JP3581051B2 - 磁気ヘッド及びそれを用いた磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気ヘッド及びそれを用いた磁気記録再生装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波キャリア信号を印加した軟磁性体の磁気によるインピーダンスの変化を利用した磁気ヘッド、及びそれを用いた磁気記録再生装置、並びに外部磁界の存在や強度を検出する磁気センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁化容易軸を持つ一対の軟磁性体で導体を挟んで形成した磁気回路に、外部から磁界を印加して前記導体に高周波電流を流すとき、印加される磁界の強度に応じて前記導体のインピーダンスが変化する現象がある。印加磁界の強度により渦電流によって生じるスキンデプスの大小によって磁性体の電気抵抗が変化する、いわゆるMR効果とは異なり、このインピーダンスの変化は、前記導体に流す高周波電流と磁性体の磁気特性変化によって生じる前記導体のインピーダンスとの積により生ずる逆起電圧により検出できる。従って、この磁気によるインピーダンスの変化を利用することにより高い検出感度を有する磁気ヘッドや磁気センサーが得られる。以下、従来のこの種の磁気ヘッドについて図7を参照しつつ説明する。
【0003】
図7の(a)は電子情報学会技報MR95−80に報告された、磁気によるインピーダンスの変化を利用した磁気ヘッドの斜視図である。
図7の(a)において、導電性金属薄膜の検出導体29が、磁気記録媒体40のトラック幅とほぼ等しい幅30の一対の軟磁性コア33、34によって挟まれている。各軟磁性コア33、34は、図7の(b)の拡大図に示すように、パーマロイ膜31とSiO膜32の積層体である。
【0004】
検出導体29の両端の電極端子38及び39に、高周波発信器35からUHF帯の一定の高周波キャリア信号を抵抗36を経て印加する。これにより矢印で示す高周波の電流37が検出導体29を流れる。その結果、検出導体29の両端に接続した検出用端子端子38及び39間に検出導体29の磁気によるインピーダンスの変化にもとずいて高周波の電圧変化が生じる。
【0005】
磁気記録媒体40に信号磁界が存在しない場合には、端子38及び39間には、電流37と検出導体29の端子38及び39間のインピーダンスとの積に相当する高周波キャリア周波数の電圧(以下、UHFキャリア信号と記す)が発生する。
磁気記録媒体40に図中に矢印で示す磁化41による信号磁界が存在する場合には、軟磁性コア33、34の磁化容易軸の方向がトラックの幅方向に配向されているため、軟磁性コア33、34の磁化の方向が信号磁界によって配向方向から傾けられる。その結果、軟磁性コア33、34の透磁率が小さくなり、検出導体29のインピーダンスが減少する。
【0006】
この検出導体29のインピーダンスの変化により、UHFキャリア信号が磁気記録媒体の信号磁界によってAM変調され、そのAM変調されたUHFキャリア信号(以下、AM変調信号と記す)が端子38、39間で検出される。このAM変調信号をAM検波することによって磁気記録媒体40の磁化41により記録されている信号を再生することができる。
【0007】
図8は、図7に示す磁気ヘッドの動作を示すグラフであり、横軸は信号磁界の方向及び強度を表し、縦軸は検出用電極端子38、39から得られるAM変調信号のレベルを表す。図8のカーブ52は、UHFキャリア信号の周波数を1.0GHzとして、上記磁気ヘッドをヘルムホルツコイルの中央部において直流磁界(DC磁界)を印加して求めたものである。図7の軟磁性コア33、34には、図8の直線42で示す磁界の強さのバイアス磁界(以下、バイアス磁界42と記す)が与えられている。
図8からわかるように、高い感度で信号磁界を検出し、歪みの少ないAM変調波形を得るには、直流バイアス磁界42を最適な値に設定する必要がある。上記磁気ヘッドではUHFキャリア信号と図示を省略した直流電源からの直流電流とを検出導体29に流して直流磁界を発生させバイアス磁界42としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁気によるインピーダンスの変化を利用した磁気ヘッドでは、高周波における検出導体の磁気によるインピーダンスの変化を十分大きな望ましい値にすることができなかった。
本発明は、磁気によるインピーダンスの変化を十分大きくし、高い感度で磁気記録媒体の磁化による信号磁界を検出する磁気ヘッドを実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ヘッドは、磁気ヨークの磁気記録媒体に対向する面において、前記磁気ヨークと所定の磁気ギャップを保って接合された第1の軟磁性体膜、前記第1の軟磁性体膜と第2の軟磁性体膜とで導電性薄膜を挟み込み前記磁気ギャップから離れた位置の少なくとも一部にギャップを設けた一対の軟磁性体膜からなる磁気回路、前記導電性薄膜の両端に接続した一対の電極端子、前記一対の電極端子にUHFキャリア信号電流と直流電流を同時に印加する手段、及び前記一対の電極端子間に生ずるUHFキャリア信号を増幅する高周波増幅器を有している。
【0010】
この構成の磁気ヘッドでは、磁気ヨークに磁気ギャップを保って接合した、少なくとも一部にギャップを有する磁気回路を設け、前記磁気回路の実効透磁率を低下させている。これにより、UHFキャリア信号の高周波領域における導電性薄膜のインピーダンス特性を改善できる。その結果、磁気によるインピーダンスの変化率が高周波領域において高くなり、磁気ギャップで取り込んだ磁気記録媒体の信号磁界によるインピーダンスの変化を高い感度で検出できる。
【0011】
本発明の磁気記録再生装置は、上記構成の磁気ヘッド、前記磁気ヘッドによって記録されている信号を再生される記録媒体保持手段、及び前記記録媒体上の指定された位置へ磁気ヘッドを位置決めするための位置決め手段を備えたことを特徴とする。
この構成の磁気記録再生装置によれば、磁気記録媒体の信号磁界を高い感度で検出できる。その結果、狭いトラック幅で高密度に記録された磁気記録媒体の情報を高い感度で再生することのできる磁気記録再生装置が得られる。
【0012】
本発明の磁気センサーは、磁気ヨークに磁気ギャップを保って接合した第1の軟磁性体膜、
前記第1の軟磁性体膜と第2の軟磁性体膜とで導電性薄膜を挟み込み、前記磁気ギャップから離れた位置の少なくとも一部にギャップを設けた一対の軟磁性体膜からなる、外部磁界が印加される磁気回路、前記導電性薄膜の両端に接続した一対の電極端子、前記一対の電極端子にUHFキャリア信号電流と直流電流を同時に印加する手段、及び前記一対の電極端子間に生ずるUHFキャリア信号を増幅する高周波増幅器を有している。
この構成の磁気センサーでは、磁気ヨークに磁気ギャップを保って第1の軟磁性膜を接合し、外部磁界が印加される磁気回路の少なくとも一部に別のギャップを設けことにより、磁気回路の実効透磁率が低下する。これにより、UHFキャリア信号の高周波領域における導電性薄膜のインピーダンス特性を改善できる。その結果、磁気によるインピーダンスの変化率が高周波領域において高くなり、外部磁界によるインピーダンスの変化を高い感度で検出できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図1から図6を参照しつつ説明する。
【0014】
《実施例》
図1は、本発明の実施例の磁気ヘッドの側面図である。
図1において、ガラス基板50の面に、スパッタリングによってFe系の軟磁性体の磁気ヨーク19を形成する。このとき、磁気ヨーク19の一部分に所定の深さの凹部19Aが形成されるように、マスクを用いて多段スパッタリングを行う。磁気ヨーク19の凹部19AにSiO等の非磁性体25を充填し、その表面を磁気ヨーク19の面と同じになるように仕上げる。このとき、磁気ヨーク19の磁気記録媒体28と対向する先端部16AにSiO等の非磁性膜を形成し、その厚さが0.2ミクロンになるように仕上げて磁気ギャップ20を形成する。
【0015】
次に、磁気ヨーク19の全面に厚さ1.5ミクロンの軟磁性体膜16を形成する。これにより、磁気記録媒体28と対向する先端部16Aにおいて、軟磁性膜16と磁気ヨーク19とは0.2ミクロンの磁気ギャップ20を保って対向することになる。
次に、軟磁性膜16の表面上でその下層に凹部19Aが存在する領域に、銅のスパッタリングにより厚さ0.5ミクロンの検出導体膜15を形成する。軟磁性膜16の上の、検出導体膜15を形成しなかった後端領域17に厚さ0.3ミクロンの非磁性膜18を形成する。
【0016】
最後に、検出導体膜15、非磁性膜18、及び軟磁性膜16の先端部16Aの上に厚さ1.5ミクロンの軟磁性膜14を形成する。これにより、軟磁性膜14と16とは後端領域17で0.3ミクロンの非磁性膜18のギャップを保って対向する。
この実施例の磁気ヘッドでは、従来例の図7に示した磁気ヘッドと同様に、検出導体膜15の両端に電極端子38a、39aと検出用電極端子38、39がそれぞれ設けられている。電極端子38a、39aには、抵抗47を経由して高周波発信器48が接続されている。検出用電極端子38、39には、高周波増幅器49が接続されている。
【0017】
次に、この磁気ヘッドの動作について説明する。
磁気記録媒体28の磁化26から発生する磁束22は磁気ヨーク19を通って軟磁性膜14及び16に分かれてそれぞれ磁束23及び24となる。この磁束23、24が磁気ヘッドの外部磁界に対応している。この軟磁性膜14及び16中の磁界の強さに応じて、検出導体膜15のインピーダンスが変化する。検出導体膜15のこの磁気によるインピーダンスの変化特性は、後述する確認実験の結果からもわかるように、軟磁性膜14と16とで形成した磁気回路の一部にギャップを形成することにより、磁気回路の実効透磁率が下がり、高周波領域における周波数特性が改善される。その結果、この検出導体膜15を流れる一定の高周波電流とこのインピーダンスとの積で生ずる電圧値の変化として磁気記録媒体28の磁化26が高い感度で検出される。
【0018】
さらに詳しく説明すると、検出導体膜15の両端に設けられている電極端子38a及び39aに高周波発信器48から抵抗47を経て、UHFキャリア信号と図示を省略した直流電源の直流バイアス電圧とを印加する。検出導体膜15の両端に設けた検出用電極端子38及び39から磁化26によりUHFキャリア信号が振幅変調されたAM変調信号を検出する。このAM変調信号は、高周波増幅器49によって増幅され、次にAM検波することによって磁気記録媒体の磁化26に対応する信号を再生する。
【0019】
本実施例では、非磁性膜18により軟磁性膜14と16の間のギャップが、磁気ヘッドの後端領域17に形成されている。このギャップにより高周波領域におけるインピーダンスの変化が大きくなり、再生感度が向上する。一方、軟磁性膜16と磁気ヨーク19の間の磁気ギャップ20は、磁気ヘッドの磁気記録媒体28への対向面である先端部16Aに形成されている。また他の効果として、検出導体膜15と、軟磁性膜14、16との間の絶縁不良により、検出導体膜15に印加したUHFキャリア信号による高周波電流とバイアス電流が軟磁性膜14、16に流れても、その電流による磁化は軟磁性体14、16の磁気回路により短絡される。従って、磁気ギャップ20により磁気記録媒体28の磁化を消去するなどの悪影響を与えることを防止できる。。
【0020】
本実施例では、軟磁性体としてFe系材料を用いたが,その他のCo系,Fe系アモルファス磁性体,パーマロイ,センダストなどの軟磁性材料を用いることができる。
また、基板もガラス基板に限らずNiTiMg、AlTiC、その他セラミック、ガラス系、カーボン基板等の非磁性基板を用いることができる。検出導体膜としCuを用いたが、Ag、Au、Alなどの導電性材料を用いることができる。
【0021】
上記の構成の磁気ヘッドについて、以下に詳細に示すような各種の測定実験を行って、この磁気ヘッドが高い感度を有することを確認した。
測定実験用のサンプルとして、幅300ミクロン,長さ3ミリメートル、厚さ1.5ミクロンのFeTaN材の軟磁性体14、16と、長さ2ミリメートル、幅400ミクロン、厚さ1ミクロンの銅(Cu)からなる検出導体膜15を用いた。
図1に示す構成の磁気ヘッドを作製し、検出導体膜15の両端のインピーダンスに関して調べた。磁気記録媒体の磁化からの信号磁界の代わりに,外部磁界を発生するヘルムホルツコイルによって軟磁性体14、16の長手方向に直流磁界を印加した。直流磁界を5Oeにすると、本実験に用いた軟磁性体14、16は完全に飽和する。
【0022】
図2及び図3はUHFキャリア信号の周波数に対するインピーダンスの変化について調べた結果を示すグラフである。図2は、インピーダンスメータにて測定したサンプルの全インピーダンスの変化を示している。
図2に示すように、曲線1は外部磁界が零の場合の特性、曲線2は外部磁界5Oeを加えた時の特性であり、矢印3に示すように変化する。この変化の差が大きいほど、磁気によるインピーダンスの変化率が高く,大きな振幅変調出力を得ることができる。
インピーダンスメータでは全インピーダンスを、インダクタンス成分と抵抗成分とに分離して測定することができる。図3は、インダクタンス成分及び抵抗成分のそれぞれの外部磁界に対する特性を示すグラフである。
【0023】
図2から分かるように、UHFキャリア信号の周波数が100MHz以下の低周波領域では、外部磁界の変化に対して全インピーダンスが大きく変化している。しかし、500MHz以上の高周波領域では、外部磁界の変化に対して全インピーダンスはほとんど変化しない。ところが、磁気によるインピーダンスの変化率は、UHFキャリア信号の周波数と磁気回路を形成する軟磁性体の透磁率の変化率との積に比例するため、磁気によるインピーダンスの変化率を高めるにはUHFキャリア信号を高周波とすることが重要である。
【0024】
図2の特性は図3に示したインダクタンス成分の変化と類似の特性を示している。このことから、外部磁界によって変化するインダクタンス成分は、外部磁界によって変化しない検出導体などのインダクタンス成分が大きいため、高周波領域ではマスクされていることがわかる。一方、図3に示す抵抗成分は、100MHz以上の高周波領域において外部磁界に対して大幅に変化していることが本実験によって初めて分かった。
【0025】
さらに詳しく述べると、図3中の曲線4は軟磁性体14、16の透磁率に応じて生ずるインダクタンス成分と検出導体膜15のインダクタンス成分との和である。軟磁性体14、16の透磁率が、外部磁界5Oeの印加により空気中での値の1に近づくため、検出導体膜15のインダクタンス成分が主となり、曲線5となる。曲線6は、軟磁性体14、16の透磁率に応じて生ずる抵抗成分と検出導体膜15の抵抗成分との和である。軟磁性体14、16の透磁率が、外部磁界5Oeの印加により1となるため、外部磁界によって変化しない検出導体膜15の抵抗成分が主となり、曲線7となる。
【0026】
また、第2の実験用サンプルとして厚み1ミクロン、幅10ミクロンの検出導体膜の長さを変化させたものを作成し、磁気による検出導体膜15のインダクタンスの変化を測定し、その結果を図4に曲線8で示す。図4に示すように、検出導体膜15のインダクタンスは、その長さが100ミクロン以下になると大幅に減少する。
つまり、外部磁界によって変化しない検出導体膜15のインダクタンス成分を大幅に減少させることにより、外部磁界によって変化する軟磁性体膜14、15のインピーダンス変化を顕在化して検出することが重要である。
【0027】
さらに、UHFキャリア信号の周波数の高周波領域における、検出導体のインピーダンスの抵抗成分は、軟磁性体14、16で形成された磁気回路の一部にギャップを形成して磁気回路の実効透磁率を低下させることにより大幅に増加する。
本発明の磁気ヘッドは、これらの解析の知見に基づいて発明したものである。このギャップを形成する効果の確認実験について以下に図5から図6を参照しつつ説明する。
【0028】
図5は、ギャップの効果の確認試験の第1の試作例の磁気ヘッドのUHFキャリア信号の周波数に対する検出導体のインピーダンスの変化を示すグラフである。第1の試作例の磁気ヘッドにおける検出導体膜15の幅は10ミクロン、厚さは1ミクロン、及び長さは10ミクロンとし、磁気ヘッドのトラック幅は0.5ミクロン、軟磁性体膜14、16の厚さは1.5ミクロン、及び長さは1ミリメートルとした。つまり、狭トラック幅0.5ミクロンに対応する検出導体膜15の長さを10ミクロンと短くした。
軟磁性体の長手方向にヘルムホルツコイルによって均一な直流磁界を加えることによってインピーダンスをネットワークアナライザーによって測定した。
軟磁性体膜14、16をFeTaNとした場合、1GHzのUHFキャリア信号でのインピーダンス変化率が52%となる。
【0029】
図5に示すのは、軟磁性体膜14、16をFe系のように透磁率の周波数特性が高周波まで伸びている材料とした場合を示し、インピーダンスの変化率が94%に達している。つまり、図5において、印加する磁界が0Oeの場合のインピーダンス特性の曲線9が、飽和磁界を印加するとインピーダンス特性の曲線10となり、1GHzにおけるインピーダンス変化率が94%となる。
開発されつつあるスピンバルブGMRヘッドのインピーダンスの変化率が5〜7%程度であることに比較すると、極めて高いインピーダンスの変化率であることがわかる。
【0030】
第1の試作例の磁気ヘッドと同じ構成の磁気回路の一部に0.3ミクロンの厚さの非磁性膜18でギャップを形成した第2の試作例の磁気ヘッドについて説明する。
UHFキャリア信号の周波数が1GHzにおけるインピーダンスの変化は、主として軟磁性体膜14、16の透磁率により生ずる抵抗成分によるため、以下、この第2の試作例の磁気ヘッドにおける抵抗成分の変化について説明する。
図6は、ギャップの有無による検出導体膜15のインピーダンスの抵抗成分の変化を示すグラフである。
【0031】
前述したように、インピーダンスの変化率を大きくするには、UHFキャリア信号の周波数が1GHzにおける抵抗成分を大きくすることが必要である。図6に示すように、第2の試作例の磁気ヘッドの検出導体膜15のインピーダンスの抵抗成分の曲線11は、1GHzにおいて、ギャップを形成していない第1の試作例の磁気ヘッドの抵抗成分の曲線12に対して1.8倍の抵抗値が得られている。この曲線11は、飽和磁界を印加すると検出導体膜のインピーダンスの抵抗成分の曲線13に変化する。
以上、この第2の試作例の磁気ヘッドで説明したように、本発明の磁気ヘッドでは、軟磁性膜14、16で構成する磁気回路に非磁性膜18でギャップを形成することによって、1GHzにおける磁気によるインピーダンスの変化率は大幅に向上できる。
【0032】
なお、この実施例は磁気ヨークと磁気回路とを磁気記録媒体との対向面において所定の磁気ギャップを保って接合した磁気ヘッドについて説明した。しかし、この磁気回路に印加される外部磁界を高い感度で検出する素子として、例えば、磁石と組み合わせた位置センサー等に用いられる磁気センサーとして利用できるのはいうまでもない。
【0033】
【発明の効果】
以上の実施例で詳しく説明したように、本発明の磁気ヘッドによれば、磁気記録媒体の磁化による信号磁界を、磁気ヨークと磁気ギャップを保って形成した磁気回路で受け取り、受け取った磁束を一部にギャップを有する磁気回路に通すことにより高周波領域におけるインピーダンスの変化率を大きくすることができる。その結果、磁気記録媒体の信号磁界を高い感度で検出することができる。
【0034】
また、磁気回路に設けるギャップを磁気ギャップと離間して配置することにより、検出導体膜と軟磁性膜との絶縁不良により生じる、高周波キャリア信号による磁気記録媒体の磁化の消去などの悪影響を防止できる。
さらに、本発明の磁気ヘッドを用いることにより、高密度記録された磁気記録媒体の磁化を高い感度で検出できる磁気記録再生装置が得られる。
また、この磁気回路をこれに印加される外部磁界を高い感度で検出する磁気センサーとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドの構成を示す図。
【図2】本発明の確認実験サンプルのインピーダンス特性を示すグラフ。
【図3】本発明の確認実験サンプルのインピーダンス特性のインダクタンス成分と抵抗成分とを示すグラフ。
【図4】本発明の確認実験サンプルの検出導体の長さとインダクタンスとの関係を示すグラフ。
【図5】本発明の確認実験サンプルのインピーダンス特性を示すグラフ。
【図6】本発明の確認実験サンプルのインピーダンス特性の抵抗成分を示すグラフ。
【図7】従来の磁気によるインピーダンスの変化を利用した磁気ヘッドの動作原理を説明する図。
【図8】従来の磁気によるインピーダンスの変化を利用した磁気ヘッドの磁界強度とUHFキャリア信号レベルの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 外部磁界0Oe時の特性
2 外部磁界5Oe時の特性
3 印加磁界による変化を示す矢印
4 外部磁界0Oe時のインダクタンス成分の特性
5 外部磁界5Oe時のインダクタンス成分の特性
6 外部磁界0Oe時の抵抗成分の特性
7 外部磁界5Oe時の抵抗成分の特性
8 検出導体のインダクタンス特性
9 外部磁界0Oe時のインピーダンス特性
10 飽和磁界印加時のインピーダンス特性
11 ギャップが0.3ミクロンの抵抗成分の特性
12 ギャップを形成しない場合の抵抗成分の特性
13 外部磁界により変化しない検出導体膜の抵抗成分の特性
14、16 軟磁性体膜
15 検出導体膜
16A 先端部
17 後端領域
18 非磁性膜
19 磁気ヨーク
19A 凹部
20 磁気ギャップ
22、23、24 磁束
25 非磁性膜
26 磁化
28 磁気記録媒体
38a、39a 電極端子
38、39 検出電極端子
47 抵抗
48 高周波発信器
49 高周波増幅器
50 ガラス基板

Claims (4)

  1. 磁気ヨークの磁気記録媒体に対向する面において、磁気ギャップを保って接合した第1の軟磁性体膜、
    前記第1の軟磁性体膜と第2の軟磁性体膜とで導電性薄膜を挟み込み、前記磁気ギャップから離れた位置の少なくとも一部にギャップを設けた一対の軟磁性体膜からなる磁気回路、
    前記導電性薄膜の両端に接続した一対の電極端子、
    前記一対の電極端子に高周波キャリア信号電流と直流電流を同時に印加する手段、及び
    前記一対の電極端子間に生ずる高周波キャリア信号を増幅する高周波増幅器
    を有することを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 前記一対の軟磁性体膜からなる磁気回路の一部に形成したギャップと、前記磁気ヨークと前記第1の軟磁性体膜との間の磁気記録媒体に対向する磁気ギャップとが互いに反対の位置になるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド
  3. 請求項1または2に記載の磁気ヘッド、
    前記磁気ヘッドにより記録されている信号が再生される磁気記録媒体の保持手段、及び
    前記磁気記録媒体上の指定された位置へ磁気ヘッドを位置決めする位置決め手段
    を備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。
  4. 磁気ヨークに磁気ギャップを保って接合した第1の軟磁性体膜、
    前記第1の軟磁性体膜と第2の軟磁性体膜とで導電性薄膜を挟み込み、前記磁気ギャップから離れた位置の少なくとも一部にギャップを設けた一対の軟磁性体膜からなる、外部磁界が印加される磁気回路、
    前記導電性薄膜の両端に接続した一対の電極端子、
    前記一対の電極端子に高周波キャリア信号電流と直流電流を同時に印加する手段、及び
    前記一対の電極端子間に生ずる高周波キャリア信号を増幅する高周波増幅器
    を有することを特徴とする磁気センサー。
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