JP3580704B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関し、特に、燃焼室を反応室よりも下方に設けた燃料電池に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の燃料電池は、図5に示すように、反応容器51内に、空気室仕切板53、燃焼室仕切板55、燃料ガス室仕切板56を設けて、上から空気室A、燃焼室B、反応室C、燃料ガス室Dが形成されている。
【0003】
反応容器51内に収容された複数の有底筒状の燃料電池セル57は、燃焼室仕切板55に形成されたセル挿入孔58に挿入固定されており、また、その内部には空気室仕切板53に固定された空気導入管59の一端が挿入されている。燃焼室仕切板55には、余剰の燃料ガスを燃焼室Bに導入するための燃料ガス噴出孔(図示せず)が形成されており、燃料ガス室仕切板56には、燃料ガスを反応室C内に供給するための供給孔(図示せず)が形成されている。
【0004】
また、反応容器51には、例えば水素からなる燃料ガスを導入する燃料ガス導入口60、空気を導入する空気導入口61、燃焼室B内で燃焼したガスを排出するための排気口63が形成されている。
【0005】
このような燃料電池は、空気室Aからの空気を空気導入管59を介して燃料電池セル57内にそれぞれ供給し、かつ、燃料ガス室Dからの燃料ガスを複数の燃料電池セル57間に供給し、反応室Cにて反応させ、余剰の燃料ガスを燃焼室仕切板55の燃料ガス噴出孔から燃料室B内に噴出せしめ、余剰の空気と燃料ガスを燃焼室Bにて燃焼させ、燃焼したガスを排気口63から外部に排出する。
【0006】
ところで、上記のような燃料電池では、発電時の未反応の空気および燃料ガスが、燃焼室Bにおいて燃焼し、この燃焼により燃焼室B中の空気導入管59を暖め、空気室Aから空気導入管59を介して流れてきた空気の予熱を行なっている。この予熱と発電時に生じる反応熱により、外部から熱を供給することなしに、燃料電池を約1000℃の動作温度に保ち、発電を行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、小型の燃料電池では、トータルの反応熱が大型のものに比べ小さく、約1000℃の動作温度を保てず、発電性能が低下する虞があった。
【0008】
一方、約1000℃の動作温度を保持すべく、発電で消費される燃料ガスを少なくし、その分を燃焼させるためのガスとして供給すると、今度は、発電時の燃料ガス利用効率が低下するという問題があった。
【0009】
また、室温から動作温度である約1000℃まで立ち上げる際は、発電状態でないため反応熱がなく、このため、反応を促進すべく外部において予め空気を暖めて供給する必要があり、空気の予熱時間が長くなるという問題があった。
【0010】
さらに、燃焼室Bでの燃焼により燃料電池セル57を加熱昇温しているため、燃焼室Bに近い燃料電池セル57の開口部65と、燃焼室Bから遠い燃料電池セル57の底部67とで温度差が大きくなるため、温度差により燃料電池セル57が破壊する虞があった。特に急激に昇温すると破壊する虞が高くなるという問題があった。
【0011】
本発明は、発電時の未反応ガスの燃焼により生じる熱の利用効率を高めることができる燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池は、反応容器内に燃焼室仕切板を設けて反応室と該反応室よりも下方に燃焼室を形成し、複数の有底筒状の燃料電池セルを、前記燃焼室仕切板に形成された複数のセル挿入孔に、前記燃料電池セルの開口部が前記燃焼室に開口するようにそれぞれ挿入してなり、酸素含有ガスを前記燃料電池セル内にそれぞれ供給し、かつ、燃料ガスを前記反応室内の前記燃料電池セル間に供給して反応させ、余剰の燃料ガスを前記燃焼室仕切板に形成された燃料ガス噴出孔から前記燃焼室内に噴出させ、該余剰の燃料ガスと前記燃焼室内の酸素含有ガスを燃焼させるものである。
【0013】
ここで、燃焼室の燃焼ガスの排気口を前記燃焼室よりも上方に設けてなることが望ましい。また、燃料電池セルの底部に突起を形成するとともに、反応室にセル底部挿入孔が形成された燃料ガス室仕切板を設け、該燃料ガス室仕切板のセル底部挿入孔に前記燃料電池セルを挿入し、前記セル底部挿入孔近傍の燃料ガス室仕切板上面に、前記燃料電池セル底部の突起を係合せしめることが望ましい。
【0014】
【作用】
本発明の燃料電池では、燃焼室において未反応ガスの燃焼が行われるが、燃焼室を反応室の下方に形成したので、燃焼室中の空気導入管を暖め、空気室から流れてきた空気導入管中の空気の予熱を行うと同時に、燃料電池セルの下方に熱源である燃焼室があるために、その熱により直接燃料電池セルを暖めることが可能になる。
【0015】
また、燃焼室の燃焼ガスの排気口を燃焼室よりも上方に設けることにより、燃焼ガスを反応容器側面を介して排気口から排気させることができ、これにより反応容器全体を保温することも可能になる。このため、燃料電池起動時の昇温に関しても熱源が下方にあることと、その燃焼ガスにより燃料電池全体を昇温できるため、燃料電池において温度むらが少なく、温度差による燃料電池セルの破壊を防止できるとともに、急速な昇温が可能となる。
【0016】
さらに、燃料電池セルの底部に突起を形成するとともに、反応室にセル底部挿入口が形成された燃料ガス室仕切板を設け、セル底部挿入孔近傍の燃料ガス室仕切板上面に、セル底部挿入孔に挿入された燃料電池セルの底部の突起を係合せしめることにより、燃料電池セルが燃料ガス室仕切板に吊り下げられた構造となり、燃料電池セルに自重による荷重が作用せず、昇温時の破壊や発電時の破壊をさらに抑制することができ、耐久性に優れた燃料電池を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料電池を図1に基づいて説明する。図において、符号1は反応容器を示している。この反応容器1内には、空気室仕切板2、燃焼室仕切板3、燃料ガス室仕切板5が設けられ、下から空気室A、燃焼室B、反応室C、燃料ガス室Dが形成されている。
【0018】
また、この反応容器1には、例えば水素からなる燃料ガスを導入する燃料ガス導入口6が燃料ガス室Dに開口しており、一方、例えば空気からなる酸素含有ガスを導入する空気導入口7が空気室Aに開口している。
【0019】
そして、反応容器1には、複数の有底筒状の燃料電池セル8の底部12が燃料ガス室仕切板5のセル底部挿入孔13に挿入され、また、開口部15が燃焼室仕切板3のセル挿入孔17に挿入されて支持されている。燃料電池セル8の底部12には、図1および図2(a)に示すように、突起19が形成されており、この突起19がセル底部挿入孔13近傍の燃料ガス室仕切板5に係合しており、これにより燃料電池セル8が吊り下げられている。
【0020】
尚、突起19は、図2(b)に示すように円筒状のセルにキャップ21を被せることにより形成するとともに、底部を封止しても良いし、また、図2(c)に示すように有底筒状の燃料電池セル8の底部12を突出して形成しても良い。
【0021】
空気室仕切板2には、空気導入管21が空気導入管挿入孔23に挿入され固定されており、その上端部は、燃料電池セル8内に挿入されている。また、空気導入管21には突起25が形成されており、この突起25が空気室仕切板2に係合し、空気導入管21の落下を防止している。
【0022】
また、燃焼室仕切板3には、燃料電池セル8間を通過した余剰の燃料ガスを燃焼室B内に導入する燃料ガス噴出口(図示せず)が形成され、さらに、燃料ガス室仕切板5には、燃料ガスを反応室C内に供給する燃料ガス噴出孔(図示せず)が形成されている。
【0023】
そして、反応容器1両側面には燃焼室B内で燃焼した排ガスを上方に導く排気用通路31が形成され、燃料ガス室Dの側方には排気口33が形成されている。
【0024】
また、燃料電池セル8は、図3に示すように、例えば、支持管としてのLaMnO3 系空気極41と、この空気極41の表面に形成されたY2 O3 安定化ZrO2 からなる固体電解質42と、固体電解質42の表面に形成されたNi一ジルコニア系の燃料極43と、空気極41と電気的に接続されるLaCrO3 系よりなるインターコネクタ44とから構成されている。
【0025】
この燃料電池セル8は、図4に示すように、一方の燃料電池セル8のインターコネクタ44を、他方の燃料電池セル8の燃料極43にNi金属繊維等の接続部材45を介して接続し、複数の燃料電池セル8が電気的に接続され、スタック47が構成されており、このようなスタック47が、図1に示したように、反応容器1内に複数収容されて燃料電池が構成されている。
【0026】
反応容器1内には、一つの燃料電池セル8のインターコネクタ44に接続された電極(図示せず)と、他方の燃料電池セル8の燃料極43に接続された電極(図示せず)が配置されており、これらの電極を介して電力が取り出される。
【0027】
以上のように構成された燃料電池では、空気室Aからの空気を空気導入管21を介して燃料電池セル8内にそれぞれ供給し、かつ、燃料ガス室Dからの燃料ガスを複数の燃料電池セル8間に供給し、反応室Cにて反応させ、余剰の燃料ガスを燃焼室仕切板3の燃料ガス噴出孔から燃料室B内に噴出せしめ、余剰の空気と燃料ガスを燃焼室Bにて燃焼させ、燃焼ガスを排気用通路31を介して、燃料ガス室Dの側方まで導き、排気口33から排出される。
【0028】
従って、本発明の燃料電池では、反応室Cの下方に燃焼室Bが位置する構造であるため、燃焼室Bにおける未反応ガスの燃焼により、燃焼室B中の空気導入管21を暖め、空気導入管21中の空気の予熱を行うと同時に、燃料電池セル8の下方に熱源があるために、その熱により直接燃料電池セル8を暖めることができる。
【0029】
また、燃焼ガスの排気口33を燃焼室Bよりも上方の反応室Dの側方に設けることにより、燃焼ガスを反応容器1の側面に形成された排気用通路31を介して排気口33から排気させることができ、これにより反応容器1全体を保温することができる。このため、燃料電池起動時の昇温に関しても熱源が下方にあることと、その排ガスにより燃料電池全体を昇温できるため、燃料電池において温度むらが少なく、温度差による燃料電池セル8の破壊を防止できるとともに、急速に昇温できる。
【0030】
さらに、燃料電池セル8の底部12に突起19を形成するとともに、反応室Cにセル底部挿入孔13が形成された燃料ガス室仕切板5を設け、セル底部挿入孔13近傍の燃料ガス室仕切板5に、セル底部挿入孔13に挿入された燃料電池セル8の底部12の突起19を係合せしめることにより、燃料電池セル8が燃料ガス室仕切板5に吊り下げられた構造となり、燃料電池セル8自身の自重による応力から開放され、燃料電池セル8に無理な荷重が作用せず、昇温時破壊や発電時破壊を防止することができ、耐久性に優れた燃料電池を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の燃料電池では、反応容器下方に燃焼室を形成するため、燃焼ガスを利用し、保温性と同時に燃料電池内の温度むらを減少させ、小型の燃料電池でも、外部からの熱の供給なしに動作させることができるとともに、燃料電池の均熱化と保温性を向上できる。さらに燃料電池セルを吊り下げる構造としたため、自重等による応力の発生が小さく、急速立ち上げに対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の模式図である。
【図2】本発明の燃料電池セルの突起を説明するための断面図である。
【図3】燃料電池セルを示す断面図である。
【図4】燃料電池セルのスタックを示す断面図である。
【図5】従来の燃料電池の模式図である。
【符号の説明】
1・・・反応容器
2・・・空気室仕切板
3・・・燃焼室仕切板
5・・・燃料ガス室仕切板
8・・・燃料電池セル
19・・・突起
21・・・空気導入管
33・・・排気口
Claims (3)
- 反応容器内に燃焼室仕切板を設けて反応室と該反応室よりも下方に燃焼室を形成し、複数の有底筒状の燃料電池セルを、前記燃焼室仕切板に形成された複数のセル挿入孔に、前記燃料電池セルの開口部が前記燃焼室に開口するようにそれぞれ挿入してなり、酸素含有ガスを前記燃料電池セル内にそれぞれ供給し、かつ、燃料ガスを前記反応室内の前記燃料電池セル間に供給して反応させ、余剰の燃料ガスを前記燃焼室仕切板に形成された燃料ガス噴出孔から前記燃焼室内に噴出させ、該余剰の燃料ガスと前記燃焼室内の酸素含有ガスを燃焼させることを特徴とする燃料電池。
- 燃焼室の燃焼ガスの排気口を前記燃焼室よりも上方に設けてなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 燃料電池セルの底部に突起を形成するとともに、反応室にセル底部挿入孔が形成された燃料ガス室仕切板を設け、該燃料ガス室仕切板のセル底部挿入孔に前記燃料電池セルを挿入し、前記セル底部挿入孔近傍の燃料ガス室仕切板上面に、前記燃料電池セル底部の突起を係合せしめたことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池。
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