JP3583018B2 - セラミック配線基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージや混成集積回路基板等に用いられるセラミック配線基板に関し、より詳細には半導体素子がフリップチップ方式により搭載接続されるセラミック配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子収納用パッケージや混成集積回路基板等に用いられるセラミック配線基板への半導体素子の搭載方法としては、半導体素子等の電子部品の高密度化、小型化に対応するためセラミック配線基板の表面に露出する貫通導体層に半導体素子の電極を半田等の電気的接続手段を介し直接接続する、所謂、フリップチップ方式のボンディングが多用されつつある。
【0003】
このフリップチップ方式のボンディングが採用される半導体素子収納用パッケージや混成集積回路基板等に用いられるセラミック配線基板は、一般に酸化アルミニウム質焼結体から成る絶縁基体と、該絶縁基体内に形成され、一端が絶縁基体の表面に露出するタングステン、モリブデン等の高融点金属から成る貫通導体層とから構成されており、貫通導体層の絶縁基体表面に露出する露出面に半導体素子等の電子部品の電極を半田ボール等から成る電気的接続手段を介し取着接続させることによって半導体素子等の電子部品はセラミック配線基板上に搭載されるとともに電子部品の各電極が貫通導体層に接続される。
【0004】
なお、前記貫通導体層の露出面には、通常、その酸化腐食を防ぐとともに半田ボール等から成る電気的接続手段に対する濡れ性を良好なものとするために、ニッケル、金等の耐食性に優れ、且つ半田等のろう材に対して濡れ性の良い金属層がめっき法により被着されている。
【0005】
またかかるセラミック配線基板は、一般に、セラミックスの積層技術及びスクリーン印刷等の厚膜形成技術を採用することによって製作されており、具体的には以下の方法によって製作される。
【0006】
即ち、
(1)まず、酸化アルミニウム(Al)、酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等から成るセラミックス原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、次にこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形して複数枚のセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成するとともに所定位置に打ち抜き加工等により貫通孔を形成する。
【0007】
(2)次に、前記貫通孔内に、タングステン、モリブデン等の金属の粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た導電ペーストをスクリーン印刷法等により印刷充填する。
【0008】
(3)そして最後に、これらのセラミックグリーンシートを、前記貫通孔に印刷充填した導電ペーストの一端が露出するようにして上下に積層するとともに、還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成し、セラミックグリーンシートと導電ペーストとを焼結一体化することによってセラミック配線基板が完成する。
【0009】
この場合、セラミックグリーンシートと導電ペーストの焼結開始温度が相違すると焼結に伴なう収縮の開始時期がセラミックグリーンシートと導電ペーストとの間で相違して絶縁基体と貫通導体層との間に応力が発生し、絶縁基体にクラック等が生じてしまうため導電ペーストは、通常、その焼結開始温度がセラミックグリーンシートの焼結開始温度に近似したものが用いられる。
【0010】
しかしながら、近時、半導体素子の大型化、信号の伝播速度の高速化が急激に進み、該半導体素子を上記従来のセラミック配線基板に搭載した場合、以下に述べる欠点を有したものとなる。
【0011】
即ち、
(1)半導体素子を構成するシリコンと絶縁基体を構成する酸化アルミニウム質焼結体の熱膨張係数がそれぞれ3.0×10−6/℃〜3.5×10−6/℃、6.0×10−6/℃〜7.5×10−6/℃であり、大きく相違することから両者に半導体素子を作動させた際等に発生する熱が印加されると両者間に大きな熱応力が発生し、該熱応力によって半田ボール等の電気的接続手段や半導体素子が破損したり、絶縁基体より剥離して半導体装置としての機能を喪失させてしまう。
【0012】
(2)絶縁基体を構成する酸化アルミニウム質焼結体はその誘電率が9〜10(室温1MHz)と高いため、絶縁基体に設けた貫通導体層を伝わる信号の伝播速度が遅く、そのため信号の高速伝播を要求する半導体素子はその搭載が不可となる。
【0013】
そこで上記欠点を解消するために、絶縁基体を酸化アルミニウム質焼結体に代えて半導体素子を構成するシリコンの熱膨張係数(3.0×10−6/℃〜3.5×10−6/℃)と近似した熱膨張係数4.0×10−6/℃〜4.5×10−6/℃を有し、且つ誘電率が6.3と低いムライト質焼結体を用いることが考えられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、絶縁基体をムライト質焼結体で形成した場合、貫通導体層となる導電ペーストは、その焼結開始温度をムライト質焼結体となるセラミックグリーンシートと近似させるためにモリブデンを主成分とする金属粉末を用いる必要があり、このモリブデンで貫通導体層を形成した場合、該モリブデンは酸化されやすい金属であり、露出表面に酸化物が極めて容易に形成されてしまい、貫通導体層の露出表面に酸化物が形成されると貫通導体層の露出表面にニッケル等のめっき層を密着性良く形成することができなくなり、その結果、貫通導体層に電子部品の各電極を半田ボール等からなる電気的接続手段を介して強固に電気的に接続させることができないという欠点を有していた。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑み案出されたもので、その目的は、絶縁基体がムライト質焼結体で形成され、かつ貫通導体層の露出面にめっき層を密着性良く形成することができるセラミック配線基板を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁基体と、該絶縁基体内に形成され、一端が絶縁基体の表面に露出し、露出面に半導体素子の電極が電気的接続手段を介して接続される貫通導体層とから成るセラミック配線基板であって、前記絶縁基体はムライト質焼結体から成り、かつ前記貫通導体層は絶縁基体の表面から400μmの深さまでの領域がタングステンを主成分とする金属材で、その他の領域がモリブデンを主成分とする金属材で形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明のセラミック配線基板によれば、絶縁基体の表面から400μmの深さまでの領域に位置する貫通導体層を酸化し難いタングステンを主成分とする金属材で形成したことから貫通導体層の露出表面に半田等のろう材に対して濡れ性が良いニッケル等のめっき層を確実、強固に被着させることができ、その結果、貫通導体層に電子部品の各電極を半田ボール等からなる電機的接続手段を介して強固に電気的に接続させることができる。
【0018】
また本発明のセラミック配線基板によれば、絶縁基体の表面から400μmを越える領域に位置するほとんどの貫通導体層を焼結開始温度が絶縁基体となるセラミックグリーンシートの焼結開始温度に近似するモリブデンを主成分とする金属材で形成したことから絶縁基体と貫通導体層との間に大きな応力が発生することはなく、該応力によって絶縁基体にクラック等が発生することもない。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明を添付図面に基付き詳細に説明する。
図1及び図2は本発明のセラミック配線基板を半導体素子収納用パッケージの絶縁基体に適用した場合の一実施例を示し、図中、1はセラミック配線基板からなる絶縁基体、2は蓋体である。この絶縁基体1と蓋体2とで半導体素子を収容するための容器4が構成される。
【0020】
前記絶縁基体1は半導体素子3を支持する支持部材として作用し、上面の略中央部に半導体素子3が搭載実装される。
【0021】
前記絶縁基体1はムライト質焼結体から成り、該ムライト質焼結体は熱膨張係数が4.0×10−6/℃〜4.5×10−6/℃であり、半導体素子3を構成するシリコンの熱膨張係数(3.0×10−6/℃〜3.5×10−6/℃)に近似することから、絶縁基体1上に半導体素子3を搭載実装した後、両者に半導体素子3を作動させた際等に発生する熱が印加されたとしても両者間には大きな熱応力が発生することはなく、該熱応力によって半導体素子3が破損したり、半導体素子3が絶縁基体1より剥離したりすることはない。
【0022】
前記ムライト質焼結体から成る絶縁基体1は、例えば、ムライト、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して泥漿物を作るとともに該泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)と成し、しかる後、前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0023】
また前記絶縁基体1はその上面で半導体素子3が搭載実装される領域から内部及び側面を介し底面にかけて複数の貫通導体層5が形成されており、該貫通導体層5のうち絶縁基体1の上面に露出する領域には半導体素子3の各電極が半田ボール等の電気的接続手段8を介して接続され、また絶縁基体1の下面に導出する部位には外部リード端子7が銀ロウ等のロウ材を介してロウ付けされている。
【0024】
前記貫通導体層5は、半導体素子3の各電極を外部電気回路に接続される外部リード端子7に接続するための導電路として作用し、半導体素子3の各電極を絶縁基体1の上面に露出する貫通導体層5の露出表面に半田ボール等の電気的接続手段を介して接続すれば半導体素子3の各電極は貫通導体層5を介して絶縁基体1の下面において貫通導体層5にロウ付けされている外部リード端子7に電気的に接続され、外部リード端子7を外部電気回路に接続すれば半導体素子3の各電極は貫通導体層5及び外部リード端子7を介して外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0025】
なお、前記貫通導体層5は絶縁基体1を形成するムライト質焼結体の誘電率が6.3(室温1MHz)と低いため、貫通導体層5における電気信号の伝播速度を速いものとなすことができ、これによって貫通導体層5を介して半導体素子3と外部電気回路との間で電気信号を高速で出し入れすることが可能となる。
【0026】
また前記貫通導体層5は絶縁基体1の表面から400μmまでの深さの領域がタングステンを主成分とする金属材で、その他の領域がモリブデンを主成分とする金属材で形成されており、かかる貫通導体層5は、例えば、まず、厚みが400μm以下でそれぞれ同じ位置に貫通孔が形成された焼成により絶縁基体1となる複数枚のセラミックグリーンシートを準備し、次に前記セラミックグリーンシートの1枚の貫通孔内に、モリブデン粉末を主成分とし、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の粉末及び有機溶剤、溶媒を添加混合して得たモリブデンを主成分とする導電ペーストを印刷充填するとともに、他のセラミックグリーンシートの貫通孔に、タングステン粉末を主成分とし、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の粉末及び有機溶剤、溶媒を添加混合して得たタングステンを主成分とする導電ペーストを印刷充填し、最後にこれらのセラミックグリーンシートを、前記モリブデンを主成分とする導電ペーストを貫通孔に印刷充填したセラミックグリーンシートが最上層となるようにして上下に積層し、最後にこれを高温で焼成することによって製作される。
【0027】
前記貫通導体層5はまた絶縁基体1の表面から400μmまでの深さの領域がタングステンを主成分とする金属材で、その他の領域がモリブデンを主成分とする金属材で形成されており、絶縁基体1の表面から400μmまでの深さの領域が酸化し難いタングステンを主成分とする金属材で形成されているため貫通導体層5の露出表面に酸化物が形成されることはなく、貫通導体層5の露出表面に後述する半田等のろう材に対して濡れ性が良いニッケルや金等のめっき層を確実、強固に被着させることができる。
【0028】
更に前記貫通導体層5は、絶縁基体1の表面から400μmを超える領域に位置するほとんどの領域が絶縁基体1となるセラミックグリーンシートの焼結開始温度に近似した焼結開始温度を有するモリブデンを主成分とする金属材で形成されていることから絶縁基体1と貫通導体層5との間に大きな応力が発生することはなく、該応力によって絶縁基体1にクラック等が発生することもない。
【0029】
なお、前記貫通導体層5のタングステンを主成分とする金属材で形成されている領域は絶縁基体1の表面からの深さが400μmを超え、モリブデンを主成分とする金属材で形成されている領域が狭いものになると、貫通導体層5のタングステンを主成分とする金属材で形成されている領域と絶縁基体1との間に両者の焼結開始温度の相違に起因して応力が発生し、該応力によって絶縁基体1にクラック等が発生してしまう。従って、前記貫通導体層5のタングステンを主成分とする金属材で形成されている領域は絶縁基体1の表面からの深さが400μmまでの範囲に、その他の領域はモリブデンを主成分とする金属材で形成することに特定される。
【0030】
また前記貫通導体層5は図2に示す如く、その露出する表面にニッケルめっき層9や金めっき層10が被着されており、該ニッケルめっき層9や金めっき層10は貫通導体層5に対する濡れ性を改善し、貫通導体層5に半田ボール等から成る電気的接続手段8を強固に被着させる作用をなす。
【0031】
前記ニッケルめっき層9は、例えば、無電解めっき法によって形成され、具体的には、硫酸ニッケル20〜40グラム/リットル、コハク酸ナトリウム40〜60グラム/リットル、ホウ酸25〜35グラム/リットル、塩化アンモニウム25〜35グラム/リットル、ジメチルアミンボラン2.5〜4.5グラム/リットル等から成る無電解ニッケルめっき液を準備するとともに、貫通導体層5の露出面を脱脂、酸処理した後、触媒剤を含有する溶液に浸漬して活性処理をし、しかる後、貫通導体層5の露出面を60〜65℃に設定された前記無電解ニッケルめっき液中に30〜60分間浸漬させることによって貫通導体層5の露出面に所定厚み(2μm〜8μm)に被着され、また金めっき層10は、例えば、水酸化カリウム20〜40グラム/リットル、エチレンジアミン四酢酸30〜50グラム/リットル、リン酸二水素カリウム15〜45グラム/リットル、シアン化カリウム0.01〜0.1グラム/リットル、シアン化金カリウム1〜4グラム/リットル等から成る金めっき液(液温:85〜95℃)を準備し、これに前記表面にニッケルめっき層9が被着されている貫通導体層5の露出面を5〜15分間浸漬させることによってニッケルめっき層9上に所定厚み(0.02μm〜0.3μm)に被着される。
【0032】
前記ニッケルめっき層9はその厚みが2μm未満となると貫通導体層5の露出面に金めっき層10を強固に被着させるのが困難となる傾向にあり、また8μmを越えるとニッケルめっき層9を形成する際に大きな応力が発生するとともにこれがニッケルめっき層9の内部に内在し、該内在応力によって貫通導体層5の露出面とニッケルめっき層9との密着の信頼性が低下してしまう危険性がある。従って、前記ニッケルめっき層9はその厚みを2μmから8μmの範囲としておくことが好ましい。
【0033】
また前記金めっき層10はその厚みが0.02μm未満となると下地のニッケルめっき層9を完全に被覆することができず、半田ボール等から成る電気的接続手段8の貫通導体層5に対する接合強度が低下してしまう危険性があり、また0.3μmを超えると金めっき層10の一部が半田ボール等から成る電気的接続手段8の内部に拡散して電気的接続手段8の機械的強度を低下させてしまう危険性がある。従って、前記金めっき層10はその厚みを0.02μm〜0.3μmの範囲としておくことが好ましい。
【0034】
更に前記ニッケルめっき層9はその表面の粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.5μm≦Ra≦1.5μmの範囲とし、表面を適度に粗しておくとニッケルめっき層9と金メッキ層10との密着面積が広いものとして両者の密着強度を極めて強いものとなすことができる。従って、前記ニッケルめっき層9はその表面の粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.5μm≦Ra≦1.5μmの範囲に粗しておくことが好ましい。
【0035】
前記ニッケルめっき層9の表面を中心線平均粗さ(Ra)で0.5μm≦Ra≦1.5μmの範囲に粗す方法としては、ニッケルめっき層8の表面に#1500程度のメディアを2.0〜4.0kg/cmの圧力で吹き付けする、所謂、ブラスト処理を施すことによって行われる。
【0036】
また一方、前記絶縁基体1の下面に導出されている貫通導体層5には外部リード端子7が銀ロウ等のロウ材を介して取着されており、該外部リード端子7は半導体素子3の各電極を外部電気回路に電気的に接続させる作用をなす。
【0037】
前記外部リード端子7は鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、例えば、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等のインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を施すことによって所定の形状に形成される。
【0038】
また前記外部リード端子7はその露出する表面に良導電性で、かつ耐食性に優れるニッケル、金等の金属をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくと、外部リード端子7の酸化腐食を有効に防止することができるとともに外部電気回路との接続を良好となすことができる。従って、前記外部リード端子7はその露出する表面にニッケル、金等をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。
【0039】
更に前記外部リード端子7が取着された絶縁基体1はその上面外周部に椀状をなす蓋体2がガラス、樹脂、ロウ材等から成る封止材を介して接合され、これによって絶縁基体1と蓋体2とから成る容器4内部に半導体素子3が気密に封止される。
【0040】
前記蓋体2は容器4の内部に半導体素子3を気密に収容する作用をなし、銅や鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル−合金等の金属材料、あるいは酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス焼結体で形成されている。
【0041】
かくして上述の半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体1上面に半導体素子3を、該半導体素子3の各電極を貫通導体層5の露出面に半田ボール等から成る電気的接続手段8を介して接続させることによって搭載実装し、しかる後、前記絶縁基体1の上面に椀状の蓋体2をガラス、樹脂、ロウ材等から成る封止材を介して接合させ、絶縁基体1と蓋体2とから成る容器4内部に半導体素子3を気密に収容することによって最終製品としての半導体装置となる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では本発明のセラミック配線基板を半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージに適用した場合を例に挙げて説明したが、これを半導体素子が搭載される混成集積回路基板に適用した場合であってもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明のセラミック配線基板によれば、絶縁基体をムライト質焼結体で形成したことから、半導体素子と絶縁基体との熱膨張係数が近似し、両者の熱膨張係数の差に起因する熱応力を小さく抑えて半導体装置としての機能を長期にわたって維持することが可能となり、かつ、絶縁基体の誘電率を約6.3と低いものとして信号の高速伝播を要求する半導体素子の搭載が可能となった。
【0044】
また、本発明のセラミック配線基板によれば、貫通導体層を、絶縁基体表面から400μmの深さまでの領域をタングステンを主成分とする金属材で、その他の領域をモリブデンを主成分とする金属材で形成したことから、焼成時に貫通導体層となる導電ペーストと絶縁基体となるセラミックグリーンシートとがほぼ同時に焼結、収縮を開始し、絶縁基体のクラック等の問題を生じることがなく、かつ、貫通導体層の露出面にニッケル等のめっき層を確実、強固に被着させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック配線基板を半導体素子収納用パッケージの絶縁基体に適用した場合の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・絶縁基体
2・・蓋体
3・・半導体素子
5・・貫通導体層
7・・外部リード端子
8・・電気的接続手段
9・・ニッケルめっき層
10・・金めっき層10

Claims (1)

  1. 絶縁基体と、該絶縁基体内に形成され、一端が絶縁基体の表面に露出し、露出面に半導体素子の電極が電気的接続手段を介して接続される貫通導体層とから成るセラミック配線基板であって、前記絶縁基体はムライト質焼結体から成り、かつ前記貫通導体層は絶縁基体の表面から400μmの深さまでの領域がタングステンを主成分とする金属材で、その他の領域がモリブデンを主成分とする金属材で形成されていることを特徴とするセラミック配線基板。
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