JP3582139B2 - データ復調装置およびデータ伝送方法 - Google Patents

データ復調装置およびデータ伝送方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一定周期で所定の参照データが挿入されて直交周波数多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)され、所定の伝送路を介して伝送されてきた伝送信号を受信し、参照データを用いて伝送路の伝送特性を補償して復調するデータ復調装置およびデータ伝送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルデータを伝送する場合には、1つの搬送波信号の位相を伝送の対象となる伝送データの値に対応させる位相変調方式(PSK)、あるいは、位相と振幅とを伝送データの値に対応させる直交変調方式(QAM)が一般に用いられてきた。これらの方式は、単一の搬送波信号を用いることからシングルキャリア方式と呼ばれることがある。
このシングルキャリア方式に対して、複数の周波数の搬送波信号を用いてディジタルデータの伝送を行う直交周波数多重(OFDM)方式等のマルチキャリア方式が用いられるようになってきている。
【0003】
図15は、OFDM方式の伝送信号から伝送データを復調する従来のデータ復調装置8の構成を示す図である。
図15に示すように、データ復調装置8は復調装置(FFT)80、差動復号器82および最尤復号器84から構成されており、伝送の対象となる伝送データがトレリス符号化変調され、さらに、直交周波数多重化され、有線通信回線、無線通信回線あるいは放送回線等の伝送路を介して伝送されてきた伝送信号(OFDM方式の伝送信号)から伝送データを復調し、復号信号SOUTとして出力する。
【0004】
OFDM方式の伝送信号は、復調装置80に前置される受信回路(図示せず)により伝送路から受信され、ディジタル形式に変換されて受信信号SINとして復調装置80に入力される。
復調装置80は、受信信号SINを高速フーリエ変換(FFT)して復調し、復号信号として差動復号器82に対して出力する。なお、OFDM方式においては、伝送データは、例えばトレリス符号化変調され、さらに高速フーリエ逆変換IFFT)により直交周波数多重化されて伝送信号となる。従って、伝送信号(受信信号SIN)をFFTすることにより、直交周波数多重化される前の伝送データを復調することができる。
【0005】
差動復号器82は、復調装置80から入力された復調信号を差動復号し、復号信号S82として最尤復号器84に対して出力する。
最尤復号器84は、差動復号器82のブランチメトリックを生成し、このブランチメトリックに基づいて元の伝送データを最尤復号する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図15に示したデータ復調装置8の復調装置80、差動復号器82および最尤復号器84は個別に独立した処理を行うので、受信信号SINに対する伝送路の伝送特性が最尤復号器84で考慮されることがない。最尤復号器84は、復号信号S82の信号平面における信号点と仮定した信号点とを比較して尤度判定を行ので、伝送特性の影響を考慮しない場合には、その能力を完全には発揮できない。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、トレリス符号化変調され、さらに、直交周波数多重化された伝送信号を復調して得られた復調信号に対して、伝送路の伝送特性に基づいた補正を行い、あるいは、伝送路の伝送特性を考慮した最尤復号を行うことができるデータ復調装置およびデータ伝送方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、伝送信号が、伝送データをトレリス符号化変調し、さらに直交周波数多重化することにより生成されている場合に、最尤復号を行う際の符号化利得を高めることができ、伝送信号から伝送データを信頼性高く復調することができるデータ復調装置およびデータ伝送方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、伝送の対象となる伝送データに一定周期で所定の参照データが挿入され、直交周波数多重化されて所定の伝送路を介して伝送されてきた伝送信号から前記伝送データを復号するデータ復号装置であって、
前記伝送信号を前記直交周波数多重化に対応する方法で復調して復調信号を生成する復調手段と、
前記復調信号から前記参照データのシンボルを検出し、このシンボルの位置を示す位置信号を生成する位置信号生成手段と、
信号平面において予想される前記参照データのシンボルの信号点を示す参照データ予想信号を生成する予想信号生成手段と、
検出された前記参照データのシンボルの信号平面における信号点と前記参照データ予想信号とに基づいて、前記復調信号に対する推定量を算出する推定量算出手段と、
前記推定量に基づいて前記復調信号を補正し、前記伝送データを復号する伝送データ復号手段と
有し、
前記伝送信号は、前記伝送データがトレリス符号化変調され、前記参照データが挿入されて直交周波数変調された信号であって、
前記伝送データ復号手段は、
前記推定量に基づいて前記復調信号を補正する復調信号補正手段と、
補正された前記復調信号の信号点を複数、仮定する信号点仮定手段と、
前記仮定された複数の信号点と補正された前記復調信号の信号点との距離を算出し、この距離をそれぞれ前記推定量に基づいて重み付けし、前記仮定された信号点と前記復調信号とのブランチメトリックを算出するブランチメトリック算出手段と、
算出された前記ブランチメトリックに基づいて前記伝送データを復号する復号手段と
を有する、
データ復調装置が提供される。
【0010】
好適には、前記推定量算出手段は、前記参照データのシンボルを補正する参照データ補正手段と、前記参照データ予想信号と前記補正された参照データのシンボルとに基づいて前記推定量を算出する算出手段とを有し、前記参照データ補正手段は、前記参照データのシンボルを補正するたびに前記補正された参照データのシンボルの値を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記補正された参照データのシンボルの値と、最も新しく検出された前記参照データのシンボルの値との差分を算出する差分検出手段と、前記伝送路の伝送特性に対応じた可変係数と算出された前記差分との乗算値を算出する乗算手段と、算出された前記乗算値と前記補正された参照データのシンボルの値とを加算して、前記参照データのシンボルの値を補正する加算手段とを有する。
【0011】
また、本発明に係る第2のデータ復調装置は、伝送の対象となる伝送データがトレリス符号化変調され、一定周期で所定の参照データが挿入されて直交周波数多重化され、所定の伝送路を介して伝送されてきた伝送信号から前記伝送データを復号するデータ復号装置であって、前記伝送信号を前記直交周波数多重化に対応する方法で復調して復調信号を生成する復調手段と、信号平面において予想される前記参照データのシンボルの信号点を示す参照データ予想信号を生成する予想信号生成手段と、検出された前記参照データのシンボルの信号平面における信号点と前記参照データ予想信号とに基づいて、前記復調信号に対する推定量を算出する推定量算出手段と、前記復調信号の信号点を複数、仮定する信号点仮定手段と、前記推定量に基づいて、前記仮定された複数の信号点を重み付けする重み付け手段と、前記仮定され、重み付けされた複数の信号点と前記復調信号の信号点とのブランチメトリックを算出するブランチメトリック算出手段と、算出された前記ブランチメトリックに基づいて前記伝送データを復号する復号手段とを有する。
【0013】
【作用】
復調手段は、例えば伝送の対象となる伝送データをトレリス符号化変調し、一定周期で所定の参照データを挿入し、IFFTにより直交周波数多重化することにより生成され、無線通信回線あるいは有線通信回線を介して伝送されてきた伝送信号を、FFT変換により復調して復調信号とする。
位置信号生成手段は、復調信号から参照データに対応するシンボルを検出し、このシンボルの位置を示す位置信号を生成する。
予想信号生成手段は、例えば、それまでに用いていた参照データのシンボルの信号平面(位相・振幅平面、複素平面)における信号点と、新たに検出された参照データのシンボルの信号点とに基づいて、予想される参照データの信号点の位置を示す参照データ予想信号を生成する。
【0014】
推定量算出手段は、検出された参照データのシンボルの信号点と参照データ予想信号とに基づいて、伝送路の伝送特性が伝送信号に与えた影響に対応し、復調信号に対する推定量を算出する。
伝送データ復号手段は、位置信号せいせい手段が生成した位置信号に基づいて、参照データのシンボルを削除し、推定量算出手段が生成した推定量に基づいて復調信号を補正する。さらに、参照データのシンボルが削除され、補正された復調信号を最尤復号する際に、推定量に基づいて重み付けしたブランチメトリックを用いて伝送データを復号する。
【0015】
【実施例1】
以下、本発明の第1の実施例を説明する。
図1は、第1の実施例における本発明に係るデータ復調装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、データ復調装置1は、復調器(FFT)10、推定器12、補正器14および復号器16から構成されており、例えば伝送の対象となる伝送データをトレリス符号化変調し、所定の既知の値の参照データを一定周期で挿入し、IFFTにより直交周波数多重化(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)することにより生成され、無線通信回線あるいは有線通信回線等の伝送路を介して伝送され、伝送路の伝送特性によりシンボル単位で影響を受けた伝送信号(OFDM方式の伝送信号)を、復調器10に前置される受信回路(図示せず)により受信した受信信号SINから伝送データを復調し、復調信号SOUTとして出力する。
【0016】
復調器10は、OFDM方式の受信信号SINを高速フーリエ変換(FFT)して復調し、伝送データおよび参照データのシンボルを含む復調信号S10を生成して補正器14に対して出力する。
【0017】
図2は、図1に示した推定器12の構成を示す図である。
図3は、図2に示した抽出器130の構成を示す図である。
推定器12は、図2に示すように、検出部120、発生器126、算出器128および抽出器130から構成され、検出部120は、遅延器122および検出器124から構成され、抽出器130は、図3に示すように、減算器132、乗算器134、加算器136およびFIFOメモリ138から構成されている。
【0018】
これらの各構成部分により、推定器12は、復調信号S10と、例えば参照データのシンボルの振幅等に基づいて定められる可変係数A(0≦A≦1)とに基づいて、伝送信号に対する伝送路の伝送特性の影響に対応しており、補正器14において復調信号S10に対する補正に用いられ、復号器16においてブランチメトリックの重み付けに用いられる推定量S12、および、復調信号における参照データのシンボルの位置を示す削除制御信号S124を生成して、補正器14および復号器16に対して出力する。
【0019】
検出部120において、遅延器122は復調信号S10を、参照データが伝送信号に挿入される期間に対応する時間だけ遅延し、遅延信号S124として検出器124に対して出力する。
検出器124は、復調信号S10と遅延信号S124の関係を調べることにより、復調信号S10から参照データの既知のシンボルを検出し、復調信号における参照データのシンボルのタイミングを示す抽出制御信号C130および削除制御信号S124を生成し、抽出器130および補正器14に対してそれぞれ出力する。
【0020】
抽出器130は、抽出制御信号C130に基づいて復調信号S10に含まれる参照データのシンボルを抽出し、参照データのシンボルに含まれる雑音成分を削除する補正を行って、補正された参照データのシンボル(補正参照シンボル)S130を算出器128に対して出力する。
抽出器130において、減算器132は、復調信号S10から、FIFOメモリ138に記憶されており、前の参照データの周期において補正され、記憶された参照データのシンボルの値S130を減算し、減算値S132を乗算器134に対して出力する。
【0021】
乗算器134は、参照データのシンボルの値に応じて定められる可変係数Aと減算器132が算出した減算値S132とを乗算し、乗算値S134を加算器136に対して出力する。
加算器136は、乗算値S134と、FIFOメモリ138に記憶されており、前の参照データの周期において補正された参照データのシンボルの値S130とを加算して補正し、補正値S136をFIFOメモリ138に対して出力する。
【0022】
FIFOメモリ138の書込許可入力端子(WE)には、抽出制御信号C130が入力されており、抽出制御信号C130に同期して補正値S136を記憶し、補正参照シンボルS130として算出器128に対して出力する。従って、FIFOメモリ138は減算器132、乗算器134および加算器136により参照データの挿入される周期ごとに補正された参照データのシンボルの値(補正参照シンボルS130)が記憶される。
【0023】
図4は、図3に示した乗算器134に入力される可変係数Aを変更した場合の伝達関数を示す図である。
図4に示すように、可変係数Aの値が0の場合には、前の周期の補正参照シンボルの値が再度、FIFOメモリ138に記憶され、出力される。また、可変係数Aの値が1の場合には、FIFOメモリ138に記憶された前の周期の補正参照シンボルS130の値は意味がなくなり、最も新しく復調信号S10から検出された参照データのシンボルの値のみがFIFOメモリ138に記憶され、出力されることになる。
【0024】
可変係数Aの値が小さいということは、抽出器130全体としての通過周波数帯域が狭くなることを意味する。従って、可変係数Aの値を小さくすると雑音除去効果が向上する。一方、この場合には、伝送路の伝送特性の変化に対する追従性が悪くなる。
逆に、可変係数Aの値が大きいということは、抽出器130全体としての通過周波数帯域が広くなることを意味する。従って、可変係数Aの値を大きくすると雑音除去効果が低下する。一方、この場合には、伝送路の伝送特性の変化に対する追従性が向上する。
従って、伝送路の伝送特性が安定している場合には、可変係数Aの値を小さくし、通信回線の変更あるいは電源投入の際等、伝送路の伝送特性の変化に対する追従性を向上させなければならない場合には、伝送係数Aの値を大きくするのが望ましい。このように、可変係数Aの値を可変とすることが望ましいが、このことは、例えば参照データのシンボルの振幅の値に応じてROMテーブルから読み出す等の方法により容易に実現可能である。
【0025】
発生器126は、送信側において挿入される参照データのシンボルと同じデータパターンを発生することにより、参照データのシンボルの信号点が信号平面において本来占めるべき位置を予想し、参照データ予想信号S126として算出器128に対して出力する。
算出器128は、補正参照シンボルS130と参照データ予想信号S126とに基づいて、伝送路の伝送特性により伝送信号が受けた影響を推定し、推定量S12として出力する。
【0026】
図5は、図2に示した算出器128における推定量の算出に関する演算を説明する図であって、(A)は、図2に示した抽出器130から出力される複素数表現した信号平面における補正参照シンボルS130の信号点と、発生器126から出力される参照データ予想信号S126の信号点を例示し、(B)は、(A)に示した補正参照シンボルS130の信号点と参照データ予想信号S126の信号点とに基づいた算出器128による演算の結果得られた推定量を示す。
【0027】
補正参照シンボルS130と参照データ予想信号S126との信号平面における関係は、複素数表現した場合、例えば図5(A)に示した通りとなる。
算出器128は、補正参照シンボルS130と参照データ予想信号S126とについて式1の演算を行い、図5(B)に示す推定量S12(I,Q)を算出する。式1の演算は、所定の演算回路、計算機あるいは補正参照シンボルS130の値と参照データ予想信号S126の値に応じた推定量S12を記憶したROMテーブルを参照すること等により容易に実現可能である。
【0028】
【数1】
=(I・I+Q・Q)/(I +Q
=(I・Q+Q・I)/(I +Q ) (1)
ただし、I,Iは、それぞれ補正参照シンボルS130および参照データ予想信号S126の信号点の実数成分を示し、
,Qは、それぞれ補正参照シンボルS130および参照データ予想信号S126の信号点の虚数成分を示し、
,Qは、それぞれ補正量S12の実数成分および虚数成分を示す。
【0029】
以下、推定器12の動作をまとめて説明する。
図6は、図1に示した推定器12の動作を示す図である。
図6(A)に示す伝送信号(信号系列)は、復調器10による復調され、復調信号S10としてシンボル単位で遅延器122に入力される。
図6(B),(C)に示すように、遅延器122は、参照データ(Ref)が伝送信号に挿入される周期だけ復調信号S10を遅延し、検出器124は、図6(C)に示すタイミングで復調信号S10と遅延信号S124とに基づいて参照データのシンボルを検出し、図6(E)に示す抽出制御信号C130を生成する。
【0030】
抽出器130は、図6(F)(図6(B)に同じ),(G)に示すように、復調信号S10から参照データのシンボルを抽出し、補正して補正参照データS130として出力する。
算出器128は、補正参照シンボルS130および参照データ予想信号S126に対して式1に示した演算を行い、補正量S12を生成して出力する。
【0031】
図7は、図1に示した補正器14の構成および動作を示す図であって、(A)は補正器14の構成を示し、(B)は復調信号S10を示し、(C)は削除信号S140を示し、(D)は補正信号S14を示す。
図8は、図1および図7に示した補正器14における復号信号S10に対する補正に関する演算を説明する図であって、(A)は、復号信号S10に含まれる伝送データのシンボルと補正信号S14の複素数表現した信号点を例示し、(B)は補正量S12の信号点を示す。
【0032】
図7に示すように、補正器14は削除器140および演算器142とから構成されており、推定器12から入力された推定量S12に基づいて復調信号S10を補正し、さらに、削除制御信号S124に基づいて復調信号S10から参照データのシンボルを削除し、補正信号S14として復号器16に対して出力する。削除器140は、推定器12から入力された削除制御信号S124に基づいて、復調信号S10から参照データのシンボルを削除する。
なお、補正器14から出力される補正信号S14は復調信号S10よりも信号速度が遅くなるため、信号速度の変換が必要になるが、このような動作を行う信号速度変換器は、図示の簡略化のために省略してある。
【0033】
演算器142は、推定量S130に基づいて、復調信号S10に対して式2に示す演算を行い、補正する。つまり、信号点が図8(A)に示す位置にある伝送データのシンボルに対して、図8(B)(図5(B)に同じ)に示す推定量S130を用いて式2の演算を行うと、図8(A)に示す補正信号S14を得ることができる。式2の演算も、式1と同様な方法で容易に実現可能である。
【0034】
【数2】
=I・I−Q・Q
=Q・I−I・Q (2)
ただし、I,Qは、復号信号S10に含まれる伝送データのシンボルの信号点の実数成分と虚数成分であり、
,Qは、補正信号S14に含まれる伝送データのシンボルの信号点の実数成分と虚数成分である。
【0035】
図9は、図1に示した復号器16の構成を示す図である。
図10は、図9に示したブランチメトリック計算器160の構成を示す図である。
復号器16は、図9に示すように、ブランチメトリック計算器160、ステート判定器162およびパス選択器164から構成されており、ブランチメトリック計算器160は、図10に示すように、仮定点発生器170、距離計算器172および重み付け器174から構成されている。
復号器16は、基本的にはビタビ復号器として動作し、補正器14から入力された補正信号S14のブランチメトリックを生成し、推定器12から入力された推定量S12に基づいて生成したブランチメトリックを重み付けし、最尤復号して補正信号S14から伝送データを復号し、復号信号SOUTとして出力する。
【0036】
ブランチメトリック計算器160において、仮定点発生器170は、補正信号S14の信号点を仮定して仮定信号点S170として距離計算器172に対して出力する。
距離計算器172は、仮定信号点S170と補正信号S14との距離(ユークリッド距離、ユークリッド距離の2乗、ハミング距離および絶対値距離内のいずれか)を計算し、距離信号S172として重み付け器174に対して出力する。
【0037】
重み付け器174は、距離信号S172を推定量S12に基づいて重み付けして(図11(C)の式に示す演算を行って(但し、H=S12))ステートメトリックを生成し、ステートメトリックS160としてステート判定器162に対して出力する。
ステート判定器162およびパス選択器164は、従来からビタビ復号器に用いられているステート判定器およびパス選択器と同じであって、ステートメトリックS160から伝送データを復号し復号信号SOUTとして出力する。
【0038】
図11は、図10に示した重み付け器174の動作を示す図であって、(A)は送信時の伝送データのシンボルの信号点と受信時の伝送データのシンボルを例示し、(B)は重み付け器174による重み付けを行わない場合を示し、(C)は重み付け器174による重み付けを行う場合を示す。
重み付け器174による復号動作は図11(C)に示す通りである。つまり、距離計算器172により黒丸Yが補正信号S14の復調点とされ、さらに伝送路特性に対応する推定量S12に基づいて黒四角の点に補正される。この点に対し各仮定点(×印)からの距離(破線矢印)が求められる。重み付け器174は、求められた距離を推定量S12に基づいて重み付けし、ブランチメトリック値(実線矢印)を求める。
なお、重み付け器174による重み付けを行なわない場合には、ブランチメトリックS160の値は図11(B)に示す通りになる。
【0039】
なお、データ復調装置1において、復調器10が本発明に係る復調手段に相当し、推定器12の検出部120が本発明に係る位置信号生成手段に相当し、発生器126が本発明に係る予想信号生成手段に相当し、推定器12の抽出器130および算出器128が本発明に係る推定量算出手段に相当し、補正器14および復号器16が本発明に係る伝送データ復号手段に相当する。
【0040】
以下、再び図1を参照してデータ復調装置1の動作を説明する。
復調器10は、受信した伝送信号(受信信号SIN)を復調して復調信号S10を生成する。
推定器12は、復調信号S10と可変係数Aとに基づいて、推定量S12、および、復調信号における参照データのシンボルの位置を示す削除制御信号S124を生成する。
【0041】
補正器14は、推定量S12に基づいて復調信号S10を補正し、さらに、削除制御信号S124に基づいて復調信号S10から参照データのシンボルを削除する。
復号器16は、補正信号S14のブランチメトリックを生成し、推定量S12に基づいて生成したブランチメトリックを重み付けし、最尤復号して伝送データを復号し、復号信号SOUTとして出力する。
以上説明したように、本発明に係るデータ復調装置1によれば、復号器16が伝送路の伝送特性に対応した最尤復号を行うので、受信信号SINに対する伝送路の伝送特性を考慮した復号を行うことができる。従って、その能力を完全に発揮することができる。
【0042】
【実施例2】
以下、第2の実施例を説明する。
図12は、図1に示したデータ復調装置1において、補正器14に置換して用いられる補正器144の構成および動作を示す図であって、(A)は補正器144の構成を示し、(B)は復調信号S10を示し、(C)は演算器146の出力信号を示し、(D)は削除器148の出力信号を示す。
図12(A)に示すように、補正器14と異なり、補正器144においては、演算器142および削除器140とそれぞれ同じ動作をする演算器148の位置と削除器148の位置とが逆転しており、図12(B)〜(D)に示すように、推定量S12に基づいて先に復調信号S10に対する補正を行ってから参照データのシンボルを削除し、補正信号S144として出力するように構成されている。補正器144が出力する補正信号S144と、補正器14が出力するS14とは、全く同一となる。なお、図7と同様に図12においても、信号速度変換器は省略して示してある。
【0043】
【実施例3】
以下、本発明の第3の実施例を説明する。
図13は、第3の実施例における本発明に係るデータ復調装置2の構成を示す図である。なお、データ復調装置2の構成部分の内、第1の実施例に示したデータ復調装置1の構成部分と同一のものには、同一の符号を付して示してある。
図14は、図13に示したブランチメトリック計算器22の動作を示す図である。
図13に示すように、データ復調装置2は、データ復調装置1における補正器14等を省略し、復号信号S10を直接、距離計算器172と同じ動作を行う距離計算機20に入力するように構成されている。
【0044】
図14は、図13に示すデータ復調装置2の動作を示す図である。
復調信号S10は、削除器140により参照データのシンボルが削除され、距離計算機20、仮定点発生器170および距離計算器172から構成されるブランチメトリック計算器22に入力される。
重み付け器174は、仮定点発生器170により生成された仮定信号点S170を推定量S12に基づいて重み付けし(図14の式中のC×Hの演算を行い)、仮定信号点S174として距離計算機20に対して出力する。
距離計算機20は、推定量S12により重み付けされた仮定点信号S170と補正信号S14との距離を計算して(図14の式の演算を行って)ブランチメトリックを生成する。
【0045】
つまり、図14に示すように、まず、重み付け器174は、伝送路の伝送特性に対応する推定量S12に基づいて、仮定点信号S170(実線の×印)を重み付けし、仮定点信号S174(破線の×印)を生成する。
距離計算機20は、これらの仮定点信号S174と復調信号S10の伝送データのシンボルの信号点(黒丸)よりブランチメトリック(実線矢印)を算出する。
ステート判定器162およびパス選択器164は、距離計算機20により生成されたブランチメトリックから伝送データを復号し、復号信号SOUTとして出力する。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るデータ復調装置およびデータ伝送方法によれば、トレリス符号化変調され、さらに、直交周波数多重化された伝送信号を復調して得られた復調信号に対して、伝送路の伝送特性に基づいた補正を行い、あるいは、伝送路の伝送特性を考慮した最尤復号を行うことができる。
また、本発明に係るデータ復調装置およびデータ伝送方法によれば、伝送信号が、伝送データをトレリス符号化変調し、さらに直交周波数多重化することにより生成されている場合に、最尤復号を行う際の符号化利得を高めることができ、伝送信号から伝送データを信頼性高く復調することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における本発明に係るデータ復調装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した推定器の構成を示す図である。
【図3】図2に示した抽出器の構成を示す図である。
【図4】図3に示した乗算器に入力される可変係数Aを変更した場合の伝達関数を示す図である。
【図5】図2に示した算出器における推定量の算出に関する演算を説明する図であって、(A)は、抽出器から出力される複素数表現した信号平面における補正参照シンボルS130の信号点と、発生器から出力される参照データ予想信号S126の信号点を例示し、(B)は、(A)に示した補正参照シンボルS130の信号点と参照データ予想信号S126の信号点とに基づいた算出器による演算の結果得られた推定量を示す。
【図6】図1に示した推定器の動作を示す図である。
【図7】図1に示した補正器の構成および動作を示す図であって、(A)は補正器の構成を示し、(B)は復調信号S10を示し、(C)は削除信号S140を示し、(D)は補正信号S14を示す。
【図8】図1に示した補正器における復号信号S10に対する補正に関する演算を説明する図であって、(A)は、復号信号S10に含まれる伝送データのシンボルと補正信号S14の複素数表現した信号点を例示し、(B)は補正量S12の信号点を示す。
【図9】図1に示した復号器の構成を示す図である。
【図10】図9に示したブランチメトリック計算器の構成を示す図である。
【図11】図10に示した復号器の動作を示す図であって、(A)は送信時の伝送データのシンボルの信号点と受信時の伝送データのシンボルを例示し、(B)は重み付け器による重み付けを行わない場合を示し、(C)は重み付け器による重み付けを行う場合を示す。
【図12】図1に示したデータ復調装置1において、補正器14に置換して用いられる補正器144の構成および動作を示す図であって、(A)は補正器144の構成を示し、(B)は復調信号S10を示し、(C)は演算器の出力信号を示し、(D)は削除器の出力信号を示す。
【図13】第3の実施例における本発明に係るデータ復調装置の構成を示す図である。
【図14】図13に示したブランチメトリック計算器の動作を示す図である。
【図15】OFDM方式の伝送信号から伝送データを復調する従来のデータ復調装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,…データ復調装置、10…復調器、12…推定器、120…検出部、122…遅延器、124…検出器、126…発生器、128…算出器、130…抽出器、132…減算器、134…乗算器、136…加算器、138…FIFOメモリ、14,144…補正器、140,148…削除器、142,146…演算器、16…復号器、160…ブランチメトリック計算器、170…仮定点発生器、172…距離計算器、174…重み付け器、162…ステート判定器、164…パス選択器

Claims (3)

  1. 伝送の対象となる伝送データに一定周期で所定の参照データが挿入され、直交周波数多重化されて所定の伝送路を介して伝送されてきた伝送信号から前記伝送データを復号するデータ復号装置であって、
    前記伝送信号を前記直交周波数多重化に対応する方法で復調して復調信号を生成する復調手段と、
    前記復調信号から前記参照データのシンボルを検出し、このシンボルの位置を示す位置信号を生成する位置信号生成手段と、
    信号平面において予想される前記参照データのシンボルの信号点を示す参照データ予想信号を生成する予想信号生成手段と、
    検出された前記参照データのシンボルの信号平面における信号点と前記参照データ予想信号とに基づいて、前記復調信号に対する推定量を算出する推定量算出手段と、
    前記推定量に基づいて前記復調信号を補正し、前記伝送データを復号する伝送データ復号手段と
    有し、
    前記伝送信号は、前記伝送データがトレリス符号化変調され、前記参照データが挿入されて直交周波数変調された信号であって、
    前記伝送データ復号手段は、
    前記推定量に基づいて前記復調信号を補正する復調信号補正手段と、
    補正された前記復調信号の信号点を複数、仮定する信号点仮定手段と、
    前記仮定された複数の信号点と補正された前記復調信号の信号点との距離を算出し、この距離をそれぞれ前記推定量に基づいて重み付けし、前記仮定された信号点と前記復調信号とのブランチメトリックを算出するブランチメトリック算出手段と、
    算出された前記ブランチメトリックに基づいて前記伝送データを復号する復号手段と
    を有する、
    データ復調装置。
  2. 前記推定量算出手段は、
    前記参照データのシンボルを補正する参照データ補正手段と、
    前記参照データ予想信号と前記補正された参照データのシンボルとに基づいて前記推定量を算出する算出手段と
    を有し、
    前記参照データ補正手段は、
    前記参照データのシンボルを補正するたびに前記補正された参照データのシンボルの値を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記補正された参照データのシンボルの値と、最も新しく検出された前記参照データのシンボルの値との差分を算出する差分検出手段と、
    前記伝送路の伝送特性に対応じた可変係数と算出された前記差分との乗算値を算出する乗算手段と、
    算出された前記乗算値と前記補正された参照データのシンボルの値とを加算して、前記参照データのシンボルの値を補正する加算手段と
    を有する
    請求項1に記載のデータ復調装置。
  3. 伝送の対象となる伝送データがトレリス符号化変調され、一定周期で所定の参照データが挿入されて直交周波数多重化され、所定の伝送路を介して伝送されてきた伝送信号から前記伝送データを復号するデータ復号装置であって、
    前記伝送信号を前記直交周波数多重化に対応する方法で復調して復調信号を生成する復調手段と、
    信号平面において予想される前記参照データのシンボルの信号点を示す参照データ予想信号を生成する予想信号生成手段と、
    検出された前記参照データのシンボルの信号平面における信号点と前記参照データ予想信号とに基づいて、前記復調信号に対する推定量を算出する推定量算出手段と、
    前記復調信号の信号点を複数、仮定する信号点仮定手段と、
    前記推定量に基づいて、前記仮定された複数の信号点を重み付けする重み付け手段と、
    前記仮定され、重み付けされた複数の信号点と前記復調信号の信号点とのブランチメトリックを算出するブランチメトリック算出手段と、
    算出された前記ブランチメトリックに基づいて前記伝送データを復号する復号手段と
    を有するデータ復調装置。
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