JP3581935B2 - 高能率符号化装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、テレビジョン信号などのディジタル映像信号をその情報量を圧縮して可変長符号化する高能率符号化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
民生用ディジタルVTRの基本構成を図示すると図33のようになる。図33において、200 は例えばテレビジョン信号のようなアナログ映像信号を入力する入力端子であり、入力端子200 からのアナログ信号はA/D変換器201 にてディジタル信号に変換されて、高能率符号化部202 に入力される。高能率符号化部202 は、ディジタル信号をその情報量を減少させるべく圧縮して符号化し、その符号化データを誤り訂正符号化部203 へ出力する。誤り訂正符号化部203 は、再生時に誤り訂正が行えるように誤り訂正符号を入力符号化データに付加して記録変調部204 へ出力する。記録変調部204 は、入力データを記録に適した符号化データに変調し、変調されたデータは記録アンプ205 にて増幅された後に記録媒体としての磁気記録テープ206 に記録される。磁気記録テープ206 から再生された再生信号はヘッドアンプ207 にて増幅されて再生復調部208 に入力される。再生復調部208 は再生信号を復調して誤り訂正復号化部209 へ出力する。誤り訂正復号化部209 は、誤り訂正符号を使って再生復調された信号を誤り訂正して高能率復号化部210 へ出力する。高能率復号化部210 は、圧縮されているデータを元の形に復元する。復元されたディジタル信号はD/A変換器211 にてアナログ信号に変換されて出力端子212 を介して出力される。
【0003】
ディジタルVTRでは、特殊再生または編集、テープ上の記録フォーマット等の関係から、データ量の制御が非常に重要となる。例えば、図34に示すような、シンクブロックを記録の最小単位として、データ量制御が行われる。ここで、シンクブロックのデータは、SYNC部Aとビデオデータ部Bと検査符号部Cとに分離されて記録されている。これらのSYNC部A,ビデオデータ部B,検査符号部Cはそれぞれに、ある固定サイズの領域を有しており、SYNC部Aには同期パターンが記録され、ビデオデータ部Bには高能率符号化部202 にて圧縮されたディジタル信号が記録され、検査符号部Cには誤り訂正符号化部203 で生成された誤り訂正符号が記録される。一般的に、ディジタル信号をm画素×nライン(m,nは整数)のブロックに分割し、このブロックを複数個まとめたものを制御の単位として、ビデオデータ部Bに記録される。
【0004】
上述したようなディジタルVTRに見られるように、映像信号を記録したり伝送したりする場合には、そのデータ量を削減するための高能率符号化装置が必要であり、直交変換を利用して圧縮することが広く行われているが、この際、画質の劣化を極力抑えるために適応量子化を行うことが普通である。このような高能率符号化装置の幾つかの従来例について、以下に説明する。
【0005】
図35は、従来の高能率符号化装置(図33の高能率符号化部203 の相当)の一例の構成を示すブロック図である。図35において、301 はディジタル映像信号がm画素×nラインずつのブロック単位で入力される直交変換回路であり、直交変換回路301 は、入力されるm画素×nラインの画素ブロック毎に例えば離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)のような直交変換を施して、その直交変換係数(DCTの場合はDCT係数)をスキャンニング回路302 へ出力する。スキャンニング回路302 は、直交変換回路301 からの出力を所定の順序に並べ換えを行った後に、その並べ換えた直交変換係数を量子化器303 及び量子化ステップ決定回路305 へ出力する。量子化ステップ決定回路305 はスキャンニング回路302 からの出力に基づいて適当な量子化ステップを決定する。量子化器303 はこの量子化ステップに従って、入力された直交変換係数を量子化し、量子化後の直交変換係数を可変長符号化器304 へ出力する。可変長符号化器304 は、入力された直交変換係数を可変長符号化する。
【0006】
次に、図35に示す構成の高能率符号化装置の動作について説明する。直交変換回路301 に入力されたディジタル映像信号(例えば8画素×8ラインの大きさのブロック)は、直交変換を施され、直交変換係数からなる直交変換ブロックに変換される。直交変換係数は入力されたディジタル映像信号の平均値とみなすことができる直流成分とディジタル映像信号のブロック内での変化を示す交流成分とからなっている。
【0007】
直交変換ブロックの各直交変換係数はスキャンニング回路302 に入力され、可変長符号化器304 での符号化効率を高くするための順序に並べ換えが行われ、この順序で出力される。例えば、図36に示すようなスキャンニング順序(ジグザグスキャンニング)でDC(直流成分)を先頭にして残り63個の交流成分が出力される。これは直流成分を含めて交流成分の低域成分が視覚に対する影響が大きいため、低域成分ほど重要な成分として取り扱うために低域成分のデータから順に符号化を行う。
【0008】
スキャンニング回路302 で並べ換えられた直交変換係数は量子化器303 と量子化ステップ決定回路305 とに入力される。まず、量子化ステップ決定回路305 では、入力されたそれぞれの直交変換係数を量子化,可変長符号化した後のデータ量が複数ブロック内で一定になるような量子化ステップを決定する。一般に直交変換係数の低域成分は、視覚的に与える影響が大きいので量子化ステップを小さくし、反対に高域成分は量子化ステップを大きくする。
【0009】
量子化器303 では、スキャンニング回路302 からの直交変換係数が量子化ステップ決定回路305 で決定された量子化ステップでそれぞれ量子化され、直流成分,交流成分がそれぞれ所定のビット数に丸められて、可変長符号化器304 に出力される。この量子化直交変換係数は可変長符号化器304 において可変長符号化され、可変長符号化されたデータが出力される。
【0010】
図35の構成を有する従来の高能率符号化装置は、映像の局部的な性質を考慮せずに、どのようなブロックでも全く同じ方法で量子化ステップを決定しているので、エッジ部のようなブロックの画質を劣化させているという問題点がある。
【0011】
また、図37は例えば特開平5−95539 号公報に示された従来の他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。図37において、311 はm画素×nラインの単位のディジタル映像信号が入力される直交変換回路であり、直交変換回路311 はDCT等の直交変換を入力映像信号に施し、得られた直交変換係数を並べ換え回路312 及びパターン検出回路313 へ出力する。並べ換え回路312 は、入力した変換係数を並べ換えた後に量子化器314 及び量子化ステップ選択回路315 へ出力する。パターン検出回路313 は、入力した変換係数に基づいて画質劣化が分かりやすい特定のパターンを検出してパターン信号を量子化ステップ選択回路315 へ出力する。量子化ステップ選択回路315 は、並べ換え回路312 及びパターン検出回路313 の出力に基づいて、量子化時における量子化ステップを選択する。量子化器314 は、この量子化ステップに従って変換係数を量子化して可変長符号化器316 へ出力する。可変長符号化器316 は、この量子化後の変換係数を可変長符号化する。
【0012】
次に、図37に示す構成を有する従来の高能率符号化装置の動作について説明する。ディジタル映像信号が直交変換回路311 に入力され、例えば4画素×4ラインの計16画素のブロック単位でDCT等の直交変換が施される。直交変換回路311 から直交変換係数が並べ換え回路312 に入力され、所定の順番、例えば低周波側から高周波側に到る順番に並べ換えられた後、量子化器314 及び量子化ステップ選択回路315 へ出力される。直交変換回路311 から直交変換係数は、パターン検出回路313 にも入力され、直交変換係数の特定のパターン、画質劣化が分かりやすい特定のパターンが検出された場合には、パターン信号が量子化ステップ選択回路315 に出力される。
【0013】
並べ換え回路312 から出力された変換係数が、量子化ステップ選択回路315 で選択された量子化ステップに従って量子化器314 にて量子化される。量子化された変換係数は可変長符号化器316 にて可変長符号化されて出力される。この量子化の際に、高周波側の変換係数ほど大きい量子化ステップで量子化を施すことでデータ量の削減を行うとともに、ブロックの圧縮率を高くする場合は変換係数全体についてより大きい量子化ステップを、ブロックの圧縮率を小さくする場合はより小さい量子化ステップを選択することで、発生する符号量の制御を行う。また、パターン検出回路313 がパターン信号を出力した場合には、これを入力した量子化ステップ選択回路315 は量子化ステップを小さくすることで該ブロックの量子化誤差に起因する歪を低減し画質を改善する。
【0014】
パターン検出回路313 が特定のパターンを検出する方法について説明する。図38はパターン検出回路313 におけるエッジ検出の方法を示す図であり、直交変換係数の絶対値を各々低域から高域に並べており、途中のある変換係数を境に低域と高域との2つの領域に分ける。この低域領域内の絶対値の最大値をLmax,高域領域内の絶対値の最大値をHmax とする。この最大値Lmax に応じて所定の閾値によって分けられた4つのクラスの中の1つのクラスを選択し、同様にこの最大値Hmax に応じて所定の閾値によって分けられた4つのクラスの中の1つのクラスを選択する。低域と高域とのクラス各4種の組合せにより、4×4すなわち16種類のパターンを判別する。パターン検出回路313 において、この16種類のパターンに対応したテーブルを用意し、画像の劣化が分かりやすいパターンについてのみ検出を表すコードを記録しておく。パターン検出回路313 は、入力した直交変換係数から最大値Lmax ,Hmax を決定してクラスを判別するとともに、用意したテーブルを参照することによって特定のパターンの検出を行う。
【0015】
図37に示す構成の従来の高能率符号化装置は、例えばエッジなどの画像の歪が分かりやすい特定のパターンを検出する際に、10ビット前後の直交変換係数を4種のクラスに判別しているため2ビット相当に丸めたことになり、このクラス情報からパターンを判別するので検出の精度が不十分な場合がある。この結果、エッジを検出することができない場合、関係が無いパターンを検出する場合があり、このため画質が劣化したり符号量が無用に増大することがある。更に、垂直,水平,斜めエッジの全てをエッジと見なしてしまうので、視覚的に劣化の目立たない複雑なブロックをエッジと見なし、多くのビットを割り振ることになり、効率的にビットをブロックに割り振ることができないという問題がある。
【0016】
また、画像の劣化が分かりやすい特定のパターンを検出する他の従来の方法として、所定の周波数領域の直交変換係数について絶対値が所定のスレッショルド以上の変換係数の数をカウントし、このカウント値をもとに特定のパターンを検出する方法がある。ところが、この従来例では、直交変換係数の絶対値を所定のスレッショルドと比較することで2値化するので、個々の直交変換係数が持っている振幅情報がパターンの検出に反映されない欠点がある。また、直交変換を行う前の画素値から特定のパターンを検出する方法などもある。
【0017】
また、図39は、従来の更に他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図であり、図39において、321 はシリアルに入力した所定数のディジタル信号を同時化するブロック化回路であり、ブロック化回路321 はブロック化したデータを直交変換回路322 へ出力する。直交変換回路322 は、入力データにDCT等の直交変換を施し、得られた直交変換係数をクラス分け回路323 へ出力する。クラス分け回路323 は、ブロックごとの直交変換係数の値から該ブロックのクラス分けを行い、クラス分けした直交変換係数を量子化器324 及び量子化ステップ選択回路328 へ出力する。量子化ステップ選択回路328 は、クラス分け回路323 からのクラス情報と符号量制御回路327 からの量子化ステップ制御信号とに基づいて量子化ステップを選択してその選択信号を量子化器324 へ出力する。量子化器324 は、この選択された量子化ステップに従って直交変換係数を量子化し、量子化した直交変換係数を可変長符号化器325 へ出力する。可変長符号化器325 は、量子化後の直交変換係数を可変長符号化してバッファメモリ326 へ出力する。バッファメモリ326 は、所定のレートで可変長符号化データを出力する。符号量制御回路327 は、この可変長符号化データを入力して、バッファメモリ326 の内部のデータ量が所定の範囲に入るように制御を行うべく、量子化ステップ制御信号を量子化ステップ選択回路328 へ出力する。
【0018】
次に、図39に示す構成を有する従来の高能率符号化装置の動作について説明する。映像信号のディジタルデータがブロック化回路321 に入力され、例えば8画素×8ラインの合計64個のデータを同時化して直交変換回路322 へ出力する。直交変換回路322 にて入力したデータにDCTが施されて、64個の変換係数がクラス分け回路323 に出力される。クラス分け回路323 は、例えば変換係数の分散の大きさによって分散が大きいブロックには多くの符号量を、分散が小さいブロックには少ない符号量を割り当てるようにクラス分けを行う。図40は、クラス分け回路323 のクラス分けの例を示したものであり、クラス番号と後述する量子化テーブルの番号への加算値とを表している。ここで分散が小さなブロックには大きなクラス番号を対応させ、大きい番号の量子化テーブルは大きい量子化ステップ幅を持つので、これらの対応付けにより分散が小さなブロックはより大きな量子化ステップで量子化することになり、この結果、分散が小さなブロックにはより少ない符号量を割り当てる。
【0019】
クラス分けを行った変換係数は量子化器324 にて量子化される。ここで、変換係数は図41に示すように64個あるが、このうち直流係数(DC)以外の63個の交流係数について、これらを低い周波数に対応するエリア1から高い周波数に対応するエリア4まで4つのエリアに分類し、各々異なる量子化ステップで量子化を行う。画像データのDCT係数は低い周波数で大きな値をもち、高い周波数では小さい値をもつ性質がある。また、高い周波数の成分の劣化は視覚特性から比較的検知しにくい。これらの性質から図41の各エリアの量子化ステップは高い周波数成分ほど大きな値とすることが可能である。
【0020】
図42は、量子化器324 が有する8種の量子化テーブルについて、各々のエリアごとに量子化ステップを示したものである。ここで大きい番号の量子化テーブルほど大きい量子化ステップを割り当てることで、前述したクラス分けに対応して発生する符号量が少なくなる。量子化器324 の特性は、入力をxとすると、量子化ステップ幅q及びセンターデッドゾーン幅pをパラメータとする関数Q(x)で規定できる。図43は、Q(x)の例を示したものであって、横軸は入力値xを示し、縦軸は出力値Q(x)を示し、図中の黒丸はその点を含み、白丸はその点を含まない。センターデッドゾーンの上限値, 下限値はそれぞれ(3/4)・q,−(3/4)・qであり、デッドゾーン幅pは入力する映像信号の性質及び必要とする画像の品質に応じて任意に設定可能であるが、通常は所定の値であり、この例ではp=(3/2)・qである。例えば図43において、パラメータqが4である場合は、入力値xが3ないし5の場合にのみQ(x)は正の単位値Dをとる。
【0021】
量子化器324 にて量子化された変換係数は可変長符号化器325 にてゼロランレングスコーディング後ハフマン符号化される。可変長符号化器325 は、ハフマン符号化したデータをバッファメモリ326 に出力し、これを随時入力したバッファメモリ326 は所定のレートで出力する。符号量制御回路327 はバッファメモリ326 の書き込みアドレスと読み出しアドレスとから内部のデータ量を求め、これが所定の範囲内に入るように、符号量が多い場合は量子化ステップを大きくし、逆に符号量が少ない場合には量子化ステップを小さくするように量子化ステップ制御信号を量子化ステップ選択回路328 に出力する。量子化ステップ選択回路328 は、クラス分け回路323 からのブロックのクラス分け信号とこの量子化ステップ制御信号とに基づき、量子化テーブル選択信号を量子化器324 へ出力する。量子化器324 は入力した量子化テーブル選択信号によって指定された量子化テーブルでブロックデータを量子化する。
【0022】
符号量の制御はブロック単位,複数のブロック単位,画面単位等で行う。複数のブロックを制御単位とする場合には、制御単位内部での各ブロックへのデータ量の配分はクラス番号をもとに決める。クラスが大きいブロックは大きい量子化幅のテーブルで量子化する。以下ではブロック単位で符号量の制御を行う場合を例に説明する。図44は、量子化器324 の量子化テーブルを切り換えた場合に、可変長符号化器325 で発生する1ブロック当たりの符号のデータ量の変化を示したものである。横軸はソース画像信号の情報量またはデータの分散を表し、縦軸は発生する符号化データ量を表し、水平方向の破線はデータ量を制御する際の目標値を表している。また、直線E,F,Gはそれぞれ量子化テーブル番号が5番,6番,7番であるときに発生するデータ量を表している。
【0023】
ソース画像の情報量はブロックごとに変化するものであるが、ここであるブロックが点aの情報量をもっている場合を考える。このブロックを5番の量子化テーブル(ラインE)で量子化すると発生する符号のデータ量は点bになる。この値はデータ量の目標値を越えているので、符号量制御回路327 は量子化ステップ幅を大きくするように量子化ステップ制御信号を発生する。これを入力した量子化ステップ選択回路328 からの量子化テーブル選択信号によって、量子化器324 における量子化テーブルを6番(ラインF)に変更する。この結果発生するデータ量は点cまで減少してデータ量の目標値以下となる。符号化データは目標のデータ量の範囲に入ったものを用いる。
【0024】
ここで、量子化テーブルを変更することで発生する符号のデータ量が変化することを説明する。図45(a)は5番の量子化テーブル、図45(b)は6番の量子化テーブルを示したものである。量子化ステップは2進数の除算が容易なことから2のべき乗とし、量子化テーブルを5番から6番に変更するとエリア1及びエリア3の量子化ステップがそれぞれ2倍になる。この結果、主としてエリア3において量子化後のデータが0になるものの数が増加し、これを可変長符号化器325 がゼロランレングスコーディング後ハフマン符号化することで発生するデータ量が低減する。
【0025】
符号化したデータを伝送または記録する場合は、そのデータレートの上限が規定されていることが多く、発生するデータ量の制御を行う場合は、制御単位内部でのデータの配分は自由度があるが、制御単位の最後でのトータルのデータ量は所定の値以内になる必要がある。ブロック単位で制御する場合は、図44のラインE,F,Gのうちのそれぞれ領域e,f,gの区間で示されるデータ量で実際の符号化が行われる。このため領域H及び領域Iに示すように所定値までデータの量に余裕があるにもかかわらず有効に使えないデータが発生し、例えば点aの情報量のブロックは符号化データが点cとなり、破線の示す制御目標のデータ量よりも大幅に小さくなる。
【0026】
図39に示す構成の従来の高能率符号化装置では、発生するデータの量を制御するために量子化テーブルを切り換えると、データ量が必要以上に変化する場合がある。このため、発生するデータ量が所定の値以下になるように制御を行う場合では、ある量子化ステップ幅ではこの所定の値よりもわずかに多いデータ量であるにもかかわらず、量子化ステップ幅を大きくするとデータ量が大幅に減少して所定値よりもはるかに少なくなり、このため有効に活用できないデータが発生するという問題がある。また、量子化ステップを変更することに伴うデータ量の変化を少なくするために、量子化ステップを2のべき乗以外の数値にした場合は、2進化データの量子化を行うハードウェアの規模が大きくなるという問題がある。また、量子化テーブルを変更することに伴うデータ量の変化を少なくするために、複数エリアのうち一つづつ量子化ステップを変更した場合は、ステップを変更したエリアによってデータ量の変化にばらつきが大きくなることが問題であり、また、特定の周波数の信号の量子化歪だけが変化するので不自然に見える場合があることも問題である。
【0027】
図46は、従来の更に他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図であり、図46において、331 は入力されるディジタル映像信号を複数の画素毎にブロックに分割するブロック化回路であり、ブロック化回路331 はブロックデータをDCT回路332 へ出力する。DCT回路332 は、このブロックデータにDCTを施し、得られたDCT係数を、アクティビティ決定回路333 とQナンバー決定回路334 と量子化器335 とに出力する。アクティビティ決定回路333 は、各ブロック毎に、圧縮率に係わるパラメータとしてのアクティビティを決定し、そのアクティビティをQナンバー決定回路334 と量子化器335 とマルチプレクサ回路337 とへ出力する。Qナンバー決定回路334 は、所定量の中で最大となるQナンバー(量子化ステップを代表する番号)を決定し、そのQナンバーを量子化器335 及びマルチプレクサ回路337 へ出力する。量子化器335 は、DCT変換回路332 からのDCT係数を量子化して可変長符号化器336 へ出力する。可変長符号化器336 は、量子化後のDCT係数を可変長符号化して、符号化データをマルチプレクサ回路337 へ出力する。マルチプレクサ回路337 は、アクティビティ決定回路333 ,Qナンバー決定回路334 及び可変長符号化器336 の出力を多重化して出力する。
【0028】
次に、図46に示す構成の従来の高能率符号化装置の動作について説明する。ブロック化回路331 に入力されたディジタル信号は、固定サイズに分割され、DCT回路332 にてブロック単位でDCTが施される。DCT回路332 で変換されたDCT係数ブロックは、発生するデータ量を減少させるために量子化されるが、その際、DCT係数の交流係数は複数個ごとに区切られ、複数のエリアに分割される。そして、それぞれのエリアごとに決められた量子化ステップと後述するアクティビティから決まる重みとの積によって量子化される。このエリアごとに決められた量子化ステップを代表する番号をQナンバーとする。エリア分割の例を図47に、エリア番号毎のQナンバーと量子化ステップとの例を図48に示す。
【0029】
DCT回路332 により変換されたDCT係数ブロックは、アクティビティ決定回路333 に入力され、各ブロックごとにアクティビティが決定される。アクティビティは圧縮率に係わるパラメータであり、量子化ステップに対する重みを決める。例えば、アクティビティが大きいと量子化ステップに対する重みが大きくなり、アクティビティが小さいと量子化ステップに対する重みが小さくなるものとすると、図48の例では、Qナンバーが小さく、アクティビティが大きいブロックほど圧縮率は高くなる。DCT係数ブロックと各ブロックに対応するアクティビティとは、複数個ごとを制御単位としてまとめられ、Qナンバー決定回路334 に入力される。
【0030】
Qナンバー決定回路334 では、制御単位分のDCT係数ブロックに対して、各Qナンバーにおけるデータ量の試算を行い、トータルのデータ量がビデオデータ部B(図34参照)のサイズを越えないものの中で最大となるQナンバーを決定し、量子化器335 に出力する。量子化器335 はアクティビティ決定回路333 から供給されるアクティビティとQナンバー決定回路334 から供給されるQナンバーとから量子化のためのパラメータを求め、このパラメータに従ってDCT係数ブロックを量子化する。可変長符号化器336 は量子化器335 から供給される量子化係数からハフマン符号等の可変長符号を発生する。可変長符号化器336 から供給される可変長符号と、アクティビティ決定回路333 から供給されるアクティビティと、Qナンバー決定回路334 から供給されるQナンバーとは、マルチプレクサ回路337 で多重化されて出力される。
【0031】
図46に示す構成の従来の画像符号化装置では、制御単位で発生するデータ量がビデオデータ部のサイズ以下になるようにQナンバーを決定し、Qナンバーが決定した後に、データ量を微調整をする手段がないために、場合によっては、実際に発生するデータ量とビデオデータ部のサイズとの差が大きくなり、ビデオデータ部に多くの空き領域が生じるという問題点がある。
【0032】
図49は、従来の更に他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図であり、図49において、341 は入力されたディジタル映像信号をブロック化し、シャフリングを行うブロッキング・シャフリング回路であり、そのブロック化データをDCT回路342 へ出力する。DCT回路342 は、各ブロックにDCTを施し、得られたDCT係数を符号量制御回路343 及び量子化器344 へ出力する。符号量制御回路343 は、1フレーム分の符号量が所定の範囲内に収まるように量子化ステップの決定を行い、量子化器344 は、符号量制御回路343 によって決定された量子化ステップを用いてDCT係数を量子化する。可変長符号化器345 は、量子化器344 から出力される量子化係数からハフマン符号等の可変長符号を生成してパッキング回路346 へ出力する。パッキング回路346 は、以下に説明するように、可変長符号化器345 からの符号データの詰め込みを行う。
【0033】
パッキング回路346 について説明する。図50にパッキング回路346 の構成例を示す。350 は可変長符号化器345 で生成された符号データの入力端子であり、入力端子350 を介して入力された符号データは、第1のメモリ351,第2のメモリ352,第3のメモリ353,…, 第nのメモリ354 に記録される。メモリ制御部355 は、入力される符号データをカウントして、どのメモリに符号データを書き込むかを切り換える。第1のメモリ351 に記録された符号データは出力端子356 を介して読み出される。第1のメモリ351 は、後述するパッキング方法において、符号データをパッキングするメモリとして使われ、それ以外のメモリは、固定領域からあふれた符号データを一時的に記録しておくオーバーフローバッファとして使われる。
【0034】
ディジタルVTRでは、前述したように、特殊再生, 編集の関係などから符号量の制御が非常に重要となる。図51はテープ上の記録フォーマットを模式的に示す図である。ここで、400 は1トラックの記録信号を表わしており、記録信号400 の構成を図示すると、図52のようになる。さらに、1トラックの記録信号は複数のSyncブロックから構成されており、符号量制御は、このSyncブロック(以後、DCTブロックのデータのみを考えマクロブロックと呼ぶ)を単位として行う。
【0035】
以下に、マクロブロックを制御単位とした場合の符号データの詰め方(パッキング方法)について説明する。図53はマクロブロックを摸式的に示す図である。まず、1個のDCTブロック分のDCT係数を入力として、可変長符号化器345 で生成された符号データを、そのDCTブロックに割り当てられた固定領域(第1のメモリ351 を仮想的に分割した得られた1つの領域)に先頭から記録していく。固定領域に記録しきれなかった符号データについては、オーバーフローバッファMR(例えば、第2のメモリ352 を用いる)に記録する。この処理を、1マクロブロック内のすべてのDCTブロックについてY1からY2,Y3,Y4,CR,CBの順に行い、それぞれの固定領域に記録しきれなかった符号データは、オーバーフローバッファMRに、前のDCTブロックで記録しきれなかった符号データに続ける形で順に記録していく。すべてのDCTブロックを処理し終えた段階で、オーバーフローバッファMRにデータが存在する場合、そのマクロブロックに対して割り当てられた固定領域内、つまり、それぞれのDCTブロックに対して割り当てられた固定領域を1まとめにした領域内で、まだデータが記録されていない領域を探し、空き領域が存在する場合、空き領域がなくなるまでオーバーフローバッファMRに記録された符号データを記録する。
【0036】
以上、1マクロブロックを制御単位として、符号量を制御する場合のパッキング方法について説明したが、マクロブロックを複数個まとめて制御の単位とすることも可能である。この場合、1マクロブロック内で記録しきれなかった符号データについては、さらに他のマクロブロック内で空いている領域を探し、その領域に記録していく。
【0037】
図49に示す構成の従来の高能率符号化装置における符号データのパッキング法によれば、1制御単位内でオーバーフローが生じない場合には、復号化側で1個のDCTブロック内のすべての係数データが復号されるが、オーバーフローが生じた場合には、復号化側で、係数データの欠落が生じる。多くの場合、色差信号CBはDCTと量子化を行った後、ほとんどの交流係数が0となるために、DCTブロック単位でオーバーフローすることは少ない。そのため、1制御単位内でオーバーフローが生じた場合、DCT係数の欠落は、色差信号CRに発生し易くなる。また、色差信号CBの劣化は復号画像では目につきにくいが、色差信号CRの劣化は復号画像で非常に目につき易く、復号画像の主観的評価に大きな影響を与えるという問題がある。
【0038】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、画像を圧縮して符号化した場合に歪が分かりにくく、例えばエッジ部分を従来よりも正確に検出して画質の改善を最適に行うことができる高能率符号化装置を提供することを目的とする。
【0040】
本発明の他の目的は、直交変換手段と組み合わせて用いるのに好適なハードウェア規模が小さい映像パターンの検出手段を有する高能率符号化装置を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明に係る高能率符号化装置は、映像信号をブロック化する手段と、ブロック化した映像信号を直交変換する手段と、直交変換係数を適応的に量子化する手段と、量子化した直交変換係数を可変長符号化する手段とを備えた高能率符号化装置において、前記ブロックの直交変換係数から低域係数の絶対値の最大値a及び高域係数の絶対値の最大値bを選択する係数選択手段と、前記選択した係数aと係数bとに基づいて評価値をr=b/aにより求める評価値算出手段と、前記評価値rが所定値TLとTHとの範囲内である場合にエッジが存在するブロックとして検出するエッジ検出手段と、前記検出したブロックの量子化ステップを決定する量子化ステップ決定手段とを備えたものである。
【0050】
本願の第2発明に係る高能率符号化装置は、第1発明において、m,nを自然数(但しm<n)として、TL=(1/2)m 、TL=(1/2)m −(1/2)n 、または、TL=(1/2)m +(1/2)n としたものである。
【0051】
本願の第3発明に係る高能率符号化装置は、第1発明において、jを自然数、kを正整数として、TH=2j 、TH=2j −(1/2)k 、または、TH=2j +(1/2)k としたものである。
【0061】
【作用】
第1発明にあっては、入力した映像信号をブロック化した後、ブロック単位で直交変換し、直交変換係数を適応的に量子化し、量子化した直交変換係数を可変長符号化する際に、直交変換係数の中から低域係数の絶対値の最大値及び高域係数の絶対値の最大値を選択し、これらの最大値をもとに評価値を求め、その評価値をもとに特定のパターンのブロックを検出し、検出したブロックについて量子化する際の量子化ステップを適応的に切り換えるので、直交変換係数自体が有する一般に10ビット前後のデータをもとに評価値を求めることにより精度が高いパターン検出を行うことができる。このため従来行われていた、例えば直交変換係数をその絶対値から4つのクラスに分類することで2ビット相当に丸めたデータをもとにパターン検出を行う場合と比較すると、第1発明では映像ブロックの性質を忠実に反映した適応処理が可能となる利点があり、具体的には画像の歪が目だち易いために適応処理によって細かい量子化ステップを選択する必要がある映像ブロックを精度よく選択できる。さらに評価値に応じて量子化ステップの幅を細かく切り換えることもできる。このため、画像の歪が目だち易いブロックの画質を必要なだけ正確に改善できるので、例えば符号量が一定の条件で映像信号を符号化した場合には、従来より画像の劣化がわかり難い、即ち画質が良い高能率符号化装置を得ることができる。
【0064】
また、他の方法、例えば全部の直交変換係数をもとに評価値を求める場合には評価式の演算回数が大幅に多くなり、このため回路で構成する際には回路規模が大きい、処理速度が遅くなる問題がある。また、直交変換を行う前のブロックの画素値を用いて評価値を求める場合には、少ない画素値から評価値を求めるときにブロック全体の画像の性質が評価値に反映されにくい欠点があり、全部の画素値から評価値を求める場合には回路規模が大きい、処理速度が遅くなる欠点があった。第1発明の方法は、直交変換係数の低域係数及び高域係数の絶対値の最大値だけから評価値を求めるものであり、個々の直交変換係数には全ての画素値が反映されているのでブロック全体の画像の性質を評価するのに好適であり、この中から低域係数及び高域係数の絶対値の最大値を選択し、これを少ないビット数に丸めることなく画像の性質の評価に用いるので、少ない回路規模で精度が高い評価値を求めることが可能であり、これにより安価で性能が良い装置を得ることができる。
【0065】
具体的に、第1発明において、直交変換係数のうち交流係数を低い周波数の第1領域と高い周波数の第2領域とに分割し、第1領域の直交変換係数の絶対値の最大値aを求め、第2領域の直交変換係数の絶対値の最大値bを求める。ここでaが所定の範囲である条件により、振幅が小さい平坦な画像、及びコントラストが非常に強い画像を除去する。さらに評価式r=b/aにより評価値rを求め、これが所定の範囲内である場合にエッジと判定する。判別には2つの閾値、上限TH及び下限TLを用いる。この結果、正確なパターン検出が可能であり、検出したブロックを適応量子化することで画質が改善される。
【0066】
ここで評価値rが所定の範囲内にある場合をエッジと判定することの根拠を説明する。一般に時間波形を周波数解析した場合、インパルスは平坦な周波数成分をもち、ステップは高周波側で単調減少する周波数成分をもつ。直交変換の基底関数はそれらのスぺクトラムが周波数順に並んでいるので、画像がエッジつまりステップ波形である場合は、その直交変換係数の絶対値は概ね低い周波数から高い周波数に単調に減少する傾向を持つので、rが所定の範囲内の値をとる。また画像がパルス波形を有する場合、複雑な波形である場合、またはランダムな波形である場合は、高域係数が低域係数と同程度の値をとるので、評価値rは比較的大きい値になる。また画像がなめらかな波形の場合は直交変換係数の高域成分は小さい値をとるので評価値rも小さい値となる。以上のことから、評価値rが所定の範囲内にあることを検出することで画像のエッジを検出できる。
【0067】
第2発明にあっては、第1発明において、評価値rからエッジを検出するための閾値TLを1/2のべき乗、1/2のべき乗の和、または1/2のべき乗の差としたので、エッジを検出する条件はb/a≧TL、即ちb≧TL×aであるので、aを2進数で表した場合、aを表す2進数を下位ビット側にシフトした数、及び複数のそれらの和または差を求め、これをbと比較することで下限の判定が行える。このためb/aを求めるための除算回路を用いる必要がなく、ビットシフタと加減算回路とによる簡単な構成で正確な判別ができる。
【0068】
第3発明にあっては、第1発明において、評価値rからエッジを検出するための閾値THを2のべき乗、2のべき乗と1/2のべき乗との和、または2のべき乗と1/2のべき乗との差としたので、エッジを検出する条件はb/a≦TH、即ちb≦TH×aであるので、aを2進数で表した場合、aを表す2進数を上位ビット側にシフトした数、及びaを表す2進数を上位ビット側にシフトした数とaを表す2進数を下位ビット側にシフトした数との和または差を求め、これとbを比較することで上限の判定が行える。このためb/aを求めるための除算回路を用いる必要がなく、ビットシフタと加減算回路による簡単な構成で正確な判別が行える。
【0078】
【実施例】
以下、本発明をその実施例を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0079】
実施例1.
図1は本発明の実施例1による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はディジタル映像信号がm画素×nラインずつのブロック単位で入力される直交変換回路であり、直交変換回路1は、入力されるm画素×nラインの画素ブロック毎に例えばDCTのような直交変換を施して、その直交変換係数(DCTの場合はDCT係数)をスキャンニング回路2へ出力する。スキャンニング回路2は、直交変換回路1からの出力を所定の順序に並べ換えを行った後に、その並べ換えた直交変換係数を特徴検出回路3,量子化ステップ決定回路4及び量子化器5へ出力する。特徴検出回路3は、ブロック毎に特徴を抽出してこの特徴に応じた量子化ステップ調整信号を量子化ステップ決定回路4へ出力する。量子化ステップ決定回路4は、この量子化ステップ調整信号とスキャンニング回路2からの出力とに基づいて適当な量子化ステップを決定する。量子化器5は決定されたこの量子化ステップに従って、入力された直交変換係数を量子化し、量子化後の直交変換係数を可変長符号化器6へ出力する。可変長符号化器6は、入力された直交変換係数を可変長符号化する。
【0080】
次に、図1に示す構成の高能率符号化装置の動作について説明する。直交変換回路1に入力されたディジタル映像信号(例えば8画素×8ラインの大きさのブロック)は、直交変換を施され、直交変換係数からなる直交変換ブロックに変換される。直交変換係数は、入力されたディジタル映像信号の平均値とみなすことができる直流成分とディジタル映像信号のブロック内での変化を示す交流成分とからなっている。直交変換ブロックの各直交変換係数はスキャンニング回路2に入力され、可変長符号化器6での符号化効率を高くするための順序、例えば、図36に示すようなスキャンニング順序に並べ換えが行われ、この順序で出力される。スキャンニング回路2で並べ換えられた直交変換係数は特徴抽出回路3と量子化ステップ決定回路4と量子化器5とに入力される。
【0081】
特徴抽出回路3では、そのブロック内に水平方向のエッジがあるか否か、垂直方向のエッジがあるか否か、及び、斜めエッジがあるか否かを検出し、それぞれの結果からこのブロックの特徴を抽出する。そして、例えば、単独で水平,垂直,斜めのエッジが存在するブロックである場合は、今まで用いていた量子化ステップより小さくなるように、水平,垂直,斜めの全てにエッジが存在するブロックの場合は、複雑なブロックであり視覚的に劣化が検知されにくいとして今まで用いていた量子化ステップより大きくなるように、個々のブロックに対して量子化ステップ決定回路4が制御される。
【0082】
特徴抽出回路3についてさらに詳しく説明する。直交変換係数を所定の順序で入力した特徴抽出回路3は、図2に示すように交流成分の領域を4つに分割し、交流成分の水平垂直周波数低域部,交流成分の水平高域垂直低域部,交流成分の水平低域垂直高域部,交流成分の水平垂直周波数高域部からそれぞれ直交変換係数の絶対値の最大値を抽出する。水平垂直周波数低域部での最大値をLmax 、水平高域垂直低域部での最大値をHhmax 、水平低域垂直高域部での最大値をHvmax 、水平垂直周波数高域部での最大値をHdmax とする。
【0083】
エッジをもったブロックに直交変換を施した場合、その直交変換係数は高域にまで広がり、エッジをもたないブロックに直交変換を施した場合と異なることはよく知られている。Hhmax ,Hvmax ,Hdmax とLmax とのそれぞれの比を求め、下記に示すような評価関数よりエッジの有無を検出する。
Thmin <Hhmax /Lmax <Thmax 水平方向
Tvmin <Hvmax /Lmax <Tvmax 垂直方向
Tdmin <Hdmax /Lmax <Tdmax 斜め方向
但し、Thmin ,Thmax ,Tvmin ,Tvmax ,Tdmin ,Tdmax
は評価関数における閾値
【0084】
評価関数を上記のように定めた理由は、一般に時間方向波形を周波数解析した場合、インパルス波形は平坦な周波数成分をもち、ステップ波形は周波数増加方向に対し単調減少する周波数成分をもっていることが知られている。直交変換の基底関数は、それらのスペクトルが周波数順に並んでいるので、画像がエッジつまりステップ波形である場合には、その直交変換係数の絶対値は概ね低い周波数から高い周波数に単調に減少する傾向を持つことになり、上記の比の値はある範囲内の値をとることになる。すなわち上記の比の値は、交流成分の水平垂直周波数低域部の絶対値の最大値と同ブロック内での交流成分の高域部の絶対値の最大値との増加率に相当するものを示しており、その値はある範囲内に収まる。
【0085】
一方、パルス波形または複雑な波形を有するブロックの場合、直交変換係数は、図3(a)に示すように(なお、図3(a)では簡単のため8点1次元DCTの場合を示している。)ブロック内の直交変換係数の交流成分の高域部での絶対値の最大値が、同ブロックの水平垂直周波数低域部での絶対値の最大値に比べて大きな値になり、どの様なパルス波形または複雑な波形を有するブロックを検出するかは、前述の不等式の上側の閾値の設定によって決定される。
【0086】
また、滑らかなエッジを有するブロックの直交変換係数は、図3(b)に示すように(なお、図3(b)では簡単のため8点1次元DCTの場合を示している。)ブロック内の直交変換係数の交流成分の高域部での絶対値の最大値が、同ブロックの水平垂直周波数低域部での絶対値の最大値に比べて小さな値になり、どの様な滑らかなブロックを検出するかは、前述の不等式の下側の閾値の設定によって決定される。
【0087】
前述の不等式をそれぞれ満たせば、それぞれの方向にエッジがあると判断する。それぞれの組合せから量子化ステップを変更する方向の一例を図4に示す。なお、前述の不等式におけるThmin ,Thmax ,Tvmin ,Tvmax ,Tdmin ,Tdmax は所定の閾値であり、任意に設定することができるものとする。
【0088】
図5は図1における特徴抽出回路3の内部構成を示すブロック図である。図5において、10は直交変換係数がスキャンニング回路2から上述のスキャンニング順序で入力される入力端子であり、入力端子10を介して直交変換係数が、全領域MAX値検出回路11と低域部MAX値検出回路12と水平高域部MAX値検出回路13と垂直高域部MAX値検出回路14と斜め高域部MAX値検出回路15とに入力される。全領域MAX値検出回路11は、1直交変換ブロック内の直交変換係数の交流成分の全ての中から絶対値の最大値を検出して、それを比較器17へ出力する。低域部MAX値検出回路12は、例えば図2に示したような水平垂直周波数低域部の中で交流成分の絶対値の最大値を検出して、それを水平評価回路23, 垂直評価回路26, 斜め評価回路29及び比較器19へ出力する。水平高域部MAX値検出回路13は、例えば図2に示したような水平高域垂直低域部の中で交流成分の絶対値の最大値を検出して、それを水平評価回路23へ出力する。垂直高域部MAX値検出回路14は、例えば図2に示したような水平低域垂直高域部の中で交流成分の絶対値の最大値を検出して、それを垂直評価回路26へ出力する。斜め高域部MAX値検出回路15は、例えば図2に示したような水平垂直周波数高域部(斜め高域部)の中で交流成分の絶対値の最大値を検出して、それを斜め評価回路29へ出力する。
【0089】
比較器17は、入力端子16からの閾値と全領域MAX値検出回路11の出力とを比較し比較結果をANDゲート20へ出力する。また、比較器19は、入力端子18からの閾値と低域部MAX値検出回路12の出力とを比較し比較結果をANDゲート20へ出力する。ANDゲート20は、比較器17, 18の比較結果の積をとってANDゲート30, 31, 32へそれぞれ出力する。水平評価回路23は、入力端子21からの閾値Thmin , 入力端子22からの閾値Thmax と、低域部MAX値検出回路12, 水平高域部MAX値検出回路13からの最大値Lmax ,Hhmax とに基づいて水平高域垂直低域部に対する評価結果を求めそれをANDゲート30へ出力する。垂直評価回路26は、入力端子24からの閾値Tvmin , 入力端子25からの閾値Tvmax と、低域部MAX値検出回路12, 垂直高域部MAX値検出回路14からの最大値Lmax ,Hvmax とに基づいて水平低域垂直高域部に対する評価結果を求めそれをANDゲート31へ出力する。斜め評価回路29は、入力端子27からの閾値Tdmin , 入力端子28からの閾値Tdmax と、低域部MAX値検出回路12, 斜め高域部MAX値検出回路15からの最大値Lmax ,Hdmax とに基づいて斜め高域部に対する評価結果を求めそれをANDゲート32へ出力する。
【0090】
ANDゲート30は、ANDゲート20の出力と水平評価回路23の出力との積をとって量子化ステップ調整信号発生回路33へ出力する。また、ANDゲート31は、ANDゲート20の出力と垂直評価回路26の出力との積をとって量子化ステップ調整信号発生回路33へ出力する。更に、ANDゲート32は、ANDゲート20の出力と斜め評価回路29の出力との積をとって量子化ステップ調整信号発生回路33へ出力する。量子化ステップ調整信号発生回路33は、各ANDゲート30, 31, 32の出力を受けて量子化ステップ調整信号を発生し、出力端子34を介してそれを出力する。
【0091】
次に、図5に基づいて特徴抽出回路3の動作について説明する。入力端子10から入力された直交変換係数から全領域MAX値検出回路11で1直交変換ブロック内の交流成分の絶対値の最大値が検出される。また、低域部MAX値検出回路12では図2に示したような1直交変換ブロック内の水平垂直周波数低域部における交流成分の絶対値の最大値が検出される。そして、水平高域部MAX値検出回路13では図2に示したような1直交変換ブロック内の水平高域垂直低域部における交流成分の絶対値の最大値が検出され、垂直高域部MAX値検出回路14では図2に示したような1直交変換ブロック内の水平低域垂直高域部における交流成分の絶対値の最大値が検出され、斜め高域部MAX値検出回路15では図2に示したような1直交変換ブロック内の斜め高域部における交流成分の絶対値の最大値が検出される。
【0092】
全領域MAX値検出回路11の検出値は入力端子16から入力される閾値と比較器17で比較され、全領域MAX値検出回路11の検出値がこの閾値よりも大きければ比較器17の出力はLOW になり、反対の場合HIGHになるとする。これは直交変換ブロック内に閾値よりも十分大きな直交変換係数の交流成分の絶対値の最大値が存在した場合には、エッジ検出に関わらず、量子化ステップの調整を実施しないようにするためである。すなわち直交変換ブロック内に閾値よりも十分大きな直交変換係数の交流成分の絶対値の最大値が存在した場合、そのブロックの可変長符号化後のデータ量は多くなることがよく知られている。このようなブロックの量子化ステップを小さくするとますます可変長符号化後のデータ量が多くなり、他のブロックにビットを割り振ることができなくなってしまう。
【0093】
低域部MAX値検出回路12の検出値は入力端子18から入力される閾値と比較器19で比較され、低域部MAX値検出回路12の検出値がこの閾値よりも大きければ比較器19の出力はHIGHになり、反対の場合LOW になる。これは前述したように、直交変換係数の低域成分は画質に対する影響が大きく、ほとんどのブロックで低域部の直交変換係数は存在している。よって低域部に於ける直交変換係数の絶対値の最大値が十分に小さい場合は、量子化ステップを小さくする必要はほとんど無いと考えられるためである。比較器17及び比較器19の出力は、ANDゲート20でその積がとられる。
【0094】
水平高域部MAX値検出回路13の検出値は、低域部MAX値検出回路12の出力、入力端子21, 入力端子22から入力される閾値Thmin , Thmax と共に水平評価回路23で評価される。評価式は前述したものであり、水平評価回路23は、水平高域部MAX値検出回路13の出力と低域部MAX値検出回路12の出力との比を入力端子21, 22から入力されたThmin , Thmax とそれぞれ比較し、前記の条件を満たせば出力信号としてHIGHを、満たさなければLOW を出力する。
【0095】
垂直高域部MAX値検出回路14の検出値は、低域部MAX値検出回路12の出力、入力端子24, 入力端子25から入力される閾値Tvmin , Tvmax と共に垂直評価回路26で評価される。評価式は前述したものであり、垂直評価回路26は、垂直高域部MAX値検出回路14の出力と低域部MAX値検出回路12の出力との比を入力端子24, 25から入力されたTvmin , Tvmax とそれぞれ比較し、前記の条件を満たせば出力信号としてHIGHを、満たさなければLOW を出力する。
【0096】
斜め高域部MAX値検出回路15の検出値は、低域部MAX値検出回路12の出力、入力端子27, 入力端子28から入力される閾値Tdmin , Tdmax と共に斜め評価回路29で評価される。評価式は前述したものであり、斜め評価回路29は、斜め高域部MAX値検出回路15の出力と低域部MAX値検出回路12の出力との比を入力端子27, 28から入力されたTdmin , Tdmax とそれぞれ比較し、前記の条件を満たせば出力信号としてHIGHを、満たさなければLOW を出力する。
【0097】
ANDゲート30で、水平評価回路23の出力とANDゲート20の出力との積がとられる。すなわち、ANDゲート20の出力がHIGHであれば、水平評価回路23の出力がそのまま出力され、ANDゲート20の出力がLOW であれば、水平評価回路23の出力に関わらず、LOW が出力される。ANDゲート31で、垂直評価回路26の出力とANDゲート20の出力との積がとられる。すなわち、ANDゲート20の出力がHIGHであれば、垂直評価回路26の出力がそのまま出力され、ANDゲート20の出力がLOW であれば、垂直評価回路26の出力に関わらず、LOW が出力される。ANDゲート32で、斜め評価回路29の出力とANDゲート20の出力との積がとられる。すなわち、ANDゲート20の出力がHIGHであれば、斜め評価回路29の出力がそのまま出力され、ANDゲート20の出力がLOW であれば、斜め評価回路29の出力に関わらず、LOW が出力される。
【0098】
各ANDゲート30, 31, 32の出力は量子化ステップ調整信号発生回路33に入力される。量子化ステップ調整信号発生回路33は、各ANDゲート30, 31, 32の出力に基づいて、図6に示すような2ビットの量子化ステップ調整信号を発生する。なお図6は、図4を書き換えたものであり、同じ内容を表している。図4,図6に示したものは一例であり、量子化ステップ調整信号の形態または量子化ステップの調整方向はこれに限るものでない。
【0099】
このようにして決定された量子化ステップ調整信号は、量子化ステップ決定回路4に出力される。量子化ステップ決定回路4では、まず、入力されたそれぞれの直交変換係数を量子化,可変長符号化した後のデータ量が複数ブロック内で一定になるような量子化ステップを選択し、その選択した量子化ステップに対し、量子化ステップ調整信号を考慮して量子化ステップを決定する。量子化器5では、スキャンニング回路2からの直交変換係数が量子化ステップ決定回路4で決定された量子化ステップに従って所定のビット数に量子化されて、可変長符号化器6に出力される。この量子化直交変換係数は可変長符号化器6において可変長符号化され、可変長符号化されたデータが出力される。
【0100】
なお、上述の実施例1では、スキャンニング後の直交変換係数を直接入力する全領域MAX値検出回路を有したが、これにこだわるものではなく、各分割された領域毎に求めた最大値から、全領域の最大値を検出してもよい。また、各領域の評価に異なる閾値を用いたが、これにこだわるものではなく、下側の閾値,上側の閾値をそれぞれの領域で同じにしてもよい。また使用した領域は、図2に示した分割方法にこだわるものではなく、水平,垂直,斜めの特徴が抽出できる分割方法であればよい。
【0101】
以上説明したように、本実施例1によれば、特徴抽出回路3で視覚的に劣化が目立つであろうブロックのみを検出する事が可能であり、加えてエッジを多く含むような、符号化の劣化が視覚的に目立ちにくいブロックを除去することも可能であり、ブロック単位で量子化ステップを制御することにより画質を改善することができる。
【0102】
実施例2.
図7は本発明の実施例2による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。図7において、41はディジタル映像信号を入力して所定数の画素からなるブロックを構成するブロック化回路であり、ブロック化回路41はブロックデータを直交変換回路42へ出力する。直交変換回路42は、ブロックデータにDCT等の直交変換を施し、得られた直交変換係数をスキャンニング回路43へ出力する。スキャンニング回路43は、入力された直交変換係数を所定の順序に並べ換えた後にこれらの直交変換係数を順番に係数選択回路44及び量子化器48へ出力する。係数選択回路44は、直交変換係数のうちの高域係数の絶対値の最大値及び低域係数の絶対値の最大値を選択して評価値算出回路45へ出力する。評価値算出回路45は、係数選択回路44からの入力に基づいて評価値を算出して検出回路46及び量子化ステップ決定回路47へ出力する。検出回路46は、評価値算出回路45における評価値がある条件を満足した場合にエッジ検出信号を量子化ステップ決定回路47へ出力する。量子化ステップ決定回路47は、評価値算出回路45及び検出回路46からの入力に基づいて量子化器48における量子化ステップを決定しそれを示す信号を量子化器48へ出力する。量子化器48は、この量子化ステップに従って直交変換係数を量子化して可変長符号化器49へ出力する。可変長符号化器49は、この量子化後の変換係数を可変長符号化する。
【0103】
また、図8は図7における係数選択回路44及び評価値算出回路45の内部構成を示すブロック図である。係数選択回路44は、入力変換係数の絶対値を求める絶対値器51と、絶対値器51の出力と最大値保持器53の出力とを比較する比較器52と、変換係数の絶対値の最大値を保持する最大値保持器53と、高域係数及び低域係数の領域を選択する領域選択器54とを有する。また、評価値算出回路45は、入力データを所定ビットだけシフトするビットシフタ55と、係数選択回路44からの出力とビットシフタ55の出力とを加算する加算器56と、係数選択回路44からの出力からビットシフタ55の出力を減算する減算器57と、係数選択回路44からの出力と加算器56の出力とを比較するTH比較器58と、係数選択回路44からの出力と減算器57の出力とを比較するTL比較器59と、係数選択回路44からの出力のレベルを判別するレベル判別器60とを有する。
【0104】
次に、図7,図8の構成を有する実施例2の高能率符号化装置の動作について説明する。ディジタル映像信号がブロック化回路41に入力され、例えば水平8画素×垂直8ラインのブロックに分割される。ブロックデータが入力された直交変換回路42では、これにDCTが施されて64個の変換係数がスキャンニング回路43に出力される。スキャンニング回路43は、1個の直流係数を出力した後、例えば図9に示す順番で63個の交流係数を順番に出力する。但し、図中左上は直流係数または水平及び垂直低域の交流係数、右側が水平方向高域の交流係数、下側が垂直方向高域の交流係数を表し、番号は交流係数を出力する順番である。交流係数を出力する順番は概ね低域から高域にいたる順番であればよく図9に限定するものではない。
【0105】
スキャンニング回路43が順番に出力した直交変換係数は、量子化器48及び係数選択回路44に入力される。係数選択回路44は直交変換係数の交流係数のうち図9に示したスキャン順の1番から5番までを低域係数、6番から63番までを高域係数とし、低域係数及び高域係数の中から各々絶対値の最大値a及びbを選択する。
【0106】
係数選択回路44に入力した係数はその内部において、絶対値器51で絶対値が求められて比較器52に入力される。比較器52は、最大値保持器53が出力する値と入力した係数の絶対値とを比較し大きい方を最大値保持器53に出力する。最大値保持器53は、比較器52から入力がある場合にこれを新たな最大値として保持するとともに、この値を比較器52に出力する。領域選択器54は、1番の係数が入力した時点で最大値保持器53をリセットし、5番の係数が入力した後の最大値保持器53の保持値を低域の最大値aとして出力させる。同様に、6番の係数が入力した時点で最大値保持器53をリセットし、63番の係数が入力した後の最大値保持器53の保持値を高域の最大値bとして出力させる。
【0107】
評価値算出回路45は、低域の最大値a及び高域の最大値bを入力し次式の判別演算を行う。
a×(1−(1/2) 2 )≦b (式1)
b≦a×(1+(1/2) 2 ) (式2)
AL≦a≦AH (式3)
【0108】
ここで、AL, AHは定数とする。式1及び式2は書き換えると、評価式r=b/aの値rが条件式0.75≦r≦1.25を満足することと等価であり、これよりこの映像ブロックがステップ波形、即ちエッジであるか判定する。但し、aについての式3の条件により、振幅が非常に小さいブロックまたは非常に大きいブロックは除外する。式1ないし式3の両辺は何れも10ビット前後の精度を有する数値である。これら各式の係数, 定数を適宜設定することで、歪が目だち易い中程度の振幅をもつエッジ及び幅が広いパルスを高い精度で選別できる。
【0109】
評価値算出回路45に入力された低域の最大値aはその内部において、ビットシフタ55により2ビット下位側にシフトすることでa×(1/2)2 つまり0.25×aを得る。この値とaとを加算器56にて加算した1.25×aをTH比較器58に出力する。同様にaからこの値0.25×aを減算器57にて減算した0.75×aをTL比較器59に出力する。続いて評価値算出回路45に高域の最大値bが入力され、これを入力したTH比較器58及びTL比較器59における比較結果において、式2を満足する場合にTH比較器58が、式1を満足する場合にTL比較器59が検出出力を発生して検出回路46へ送る。レベル判別器60は、入力したaが式3の条件を満足する場合に検出出力を発生して検出回路46へ送る。以上のような評価値算出回路45では、評価値r=b/aの評価を除算器を用いることなくビットシフタを用いて等価に行うものであり、小さな回路規模で実現できる。
【0110】
式1ないし式3についての判別結果を入力した検出回路46は、これらの3式とも満足された場合にのみエッジの検出信号を量子化ステップ決定回路47へ出力する。量子化ステップ決定回路47は、量子化器48における量子化ステップを決定するが、このとき量子化時の量子化幅を切り換えることにより、量子化器48の後段の可変長符号化器49で発生する符号の量を所定値に制御する。エッジと検出したブロックについては検出しないブロックの量子化幅よりも小さく量子化する。この結果、エッジを含むブロックの量子化歪を低減できる。
【0111】
実施例3.
本発明の実施例3による高能率符号化装置の構成は、上述した実施例2の高能率符号化装置の構成と比べて、評価値算出回路45の内部構成のみが異なっており、他は同一である。図10は本実施例3における評価値算出回路45の内部構成を示すブロック図である。図10において、図8と同一部分に同一番号を付して説明を省略する。また、61は、入力データを3ビットだけ下位側にシフトするビットシフタである。
【0112】
本実施例3の評価値算出回路45は、低域の最大値a及び高域の最大値bを係数選択回路44から入力して次式の判別演算を行う。
a×(1/2)3 ≦b (式4)
b≦a (式5)
AL≦a≦AH (式3)
【0113】
ここで、AL,AHは定数とする。式4及び式5は書き換えると、評価式r=b/aの値rが条件式 0.125≦r≦1を満足することと等価である。この式の両辺の定数はどのような画像をエッジと判定するか、及び入力する画像の性質を考慮して決められるものである。本実施例3では、実施例2の場合よりもrの値が小さい範囲でエッジと判別している。
【0114】
図10において、評価値算出回路45に入力された低域の最大値aはその内部において、レベル判別器60とTH比較器58とビットシフタ61とに入力する。ビットシフタ61は、入力したaを3ビット下位側にシフトすることでa×(1/2)3 を求め、これをTL比較器59へ出力する。続いて評価値算出回路45に高域の最大値bが入力され、これを入力したTH比較器58及びTL比較器59が比較を行い、式5を満足する場合にTH比較器58が、式4を満足する場合にTL比較器59が検出出力を発生して検出回路46へ出力する。レベル判別器61は、入力したaが式3の条件を満足する場合に検出出力を発生して検出回路46へ出力する。式4及び式5の条件でエッジが検出できる場合は図10に示すように図8よりも評価値算出回路45の回路規模を小さくできる利点がある。
【0115】
本実施例3の条件式でエッジ検出を行った場合を図面を参照して説明する。図11は、ブロック化回路41に入力されるディジタル映像信号を画面表示した図である。図11(a)において、70は円形の物体71が表示されている画面である。また、72は縦8画素, 横8画素からなるブロック、73は物体71の近傍の任意のブロック群である。このブロック群73を拡大したものを図11(b)に示す。図11(b)において、74は各ブロック72内の各画素、72a, 72bは物体71のエッジを含むブロック、72c はエッジを含まないブロックである。ここで、各ブロック72のサイズは縦8画素、横8画素に限るものではなく、また、物体71は任意の形状でよい。図11(b)において上側より水平に順次走査されて入力する映像信号を入力したブロック化回路41は、8画素×8ラインの単位でまとめてブロック化し、直交変換回路42に出力する。
【0116】
直交変換の入力データとして、各画素74の値が物体71の外部で値0、内部で値 100とし、全画素に物体71との振幅比で−40dBに相当する最大振幅値1p−pのランダムな雑音を付加したうえで、数値計算により直交変換を行い、出力の係数から評価値rを求めた結果、図12の値となった。図中、各矩形は図11(b)に示される16個のブロックに相当し、数字は各ブロックの評価値rの値である。これをもとに式3ないし式5でエッジを判別した結果を図13に示す。図13において、横線を表示したブロックをエッジと検出する。但し、式3における定数ALは2としAHの条件は用いていない。図13に示されるように、物体71の斜めのエッジも含めてエッジを含むブロック72a 及び72b を正確に検出している。また、ブロック72c は式4及び式5を満足するが低域係数の絶対値の最大値aの値が0.58であり式3の一方の条件2≦aを満足しないのでエッジと判別されない。この例では式3の他方の条件a≦AHを用いていないが、振幅が非常に高い文字信号またはコントラストが高いので劣化がわかりにくいブロックなどについては、式3の定数AHを設定することでエッジ検出から除外することができる。
【0117】
実施例4.
図14は、本発明の実施例4による高能率符号化装置の構成を表すブロック図である。図14において、81はシリアルに入力した所定数のディジタル信号を同時化するブロック化回路であり、ブロック化回路81はブロック化したデータを直交変換回路82へ出力する。直交変換回路82は入力データにDCT等の直交変換を施し、得られた直交変換係数をクラス分け回路83へ出力する。クラス分け回路83は、ブロックごとの直交変換係数の値から該ブロックのクラス分けを行い、クラス分けした直交変換係数を量子化器84及び量子化ステップ幅選択回路87へ出力する。量子化ステップ幅選択回路87は、クラス分け回路83からのクラス情報とデッドゾーン切り換え回路88からの制御信号と符号量制御回路89からの量子化ステップ制御信号とに基づいて量子化ステップ幅を選択してその選択信号を量子化器84へ出力する。量子化器84は、デッドゾーン切り換え回路88からの制御信号と量子化ステップ幅選択回路87からの選択信号とに基づいた量子化ステップに従って直交変換係数を量子化し、量子化した直交変換係数を可変長符号化器85へ出力する。可変長符号化器85は、量子化後の直交変換係数を可変長符号化してバッファメモリ86へ出力する。バッファメモリ86は、所定のレートで可変長符号化データを出力する。符号量制御回路89は、この可変長符号化データを入力して、バッファメモリ86の内部のデータ量が所定の範囲に入るように制御を行うべく、デッドゾーン切り換え制御信号をデッドゾーン切り換え回路88へ出力すると共に量子化ステップ制御信号を量子化ステップ幅選択回路87へ出力する。デッドゾーン切り換え回路88は、制御信号を量子化器84及び量子化ステップ幅選択回路87へ出力する。
【0118】
また、図15は、量子化器84において切り換え可能な2種類の量子化ステップ特性を、量子化器84への入力をxとして、量子化ステップ幅q及びセンターデッドゾーン幅pをパラメータとした関数Q(x)にて表している。図15にあって、横軸は入力値xを示し、縦軸は出力値Q(x)を示し、図中の黒丸はその点を含み、白丸はその点を含まない。
【0119】
次に、図14に示す構成を有する実施例4の高能率符号化装置の動作について説明する。映像信号のディジタルデータがブロック化回路81に入力され、例えば8画素×8ラインの合計64個のデータを同時化して直交変換回路82へ出力する。直交変換回路82にて、入力したデータに例えばDCTが施されて64個の変換係数がクラス分け回路83に出力される。クラス分け回路83は、図39に示す従来例と同様に、例えば変換係数の分散の大きさによって分散が大きいブロックには多くの符号量を、分散が小さいブロックには少ない符号量を割り当てるようにクラス分けを行う(図40参照)。クラス分けを行った変換係数は量子化器84にて量子化される。ここで、変換係数は64個あるが(図41参照)、このうち直流係数(DC)以外の63個の交流係数について、これらを低い周波数に対応するエリア1から高い周波数に対応するエリア4まで4つのエリアに分類し、各々異なる量子化ステップで量子化を行う。
【0120】
量子化器84にて量子化された変換係数は可変長符号化器85にてゼロランレングスコーディング後ハフマン符号化される。可変長符号化器85は、ハフマン符号化したデータをバッファメモリ86に出力し、これを随時入力したバッファメモリ86は所定のレートで出力する。符号量制御回路89はバッファメモリ86の書き込みアドレスと読み出しアドレスとから内部のデータ量を求め、これが所定の範囲内に入るよう符号量が多い場合は量子化ステップを大きくするよう、逆に符号量が少ない場合には量子化ステップを小さくするように、量子化ステップ制御信号を量子化ステップ幅選択回路87に出力すると共に、デッドゾーン切り換え制御信号をデッドゾーン切り換え回路88へ出力する。デッドゾーン切り換え回路88は、量子化器84における量子化ステップ特性を切り換え、量子化ステップ幅選択回路87は、量子化器84における量子化ステップ幅を変更する。
【0121】
次に、本実施例4の特徴部分である、符号データ量に基づく量子化ステップの決定動作について説明する。入力した映像信号を符号化した結果、発生したデータ量が符号化データ量の制御目標値よりも多い場合を想定すると、これを検知した符号量制御回路89がデッドゾーン切り換え制御信号を出力し、これを入力したデッドゾーン切り換え回路88が量子化器84の量子化ステップ特性を切り換える。ここで量子化器84の量子化特性は図15(a)または(b)の何れかの特性になっているので、現在が図15(a)の特性であれば、図15(b)の特性に切り換える。但し、図15(a)と図15(b)とはデッドゾーン幅pだけが異なる。同時に、符号量制御回路79は量子化ステップ制御信号を量子化ステップ幅選択回路87に出力し、これを入力した量子化ステップ幅選択回路87は、現在の量子化ステップ特性が図15(b)である場合のみ量子化器84での量子化ステップ幅qを2倍に変更する。
【0122】
量子化器84において現在の量子化テーブルが図45(a)であり、かつ量子化ステップが図15(a)の場合に、データ量を減少するためには、まずエリア1及びエリア3における量子化ステップ特性を図15(a)から図15(b)に変更する。この結果デッドゾーン幅pが(3/2)・qから2・qに広がるのでゼロに量子化されるデータが多くなり、これを可変長符号化することでデータ量が減少する。現在の量子化テーブルが図45(a)であり、かつエリア1及びエリア3の量子化ステップが図15(b)の場合に、データ量を減少するためには、量子化ステップ特性を図15(b)から図15(a)に変更すると同時に、量子化テーブルを図45(b)に変更する。図45(b)は図45(a)のエリア1及びエリア3の量子化ステップ幅qが2倍になったものである。量子化ステップ幅qが2倍になるにつれてデッドゾーン幅pも2倍になる。以上説明した順番で符号量を減少する場合はデッドゾーン幅pが広くなる。
【0123】
図16はデッドゾーン幅の切り換え例を示したものであり、図45(a)の量子化テーブルにおいて、エリア3の量子化ステップ特性が図15(a)の場合は量子化ステップ幅qは4であるのでデッドゾーンは図16(a)に示す範囲である。次に量子化ステップ特性を図15(b)に変更するとデッドゾーンは4/3倍となり図16(b)となる。さらに量子化ステップを図15(a)に変更すると共に、量子化テーブルを図45(b)に変更することで量子化ステップ幅qを2倍の8にするとデッドゾーンは3/2倍となり図16(c)となる。
【0124】
従来デッドゾーン幅pは量子化ステップ幅qに比例して変化させていたので図16において、図16(a)と(c)、または図16(b)と(d)の幅しかとれなっかったものが、本実施例4では4通りに切り換えることができる。デッゾゾーン幅pはゼロに量子化されるデータの数を決定し、ゼロに量子化されるデータの数は可変長符号化する際に発生するデータの量に強い相関関係をもっている。従って、デッドゾーン幅を細かく制御することで、データ量の制御をきめ細かく行うことが可能となる。
【0125】
図17は本実施例4の装置において可変長符号化器85で発生する符号化データ量を表したものであり、従来例の場合を表す図44と同一符号は同一の部分を示す。図中の点aの情報量をもつブロックを符号化する際、量子化テーブルが図45(a)、量子化ステップ特性が図15(a)の場合はラインEから点bのデータが発生する。これを減少する場合には、量子化ステップ特性を図15(b)に変更する。この結果、ラインJ上の点hで示されるデータが発生し、データ量は制御目標値以下になる。
【0126】
図17においてハッチングを付した領域K及び領域Mは、従来例を示す図44において有効に使えなかったデータの領域H及び領域Iのうち、本実施例4において符号化に用いることができるデータ量を表す。すなわち、従来では点cのデータ量となっていたものが本実施例では点hにおけるデータ量で符号化できる。ラインJを概ねラインEとラインFとの中間に設定することで、有効に使えないデータの量が多数のブロックを平均すると半減する。ラインJの位置はデッドゾーン幅pの切り換え量で決定される。
【0127】
実施例5.
図18は本発明の実施例5による高能率符号化装置及び復号化装置の全体構成示すブロック図である。図18において91は実施例4の図14に示した高能率符号化装置であり、92は符号化データの記録媒体(または伝送系)、93は符号化データを元のディジタル映像信号に復号する復号化装置である。
【0128】
また、図19は図18に示す復号化装置93の内部構成を示すブロック図である。復号化装置93は、符号化データを復号する可変長復号化器94と、入力データを逆量子する逆量子化器95と、逆量子化器92における逆量子化ステップ幅を制御する量子化テーブル判別回路96と、入力データに逆DCTなどの逆直交変換を施す逆直交変換回路97と、入力されたブロックデータをシリアル化するシリアル化回路98とを有する。
【0129】
次に、本実施例5の動作について説明する。高能率符号化装置91では、前述の実施例4で説明したように、内部の量子化器の量子化ステップ幅q及びデッドゾーン幅pを切り換えて発生する符号量を制御する。その際、量子化ステップ幅qを表す付加コードのみを符号化データに加える。記録媒体(または伝送系)92を経た符号化データは復号化装置93に入力される。可変長復号化器94は入力データの復号をおこない、このデータを入力した量子化テーブル判別回路96が量子化ステップ幅qを表すデータを読み取り、これをもとに逆量子化器95の逆量子化ステップ幅を制御する。逆量子化されたデータが逆直交変換回路97にて逆直交変換され、その出力のブロックデータがシリアル化回路98にてシリアル化されて、元の映像信号が出力される。ここで、逆量子化器95は、同一の量子化ステップ幅qであるが異なるデッドゾーン幅pで高能率符号化装置91において量子化されたデータを相互に区別することなく、同一の特性で逆量子化する。
【0130】
実施例6.
図20は、本発明の実施例6による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。図20において、101 は入力されるディジタル映像信号を複数の画素毎にブロックに分割するブロック化回路であり、ブロック化回路101 はブロックデータをDCT回路102 へ出力する。DCT回路102 は、このブロックデータにDCTを施し、得られたDCT係数を、アクティビティ決定回路103 とQナンバー決定回路104 と量子化器105 とに出力する。アクティビティ決定回路103 は、各ブロック毎に、圧縮率に係わるパラメータとしてのアクティビティを決定し、そのアクティビティをQナンバー決定回路104 と処理順序決定回路108 とへ出力する。Qナンバー決定回路104 は、所定量の中で最大となるQナンバーを決定し、そのQナンバーを量子化器105 とマルチプレクサ回路107 と処理順序決定回路108 とアクティビティ修正回路109 とへ出力する。処理順序決定回路108 は、アクティビティ決定回路103 からのアクティビティとQナンバー決定回路104 からのQナンバーとに基づいてアクティビティを修正する際の順序を決定し、その順序を示す信号をアクティビティ修正回路109 へ出力する。アクティビティ修正回路109 は、Qナンバー決定回路104 からのQナンバーと処理順序決定回路108 にて決定された修正順序とに基づいてアクティビティを修正し、修正したアクティビティを量子化器105 及びマルチプレクサ回路107 へ出力する。量子化器105 は、DCT回路102 からのDCT係数を量子化して可変長符号化器106 へ出力する。可変長符号化器106 は、量子化後のDCT係数を可変長符号化して、符号化データをマルチプレクサ回路107 へ出力する。マルチプレクサ回路107 は、Qナンバー決定回路104 ,アクティビティ修正回路109 及び可変長符号化器106 の出力を多重化して出力する。
【0131】
次に、図20の構成をなす実施例6の高能率符号化装置の動作について説明する。ブロック化回路101 に入力されたディジタル信号は、固定サイズに分割され、DCT回路102 に供給される。DCT回路102 では、ブロック化回路101 から出力されるディジタル信号ブロックに対して、DCTが施される。DCT回路102 により変換されたDCT係数は、アクティビティ決定回路103 に入力され、各ブロックごとに、アクティビティが決定される。例えば、アクティビティが大きいと量子化ステップに対する重みが大きくなるものとする。さらに、制御単位分のDCT係数ブロックと、それぞれのブロックに対応して決定されたアクティビティとは、Qナンバー決定回路104 に入力される。Qナンバー決定回路104 では、各Qナンバーに対して、制御単位分のDCT係数ブロックから、発生するデータ量の試算を行い、ビデオデータ部B(図34参照)のサイズを上回らないものの中で、発生するデータ量が最大となるQナンバーを決定する。Qナンバーと量子化ステップとの例を図48に示す。
【0132】
処理順序決定回路108 では、Qナンバー決定回路104 から供給されるQナンバーと、アクティビティ決定回路103 から供給される一制御単位分のアクティビティとから、後述する評価式に従って評価値が算出され、この評価値からアクティビティ修正回路109 でアクティビティを修正する際の順序が決定される。具体的には、アクティビティが大きいブロック、つまり、圧縮率が高いブロックから修正するように順序を決定する。アクティビティ修正回路109 は、処理順序決定回路108 で決定された順序で、制御単位内のDCT係数ブロックに対する圧縮率が下がるようにアクティビティを一ブロックづつ変更して、制御単位で発生するデータ量の試算を行い、ビデオデータ部B(図34参照)のサイズと比較する。
【0133】
発生するデータ量がビデオデータ部Bのサイズを下回る場合は、変更後のアクティビティを量子化器105 に送るアクティビティとして決定し、上回る場合には、変更前のアクティビティを量子化器105 に送るアクティビティとして決定する。このような処理は、制御単位内のすべてのブロックについて、アクティビティの変更が可能であるかの判定をし終えるか、発生するデータ量がビデオデータ部Bのサイズと一致するまで行う。すべてのブロックの判定を終える前に、データ量がビデオデータ部Bのサイズと一致した場合は、それ以後のブロックのアクティビティは、アクティビティ決定回路103 によって決定されたものをそのブロックに対するアクティビティとする。
【0134】
量子化器105 では、アクティビティ修正回路109 から供給されるアクティビティと、Qナンバー決定回路104 で決定されたQナンバーとから量子化のための係数を求め、量子化が行われる。可変長符号化器106 は、量子化器105 から供給される量子化係数からハフマン符号等の可変長符号を発生する。可変長符号化器106 から供給される可変長符号と、アクティビティ修正回路109 から供給されるアクティビティと、Qナンバー決定回路104 から供給されるQナンバーとは、マルチプレクサ回路107 で多重化されて出力される。
【0135】
以上、複数ブロックを単位として、データ量の制御を行う例を示したが、複数ブロックを小グループとし、この小グループをさらに複数個集めた大グループを単位としてデータ量の制御を行う場合でも、上述の方法は適応可能である。この場合には、データ量制御の関係から、小グループごとにQナンバーが異なることが生じる。そこで、この場合には、アクティビティとQナンバーとから、ある評価式に従って評価値を算出し、この評価値から、アクティビティの修正を行う順序を決める。この大グループ単位でデータ量制御を行う場合の評価式としては、次の式6のような式が考えられる。
評価値=(Qナンバー)−(2×アクティビティ) (式6)
【0136】
この例では、圧縮率が高い場合、つまり、Qナンバーが小さいか、アクティビティが大きい場合に、上式から算出される評価値が小さくなるので、圧縮率が高いブロックから、アクティビティを修正しようとする場合は、評価値が小さいブロックから、アクティビティが修正されるように順序づけを行う。なお、評価式の例として、式6を示したが、これ以外の式を評価式として用いることも可能である。
【0137】
実施例7.
以下、本発明の実施例7について説明する。実施例7による高能率符号化装置の構成は、上述の実施例6の構成(図20参照)と同じである。
【0138】
次に、実施例7の高能率符号化装置の動作について説明する。ブロック化回路101 に入力されたディジタル信号は、固定サイズに分割され、DCT回路102 に供給される。DCT回路102 では、ブロック化回路101 から出力されるディジタル信号ブロックに対して、DCTが施される。DCT回路102 により変換されたDCT係数は、アクティビティ決定回路103 に入力され、各ブロックごとに、アクティビティが決定される。さらに、制御単位分のDCT係数ブロックと、それぞれのブロックに対応して決定されたアクティビティとは、Qナンバー決定回路104 に入力される。Qナンバー決定回路104 では、各Qナンバーに対して、制御単位分のDCT係数ブロックから、発生するデータ量の試算を行い、ビデオデータ部Bのサイズよりも所定の値だけ小さな値を目標値として、この目標値を上回らないものの中で、発生するデータ量が最大となるQナンバーを決定する。
【0139】
処理順序決定回路108 は、制御単位分のアクティビティから、アクティビティ修正回路109 でアクティビティを修正する際の順序を決定する。具体的には、アクティビティが大きいブロック、つまり、圧縮率が高いブロックから修正するように順序を決定する。アクティビティ修正回路109 は、処理順序決定回路108 で決定された順序で、制御単位内のDCT係数ブロックに対する圧縮率が下がるようにアクティビティを一ブロックづつ変更して、制御単位で発生するデータ量の試算を行い、ビデオデータ部Bのサイズと比較する。
【0140】
発生するデータ量がビデオデータ部Bのサイズを下回る場合は、変更後のアクティビティを量子化器105 に送るアクティビティとして決定し、上回る場合には、変更前のアクティビティを量子化器105 に送るアクティビティとして決定する。このような処理は、制御単位内のすべてのブロックについて、アクティビティを決定するか、発生するデータ量がビデオデータ部Bのサイズと一致するまで行う。すべてのブロックのアクティビティを決定する前に、データ量がビデオデータ部Bのサイズと一致した場合は、それ以後のブロックのアクティビティは、アクティビティ決定回路103 によって決定されたものをそのブロックに対するアクティビティとする。
【0141】
量子化器105 では、アクティビティ修正回路109 から供給されるアクティビティと、Qナンバー決定回路104 で決定されたQナンバーとから量子化のための係数を求め、量子化が行われる。可変長符号化器106 は、量子化器105 から供給される量子化係数からハフマン符号等の可変長符号を発生する。可変長符号化器106 から供給される可変長符号と、アクティビティ修正回路109 から供給されるアクティビティと、Qナンバー決定回路104 から供給されるQナンバーとは、マルチプレクサ回路107 で多重化されて出力される。
【0142】
以上、複数ブロックを単位として、データ量の制御を行う例を示したが、実施例6と同様に、複数ブロックを小グループとし、この小グループを複数個集めて大グループを単位としてデータ量制御を行う場合にも、上述の方法は適応可能である。
【0143】
実施例8.
図21は、本発明の実施例8による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。図21において、111 は入力されたディジタル映像信号をブロック化し、シャフリングを行うブロッキング・シャフリング回路であり、そのブロック化データをDCT回路112 へ出力する。DCT回路112 は、各ブロックにDCTを施し、得られたDCT係数を符号量制御回路113 及び量子化器114 へ出力する。符号量制御回路113 は、1フレーム分の符号量が所定の範囲内に収まるように量子化ステップの決定を行い、量子化器114 は、符号量制御回路113 によって決定された量子化ステップを用いてDCT係数を量子化する。可変長符号化器115 は、量子化器114 から出力される量子化係数からハフマン符号等の可変長符号を生成してパッキング回路116 へ出力する。パッキング回路116 は、以下に説明するように、可変長符号化器115 からの符号データの詰め込みを行う。以上のような構成は、前述した従来例(図49参照)と同じであり、パッキング回路116 の内部構成も図50に示す従来例と同じである。
【0144】
次に、本発明の実施例8の高能率符号化装置の動作について説明する。なお、本実施例8の装置の基本動作は図49に示す構成をなす従来例の基本動作と同じであるので、従来例とは異なるパッキング回路116 におけるパッキング法についてのみ詳述する。図22, 図23, 図24は実施例8におけるパッキング法の手順を示すフローチャートである。
【0145】
本実施例8におけるマクロブロックの構成は、前述の図53に従うものとする。まず、1マクロブロック内のすべてのDCTブロックに対して、一度、量子化と可変長符号化とを行い、1マクロブロック内で何ビットの符号量が発生するかを計算し、その総和が1マクロブロックに割り当てられた符号量(各DCTブロックに割当てられた符号量の総和)を下回るか、上回る(オーバーフローする)かの判定を行う(ステップS1)。
【0146】
オーバーフローが生じない場合には、図24のステップS21に処理が進んで、輝度信号Y1, Y2,Y3,Y4, 色差信号CR,CBの順に符号データを並べた後に、各信号のDCTブロックの符号データをこの順序で固定領域に記録する(ステップS22)。各信号における1ブロック分のすべての符号データを固定領域に記録できたかを判定し(ステップS23)、記録できた場合にはそのままステップS24に進み、DCTブロック単位で固定領域に記録しきれなかった場合にはその記録できなかった符号データを上記の順序でオーバーフローバッファMRに記録した後(ステップS25)、ステップS24に進む。なお。オーバーフローバッファMRは図21のパッキング回路116 を構成するメモリ(図50参照)の中で、第1のメモリ351 以外のものを用いる。ステップS24では、1マクロブロック内のすべてのDCTブロックの処理が終了したか否かが判定され、終了した場合にはステップS26に進み、終了していない場合にはステップS22に戻って次のブロック分の符号データに対して上述の処理が繰り返される。
【0147】
ステップS26では、オーバーフローバッファMR内に符号データが存在するか否かが判定され、存在しない場合には処理は終了し、存在する場合には1マクロブロック内でデータが記録されていない領域があるかどうかを先頭から調べる(ステップS27)。そして、記録されていない領域があるか否かが判定され(ステップS28)。そのような領域がない場合には処理は終了し、ある場合には、その領域にオーバーフローバッファMR内のデータを記録した後(ステップS29)、ステップS26に戻って上述の処理が繰り返される。
【0148】
一方、1マクロブロック内で、オーバーフローが生じた場合には(ステップS1:YES)、まず、図22のステップS2に処理が進んで、輝度信号Y1, Y2,Y3,Y4, 色差信号CR,CBの順に符号データを並べた後に、各信号のDCTブロックの符号データをこの順序で固定領域に記録する(ステップS3)。各信号における1ブロック分のすべての符号データを固定領域に記録できたかを判定し(ステップS4)、記録できた場合にはそのままステップS5に進み、DCTブロック単位で固定領域に記録しきれなかった場合にはその記録できなかった符号データを上記の順序でそれぞれのDCTブロックについて別々のオーバーフローバッファMR(n)(n=0,…,5)に記録した後(ステップS6)、ステップS5に進む。Y1,Y2,Y3,Y4,CR,CBに対するオーバーフローバッファをそれぞれMR(0),MR(1),MR(2),MR(3),MR(4),MR(5)とする。ステップS5では、1マクロブロック内のすべてのDCTブロックの処理が終了したか否かが判定され、終了した場合にはステップS7に進み、終了していない場合にはステップS3に戻って次のブロック分の符号データに対して上述の処理が繰り返される。
【0149】
ステップS7でnをまず0に設定した後、オーバーフローバッファMR(n)内に符号データが存在するか否かが判定される(ステップS8)。符号データが存在しない場合には、n=5であるか否かが判定され(ステップS14)、n=5であれば処理は終了し、n=5でないときはnの値を1だけインクリメントした後(ステップS15)、ステップS8に戻る。一方、ステップS8で符号データが存在する場合には、1マクロブロック内でデータが記録されていない領域があるかどうかを先頭から調べる(ステップS9)。そして、記録されていない領域があるか否かが判定され(ステップS10)。そのような領域がない場合には処理は終了し、ある場合には、オーバーフローバッファMR(n)内から1符号語を取り出してその領域に記録する(ステップS11)。取り出した1符号語すべてを記録できたか否かが判定され(ステップS12)、記録できない場合には処理は終了し、記録できた場合にはn=5であるか否かが判定される(ステップS13)。n=5であればステップS7に戻って上述の処理が繰り返され、n=5でないときはnの値を1だけインクリメントした後(ステップS16)、ステップS8に戻る。
【0150】
以上のように、オーバーフローバッファに符号データが記録されているかどうかを調べ、データが記録されている場合は、1マクロブロックに対して割り当てられた領域内でデータが記録されていない領域を探し、もし、空き領域が存在すれば、オーバーフローバッファから1符号語分のデータまたは1符号語のデータの一部を取り出し、空き領域に記録する処理を輝度信号Y1,Y2,Y3,Y4,色差信号CR,CBの順で行い、色差信号CBについての処理が終了した段階で、まだ、空き領域があれば、再び輝度信号Y1に戻って同様の処理を行う。以下、空き領域が存在する限り、上記の処理を繰り返す。
【0151】
実施例9.
図25は、本発明の実施例8による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。図25において、図21と同一部分には同一番号を付して説明を省略する。なお、117 は画面上の同じ位置にある色差信号CR,CBのブロックのデータを入力とし、そのブロックが赤色を多く含んでいるかどうかを検出し、その結果を出力する赤検出回路である。
【0152】
次に、本発明の実施例9の高能率符号化装置の動作(パッキング法)について説明する。図26, 図27は実施例9におけるパッキング法の手順を示すフローチャートである。
【0153】
本実施例9におけるマクロブロックの構成は、前述の図53に従うものとする。まず、実施例8と同様に、1マクロブロック内のすべてのDCTブロックに対して、一度、量子化と可変長符号化とを行い、1マクロブロック内で何ビットの符号量が発生するかを計算し、その総和が1マクロブロックに割り当てられた符号量を下回るか、上回るかの判定を行う(ステップS31)。オーバーフローが生じない場合には、図24のステップS21に処理が進む。以後の処理は実施例8と同様であるので説明を省略する。オーバーフローが生じる場合には、赤検出回路117 からの出力に従って、現在処理を行っているマクロブロックが赤色として検出されているか否かが判定され(ステップS32)、赤色として検出されない場合には図24のステップS21に処理が進み、オーバーフローが生じない場合と同様の処理が行われる。
【0154】
一方、赤色として検出された場合には、色差信号CR,輝度信号Y1, Y2,Y3,Y4, 色差信号CBの順に符号データを並べた後に(ステップS33)、各信号のDCTブロックの符号データをこの順序で固定領域に記録する(ステップS34)。各信号における1ブロック分のすべての符号データを固定領域に記録できたかを判定し(ステップS35)、記録できた場合にはそのままステップS36に進み、DCTブロック単位で固定領域に記録しきれなかった場合にはその記録できなかった符号データを上記の順序でオーバーフローバッファMRに記録した後(ステップS37)、ステップS36に進む。ステップS36では、1マクロブロック内のすべてのDCTブロックの処理が終了したか否かが判定され、終了した場合にはステップS38に進み、終了していない場合にはステップS34に戻って次のブロック分の符号データに対して上述の処理が繰り返される。
【0155】
次に、オーバーフローバッファMR内に符号データが存在するか否かが判定され(ステップS38)、存在しない場合には処理は終了し、存在する場合には1マクロブロック内でデータが記録されていない領域があるかどうかを先頭から調べる(ステップS39)。そして、記録されていない領域があるか否かが判定され(ステップS40)。そのような領域がない場合には処理は終了し、ある場合には、その領域にオーバーフローバッファMR内のデータを記録した後(ステップS41)、ステップS38に戻って上述の処理が繰り返される。
【0156】
実施例10.
以下、本発明の実施例10について説明する。本実施例10における高能率符号化装置の構成は、実施例9(図25)と同様である。また、マクロブロックの構成も図53に従う。図28, 図29は、本実施例10におけるパッキング手順を示すフローチャートである。図28, 図29において、前述の図26, 図27のフローチャートと処理内容が同じ部分には、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0157】
1マクロブロック内で、オーバーフローが生じ、赤検出回路117 の出力に従って、現在処理を行っているマクロブロックが赤色と判定された場合には、色差信号CRに対して割り当てる所定領域の大きさを増やし、逆に、輝度信号Y1,Y2,Y3,Y4, 色差信号CBに割り当てる所定領域の大きさを減らす(ステップS42)。なお、CRブロックが赤色と検出されていない場合には、固定領域の大きさは変更しない。輝度信号Y1, Y2,Y3,Y4, 色差信号CR,CBの順に符号データを並べた後に(ステップS43)、各信号のDCTブロックの符号データをこの順序で固定領域に記録する(ステップS44)。以下の動作手順は実施例9と同じである。但し、本実施例10では、いずれの場合も各DCTブロックの符号データを所定領域に記録する順序は輝度信号Y1, Y2,Y3,Y4, 色差信号CR,CBの順である。
【0158】
実施例11.
以下、本発明の実施例11について説明する。本実施例11における高能率符号化装置の構成は、実施例8(図21)と同様である。図30, 図31は、本実施例11におけるパッキング手順を示すフローチャートである。本実施例11での制御単位の一例を図32に示す。ここでは、5つのマクロブロックをまとめて一つの制御単位としている。
【0159】
まず、マクロブロックの番号を示すnの値を1とし(ステップS51)、輝度信号Y1, Y2,Y3,Y4, 色差信号CR,CBの順に符号データを並べた後に(ステップS52)、各信号のDCTブロックの符号データをこの順序で固定領域に記録する(ステップS53)。各信号における1ブロック分のすべての符号データを固定領域に記録できたかを判定し(ステップS54)、記録できた場合にはそのままステップS55に進み、DCTブロック単位で固定領域に記録しきれなかった場合にはその記録できなかった符号データを上記の順序でそれぞれのDCTブロックについて別々のオーバーフローバッファMR(n)に記録した後(ステップS56)、ステップS55に進む。ステップS55では、n番目のマクロブロック内のすべてのDCTブロックの処理が終了したか否かが判定され、終了した場合にはステップS57に進み、終了していない場合にはステップS53に戻って次のブロック分の符号データに対して上述の処理が繰り返される。
【0160】
ステップS57では、オーバーフローバッファMR(n)内に符号データが存在するか否かが判定され、存在する場合には、オーバーフローバッファMR(n)内の符号データを色差信号CB,CR,輝度信号Y4, Y3,Y2,Y1の順に並べ換えた後に(ステップS58)、n番目のマクロブロック内でデータが記録されていない領域があるかどうかを先頭から調べる(ステップS59)。そして、記録されていない領域があるか否かが判定される(ステップS60)。このような領域がある場合には、その領域にオーバーフローバッファMR(n)内のデータを記録した後(ステップS61)、ステップS58に戻って上述の処理が繰り返される。
【0161】
なお、ステップS57において符号データが存在しない場合、及び、ステップS60において領域がない場合には、処理はステップS62に進む。ステップS62では、n=5であるか否かが判定され、n=5でない場合には、オーバーフローバッファMR(n)内のデータであってまだ固定領域に記録されていない固定データをオーバーフローバッファVRに記録した後(ステップS63)、nを1だけインクリメントして(ステップS64)、ステップS52に戻る。
【0162】
一方、ステップS62でn=5である場合には、オーバーフローバッファVR内に符号データが存在するか否かが判定される(ステップS65)。符号データが存在しない場合には処理は終了し、符号データが存在する場合には制御単位に対する固定領域内でまだデータが記録されていない領域があるかどうかを先頭から調べる(ステップS66)。そして、記録されていない領域があるか否かが判定される(ステップS67)。そのような領域がない場合には処理は終了し、ある場合には、その領域にオーバーフローバッファVR内のデータを記録した後(ステップS68)、ステップS65に戻って上述の処理が繰り返される。
【0163】
以上のようなフローチャートの処理をまとめると、本実施例11のパッキング方法は次のようになる。マクロブロック(n番目とする)のDCTブロックの符号データを輝度信号Y1,Y2,Y3,Y4,色差信号CR,CBの順で、固定領域に記録する。このとき、DCTブロック単位で固定領域に記録しきれなかった符号データは、マクロブロック用のオーバーフローバッファMR(n)に色差信号CB,CR,輝度信号Y4、Y3,Y2,Y1の順で記録する。この処理をマクロブロック1から順に5まで行う。つぎに、オーバーフローバッファMR(n)の内容をn=1から順に調べ、符号データが記録されている場合は、そのマクロブロックに割り当てられた領域内で、まだデータが記録されていない領域を探し、もし存在すれば、オーバーフローバッファの符号データを記録し、領域が存在しないか、オーバーフローバッファ内のすべてのデータを記録し終える前に空き領域がなくなってしまった場合は、オーバーフローバッファMR(n)内のデータでまだ記録されていないものを別のオーバフローバッファVRに移す。この処理をマクロブロック1から順に5まで行い、オーバーフローバッファMR(n)に残ったデータは、すべて、オーバーフローバッファVRに移す。最後に、オーバーフローバッファVRの内容を調べ、符号データが記録されている場合には、制御単位内で、まだデータが記録されていない領域を探し、もし存在すれば、オーバーフローバッファVRの符号データを空き領域がなくなるまで記録する。
【0164】
なお、実施例11においてオーバーフローバッファに記録する順序は、上記のものに限らず、他の順序でもよい。
【0165】
【発明の効果】
以上のように、第1発明では、画像の歪が目だち易いために適応処理によって細かい量子化ステップを選択する必要がある映像ブロックを精度よく選択できる。また、従来よりも正確にエッジの検出を行うことができると共に、検出したブロックを適応量子化することで画質を改善できる。
【0169】
第2発明では、b/aを求めるための除算回路を用いる必要がなく、ビットシフタと加減算回路とによる簡単な構成で正確な判別を行える。
【0170】
第3発明では、ビットシフタと加減算回路とによる簡単な構成でエッジを検出する際の上限の判別を正確に行えるので、安価で高性能な装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1において直交変換を施した1ブロック内を直流成分を除いて4つに分割した場合の領域を示す図である。
【図3】実施例1における閾値の設定を説明するための図である。
【図4】実施例1において各パラメータの組合せから量子化ステップを調整する方向を示す図である。
【図5】図1における特徴抽出回路の内部構成を示すブロック図である。
【図6】図5における量子化ステップ調整信号発生回路の入力,出力の関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例2,3による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2の高能率符号化装置における係数選択回路及び評価値算出回路の内部構成を示すブロック図である。
【図9】スキャンニング回路からの直交変換係数の読み出し順序を示す図である。
【図10】実施例3の高能率符号化装置における評価値算出回路の内部構成を示すブロック図である。
【図11】入力映像信号を画面表示した例を示す図である。
【図12】実施例3において、図11の画像のブロックに対して評価値を求めた結果を示す図である。
【図13】実施例3において、評価値からエッジ検出を行った結果を示す図である。
【図14】本発明の実施例4による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図14における量子化器の複数の量子化ステップ特性を示す図である。
【図16】図14における量子化器の量子化ステップ特性のうちセンターデッドゾーン幅の変化例を示す図である。
【図17】図14における可変長符号化器が出力するデータ量と入力映像信号の情報量との関係を表す図である。
【図18】本発明の実施例5による高能率符号化装置及び復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図19】図18における復号化装置の内部構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施例6,7による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の実施例8,11による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図22】実施例8におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図23】実施例8におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図24】実施例8,9,10におけるパッキング方法の手順の一部を示すフローチャートである。
【図25】本発明の実施例9,10による高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図26】実施例9におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図27】実施例9におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図28】実施例10におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図29】実施例10におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図30】実施例11におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図31】実施例11におけるパッキング方法の手順を示すフローチャートである。
【図32】実施例11における符号量制御の単位の一例を示す図である。
【図33】民生用ディジタルVTRの基本構成を示すブロック図である。
【図34】シンクブロックのデータの配置を示す図である。
【図35】従来の高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図36】直交変換係数をスキャンニングする順序を示す図である。
【図37】従来の他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図38】図37に示す高能率符号化装置におけるエッジ検出の方法を示す図である。
【図39】従来の更に他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図40】図39のクラス分け回路におけるクラス分けを表す図である。
【図41】図39の量子化器においてそれぞれ一括して量子化ステップ切り換える直交変換係数の領域を表す図である。
【図42】図39の量子化器で使う量子化テーブルの番号と量子化ステップとを表す図である。
【図43】図39の量子化器の量子化ステップ特性を表す図である。
【図44】図39の可変長符号化器が出力するデータ量と入力映像信号の情報量との関係を表す図である。
【図45】図42の8個の量子化テーブルのうちの2個を示す図である。
【図46】従来の更に他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図47】エリア分割の例を示す図である。
【図48】Qナンバーと量子化ステップとの例を示す図である。
【図49】従来の更に他の高能率符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図50】パッキング回路の内部構成を示すブロック図である。
【図51】テープ上の記録フォーマットを模式的に示す図である。
【図52】記録信号の構成を模式的に示す図である。
【図53】マクロブロックの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 直交変換回路、3 特徴抽出回路、4 量子化ステップ決定回路、5 量子化器、6 可変長符号化器、11 全領域MAX値検出回路、12 低域部MAX値検出回路、13 水平高域部MAX値検出回路、14 垂直高域部MAX値検出回路、15 斜め高域部MAX値検出回路、23 水平評価回路、26 垂直評価回路、29 斜め評価回路、33 量子化ステップ調整信号発生回路、41 ブロック化回路、42 直交変換回路、44 係数選択回路、45 評価値算出回路、46 検出回路、47 量子化ステップ決定回路、48 量子化器、49 可変長符号化器、81 ブロック化回路、82 直交変換回路、83 クラス分け回路、84 量子化器、85 可変長符号化器、87 量子化ステップ幅選択回路、88 デッドゾーン切り換え回路、89 符号量制御回路、91 高能率符号化装置、93 復号化装置、94 可変長復号化器、95 逆量子化器、96 量子化テーブル判別回路、97 逆直交変換回路、101 ブロック化回路、102 DCT回路、103 アクティビティ決定回路、104 Qナンバー決定回路、105 量子化器、106 可変長符号化器、108 処理順序決定回路、109 アクティビティ修正回路、111 ブロッキング・シャフリング回路、112 DCT回路、113 符号量制御回路、114 量子化器、115 可変長符号化器、116 パッキング回路、117 赤検出回路。
Claims (3)
- 映像信号をブロック化する手段と、ブロック化した映像信号を直交変換する手段と、直交変換係数を適応的に量子化する手段と、量子化した直交変換係数を可変長符号化する手段とを備えた高能率符号化装置において、
前記ブロックの直交変換係数から低域係数の絶対値の最大値a及び高域係数の絶対値の最大値bを選択する係数選択手段と、
前記選択した係数aと係数bとに基づいて評価値をr=b/aにより求める評価値算出手段と、
前記評価値rが所定値TLとTHとの範囲内である場合にエッジが存在するブロックとして検出するエッジ検出手段と、
前記検出したブロックの量子化ステップを決定する量子化ステップ決定手段と
を備えることを特徴とする高能率符号化装置。 - m,nを自然数(但しm<n)として、TL=(1/2) m 、TL=(1/2) m −(1/2) n 、または、TL=(1/2) m +(1/2) n であることを特徴とする請求項1記載の高能率符号化装置。
- jを自然数、kを正整数として、TH=2 j 、TH=2 j −(1/2) k 、または、TH=2 j +(1/2) k であることを特徴とする請求項1記載の高能率符号化装置。
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