JP3580345B2 - 常温収縮チューブ - Google Patents

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直樹 石塚
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆電線の露出した接続部に装着してこれを被覆保護するために用いられ、常温で弾性力により縮径することができる常温収縮チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
銅線等の導体を備える電線は、その表面全体がゴム等の絶縁体によって被覆され被覆電線として用いられているのが通常である。しかしながら、このような被覆電線を数本継ぎ足して延長使用する場合には、導体の接続部が露出してしまい、これを被覆保護するために従来よりさまざまな方法が提案されている。
【0003】
その一手段として、図15に示されるような常温収縮チューブの構造が知られている。図15に示される常温収縮チューブ100は、ゴム状弾性体チューブ110とそのゴム状弾性体チューブ110の端部を拡径してその中に装着されるインナーコア120とを有している。インナーコア120は図示のごとくそれ自体にスパイラル状の切れ目121が予め入れられており、引き出し部125を引っ張ることによって、筒状のインナーコア120がスパイラル状の切れ目121に沿って帯状に解けていき、これによって、予め拡径されていたゴム状弾性体チューブ110の端部は徐々に縮径されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15に例示される従来の常温収縮チューブ100の構成では、引き出し部125を引っ張りながらインナーコア120をスパイラル状の切れ目121沿って解いていくのに非常に大きな引っ張り力を必要とする。また、一気にインナーコア120を除去することができないため時間がかかり、決して作業性が良いと言えるものではない。
【0005】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、簡易な構造で生産性に優れ、実際の操作に際して作業性が極めて優れる常温収縮チューブを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明の常温収縮チューブは、拡径および縮径可能な筒状の弾性体本体と、この弾性体本体を拡径するように弾性体本体の内部に挿入される筒状のインナーコアと、この筒状のインナーコアを引き出すとともに拡径された弾性体本体を縮径させるための引き出しフィルムを有し、前記引き出しフィルムが、筒状のインナーコアの外周面に被着される被着面部と、この被着面部に連接され帯状または紐状に延びる引き抜き部を備え、当該引き抜き部が前記筒状のインナーコアの内部空洞部を通過して外部に延出してなるように配置されて構成される。
【0007】
また、前記インナーコアおよび前記引き出しフィルムは、前記筒状の弾性体本体の両端部に装着されてなるように構成される。
【0008】
また、本発明の好ましい態様として、前記引き出しフィルムは、その被着面部および引き抜き部が同一フィルムから一体的に形成されており、被着面部および引き抜き部の連接部分には応力集中がかからないようになだらかな湾曲部が形成されて構成される。
【0009】
また、本発明の好ましい態様として、前記引き出しフィルムは、その被着面部に別体の引き抜き部を接合して形成される。
【0010】
また、本発明の好ましい態様として、前記引き出しフィルムの片側面(インナーコアの外周面に接する側)には、離型性処理が施されて構成される。
【0011】
また、本発明の好ましい態様として、前記筒状のインナーコアの外周面と、前記引き出しフィルムの被着面部との間には、離型紙が介在されて構成される。
【0012】
また、本発明の好ましい態様として、前記筒状のインナーコアの内部空洞部を通過して外部に延出された引き出しフィルムの引き抜き部は、筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返され、固定部材によって一時的に固定されるように構成される。
【0013】
また、本発明の好ましい態様として、前記固定部材は、周方向の一部に切欠部を有するOリングであり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアとともに、前記Oリングを被着させることによって、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれるように構成される。
【0014】
また、本発明の好ましい態様として、前記固定部材は、リング状のキャップであり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアとともに、前記リング状のキャップを被着させることによって、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれるように構成される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様として、前記固定部材は、U字型クリップであり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、折り返し端部で、引き抜き部とともに筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアの肉厚部をU字型クリップで挟み込むようにして挿着させ、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれるように構成される。
【0016】
また、本発明の好ましい態様として、前記固定部材は、筒状のインナーコアの端部に形成されたスリット状の切欠部であり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、前記スリット状の切欠部に挿入するとともに係止させ、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれるように構成される。
【0017】
また、本発明の好ましい態様として、前記固定部材は、片面に粘着部を備えるテープ片であり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、テープ片で筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアに貼り付けることによって、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれるように構成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の常温収縮チューブの一実施形態を示す概略断面図(端面図)である。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の常温収縮チューブ1は、被覆電線の露出した接続部にソケット装着される拡径および縮径可能な筒状の弾性体本体2を有している。
【0020】
この弾性体本体2は、例えばゴム等の伸縮性を有する絶縁体材料により形成されている。この弾性体本体2は、被覆電線の露出した接続部を覆うとともにソケット装着部を形成するに足りる十分な長さLを有しており、その内径R1は、一般に電線被覆部の外径よりも小さく形成されている。
【0021】
この弾性体本体2の通常、両端部には、被覆電線の接続部への装着が容易になるように、その両端部に配置してこれらの部分を強制的に拡径するためのインナーコア3が挿入されている。本実施の形態において、このインナーコア3は、図3に示されるように、縦半割の筒状を呈する一対の分割インナーコア3a,3bによって構成され、これらのものは例えばプラスチック材料等により形成されている。これら分割インナーコア3a,3bを型合わせすることにより、インナーコア3は全体として筒状を形成する。分割インナーコア3a,3bは最初から完全に分割されている構造であってもよいし、後から外力を加えることにより簡単に分割できるような構造としてもよい。インナーコア3は、後述する引き出しフィルム5との滑り性を良好にするために、各種の樹脂材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート等が用いられる。
【0022】
インナーコア3の内径R2(図1)は、弾性体本体2が被覆電線の接続部へ容易に装着できるように、通常、被覆電線の外径よりも大きく設定される。なお、本実施形態においては、インナーコア3を二分割のインナーコア3a,3bにより形成しているが(図3)、これに限るものではなく、それ以上の数に分割して形成しても良い。
【0023】
これら分割インナーコア3a,3bを型合わせして形成された筒状のインナーコア3には、この筒状のインナーコア3を引き出すとともに拡径された弾性体本体を縮径させるための引き出しフィルム5が組み合わされる。本発明においては、この引き出しフィルム5の形態および使用の仕方に特徴がある。
【0024】
本発明に用いられる引き出しフィルム5の好適な一例が図2に示される。この図に示されるように、引き出しフィルム5は、略4角シート状の被着面部51と、この被着面部51に連接され帯状または紐状に延びる引き抜き部55を備えている。略4角シート状の被着面部51は後述するように前記筒状のインナーコア3の外周面に被着されるように使用される。図2に示される好適な実施の形態では、被着面部51および引き抜き部55が同一フィルムから一体的に形成されている。これにより生産性等の向上が図られる。さらに、被着面部51および引き抜き部55の連接部分には、応力集中がかからないようになだらかな湾曲部Rが形成されている。引き抜き部55は、幅2〜20mm程度、長さ10〜200mm程度とされる。
【0025】
このような引き出しフィルム5は、各種の樹脂をフィルム状に成形した後、例えば所定形状に打ち抜き処理して製造される。用いられる樹脂の材料および構成態様としては、比較的引っ張り強度の大きい、例えば、▲1▼ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリプロピレン(OPP)をそれぞれ単独のいわゆる単層体として使用したり、▲2▼前記ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリプロピレン(OPP)のいずれか一方をベースとして、これに未延伸ポリプロピレン(CPP),ポリエチレン(PE),ナイロン,および線状低密度ポリエチレン(LLPE)の中から任意に選択した1種の樹脂を積層して使用したり、▲3▼前記ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリプロピレン(OPP)のいずれか一方をベースとして、これに未延伸ポリプロピレン(CPP),ポリエチレン(PE),ナイロン,および線状低密度ポリエチレン(LLPE)の中から任意に選択した2種以上の樹脂を積層して使用したりすることが好適例として挙げられる。
【0026】
さらに、上記材料をフィルムの基材として、この基材フィルムの表面にさらに別の改質層を設けたり、表面処理を施したりすることもできる。例えば、この引き出しフィルム5の片側面(インナーコア3の外周面に接する側)には、離型性処理を施しておくことが好ましい。離型性処理としては、例えば、特に、滑り性の良好な特性を有する延伸ポリプロピレン(OPP)層や、ポリエチレンテレフタレート(PET)層を積層して形成すればよい。離型性処理を施しておくことにより、後述する離型紙の使用を省略させることができ、材料費の低減や、工程の簡略化が図られる。なお、離型性の特性に優れる材料そのものからから引き出しフィルム5を形成すれば、あえて表面の離型性処理を行う必要はない。この場合、基材と離型性処理層が一種類の材料で兼用された形となる。このような引き出しフィルム5の厚さは、10〜500μm程度に設定される。
【0027】
上述してきたインナーコア3と引き出しフィルム5は一旦組み合わされて、筒状の弾性体本体2の中に装着される。装着される前の状態が、図3および図4に示される。図3は、引き出しフィルム5をインナーコア3に被着させる状態を示す斜視図であり、図4は、インナーコア3と引き出しフィルム5の組み合わせが完了した状態を示す斜視図である。図3に示されるように引き出しフィルム5の略4角シート状の被着面部51は、筒状のインナーコア3の外周面をぐるりと一周巻くように被着される。この時、巻かれた被着面部51が解けるのを防止するために、被着面部51の端部近傍をスポット的に融着させておいてもよい。
【0028】
次いで、図4に示されるように、引き出しフィルム5の帯状の引き抜き部55は、筒状のインナーコア3の内部空洞部Eの中を通過して外部に延出される。つまり、帯状の引き抜き部55は、インナーコア3の内部空洞部Eの中を通って最初に位置した方向とは反対側の外部に延出される。このような組み合み込みは、極めて簡単に行なうことができる。このようにして、インナーコア3と引き出しフィルム5の組み合わせが完了した後、この一体化物は、筒状の弾性体本体2の中に両端からそれぞれ装着され(装着方向は図4の矢印方向)、図1に示されるような本発明の常温収縮チューブ1の構成に至る。なお、インナーコア3と引き出しフィルム5の組み合わせ一体化物を弾性体本体2の中に装着するに際しては、通常、弾性体本体2の端部を拡径させるための拡径治具が用いられる。
【0029】
上述してきた本発明の常温収縮チューブ1は、被覆電線の露出した接続部にソケット装着してこれを保護する継ぎ手として使用される。この使用方法の一例を、図5〜図7を参照しつつ説明する。
【0030】
まず、接続しようとする2つの被覆電線16a,16bを準備する。最初に一方の被覆電線16a側に、常温収縮チューブ1を完全に通す。この操作は弾性体本体2の両端部がインナーコア3の挿入により強制的に拡径されているので容易に行なうことができる。しかる後、もう一方の被覆電線16bを突き合わせて接続部17を構成する(図5の状態に至る)。次いで、図6に示されるように、常温収縮チューブ1を被覆電線16a,16bの接続部17の位置までスライド移動させ、接続部17を常温収縮チューブ1で覆う。しかる後、引き出しフィルム5の帯状の引き抜き部55をそれぞれ矢印方向(イ)に引っ張り、インナーコア3を引き出しフィルム5とともに引き抜いて、ソケット装着する(図7の状態に至る)。この際、本発明においては、引き出しフィルム5を上記のように構成しているので、引き出しフィルム5とインナーコア3の滑りを利用して一気にインナーコアを抜くことができる。また、引き出しフィルム5の帯状の引き抜き部55は全周ではなく一カ所なので引っ張り易く、しかも邪魔にならない。被覆電線16a,16bは、最終的に図7に示されるように、弾性体本体2の収縮(縮径)により固定され、中央部に位置する接続部17は外界から遮断され保護される。なお、引き出しフィルム5とともに引き抜かれたインナーコア3は、分割され、除去される。
【0031】
図8には、本発明の他の常温収縮チューブ1’の実施の態様(断面図)が示される。図8に示される常温収縮チューブ1’が図1に示される常温収縮チューブ1と異なる点は、筒状のインナーコア3の外周面と、引き出しフィルム5の被着面部55との間に離型紙4が介在されている点にある。この離型紙4を介在させることにより、引き出しフィルム5の滑り性をあまり気にする必要がなくなるので、使用できる筒状フィルム5の材質選択範囲が広がる。また、引き出しフィルム5の抜き取りがより確実に行える傾向になる。離型紙4は、例えばシリコン処理または何らかの滑り加工を片面ないしは両面に施したプラスチックフィルムや紙等の材料により形成される。離型紙4の大きさは、インナーコア3の外周面を覆うことができる程度の大きさとすればよい。通常は、4角のシート状形態のものが好適に用いられる。
【0032】
図8に示される常温収縮チューブ1’の使用方法は、前述した常温収縮チューブ1のそれと基本的に同一である。離型紙4は使用に際し、引き抜かれた後、除去される。
【0033】
図9には、引き出しフィルム5’の変形例が示される。この引き出しフィルム5’が図2に示される引き出しフィルム5と異なるのは、被着面部51と引き抜き部55とがそれぞれ別体からなり、これらを接合して引き出しフィルム5’を形成している点にある。これにより設計上、どうしても引き抜き部55を細くしなければならない時には、特に、引っ張り強度の大きい、例えば、紐などが利用できる。
【0034】
本発明における常温収縮チューブ1は、その操作性をさらに向上させるために、図10〜図14に示されるように引き抜き部55を筒状の弾性体本体2の外部側面に沿うように折り返し、さらに、固定部材によって一時的に固定させておくことが好ましい。これにより、電線を挿入する際に、引き抜き部55が内部に引き込まれることが防止できる。また、固定しておくことにより、保管時や操作時に邪魔にならない。
【0035】
図10〜図14は、それぞれ、引き抜き部55を固定する好適な具体的方法(固定部材)を模式的に示したものであり、図10においては、固定部材として、周方向の一部に切欠部61aを有するOリング61が用いられている。すなわち、図10に示されるように、筒状の弾性体本体2の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部55には、筒状の弾性体本体2(あるいは筒状のインナーコア3)とともに、Oリング61が被着され、これにより、引き抜き部55の一時的な固定がおこなわれる。実際の被覆作業中に引き抜き部55を引き抜かなければならない時に、Oリング61が外される。切欠部61aは、Oリング61の径方向の変形自由度を大きくし、装脱着を容易にするために形成されている。Oリング61の材質は、特に限定されるものではないが、好適には、プラスチック材料が用いられる。
【0036】
図11においては、固定部材として、リング状のキャップ62が用いられており、筒状の弾性体本体2の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部55は、筒状の弾性体本体2または筒状のインナーコア3とともに、リング状のキャップ62が被着され、これにより、引き抜き部55の一時的な固定がおこなわれる。キャップ62の材質は、上記Oリング61の材質と同様に、特に限定されるものではないが、好適には、プラスチック材料が用いられる。
【0037】
図12においては、固定部材として、U字型クリップ63が用いられており、筒状の弾性体本体2の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部55は、折り返し端部で、引き抜き部55とともに筒状の弾性体本体2または筒状のインナーコア3の肉厚部をU字型クリップ63で挟み込むようにして挿着され、これにより引き抜き部55の一時的な固定がおこなわれている。U字型クリップ63の材質は、上記Oリング61の材質と同様に、特に限定されるものではないが、好適には、プラスチック材料が用いられる。
【0038】
図13においては、筒状のインナーコアの端部に形成されたスリット状の切欠部64が固定部材としての役目を果たしている。図13(a)に示されるように、筒状の弾性体本体2の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部55は、スリット状の切欠部64に挿入されるとともに係止され、これにより、引き抜き部55の一時的な固定がおこなわれている。なお、図13(b)は、スリット状の切欠部64の好適な一例を見易くするために、引き抜き部55がスリット状の切欠部64に係止される前の状態を示している。スリット状の切欠部64の形態は特に限定されるものではなく、引き抜き部55の一時的な固定が行える範囲で、適宜、スリット状切欠部64の形状を変えてもよい。
【0039】
図14においては、固定部材として、片面に粘着部を備えるテープ片65が用いられており、筒状の弾性体本体2の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部55は、テープ片65で筒状の弾性体本体2(あるいは筒状のインナーコア3)に貼り付けられ、これにより引き抜き部55の一時的な固定がおこなわれている。粘着部の粘着力は、一時的な固定が行える範囲での粘着力で足りる。
【0040】
このような、固定部材を用いて、引き抜き部55の一時的な固定を行っておけば、本発明の常温収縮チューブ1の作業性は格段と向上する。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の常温収縮チューブは、拡径および縮径可能な筒状の弾性体本体と、この弾性体本体を拡径するように弾性体本体の内部に挿入される筒状のインナーコアと、この筒状のインナーコアを引き出すとともに拡径された弾性体本体を縮径させるための引き出しフィルムを有し、前記引き出しフィルムが、筒状のインナーコアの外周面に被着される被着面部と、この被着面部に連接され帯状または紐状に延びる引き抜き部を備え、当該引き抜き部が前記筒状のインナーコアの内部空洞部を通過して外部に延出してなるように配置されて構成されている。そのため、簡易な構造で組み立てやすいので生産性に優れ、実際の操作に際して作業性も極めて優れるという効果を奏する。
【0042】
また、固定部材を用いて、引き抜き部の一時的な固定を行っておけば、本発明の常温収縮チューブの作業性は格段と向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の常温収縮チューブの一実施形態を示す概略側面断面図(端面図)である。
【図2】本実施形態における引き出しフィルムの平面図である。
【図3】引き出しフィルムをインナーコアに被着させる状態を示す概略斜視図である。
【図4】インナーコアと引き出しフィルムの組み合わせが完了した状態を示す概略斜視図である。
【図5】常温収縮チューブを被覆電線の接続部近傍にずらした状態を示す概略図である。
【図6】被覆電線の接続部上に、常温収縮チューブを位置させた状態を示す概略図である。
【図7】常温収縮チューブの装着状態を示す概略図である。
【図8】本発明の常温収縮チューブの一実施形態を示す概略側面断面図(端面図)である。
【図9】本実施形態における他の引き出しフィルムの平面図である。
【図10】引き抜き部を固定する具体的方法(固定部材としてOリングを使用)を模式的に示したものである。
【図11】引き抜き部を固定する具体的方法(固定部材としてキャップを使用)を模式的に示したものである。
【図12】引き抜き部を固定する具体的方法(固定部材としてU字型クリップを使用)を模式的に示したものである。
【図13】(a)は、引き抜き部を固定する具体的方法(固定部材としてスリット状の切欠部を使用)を模式的に示したものである。(b)は、スリット状の切欠部の好適な一例を見易くするために、引き抜き部がスリット状の切欠部に係止される前の状態を示している。
【図14】引き抜き部を固定する具体的方法(固定部材としてテープ片を使用)を模式的に示したものである。
【図15】従来の常温収縮チューブの要部を示す概略図(端面図)である。
【符号の説明】
1…常温収縮チューブ
2…筒状の弾性体本体
3…インナーコア
3a,3b…分割インナーコア
4…離型紙
5…引き出しフィルム
51…被着面部
55…引き抜き部
16a,16b…被覆電線
17…接続部
61…Oリング
62…キャップ
63…U字型クリップ
64…スリット状の切欠部
65…片面に粘着部を備えるテープ片

Claims (12)

  1. 拡径および縮径可能な筒状の弾性体本体と、この弾性体本体を拡径するように弾性体本体の内部に挿入される筒状のインナーコアと、この筒状のインナーコアを引き出すとともに拡径された弾性体本体を縮径させるための引き出しフィルムを有する常温収縮チューブであって、
    前記引き出しフィルムが、筒状のインナーコアの外周面に被着される被着面部と、この被着面部に連接され帯状または紐状に延びる引き抜き部を備え、当該引き抜き部が前記筒状のインナーコアの内部空洞部を通過して外部に延出してなるように配置されてなることを特徴とする常温収縮チューブ。
  2. 前記インナーコアおよび前記引き出しフィルムは、前記筒状の弾性体本体の両端部に装着されてなる請求項1に記載の常温収縮チューブ。
  3. 前記引き出しフィルムは、その被着面部および引き抜き部が同一フィルムから一体的に形成されており、被着面部および引き抜き部の連接部分には応力集中がかからないようになだらかな湾曲部が形成されている請求項1または請求項2に記載の常温収縮チューブ。
  4. 前記引き出しフィルムは、その被着面部に別体の引き抜き部を接合して形成される請求項1または請求項2に記載の常温収縮チューブ。
  5. 前記引き出しフィルムの片側面(インナーコアの外周面に接する側)には、離型性処理が施されている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
  6. 前記筒状のインナーコアの外周面と、前記引き出しフィルムの被着面部との間には、離型紙が介在されている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
  7. 前記筒状のインナーコアの内部空洞部を通過して外部に延出された引き出しフィルムの引き抜き部は、筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返され、固定部材によって一時的に固定されている請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
  8. 前記固定部材が、周方向の一部に切欠部を有するOリングであり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアとともに、前記Oリングを被着させることによって、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれている請求項7に記載の常温収縮チューブ。
  9. 前記固定部材が、リング状のキャップであり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアとともに、前記リング状のキャップを被着させることによって、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれている請求項7に記載の常温収縮チューブ。
  10. 前記固定部材が、U字型クリップであり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、折り返し端部で、引き抜き部とともに、筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアの肉厚部をU字型クリップで挟み込むようにして挿着させ、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれている請求項7に記載の常温収縮チューブ。
  11. 前記固定部材が、筒状のインナーコアの端部に形成されたスリット状の切欠部であり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、前記スリット状の切欠部に挿入するとともに係止させ、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれている請求項7に記載の常温収縮チューブ。
  12. 前記固定部材が、片面に粘着部を備えるテープ片であり、前記筒状の弾性体本体の外部側面に沿うように折り返された引き抜き部を、テープ片で筒状の弾性体本体または筒状のインナーコアに貼り付けることによって、引き抜き部の一時的な固定がおこなわれている請求項7に記載の常温収縮チューブ。
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