JP3580516B2 - 車両用灯火器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用灯火器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用灯火器には、ヘッドランプ、テールランプ、方向指示ランプ(ターンシグナルランプ)など多種のランプがある。
図7は従来の方向指示ランプの概略正面図であり、方向指示ランプ100は、電球としてのバルブ101を、奥のカップ状ベース102と手前のクリアレンズ103とで形成した空間に配置したものである。
このクリアレンズ103は良透明度の樹脂製レンズであり、光透過性が良いのでバルブ101の光を効率よくレンズの外へ放射することができること、奥行感を出すことができるという特徴がある。
【0003】
(a)では、パッキンが内側へはみ出さぬように設けたパッキンフック105・・・(・・・は複数個を示す。以下同様)がクリアレンズ103を通して見えることを示す。これでは、やや見栄えが悪い。
そこで、(b)ではマスク106を介在させて、前記パッキンフック105・・・をカバーするようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼、(b)に示したマスク106を採用すると見栄えは良くなるがマスク106の分だけ部品数が増し、取付けのために構造を工夫しなければならなくなる。
▲2▼、前記クリアレンズ103を樹脂の射出成形法で製造すると、射出ゲートの付近に疵やひけなどの小さな欠陥が出ることがあり、欠陥の程度によっては廃棄処分せざるをえないので製造上の歩留りを上げるには高い技術が要求される。
▲3▼、正面から見てクリアレンズ103の中央部は配光特性上明るいが、クリアレンズ103の周縁部は比較的暗く、光のむらが出やすい。
そこで、本発明の目的は、部品数を増さず、歩留りの高い、光のむらの出にくい車両用灯火器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、レンズとバルブとリフレクタとからなる車両用灯火器において、リフレクタは配光特性を決めるためのカット面を備えたマルチリフレクタであり、レンズは中央部をクリアレンズ部とし、このクリアレンズ部の周縁部を、乱反射を促す凹凸を形成してなるカット部とし、バルブは、クリアレンズ部に臨んで、側方から取付けるとともに、このバルブを支えるソケットは、カット部にラップさせて、外から見えないようにし、リフレクタは、周辺にマスク部を設けずにクリアレンズ部に対応する大きさにしたことを特徴とする。
車両用灯火器は、方向指示ランプである。若しくは車両用灯火器は、テールランプである。又は、車両用灯火器は、自動二輪車に搭載するランプであることを特徴とする。
【0006】
周縁部を、乱反射を促す凹凸を形成してなるカット部としたことにより、このカット部で従来のマスクの作用を兼ねさせることができ、マスクを必要としないので部品数の増加を抑えることができる。
また、射出成形に伴なって発生が予想される欠陥をカット部に集中させれば欠陥は目立たなくなり、商品性を保つことができ、製造上の歩留りを向上させることができる。
さらには、カット部で光を乱反射させることにより、周縁部に発生し勝ちな光のむらを無くすことが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る自動二輪車の平面図であり、自動二輪車1は、前輪2の上方に速度計3及び回転計4を備え、これら速度計3及び回転計4の後方に燃料タンク5、そして乗員シート6を備え、灯火器としてヘッドランプ7、前部方向指示ランプ8,8、後部方向指示ランプ9,9及びテールランプ11を備えた典型的な二輪車である、
なお、図中、12は操向ハンドル、13,13はステップ、14,14はマフラである。
【0008】
図2は本発明に係る車両用灯火器の第1実施例としての方向指示ランプの断面図であり、図1に示した前部方向指示ランプ8及び後部方向指示ランプ9を、方向指示ランプ20と読み替えて説明する。
方向指示ランプ20は、バルブ21と、マルチリフレクタ作用をなすカット面22・・・を備えたマルチリフレクタ23を兼ねるカップ状ベース24と、このカップ状ベース24にパッキン25を介し、ねじ26で取付けたレンズ30とからなる。27はソケット、28はハーネスである。
マルチレイフレクタとは、レンズとリフレクタとを組合わせたランプにおいて、リフレクタ側で配光を決めるものであり、それを実現するためにカット面22・・・を備えたリフレクタ(反射鏡)をいう。
【0009】
図3は本発明に係る方向指示ランプの正面図であり、レンズ30は、アクリル樹脂成形品であり、バルブ21に臨む中央部をクリアレンズ部31とし、このクリアレンズ部11の周縁部を魚眼カット部32としたことを示す。
クリアレンズ部31は、透明な樹脂の平坦面もしくは複数の平坦面を折り曲げ線で単純に連結した形態のレンズであり、乱反射を促す凹凸を有しないものを指す。クリアレンズ部31を通じて内部のバルブ21などを外から覗く(鮮明、不鮮明は問わない)ことができる。
魚眼カット部32は、乱反射を促す凹凸を裏面に形成したものであり、この魚眼カット部32を通じて内部のバルブ21等を外から見ることはできない。
【0010】
以上の構成から方向指示ランプ20の作用を次に説明する。
図4は図2の4−4線断面図であり、バルブ21を点灯すると、クリアレンズ部31は直接光及び反射光を直接透過させるため明るくなる。一方、魚眼カット部32,32は直接光及び反射光を乱反射させたのち透過させるために、全体的、平面的に輝き、明度は下がるものの局部的に暗くなることはなく、結果として光のムラは発生しない。
このように、クリアレンズに発生し勝ちな光のむらの発生を防止することができる。
【0011】
また、魚眼カット部32を通じてパッキンフック29が見えることはなく、また、クリアレンズ部31を通して▲1▼のごとく外から覗いたとしても、パッキンフック29を見る心配はない。従って、パッキンフック29を隠すためのマスクは不要である。
【0012】
さらに、樹脂成形の為の射出ガンを魚眼カット部32に臨ませれば、仮に射出成形に伴う欠陥が発生しても、この欠陥を魚眼カット部32でカモフラージュできる。
従って、製造上の歩留りを上げることができる。
【0013】
図5(a)〜(d)は本発明に係る車両用灯火器の第2実施例としてのテールランプの説明図、ただし(a),(b)は比較図であり、(c),(d)が第2実施例図である。
【0014】
(a)は従来のテールランプ110の正面図であり、レンズ111は全面的に魚眼カットレンズ化したものである。破線で示した円112,112は点灯時の明るい面を示し、2つのバルブが点灯しているイメージを与えるものである。
(b)は(a)の断面図であり、2つのバルブが点灯しているイメージを与えるために、バルブ113,113の各々にリフレクタ114,114を取付けたことを示す。
このようにリフレクタ114,114が互いに独立しているため、非リフレクタ部分115,115,115が発生し、これら非リフレクタ部分115,115,115は反射に関わらないデットエリアとなる。
【0015】
(c)は本発明に係るテールランプ40の正面図であり、図1で述べたテールランプ11に相当するテールランプ40において、レンズ41にクリアレンズ部42,42と魚眼カット部43とを形成したものであり、クリアレンズ部42,42は明るく、魚眼カット部43は比較的暗くなるため2つのバルブが点灯しているイメージを与えることができる。
(d)は(c)の断面図であり、マルチリフレクタ44は十分に大きな面積のものを採用することが可能である。2つのバルブ45,45が点灯しているイメージをレンズ側で決めたからである。
【0016】
第2実施例においては、リフレクタ44の面積を稼ぐことができること、クリアレンズ部42,42を有するので投光効率が良いことから、小出力のバルブ45,45で十分なライティング特性を得ることができる。
【0017】
図6(a)〜(d)は本発明に係る車両用灯火器の第3実施例としてのヘッドランプの説明図、ただし(a),(b)は比較図であり、(c),(d)が第2実施例図である。
(a)は従来のヘッドランプ120の正面図であり、レンズ121は全面的にクリアレンズ化したものである。
(b)は(a)の断面図であり、レンズ121とマルチリフレクタ122との繋ぎの部分をマスク123,123で化粧したことを示す。
このようなマスク123を設けることにより、部品点数が増加し、取付けが面倒になるなどの課題が発生する。
【0018】
(c)は本発明に係るヘッドランプ50の正面図であり、図1で示したヘッドランプ7に相当するヘッドランプ50において、レンズ51にクリアレンズ部52と魚眼カット部53とを形成したものである。
(d)は(c)の断面図であり、クリアレンズ部52の周囲に魚眼カット部53を配置したので、(b)に示したマスク123を除くことができる。
54はマルチリフレクタ、55はバルブである。
【0019】
尚、請求項1に記載した魚眼カット部は、レンズに乱反射の為の凹凸を形成したものであればよく、例えばモザイクカット、ダイヤカット、魚鱗カット、複眼カット、梨地処理と称するものであってもよい。
また、本発明の車両用灯火器構造は二輪車の灯火器のみならず、一般車両の灯火器に広く採用することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、レンズとバルブとリフレクタとからなる車両用灯火器において、リフレクタは配光特性を決めるためのカット面を備えたマルチリフレクタであり、レンズは中央部をクリアレンズ部とし、このクリアレンズ部の周縁部を、乱反射を促す凹凸を形成してなるカット部とし、バルブは、クリアレンズ部に臨んで、側方から取付けるとともに、このバルブを支えるソケットは、カット部にラップさせて、外から見えないようにし、リフレクタは、周辺にマスク部を設けずにクリアレンズ部に対応する大きさにしたことを特徴とする。
【0021】
周縁部を、乱反射を促す凹凸を形成してなるカット部としたことにより、このカット部で従来のマスクの作用を兼ねさせることができ、マスクを必要としないので部品数の増加を抑えることができる。
また、射出成形に伴なって発生が予想される欠陥をカット部に集中させれば欠陥は目立たなくなり、商品性を保つことができ、製造上の歩留りを向上させることができる。
さらには、カット部で光を乱反射させることにより、周縁部に発生し勝ちな光のむらを無くすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の平面図
【図2】本発明に係る車両用灯火器の第1実施例としての方向指示ランプの断面図
【図3】本発明に係る方向指示ランプの正面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】本発明に係る車両用灯火器の第2実施例としてのテールランプの説明図
【図6】本発明に係る車両用灯火器の第3実施例としてのヘッドランプの説明図
【図7】従来の方向指示ランプの概略正面図
【符号の説明】
7,50…車両用灯火器(ヘッドランプ)、8,9,20…車両用灯火器(方向指示ランプ)、11,40…車両用灯火器(テールランプ)、21,45,55…バルブ、22…カット面、23,44,54…マルチリフレクタ、30,41,51…レンズ、31,42,52…クリアレンズ部、32,43,53…魚眼カット部。
Claims (4)
- レンズとバルブとリフレクタとからなる車両用灯火器において、
前記リフレクタは配光特性を決めるためのカット面を備えたマルチリフレクタであり、
前記レンズは中央部をクリアレンズ部とし、このクリアレンズ部の周縁部を、乱反射を促す凹凸を形成してなるカット部とし、
前記バルブは、前記クリアレンズ部に臨んで、側方から取付けるとともに、
このバルブを支えるソケットは、前記カット部にラップさせて、外から見えないようにし、
前記リフレクタは、周辺にマスク部を設けずにクリアレンズ部に対応する大きさにしたことを特徴とする車両用灯火器。 - 前記車両用灯火器は、方向指示ランプであることを特徴とする請求項1記載の車両用灯火器。
- 前記車両用灯火器は、テールランプであることを特徴とする請求項1記載の車両用灯火器。
- 前記車両用灯火器は、自動二輪車に搭載するランプであることを特徴とする請求項1記載の車両用灯火器。
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