箇所では、部品供給装置5の交換が発生する。なお、部品の装着機1,2への振り分けは、最も生産枚数が多い品種Aにとって標準タクトで算出した標準装着タクトでのタクトバランスが取れるように振り分けているものとする。また、複数の品種で共通に使用する部品の部品供給装置5の配置位置は、生産枚数が最大の品種において最適な配置になるようにする。例えば、部品a、b、cは、品種Aに最適な配置にする。また、1つの品種でしか使用しない部品の部品供給装置5の配置位置はその品種にとって最適な配置位置とし、ステップS428で決定する。例えば、部品hは、品種Bにとって最適な配置位置とする。
次に、ステップS427で作成した部分共通部品配列に基づき、品種間で共通な配置の部品供給装置5は固定とし、その品種でしか使用しない部品の部品供給装置5は固定しない条件で、装着順序および、その品種でしか使用しない部品に関する部品供給装置5の配置を各装着機n108および各品種毎に決定する(ステップS428)。装着順序の決定およびその品種でしか使用しない部品に関する部品供給装置5の配置の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブル9の標準タクト内の許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。
次に、対象とする全品種において、実装生産タクトシミュレーションを行い、ト−タル生産時間を算出する(ステップS429)。実装生産タクトシミュレーションの具体的な算出方法を図48(a)、(b)の事例で説明する。
まず、図48(a)に示すように、各装着機の装着タクトを各生産品種毎に算出する。装着タクトの算出には、ステップS422と同様、(式1)〜(式6)を用いて算出する。算出した結果を装着機1、装着機2の装着タクトの欄に各品種毎に示している。図の値を見ると、共通部品配列のものと比較して、各品種毎にフリーで最適化している箇所がある分だけ装着タクトがわずかに短縮されている。そして、各装着機の装着タクトの最大値がライン実装タクトになり、図に示す通り、各品種毎得られる。更に、ライン実装タクトに該当品種の生産枚数を乗ずると、図に示す品種生産時間が得られる。品種生産時間は、その品種の基板を生産枚数分の実装生産するのに要する時間である。
また、品種切替え時の部品供給装置5の交換回数に基づき、図48(b)に示すように、各品種間の品種切替え時間を算出する。図において、装着機1、2における品種AからB、品種BからCの各品種切替え時の部品供給装置5の交換回数を示している。例えば、装着機1において、品種AからBへの品種切替え時の部品供給装置5の交換は、Z5が部品eから部品h、Z6が部品gから部品fへと2回発生している。そして、1回の部品供給装置5の交換に要する時間は、サービス受給装置1のデータ記憶部22から速度マスタ414(カセット交換時間)を読み出すことにより得られる。速度マスタ414によると、例えば、装着機1の部品供給装置5の1回の交換に180秒、装着機2の部品供給装置5の1回の交換に240秒必要である。これにより、各装着機毎の各品種間の品種切替え時間を、速度マスタ414から得た部品交換時間に部品交換回数を乗ずることにより求めることができる。そして、簡単にするために、部品実装ライン100で一斉に品種切替えするものとすると、装着機1,2の内で最大の品種切替え時間がライン品種切替え時間となる。図に示す場合、ライン品種切替え時間は、品種AからB,品種BからCの両方の切替えにおいて、8分になる。
以上、算出した結果の各生産品種の品種生産時間と各生産品種間の品種切替え時間との合計を取ることにより、トータル生産時間が算出される。ステップS429にて、図48(a)、(b)の事例において算出されたトータル生産時間は、483分である。この部分共通部品配列を用いた場合の実装生産タクトシミュレーションを実装生産タクトシミュレーション(2)と呼ぶ。
(b−4)個別部品配列最適化
部分共通部品配列を用いた最適化の次に、ステップS424、ステップS427と同一の部品実装ライン100の各装着機の同一の各生産品種のNCデータ220に基づき、各生産品種毎に、全部の部品供給装置5の配列をフリー(固定させない)とした、ラインとしての最適化を行う。なお、各品種間は無関係とし品種毎独立にラインとして最短時間で実装するよう最適化を行う。即ち、部品供給装置5を品種間で共通化することは全く考慮せず、各生産品種で個別にそれぞれ最短時間で装着できる部品供給装置5の配列とする。そのために、まず、各品種においてそれぞれ、部品を各装着機にラインタクトバランスが取れるように振り分ける(ステップS430)。この時の振り分けは、例えば、各装着機のタクトロスの許容範囲値(稼動品質情報DB51に記憶されており、例えば標準装着タクトの5%を設定)を標準装着タクトに加えた装着タクトの理論値で各装着機の装着タクトのバランスが取れるように部品を振り分ける。しかし、この限りでなく、標準装着タクトでバランスを取っても、部品の装着点数でバランスを取るものでも構わない。また、タクトロスの今までの平均値を標準装着タクトに加えた装着タクトでバランスを取るのでも良い。しかし、タクトロスを考慮した装着タクトでバランスを取った方がバランスを取る精度は高くなる。
次に、部品が振り分けられた各装着機毎に、部品供給装置5の配列および部品装着順序の決定を行う(ステップS431)。部品供給装置5の配置の決定および装着順序の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブルの標準タクト内の許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。
ステップS430およびステップS431により決定された、個別部品配列、即ち、各品種毎に部品供給装置5の配列をフリーとして最適化した後の部品供給装置5の配列の事例を図49(a)に示す。図49(a)は、図47(a)、図48(a)と同一の回路基板を同一のライン構成で生産するものである。図49(a)において、装着機1および装着機2の部品供給装置5の配列(図のZが配置番号)を品種A,B,Cの順に表示している。図に示すように、各品種の部品供給装置5の配列はそれぞれの品種にとって個別に最適な配列になっており、品種間は独立なものになっている。従って、同一の部品の部品供給装置5でも配置位置が異なる場合が多く、頻繁に部品供給装置5の交換が発生する。
次に、対象とする全品種において、実装生産タクトシミュレーションを行い、ト−タル生産時間を算出する(ステップS432)。実装生産タクトシミュレーションの具体的な算出方法を図49(a)、(b)の事例で説明する。
まず、図49(a)に示すように、各装着機の装着タクトを各生産品種毎に算出する。装着タクトの算出には、ステップS422と同様、(式1)〜(式6)を用いて算出する。算出した結果を装着機1、装着機2の装着タクトの欄に各品種毎に示している。図の値を見ると、部分共通部品配列のものと比較して、各品種毎に全部の部品供給装置5をフリーで最適化している分だけ装着タクトが更にわずかに短縮されている。一般的に、装着タクトは、共通部品配列よりも部分共通部品配列、また、部分共通部品配列よりも個別部品配列の方が短縮される。そして、各装着機の装着タクトの最大値がライン実装タクトになり、図に示す通り、各品種毎に得られる。更に、ライン実装タクトに該当品種の生産枚数を乗ずると、図に示す品種生産時間が得られる。品種生産時間は、その品種の基板を生産枚数分の実装生産するのに要する時間である。
また、品種切替え時の部品供給装置5の交換回数に基づき、図49(b)に示すように、各品種間の品種切替え時間を算出する。図において、装着機1、2における品種AからB、品種BからCの各品種切替え時の部品供給装置5の交換回数を示している。図を見ると、部分共通部品配列のものより、交換回数が増加している。そして、1回の部品供給装置5の交換に要する時間は、サービス供給装置2の記憶部302のデータ領域304から速度マスタ414(カセット交換時間)を読み出すことにより得られる。これにより、各装着機毎の各品種間の品種切替え時間を、速度マスタ414から得た部品交換時間に部品交換回数を乗ずることにより求めることができる。そして、簡単にするために、部品実装ライン100で一斉に品種切替えするものとすると、装着機1,2の内で最大の品種切替え時間がライン品種切替え時間となる。図に示す場合、ライン品種切替え時間は、品種AからBの切替えが20分、品種BからCの切替えが16分になる。
以上、算出した結果の各生産品種の品種生産時間と各生産品種間の品種切替え時間との合計を取ることにより、トータル生産時間が算出される。ステップS432にて、図49(a)、(b)に示すの事例において算出されたトータル生産時間は、490分40秒である。この部分共通部品配列を用いた場合の実装生産タクトシミュレーションを実装生産タクトシミュレーション(3)と呼ぶ。
(b−5)共通部品配列を見直す最適化の結果
ステップS433において、実装タクトシミュレーション(1)〜(3)の結果を評価し、トータル生産時間が最小となるNCデータ220に決定する。図47(a)、(b)、〜図49(a)、(b)の事例では、部分共通部品配列の結果がトータル生産時間483分と最小になっている。従って、部分共通部品配列最適化を行ったNCデータ220に決定する。
次に、稼動状況分析でライン実装タクトが目標値を達成できなかった生産品種において、ステップS433で決定したNCデータ220でライン実装タクトが目標値を達成するように改善されてるか評価する(ステップS434)。ライン実装タクトが目標値を達成していれば最適化処理を終了する。達成してなければ、上記のように最適化しても目標値を達成できないということは、回路基板上の部品配置に問題がある可能性があるため、回路設計の修正の提案を行う。または、部品実装ライン100の構成をもっと能力が高くなるように提案する(ステップS435)。または、トータル生産時間が目標を達成でき、即ち、生産計画が達成できるものであれば、該当の品種のみライン実装タクトが目標を達成してないものとして、最適化後のNCデータ220を採用する。
なお、ライン実装タクトが目標値を達成していれば、該当する生産品種のみでなく、当然、他の生産品種のNCデータも上記最適化したものを採用する。
また、図47(a)、(b)〜図49(a)、(b)に示すの事例では、簡単にするため、装着速度が単一なものとして説明し、装着速度のグルーピングには触れなかったが、装着速度が異なる部品があれば装着速度が高速から低速の順の部品供給装置の配列にする必要がある。以後のNCデータ最適化の事例でも同様に、簡単にするため、装着速度が単一なものとして説明する。しかし、装着速度が異なる部品があれば装着速度が高速から低速の順の部品供給装置5の配列にする必要がある。
また、上記事例では、全ての品種において共通部品配列であれば共通部品配列、部分共通部品配列であれば部分共通部品配列というように一律の部品配列方法としたが、この限りではなく、品種によって部品配列方法を変えても構わない。例えば、品種A,B、C,D,Eと連続して生産する場合で、品種A、B,Cまでは生産枚数が少なくて、品種D、Eは生産枚数が大幅に多くなるとする。その場合、品種A、B、Cまでは共通部品配列とし、品種D,Eはそれぞれ個別部品配列とする。このように、生産枚数によって品種をグループに分け、部品配列方法を途中で切替えると、トータル生産時間をより短縮させるきめ細かい部品配列の最適化が可能になる。
(c)ステップS309の最適化の動作
ステップS309の最適化の動作について、高速装着機108aの場合の例を図50に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS309の最適化の目的は、ラインタクトバランスが取れるように部品の振り分けを補正することである。
最初に、装着タクト実績値の大きい装着機から装着タクト実績値が小さい装着機へ装着タクト実績値が均等化されるように装着部品を部品供給装置5単位で移動させる。例えば、ネック装着機から他の装着機へラインタクトバランスが取れるだけの数の装着部品を移動させる(ステップS441)。この時、例えば、ネック装着機の装着部品を少しずつ装着タクト最小の装着機へ順に移動させて、最終的に全装着機の装着タクトが許容範囲に入るようにする。なお、部品移動後の各装着機の装着タクトの算出は、あくまでも仮の算出で、部品移動前の装着タクトに移動により増えた部品のタクトを加算する、または、部品移動前の装着タクトから移動により減った部品のタクトを引くものとする。この時の移動する部品のタクトは、標準タクト、もしくは標準タクトに所定のタクトロスを含んだ比率を乗じたタクトとする。
次に、部品振り分けの補正がされた各装着機n108において、部品供給装置5の配列および部品装着順を決定する(ステップS442)。部品供給装置5の配置の決定および装着順序の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブル9の標準タクト内の許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。
次に、決定された部品供給装置5の配列、部品装着順序となった最適化後の各装着機n108のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、各装着機n108の装着タクトの理論値、およびライン実装タクトを算出する(ステップS443)。装着タクトの理論値は、上述した(式1)〜(式6)を用いて算出する。
次に、実装タクトシミュレーションの結果、ラインタクトバランスが許容範囲にあるか評価する(ステップS444)。ラインタクトバランスが許容範囲にあれば、ライン実装タクトが目標値を達成しているか評価する(ステップS445)。ライン実装タクトが目標値を達成していれば、最適化処理を終了する。達成してなければ、上記のように最適化しても目標値を達成できないということは、回路基板上の部品配置に問題がある可能性があるため、回路設計の修正の提案を行う。または、部品実装ライン100の構成をもっと能力が高くなるように提案する(ステップS446)。また、図50では省略したが、ステップS445でライン実装タクトが目標値を達成してない場合、タクトロスがないか再度評価し、もしタクトロスがあれば解消する最適化を各装着機に対して行っても良い。
ステップS444で、ラインタクトバランスが許容範囲に入ってなければ、その原因を調べる。まず、他の部品に比べて使用数が多い部品があるため、即ち、振り分ける部品の最小単位がかなりの部品数になるため、その部品を振り分けた装着機の装着タクトが突出する現象が起こってないか調べる(ステップS447)。もし該当する場合は、ステップS449に進むが、該当しなければ、ステップS448に進む。ステップS448では、ネック装着機のタクトロスが大きいのが原因か調べる。ネック装着機のタクトロスが大きいのが原因であれば、ステップS450に進むが、そうでなければ、ステップS441へ戻り、ステップS441〜ステップS443を再度行い、タクトバランスが許容範囲にあるか再度評価する。
ステップS449では、使用数が多い部品を複数の部品供給装置5で分担供給するように増設する。この時、例えば、図44に示すように、回路基板上に大きく分散する部品を複数の部品供給装置5で供給するように分割しても良い。ステップS449の後は、ステップS441へ戻り、再度振り分けの補正を行う。そして、ステップS442、ステップS443を行い、タクトバランスが許容範囲にあるか再度評価する。
ステップS450では、ネック装着機において、図44に示すように、回路基板上に大きく分散する部品を複数の部品供給装置5で分担供給するように増設する。これにより、XYテーブル9の移動ロスを削減することができる。
ステップS450の次は、ネック装着機において、部品供給装置5の配列および部品装着順を決定する(ステップS451)。部品供給装置5の配置の決定および装着順序の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブル9の標準タクト内の許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。
次に、決定された部品供給装置5の配列、部品装着順序となった最適化後のネック装着機のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、ネック装着機の装着タクトの理論値、即ち、ライン実装タクトを算出する(ステップS452)。装着タクトの理論値は、上述した(式1)〜(式6)を用いて算出する。ステップS452の次は、ステップS444において、ラインタクトバランスが許容範囲にあるか再度評価する。
(d)ステップS310の最適化の動作
ステップS310の最適化の目的は、ラインタクトバランスが取れるように部品の振り分けを補正することである。但し、既に、品種間で共通な部品供給装置5の配置にするように考慮されているので、共通部品配列を見直すステップS307と同様な最適化を行う。その中で部品の各装着機への振り分けをも見直す。但し、図45のフローチャートにおいて、ステップS424以降の処理を行う。即ち、図47(a)、(b)〜図49(a)、(b)に示す、共通部品配列、部分共通部品配列、個別部品配列最適化をそれぞれおこない、その中でトータル生産時間が最小になる最適化結果を選択する。その他は、ステップS307の最適化と同様である。
(e)ステップS312の最適化の動作
ステップS312の最適化の動作について、高速装着機108aの場合の例を図51に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS312の最適化の目的は、部品実装ライン100の各装着機のタクトロスを許容範囲内におさえ、ライン実装タクトが目標値を達成するようにすることである。
最初に、各装着機において、部品供給装置5の配列および部品装着順を決定する(ステップS461)。部品供給装置5の配置の決定および装着順序の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブル9の標準タクト内許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。
次に、決定された部品供給装置5の配列、部品装着順序となった最適化後の各装着機のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、各装着機n108の装着タクトの理論値、およびライン実装タクトを算出する(ステップS462)。装着タクトの理論値は、上述した(式1)〜(式6)を用いて算出する。
次に、実装タクトシミュレーションの結果、ライン実装タクトが目標値を達成しているか評価する(ステップS463)。ライン実装タクトが目標値を達成していれば、最適化処理を終了する。達成してなければ、ラインタクトバランスが許容範囲内にあるか評価する(ステップS464)。ラインタクトバランスが許容範囲内になければ、その原因を調べるため、ステップS465へ進む。ラインタクトバランスが許容範囲内にあれば、ステップS472へ進む。
まず、ステップS465において、他の部品に比べて使用数が多い部品があるため、即ち、振り分ける部品の最小単位がかなりの部品数になるため、その部品を振り分けた装着機の装着タクトが突出する現象が起こってないか調べる。もし該当する場合は、ステップS467に進むが、該当しなければ、ステップS466に進む。ステップS466では、ネック装着機のタクトロスが大きいのが原因か調べる。ネック装着機のタクトロスが大きいのが原因であれば、ステップS469に進むが、そうでなければ、ステップS468にて、部品振り分けの補正を行う。部品振り分けの補正とは、装着タクトが大きい装着機から装着タクトが小さい装着機へラインタクトバランスが取れるだけの数の装着部品を移動させることである。この時、例えば、ネック装着機の装着部品を少しずつ装着タクト最小の装着機から順に移動させて、最終的に全装着機の装着タクトが許容範囲に入るようにする。部品振り分けの補正をしたら、ステップS461へ戻り、各装着機の部品供給装置5の配列および部品装着順を再度決定する。
ステップS467では、使用数が多い部品を複数の部品供給装置5で供給するように分割する。この時、例えば、図44に示すように、回路基板上に大きく分散する部品を複数の部品供給装置5で分担供給するように増設しても良い。増設した後は、ステップS468にて、部品振り分けの補正を行い、ステップS461へ戻る。
ステップS469では、ネック装着機において、図44に示すように、回路基板上に大きく分散する部品を複数の部品供給装置5で分担供給するように増設する。これにより、XYテーブル9の移動ロスを削減することができる。
ステップS469の次は、ネック装着機において、部品供給装置5の配列および部品装着順を決定する(ステップS470)。部品供給装置5の配置の決定および装着順序の決定において、最優先として、部品供給装置5の移動量が部品供給装置5の標準タクト内の許容移動範囲(Z移動許容移動範囲)内になるように考慮する。次の優先順位として、XYテーブル9の移動量がXYテーブル9の標準タクト内許容移動範囲(XY移動許容移動範囲)内になるように考慮する。
次に、決定された部品供給装置5の配列、部品装着順序となった最適化後のネック装着機のNCデータ220に基づき実装タクトシミュレーションを行い、ネック装着機の装着タクトの理論値、即ち、ライン実装タクトを算出する(ステップS471)。装着タクトの理論値は、上述した(式1)〜(式6)を用いて算出する。ステップS471の次は、ステップS463において、ライン実装タクトが目標値を達成したか再度評価する。
ステップS472では、ラインタクトバランスが取れているが、各装着機の中でタクトロスが許容範囲内にない装着機が1台でもあるか調べる。あれば、タクトロスが許容範囲内にない装着機において、図44に示すように、回路基板上に大きく分散する部品を複数の部品供給装置5で分担供給するように増設する(ステップS473)。これにより、XYテーブル9の移動ロスを削減することができる。増設した後は、ステップS468において、部品振り分けの補正を行い、ステップS461へ戻る。
ステップS472において、タクトロスが許容範囲内にない装着機が1台もなければ、上記のように最適化しても目標値を達成できないということは、回路基板上の部品配置に問題がある可能性があるため、回路設計の修正の提案を行う。または、部品実装ライン100の構成をもっと能力が高くなるように提案する。
(f)ステップS313の最適化の動作
ステップS313の最適化の目的は、部品実装ライン100の各装着機n108のタクトロスを許容範囲内におさえ、ライン実装タクトが目標値を達成するようにすることである。従って、ステップS307の最適化と同様な処理を図45に示すフローチャートに基づいて行う。但し、ステップS307の最適化と異なるのは、ステップS421、ステップS422において、部品実装ライン100内の全ての装着機が対象になっていることである。つまり、全装着機の部品供給装置5の配列を固定した条件での装着順決定をした上で、全装着機の装着タクトシミュレーションを行い、ライン実装タクトが目標値を達成しているか評価する。それで、目標値を達成してなければ、ステップS424以降の処理で、図47(a)、(b)〜図49(a)、(b)に示す、共通部品配列、部分共通部品配列、個別部品配列最適化をそれぞれおこない、その中でトータル生産時間が最小になる最適化結果を選択する。その他は、ステップS307の最適化と同様である。
(g)ステップS316の最適化の動作
ステップS316の最適化の目的は、品種切替え時間が減少するような部品供給装置5の共通化を行うことである。従って、ステップS307の最適化と同様な処理を図45に示すフローチャートに基づいて行う。但し、図45において、ステップS424から開始する。そして、図47(a)、(b)〜図49(a)、(b)に示す、共通部品配列、部分共通部品配列、個別部品配列最適化をそれぞれおこない、その中でトータル生産時間が最小になる最適化結果を選択する。
目標は、あくまでも品種切替え時間の短縮によるライン稼動率の目標維持であるが、トータル生産時間が最小になることと連動することが肝要である。トータル生産時間が最小になり、品種切替え時間も短縮されるのが最良であるが、品種切替え時間が短縮されなくてもトータル生産時間が最小であれば良しとする判断も有り得る。
(h)ステップS323の最適化の動作
ステップS323の最適化の動作について、高速装着機の場合の例を図52に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS323の最適化の目的は、部品供給装置5の移動ロスを解消させ、部品供給装置5を搭載した移動テーブル6の振動を低減させ、部品吸着ノズル7の吸着率の低下をなくすことである。
ステップS481において、現状の部品供給装置5の配列のまま固定し、同一の部品供給装置5の部品を連続して装着する装着順にする。即ち、1つの部品供給装置5の全ての部品を装着し終えて初めて隣の部品供給装置5へ移動させる装着順序とする。こうすれば、部品供給装置5の移動量を最小にすることができ、部品供給装置5の振動による吸着率低下を防ぐことができる。
ステップS482において、同一の部品供給装置5の部品を装着する装着順は、XYテーブル9の移動が標準タクト移動許容範囲内になるような装着順にする。どうしても、標準タクト移動許容範囲内にならない場合は、XYテーブル9の移動が最小になるようにする。
なお、特に、標準タクトが0.2秒以下で装着するような高速装着機108aの場合、このような厳密に部品供給装置5の移動量を制限する装着順は、部品供給部11の振動による吸着率低下を防止する上で有効である。但し、こうすると、厳密に部品供給装置5の移動量を制限することにより、XYテーブル9の移動ロスが若干増えるので装着タクトは遅くなる。しかし、吸着率低下という品質トラブルを防止する方を優先するのが、この場合は一般的である。
(i)ステップS331の最適化の動作
ステップS331の最適化の動作について、高速装着機の場合の例を図53に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS331の最適化の目的は、使用数の多い部品の部品供給装置5を複数に増設することにより、部品の減少量を分散させ、生産中に部品切れが発生しないようにすることである。
最初に、装着機n108で使用する各部品供給装置5において、回路基板の生産品種で使用する部品数を見積もる(ステップS501)。そのために、まず、NCプログラム221の各部品毎のステップ数をカウントすると、回路基板1枚の装着に使用する各部品供給装置5の部品使用数が得られる。この、各部品供給装置5の部品使用数に、その品種の生産枚数を乗ずると、生産品種における部品使用数が求まる。
この部品使用数と部品供給装置5内の部品残数とを比較すると、その品種の生産中に部品切れが発生するか判断できる(ステップS502)。もし、部品使用数の方が多ければ、その部品供給装置5でその品種の生産中に部品切れが発生する。
ステップS502において、部品切れが発生する部品供給装置5があれば、その部品供給装置5を複数の部品供給装置5で供給するように分割する(ステップS503)。なお、部品使用数を増設数で割った値が部品残数を下回るように、増設数を設定する。
次に、部品供給装置5の分割した後のNCデータ220において、装着機単体最適化を行い、(ステップS504)処理を終了する。
このような最適化を行ったNCデータ220で生産すると、品種生産中に部品切れが発生することはなくなる。
(3)実装工法DB328に関するサービスの詳細
ここで、既述した図25に示す実装工法DB328におけるクリーム半田情報の作成例およびサービス方法の詳細について説明する。
クリーム半田の印刷条件には非常に多くのパラメータがあり、最適条件を選択し、また実現するのは困難である。メーカー側は従来、ユーザ側の新規立ち上げ、品種換え、トラブル解消、品質や生産性の改良について、不特定な技術者によって個別に対応している。このため、カスタマ毎には勿論、同一のカスタマに対してもその時々に設定され、実行される印刷条件にバラツキが生じ、生産性や品質がなかなか安定しない。
本例では、クリーム半田情報として図54に示すようなクリーム半田の半田特性に関する半田特性DB328aと、図55に示すような印刷条件についての実績データに関する印刷条件DB328bとを採用している。そこで、サービス供給装置2はサービス受給装置1に対し、図54に示す半田特性DB328aから半田特性データを検索し、図55に示す印刷条件DB328bから印刷条件データを検索できるようにする検索サービスと、新規立ち上げ、品種換え、トラブル解消、品質や生産性の改良についての要望事項や問い合わせを受付て対応する対応サービスとを提供する。これによって、ユーザー側はクリーム半田印刷の立ち上げ、品種換え、トラブル解消について、その時々の課題に対応した適正なクリーム半田情報、印刷条件をサービス者側から難なく得られ、短期間、短時間で正しく対応できる。また、望むなら品質や生産性についての独自な改良をサービス者に求めてバージョンアップを図ることができる。
これに併せ、サービス供給装置2側では、また、サービス供給装置2側でサービス者側自身が入力したクリーム半田印刷に関するデータ、またはおよび、サービス受給装置1に対しユーザー側のクリーム半田印刷に関する実績データの入力を要求してそれを収集、蓄積し、図55に示すような基板の種類毎、または基板の種類と生産枚数の組み合わせ毎に対応した印刷条件DB328b1、328b2・・を作成しながら、印刷条件や印刷の状態、状況の監視、分析、評価、対策、および改良といった対応作業を技術者によって行い、前記印刷条件DB328b1、328b2・・に反映させる。これによって、サービス者側はユーザ側またはサービス者側が選択し、実行した印刷条件を一括管理し、技術者の別にかかわらず共通したデータとして幅広く取り扱って体系化したデータとしていき、ユーザ側に対しより最新のよりバラツキのない確かな印刷条件を提供して、クリーム半田印刷の品質および生産性の向上と安定を図ることができる。また、要求のあった対策や改良についてのサービスをも幅広い実績データや印刷の状態ないしは状況を基により的確に行える。つまり、印刷条件DBB328b1、328b2・・に評価実績をニーズとして居ながらにして収束することができ、新機能の開発に寄与する。同時に、ユーザの要求なしにも、プログラムや技術者による自発的な監視、分析、評価によって課題を発見し、これに対する対策や改良を図ってサービス者側からバージョンアップした技術や情報を提案する事業も実現する。以上のような対応を必要な項目または全項目につきカスタマ別に行いカスタマ専用のデータをも作成して蓄積し、個別にサービスを提供することもできる。
このような対応作業の結果サービス供給装置2では、さらに、新規に入力され、登録されるデータや状態、状況につき、適正または安定と判断した場合、図55に示す基板毎または基板と生産枚数との組み合わせ毎の基本DB328c1、328c2・・に移してデータの更新ないしはバージョンアップを図りながら、この基本DB328c1、328c2・・をサービス受給装置1からの検索に供し、いつでも閲覧して利用できるようにする。これにより、入力されるユーザー側からの最新の実績データを早期にサービス内容に反映しながらも、適正または安定と判定したデータだけをユーザー側の利用に供するので、不適正な実績データが広く利用されてしまうようなことを防止することができる。もっとも、新規データであっても広い実績によって早期に適正化および安定化することが望ましいので、新規データを提供することも意味がある。この場合、新規データであることを断っておくのが好適である。このように新規データは公表するかどうかにかかわりなく有効利用できるので、ユーザーには新規データーであっても入力を促す。
以上のようなサービスは幅広いネットワークで展開されるほど有効であり、グローバル化が望まれる。もっとも、ID管理によって契約者しかサービスを受けられないようにし、また契約レベルによってサービスを受けられる内容に差を持たせセキュリティを図るのは上記の場合と変わらない。しかし、どのような条件でサービスを提供するかはこれに限られない。
なお、接着条件やリフロー条件など他の要素についても同様にデータ処理しサービスを提供するのが好適である。しかし、ここでは具体的な説明は省略する。
図54に示す半田特性DB328aは、サービス者側で標準データとして仕上げておき、新規データがある都度追加記録ないしは更新しながら蓄積し、ユーザー側からの検索に供する。取り扱う情報項目としては例えば、図に示すようにクリーム半田のメーカ、クリーム半田の品番、クリーム半田の粒度(MAX/MIN)および粘度、クリーム半田の平均粒度などの備考、フラックスタイプ、フラックス含有量、チキソ比、塩素含有量、対応ピッチ、合金組成、半田項目である。ここに、チキソ比は粘性体に応力を与えたときの粘度変化の比であり、攪拌すると流動性を増し、静置すると元の状態に戻る性質の度合を表す。対応ピッチはメーカが推奨する品番毎のクリーム半田の対応ピッチ、つまり半田付けを行うQFP電子部品などのリード間ピッチや電極間ピッチである。合金組成は存在の有無によってクリーム半田の特性が変化する要因となる合金組成をいい、鉛の有無がその代表的な例である。半田項目はクリーム半田の特徴を記入するもので、品番に対応してメーカーが推奨する仕様であり、高速印刷用、最多出荷、鉛フリー対応などである。なお、フラックスタイプは採用しているフラックスのタイプであってチキソ比に影響を与える。チキソ比は印刷中の半田の動粘度に関係している。一般にフラックスの含有量が多いとクリーム半田の粘度が下がる。
図55に示す印刷条件DB328b1、328b2・・は、ユーザー側からの実績データの入力に基づき作成し蓄積する。取り扱うデータ項目は例えば、図に示すように半田のメーカ、クリーム半田の品番、印刷速度、スキージタイプ、印圧(F/R)版離れ動作、版離れ距離、版離れ速度、カスタマー名、スクリーンマスク、スクリーンマスクの厚さ、スクリーンキャップ、サポート方式、設備内温度、クリーニングモード、クリーニング回数などの印刷条件、マスク掻き取り、0.5QFP、0.4QFP、0.3QFP、その他、入力日、担当、備考である。
ここに、スキージタイプはスキージの種類と移動速度とであり、種類にはウレタン、メタル、樹脂の違いがあり、移動速度には高速か低速かの違いがある。印圧はスキージが移動するときにスクリーンマスクに与える押圧力であり、前側スキージFと後側スキージRとの2通り入力するものである。版離れ動作は版離れの動作形式であり、等速、多段階、昇降の別があり、版離れ距離および版離れ速度は等速の場合は1つの条件を、多段階、昇降の場合は10まで条件を記入することができる。カスタマー名はサービス者が提供した印刷機を使用しているカスタマーとは異なったスクリーンマスクなどを採用しているときに、これを認識し、データ化しておくためにそのカスタマー名を蓄積する。このためカスタマー名が不明の場合はユーザー側に入力を要求する。スクリーンは可能な範囲で型番、製法、最小パターンなどを記入する。スクリーンギャップは印刷時のスクリーンマスクとこれを介してクリーム半田が印刷される基板との間のギャップであり、通常は基板がスクリーンマスクを若干持ち上げるいわゆる双方が干渉したマイナスのギャップ状態で印刷をしている。サポート方式は基板の支持形式であり、サポートピン、サポートプレート、吸着ブロックの別がある。クリーニングモードは1回のクリーニングにつき、ドライクリーニングDとウエットクリーニングWをどのように組み合わせてクリーニングするかを記入するもので、D−D、W−D、W−W、D−D−D、W−W−W−D、W−W−D−D、W−D−D−Dの別がある。クリーニング回数は印刷基板枚数毎のクリーニング頻度である。マスク掻き取りはスクリーンマスクのスキージによる掻き取りの状態であり、掻き取りが不足していたり、スキージの移動方向に連続した掻き取り残しができたり、掻き取り残しが点々と分布していたりすることがあるのを、掻き取りの良否として○×の別にて記入する。しかし、掻き取り不良の状態によって印圧の不足、偏り、ガタツキ、傷など原因が異なるので、文章や図、写真などで具体的に記入するのが好適である。0.5QFP、0.4QFP、0.3QFPはそれぞれ数字にてQFP電子部品のリード間ピッチをmmで示すのに併せ、それら各ピッチのものにおいてクリーム半田の微小部分への過剰印刷によるブリッジ、印刷不足による細りなど印刷不良、やや不良、良の別を×△○の別にて記入する。但し、この記入は、上記の0.5QPF、0.4QPF、0.3QPFに限定せずに入力可能である。また、印刷後のスキージがエッジに付着したクリーム半田が垂れ下がった状態でスクリーンから一旦離れた後、印刷のために再度スクリーンに圧着したとき付着しているクリーム半田が潰れてスキージの背部側に回り込んで引きずられ、スクリーン上の各所に付着して残り印刷結果に悪影響を及ぼすクリーム半田引きずりの影響の有無や影響度合による、あるいはパッケージの広い面全域への印刷などで生じやすい印刷の不足の程度による、不良、やや良、良の別も備考を利用するなどして同様に記入する。その他は必要に応じサービス者側から要求され、または要求されないで入力したユーザー側のデータを記入する。例えば、基板の種類、生産枚数などをここに記入してもよい。入力日はそのデータが入力された日、担当は入力した担当者、備考は前記その他の項目以外の備考データであって、それぞれ記入しておくことにより入力されたデータ管理に役立てる。
以上のような半田特性データを検索する操作、および半田特性や印刷条件の採用データを入力して登録する操作は、例えばサービス受給装置1のWEB画面25にクリーム印刷情報サービスのホームページをID管理のもとに引出し、図56に示すようなメニュー画面での選択操作に従って行う。図に示すメニュー画面では半田特性データ入力ボタン1001、印刷条件データ入力ボタン1002、検索ボタン1003、登録ボタン1004が表示されている。これらの選択操作によってサービス供給装置2側の図54、図55に示す半田特性DB328aや印刷条件DB328bにアクセス可能となる。
図54に示す半田特性DB328aの各特性項目において、半田品番または粒度、粘度によって印刷条件がほぼ決まる。品番はそれに連なる各特性項目に対して筆頭に位置し、それら項目の検索において最優先するが。品番が不明な場合または所望の半田メーカ、半田品番が検索できない場合、粒度またはおよび粘度によって品番を検索しても確度は高い。そこで、半田品番を必須事項として最優先し効率のよい検索が行われるようにするが、半田メーカおよび半田品番が不明な場合は粒度またはおよび粘度を準必須事項として優先し半田品番を検索し、以降それらの下位データとして他の半田特性データを順次検索できるようにする。もっとも、対応ピッチなど他のどの項目からでも検索できるようにできるのは勿論である。
図57に示すフローチャートに基づき本例の検索操作の手順につき具体的に説明する。なお、説明の簡単のために、全項目から検索する操作は省略し、半田品番を最優先し、検索できなかった場合に粒度、粘度で検索し直す操作に限って述べる。WEB画面25の検索ボタン1003の選択操作によって検索が開始し、WEB画面25上で図54に示す半田メーカー以下の全項目が一挙に表示される(1000)。これにより、必要な選択項目が一目瞭然となる。もっとも、これには前記検索の優先順位を明確にする必要がある。それには項目の文字の大きさや配列順序、番号付けなどの少なくとも1つにより表示して誘導する。このような誘導は文字による案内、最優先のものから1つずつ表示し、それが不明で更新操作したとき次の順位の項目を表示するといったことでも行える。
半田品番を入力して半田特性DB328aに対する下位の半田特性項目の検索が開始し検索事項が対象項目に対し画面表示され、それを選択し決定していく(S1001)。検索が終了と判断され、あるいは入力があると(S1002)、検索による決定結果は例えばプリンタへのドキュメント出力、などにて出力して(S1008)終了する。
なお、粒度、粘度などで検索し、ヒット件数が例えば100件以上になるなど膨大になったときには、他の項目を指定してさらに絞り込んだ検索ができる。
一方、半田品番が分からないか、半田品番を入力しても思う検索ができなかった場合、次の優先順位となっている粒度またはおよび粘度の入力によって、半田特性情報DB328aに対し粒度、粘度での半田品番の検索が先ず行われ(S1003)、この検索結果がWEB画面25に出力されると(S1004)、最も近い半田品番を選択して決定する(S1005)。次いで半田品番および粒度、粘度より下位の半田特性の検索が行われる。ヒット件数が膨大なときは他の項目を指定して絞り込むことを必要回数行う(S1006)。検索が終了と判断され、あるいは入力があると(S1007)、検索による決定結果が例えばプリンタなどにて出力して(S1008)終了する。
なお、検索結果に該当する工法プログラムをサービス供給装置からダウンロードし、その工法プログラムを印刷機へ入力することができる。
次に、図58に示すフローチャートに従い、サービス者側でのユーザー側からのデータ入力による印刷条件DB328b1、328b2・・、基本DB328c1、328c2・・の作成、印刷状態の監視、評価、対策、改良といったサービスを行う場合について説明する。
サービス供給装置2には、例えばグローバルに展開している各地のユーザから実績データ、印刷の状態や状況のデータ、立ち上げ時、トラブル、および改良についての問い合わせや要望が時々刻々と入力され登録されてくる。そこで、これらの入力の登録操作を受信する都度(S1011)、それが新規データ(例えば新たな半田品番、基板等について入力されたデータ)かどうか判定する(S1012)。新規データでなければそのまま(S1011)へリターンし、入力データが新規データであると対応する印刷条件DB328b1・・に追加登録ないしは更新登録する(S1013)。次いで、印刷条件DB328b1・・およびこれのうちの適正化ないしは安定化したデータを移して蓄積した基本DB328c1・・につきプログラムに従って自動で、あるいは技術者によって、あるいはそれら双方によって監視し、印刷条件と印刷の状態ないしは状況との関係につき分析、評価を行う(S1014)。分析、評価の結果印刷条件DB328b1・・に登録された新規データのうち適正またはおよび安定と判定し(S1015)ものは、データ変更の必要度が低いので基本DB328c1・・に移して登録し(S1016)、ユーザー側からの閲覧や利用に供する。まだ、データ変更の必要があるレベルのものについてはそのまま待機するか、ユーザー側にデータ変更の要求を出して再度のデータ設定を促し待機する(S1017)。次に、ユーザー側から要望があるか(S1018)、前記監視、分析、評価において自発的に課題を発見したような場合にプログラムに従って自動またはおよび技術者に課題の解決に当たらせる(S1019)。これが解決すると要望のあったユーザーにそれを提案するとともに、印刷条件DB328b1・・や基本DB328c1・・にそれを反映させる。
ここで、上記S1014において、新規データが既に登録済みのものと同じ半田品番、基板、粒度、粘度などと重複したものであったとしても、既に登録済みのものと区別して登録するのが望ましい。その場合、例えば半田品番に対してそれらを区別する付加番号で区別してもよい。こうすることにより、同じ基板、半田品番でも様々なパターンの印刷条件データを、その時々の条件に適したものとして蓄積できる。このように蓄積したデータの中から、いずれか最適かを評価結果により選別することもできる。