JP3582556B2 - 前後輪駆動車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、前輪及び後輪が共に駆動される前後輪駆動車に係り、特にトランスファ装置を有した4輪駆動車の駆動制御に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
4輪駆動車等の前後輪駆動車では、通常、特公平8−25402号公報等に開示されるように、エンジンの駆動力を前輪側と後輪側とに分配する差動装置を有したトランスファ装置を備えている。
この種のトランスファ装置では、切換え機構を介して駆動モードを2輪駆動(2WD)、フルタイム4輪駆動(フルタイム4WD)、及び直結4輪駆動(直結4WD)の何れかに切換え可能とされている。詳しくは、複数のクラッチギヤをカップリングスリーブによって掴み換えることによって所望の駆動モードを得るようにしている。
【0003】
しかしながら、このようなトランスファ装置では、駆動モードを2輪駆動(2WD)からフルタイム4輪駆動(フルタイム4WD)或いは直結4輪駆動(直結4WD)等に切換える際、つまり複数のクラッチギヤの掴み換えを行う際において、車両の走行状態によっては、係合しようとするクラッチギヤ同士が必ずしも同期していない場合がある。このようにクラッチギヤ同士が同期していないとカップリングスリーブが良好に作動せず、故にクラッチギヤの掴み換えを行うことができない虞がある。また、カップリングスリーブとクラッチギヤとの衝突によって異音等が発生したりクラッチギヤが破損する虞もある。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、通常は、係合に寄与するクラッチギヤ同士を同期させるべくシンクロ機構を用いるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなシンクロ機構は、クラッチギヤ同士を連結させる連結時には有効であるが、クラッチギヤ間の連結が解除されるときには何ら寄与していない。
また、カップリングスリーブによって連結されている場合において、通常は各クラッチギヤには互いに逆方向の力が作用しているのであるが、この力がカップリングスリーブに作用することになり、例えば、駆動モードをフルタイム4輪駆動(フルタイム4WD)から2輪駆動(2WD)へ切換える際、或いは直結4輪駆動(直結4WD)からフルタイム4輪駆動(フルタイム4WD)へ切換える際に、所望のクラッチギヤ間の連結を解除すべくカップリングスリーブを作動させようとしても、摺動抵抗が発生し、当該クラッチギヤ間の連結が良好に解除されない虞がある。
【0006】
また、クラッチギヤ間の連結が解除された際に各クラッチギヤが互いに逆方向に急激に回転し始めることになり、車両の乗員が変速ショックのような違和感を覚える虞もある。
本発明は上述した事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、前後輪駆動から2輪駆動への或いは直結4輪駆動からフルタイム4輪駆動への駆動モードの切換えを異音等なくスムース且つ違和感なく実現可能な前後輪駆動車を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、駆動切換指令手段から切換信号が出力されると、これに基づき第1伝達部材と第2伝達部材とを連結する連結手段が連結切換手段によって連結状態と非連結状態とに切換えられるのであるが、駆動切換指令手段により第1車輪による2輪駆動状態への切換信号が出力された場合には、連結切換手段により連結手段の第1伝達部材と第2伝達部材との連結が実質的に解除されるまでクラッチ制御手段によってクラッチ手段が係合制御される。
【0008】
これにより、連結切換手段による連結手段の解除が完了するまでの間、クラッチ手段の係合によって第1伝達部材と第2伝達部材との間で互いに作用する逆方向の力を減少させることができ、切換えの際に生じる摺動抵抗を抑制可能とされる。故に、連結切換手段による連結手段の解除操作、即ち前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態)から2輪駆動状態(2WD状態)への切換えが異音等なくスムースに実現される。
【0009】
また、請求項2の発明では、駆動切換指令手段から切換信号が出力されると、これに基づき第2出力要素と第3伝達部材とを連結する第1連結手段及び第2連結手段が連結切換手段によって連結状態と非連結状態とに切換えられるのであるが、駆動切換指令手段により第1車輪による2輪駆動状態への切換信号が出力された場合には、連結切換手段による第2連結手段の連結が実質的に完了し第1連結手段の連結が実質的に解除されるまでクラッチ手段が係合制御される。
【0010】
これにより、連結切換手段による第1連結手段の解除が完了するまでの間、クラッチ手段の係合によって第2出力要素と第3伝達部材との間で互いに作用する逆方向の力を減少させることができ、切換えの際に生じる摺動抵抗を抑制可能とされる。故に、連結切換手段による第2連結手段の解除操作、即ち前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態または直結4WD状態)から2輪駆動状態(2WD状態)への切換えが異音等なくスムースに実現される。
【0011】
また、請求項3の発明では、駆動切換指令手段から切換信号が出力されると、これに基づき第2出力要素と第3伝達部材とを連結する第1連結手段及び第2連結手段が連結切換手段によって連結状態と非連結状態とに切換えられるのであるが、第1連結手段及び第2連結手段が連結状態にあるとき、駆動切換指令手段により第2連結手段を非連結状態とし差動装置をロック状態からアンロック状態に切換える切換信号が出力されると、クラッチ手段が係合制御される。
【0012】
これにより、連結切換手段により第2連結手段の連結解除が実施されている間、クラッチ手段の係合によって第2連結手段により連結されている要素間で互いに作用する逆方向の力を減少させることができ、切換えの際に生じる摺動抵抗を抑制可能とされる。故に、連結切換手段による第2連結手段の連結解除操作、即ち直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えが異音等なくスムースに実現される。
【0013】
また、請求項4の発明では、駆動切換指令手段から切換信号が出力されると、これに基づき第3連結手段及び第4連結手段が連結切換手段によって連結状態と非連結状態とに切換えられるのであるが、第3連結手段及び第4連結手段が連結状態にあるとき、駆動切換指令手段により第4連結手段を非連結状態として差動装置をロック状態からアンロック状態に切換える切換信号が出力されると、クラッチ手段が係合制御される。
【0014】
これにより、連結切換手段により第4連結手段の解除が実施されている間、クラッチ手段の係合によって第4連結手段により連結されている要素間で互いに作用する反力を減少させることができ、切換えの際に生じる摺動抵抗を抑制可能とされる。故に、連結切換手段による第4連結手段の解除操作、即ち直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えが異音等なくスムースに実現される。
【0015】
また、請求項5の発明では、連結切換手段により第6連結手段の連結解除が完了した直後においてクラッチ手段の係合により差動装置がロック状態に暫時好適に保持されることになり、連結切換手段による第6連結手段の連結解除操作時の、即ち直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換時の切換ショックが抑制される。
【0016】
また、請求項6の発明では、連結切換手段による解除操作、即ち前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態または直結4WD状態)から2輪駆動状態(2WD状態)への切換え、直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えがより一層スムースに実現されるとともに、車両の走行性能が好適に維持される。
【0017】
【発明の実施の形態】
先ず、実施例1(請求項2、請求項3、請求項5に対応)について説明する。
図1を参照すると、フロントエンジン後輪駆動(FR)タイプの4輪駆動(前後輪駆動)の車両が概要的に示され、図2を参照すると、その制御ブロック図が示されており、先ずこれらの図を参照して本発明の適用される4輪駆動車両(前後輪駆動車)の駆動系について説明する。
【0018】
図1に示すように、この車両はエンジン2を備えており、エンジン2は変速機4を介して4WD用のトランスファ装置6、つまり、その入力軸8に接続されている。トランスファ装置6の詳細は後述するが、トランスファ装置6は入力軸8の駆動力が伝達される後輪側出力軸10及び前輪側のトランスファスプロケット12を有しており、後輪側出力軸10はリアプロペラシャフトを介して後輪デファレンシャル装置(後輪デフ)14に接続されている。後輪デフ14からは左右一対の後車軸が延び、これら後車軸に左右の後輪RW(第1車輪)がそれぞれ接続されている。一方、トランスファスプロケット12からはフロントプロペラシャフト16が延びており、フロントプロペラシャフト16は前輪デファレンシャル装置(前輪デフ)18に接続されている。前輪デフ18からは左右一対の前車軸が延び、これら前車軸に左右の前輪FW(第2車輪)がそれぞれ接続されている。
【0019】
図1でみて、右前車軸はその途中にて分割され、この分割された部分にはフリーホイールハブ機構(HAB)19が設けられている。フリーホイールハブ機構19では、分割端のそれぞれにクラッチギヤ20,22が取り付けられている。図1に示す状態では、クラッチギヤ20,22はカップリングスリーブ24により相互に連結されている。つまり、カップリングスリーブ24はその内周面にクラッチギヤ20,22と噛み合い可能な内歯が形成され、その内歯がクラッチギヤ20,22の双方と噛み合っている。この場合、分割された右前車軸は一体にして回転することができる。
【0020】
カップリングスリーブ24は車体側の図示しない支持部材に対し、右前車軸の軸線方向に摺動自在に支持されている。カップリングスリーブ24のフォーク溝にはシフトフォーク26のフォーク先端が嵌合されており、シフトフォーク26の基端はバキュームアクチュエータ28の出力ロッド30に連結されている。バキュームアクチュエータ28はそのハウジング内を負圧室32と大気室とに区画するダイヤフラムを備えており、このダイヤフラムに出力ロッド30が接続されている。負圧室32には、図示しない電磁切換えバルブにより大気又は負圧が選択的に供給可能となっており、また、負圧室32には復帰ばね34が収容されている。負圧室32に大気が供給されているとき、復帰ばね34はダイヤフラムを介して出力ロッド30を一方向に付勢しており、カップリングスリーブ24を通常のロック(LOCK)位置、つまり、クラッチギヤ20,22を相互に連結する位置に位置付けている。これに対し、負圧室32に負圧が供給されると、この負圧は復帰ばね34の付勢力に抗してダイヤフラムを引き付け、出力ロッド30を図1でみて左側に押し出す。従って、カップリングスリーブ24はロック(LOCK)位置からフリー(FREE)位置にシフトされ、クラッチギヤ20,22間の接続が断たれる結果、右前輪FWは前輪デフ18から分離される。なお、バキュームアクチュエータ28の負圧室32には、負圧がエンジン2の吸気系から前述した電磁切換えバルブを介して供給される。
【0021】
また、図中符号25はフリーホイールハブ機構19の状態、即ちロック(LOCK)状態、フリー(FREE)状態を検出するフリーホイールハブエンゲージスイッチである。
次にトランスファ装置について説明する。
図3を参照するとトランスファ装置6の実際の構造が断面で示されており、以下この図3をも参照して本発明に係るトランスファ装置6の構成を説明する。
【0022】
トランスファ装置6は、変速機4の出力軸に接続された入力軸8と、この入力軸8と同軸上に位置した中間軸36とを備えている。入力軸8及び中間軸36はトランスファ装置6のトランスファケース側に互いに独立して回転自在に支持されている。入力軸8と中間軸36との間には副変速機構38が配置されている。詳しくは、副変速機構38は一対のクラッチギヤ40及びクラッチギヤ42を有しており、これらクラッチギヤ40,42は入力軸8及び中間軸36の互いに対向する端部にそれぞれ取り付けられている。クラッチギヤ40,42は入力軸8及び中間軸36とそれぞれ一体に回転する。また、中間軸36はクラッチギヤ44を回転自在に支持しており、クラッチギヤ44にはローギヤ46が同軸且つ一体にして備えられている。ローギヤ46はカウンタギヤ48に噛み合っており、カウンタギヤ48はカウンタシャフト50の一端に取り付けられている。カウンタシャフト50は入力軸8及び中間軸36と並列にして配置され、トランスファケース側に回転自在に支持されている。カウンタシャフト50の他端は、一対のギヤ52及びギヤ54を介して入力軸8に接続されている。従って、入力軸8の回転は、一対のギヤ52,54、カウンタシャフト50及びカウンタギヤ48を介してローギヤ46に伝達される。この際、ローギヤ46の歯数はカウンタギヤ48の歯数よりも多く設定されているため、ローギヤ46はカウンタシャフト50の回転より減速して回転される。故に、入力軸8の回転は、ギヤ52、カウンタシャフト50、カウンタギヤ48を介して減速して中間軸36側に伝達可能とされている。
【0023】
クラッチギヤ40,42,44の外側には、前述したカップリングスリーブ24と同様に構成されたカップリングスリーブ56が配置されており、カップリングスリーブ56は、入力軸8及び中間軸36に沿って摺動自在に支持されている。図1及び図3に示す状態では、カップリングスリーブ56はクラッチギヤ40,42に噛み合い、これらクラッチギヤ40,42を相互に連結した位置(ハイギヤ位置)としている。この場合、入力軸8はクラッチギヤ40,42を介して中間軸36に接続され、入力軸8の回転は中間軸36に直接的に伝達される。これに対し、カップリングスリーブ56がハイギヤ位置から図1でみてクラッチギヤ44側にシフトされると、カップリングスリーブ56はクラッチギヤ42,44を相互に連結する位置(ローギヤ位置)に位置付けられる。つまり、カップリングスリーブ56は、ローギヤ位置ではクラッチギヤ40,42間の接続を断つ一方、クラッチギヤ42,44に噛み合い、これらクラッチギヤ42,44間を相互に接続する。この場合、入力軸8の回転は、上述したように、カウンタシャフト50側からカウンタギヤ48、ローギヤ46、クラッチギヤ44,カップリングスリーブ56およびクラッチギヤ42を介して中間軸36に減速して伝達される。
【0024】
カップリングスリーブ56にはシフトフォーク58が係合されており、このシフトフォーク58は電動型のシフトアクチュエータ60により往復動可能となっている。シフトアクチュエータ60に関しては後述する。
また、中間軸36は、遊星歯車機構からなるセンタデファレンシャル装置(センタデフ:差動装置)62を介して後輪側出力軸10に接続されている。詳しくは、センタデフ62はリングギヤからなるデフケース(第1出力要素)64と、このデフケース64に複数の遊星ギヤ66を介して噛み合うサンギヤ68と、遊星ギヤ66を回転自在に支持するキャリア(入力要素)70とを備えており、このキャリア70には中間軸36の他端が同軸にして連結されている。そして、デフケース64から後輪側出力軸10が同軸にして延びている。センタデフ62のサンギヤ68は、インナスリーブ軸(第2出力要素)72の一端に取り付けられており、このインナスリーブ軸72は中間軸36上に回転自在に支持されている。センタデフ62は、中間軸36からの回転入力つまり駆動力を前輪FWへの出力部材であるインナスリーブ軸72及び後輪RWへの出力部材であるデフケース64にそれぞれ伝達することかでき、この場合、センタデフ62のギヤ比は、駆動力配分を前輪FW側が30%、後輪RW側が70%となるように設定されている。
【0025】
センタデフ62のインナスリーブ軸72は入力軸8に向けて延び、その他端にはクラッチギヤ74が取り付けられている。さらに、インナスリーブ軸72上にはアウタスリーブ軸(第3伝達部材、第5伝達部材)76が回転自在に支持されており、アウタスリーブ軸76はセンタデフ62側からインナスリーブ軸72のクラッチギヤ74に向けて延びている。クラッチギヤ74側に位置したアウタスリーブ軸76の端部にはクラッチギヤ78が形成されており、また、中間軸36にはクラッチギヤ78との間にインナスリーブ軸72のクラッチギヤ74を挟むようにしてクラッチギヤ80が取り付けられている。
【0026】
クラッチギヤ74,78,80の外側には、カップリングスリーブ(第1連結手段及び第2連結手段、第5連結手段及び第6連結手段)82が配置されており、カップリングスリーブ82は中間軸36の軸線方向に摺動自在にして支持されている。カップリングスリーブ82はその内周面に周溝を有し、故にその内歯は図1に示すように2つの部分82a,82bに分離されている。
【0027】
なお、ここでは、カップリングスリーブ82にクラッチギヤ74,78を相互に連結する第1連結手段とクラッチギヤ74,80を相互に連結する第2連結手段の二つの機能を持たせるようにしたが、カップリングスリーブ82を分割し、第1連結手段と第2連結手段とをそれぞれ個別に備えるようにしてもよい。
図1及び図3に示す状態にあるとき、カップリングスリーブ82の第1連結手段部分はクラッチギヤ74,78に噛み合い、これらクラッチギヤ74,78を互いに連結した位置(フルタイム4WD位置、非直結状態、アンロック状態)に位置付けている。このとき、クラッチギヤ80はカップリングスリーブ82の上記周溝内に位置しており、これらクラッチギヤ80とカップリングスリーブ82との間の噛み合いは解除されている。カップリングスリーブ82がフルタイム4WD位置からクラッチギヤ80側にシフトして第2連結手段部分がクラッチギヤ74,80に噛み合う位置(2WD位置)に位置付けられると、これらクラッチギヤ74,80を互いに連結する一方、クラッチギヤ74,78間の連結を断つ。これに対し、カップリングスリーブ82がフルタイム4WD位置から逆方向にシフトしてクラッチギヤ74,78,80の全てに同時に噛み合う位置(直結4WD位置、直結状態、ロック状態)に位置付けられると、これら全てを相互に連結する。カップリングスリーブ82もまたシフトフォーク84に係合されており、このシフトフォーク84もシフトアクチュエータ(連結切換手段)60により往復動される。
【0028】
前述したアウタスリーブ軸76には前輪FW側へ駆動力を伝達する出力スプロケット85が取り付けられており、出力スプロケット85と前述したトランスファスプロケット12との間に駆動チェーン86が掛け回されている。
さらに、アウタスリーブ軸76とセンタデフ62のデフケース64との間には、油圧多板クラッチ(クラッチ手段)88が配設されており、油圧多板クラッチ88は調圧通路190(図3参照)を介して電磁バルブ(図示せず)を内蔵したバルブボディ90に液圧的に接続されている。故に、油圧多板クラッチ88はバルブボディ90から供給される油圧、即ち、クラッチ圧の大きさに応じてアウタスリーブ軸76とデフケース64との間の接続を断続するとともに、デフケース64からアウタスリーブ軸76へのトルク伝達を可変することが可能とされている。バルブボディ90には、前述したカウンタシャフト50の端部に接続されてカウンタシャフト50の回転により油圧を発生するオイルポンプ92が管路127,129を介して液圧的に接続されており(図3参照)、これにより、バルブボディ90の電磁バルブの開閉度合に応じて油圧が油圧多板クラッチ88に供給可能とされている。
【0029】
ここでシフトアクチュエータ60について説明する。
図1に示すように、シフトアクチュエータ60はモータユニット202を備えており、モータユニット202はユニットケース内に正逆回転可能な電動モータ204を有している。シフトアクチュエータ60の電動モータ204は、図2に示すように、電子コントロールユニット(ECU)94に電気的に接続され、ECU94からの制御信号を受けて、その駆動及び回転方向が制御される。電動モータ204の出力軸にはピニオン206が取り付けられており、ピニオン206はラック208に噛み合わされている。ラック208は、前述したトランスファ装置6の軸線と平行に延び、ユニットケースに摺動自在に支持されている。
【0030】
また、ラック208は、モータユニット202のユニットケースから突出してメインシフトレール210に一体に連結されている。そして、メインシフトレール210の近傍には、メインシフトレール210と平行にして一対のサブシフトレール212,214が配置されている。これらサブシフトレール212,214は互いに同軸上に位置し且つ所定の間隔を存して離間されている。一方のサブシフトレール212には前述したシフトフォーク58が取り付けられており、他方のサブシフトレール214にはシフトフォーク84が取り付けられている。なお、メインシフトレール210及び一対のサブシフトレール212,214は、トランスファ装置6のトランスファケース内にて、複数のレール受け(図示せず)に摺動自在に支持されている。
【0031】
メインシフトレール210とサブシフトレール212,214間には、それぞれピニオン232,234が配置されており、これらピニオン232,234は上記レール受けに設けた軸受部(図示せず)に回転自在に支持されている。
サブシフトレール212にはラック部236が形成されており、このラック部236はピニオン232に常時噛み合っている。また、サブシフトレール214にも同様にラック部238が形成されており、このラック部238もまたピニオン234に常時噛み合っている。一方、メインシフトレール210には、ピニオン232,234とそれぞれ協働するようにして一対のラック部240,242がメインシフトレール210の軸線方向に離間して形成されている。なお、これらラック部240,242は、これらの間にもラック歯を形成した一つの連続ラック部であってもよい。
【0032】
図1の状態(フルタイム4WD状態)にあるとき、メインシフトレール210のラック部240はピニオン232とは噛み合っておらず、図1でみてピニオン232の下側に位置付けられている。一方、ラック部242は図1でみてその中央部にてピニオン234と噛み合っている。
図2に示すように、ECU94の入力側には、各種のセンサ、スイッチやインジケータ等が電気的に接続されている。センサとしては、車体の前後加速度(前後G)Gxを検出する前後Gセンサ96、エンジン2におけるスロットルバルブの開度(スロットル開度)θTHを検出するスロットル開度センサ98、ステアリングハンドルのハンドル角θHを検出するハンドル角センサ100及び回転速度センサ102、104,106等がある。
【0033】
一方、ECU94の出力側には、上記バルブボディ90の電磁バルブ、バキュームアクチュエータ28のための電磁切換えバルブ及びシフトアクチュエータ60の電動モータ204等の装置が接続されており、これらの装置は、当該ECU94により上記各種センサ等からの信号に応じて作動制御される。
回転速度センサ102について説明すると、図1及び図3に示すように、後輪側出力軸10の外側には同心にして且つ外周面にねじ歯車122の形成されたリング部材120が設けられており、回転速度センサ102は、この後輪側出力軸10と一体的に回転するリング部材120の回転速度を検出するようにされている。詳しくは、回転速度センサ102には、ねじ歯車124の形成された検出軸とこの検出軸に同軸にして同期回転可能なリング多極マグネット(図示せず)とがさらに設けられており、回転速度センサ102は、上記ねじ歯車122とねじ歯車124との噛み合いによって検出軸と同期回転するリング多極マグネットの回転を磁気抵抗素子によって検出し、この検出信号をECU94に出力することで後輪側出力軸10、即ちリヤプロペラシャフトの回転速度を検出可能となっている。
【0034】
また、回転速度センサ104は、右前輪FW近傍の右前車軸に取り付けた検出用ギヤ110の回転数から右前輪FWの回転速度を検出するものであり、回転速度センサ106はトランスファスプロケット12の回転数からトランスファ装置6の出力回転速度、即ちフロントプロペラシャフト16の回転速度を検出するものである(図1参照)。
【0035】
ECU94に接続されるスイッチとしては、ブレーキペダルに設けられたブレーキスイッチ112、シフトアクチュエータ60の作動状態を検出するトランスファポジションスイッチ(T/Fポジションスイッチ)114(図1参照)、駆動モード切換スイッチ115、変速機4のセレクト位置(パーキングレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ等)を検出するインヒビタスイッチ108や上記フリーホイールハブエンゲージスイッチ25等がある。駆動モード切換スイッチ115は、車室のインストルメントパネルに配置された手動型のトランスファ装置6の駆動モード切換用のロータリスイッチであり、2WDを示す2H位置、オートモードを示すAUTO位置、フルタイム4WDを示す4H位置、ハイギヤ位置での直結4WD、即ちハイ直結4WDを示す4HLc位置及びローギヤ位置での直結4WD、即ちロー直結4WDを示す4LLc位置の5つの切換位置Pswを有し、その切換位置に対応した指令信号をEUC94に出力する。さらに、図2に示すように、インストルメントパネルには駆動モード切換スイッチ115の近傍に4WDインジケータ116が組み込まれており、4WDインジケータ116はトランスファポジションスイッチ114により検出された駆動状態に対応したトランスファ装置6の駆動モードを表示可能となっている。
【0036】
さらに、ECU94にはエンジン2の出力情報も供給されており、このエンジン出力情報は、エンジン2の回転速度Ne、スロットル開度θTH及び燃料の供給量等に基づき算出されるものである。
以下、このように構成された4輪駆動車両(前後輪駆動車)のトランスファ装置6及びフリーホイールハブ機構(HAB)19の作動制御の制御手順、即ち2WD、フルタイム4WD、ハイ直結4WD、ロー直結4WD間の駆動切換制御の制御手順を図4乃至図31に基づき説明する。
【0037】
図4乃至図6は、駆動切換制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、以下、当該メインルーチンに沿って説明する。
ステップS2では、先ず、各種パラメータ値の初期化、即ちイニシャライズを行う。そして、ステップS4において、当該ルーチンの実行周期タイマTMAが所定周期TA(例えば、16msecに応じた値)となったか否かを判別する。そして、この判別結果が偽(No)で未だ所定周期TAに達していない場合には、ステップS5で実行周期タイマTMAをカウントアップし、実行周期タイマTMAが所定周期TAとなるのを待つ。一方、判別結果が真(Yes)で所定周期TAに達した場合には、次にステップS6に進み、上記各種センサ類からの入力情報を取り込む。
【0038】
次のステップS8では、駆動モード切換スイッチ115の切換位置Pswが2H位置であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で切換位置Pswが2H位置(Psw=2H)である場合には、次にステップS10に進む。
ステップS10では、切換位置Pswに基づく駆動モード、即ち駆動モード指令を2WDモード(MODE=2H)として記憶し、セレクトモードをマニュアルモード(SELECT=MANU)として記憶する。なお、セレクトモードは、切換位置PswがAUTO位置でない場合には全てマニュアルモード(SELECT=MANU)とされる。
【0039】
ステップS8の判別結果が偽である場合には、ステップS12において切換位置PswがAUTO位置であるか否かを判別する。判別結果が真である場合には、ステップS13において、セレクトモードをオートモード(SELECT=AUTO)として記憶する。なお、本システムでは、イグニションがオンとされた時点でセレクトモードがオートモードとされている場合には、駆動モードを先ずフルタイム4WDモードに設定するように設計されており、故にイグニションオン直後にあっては、駆動モード指令を4WDの初期状態、即ちフルタイム4WDモード(MODE=4H)として記憶することになる。
【0040】
ステップS12の判別結果が偽である場合には、ステップS14において切換位置Pswが4H位置であるか否かを判別する。判別結果が真である場合には、ステップS15において、駆動モード指令をフルタイム4WDモード(MODE=4H)として記憶し、セレクトモードを上記ステップS10の場合と同様にマニュアルモード(SELECT=MANU)として記憶する。
【0041】
ステップS14の判別結果が偽である場合には、ステップS16において切換位置Pswが4HLc位置であるか否かを判別する。判別結果が真である場合には、ステップS18において、駆動モード指令をハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)として記憶し、セレクトモードを上記ステップS10の場合と同様にマニュアルモード(SELECT=MANU)として記憶する。
【0042】
ステップS16の判別結果が偽である場合には、ステップS20において切換位置Pswが4LLc位置であるか否かを判別する。判別結果が真である場合には、ステップS22において、駆動モード指令をロー直結4WDモード(MODE=4LLc)として記憶し、セレクトモードをやはりマニュアルモード(SELECT=MANU)として記憶する。
【0043】
図5のステップS24では、上記のようにして記憶されたセレクトモードがオートモード(SELECT=AUTO)であるか否かを判別する。上記ステップS12を経てステップS13が実行された場合には、当該ステップS24の判別結果は真(Yes)であってセレクトモードはオートモードであり、この場合には、次にステップS26に進む。
【0044】
駆動モード切換スイッチ115の切換位置PswがAUTO位置で、セレクトモードがオートモードである場合には、上記駆動モード指令はフルタイム4WDモード(MODE=4H)の他、2WDモード(MODE=2H)、ハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)に自動的に切換え可能とされている。そこで、ステップS26では、オートモードでの現在の駆動モード指令が先ず2WDモードであるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS28に進む。
【0045】
駆動モード指令が2WDモードである場合には、ステップS28において、2WD解除条件が成立したか否か、つまり2WDモードを抜けて4WDモードに切換わる条件が成立したか否かの判定を行う。ここでは、実際には、図7及び図8に示す2WD解除条件のサブルーチン(駆動切換指令手段)が実行される。
2WD解除条件のパラメータとしては、車速(車体速)V、リアプロペラシャフトとフロントプロペラシャフト16との回転速度差(以下、ペラ回転差という)の絶対値|ΔVc|、走行負荷抵抗fv、悪路度合akuro及びスポーティ度合sportがあり、これらのパラメータに基づいて2WD解除条件が成立したか否かが判別される。
【0046】
なお、2WDモードでの走行時には、フロントプロペラシャフト16は回転していないため、右前輪FWの回転速度より仮想のフロントプロペラシャフト16の回転速度を検出し、この仮想回転速度とリヤプロペラシャフトとの回転速度差に基づいてペラ回転差の絶対値|ΔVc|は算出される。また、4WDモードでの走行時には、フロントプロペラシャフト16とリヤプロペラシャフトとの実回転速度差に基づいてペラ回転差の絶対値|ΔVc|は算出される。
【0047】
図7のステップS50では、先ず駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であるか否かを改めて判別する。判別結果が真(Yes)で駆動モード指令が2WDモードである場合には、次にステップS52に進む。
ステップS52では、車速(車体速)Vが所定値V1(例えば、100km/h)より大か否かを判別する。なお、車速(車体速)Vは、前後Gセンサ96によって検出される車体の前後加速度Gxに基づいて推定演算されるが(車体速検出手段)、算出方法は公知であり、ここでは説明を省略する。また、所定値V1(例えば、100km/h)は、高速走行安定性を考慮して設定されている。
【0048】
ステップS52の判別結果が真(Yes)で車速Vが所定値V1(例えば、100km/h)を超えている場合には、次にステップS54に進み、車速Vが所定値V1を超えていることを制御変数であるフラグF2H4Hに値1を設定して記憶する。
ステップS52の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS56において、上記回転速度センサ102からのリアプロペラシャフトの回転速度情報と回転速度センサ104,106からのフロントプロペラシャフト16の回転速度情報とに基づき検出されるペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc1(例えば、30rpm)より大か否かを判別する。ΔVc1(例えば、30rpm)は、2WDモードから4WDモードへの切換えを必要とする路面状態や走行状態であると思われるような値に設定されており、また、路面外乱やタイヤ空気圧不整等で簡単に4WDモードへ切り換わることのない程度に設定されている。判別結果が真(Yes)で絶対値|ΔVc|がΔVc1(例えば、30rpm)を超えている場合には、次にステップS58に進み、絶対値|ΔVc|がΔVc1を超えていることを上記フラグF2H4Hに値2を設定して記憶する。
【0049】
ステップS56の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS60において、走行負荷抵抗fvが所定値fv1(例えば、300kgf)より大であるか否かを判別する。
なお、ここに、走行負荷抵抗fvは次式(1)に基づき算出される。
fv=fe−rl−ra−rr …(1)
ここに、feはエンジン駆動力、rlは空気抵抗、raは加速抵抗(勾配抵抗を考慮)、rrは転がり抵抗(コーナリングドラッグを考慮)を示し、それぞれの算出の詳細についてはここでは説明を省略する。
【0050】
なお、所定値fv1(例えば、300kgf)は、砂地路走行、牽引走行等の2WDモードから4WDモードへの切換えを必要とする路面状態や走行状態を考慮して設定されている。
ところで、実際には、当該fvの値は、最終的にフィルタ処理(ローパスフィルタ処理)されて出力されることになるが、ここではその詳細についての説明は省略する。
【0051】
ステップS60の判別結果が真(Yes)で走行負荷抵抗fvが所定値fv1(例えば、300kgf)を超えている場合には、次にステップS62に進み、走行負荷抵抗fvが所定値fv1を超えていることをフラグF2H4Hに値3を設定して記憶する。
ステップS60の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS64において、悪路度合akuroが所定値akuro1より大か否かを判別する。この悪路度合akuroは、前後加速度Gxの大きさに基づき算出され、例えば前後加速度Gxの振動成分の大きさと変化量等が大であるほど悪路度合akuroが大きいと判定されるパラメータであるが、ここではその詳細については説明を省略する。なお、所定値akuro1は、ダート路走行時において2WDモードから4WDモードへ迅速に切換わることを可能にする一方、センタライン上の反射ブロック等では容易に4WDモードへ切換わらない程度に設定されている。
【0052】
ステップS64の判別結果が真(Yes)で悪路度合akuroが所定値akuro1を超えている場合には、次にステップS66に進み、悪路度合akuroが所定値akuro1を超えていることをフラグF2H4Hに値4を設定して記憶する。
ステップS64の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS68において、スポーティ度合sportが所定値sport1より大か否かを判別する。このスポーティ度合sportは、次式(2)に基づき算出される。
【0053】
Figure 0003582556
ここに、K6、K7、K8、K9はそれぞれ所定の係数であり、Gyは車速Vやハンドル角θH等に基づき算出される計算横加速度、dθH/dtはハンドル角θHに基づき算出されるハンドル角速度、θTHはスロットル開度、dθTH/dtはスロットル開速度である。
【0054】
即ち、スポーティ度合sportは、計算横加速度Gy、ハンドル角速度dθH/dt、スロットル開度θTH、スロットル開速度dθTH/dtが大きいほど、つまりドライバがきびきびした運転を好んでいるほど大きいものとされるパラメータである。
なお、所定値sport1は、少なくとも速いレーンチェンジ時やワインディングロード等でのハード走行時に2WDモードから4WDモードへ迅速に切換わるよう設定されている。
【0055】
ステップS68の判別結果が真(Yes)でスポーティ度合sportが所定値sport1を超えている場合には、次にステップS70に進み、スポーティ度合sportが所定値sport1を超えていることをフラグF2H4Hに値5を設定して記憶する。
ステップS68の判別結果が偽(No)の場合には、2WD解除条件が不成立とみなすことができ、この場合には、ステップS72において、フラグF2H4Hに値0を設定し記憶する。
【0056】
ステップS74では、上記のように設定されたフラグF2H4Hが値0でないことを判別する。判別結果が真(Yes)、つまり、車速V、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|、走行負荷抵抗fv、悪路度合akuro、スポーティ度合sportのいずれか一つでも上記所定の閾値を超えている場合であってフラグF2H4Hが値0ではない場合には、次にステップS76に進む。
【0057】
ステップS76では、フラグF2H4Hが値2であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS78に進む。
ステップS78では、フラグF2H4Hが値2に設定されてからの計時を行うタイマTM2(2off)が所定時間T10(例えば、50msecに応じた値)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でフラグF2H4Hに値2を設定してから未だタイマTM2(2off)が所定時間T10に達していない場合には、ステップS80において、タイマTM2(2off)をカウントアップする。
【0058】
また、ステップS76の判別結果が偽(No)でフラグF2H4Hが値2でない場合には、次のステップS82において、今度はフラグF2H4Hが値5であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS84に進む。ステップS84では、フラグF2H4Hが値5に設定されてからの計時を行うタイマTM5(2off)が所定時間T11(例えば、500msecに応じた値)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でフラグF2H4Hに値5を設定してから未だタイマTM5(2off)が所定時間T11に達していない場合には、ステップS86において、タイマTM5(2off)をカウントアップする。
【0059】
また、ステップS82の判別結果が偽(No)でフラグF2H4Hが値0でも値2でも値5でもない場合、即ちフラグF2H4Hが値1、値3、値4のいずれかである場合には、次のステップS88において、フラグF2H4Hがこれらの値に設定されてからの計時を行うタイマTM(2off)が所定時間T12(例えば、1secに応じた値)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でフラグF2H4Hに値1、値3、値4のいずれかを設定してから未だタイマTM(2off)が所定時間T12に達していない場合には、ステップS90において、タイマTM(2off)をカウントアップする。
【0060】
上記ステップS78、ステップS84及びステップS88の判別結果が偽(No)で、タイマTM2(2off)が所定時間T10に達した場合、タイマTM5(2off)が所定時間T11に達した場合、或いはタイマTM(2off)が所定時間T12に達した場合には、2WD解除条件、即ち2WDモードを抜けて4WDモードに切換わる条件が外乱等なく完全に成立したとみなすことができ、この場合には、次にステップS92に進み、駆動モード指令を4WDモードの初期状態であるフルタイム4WDモード(MODE=4H)に設定する。
【0061】
一方、ステップS74の判別結果が偽(No)でフラグF2H4Hが値0である場合には、2WD解除条件が成立していないと判定することができる。この場合には、ステップS94に進み、上述のようにフラグF2H4Hが値0でない場合に使用されるタイマTM2(2off)、タイマTM5(2off)、タイマTM(2off)をリセット状態とする。
【0062】
図5のステップS26の判別結果が偽(No)で駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)でない場合には、ステップS30において、現在フルタイム4WDモード(MODE=4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS31に進む。
駆動モード指令がフルタイム4WDモードである場合には、ステップS31において、T/Fポジションスイッチ114からの情報に基づく実際の駆動モード(実駆動モード)が2WDモード(実MODE=2H)またはフルタイム4WDモード(実MODE=4H)とされているか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS32に進む。
【0063】
駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であり、且つ実駆動モードが2WDモード(実MODE=2H)またはフルタイム4WDモード(実MODE=4H)である場合には、当該ステップS32において、2WD突入条件が成立し、4WDモード(前後輪駆動状態)を抜けて2WDモード(2輪駆動状態)に切換わる条件が成立したか否かの判定を行う。ここでは、実際には、図9及び図10に示す2WD突入条件のサブルーチン(駆動切換指令手段)が実行される。
【0064】
2WD突入条件のパラメータとしては、上述の2WD解除条件のところで使用した車速V、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|、走行負荷抵抗fv、悪路度合akuro及びスポーティ度合sportの他に上記勾配slopeがあり、これらのパラメータに基づいて2WD突入条件が成立したか否かが判別される。
図9のステップS100では、先ず駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であるか否かを改めて判別する。判別結果が真(Yes)で駆動モード指令がフルタイム4WDモードである場合には、次にステップS102に進む。
【0065】
ステップS102では、車速Vが所定値V2(例えば、80km/h)以上であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で車速Vが所定値V2(例えば、80km/h)以上である場合には、次にステップS104に進み、車速Vが所定値V2以上となってからの計時を行うべくタイマTM1(2on)をカウントアップする。そして、ステップS106では、当該タイマTM1(2on)が所定時間T21(例えば、1secに応じた値)を超えたか否かを判別し、判別結果が真(Yes)でタイマTM1(2on)が所定時間T21を超えたと判定される場合には、次のステップS108において、車速Vが所定値V2以上であることを制御変数であるフラグF4H2Hに値1を設定して記憶する。
【0066】
ステップS102の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS110において、勾配slopeが所定値slope1(例えば、5deg)以上であるか否かを判別する。
当該ステップS110の判別結果が真(Yes)で勾配slopeが所定値slope1(例えば、5deg)以上である場合には、次にステップS112に進み、勾配slopeが所定値slope1となってからの計時を行うべくタイマTM2(2on)をカウントアップする。
【0067】
そして、ステップS114では、当該タイマTM2(2on)が所定時間T22(500msecに応じた値)を超えたか否かを判別し、判別結果が真(Yes)でタイマTM2(2on)が所定時間T22を超えたと判定される場合には、次のステップS116において、勾配slopeが所定値slope1(例えば、5deg)以上であることをフラグF4H2Hに値2を設定して記憶する。
【0068】
ステップS110の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS118において、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc2(例えば、15rpm)以上であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で絶対値|ΔVc|がΔVc2(例えば、15rpm)以上である場合には、次にステップS120に進み、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc2以上となってからの計時を行うべくタイマTM3(2on)をカウントアップする。
【0069】
そして、ステップS122では、当該タイマTM3(2on)が所定時間T23(例えば、100msecに応じた値)を超えたか否かを判別し、判別結果が真(Yes)でタイマTM3(2on)が所定時間T23を超えたと判定される場合には、次のステップS124において、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc2以上であることをフラグF4H2Hに値3を設定して記憶する。
【0070】
ステップS118の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS126において、走行負荷抵抗fvが所定値fv2(例えば、250kgf)以上であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で走行負荷抵抗fvが所定値fv2(例えば、250kgf)以上である場合には、次にステップS128に進み、走行負荷抵抗fvが所定値fv2以上となってからの計時を行うべくタイマTM4(2on)をカウントアップする。
【0071】
そして、ステップS130では、当該タイマTM4(2on)が所定時間T24(例えば、2secに応じた値)を超えたか否かを判別し、判別結果が真(Yes)でタイマTM4(2on)が所定時間T24を超えたと判定される場合には、次のステップS132において、走行負荷抵抗fvが所定値fv2以上であることをフラグF4H2Hに値4を設定して記憶する。
【0072】
ステップS126の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS134において、悪路度合akuroが所定値akuro2(akuro2<akuro1)以上であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で悪路度合akuroが所定値akuro2以上である場合には、次にステップS136に進み、悪路度合akuroが所定値akuro2以上となってからの計時を行うべくタイマTM5(2on)をカウントアップする。
【0073】
そして、ステップS138では、当該タイマTM5(2on)が所定時間T25(例えば、1secに応じた値)を超えたか否かを判別し、判別結果が真(Yes)でタイマTM5(2on)が所定時間T25を超えたと判定される場合には、次のステップS140において、悪路度合akuroが所定値akuro2以上であることをフラグF4H2Hに値5を設定して記憶する。
【0074】
ステップS134の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS142において、スポーティ度合sportが所定値sport2(sport2<sport1)以上であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でスポーティ度合sportが所定値sport2以上である場合には、次にステップS144に進み、スポーティ度合sportが所定値sport2以上となってからの計時を行うべくタイマTM6(2on)をカウントアップする。
【0075】
そして、ステップS146では、当該タイマTM6(2on)が所定時間T26(例えば、100msecに応じた値)を超えたか否かを判別し、判別結果が真(Yes)でタイマTM6(2on)が所定時間T26を超えたと判定される場合には、次のステップS148において、スポーティ度合sportが所定値sport2以上であることをフラグF4H2Hに値6を設定して記憶する。
【0076】
ステップS142の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS150において、フラグF4H2Hに値0を設定し記憶する。
ところで、ステップS106の判別結果が偽(No)である場合には、ステップS114が実行され、ステップS114の判別結果が偽(No)である場合には、ステップS122が実行され、以下ステップS130、ステップS138についても同様に実行される。そして、最終的にステップS146の判別結果が偽(No)である場合には、上記ステップS142の判別結果が偽(No)である場合と同様にしてステップS150において、フラグF4H2Hに値0を設定し記憶することになる。
【0077】
なお、当該2WD突入条件で用いられる上記各パラメータの閾値は、先の2WD解除条件での条件判別とハンチングを起こさないように設定されている。
ステップS152では、上記のように設定されたフラグF4H2Hが値0であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)、即ち上記ステップS102、ステップS110、ステップS118、ステップS126、ステップS134、ステップS142の全ての判別結果が偽(No)でフラグF4H2Hが値0である場合、つまり、車速V、勾配slope、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|、走行負荷抵抗fv、悪路度合akuro、スポーティ度合sportのいずれか一つでも所定の閾値を超えていないような場合や、これら全てのパラメータが閾値を超えてからの時間が所定時間を超えていない場合には、次にステップS154に進む。
【0078】
ステップS154では、車速Vが所定車速V3(例えば、5km/h)より大か否かを判別する。判別結果が偽(No)で車速Vが所定車速V3(例えば、5km/h)以下である場合には、必要以上に駆動モードが4WDモードから2WDモードへ切換わることを防止すべく、つまり異音の発生やシフトアクチュエータ60等の破損を防止すべく、何もせず当該ルーチンを抜ける。
【0079】
一方、ステップS154の判別結果が真(Yes)で車速Vが所定車速V3(例えば、5km/h)より大である場合には、次にステップS156に進む。
ステップS156では、フラグF4H2Hが値0とされたと同時に計時を開始するタイマTM(2on)が所定時間T27(例えば、3min)を超えたか否かを判別する。判別結果が偽(No)で未だタイマTM(2on)が所定時間T27(例えば、3min)に達していない場合には、次のステップS158においてタイマTM(2on)をカウントアップする。
【0080】
一方、当該ルーチンが繰り返し実行され、ステップS156の判別結果が真(Yes)でタイマTM(2on)が所定時間T27を超えたと判定された場合には、フラグF4H2Hが値0であって、2WD突入条件、即ち4WDモード(前後輪駆動状態)を抜けて2WDモード(2輪駆動状態)に切換わる条件が完全に成立したとみなすことができ、この場合には、次にステップS160に進み、駆動モード指令を2WDモード(MODE=2H)に設定する。
【0081】
一方、ステップS152の判別結果が偽(No)でフラグF4H2Hが値0でない場合、即ち上記ステップS102、ステップS110、ステップS118、ステップS126、ステップS134、ステップS142のいずれか一つの判別結果が真(Yes)である場合、つまり、車速V、勾配slope、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|、走行負荷抵抗fv、悪路度合akuro、スポーティ度合sportのいずれか一つでも所定の閾値を超えている状態が所定時間継続しているような場合には、2WD突入条件が成立していないと判定することができ、この場合には、ステップS162に進み、上述のようにフラグF4H2Hが値0でない場合に使用されたタイマTM1(2on)〜タイマTM6(2on)、タイマTM(2on)をリセット状態とする。
【0082】
図5のステップS31の判別結果が偽(No)の場合、或いは、ステップS32において2WD突入条件のサブルーチンが実行された後には、ステップS33において、T/Fポジションスイッチ114からの情報に基づく実際の駆動モード(実駆動モード)がフルタイム4WDモード(実MODE=4H)またはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)とされているか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS34に進む。
【0083】
駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であり、且つ実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)またはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)である場合には、当該ステップS34において、直結4WD突入条件が成立し、フルタイム4WDモードを抜けてハイ直結4WDモードに切換わる条件が成立したか否かの判定を行う。ここでは、実際には、図11に示す直結4WD突入条件のサブルーチン(駆動切換指令手段)が実行される。
【0084】
直結4WD突入条件のパラメータとしては、上述した車速V、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|、走行負荷抵抗fvの他、リアプロペラシャフト及びフロントプロペラシャフト16の回転速度のうちの大きい方(セレクトハイ値)と車速Vをプロペラシャフトの回転速度に換算した際の換算値との差、即ちセレクトハイ回転速度差ΔVtがあり、これらのパラメータに基づいて直結4WD突入条件が成立したか否かが判別される。
【0085】
図11のステップS170では、先ず駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードもフルタイム4WDモード(実MODE=4H)であるか否かを改めて判別する。判別結果が真(Yes)である場合には、次にステップS172に進む。
ステップS172では、車速Vが所定値V4(例えば、20km/h)以下であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)で車速Vが所定値V4(例えば、20km/h)より大きい場合には、何もせず当該ルーチンを抜ける。一方、判別結果が真(Yes)で車速Vが所定値V4(例えば、20km/h)以下である場合には、次にステップS174に進む。
【0086】
ステップS174では、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc3(例えば、500rpm)より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で絶対値|ΔVc|がΔVc3(例えば、500rpm)を超えている場合には、次にステップS176に進み、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc3以上であることをフラグF4H4Lに値1を設定して記憶する。
【0087】
ステップS174の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS178において、走行負荷抵抗fvが所定値fv3(例えば、400kgf)より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で走行負荷抵抗fvが所定値fv3(例えば、400kgf)以上である場合には、次にステップS180に進み、走行負荷抵抗fvが所定値fv3以上であることをフラグF4H4Lに値2を設定して記憶する。
【0088】
ステップS178の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS182において、車速Vが所定値V5(例えば、5km/h)以下であり且つ上記セレクトハイ回転速度差ΔVtが所定値ΔVt1(例えば、100rpm)より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で、車速Vが所定値V5(例えば、5km/h)以下であり且つ上記セレクトハイ回転速度差ΔVtが所定値ΔVt1(例えば、100rpm)より大である場合には、次にステップS184に進み、フラグF4H4Lに値3を設定して記憶する。この判別は、即ち車両がスタック(一輪スタック、対角スタック)状態にあるか否かの判別を意味している。
【0089】
ステップS182の判別結果が偽(No)である場合には、次にステップS186に進み、フラグF4H4Lに値0を設定して記憶する。
以上のようにしてフラグF4H4Lが設定されたら、ステップS188において、フラグF4H4Lが値0でないことを判別する。判別結果が真(Yes)でフラグF4H4Lが値1乃至値3であって値0でない場合には、次にステップS190に進む。
【0090】
ステップS190では、フラグF4H4Lがそれぞれ設定されてからの計時を行うタイマTM(ron)が所定時間T30(例えば、1secに応じた値)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でタイマTM(ron)が所定時間T30以下である場合には、ステップS192において、タイマTM(ron)をカウントアップする。
【0091】
一方、ステップS190の判別結果が偽(No)でタイマTM(ron)が所定時間T30に達したと判定された場合には、直結4WD突入条件が成立したとみなすことができ、この場合には、次にステップS196に進み、駆動モード指令をハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)に設定する。
つまり、ここでは、車両が低速走行であって急坂路や砂地路等を走行しているような場合に、フルタイム4WDモードからハイ直結4WDモードに切換えるようにしており、さらには、車両がスタック(一輪スタック、対角スタック)状態にある場合にもフルタイム4WDモードからハイ直結4WDモードに切換えるようにしている。
【0092】
一方、ステップS188の判別結果が偽(No)でフラグF4H4Lが値0である場合、即ち上記ステップS174、ステップS178、ステップS182の全ての判別結果が偽(No)である場合には、直結4WD突入条件が成立していないと判定することができ、この場合には、ステップS194に進み、上述のようにフラグF4H4Lが値0とされない場合に使用されるタイマTM(ron)をリセット状態とする。
【0093】
図5のステップS30の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS38において、現在の駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)とされているか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS40に進む。
駆動モード指令がハイ直結4WDモードである場合には、ステップS40において、直結4WD解除条件が成立し、ハイ直結4WDモード(ロック状態)を抜けてフルタイム4WDモード(アンロック状態)に切換わる条件が成立したか否かの判定を行う。ここでは、実際には、図12に示す直結4WD解除条件のサブルーチン(駆動切換指令手段)が実行される。
【0094】
直結4WD解除条件のパラメータとしては、上述した車速V、走行負荷抵抗fv、勾配slope、悪路度合akuroの他、スロットル開度θTHやブレーキスイッチ112からのオンオフ情報があり、これらのパラメータに基づいて直結4WD解除条件が成立したか否かが判別される。
図12のステップS200では、先ず駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であるか否かを改めて判別する。判別結果が真(Yes)である場合には、次にステップS202に進む。
【0095】
ステップS202では、車速Vが所定値V6(例えば、30km/h)以上であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で車速Vが所定値V6(例えば、30km/h)以上である場合には、次にステップS204に進む。
ステップS204では、走行負荷抵抗fvが所定値fv4(例えば、300kgf)より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で走行負荷抵抗fvが所定値fv4(例えば、300kgf)より小である場合には、次にステップS206に進む。
【0096】
ステップS206では、勾配slopeが所定値slope2(例えば、15deg)より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で勾配slopeが所定値slope2(例えば、15deg)より小である場合には、次にステップS208に進む。
ステップS208では、スロットル開度センサ98からの情報に基づき、スロットル開度θTHが所定値θTH1(例えば、5%)より大であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でスロットル開度θTHが所定値θTH1(例えば、5%)より大である場合には、次にステップS210に進む。
【0097】
ステップS210では、ブレーキペダルが踏み込まれておらず、ブレーキスイッチ112からオフ信号が出力されており、つまりブレーキ信号brkがOFFであるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でブレーキ信号brkがOFFである場合には、次にステップS212に進む。
ステップS212では、悪路度合akuroが所定値akuro3より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で悪路度合akuroが所定値akuro3(=akuro2)より小である場合には、次にステップS214に進む。
【0098】
ステップS214では、上記ステップS202乃至ステップS212の全ての判別結果が真(Yes)とされてからの計時を行うタイマTM(roff)が所定時間T40(例えば、5secに応じた値)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でタイマTM(roff)が所定時間T40以下である場合には、ステップS216において、タイマTM(roff)をカウントアップする。
【0099】
一方、ステップS214の判別結果が偽(No)でタイマTM(roff)が所定時間T40に達したと判定された場合には、直結4WD解除条件が成立したとみなすことができ、この場合には、次にステップS218に進み、駆動モード指令をフルタイム4WDモード(MODE=4H)に設定する。
つまり、ここでは、車両が急坂路、砂地路等を走行していないような場合に、ハイ直結4WDモード(ロック状態)からフルタイム4WDモード(アンロック状態)に切換えるようにしている。
【0100】
一方、上記ステップS202乃至ステップS212のうちのいずれかの判別結果が偽(No)である場合には、直結4WD解除条件が成立していないと判定することができ、この場合には何もせずに当該ルーチンを抜ける。
ところで、ステップS28の2WD解除条件のルーチンを実行した場合には、ステップS29において2WD解除条件のルーチン中で使用したタイマTM(2off)等以外のタイマ、即ち2WD突入条件、直結4WD突入条件、直結4WD解除条件等の他の条件判別で使用されるタイマをリセットしておく。これにより、次回2WD突入条件、直結4WD突入条件、直結4WD解除条件等の他の条件判別が実施される場合に備えられる。同様に、ステップS33の判別結果が偽(No)の場合、或いはステップS34の直結4WD突入条件のルーチンを実行した場合には、ステップS35において2WD突入条件及び直結4WD突入条件のルーチン中で使用したタイマTM(2on)、タイマTM(ron)等以外のタイマ、即ち2WD解除条件、直結4WD解除条件等の条件判別で使用されるタイマをリセットしておく。さらに、ステップS40の直結4WD解除条件のルーチンを実行した場合には、ステップS41において直結4WD解除条件のルーチン中で使用したタイマTM(roff)以外のタイマ、即ち2WD解除条件、2WD突入条件、直結4WD突入条件等の他の条件判別で使用されるタイマをリセットしておく。
【0101】
また、図5のステップS24の判別結果が偽(No)で、セレクトモードがオートモード(SELECT=AUTO)ではなくマニュアルモード(SELECT=MANU)である場合には、ステップS25において、上記オートモードの各条件判別で使用したタイマを全てリセットしておく。これにより、次回ステップS24の判別結果が真(Yes)とされ、オートモードでの条件判別が実施される場合に備えられる。
【0102】
以上のようにして、駆動モード指令が決定されたら、次にステップS42において、車速Vが所定車速V0(例えば、2km/h)より小であるか否かを判別する。つまり、ここでは、車両が略停止状態にあるか否かを判別する。
ステップS42の判別結果が偽(No)で車速Vが所定車速V0(例えば、2km/h)以上であって、車両が走行状態にある場合には、次にステップS44に進む。
【0103】
ステップS44では、#1モータ制御が実施される。この#1モータ制御は、即ち、車両が走行状態にある場合の上記シフトアクチュエータ60のモータユニット202、即ち電動モータ204の制御を意味している。実際には、#1モータ制御では、図13乃至図15に示す#1モータ制御ルーチンのフローチャートが実行され、以下、図13乃至図15に基づき説明する。
【0104】
図13のステップS250では、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードも2WDモード(実MODE=2H)であるか否かを判別する。
ステップS250の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS254に進み、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)或いはフルタイム4WDモード(実MODE=4H)であるか否かを判別する。なお、実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間である場合とは、シフトアクチュエータ60が2WD位置とフルタイム4WD位置との間で作動途中となっている場合を意味している。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS256に進む。
【0105】
ステップS256では、駆動モード指令に基づき2WD突入処理を行う。この2WD突入処理では、図16に示す2WD突入処理ルーチンのフローチャートが実行される。
図16のステップS400では、先ず、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc10(例えば、20rpm)より大か否かを判別する。判別結果が偽(No)でペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc10(例えば、20rpm)以下である場合には、次にステップS402に進む。
【0106】
ステップS402では、エンジン2からトランスファ装置6への駆動力(入力トルク)Ftfが所定値Ftf10より大か否かを判別する。なお、この駆動力Ftfは上記エンジン出力情報から算出されるものであり、上述のエンジン駆動力feに略等しい値である。また、所定値Ftf10は、図31に示すように、車速(車体速)Vに応じて設定される可変値である。図31中の車速Vの値X7は例えば2km/hであり、値X8は例えば50km/hである。判別結果が偽(No)で駆動力Ftfが所定値Ftf10以下である場合には、次にステップS404に進む。
【0107】
ステップS404では、ハンドル角θHが所定値θH10(例えば、180deg)より大であって且つ車速Vが所定値V10(例えば、25km/h)より小であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)でハンドル角θHが所定値θH10(例えば、180deg)以下且つ車速Vが所定値V10(例えば、25km/h)以上である場合には、次にステップS406に進み、モータ逆動処理を行う。
【0108】
つまり、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc10(例えば、20rpm)以下であって、駆動力Ftfが所定値Ftf10以下であり、さらに、ハンドル角θHが所定値θH10(例えば、180deg)以下且つ車速Vが所定値V10(例えば、25km/h)以上である場合には、クラッチギヤ74,80間でカップリングスリーブ82をスムースに移動させることが可能であって、駆動モード指令(MODE=2H)に応じてシフトアクチュエータ60を作動させてもよい状況と判定でき、ステップS406において電動モータ204を作動させる(連結切換手段)。但し、ここでは、電動モータ204は、図1で見て反時計回りを正転方向、つまり作動状態と定義し、時計回りを逆転方向、つまり逆動状態と定義している。故に、ここでは、図1から明らかなように、実駆動モードを2WDモードとする電動モータ204の作動は逆転方向であってモータ逆動処理となる。
【0109】
モータ逆動処理では、図22に示すモータ逆動処理ルーチンのフローチャートが実行される。
図22のステップS500では、モータ保護用の作動タイマTM1ccwが所定時間T50(例えば、10secに応じた値)以下であるか否かを判別する。モータ逆動処理の開始直後には判別結果は真(Yes)であり、この場合には、ステップS502において作動タイマTM1ccwをカウントアップするとともに、ステップS504において電動モータ204に向けモータ逆転指令を出力し、電動モータ204を逆転させる。
【0110】
一方、ステップS500の判別結果が偽(No)で作動タイマTM1ccwが所定時間T50(例えば、10secに応じた値)に達した場合には、次にステップS506に進み、今度は作動タイマTM1ccwとは別に設けられた停止タイマTM2ccwをカウントアップするとともに、ステップS508において電動モータ204に向けモータ停止指令を出力し、電動モータ204を停止する。
【0111】
そして、ステップS510において、停止タイマTM2ccwが所定時間T52(例えば、1secに応じた値)以上になったか否かを判別し、判別結果が偽(No)の場合には、ステップS500を経てステップS506において停止タイマTM2ccwのカウントアップを継続する。一方、判別結果が真(Yes)となった場合には、ステップS512において作動タイマTM1ccw及び停止タイマTM2ccwをともにリセットする。
【0112】
つまり、このモータ逆動処理のステップでは、電動モータ204を所定時間T50(例えば、10secに応じた値)を限度に逆転させることができ、電動モータ204を所定時間T50に亘り駆動させた場合には所定時間T52(例えば、1secに応じた値)に亘り停止させる。このように電動モータ204の作動と停止とを繰り返すことにより、トランスファ装置6のギヤ掴み換えがスムースに完了しない場合の過負荷が防止され、電動モータ204が良好に保護されることになる。
【0113】
このようにして、電動モータ204が逆転作動しシフトアクチュエータ60が作動すると、シフトフォーク84がカップリングスリーブ82をクラッチギヤ74,80を相互に連結するように作動することになり、つまり実駆動モードが2WDモード側にシフトすることになる。
ところで、ステップS406においてモータ逆動処理が実施されているとき、ステップS407において、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量taが所定値ta0(微少油圧)に設定される(クラッチ制御手段)。
【0114】
このように、油圧多板クラッチ88にクラッチ油圧が供給されると、クラッチギヤ74,78,80が略一体に同期して回転するようになる。つまりクラッチギヤ74,80の回転が同期され、カップリングスリーブ82によるクラッチギヤ74,80間の連結がスムースに行われる。また、クラッチギヤ74,78,80の間で互いに作用する反力を減少させることができる。従って、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78間、及びクラッチギヤ74,80間を摺動抵抗の少ない状態で移動し易くなり、クラッチギヤ74,80を相互に連結し易くなるとともに、クラッチギヤ74,78の連結を解除し易くなる。故に、カップリングスリーブ82が移動する際に発生する異音やクラッチギヤ74,78の連結が解除されたときに発生する切換ショック等が解消され、実駆動モードのフルタイム4WDモードから2WDモードへの移行がさらに良好に実現されることになる。なお、ここで付加されるクラッチ油圧の制御量taは、所定値ta0に設定された後、徐々に減少させられるようにし、油圧多板クラッチ88が徐々に解放されるようにしてもよい。これにより、より一層滑らか且つ良好なフルタイム4WDモードから2WDモードへの移行が実現可能とされる。
【0115】
なお、所定値ta0は、クラッチギヤ74,78,80の間で互いに作用する反力をある程度減少させるものであり、カップリングスリーブ82が移動する際に、クラッチギヤ74,78,80の間における位相合わせが可能となるように設定されている。
図16のステップS400、ステップS402、ステップS404の判別結果がそれぞれ真(Yes)である場合には、シフトアクチュエータ60を作動させるべきでない状況と判定でき、ステップS408においてモータ停止処理が実行され、電動モータ204は停止状態に保持される。
【0116】
一方、図13のステップS254の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS258が実行され、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)或いはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)であるか否かを判別する。なお、実駆動モードがフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間である場合とは、上記同様にシフトアクチュエータ60がフルタイム4WD位置とハイ直結4WD位置との間で作動途中となっている場合を意味している。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS260に進む。
【0117】
ステップS260では、駆動モード指令に基づき直結4WD解除処理を行う。つまり、ここでは、トランスファ装置6の2WD位置とハイ直結4WD位置との間にはフルタイム4WD位置が存在するため、一旦実駆動モードをフルタイム4WDモードとすべくハイ直結4WDモードを解除する。実際には、この直結4WD解除処理では、図17に示す直結4WD解除処理ルーチンのフローチャートが実行される。
【0118】
ステップS420では、上記駆動力Ftfが所定値Ftf20(例えば、200kgf)より大か否かを判別する。判別結果が偽(No)で駆動力Ftfが所定値Ftf20以下である場合には、次にステップS422に進む。
ステップS422では、ハンドル角θHが所定値θH20(例えば、120deg)であって且つ車速Vが所定値V20(例えば、2km/h)より小であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)でハンドル角θHが所定値θH20(例えば、120deg)以下且つ車速Vが所定値V20(例えば、2km/h)以上である場合には、次にステップS424に進み、上記同様にモータ逆動処理を行う。
【0119】
つまり、駆動力Ftfが所定値Ftf20(例えば、200kgf)以下であり、さらに、ハンドル角θHが所定値θH20(例えば、120deg)以下且つ車速Vが所定値V20(例えば、2km/h)以上である場合には、クラッチギヤ74,78間でカップリングスリーブ82をスムースに移動させることが可能であって、駆動モード指令に応じてシフトアクチュエータ60を作動させてもよい状況と判定でき、ステップS424において電動モータ204を作動させる。
【0120】
このようにして、電動モータ204が逆転作動しシフトアクチュエータ60が作動すると、シフトフォーク84がカップリングスリーブ82とクラッチギヤ80との連結を切断し、クラッチギヤ74,78を相互に連結するように作動することになり、つまり実駆動モードがフルタイム4WDモード側にシフトすることになる。
【0121】
ところで、ステップS424においてモータ逆動処理が実施されているとき、ステップS425において、上記2WD突入処理の場合と同様に、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量taが所定値ta0(微少油圧)に設定される(クラッチ制御手段)。これにより、やはりクラッチギヤ74,78,80の間に互いに作用する逆方向の力を減少させることができる。従って、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,80間を摺動抵抗少なくして移動し易くなり、クラッチギヤ74,80の連結を解除し易くなる。故に、カップリングスリーブ82が移動する際に発生する異音やクラッチギヤ74,80の連結が解除されたときに発生する切換ショック等が上記同様に解消され、実駆動モードのハイ直結4WDモードからフルタイム4WDモードへの移行がさらに良好に実現されることになる。なお、ここで付加されるクラッチ油圧の制御量taは、所定値ta0に設定された後、上記同様、徐々に減少させられるのがよい。これにより、より一層滑らか且つ良好なハイ直結4WDモードからフルタイム4WDモードへの移行が実現可能とされる。
【0122】
次のステップS427では、当該直結4WD解除処理においてハイ直結4WDモードからフルタイム4WDモードへのモータ逆動処理を実行したことをフラグF4HL4Hに値1を設定して記憶する。
図17のステップS420、ステップS422の判別結果がそれぞれ真(Yes)である場合には、シフトアクチュエータ60を作動させるべきでない状況と判定でき、ステップS426においてモータ停止処理が実行され、電動モータ204はやはり停止状態に保持される。
【0123】
さらに、ステップS260の実行により実駆動モードのフルタイム4WDモードへの移行が実現されると、ステップS250、ステップS254を介してステップS256において上記2WD突入処理が実施され、これにより実駆動モードの2WDモードへの移行が実現される。
一方、ステップS250の判別結果が真(Yes)の場合、つまり、シフトアクチュエータ60の電動モータ204の作動により、シフトフォーク84が入力軸8側に移動し、図32に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,80のみを相互に連結する位置(2WD位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、ステップS251において、フリーホイールハブ機構19を、図32に示すように、分離状態、即ちフリー状態(HAB=FREE)とする。そして、上記2WD突入処理のステップS406、直結4WD解除処理のステップS424で逆転させた電動モータ204をもはや作動させる必要はなく、ステップS252においてモータ停止処理を行い、電動モータ204を停止状態に保持する。これにより、車両は2WD状態とされる。
【0124】
図14のステップS270では、駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードもフルタイム4WDモード(実MODE=4H)であるか否かを判別する。
ステップS270の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS274に進み、駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードが2WDモード(実MODE=2H)或いは上記同様に実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS276に進む。
【0125】
ステップS276では、駆動モード指令に基づき2WD解除処理を行う。この2WD解除処理では、図18に示す2WD解除処理ルーチンのフローチャートが実行される。
図18のステップS430では、先ず、フリーホイールハブ機構19が分離状態、即ちフリー状態(HAB=FREE)であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)でフリーホイールハブ機構19が分離状態(HAB=FREE)ではなくロック状態(HAB=LOCK)である場合には、次にステップS434に進む。
【0126】
ステップS434では、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量taを設定する。クラッチ油圧の制御量taは、図19のマップに示すように、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|に応じて予め設定されている。なお、図19中の絶対値|ΔVc|の値X1は例えば5rpmであり、値X2は例えば200rpmである。
【0127】
このように、油圧多板クラッチ88に油圧が供給されると、油圧多板クラッチ88の係合によって、上述したように、クラッチギヤ74,78,80が略一体に同期して回転するようになる。また、フロントプロペラシャフト16は、フリーホイールハブ機構19の連結による前輪FWの回転に伴い回転しており、故に、トランスファ装置6は、略直結4WD状態、即ちクラッチによる4WD状態(オンディマンド4WD状態)とされる。
【0128】
ステップS436では、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|が所定値ΔVc30(例えば、30rpm)より大であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)で、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|が所定値ΔVc30(例えば、30rpm)以下である場合には、次にステップS438に進む。
ステップS438では、駆動力(入力トルク)Ftfが所定値Ftf30より大か否かを判別する。なお、この所定値Ftf30は上記所定値Ftf10と同一の値である。つまり、図31に示すように、車速Vに応じて可変設定される値である。判別結果が偽(No)で駆動力Ftfが所定値Ftf30以下である場合には、次にステップS440に進む。
【0129】
ステップS440では、ハンドル角θHが所定値θH30(例えば、上記所定値θH10同様に180deg)より大であって且つ車速Vが所定値V30(例えば、上記所定値V10同様に25km/h)より小(低速旋回状態)であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)でハンドル角θHが所定値θH30(例えば、180deg)以下且つ車速Vが所定値V30(例えば、25km/h)以上である場合には、次にステップS442に進み、モータ作動処理を行う。
【0130】
つまり、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc30(例えば、30rpm)以下となり、駆動力Ftfが所定値Ftf30以下であり、さらに、ハンドル角θHが所定値θH30(例えば、180deg)以下且つ車速Vが所定値V30(例えば、25km/h)以上である場合には、駆動モード指令(MODE=4H)に応答してシフトアクチュエータ60を作動させてもよい状況と判定でき、ステップS442において電動モータ204を作動させる(連結切換手段)。ここでは、電動モータ204は、図1で見て反時計回り、即ち正転方向に作動する。
【0131】
モータ作動処理では、図23に示すモータ作動処理ルーチンのフローチャートが実行される(ステップS520乃至ステップS532)。なお、当該モータ作動処理ルーチンは上記モータ逆動処理ルーチンにおけるモータ保護用の作動タイマTM1ccw、停止タイマTM2ccwをそれぞれ作動タイマTM1cw、停止タイマTM2cwとし、モータ逆転指令をモータ正転指令としただけであり、処理手順についてはモータ逆動処理ルーチンの場合と同様であるためここでは説明を省略する。つまり、このモータ作動処理のステップにおいては、電動モータ204を所定時間T60(例えば、10secに応じた値)を限度に正転させることができ、電動モータ204を所定時間T60に亘り駆動させた場合には、所定時間T62(例えば、1secに応じた値)に亘り停止させる。これにより、上記同様にトランスファ装置6のギヤ切換えがスムースに完了しない場合の過負荷が防止され、電動モータ204が良好に保護されることになる。
【0132】
図18のステップS436、ステップS438、ステップS440の判別結果がそれぞれ真(Yes)である場合には、シフトアクチュエータ60を作動させるべきでない状況と判定でき、ステップS444においてモータ停止処理が実行され、電動モータ204はやはり停止状態に保持される。
一方、ステップS430の判別結果が真(Yes)でフリーホイールハブ機構19が分離状態(HAB=FREE)である場合には、次にステップS432に進み、HAB制御を行う。
【0133】
HAB制御ではフリーホイールハブ機構19の断接制御を行う。このHAB制御では、図24に示すHAB制御ルーチンのフローチャートが実行される。
図24のステップS600では、車速Vが所定値V40(例えば、4km/h)以下であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)で車速Vが所定値V40(例えば、4km/h)より大である場合には、次にステップS602に進む。
【0134】
ステップS602では、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc40(例えば、140rpm)以下であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)であり、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc40より大きい場合には、次にステップS604に進む。
ステップS604では、クラッチギヤ20とクラッチギヤ22との回転速度差、即ちクラッチギヤ20の回転速度NFLとクラッチギヤ22の回転速度NFRとの回転速度差ΔNF(ΔNF=NFL−NFR)が所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下であるか否かを判別する。
【0135】
例えば、車両が2WDモードで高速走行しており、フロントプロペラシャフト16の回転速度がゼロである場合には、クラッチギヤ20は前輪デフ18を介して前輪FWの回転方向(+方向)とは逆方向(−方向)に略同一の回転速度で回転している。故に、この場合には、ステップS604の判別結果は偽(No)で回転速度差ΔNFは所定値ΔNF1(例えば、60rpm)より大であり、次にステップS606に進む。
【0136】
ステップS606では、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量taを設定する。この場合、クラッチ油圧の制御量taは、図25のマップに示すように、回転速度差ΔNFに応じて予め設定されている。なお、図25中の回転速度差ΔNFの値X5は例えば60rpmであり、値X6は例えば300rpmである。
【0137】
このように、油圧多板クラッチ88に油圧が供給されると、上述したように、フロントプロペラシャフト16が回転し始めることになり、クラッチギヤ20を前輪FWの回転方向(+方向)、つまりクラッチギヤ22の回転方向と同一方向に回転させるとともに、回転速度差ΔNFを減少させる。
ステップS616では、上記回転速度差ΔNFが所定値ΔNF2(例えば、−80rpm)以上所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下となったか否かを判別する。つまり、ここでは、上記のようにクラッチ油圧の制御量taを設定したことにより、フロントプロペラシャフト16が回転し、クラッチギヤ20とクラッチギヤ22とが良好に同期するに至ったか否かを判別する。
【0138】
例えば、クラッチ油圧の制御量taが設定された直後にあっては、未だ回転速度差ΔNFは所定値ΔNF1(例えば、60rpm)を超えた状態にあり、ステップS616の判別結果は偽(No)である。従って、このような場合には、ステップS618において、フリーホイールハブ機構19を分離したままの状態(HAB=FREE)に保持する。
【0139】
当該ルーチンが繰り返し実行されると、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|は徐々に減少することになる。そして、次回ステップS602が実行されたときに、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc40(例えば、140rpm)以下と判定されれば、次にステップS610に進む。
ステップS610では、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量taが所定値ta1より小であるか否かを判別する。所定値ta1は、リヤプロペラシャフトとフロントプロペラシャフト16とを同期させるために最低限必要なクラッチ油圧の制御量とされている。
【0140】
ステップS610の判別結果が真(Yes)でクラッチ油圧の制御量taが所定値ta1より小である場合には、次にステップS612に進み、クラッチ油圧の制御量taに制御値Δtaを加算する。制御値Δtaは、例えば制御量taの最大値tamaxの1/256程度の大きさに予め設定されている。
一方、制御値Δtaの加算等により、ステップS610の判別結果が偽(No)で制御量taが所定値ta1以上と判定された場合には、ステップS614においてクラッチ油圧の制御量taを所定値ta1に設定する。これにより、上記ステップS606で設定された制御量taが所定値ta1より大である場合であったとしても、クラッチギヤ20とクラッチギヤ22との同期回転の調整が可能とされる。
【0141】
そして、ステップS616において、上記同様に回転速度差ΔNFが所定値ΔNF2(例えば、−80rpm)以上所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下であるか否かを判別し、判別結果が偽(No)で回転速度差ΔNFが所定値ΔNF2(例えば、−80rpm)以上所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下の範囲にない場合には、ステップS618においてフリーホイールハブ機構19を分離したままの状態(HAB=FREE)に保持する。
【0142】
一方、ステップS616の判別結果が真(Yes)となり、回転速度差ΔNFが所定値ΔNF2(例えば、−80rpm)以上所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下の範囲内にあると判定された場合には、クラッチギヤ20とクラッチギヤ22とが良好に同期し、カップリングスリーブ24がクラッチギヤ20,22を良好に連結可能と判定でき、この場合には、ステップS620において、フリーホイールハブ機構19を接続状態、即ちロック状態(HAB=LOCK)に設定する。
【0143】
つまり、バキュームアクチュエータ28の電磁切換えバルブに駆動信号が供給されてシフトフォーク26が作動することとなり、これによりカップリングスリーブ24が図1に示すように異音等の発生もなくスムースにクラッチギヤ20,22を互いに連結することになる。
ところで、ステップS602の判別結果が偽(No)、つまり、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc40(例えば、140rpm)より大であり、且つ、ステップS604の判別結果が真(Yes)、即ち回転速度差ΔNFが所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下である場合には、次にステップS608に進む。例えば、車両が通常に走行しておらず、駆動輪である後輪RWがスリップし前輪FWが殆ど回転していないような場合もあり得る。このような場合には、クラッチギヤ20とクラッチギヤ22とは略同期状態であって回転速度差ΔNFは所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下であり、それ以上クラッチギヤ20の回転速度を上昇させない方がよい。従って、ステップS602の判別結果が偽(No)であってもステップS604の判別結果が真(Yes)で回転速度差ΔNFが所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下である場合には、次のステップS608においてクラッチ油圧の制御量taをゼロに設定し、フロントプロペラシャフト16の回転が増速してクラッチギヤ20の回転速度が必要以上に上昇してしまうことを防止する。
【0144】
また、ステップS604の判別では、回転速度差ΔNFの微分値dΔNF/dtが所定値Y1(例えば、−1000rpm/sec)より小、即ちクラッチギヤ20の回転速度とクラッチギヤ22の回転速度との接近率が極めて大きいか否かも判別するようにしており、判別結果が真(Yes)で微分値dΔNF/dtが所定値Y1(例えば、−1000rpm/sec)より小でクラッチギヤ20の回転速度のクラッチギヤ22の回転速度への接近率が極めて大きい場合にもステップS608においてクラッチ油圧の制御量taをゼロに設定する。つまり、駆動輪である後輪RWがスリップしているような状況では、クラッチギヤ20の回転速度のクラッチギヤ22の回転速度への接近率が極めて大きいとフロントプロペラシャフト16が必要以上に回転し、その慣性力によってクラッチギヤ20がクラッチギヤ22の回転速度を超えて過回転しまう虞があり、故に、ここでは、回転速度差ΔNFが所定値ΔNF1(例えば、60rpm)以下でなくても微分値dΔNF/dtが所定値Y1(例えば、−1000rpm/sec)より小であれば、クラッチ油圧の制御量taをゼロに設定してフロントプロペラシャフト16の回転を抑制し、クラッチギヤ20の回転速度が必要以上に上昇することを未然に防止するようにしている。
【0145】
また、回転速度差ΔNFの微分値dΔNF/dtが所定値Y1より大きい場合には、ステップS604の判別結果が偽(No)となり、次にステップS606に進み、上述したようにクラッチ油圧制御量taの設定が行われる。
また、ステップS600において、判別結果が真(Yes)の場合、つまり、車速Vが所定値V40以下で停止状態のときには、カップリングスリーブ24がクラッチギヤ20,22を良好に連結可能と判定でき、ステップS620に進み、フリーホイールハブ機構19を接続状態(HAB=LOCK)にする。
【0146】
図13のステップS274の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS278に進み、駆動モード指令が4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)或いはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS280に進み、上記図17の直結4WD解除処理を行う。
【0147】
一方、ステップS270の判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS272においてモータ停止処理を行う。つまり、シフトアクチュエータ60の電動モータ204の作動により、シフトフォーク84が移動し、図1に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78を相互に連結する位置(フルタイム4WD位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、上記2WD解除処理、直結4WD解除処理で逆転あるいは正転させた電動モータ204をもはや作動させる必要はなく、電動モータ204を停止状態に保持する。
【0148】
ステップS282では、フリーホイールハブ機構19がフリー状態(HAB=FREE)であるか否かを判別する。実際には、駆動モード指令が4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードも(実MODE=4H)である場合には、上記ステップS620の実行により、フリーホイールハブ機構19はロック状態(HAB=LOCK)とされている。従って、ここでの判別は、確認的なものである。判別結果が真(Yes)でフリーホイールハブ機構19がフリー状態(HAB=FREE)である場合には、ステップS284において上記HAB制御を行う。これにより、車両はフルタイム4WD状態とされる。この状態では、入力軸8からの駆動力がセンタデフ62により適正に配分されて後輪側出力軸10とトランスファスプロケット12とに伝達される(アンロック状態)。
【0149】
図15のステップS286では、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードもハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)であるか否かを判別する。
ステップS286の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS290に進み、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードが2WDモード(実MODE=2H)或いは上記同様に実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS292に進み、上記図18の2WD解除処理を行う。
【0150】
ステップS290の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS294に進み、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)或いはフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS296に進む。
【0151】
ステップS296では、直結4WD突入処理を行う。この直結4WD突入処理では、図20に示す直結4WD突入処理ルーチンのフローチャートが実行される。
図20のステップS450では、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量taを設定する。ここでのクラッチ油圧の制御量taは、図21のマップに示すように、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|に応じて予め設定されている。なお、図21中の絶対値|ΔVc|の値X3は例えば3rpmであり、値X4は例えば15rpmである。
【0152】
これにより、油圧多板クラッチ88の係合によって、クラッチギヤ74,78,80が略一体に同期して回転し、略直結4WD状態とされる。
そして、次のステップS452では、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc50(例えば、40rpm)より大か否かを判別する。判別結果が偽(No)で、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc50(例えば、40rpm)以下である場合には、次にステップS454に進む。
【0153】
ステップS454では、エンジン2からトランスファ装置6への駆動力Ftfが所定値Ftf50より大か否かを判別する。判別結果が偽(No)で駆動力Ftfが所定値Ftf50以下である場合には、次にステップS456に進む。
ステップS456では、ハンドル角θHが所定値θH50(例えば、270deg)より大であって且つ車速Vが所定値V50(例えば、30km/h)より小であるか否かを判別する。判別結果が偽(No)でハンドル角θHが所定値θH50(例えば、270deg)以下且つ車速Vが所定値V50(例えば、30km/h)以上である場合には、次にステップS458に進み、モータ作動処理を行う。
【0154】
つまり、ペラ回転差の絶対値|ΔVc|がΔVc50(例えば、40rpm)以下となり、駆動力Ftfが所定値Ftf50以下であり、さらに、ハンドル角θHが所定値θH50(例えば、270deg)以下且つ車速Vが所定値V50(例えば、30km/h)以上である場合には、駆動モード指令(MODE=4HLc)に応じてシフトアクチュエータ60を作動させてもよい状況と判定でき、ステップS458において電動モータ204を正転方向に作動させる。
【0155】
ステップS452、ステップS454、ステップS456の判別結果がそれぞれ真(Yes)である場合には、シフトアクチュエータ60を作動させるべきでない状況と判定でき、ステップS460においてモータ停止処理が実行され、電動モータ204は停止状態に保持される。
また、一方、ステップS286の判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS288においてモータ停止処理を行う。つまり、シフトアクチュエータ60の電動モータ204の作動により、シフトフォーク84が移動し、図33に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78,80の全てを相互に連結する位置(直結4WD位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、上記2WD解除処理、直結4WD突入処理で正転させた電動モータ204をもはや作動させる必要はなく、電動モータ204を停止状態に保持する。これにより、車両はハイ直結4WD状態とされる。この状態では、入力軸8からの駆動力がセンタデフ62による差動なく後輪側出力軸10とトランスファスプロケット12とに等配分(略5:5)されて伝達される(ロック状態)。
【0156】
図6のステップS45では、上記のように設定したフラグF4HL4Hが値1であり、且つ実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)であるか否かを判別する。つまり、ここでは、駆動モードがフルタイム4WDモードであって、実駆動モードがハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)側からフルタイム4WDモード(実MODE=4H)に切換わったか否かを判別する。
【0157】
ステップS45の判別結果が真(Yes)で実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)に切換わったと判定された場合、即ちクラッチギヤ74,80の連結が解除されたと判定された場合には、ステップS46において、油圧多板クラッチ88に供給するクラッチ油圧の制御量ta(ta=taal−Δtaal)を設定する(クラッチ制御手段)。ここに、taalは最大制御量、Δtaalは所定制御量(微少値)である。
【0158】
そして、ステップS461において、制御量taが負の値か否かを判別する。判別結果が偽(No)であれば、ステップS463に進み、最大制御量taalを前制御量ta’に更新する。一方、判別結果が真(Yes)であれば、ステップS462に進み、制御量taを値0(ta=0)にする。つまり、ハイ直結4WDモード(ロック状態)からフルタイム4WDモード(アンロック状態)に切換わると、油圧多板クラッチ88に最大制御量taalに近い油圧を供給し、その後徐々に油圧を解放していく。これにより、ハイ直結4WDモードからフルタイム4WDモードに切換わる際のトルク変動が徐々に行われ、切換ショックを抑制することができる。故に、実駆動モードのハイ直結4WDモードからフルタイム4WDモードへの移行がさらに良好に実現されることになる。
【0159】
なお、上記直結4WD解除処理のステップS425を実行することなく当該ステップS46のみを実行するようにしてもよい。つまり、実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)に切換わった直後にクラッチ油圧の制御量taを設定しこれを油圧多板クラッチ88に供給するようにすれば、実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)に切換わっている間、即ちクラッチギヤ74,80の連結が解除されている間には油圧多板クラッチ88に油圧を供給しなくてもよい。これによってもやはり良好な効果が得られる。
【0160】
そして、次のステップS47において、フラグF4HL4Hを値0にリセットする。
ステップS48は、車両の走行状態や路面状態等に応じて油圧制御を行うステップである。つまり、このステップS48の実行により、バルブボディ90の電磁弁が開閉制御され、油圧多板クラッチ88の係合力が適宜調節されることになる(クラッチ制御手段)。
【0161】
そして、ステップS49では、上記実行周期タイマTMAを値0にリセットする。
ところで、上記図6のステップS42の判別結果が真(Yes)で車速Vが所定車速V0(例えば、2km/h)未満である場合には、次にステップS44に進む。
【0162】
ステップS44では、#2モータ制御が実施される。この#2モータ制御は、即ち、車両が略停止状態にある場合の上記シフトアクチュエータ60の電動モータ204の制御を意味している。#2モータ制御では、図26乃至図29に示す#2モータ制御ルーチンのフローチャートが実行され、以下、図26乃至図29に基づき説明する。
【0163】
図26のステップS300では、インヒビタスイッチ108からの情報に基づく変速機4のセレクトレバー位置がパーキングレンジ(Pレンジ)或いはニュートラルレンジ(Nレンジ)にあるか否かを判別する。判別結果が偽(No)でセレクトレバー位置がPレンジ或いはNレンジにない場合には、何もせず当該ルーチンを抜ける。つまり、車速Vが所定車速V0(例えば、2km/h)未満であっても変速機4のセレクトレバー位置がドライブレンジ(Dレンジ)等であってトランスファ装置6にエンジン2の駆動力が伝達されているような状況では、モータ制御を行わない。
【0164】
一方、ステップS300の判別結果が真(Yes)で、変速機4のセレクトレバー位置がPレンジ或いはNレンジにある場合には、次のステップS302において、モータ保護用のタイマTMmが所定時間T70(例えば、10sec)より小であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で作動タイマTMmが所定時間T70(例えば、10sec)に達していない場合には、次にステップS304に進む。
【0165】
ステップS304では、上記#1モータ制御の場合と同様に、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードも2WDモード(実MODE=2H)であるか否かを判別する。
ステップS304の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS312に進み、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)或いはフルタイム4WDモード(実MODE=4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS314に進む。
【0166】
ステップS314では、モータ逆動処理を行う。つまり、ここでは、上記#1モータ制御の場合とは異なりトランスファ装置6にエンジン2の駆動力が伝達されていないため、クラッチギヤ74,80間でカップリングスリーブ82が作動し難いことはなく、故に2WD突入処理を行うことなく、直接モータ逆動処理を行う。
【0167】
ステップS312の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS316に進み、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)或いはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS318に進む。
【0168】
ステップS318では、上記同様にモータ逆動処理を行う。つまり、ここでは、上記同様の理由から、直結4WD解除処理を行うことなく、直接モータ逆動処理を行う。
ステップS316の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS320に進み、駆動モード指令が2WDモード(MODE=2H)であって且つ実駆動モードがハイ直結4WDモードとロー直結4WDモードとの中間(実MODE=4HLcー4LLc)或いはロー直結4WDモード(実MODE=4LLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS322に進む。
【0169】
ステップS322では、ハイ直結4WDモードとロー直結4WDモードとの切換処理、即ちHi−Low切換処理を行う。このHi−Low切換処理では、図30に示すHi−Low切換処理ルーチンのフローチャートが実行される。
図30のステップS700では、駆動モード指令がロー直結4WDモード(MODE=4LLc)であるか否かを判別する。ここでは、駆動モード指令は2WDモード(MODE=2H)であるので、判別結果は偽(No)であり、次にステップS702に進み、電動モータ204に向けてモータ逆転指令を出力する。
【0170】
次のステップS706では、モータ保護用のタイマTM1HLが所定時間T80(例えば、10sec)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で作動タイマTM1HLが所定時間T80(例えば、10sec)に達していない場合には、次にステップS708においてタイマTM1HLをカウントアップする。
一方、ステップS706の判別結果が偽(No)でタイマTM1HLが所定時間T80(例えば、10sec)を超えた場合には、次にステップS710に進み、Hi−Low切換時のシフトアクチュエータ60のON−OFF指令であるフラグFONOFFが値1であるか否かを判別する。
【0171】
ステップS710の判別結果が真(Yes)でフラグFONOFFが値1である場合には、ステップS712においてオンタイマTM2HLをカウントアップする。そして、ステップS716において、オンタイマTM2HLが所定時間T90(例えば、1sec)となったか否かを判別する。
ステップS716の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS724において改めてフラグFONOFFが値1であるか否かを判別し、次のステップS726において、上記ステップS702の出力信号に応じたモータ作動指令(モータ逆転指令)を出力する。
【0172】
一方、ステップS716の判別結果が真(Yes)となると、次のステップS718において、フラグFONOFFを値0にリセットし、同時にオンタイマTM2HLを値0にリセットする。この場合には、ステップS724の判別結果は偽(No)となり、次のステップS728においてモータ停止指令を出力し、電動モータ204の作動を停止させる。
【0173】
フラグFONOFFが値0とされると、ステップS710の判別結果は偽(No)となり、この場合には、ステップS714において、オフタイマTM3HLをカウントアップする。そして、ステップS720において、オフタイマTM3HLが所定時間T92(例えば、1sec)となったか否かを判別する。
ステップS720の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS724における判別結果は、やはり偽(No)であり、ステップS728においてモータ停止指令を出力し続け、電動モータ204を停止状態に保持する。
【0174】
一方、ステップS720の判別結果が真(Yes)となると、次のステップS722において、フラグFONOFFを値1に設定し、同時にオフタイマTM3HLを値0にリセットする。これにより、ステップS724の判別結果は真(Yes)となり、ステップS726において、再びモータ作動指令(モータ逆転指令)を出力する。
【0175】
つまり、ステップS710乃至ステップS728のステップでは、電動モータ204を所定時間T90(例えば、1sec)に亘り作動させたら所定時間T92(例えば、1sec)に亘り停止させるというオンオフ作動を繰り返す。このようにオンオフ作動を繰り返すことにより、タイマTM1HLが所定時間T80(例えば、10sec)を超えてもカップリングスリーブ56がクラッチギヤ40,42間でスムースに作動しないような状況において、オンオフ作動に基づく反動により当該カップリングスリーブ56が良好に作動することとなる。
【0176】
そして、図26のステップS314、ステップS318の処理ルーチンが実行されると、ステップS324に進み、タイマTMmをカウントアップする。また、ステップS322の処理ルーチンが実行されると、図27のステップS326に進む。
このようにしてモータ逆動処理、Hi−Low切換処理が実施されることになるが、一方、ステップS304の判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS306に進む。つまり、上記図32に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,80を相互に連結する位置(2WD位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、ステップS306において、フリーホイールハブ機構19を、図32に示すように、フリー状態(HAB=FREE)とする。そして、電動モータ204をもはや作動させる必要はないため、ステップS308においてモータ停止処理を行い、上記のように作動させた電動モータ204を停止させる。そして、ステップS310においてタイマTMmをリセットする。これにより、上記#1モータ制御の場合と同様に、車両は2WD状態とされる。
【0177】
なお、カウントアップによりタイマTMmが所定時間T70(例えば、10sec)を超え、ステップS302の判別結果が偽(No)となった場合には、ステップS304以降を実施することなく当該ルーチンを抜けることになる。つまり、タイマTMmが所定時間T70(例えば、10sec)を超えてもクラッチギヤ40,42間でカップリングスリーブ56が作動完了しないような場合には、電動モータ204が無理に回転しないようにするのである。これにより、電動モータ204の過熱等による破損が防止される。
【0178】
図27のステップS326では、やはり上記#1モータ制御の場合と同様に、駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードもフルタイム4WDモード(実MODE=4H)であるか否かを判別する。
ステップS326の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS332に進み、駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードが2WDモード(実MODE=2H)或いは上記同様に実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS334に進む。
【0179】
ステップS334では、モータ作動処理を行う。つまり、ここでは、上記同様の理由から、2WD解除処理を行うことなく、直接モータ作動処理を行う。
ステップS332の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS336に進み、駆動モード指令が4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)或いはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS338に進み、モータ逆動処理を行う。つまり、ここでは、やはり上記同様の理由から、直結4WD解除処理を行うことなく、直接モータ作動処理を行う。
【0180】
ステップS336の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS340に進み、駆動モード指令がフルタイム4WDモード(MODE=4H)であって且つ実駆動モードがハイ直結4WDモードとロー直結4WDモードとの中間(実MODE=4HLcー4LLc)或いはロー直結4WDモード(実MODE=4LLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS342に進む。
【0181】
ステップS342では、上記Hi−Low切換処理を行う。このHi−Low切換処理での制御手順は上記同様であり、ここでは説明を省略する。
そして、ステップS334、ステップS338の処理ルーチンが実行されると、ステップS344に進み、タイマTMmをカウントアップする。また、ステップS342の処理ルーチンが実行されると、図28のステップS350に進む。
【0182】
このようにしてモータ作動処理、モータ逆動処理、Hi−Low切換処理が実施されることになるが、ステップS326の判別結果が真(Yes)となった場合には、次にステップS328に進む。つまり、シフトアクチュエータ60の電動モータ204の作動により、シフトフォーク84が後輪側出力軸10側に移動し、図1に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78を相互に連結する位置(フルタイム4WD位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、電動モータ204をもはや作動させる必要はないため、ステップS328においてモータ停止処理を行い、上記のように作動させた電動モータ204を停止させる。そして、ステップS330においてタイマTMmをリセットする。
【0183】
さらに、ステップS346において、フリーホイールハブ機構19がフリー状態(HAB=FREE)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)でフリーホイールハブ機構19がフリー状態(HAB=FREE)である場合には、ステップS348において上記HAB制御を行い、フリーホイールハブ機構19をロック状態(HAB=LOCK)とする。これにより、上記#1モータ制御の場合と同様に、車両はフルタイム4WD状態とされる。
【0184】
図28のステップS350では、やはり上記#1モータ制御の場合と同様に、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードもハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)であるか否かを判別する。
ステップS350の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS356に進み、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードが2WDモード(実MODE=2H)或いは上記同様に実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS358に進み、モータ作動処理を行う。つまり、ここでは、上記同様の理由から、2WD解除処理を行うことなく、直接モータ作動処理を行う。
【0185】
ステップS356の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS360に進み、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)或いはフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS362に進む。
【0186】
ステップS362では、モータ作動処理を行う。つまり、ここでは、上記同様の理由から、直結4WD突入処理を行うことなく、直接モータ作動処理を行う。
ステップS360の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS364に進み、駆動モード指令がハイ直結4WDモード(MODE=4HLc)であって且つ実駆動モードがハイ直結4WDモードとロー直結4WDモードとの中間(実MODE=4HLcー4LLc)或いはロー直結4WDモード(実MODE=4LLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS366に進む。
【0187】
ステップS366では、上記Hi−Low切換処理を行う。このHi−Low切換処理での制御手順についても上記同様であり、ここでは説明を省略する。
そして、ステップS358、ステップS362の処理ルーチンが実行されると、ステップS368に進み、タイマTMmをカウントアップする。また、ステップS366の処理ルーチンが実行されると、図29のステップS370に進む。
【0188】
このようにしてモータ作動処理、Hi−Low切換処理が実施されることになるが、ステップS350の判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS352に進む。つまり、図33に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78,80の全てを相互に連結する位置(直結4WD位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、電動モータ204をもはや作動させる必要はないため、ステップS352においてモータ停止処理を行い、上記のように作動させた電動モータ204を停止させる。そして、ステップS354においてタイマTMmをリセットする。これにより、上記#1モータ制御の場合と同様に、車両はハイ直結4WD状態とされ、入力軸8からの駆動力がセンタデフ62による差動なく後輪側出力軸10とトランスファスプロケット12とに等配分(略5:5)されて伝達される。
【0189】
ステップS370では、駆動モード指令がロー直結4WDモード(MODE=4LLc)であって且つ実駆動モードもロー直結4WDモード(実MODE=4LLc)であるか否かを判別する。
ステップS370の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS376に進み、駆動モード指令がロー直結4WDモード(MODE=4LLc)であって且つ実駆動モードが2WDモード(実MODE=2H)或いは実駆動モードが2WDモードとフルタイム4WDモードとの中間(実MODE=2Hー4H)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS378に進み、モータ作動処理を行う。
【0190】
ステップS376の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS380に進み、駆動モード指令がロー直結4WDモード(MODE=4LLc)であって且つ実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)或いはフルタイム4WDモードとハイ直結4WDモードとの中間(実MODE=4Hー4HLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS382に進み、モータ作動処理を行う。
【0191】
ステップS380の判別結果が偽(No)の場合には、次にステップS384に進み、駆動モード指令がロー直結4WDモード(MODE=4LLc)であって且つ実駆動モードがハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)或いはハイ直結4WDモードとロー直結4WDモードとの中間(実MODE=4HLcー4LLc)であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS386に進む。
【0192】
ステップS386では、上記Hi−Low切換処理を行う。この場合にも上記図30のHi−Low切換処理ルーチンが実行されるが、但し、このときには、図30中のステップS700の判別結果は真(Yes)であり、この場合には、次のステップS704において電動モータ204に向けてモータ正転指令を出力する。ステップS706以降については上述のとおりであり説明を省略する。
【0193】
そして、ステップS378、ステップS382の処理ルーチンが実行されると、ステップS388に進み、タイマTMmをカウントアップする。
このようにしてモータ作動処理、Hi−Low切換処理が実施されることになるが、ステップS370の判別結果が真(Yes)の場合には、次にステップS372に進む。つまり、図34に示すように、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78,80の全てを相互に連結する位置(直結4WD位置)とされるとともに、カップリングスリーブ56がクラッチギヤ42,44を相互に連結する位置(ロー位置)とされ、駆動モード指令と実駆動モードとが一致した場合には、電動モータ204をもはや作動させる必要はないため、ステップS372においてモータ停止処理を行い、上記のように作動させた電動モータ204を停止させる。そして、ステップS374においてタイマTMmをリセットする。これにより、車両はロー直結4WD状態とされる。この状態では、入力軸8からの駆動力がセンタデフ62による差動なく後輪側出力軸10とトランスファスプロケット12とに等配分(略5:5)されて伝達されることになるとともに、上記ハイ直結4WD状態よりもトルクフルな4輪駆動(前後輪駆動)走行が可能とされる。
【0194】
以上、説明したように、本発明の前後輪駆動車では、実駆動モードがフルタイム4WDモード(実MODE=4H)から2WDモード(実MODE=2H)へ移行される際に油圧多板クラッチ88に所定値ta0のクラッチ油圧を供給し(図16のステップS407)、さらに実駆動モードがハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)側からフルタイム4WDモード(実MODE=4H)に移行される際にも同様に所定値ta0のクラッチ油圧を供給し(図17のステップS425)、また実駆動モードがハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)からフルタイム4WDモード(実MODE=4H)となったとき、制御量taのクラッチ油圧を供給するようにしている(図6のステップS46)。
【0195】
従って、実駆動モードがそれぞれ切換わる際、クラッチギヤ74,78,80の間で互いに作用する反力を減少させることができ、カップリングスリーブ82がクラッチギヤ74,78,80間を摺動抵抗少なくして移動し易くなる。故に、カップリングスリーブ82が移動する際に発生する異音や、クラッチギヤ74,78またはクラッチギヤ74,80の連結が解除されたときに発生する切換ショック等が解消され、実駆動モードのフルタイム4WDモード(実MODE=4H)から2WDモード(実MODE=2H)への移行、或いはハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)からフルタイム4WDモード(実MODE=4H)への移行が違和感なく良好に実現可能とされる。また、ハイ直結4WDモード(実MODE=4HLc)からフルタイム4WDモード(実MODE=4H)への切換えが行われた後の切換ショックを抑制することができる。
【0196】
ところで、上記実施例で用いたトランスファ装置6は当該構成のものに限られず、図35(実施例2)、図36(実施例3)、図37(実施例4)に示すような構成のものであってもよい。以下、実施例2乃至実施例4について説明する。なお、これらの実施例はトランスファ装置の構成が異なるのみであり、駆動切換制御(駆動切換指令手段、連結切換手段、クラッチ制御手段)については上記実施例1と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。
【0197】
実施例2(請求項1に対応)では、図35に示すように、トランスファ装置は、上記実施例1のようなセンタデフ62を有さず、2WD状態とクラッチ連結による4WD状態(オンディマンド4WD状態)と直結4WDの切換えが可能なものとされている。つまり、この実施例2では、中間軸(第1伝達部材)36に回転自在に支持されたスリーブ軸(第2伝達部材)76aの他端にクラッチギヤ78aが、またクラッチギヤ78aに隣接して中間軸36にクラッチギヤ80が設けられている。さらに、クラッチギヤ78a,80の外側にクラッチギヤ78a,80間の連結を行うカップリングスリーブ(連結手段)82aが配置されており、カップリングスリーブ82aは中間軸36の軸線方向に摺動自在に支持されている。そして、中間軸36とスリーブ軸76aとの間に油圧多板クラッチ(クラッチ手段)88が配設されており、クラッチギヤ78aと油圧多板クラッチ88との間のスリーブ軸76aの部分には前輪FW側へ駆動力を伝達する出力スプロケット85aが設けられている。
【0198】
従って、この実施例2のトランスファ装置の場合、駆動切換制御に基づき、カップリングスリーブ82aによってクラッチギヤ78a,80間の連結が行われた状態では、前後輪に駆動力が伝達されてトランスファ装置は直結4WD状態となる。そして、この状態で油圧多板クラッチ88に油圧が供給されると、上記実施例1の場合と同様に、クラッチギヤ78aとクラッチギヤ80との間で作用する反力が減少させられ、クラッチギヤ78a,80間の連結が解除される際には、カップリングスリーブ82aが異音なくスムースに移動することになる。故に、トランスファ装置は良好に直結4WD状態から2WD状態とされる。
【0199】
実施例3では、図36に示すように、トランスファ装置は、上記実施例1と同様にセンタデフ62を有しており、この場合にはフルタイム4WDと直結4WDの切換えが可能なものとされている。つまり、この実施例3の場合には、センタデフ62のデフケース64と中間軸36に回転自在に支持されたスリーブ軸72aとの間に油圧多板クラッチ88が配設されており、スリーブ軸72aの一端にクラッチギヤ74aが、またその中間部に前輪FW側へ駆動力を伝達する出力スプロケット85bが設けられている。さらに、クラッチギヤ74aと中間軸36に設けられたクラッチギヤ80の外側に、クラッチギヤ74aとクラッチギヤ80の連結を行うカップリングスリーブ82bが配置されており、カップリングスリーブ82bは中間軸36の軸線方向に摺動自在にして支持されている。
【0200】
従って、この実施例3のトランスファ装置の場合、駆動切換制御に基づき、カップリングスリーブ82bによってクラッチギヤ74aとクラッチギヤ80との連結が行われた状態では、センタデフ62はロック状態とされてトランスファ装置は直結4WD状態となる。そして、油圧多板クラッチ88に油圧が供給されると、上記実施例1の場合と同様に、クラッチギヤ74aとクラッチギヤ80との間で作用する反力が減少させられ、クラッチギヤ74a,80間の連結が解除される際には、カップリングスリーブ82bが異音なくスムースに移動することになる。故に、トランスファ装置は良好にフルタイム4WD状態とされる。
【0201】
実施例4(請求項4、請求項5に対応)では、図37に示すように、トランスファ装置は、上記実施例1、実施例3と同様にセンタデフ62を有しており、この場合には実施例1の場合と同様に2WDとフルタイム4WDと直結4WDとの切換えが可能なものとされている。つまり、この実施例4の場合には、上記実施例3の場合と同様、センタデフ62のデフケース(第1出力要素)64と中間軸(入力要素)36に回転自在に支持されたスリーブ軸(第2出力要素)72bとの間に油圧多板クラッチ(クラッチ手段)88が配設されており、スリーブ軸72bの一端にクラッチギヤ74bが設けられている。さらには、スリーブ軸(第4伝達部材、第5伝達部材)76bがスリーブ軸72bに回転自在に支持されており、そのスリーブ軸76bの一端にクラッチギヤ78bが設けられ、その他端に前輪FW側へ駆動力を伝達する出力スプロケット85cが設けられている。そして、クラッチギヤ74b、クラッチギヤ78b及び中間軸36に設けられたクラッチギヤ80の外側に、クラッチギヤ74b,80の連結を行うカップリングスリーブ(第4連結手段、第6連結手段)82cとクラッチギヤ74b,78bの連結を行うカップリングスリーブ(第3連結手段、第5連結手段)82dが配置されており、これらカップリングスリーブ82c,82dは中間軸36の軸線方向に摺動自在にして支持されている。
【0202】
従って、この実施例4のトランスファ装置の場合、駆動切換制御に基づき、カップリングスリーブ82cによってクラッチギヤ74bとクラッチギヤ80の連結が行われ、且つカップリングスリーブ82dによるクラッチギヤ74bとクラッチギヤ78bとの連結が行われた状態では、トランスファ装置は直結4WD状態となる。そして、例えば、この状態で油圧多板クラッチ88に油圧が供給されると、上記実施例1の場合と同様に、クラッチギヤ74bとクラッチギヤ80との間で作用する反力が減少させられ、クラッチギヤ74b,80間の連結が解除される際には、カップリングスリーブ82cが異音なくスムースに移動することになる。故に、トランスファ装置は良好にフルタイム4WD状態とされる。
【0203】
なお、上記実施例4ではカップリングスリーブ82cとカップリングスリーブ82dとを別体としたが、これらを実施例1の場合と同様に一つのカップリングスリーブで構成することも可能である。
また、上記実施例3及び実施例4においても、実施例1の場合と同様に、クラッチギヤ80とクラッチギヤ74aまたは74bとの間の連結解除時に、油圧多板クラッチ88に油圧を供給し、その後徐々に油圧を解放するようにしてもよい。この場合においても、上記同様に、切換えに伴う切換ショックを好適に抑制することができる。
【0204】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、請求項1の前後輪駆動車によれば、連結切換手段による連結手段の解除が完了するまでの間、クラッチ手段の係合によって第1伝達部材と第2伝達部材との間で互いに作用する反力が減少されることになり、連結切換手段による連結手段の解除操作、即ち前後輪駆動状態から2輪駆動状態への切換えを異音等なくスムースに実現することができる。
【0205】
また、請求項2の前後輪駆動車によれば、連結切換手段による第1連結手段の解除が完了するまでの間、クラッチ手段の係合によって第2出力要素と第3伝達部材との間で互いに作用する反力が減少されることになり、連結切換手段による第2連結手段の解除操作、即ち前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態または直結4WD状態)から2輪駆動状態(2WD状態)への切換えを異音等なくスムースに実現することができる。
【0206】
また、請求項3の前後輪駆動車によれば、連結切換手段により第2連結手段の解除が実施されている間、クラッチ手段の係合によって第2連結手段が連結する要素間で互いに作用する反力が減少されることになり、連結切換手段による第2連結手段の解除操作、即ち直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えを異音等なくスムースに実現することができる。
【0207】
また、請求項4の前後輪駆動車によれば、連結切換手段により第4連結手段の解除が実施されている間、クラッチ手段の係合によって第4連結手段が連結する要素間で互いに作用する反力が減少されることになり、連結切換手段による第4連結手段の解除操作、即ち直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えを異音等なくスムースに実現することができる。
【0208】
また、請求項5の前後輪駆動車によれば、連結切換手段により第6連結手段の連結解除が完了した直後においてクラッチ手段の係合によって差動装置がロック状態に暫時好適に保持されることになり、連結切換手段による第6連結手段の解除操作、即ち直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えをより一層異音等なくスムースに実現することができる。
【0209】
また、請求項6の前後輪駆動車によれば、連結切換手段による解除操作、即ち前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態)から2輪駆動状態(2WD状態)への切換え、直結前後輪駆動状態(直結4WD状態、ロック状態)から通常の前後輪駆動状態(フルタイム4WD状態、アンロック状態)への切換えをより一層スムースに実現できるとともに、車両の走行性能を好適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の4輪駆動車(前後輪駆動車)の駆動系を示す概略構成図である。
【図2】4輪駆動車(前後輪駆動車)の制御系を示す制御ブロック図である。
【図3】図1に示す実施例1のトランスファ装置の断面図である。
【図4】駆動切換制御のメインルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図5】図4のフローチャートに続く、駆動切換制御のメインルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図6】図5のフローチャートに続く、駆動切換制御のメインルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図7】図5中の2WD解除条件ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図8】図7のフローチャートに続く、2WD解除条件ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図9】図5中の2WD突入条件ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図10】図9のフローチャートに続く、2WD突入条件ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図11】図5中の直結4WD突入条件ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図5中の直結4WD解除条件ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】図6中の#1モータ制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図14】図13のフローチャートに続く、#1モータ制御ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図15】図14のフローチャートに続く、#1モータ制御ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図16】図13中の2WD突入処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】図13中の直結4WD解除処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図18】図14中の2WD解除処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図19】2WD解除処理におけるペラ回転差の絶対値|ΔVc|とクラッチ油圧制御量taとの関係を示すグラフである。
【図20】図15中の直結4WD突入処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図21】直結4WD突入処理におけるペラ回転差の絶対値|ΔVc|とクラッチ油圧制御量taとの関係を示すグラフである。
【図22】モータ逆転処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図23】モータ作動処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図24】HAB制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図25】HAB制御における回転速度差ΔNFとクラッチ油圧制御量taとの関係を示すグラフである。
【図26】図6中の#2モータ制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図27】図26のフローチャートに続く、#2モータ制御ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図28】図27のフローチャートに続く、#2モータ制御ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図29】図28のフローチャートに続く、#2モータ制御ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図30】Hi−Low切換処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図31】Ftf10(またはFtf30)と車速Vとの関係を示すグラフである。
【図32】2WD状態を示す図である。
【図33】ハイ直結4WD状態を示す図である。
【図34】ロー直結4WD状態を示す図である。
【図35】実施例2のトランスファ装置を示す概略構成図である。
【図36】実施例3のトランスファ装置を示す概略構成図である。
【図37】実施例4のトランスファ装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
6 トランスファ装置
8 入力軸
10 後輪側出力軸
14 後輪デファレンシャル装置
16 フロントプロペラシャフト
18 前輪デファレンシャル装置
19 フリーホイールハブ機構
20 クラッチギヤ
22 クラッチギヤ
24 カップリングスリーブ
28 バキュームアクチュエータ
36 中間軸(第1伝達部材)
38 副変速機構
40 クラッチギヤ
42 クラッチギヤ
44 クラッチギヤ
56 カップリングスリーブ
60 シフトアクチュエータ(連結切換手段)
62 センタデフ(差動装置)
64 デフケース(第1出力要素)
70 キャリア(入力要素)
72 インナスリーブ軸(第2出力要素)
72b スリーブ軸(第2出力要素)
74 クラッチギヤ
76 アウタスリーブ軸(第3伝達部材)
76a スリーブ軸(第2伝達部材)
76b スリーブ軸(第4伝達部材)
78 クラッチギヤ
80 クラッチギヤ
82 カップリングスリーブ(第1連結手段及び第2連結手段)
82a カップリンクスリーブ(連結手段)
82b カップリングスリーブ
82c カップリングスリーブ(第4連結手段)
82d カップリングスリーブ(第3連結手段)
85,85a,85b,85c 出力スプロケット
88 油圧多板クラッチ(クラッチ手段)
90 バルブボディ
94 電子コントロールユニット(ECU)
96 前後Gセンサ
98 スロットル開度センサ
100 ハンドル角センサ
102 回転速度センサ
106 回転速度センサ
108 インヒビタスイッチ
112 ブレーキスイッチ
114 トランスファポジションスイッチ
115 駆動モード切換スイッチ
202 モータユニット
204 電動モータ

Claims (6)

  1. エンジンからの駆動力が常時伝達されるとともに前輪または後輪の一方である第1車輪に前記駆動力を伝達する第1伝達部材と、
    前記第1伝達部材に連結手段を介して連結可能に設けられ、該連結手段の連結により前輪または後輪の他方である第2車輪に前記駆動力を伝達する第2伝達部材と、
    前記連結手段と並列に設けられ、係合により前記第1伝達部材と前記第2伝達部材とを連結可能なクラッチ手段と、
    運転者の操作或いは車両の走行状態に応じ、車両の駆動状態を前記第1車輪による2輪駆動状態と前記第1及び第2車輪による前後輪駆動状態とに切換えるべく切換信号を出力する駆動切換指令手段と、
    前記駆動切換指令手段からの切換信号に基づき前記連結手段を連結状態と非連結状態とに切換える連結切換手段と、
    前記駆動切換指令手段により前記2輪駆動状態への切換信号が出力されると、前記連結切換手段により前記連結手段の前記第1伝達部材と前記第2伝達部材との連結が実質的に解除されるまで前記クラッチ手段を係合制御するクラッチ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする前後輪駆動車。
  2. エンジンからの駆動力が入力される入力要素と前記駆動力を前輪または後輪の一方である第1車輪に向け出力する第1出力要素と前輪または後輪の他方である第2車輪に向け出力する第2出力要素とを有する差動装置と、
    前記第2出力要素に第1連結手段を介して連結可能に設けられ、該第1連結手段の連結により前記第2車輪に駆動力を伝達する第3伝達部材と、
    前記入力要素及び前記第1及び第2出力要素のいずれか2つを連結可能な第2連結手段と、
    係合により前記第3伝達部材と前記入力要素または前記第1出力要素とを連結可能なクラッチ手段と、
    運転者の操作或いは車両の走行状態に応じ、車両の駆動状態を前記第1車輪による2輪駆動状態と前記第1及び第2車輪による前後輪駆動状態とに切換えるべく切換信号を出力する駆動切換指令手段と、
    前記駆動切換指令手段からの切換信号に基づき前記第1連結手段及び前記第2連結手段を連結状態と非連結状態とに切換える連結切換手段と、
    前記駆動切換指令手段により前記2輪駆動状態への切換信号が出力されると、前記連結切換手段による前記第2連結手段の連結が実質的に完了し前記第1連結手段の連結が実質的に解除されるまで前記クラッチ手段を係合制御するクラッチ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする前後輪駆動車。
  3. 前記駆動切換指令手段は、運転者の操作或いは車両の走行状態に応じ、前記第2連結手段を連結状態または非連結状態として前記差動装置をロック状態とアンロック状態とに切換えるべく切換信号を出力する手段を含み、
    前記クラッチ制御手段は、前記第1連結手段及び前記第2連結手段が連結状態にあるとき、前記駆動切換指令手段により前記ロック状態から前記アンロック状態への切換信号が出力されると、前記第2連結手段が非連結状態に切換えられるまで前記クラッチ手段を係合制御することを特徴とする、請求項2記載の前後輪駆動車。
  4. エンジンからの駆動力が入力される入力要素と前記駆動力を前輪または後輪の一方である第1車輪に向け出力する第1出力要素と前輪または後輪の他方である第2車輪に向け出力する第2出力要素とを有する差動装置と、
    前記第2出力要素に第3連結手段を介して連結可能に設けられ、該第3連結手段の連結により前記第2車輪に駆動力を伝達する第4伝達部材と、
    前記入力要素及び前記第1及び第2出力要素のいずれか2つを連結可能な第4連結手段と、
    係合により前記入力要素及び前記第1及び第2出力要素のいずれか2つを連結可能なクラッチ手段と、
    運転者の操作或いは車両の走行状態に応じ、前記第4連結手段を連結状態または非連結状態として前記差動装置をロック状態とアンロック状態とに切換えるべく切換信号を出力する駆動切換指令手段と、
    前記駆動切換指令手段からの切換信号に基づき前記第3連結手段及び前記第4連結手段を連結状態と非連結状態とに切換える連結切換手段と、
    前記第3連結手段及び前記第4連結手段が連結状態にあるとき、前記駆動切換指令手段により前記ロック状態から前記アンロック状態への切換信号が出力されると、前記第4連結手段が非連結状態に切換えられるまで前記クラッチ手段を係合制御するクラッチ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする前後輪駆動車。
  5. エンジンからの駆動力が入力される入力要素と前記駆動力を前輪または後輪の一方である第1車輪に向け出力する第1出力要素と前輪または後輪の他方である第2車輪に向け出力する第2出力要素とを有する差動装置と、
    前記第2出力要素に第5連結手段を介して連結可能に設けられ、該第5連結手段の連結により前記第2車輪に駆動力を伝達する第5伝達部材と、
    前記入力要素及び前記第1及び第2出力要素のいずれか2つを連結可能な第6連結手段と、
    係合により前記入力要素及び前記第1及び第2出力要素のいずれか2つを、或いは前記第5伝達部材と前記入力要素または前記第1出力要素とを連結可能なクラッチ手段と、
    運転者の操作或いは車両の走行状態に応じ、前記第6連結手段を連結状態または非連結状態として前記差動装置をロック状態とアンロック状態とに切換えるべく切換信号を出力する駆動切換指令手段と、
    前記駆動切換指令手段からの切換信号に基づき前記第6連結手段を連結状態と非連結状態とに切換える連結切換手段と、
    前記駆動切換指令手段により前記ロック状態から前記アンロック状態への切換信号が出力され、前記連結切換手段により前記第6連結手段の連結が解除されると、前記クラッチ手段を係合制御し、その後係合制御を解除するクラッチ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする前後輪駆動車。
  6. 前記クラッチ制御手段は、係合を徐々に解放することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の前後輪駆動車。
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