JP3580596B2 - 放射性廃棄物の処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、原子力発電所等から発生する放射性廃棄物の処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所等から発生する放射性の雑固体廃棄物の最終処理方法として、放射性廃棄物をセラミック容器に収納して加熱溶融し、そのまま冷却してガラス固化体としたうえ、セラミック容器とともにドラム缶に収納する方法が有力視されている。この場合、放射性物質の飛散を防止するために溶融は完全密閉構造の炉体の内部で行われている。またその冷却過程においても、溶融面より低融点の放射性物質の揮発が生ずるため、従来は1500℃程度の高温に加熱されたセラミック容器はそのまま炉体内において冷却ガスを導入し常温付近まで冷却されていた。
【0003】
このため、高温のセラミック容器の冷却に長時間を要することとなり、その間は炉体が占有されてしまうために次の放射性廃棄物の溶融処理ができず、処理作業の能率が悪いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、外部に放射性物質を飛散させることなく、能率的に放射性廃棄物の溶融と固化とを行わせることができる放射性廃棄物の処理システムを提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性廃棄物の処理システムは、セラミック容器に収納された放射性廃棄物を加熱溶融する炉体の側方に、高温のセラミック容器の冷却室を設けるとともに、この冷却室に高温のセラミック容器を強制冷却するための冷却ガス供給系と溶融面から生じる揮発物を前記冷却排ガスとともに処理するための排ガス処理系とを接続し、前記炉体における放射性廃棄物の加熱溶融とこの冷却室における冷却固化とを平行して実施可能としたことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
本発明の放射性廃棄物の処理システムによれば、炉体の内部において放射性廃棄物を加熱溶融したセラミック容器を、その側方の冷却室に移動し、この冷却室に接続された冷却ガス供給系から供給される冷却ガスによって冷却固化させることができる。また、この際に溶融面より生ずる揮発物は排ガス処理系において冷却ガスとともに処理されるので、外部に漏洩するおそれはない。このように、本発明によれば冷却を炉体の内部で行う必要がないので、冷却と次の放射性廃棄物の溶融とを平行して行うことができ、放射性廃棄物処理の能率を大幅に向上させることができる。
【0007】
【実施例】
以下に本発明を図示の実施例によって更に詳細に説明する。
図1において、1は密閉構造の炉体であり、2はその内部の支台、3は支台2上に置かれたセラミック容器、4はこのセラミック容器3を誘導加熱するための誘導加熱コイルである。この炉体1の上方には廃棄物供給系5が設置されており、セラミック容器3の内部に放射性廃棄物を所定量ずつ供給し、誘導加熱コイル4によって約1500℃の高温で順次溶融させるようになっている。
【0008】
6は炉体1に接続された排ガス処理系である。この排ガス処理系6は例えばセラミックフィルタとHEPAフィルタとを備えたものであり、炉体1から排出されるガス中の放射性物質を完全に除去することができる機能を有するものである。なお必要に応じて、アフターバーナや煙道スプレー等を付設することもできる。この排ガス処理系6によって、放射性廃棄物の投入時や溶融時にセラミック容器3から発生する放射性物質は除去されることとなる。
【0009】
7はこの炉体1の側方に設置された冷却室である。冷却室7も密閉可能な構造物であり、実施例では鋼鉄製の壁面の内面に耐火ライニングを施し、耐熱性を持たせてある。また炉体1と冷却室7との間には扉8が設けてあり、炉体1の内部で高温に加熱されたセラミック容器3をそのまま冷却室7へ移動させることができる構造となっている。
【0010】
この冷却室7には、冷却ガス供給系9が接続されている。冷却ガスとしては空気を用いるのが一般的であるが、水蒸気その他の冷却ガスを使用してもよい。冷却室7へ移送された高温のセラミック容器3は、この冷却ガス供給系9から冷却室7内へ供給される冷却ガスによって強制冷却され、溶融物は迅速に固化される。このとき、溶融物の表面から揮発する放射性物質は冷却ガスとともに冷却室7に接続された排ガス処理系6によって処理される。なお、この実施例では炉体1の排ガス処理系6をそのまま利用しているが、冷却室7のための専用の排ガス処理系を設けてもよいことはいうまでもない。
【0011】
このように構成された本発明の放射性廃棄物の処理システムにおいては、まず炉体1の内部においてセラミック容器3の内部に廃棄物供給系5により放射性廃棄物を供給し、誘導加熱コイル4でセラミック容器3を加熱して放射性廃棄物を溶融し、ガラス化する。次に高温のセラミック容器3は炉体1の側方の冷却室7へ移送され、冷却ガス供給系9から冷却室7内へ冷却ガスを噴出するとともに、排ガス処理系6によって排ガスを除去する。これにより高温のセラミック容器3は急速に冷却され、放射性廃棄物の溶融体は固化される。また固化の工程において溶融物の表面から揮発する放射性物質も排ガス処理系6によって完全に捕捉されるので、周囲の環境を汚染するおそれはない。
【0012】
上記のように、本発明では高温のセラミック容器3の冷却を炉体1とは別の冷却室7において行なうので、炉体1の内部に次のセラミック容器3を装入し、冷却と平行して次の溶融を行なわせることができる。このため、従来のように炉体1の内部で冷却を行なわせていた放射性廃棄物の処理システムに比較して、処理能率を格段に向上させることができる。なお、冷却されたセラミック容器3はそのままドラム缶に詰められ、セラミック容器3とドラム缶との間隙にモルタルを充填して最終処理体となる。
【0013】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の放射性廃棄物の処理システムは外部に放射性物質を飛散させることなく、能率的に放射性廃棄物の溶融と固化とを平行して行わせることができる利点があり、今後発生量の増大が予想される放射性廃棄物の処理システムとして価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 炉体、2 支台、3 セラミック容器、4 誘導加熱コイル、5 廃棄物供給系、6 排ガス処理系、7 冷却室、8 扉、9 冷却ガス供給系

Claims (2)

  1. セラミック容器に収納された放射性廃棄物を加熱溶融する炉体の側方に、高温のセラミック容器の冷却室を設けるとともに、この冷却室に高温のセラミック容器を強制冷却するための冷却ガス供給系と溶融面から生じる揮発物を前記冷却排ガスとともに処理するための排ガス処理系とを接続し、前記炉体における放射性廃棄物の加熱溶融とこの冷却室における冷却固化とを平行して実施可能としたことを特徴とする放射性廃棄物の処理システム。
  2. 冷却室の排ガス処理系を炉体の排ガス処理系と共用させた請求項1に記載の放射性廃棄物の処理システム。
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