JP3582546B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体圧縮機に係り、特に空気調和システムなどに用いられるベーンロータリ型の気体圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ベーンロータリ型の気体圧縮機としては、図8に示すものが知られている。
この気体圧縮機は、図8に示すように、圧縮機本体10と、これを包囲するケーシング11と、フロントヘッド12を備えている。ケーシング11は、一端側が開口しており、この開口部を封止するようにフロントヘッド12が取り付けられている。
【0003】
圧縮機本体10は、軸方向の断面が楕円形状の内周面を有する筒状のシリンダブロック13と、その両端面に互いに平行に固着されたフロントサイドブロック14およびリアサイドブロック15とにより構成され、これらによって楕円筒状のシリンダ室16が形成されている。
【0004】
そのシリンダ室16の内部には、スリット18に摺動自在に保持された5枚のベーン20を有するロータ17が収容されている。このロータ17の左右に一体のロータ軸17a、17bは、これらよりも若干径が大きくフロントサイドブロック14、リアサイドブロック15に形成された軸支承孔14b、15aに、それぞれ回転自在に支持されている。ロータ軸17aの端部は、図示しない原動機に接続されており、ロータ17が回転駆動されることで、5枚のベーン20が遠心力及びベーン背圧によりシリンダ室16の内周壁に密着しながら回転して冷媒ガスを圧縮するように構成されている。
【0005】
フロントヘッド12には吸入室19が形成され、この吸入室19には、図示しないエバポレータから圧縮すべき冷媒ガスを吸引する吸気口21が形成されている。シリンダブロック13とフロントサイドブロック14には、吸入室19とシリンダ室16とを連通させるために、吸気ポート13a、気体導入路13b、および孔14aが形成されている。吸気口21に吸引された冷媒ガスは、矢印23で示すように、孔14a、気体導入路13b、および吸気ポート13aを経由してシリンダ室16へと導入されるようになっている。
【0006】
シリンダブロック13には、図示しない吐出ポートおよび気体排出路が形成されており、リアサイドブロック15には、この気体排出路と連通する孔15bが点線で示すように形成されている。リアサイドブロック15には、円筒状のフィルタ27と遠心力によって潤滑油を分離するためのサイクロンブロック26が取り付けられている。
【0007】
圧縮機本体10とケーシング11との間には、高圧室30が形成されており、シリンダ室16内で圧縮された冷媒ガスは、矢印28に示すように孔15bおよび導通孔26aを経由して、この高圧室30に導入される。高圧室30の上部のケーシング11には、吐出口31が形成され、高圧室30内の冷媒ガスは、矢印29で示すように、この吐出口31を経由して外部へと吐出され、図示しないコンデンサに供給されるようになっている。
【0008】
高圧室30の底部には、圧縮機本体10の各摺動部を潤滑させるための潤滑油を貯留する油溜り32が形成されている。リアサイドブロック15の下端部分と軸支承孔15aとの間には、軸支承孔15aを介して高圧室30の油溜り32とシリンダ室16とを連通させる潤滑油供給路33が形成されている。この潤滑油供給路33の上流側は分岐路33aを設けて分岐させ、この分岐路33aを、シリンダブロック13に形成された潤滑油供給路34と、フロントサイドブロック14に形成された潤滑油供給路35を介して軸支承孔14bと連通させている。
【0009】
このような構成からなる従来の気体圧縮機では、図示しない原動機によってロータ17が回転駆動されると、矢印23で示すように冷媒ガスが吸入口21からシリンダ室16へと吸い込まれ、ベーン20によって圧縮されて、矢印28で示すように孔15bおよび導入孔26aを経由して高圧室30へと吐出される。高圧室30内の冷媒ガスは、矢印29で示すように吐出口31を通って外部へ流れる。
【0010】
このような気体圧縮機の運転中には、高圧室30と各軸支承孔14b、15aとの間に圧力差が生じている。そのため、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、潤滑油供給路33を経由して軸支承孔15aへと流れるとともに、潤滑油供給路34、潤滑油供給路35を経由して軸支承孔14bへと流れる。各軸支承孔14b、15aに供給された潤滑油は、この摺動部分を潤滑しながら、軸支承孔14b、15aとロータ軸17a、17bとの間の隙間を通ってシリンダ室16へと流れ込む。そして、圧縮された冷媒ガスとともに、矢印28で示すように高圧室30へと吐出される。この時、ミスト状となって冷媒ガス中に混合されている潤滑油は、サイクロンブロック26において遠心分離作用およびフィルタ27との衝突作用を受けることにより冷媒ガスから分離される。従って、吐出口31からは冷媒ガスのみが吐出される。
【0011】
以上述べたように、従来の気体圧縮機では、ロータのロータ軸を支持する軸受等の回転摺動部分に潤滑油を供給するために、気体圧縮機内に潤滑油の通路を設け、その回転摺動部分に潤滑油が供給されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の気体圧縮機では、回転摺動部分への潤滑油の供給は、ロータの軸受部、ロータの外周面部、およびロータに形成されるベーンのスリットが主であり、シリンダ室内壁との間で摺動してその摺動条件の厳しいベーンの先端部にまでは潤滑油を積極的に供給することが考慮されていなかった。このため、ベーン先端部の潤滑は、主に循環冷媒ガス中に含まれている潤滑油と、潤滑油の通路等から漏れたものにより行われている。
【0013】
一方、近年、気体圧縮機が使用される空気調和システムでは、システムの効率を向上させる要求により、循環冷媒ガス中の潤滑油の総量を減少させる傾向にある。
従って、従来の気体圧縮機では、循環冷媒ガス中の潤滑油の総量を減少させて高性能、高効率が要求される空気調和システムなどに使用する場合に、ベーン先端部とシリンダ室内壁との摺動部の潤滑状態が低下し、ベーン先端部が摩耗し易くなるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、空気調和システムなどに使用する場合に、そのシステムの性能や効率を悪化させることなく、ベーン先端部の摩耗の防止を図ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項記載の発明では、スリットに摺動自在に保持されたベーンを有するロータと、このロータを回転自在に収容するシリンダ室と、このシリンダ室の吸入側に接続させて前記シリンダ室で圧縮すべき気体を導入する気体導入部と、前記シリンダ室の吐出側に接続させて前記シリンダ室内で圧縮済みの気体中から潤滑油を分離させて気体を排出させる気体排出部とを備え、この気体排出部の油溜りの潤滑油を、前記ロータの軸受部を経由させて前記シリンダ室内に供給させるようにした気体圧縮機であって、前記気体排出部の油溜りと前記ベーンの先端が摺動する前記シリンダ室の内壁面とを接続する潤滑油供給路を気体圧縮機内に設けたことで前記目的を達成する。
【0016】
請求項記載の発明では、スリットに摺動自在に保持されたベーンを有するロータと、このロータを回転自在に収容するシリンダ室と、このシリンダ室の吸入側に接続させて前記シリンダ室で圧縮すべき気体を導入する気体導入部と、前記シリンダ室の吐出側に接続させて前記シリンダ室内で圧縮済みの気体中から潤滑油を分離させて気体を排出させる気体排出部とを備え、この気体排出部の油溜りの潤滑油を、前記ロータの軸受部を経由させて前記シリンダ室内及び前記スリット内に供給させるようにした気体圧縮機であって、前記ベーンは、前記ロータの中心側端部から前記シリンダと摺動する先端部まで前記ベーン内に穿設された潤滑油供給路を備えることで前記目的を達成する。
【0019】
【作用】
請求項記載の発明では、運転中に、気体排出部とシリンダ室との間で気体排出部側が高圧となる圧力差が生ずるので、気体排出部の油溜りの潤滑油が、潤滑油供給路を経由してシリンダ室の内壁面とベーン先端の摺動面に直接供給される。そのため、ベーン先端部とシリンダ室内壁との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン先端部の摩耗が防止される。
【0020】
請求項記載の発明では、運転中に、気体排出部の油溜りの潤滑油がロータのスリット内に供給され、この潤滑油がベーン内に穿設された潤滑油供給路を経由してベーンの先端部に供給される。そのため、ベーン先端部とシリンダ室内壁との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン先端部の摩耗が防止される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図7を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の気体圧縮機の断面を表したものである。この気体圧縮機は、図1に示すように、フロントサイドブロック14内に形成される潤滑油供給路35の途中を分岐させて潤滑油供給路36を形成させ、この潤滑油供給路36の終端を吸入室19に接続させ、高圧室30の油溜り32の潤滑油を、潤滑油供給路33、分岐路33a、潤滑油供給路34、潤滑油供給路35、潤滑油供給路36、吸入室19、および気体導入路13bを経由させてシリンダ室16へと供給させるようにしたものである。なお、第1実施例の他の部分の構成は、図8に示す従来の気体圧縮機の構成と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
次に、このように構成する第1の実施の形態の動作について説明する。
いま、図示しない原動機によってロータ17が回転駆動されると、矢印23で示すように冷媒ガスが吸入口21からシリンダ室16へと吸い込まれ、ベーン20によって圧縮されて、矢印28で示すように孔15bおよび導入孔26aを経由して高圧室30へと吐出される。高圧室30内の冷媒ガスは、矢印29で示すように吐出口31を通って外部へ流れる。
【0025】
このような気体圧縮機の運転中には、高圧室30と各軸支承孔14b、15aとの間に圧力差が生じている。そのため、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、潤滑油供給路33を経由して軸支承孔15aへと流れるとともに、潤滑油供給路34、潤滑油供給路35を経由して軸支承孔14bへと流れる。各軸支承孔14b、15aに供給された潤滑油は、この摺動部分を潤滑しながら、軸支承孔14b、15aとロータ軸17a、17bとの間の隙間を通ってシリンダ室16へと流れ込む。そして、圧縮された冷媒ガスとともに、矢印28で示すように高圧室30へと吐出される。この時、ミスト状となって冷媒ガス中に混合されている潤滑油は、サイクロンブロック26において遠心分離作用およびフィルタ27との衝突作用を受けることにより冷媒ガスから分離される。従って、吐出口31からは冷媒ガスのみが吐出される。
【0026】
また、気体圧縮機の運転中には、高圧室30とシリンダ室16との間にも高圧室30側が高圧である圧力差が生じている。従って、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、潤滑油供給路33、分岐路33a、潤滑油供給路34、潤滑油供給路35、および潤滑油供給路36を経由して吸入室19に流れ込んだのち、この吸入室19の冷媒ガスとともに気体導入路13bを経由してシリンダ室16へと流れ込む。このようにしてシリンダ室16内に流れ込んだ潤滑油は、シリンダ室16の内壁面を流れていき、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端部との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0027】
以上説明したように第1の実施の形態によれば、高圧室30の油溜り32の潤滑油を、気体圧縮機内の圧力差を利用することにより、潤滑油供給路33、分岐路33a、潤滑油供給路34、潤滑油供給路35、潤滑油供給路36、吸入室19、および気体導入路13bを経由してシリンダ室16へと流れ込むようにさせたので、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑される。従って、第1の実施の形態では、空気調和システムなどに使用する場合に、潤滑油が熱交換器まで回ることなく、しかもそのシステムの性能や効率を低下させることなく、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0028】
なお、第1の実施の形態では、高圧室30の油溜り32と吸入室19とを連通させるために、潤滑油供給路35の途中を分岐させた潤滑油供給路36により実現したが、これに代えて、例えば高圧室30の油溜り32と吸入室19とを連通する専用の潤滑油供給路を設けるようにしても良い。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態の気体圧縮機について説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態の気体圧縮機の断面を表したものである。この気体圧縮機は、第1の実施の形態の気体圧縮機で説明した潤滑油供給路36に代えて、図2に示すように、潤滑油供給路34とシリンダ室16との間に潤滑油供給路37を形成させ、高圧室30の油溜り32の潤滑油を、潤滑油供給路33、分岐路33a、潤滑油供給路34、および潤滑油供給路37を経由させてシリンダ室16に直接供給させるようにしたものである。なお、第2の実施の形態の他の部分の構成は、第1の実施の形態の構成と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
次に、このように構成される第2の実施の形態の動作について説明する。
いま、図示しない原動機によってロータ17が回転駆動されると、矢印23で示すように冷媒ガスが吸入口21からシリンダ室16へと吸い込まれ、ベーン20によって圧縮されて、矢印28で示すように孔15bおよび導入孔26aを経由して高圧室30へと吐出される。高圧室30内の冷媒ガスは、矢印29で示すように吐出口31を通って外部へ流れる。
【0031】
このような気体圧縮機の運転中には、高圧室30と各軸支承孔14b、15aとの間に圧力差が生じている。そのため、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、第1の実施の形態と同様の経路により摺動部分を潤滑したのち、シリンダ室16等を経由して高圧室30内に戻される。
【0032】
また、高圧室30とシリンダ室16との間にも圧力差が生じている。従って、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、潤滑油供給路33、分岐路33a、潤滑油供給路34、および潤滑油供給路37を経由してシリンダ室16へと流れ込む。このようにシリンダ室16内に流れ込んだ潤滑油は、シリンダ室16の内壁面を流れていき、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端部との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0033】
以上説明したように第2の実施の形態によれば、高圧室30の油溜り32の潤滑油を、気体圧縮機内の圧力差を利用することにより、潤滑油供給路33、分岐路33a、潤滑油供給路34、および潤滑油供給路37を経由してシリンダ室16へと流れ込むようにさせたので、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端部との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑される。従って、第2の実施の形態では、空気調和システムなどに使用する場合に、潤滑油が熱交換器まで回ることなく、しかもそのシステムの性能や効率を低下させることなく、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0034】
なお、第2の実施の形態では、高圧室30の油溜り32を、潤滑油供給路37を経由させてシリンダ室16に連通するようにしたが、これに代えて、潤滑油供給路37の排出口を気体導入路13bに接続させ、この気体導入路13bを介してシリンダ室16の吸気ポート13aに連通するようにしても良い。
【0035】
次に、本発明の第3の実施の形態の気体圧縮機について説明する。
図3は、本発明の第3の実施の形態の気体圧縮機の断面を表したものである。図4は、同気体圧縮機のベーンの構成を表したものである。
この第3の実施の形態の気体圧縮機は、第1の実施の形態の気体圧縮機のベーン20に代えて図4に示すような構造のベーン20Aを採用し、これにより第1の実施の形態の気体圧縮機の潤滑油供給路36を省略したものである。なお、この第3の実施の形態は、ベーン20Aを図4に示す構成にした点と、潤滑油供給路36を省略した点とを除き、他の部分の構成は第1の実施の形態の構成と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
ベーン20Aは、図4に示すように、平板状のベーン本体201からなり、このベーン本体201の中央内部であってその長さ方向に、潤滑油供給孔202を穿設させている。そして、このベーン20Aは、基部203側からロータ17のスリット18内に摺動自在に収容させ、ロータ17の回転時には遠心力およびベーン背圧により、矢印205で示すように、ベーン20Aの基部203側から先端部204に向けて潤滑油供給孔202内を潤滑油が流れるように構成される。
【0037】
次に、このように構成する第3の実施の形態の動作について説明する。
いま、図示しない原動機によってロータ17が回転駆動されると、矢印23で示すように冷媒ガスが吸入口21からシリンダ室16へと吸い込まれ、ベーン20によって圧縮されて、矢印28で示すように孔15bおよび導入孔26aを経由して高圧室30へと吐出される。高圧室30内の冷媒ガスは、矢印29で示すように吐出口31を通って外部へ流れる。
【0038】
このような気体圧縮機の運転中には、高圧室30と各軸支承孔14b、15a(シリンダ室16)との間に圧力差が生じている。そのため、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、潤滑油供給路33を経由して軸支承孔15aへと流れるとともに、潤滑油供給路34、潤滑油供給路35を経由して軸支承孔14bへと流れる。各軸支承孔14b、15aに供給された潤滑油は、この摺動部分を潤滑しながら、軸支承孔14b、15aとロータ軸17a、17bとの間の隙間を通ってシリンダ室16内へと流れ込んだのち、ロータ17の表面およびスリット18内に流れ込む。
【0039】
スリット18内に流れ込んだ潤滑油は、ロータ17の回転による遠心力及びベーン背圧により、ベーン20Aの潤滑油供給孔202を通ってベーン20Aの先端部204に供給される。このようにベーン20Aの先端部204に供給された潤滑油は、その先端部204と摺動状態にあるシリンダ室16の内壁面にも流れていき、シリンダ室16の内壁面とベーン20Aの先端部204との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン20Aの先端部204の摩耗を防止できる。
【0040】
そして、その潤滑に使用された使用済みの潤滑油は圧縮された冷媒ガスとともに、矢印28で示すように高圧室30へと吐出される。この時、ミスト状となって冷媒ガス中に混合されている潤滑油は、サイクロンブロック26において遠心分離作用およびフィルタ27との衝突作用を受けることにより冷媒ガスから分離される。従って、吐出口31からは冷媒ガスのみが吐出される。
【0041】
以上説明したように第3の実施の形態によれば、高圧室30の油溜り32の潤滑油を、気体圧縮機内の圧力差を利用することにより、潤滑油供給路33等を経由させたのち、ロータ軸17a、17b、ロータ17の表面、ロータ17のスリット18、およびベーン20Aの潤滑油供給孔202を経由させてベーン20Aの先端部204に供給させるようにしたので、シリンダ室16の内壁面とベーン20Aの先端部との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑される。従って、第3の実施の形態では、空気調和システムなどに使用する場合に、潤滑油が熱交換器まで回ることなく、しかもそのシステムの性能や効率を低下させることなく、ベーン20Aの先端部の摩耗を防止できる。
【0042】
次に、第3の実施の形態にかかるベーン20Aの変形例について、図5を参照して説明する。
図5は、ベーン20Aの変形例を表したものである。
図5(A)に示すベーン20Bは、図4で示したベーン20Aの潤滑油供給孔202を、3個というように複数個にしたものである。図5(B)に示すベーン20Cは、図4で示したベーン20Aの潤滑油供給孔202に代えて、ベーン本体201の表面中央に長さ方向に溝状の潤滑油供給孔206を形成したものである。図5(C)に示すベーン20Dは、図5(B)に示すベーン20Cの潤滑油供給溝206を、3個というように複数個にしたものである。図5(D)に示すベーン20Eは、ベーン本体201の左右の両側面に長さ方向に潤滑油供給溝207をそれぞれ形成したものである。
【0043】
図5(E)に示すベーン20Fは、図5(B)に示したベーン20Cの潤滑油供給溝206と同様の潤滑油供給溝208をベーン本体201の基部203側にのみ形成したものである。このようにベーン20Fを構成すると、気体の圧縮の途中から終了にかけての期間は、ベーン20Fがスリット18内に収容されていき、潤滑油供給溝208がスリット18内に存在する状態になる。そのため、潤滑油供給溝208はベーン20Aの先端部204に潤滑油を供給できないので、その期間には潤滑油が圧縮されずに済むという利点がある。
【0044】
次に、本発明の第4の実施の形態の気体圧縮機について説明する。
図6は、第4の実施の形態の気体圧縮機の要部を表したものである。
この第4の実施の形態の気体圧縮機は、第3の実施の形態の気体圧縮機のベーン20Aに設けた潤滑油供給孔202の機能をロータ17のスリット18の側に持たせるようにさせるとともに、このスリット18には、第3の実施の形態の気体圧縮機のベーン20Aに代えて、第1の実施の形態の気体圧縮機と同様のベーン20を摺動自在に収容するようにしたものである。なお、この第4の実施の形態は、上記の構成を除いて、他の部分の構成は3の実施の形態の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0045】
第4の実施の形態は、図6に示すように、スリット18を形成する内壁面の中央に、スリット18の底部側からその開口部に向けて潤滑油を供給する潤滑油供給溝181を形成させたものである。そして、このスリット18内に、ベーン20が摺動自在に収容されている。
【0046】
このような構成の第4の実施の形態では、第3の実施の形態と同様にしてスリット18に潤滑油が供給されると、スリット18内に流れ込んだ潤滑油は、ロータ17の回転に伴う遠心力及びベーン背圧により、潤滑油供給溝181を経由してベーン20の表面に流れ出て、ベーン20の先端部にまで供給される。このようにしてベーン20の先端部に供給された潤滑油は、その先端部と摺動状態にあるシリンダ室16の内壁面にも流れていき、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端部との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0047】
次に、第4の実施の形態の変形例について、図7を参照して説明する。
図7は、第4の実施の形態の変形例を表したものである。
図7(A)に示す変形例は、図6に示す潤滑油供給溝181に代えて、潤滑油供給孔182をスリット18の底部側からロータ17の表面側に向けて、ロータ17の内部に傾斜状に穿設させたものである。このような構成によれば、ロータ17の回転による遠心力及びベーン背圧により、スリット18内の潤滑油がその潤滑油供給孔182を経由し、ロータ17の表面に流れ出たのちベーン20の表面を経由してベーン20の先端部にまで供給される。
【0048】
図7(B)に示す変形例は、図6に示す潤滑油供給溝181と同様の潤滑油供給溝183を、スリット18の開口部側に偏在させたものである。このような構成によれば、ロータ17の回転による遠心力及びベーン背圧により、ベーン20がスリット18内から飛び出して潤滑油供給溝183の閉塞が解かれた時に、スリット18内の潤滑油がその潤滑油供給溝183を経由し、ベーン20の表面に流れ出てベーン20の先端部にまで供給される。
【0049】
図7(C)に示す変形例は、図7(A)に示す潤滑油供給孔182と同様の潤滑油供給孔184をスリット18の内壁面の途中からロータ17の表面側に向けて、ロータ17の内部に傾斜状に穿設させたものである。このような構成によれば、ロータ17の回転による遠心力及びベーン背圧により、ベーン20がスリット18内から飛び出して潤滑油供給孔184の入口の閉塞が解かれた時に、スリット18内の潤滑油がその潤滑油供給孔184を経由し、ロータ17の表面に流れ出たのちベーン20の表面を経由してベーン20の先端部にまで供給される。
【0050】
次に、本発明の第5の実施の形態の気体圧縮機について説明する。
図9は、本発明の第5の実施の形態の気体圧縮機を表したものである。
この気体圧縮機は、図9に示すように、高圧室30の油溜り32の潤滑油をシリンダ室16に戻す潤滑油の供給路を気体圧縮機の外部に設けたものである。すなわち、この気体圧縮機は、高圧室30の油溜り32に潤滑油供給路としてのオイル戻し管51の始端を接続させ、このオイル戻し管51の終端を、吸入室19の吸気口21に接続する冷媒供給用のサクション管52の途中に接続させ、オイル戻し管51の途中にキャピラリ、バルブなどからなるオイル量制御回路53を設けたものである。なお、第5の実施の形態の他の部分の構成は、図8の従来例と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0051】
このように構成する第5の実施の形態では、その運転中には、高圧室30とシリンダ室16との間に高圧室30側が高圧である圧力差が生じている。従って、高圧室30の油溜り32の潤滑油は、オイル戻し管51を経由してサクション管52に流れ込み、ここで冷媒ガスとともにサクション管52を経由して吸入室19に流れ込んだのち、気体導入路13bを経由してシリンダ室16へと流れ込む(図8参照)。このようにしてシリンダ室16内に流れ込んだ潤滑油は、シリンダ室16の内壁面を流れていき、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端部との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑されるので、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0052】
以上説明したように第5の実施の形態によれば、高圧室30の油溜り32の潤滑油を、気体圧縮機内の圧力差を利用し、気体圧縮機の外部に接続させたオイル戻し管51等によりシリンダ室16へと流れ込むようにさせたので、シリンダ室16の内壁面とベーン20の先端との摺動部に潤滑油が十分に行き渡ってその摺動部が十分に潤滑される。従って、第5の実施の形態では、空気調和システムなどに使用する場合に、潤滑油が熱交換器まで回ることなく、しかもそのシステムの性能や効率を低下させることなく、ベーン20の先端部の摩耗を防止できる。
【0053】
次に、本発明の第6の実施の形態の気体圧縮機について、図10を参照して説明する。
この第6の実施の形態は、第5の実施の形態のようにオイル戻し管51の終端をサンクション管52の途中に接続させずに、オイル戻し管51の終端を気体圧縮機の吸入室19に直接接続させたものである。なお、第6の実施の形態の他の部分の構成は、第5の実施の形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。このように構成する第6の実施の形態によれば、上述の第5の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の気体圧縮機によれば、気体排出部の油溜りの潤滑油を、気体圧縮機内を経由させてベーンの先端部にまで積極的に供給させるようにしたので、ベーン先端部とシリンダ室内壁との摺動部に潤滑油が十分に行き渡り、その摺動部は十分な潤滑状態が得られる。従って、本発明は、空気調和システムなどに使用する場合に、そのシステムの性能や効率を低下させることなく、ベーンの先端部の摩耗を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である気体圧縮機の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である気体圧縮機の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態である気体圧縮機の断面図である。
【図4】同気体圧縮機のベーンの構成を示す斜視図である。
【図5】同気体圧縮機のベーンの他の構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態である気体圧縮機の要部であるロータのスリットの部分を示す斜視図である。
【図7】同気体圧縮機のロータのスリットの部分の他の構成例を示す斜視図である。
【図8】従来の気体圧縮機の断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態である気体圧縮機の全体構成を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態である気体圧縮機の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
10 圧縮機本体
11 ケーシング
12 フロントヘッド
13 シリンダブロック
14 フロントサイドブロック
14b、15a 軸支承孔
15 リアサイドブロック
16 シリンダ室
17 ロータ
17a、17b ロータ軸
18 スリット
19 吸入室
20、20A ベーン
26 サイクロンブロック
27 フィルタ
30 高圧室
31 吐出口
32 油溜り
33、34、35、36、37 潤滑油供給路
33a 分岐路
51 オイル戻し管
52 サクション管
181 潤滑油供給孔
201 ベーン本体
202 潤滑油供給孔
203 基部
204 先端部

Claims (2)

  1. スリットに摺動自在に保持されたベーンを有するロータと、
    このロータを回転自在に収容するシリンダ室と、
    このシリンダ室の吸入側に接続させて前記シリンダ室で圧縮すべき気体を導入する気体導入部と、
    前記シリンダ室の吐出側に接続させて前記シリンダ室内で圧縮済みの気体中から潤滑油を分離させて気体を排出させる気体排出部とを備え、
    この気体排出部の油溜りの潤滑油を、前記ロータの軸受部を経由させて前記シリンダ室内に供給させるようにした気体圧縮機であって、
    前記気体排出部の油溜りと前記ベーンの先端が摺動する前記シリンダ室の内壁面とを接続する潤滑油供給路を気体圧縮機内に設けたことを特徴とする気体圧縮機。
  2. スリットに摺動自在に保持されたベーンを有するロータと、
    このロータを回転自在に収容するシリンダ室と、
    このシリンダ室の吸入側に接続させて前記シリンダ室で圧縮すべき気体を導入する気体導入部と、
    前記シリンダ室の吐出側に接続させて前記シリンダ室内で圧縮済みの気体中から潤滑油を分離させて気体を排出させる気体排出部とを備え、
    この気体排出部の油溜りの潤滑油を、前記ロータの軸受部を経由させて前記シリンダ室内及び前記スリット内に供給させるようにした気体圧縮機であって、
    前記ベーンは、前記ロータの中心側端部から前記シリンダと摺動する先端部まで前記ベーン内に穿設された潤滑油供給路を備えることを特徴とする気体圧縮機。
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