JP3580164B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関において、吸入空気量に応じて適量の燃料を供給することにより、空気と燃料との混合比(空燃比(A/F))を所望の値に制御する装置である空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用内燃機関においては、排気ガス浄化対策として、不完全燃焼成分であるHC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)の酸化と、空気中の窒素と燃え残りの酸素とが反応して生成されるNO(窒素酸化物)の還元とを同時に促進する三元触媒が利用されている。そのような三元触媒による酸化・還元能力を高めるためには、機関の燃焼状態を示す空燃比(A/F)を理論空燃比近傍(ウィンドウ)に制御する必要がある。そのため、機関における燃料噴射制御においては、排気ガス中の残留酸素濃度に基づき空燃比が理論空燃比よりもリッチかリーンかを感知するOセンサ(酸素センサ)を設け、そのセンサ出力に基づいて燃料量を補正する空燃比フィードバック制御が行われている。
【0003】
かかる空燃比フィードバック制御では、酸素濃度を検出するOセンサをできるだけ燃焼室に近い箇所、すなわち触媒コンバータより上流側に設けているが、そのOセンサの出力特性のばらつきを補償するために、触媒コンバータより下流側に第2のOセンサを更に設けたダブルOセンサシステムも実現されている。すなわち、触媒下流側では、排気ガスは十分に攪拌されており、その酸素濃度も三元触媒の作用によりほぼ平衡状態にあることにより、下流側Oセンサの出力は、上流側Oセンサの出力よりも緩やかに変化し、従って混合気全体のリッチ/リーン傾向を示す。ダブルOセンサシステムは、触媒上流側Oセンサによるメイン空燃比フィードバック制御に加え、触媒下流側Oセンサによるサブ空燃比フィードバック制御を実施するものであり、メイン空燃比フィードバック制御にて空燃比補正係数を演算する際の各種定数を下流側Oセンサの出力に基づいて修正することにより、又は下流側Oセンサの出力に基づく第2の空燃比補正係数を導入することにより、上流側Oセンサの出力特性のばらつきを吸収し、空燃比制御精度の向上を図っている。
【0004】
ところで、三元触媒は、排気ガスがリーン状態にあるときに過剰分の酸素を吸着し、排気ガスがリッチ状態にあるときに不足分の酸素を放出することにより、排気ガスを浄化する、というOストレージ効果を奏するものであるが、そのOストレージ量は有限である。サブ空燃比フィードバック制御は、基本的に、触媒のOストレージ量を零と飽和との間で制御するものである。そして、Oストレージ量の増減は、基本的に、空燃比の理論空燃比からの偏移量と吸入空気質量流量との積の積算値によって決まる。
【0005】
そのため、サブ空燃比フィードバック制御がリッチ又はリーンの一方の方向へ向けて継続する時間(反転周期)は、機関負荷についてみると、高負荷状態に比較して低負荷状態において長くなる。そして、サブ空燃比フィードバック制御によりメイン空燃比フィードバック制御に関与する定数を更新していく場合、その定数の変動幅すなわち振幅は、低負荷状態において大きくなる。結果として、低負荷状態の場合、メイン空燃比フィードバック制御に関与する定数は、下流側Oセンサの出力がリッチからリーンへと反転するときには、空燃比がリーン側に向かう方向での大きな値となっている一方、下流側Oセンサの出力がリーンからリッチへと反転するときには、空燃比がリッチ側に向かう方向での大きな値になっている。すなわち、低負荷状態の場合、触媒に流入する排気ガスの空燃比は、下流側Oセンサの出力がリッチからリーンへと反転するときには、リーンになっている度合いが強く、一方、下流側Oセンサの出力がリーンからリッチへと反転するときには、リッチになっている度合いが強いのが一般的である。
【0006】
特開昭63−295831号公報は、下流側Oセンサの出力のリッチ/リーン反転周期が長くなったときには、空燃比フィードバック制御に関与する定数を一時的に逆方向に補正することにより、空燃比の過補正状態を防止する技術を開示している。しかし、下流側Oセンサのリーン(リッチ)出力に応じて空燃比がリッチ(リーン)側に向かう方向に定数が更新されていく状態が一定時間継続している状態において定数をリーン(リッチ)側に逆補正しても、この時点において、空燃比が十分にリッチ(リーン)であり且つ触媒のOストレージ量が十分に少ない(多い)状態にあることは必ずしも保証されておらず、却って排気を悪化させる場合がある。特に、外乱等によりサブフィードバックの制御値がリッチ又はリーンにずれてしまったときには、最適制御値に戻るのが阻害してしまう。
【0007】
ところで、三元触媒の排気浄化率について検討すると、空燃比がウィンドウからリーン側にずれたときのNO浄化率の低下は、空燃比がウィンドウからリッチ側にずれたときのHC,CO浄化率の低下よりも著しい。したがって、低負荷状態において下流側Oセンサ出力のリッチ状態が継続し、空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリーン側に向かう方向での大きな値となっており、空燃比が十分にリーンになっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときには、NOの排出量が大きくなる。
【0008】
なお、低負荷状態において下流側Oセンサ出力のリーン状態が継続し、空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリッチ側に向かう方向での大きな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときには、前述のNOの排出量の問題よりは小さいが、CO及びHCの排出量が増大するおそれがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽負荷状態で触媒下流側空燃比センサの出力に基づくフィードバック制御が継続し、触媒流入ガスの空燃比がリーン側になっている場合(そのときの下流側Oセンサ出力が必ずしもリーンである必要はない)において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときに、NOの排出を抑制することができる空燃比制御装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明は、軽負荷状態で触媒下流側空燃比センサの出力に基づくフィードバック制御が継続し、触媒流入ガスの空燃比がリッチ側になっている場合(そのときの下流側Oセンサ出力が必ずしもリッチである必要はない)において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときに、CO及びHCの排出を抑制することをも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、内燃機関の排気系に設けられた排気ガス浄化のための触媒コンバータの上流側に配設された第1の空燃比センサと、前記触媒コンバータの下流側に配設された第2の空燃比センサと、前記第2の空燃比センサの出力がリッチを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリーン側に向かうような値に更新する一方、前記第2の空燃比センサの出力がリーンを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリッチ側に向かうような値に更新することにより、空燃比フィードバック制御に関与する定数を演算する定数演算手段と、該機関の負荷が軽負荷から高負荷に切り替わったときに、前記定数演算手段によって演算された空燃比フィードバック制御に関与する定数を補正する定数補正手段と、前記第1の空燃比センサの出力と前記空燃比フィードバック制御に関与する定数とに応じて空燃比フィードバック補正量を演算するフィードバック補正量演算手段と、前記空燃比フィードバック補正量に応じて該機関の空燃比を調整する空燃比調整手段と、を具備し、前記定数補正手段は、軽負荷状態において前記第2の空燃比センサの出力のリッチ状態が継続し、空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリーン側に向かう方向での大きな値となっており、空燃比が十分にリーンになっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときに、空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリッチ側に向かうように補正する、内燃機関の空燃比制御装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、内燃機関の排気系に設けられた排気ガス浄化のための触媒コンバータの上流側に配設された第1の空燃比センサと、前記触媒コンバータの下流側に配設された第2の空燃比センサと、前記第2の空燃比センサの出力がリッチを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリーン側に向かうような値に更新する一方、前記第2の空燃比センサの出力がリーンを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリッチ側に向かうような値に更新することにより、空燃比フィードバック制御に関与する定数を演算する定数演算手段と、該機関の負荷が軽負荷から高負荷に切り替わったときに、前記定数演算手段によって演算された空燃比フィードバック制御に関与する定数を補正する定数補正手段と、前記第1の空燃比センサの出力と前記空燃比フィードバック制御に関与する定数とに応じて空燃比フィードバック補正量を演算するフィードバック補正量演算手段と、前記空燃比フィードバック補正量に応じて該機関の空燃比を調整する空燃比調整手段と、を具備し、前記定数補正手段は、軽負荷状態において前記第2の空燃比センサの出力のリーン状態が継続し、空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリッチ側に向かう方向での大きな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときに、空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリーン側に向かうように補正する、内燃機関の空燃比制御装置が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る空燃比制御装置を備えた電子制御式内燃機関の全体概要図である。内燃機関1は、車両搭載用の直列多気筒4ストロークサイクルレシプロガソリン機関である。機関1は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3を備えている。シリンダブロック2には、上下方向へ延びる複数個のシリンダ4が紙面の厚み方向へ並設され、各シリンダ4内には、ピストン5が往復動可能に収容されている。各ピストン5は、コネクティングロッド6を介し共通のクランクシャフト7に連結されている。各ピストン5の往復運動は、コネクティングロッド6を介してクランクシャフト7の回転運動に変換される。
【0016】
シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間において、各ピストン5の上側は燃焼室8となっている。シリンダヘッド3には、その両外側面と各燃焼室8とを連通させる吸気ポート9及び排気ポート10がそれぞれ設けられている。これらのポート9及び10を開閉するために、シリンダヘッド3には吸気バルブ11及び排気バルブ12がそれぞれ略上下方向への往復動可能に支持されている。また、シリンダヘッド3において、各バルブ11,12の上方には、吸気側カムシャフト13及び排気側カムシャフト14がそれぞれ回転可能に設けられている。カムシャフト13及び14には、吸気バルブ11及び排気バルブ12を駆動するためのカム15及び16が取り付けられている。カムシャフト13及び14の端部にそれぞれ設けられたタイミングプーリ17及び18は、クランクシャフト7の端部に設けられたタイミングプーリ19へタイミングベルト20により連結されている。
【0017】
吸気ポート9には、エアクリーナ31、スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34等を備えた吸気通路30が接続されている。機関1外部の空気(外気)は、燃焼室8へ向けて吸気通路30の各部31,32,33及び34を順に通過する。また、スロットルバルブ32をバイパスするアイドルアジャスト通路35には、アイドル時の空気流量を調節するためのアイドル回転速度制御弁(ISCV)36が設けられている。吸気マニホルド34には、各吸気ポート9へ向けて燃料を噴射するインジェクタ40が取付けられている。燃料は、燃料タンク41に貯蔵されており、そこから燃料ポンプ42によりくみ上げられ、燃料配管43を経てインジェクタ40に供給される。そして、インジェクタ40から噴射される燃料と吸気通路30内を流れる空気とからなる混合気は、吸気バルブ11を介して燃焼室8へ導入される。
【0018】
この混合気に着火するために、シリンダヘッド3には点火プラグ50が取付けられている。点火時には、点火信号を受けたイグナイタ51が、点火コイル52の1次電流の通電及び遮断を制御し、その2次電流が、点火ディストリビュータ53を介して点火プラグ50に供給される。
【0019】
燃焼した混合気は、排気ガスとして排気バルブ12を介して排気ポート10に導かれる。排気ポート10には、排気マニホルド61、触媒コンバータ62等を備えた排気通路60が接続されている。触媒コンバータ62には、不完全燃焼成分であるHC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)の酸化と、空気中の窒素と燃え残りの酸素とが反応して生成されるNO(窒素酸化物)の還元とを同時に促進する三元触媒が収容されている。こうして触媒コンバータ62において浄化された排気ガスが大気中に排出される。
【0020】
機関1には各種のセンサが取付けられている。シリンダブロック2には、機関1の冷却水の温度を検出するための水温センサ74が取付けられている。吸気通路30には、吸入空気質量流量を検出するためのエアフローメータ70が取り付けられている。吸気通路30においてエアクリーナ31の近傍には、吸入空気の温度を検出するための吸気温センサ73が取付けられている。吸気通路30において、スロットルバルブ32の近傍には、その軸の回動角度を検出するためのスロットル開度センサ72が設けられている。また、スロットルバルブ32が全閉状態のときには、アイドルスイッチ82がオンとなり、その出力であるスロットル全閉信号がアクティブとなる。排気通路60の触媒コンバータ62より上流側の部分には、空燃比センサとして排気ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかを検出する上流側Oセンサ(メインOセンサ)75が取付けられている。また、この機関は、Oセンサ75の出力特性のばらつきを補償するサブ空燃比フィードバック制御を実施する機関であり、触媒コンバータ62より下流の排気通路には、空燃比センサとして下流側Oセンサ(サブOセンサ)76が設けられている。
【0021】
ディストリビュータ53には、クランクシャフト7の回転に同期して回転する2個のロータが内蔵されており、クランクシャフト7の基準位置を検出するために一方のロータの回転に基づいてクランク角(CA)に換算して720°CAごとに基準位置検出用パルスを発生させるクランク基準位置センサ80が設けられ、また、クランクシャフト7の回転速度(機関回転速度NE)を検出するために他方のロータの回転に基づいて30°CAごとに回転速度検出用パルスを発生させるクランク角センサ81が設けられている。なお、車両には、トランスミッション出力軸の回転速度すなわち車速SPDに比例した数の出力パルスを単位時間当たりに発生する車速センサ83が取り付けられている。
【0022】
機関電子制御装置(エンジンECU)90は、空燃比制御(燃料噴射制御)、点火時期制御、アイドル回転速度制御等を実行するマイクロコンピュータシステムであり、そのハードウェア構成は、図2のブロック図に示される。リードオンリメモリ(ROM)93に格納されたプログラム及び各種のマップに従って、中央処理装置(CPU)91は、各種センサ及びスイッチからの信号をA/D変換回路(ADC)95又は入力インタフェース回路96を介して入力し、その入力信号に基づいて演算処理を実行し、その演算結果に基づき駆動回路97a〜97cを介して各種アクチュエータ用制御信号を出力する。ランダムアクセスメモリ(RAM)94は、その演算・制御処理過程における一時的なデータ記憶場所として使用される。また、バックアップRAM99は、バッテリ(図示せず)に直接接続されることにより電力の供給を受け、イグニションスイッチがオフの状態においても保持されるべきデータ(例えば、各種の学習値)を格納するために使用される。また、これらのECU内の各構成要素は、アドレスバス、データバス及びコントロールバスからなるシステムバス92を介して接続されている。
【0023】
ECU90においては、各種制御のために、吸入空気流量信号、スロットル開度信号、吸気温信号及び冷却水温信号が、一定クランク角ごとに実行されるA/D変換ルーチンによって取り込まれ、RAM94の所定領域にそれぞれ吸入空気流量データGA、スロットル開度データTA、吸気温データTHA及び冷却水温データTHWとして格納される。また、クランク角センサ81のパルス信号が入力するごとに、そのパルス間隔から図示しないルーチンにより機関回転速度が算出され、RAM94の所定領域に機関回転速度データNEとして格納される。
【0024】
点火時期制御は、クランク角センサ81から得られる機関回転速度及びその他のセンサからの信号により、機関の状態を総合的に判定し、最適な点火時期を決定し、駆動回路97bを介してイグナイタ51に点火信号を送るものである。また、アイドル回転速度制御は、アイドルスイッチ82からのスロットル全閉信号及び車速センサ83からの車速信号によってアイドル状態を検出するとともに、水温センサ74からの機関冷却水温度等によって決められる目標回転速度と実際の機関回転速度とを比較し、その差に応じて目標回転速度となるように制御量を決定し、駆動回路97cを介してISCV36を制御して空気量を調節することにより、最適なアイドル回転速度を維持するものである。以下、本発明に係る空燃比制御について詳細に説明する。
【0025】
図3は、CPU91によって実行される噴射量演算ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、一定クランク角ごと(例えば360°ごと)に実行される。このルーチンでは、燃料噴射量、すなわちインジェクタ40による燃料噴射時間TAUが、機関1回転当たりの吸入空気量GNと、後述する空燃比補正係数FAFとに基づいて算出される。
【0026】
具体的には、まず、ステップ102において、吸入空気流量データGA及び回転速度データNEをRAM94の所定領域から読み込み、機関1回転当たりの吸入空気量GNを、
GN←GA/NE
なる演算により求める。次いで、ステップ104では、基本燃料噴射時間TAUPを、
TAUP=K*GN
として算出する。ここで、基本燃料噴射時間TAUPは、燃焼室に供給される混合気の空燃比を理論空燃比とするために必要とされる燃料噴射時間であり、Kは定数である。
【0027】
また、実際の燃料噴射時間TAUは、ステップ106において、上記TAUPを空燃比補正係数FAFで補正した値、すなわち、
TAU=TAUP*FAF*α+β
として算出される。ここで、α及びβは、それぞれ機関運転状態に応じて決定される補正係数及び補正量である。また、上記により燃料噴射時間TAUが算出されると、ステップ108では、時間TAUが駆動回路97aにセットされ、時間TAUに応じた量の燃料がインジェクタ40から噴射される。
【0028】
上記空燃比補正係数FAFを求める制御が空燃比フィードバック制御であり、本実施形態に係る空燃比フィードバック制御においては、上流側Oセンサ75の出力に基づいて空燃比がフィードバック制御されるとともに、下流側Oセンサ76の出力に基づいて上流側Oセンサ75の出力特性のずれ等を補正する制御も行われる。
【0029】
図4及び図5は、上流側Oセンサ75の出力に基づくメイン空燃比フィードバック制御の処理手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、CPU91により一定時間毎(例えば4ms毎)に実行される。本ルーチンでは、上流側Oセンサ75の出力VOMを基準電圧VR1(理論空燃比相当電圧)と比較し、触媒コンバータ上流側での排気空燃比が理論空燃比よりリッチ(VOM>VR1)のときには空燃比補正係数FAFを減少させ、リーン(VOM≦VR1)のときにはFAFを増大させる制御を行う。Oセンサは、排気空燃比が理論空燃比よりリッチのときに例えば0.9Vの信号電圧を出力し、排気空燃比が理論空燃比よりリーンのときに例えば0.1V程度の信号電圧を出力する。本実施形態では、上記基準電圧VR1は0.45V程度に設定される。上記のように空燃比補正係数FAFを排気空燃比に応じて増減することにより、エアフローメータ70、インジェクタ40等の燃料供給系の機器に多少の誤差が生じている場合でも、機関空燃比は正確に理論空燃比近傍に修正される。
【0030】
具体的には、まず、ステップ202において、上流側Oセンサ75によるメイン空燃比フィードバック制御の実行条件が成立しているか否かを判別する。例えば、冷却水温が所定値以下のとき、機関始動中、始動後増量中、暖機増量中、出力増量中、上流側Oセンサ75の出力信号が一度も反転していないとき、燃料カット中、等においては、いずれもフィードバック制御実行条件が不成立となり、その他の場合においてはフィードバック制御実行条件が成立する。条件が不成立のときには、ステップ238において空燃比補正係数FAFを1.0とした後、本ルーチンを終了する。他方、条件が成立するときにはステップ204に進む。
【0031】
ステップ204では、上流側Oセンサ75の出力VOMをA/D変換して取り込む。次のステップ206では、VOMが基準電圧VR1(例えば0.45V)以下か否か、すなわち空燃比がリーンかリッチかを判別し、空燃比がリーン(VOM≦VR1)であれば、ステップ208に進む。ステップ208では、ディレイカウンタCDLYが正か否かを判別し、CDLY>0であれば、ステップ210にてCDLYを0としてからステップ212に進み、一方、CDLY≦0であれば、直接ステップ212に進む。ステップ212では、ディレイカウンタCDLYから1を減算する。次いで、ステップ214では、ディレイカウンタCDLYを所定の最小値TDLと比較し、CDLY<TDLのときには、ステップ216にてディレイカウンタCDLYを最小値TDLでガードし、ステップ218にて空燃比フラグF1を0(リーン)として、ステップ232に進み、一方、CDLY≧TDLのときには、直接ステップ232に進む。なお、最小値TDLは上流側Oセンサ75の出力においてリッチからリーンへの変化があってもリッチ状態であるとの判断を保持するためのリーン判定遅延時間であって、負の値で定義される。
【0032】
また、ステップ206においてリッチ(VOM>VR1)と判定されるときには、ステップ220に進む。ステップ220では、ディレイカウンタCDLYが負か否かを判別し、CDLY<0であれば、ステップ222にてCDLYを0としてからステップ224に進み、一方、CDLY≧0であれば、直接ステップ224に進む。ステップ224では、ディレイカウンタCDLYに1を加算する。次いで、ステップ226では、ディレイカウンタCDLYを所定の最大値TDRと比較し、CDLY>TDRのときには、ステップ228にてディレイカウンタCDLYを最大値TDRでガードし、ステップ230にて空燃比フラグF1を1(リッチ)として、ステップ232に進み、一方、CDLY≦TDRのときには、直接ステップ232に進む。なお、最大値TDRは上流側Oセンサ75の出力においてリーンからリッチへの変化があってもリーン状態であるとの判断を保持するためのリッチ判定遅延時間であって、正の値で定義される。
【0033】
ステップ232では、空燃比フラグF1の値(0又は1)が変化したか否か、すなわち遅延処理後の空燃比が反転したか否かを判別する。空燃比が反転していれば、ステップ234にて、リッチからリーンへの反転か、リーンからリッチへの反転かを判別する。リッチからリーンへの反転であれば、ステップ240において、
FAF←FAF+RSR
として空燃比補正係数FAFをスキップ的に増大させ、逆に、リーンからリッチへの反転であれば、ステップ242において、
FAF←FAF−RSL
として空燃比補正係数FAFをスキップ的に減少させる。つまり、スキップ処理を行う。
【0034】
ステップ232にて空燃比フラグF1の値が変化していなければ、ステップ236、244及び246にて積分処理を行う。つまり、ステップ236にて“F1=0”か否かを判別し、“F1=0”(リーン)であればステップ244において、
FAF←FAF+KIR
とし、一方、“F1=1”(リッチ)であればステップ246において、
FAF←FAF−KIL
とする。ここで、積分定数KIR及びKILは、スキップ定数RSR及びRSLに比して十分小さく設定してあり、つまり、KIR<RSR、かつ、KIL<RSL、である。したがって、ステップ244は、リーン状態(F1=0)で燃料噴射量を徐々に増大させる一方、ステップ246は、リッチ状態(F1=1)で燃料噴射量を徐々に減少させる。
【0035】
ステップ248、250、252及び254では、演算された空燃比補正係数FAFが、所定の最小値(例えば0.8)以上で、かつ、所定の最大値(例えば1.2)以下となるように、ガード処理が施される。これにより、何らかの原因で空燃比補正係数FAFの演算結果が過度に大きく又は小さくなる場合においても、そのガード値で機関の空燃比が制御され、オーバリッチ又はオーバリーンになるのが防止される。
【0036】
図6は、図4及び図5のメイン空燃比フィードバック制御を行った場合に、上流側Oセンサ75で検出された空燃比(A/F)変化(図6(A) )に対してカウンタCDLY(同(B) )、フラグF1(同(C) )、空燃比補正係数FAF(同(D) )がどのように変化するかを例示している。図6(A) に示すように、A/Fがリーンからリッチに変化した場合でも、空燃比フラグF1(図6(C) )の値は直ちに0から1には変化せず、カウンタCDLYの値が0からTDRに増大するまでの時間(図6(C) のT)の間は0のまま保持され、T経過後に0から1に変化する。また、A/Fがリッチからリーンに変化した場合も、F1の値はカウンタCDLYの値が0からTDL(TDLは負の値)に減少するまでの時間(図6(C) のT)の間は1のまま保持され、T経過後に1から0に変化する。このため、図6(A) にNで示したように、外乱等により上流側Oセンサ75の出力が短い周期で変化したような場合でも、フラグF1の値は追従して変化しないため、空燃比制御が安定する。
【0037】
メイン空燃比フィードバック制御の結果、空燃比補正係数FAFの値は図6(D) に示すように周期的に増減を繰り返し、機関空燃比はリッチ空燃比とリーン空燃比とに交互に変動する。また、図3で説明したように、FAFの値が増大すると燃料噴射時間TAUは増大し、FAFの値が減少すると燃料噴射時間TAUも減少する。
【0038】
次に、下流側Oセンサ76の出力に基づくサブ空燃比フィードバック制御について説明する。前述のように、サブ空燃比フィードバック制御としては、メイン空燃比フィードバック制御にて空燃比補正係数を演算する際の各種定数を下流側Oセンサの出力に基づいて修正するものと、下流側Oセンサの出力に基づく第2の空燃比補正係数を導入するものとがある。前者は、上述のFAF演算の際に使用される、スキップ量RSR及びRSL、積分量KIR及びKIL、判定遅延時間TDR及びTDL、上流側Oセンサ出力判定用基準電圧VR1、等を可変にするものである。
【0039】
その中で、空燃比補正係数FAFのスキップ量RSR及びRSLを可変にするサブ空燃比フィードバック制御は、図6(D) から判るように、RSRが増大しRSLが減少すると、機関空燃比のリッチ空燃比側への振れ幅が大きくなり、空燃比が全体的にリッチ空燃比側に移行する一方、逆に、RSRが減少しRSLが増大すると、機関空燃比のリーン空燃比側への振れ幅が大きくなり、空燃比が全体的にリーン空燃比側に移行する、という知見に基づき、RSR及びRSLの値を増減せしめることにより、機関空燃比をリッチ側又はリーン側に変化させるものである。具体的には、下流側Oセンサによって感知される空燃比が継続してリーン又はリッチであるときには一定割合でRSRを増大又は減少せしめるとともに、リッチからリーンへ又はリーンからリッチへと反転するときには所定のスキップ量だけ階段状にRSRを増大又は減少せしめる。そして、空燃比補正係数FAFのリーンスキップ量RSLは、そのRSLの値とRSRの値との和が一定に維持されるように設定される。
【0040】
図7は、空燃比補正係数FAFのスキップ量RSR及びRSLを可変にするサブ空燃比フィードバック制御における下流側Oセンサ出力電圧VOS、リッチスキップ量RSR及びOストレージ量OSCの挙動を例示するタイムチャートであって、(A)は軽負荷の場合を示し、(B)は高負荷の場合を示す。前述のように、サブ空燃比フィードバック制御は、基本的に、触媒のOストレージ量を零と飽和との間で制御するものであり、Oストレージ量の増減は、空燃比の理論空燃比からの偏移量と吸入空気質量流量との積の積算値によって決まるため、下流側Oセンサの出力がリッチ又はリーンの状態に留まる時間すなわちサブフィードバック制御の反転周期は、高負荷の場合に比較して低負荷の場合に長くなる。
【0041】
したがって、RSRの変動幅すなわち振幅は、低負荷の場合に大きくなる。結果として、低負荷の場合には、下流側Oセンサの出力がリッチからリーンへと反転するときのRSRの値は、高負荷の場合に比較して小さな値となっている。また、低負荷の場合には、下流側Oセンサの出力がリーンからリッチへと反転するときのRSRの値は、高負荷の場合に比較して大きな値になっている。
【0042】
図8は、空気過剰率λ(=空燃比/理論空燃比)と三元触媒のガス浄化率との関係を示す特性図である。この図に示されるように、空燃比がウィンドウからリーン側にずれたときのNO浄化率の低下の程度は、空燃比がウィンドウからリッチ側にずれたときのHC,CO浄化率の低下の程度よりも大きい。したがって、図9に示されるように、低負荷状態において下流側Oセンサ出力VOSのリッチ状態が継続し、RSRが小さな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態すなわち吸入空気流量GAが大きな状態に移行したときには、NOの排出量が大きくなってしまう。
【0043】
そこで、本実施形態では、サブ空燃比フィードバック制御が一定時間以上継続していてRSRが過度に小さな値となっているおそれがある場合において、機関運転状態が高負荷状態に切り替わったとき、すなわちGAが増大したときに、図10に示されるように、RSRの値が「嵩上げ」されることにより、空燃比がリッチ側に向かうようにされる。
【0044】
図11及び図12は、下流側Oセンサ76の出力に基づくサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートであって、上述の「嵩上げ」を具体化するものである。本ルーチンは、CPU91によって一定時間周期(例えば16ms)で実行される。また、図13及び図14は、本ルーチンで使用されるマップであって、図13は下流側Oセンサのリッチ出力が継続するときのRSR更新量(減量値)を吸入空気流量GAに応じて定めたマップを示し、図14は下流側Oセンサのリーン出力が継続するときのRSR更新量(増量値)を吸入空気流量GAに応じて定めたマップを示す。
【0045】
まず、ステップ302では、サブ空燃比フィードバック制御の実行条件が成立するか否かを判定する。具体的には、この条件は、下流側Oセンサが活性化していること、冷却水温が一定値以上であること、アイドル状態でないこと、上流側Oセンサによるフィードバック制御の実行中であること、吸入空気流量GAが一定値以上であること、燃料カットからの復帰後所定時間が経過していること、等が共に成立することである。このサブ空燃比フィードバック制御実行条件が不成立のときには、本ルーチンを終了し、一方、成立するときには、ステップ304に進む。
【0046】
ステップ304では、下流側Oセンサ76の出力VOSをA/D変換して取り込む。次いで、ステップ306では、VOSが基準電圧VR2(例えば0.45V)以上か否かを判定し、VOS≧VR2のときには、ステップ308に進む一方、VOS<VR2のときには、ステップ310に進む。ステップ308では、前回の本ルーチンの走行時に検出され記憶されている下流側Oセンサ出力VOSOが基準電圧VR2以上か否かを判定し、VOSO≧VR2のときには、ステップ314に進む一方、VOSO<VR2のときには、ステップ312に進む。同様に、ステップ310では、VOSOが基準電圧VR2以上か否かを判定し、VOSO≧VR2のときには、ステップ316に進む一方、VOSO<VR2のときには、ステップ318に進む。
【0047】
かくして、ステップ312は、下流側Oセンサ出力が前回はリーンで今回はリッチを示すときに実行されることとなり、RSRを比較的大きく減少させるべくRSRの更新量ΔRSRとして−0.3%を設定する。また、ステップ316は、下流側Oセンサ出力が前回はリッチで今回はリーンを示すときに実行されることとなり、RSRを比較的大きく増大させるべくRSRの更新量ΔRSRとして+0.3%を設定する。
【0048】
また、ステップ314は、下流側Oセンサ出力が前回も今回もリッチを示すときに実行されることとなり、RSRを比較的小さく減少させる。この場合、従来は、ΔRSRとして一定の減少値が採用されていたが、本実施形態においては、図13のマップと現在の吸入空気流量GAとに応じて補間計算より求められる−f(GA)をΔRSRとして採用する。このマップによれば、高負荷であるほどRSRの減少量が小さくなり、リーンへの反転時においてもRSRが過度に小さくならず、結果としてNOの排出が抑制されることとなる。
【0049】
一方、ステップ318は、下流側Oセンサ出力が前回も今回もリーンを示すときに実行されることとなり、RSRを比較的小さく増大させる。この場合、従来は、ΔRSRとして一定の増大値が採用されていたが、本実施形態においては、図14のマップと現在の吸入空気流量GAとに応じて補間計算より求められる+f(GA)をΔRSRとして採用する。このマップによれば、中・高負荷であるときRSRの増大量が大きくなり、NOの排出が抑制される。また、図13のマップと図14のマップとを比較すると、全般的に、図14のマップにおける値の方が図13のマップにおける値よりも大きくなっている。これも、NOの排出を抑制する効果を奏する。なお、図13及び図14の如きマップを作成する上で、吸入空気流量GAに代えて、機関回転速度NE、排気ガス再循環(EGR)量等を採用してもよいし、それらの組合せでもよい。また、図13及び図14のマップは、排出を特に抑えたいもの(CO、HC、NO等)により、そのGAに対するΔRSRの増大・減少量を変えてもよい(例えば、図14は、必ずしも中高負荷で大きくしなくてもよく、小さくしてもよい)。
【0050】
次に、ステップ320、322及び324では、前述のRSR嵩上げのための各条件が成立するか否かを判定し、これらの条件が全て満たされるときにのみステップ326にてRSRの嵩上げを実行する。具体的には、まず、ステップ320において、サブ空燃比フィードバック制御が所定時間以上継続しているか否かを判定し、その判定結果がYESのときにはステップ322に進む一方、その判定結果がNOのときにはステップ328に進む。この判定のために、別途、サブ空燃比フィードバック制御の継続時間が計測されている。
【0051】
ステップ322では、前回の本ルーチン走行時に低い値にあった吸入空気流量GAが今回の本ルーチン走行時には高い値に変わっているという運転状態変化があったか否かを判定する。なお、この判定のために一定のしきい値が予め定められている。ステップ322の判定結果がYESのときにはステップ324に進む一方、その判定結果がNOのときにはステップ328に進む。
【0052】
ステップ324では、前回のRSR嵩上げ時から所定時間が経過しているか否かを判定し、その判定結果がYESのときにはステップ326に進む一方、その判定結果がNOのときにはステップ328に進む。かかる条件を設けたのは、前回のRSR嵩上げの効果が一応消失しているときに次の嵩上げを実行するためである。
【0053】
ステップ320、322及び324の嵩上げ条件が成立するときに実行されるステップ326では、
ΔRSR←ΔRSR+0.3%
なる演算により、ΔRSRを0.3%だけ嵩上げする。そして、次のステップ328では、以上のステップから決定された更新量ΔRSRに基づいて、
RSR←RSR+ΔRSR
なる演算を実行し、メイン空燃比フィードバック制御で使用されるべきFAFリッチスキップ量RSRを更新する。
【0054】
ステップ330では、RSRと2%とを比較し、RSR<2%のときには、ステップ334にてRSRに2%を代入する下限ガード処理を行ってステップ338に進む一方、2%≦RSRのときには、ステップ332に進む。ステップ332では、RSRと8%とを比較し、RSR≦8%のときには、直接ステップ338に進む一方、8%<RSRのときには、ステップ336にてRSRに8%を代入する上限ガード処理を行ってからステップ338に進む。ステップ338では、
RSL←10%−RSR
なる演算を行うことにより、メイン空燃比フィードバック制御で使用されるべきFAFリーンスキップ量RSLを決定する。最後のステップ340では、次回の本ルーチンの走行に備え、VOSをVOSOとして記憶する。
【0055】
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、もちろん本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態を採用することが可能である。上述の実施形態においては、内燃機関の排気系に設けられた排気ガス浄化のための触媒コンバータの上流側に配設された第1の空燃比センサとしてOセンサが採用され、触媒コンバータの下流側に配設された第2の空燃比センサとしてやはりOセンサが採用され、下流側Oセンサの出力がリッチを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数としてのRSR及びRSLが、空燃比がリーン側に向かうような値に更新される一方、下流側Oセンサの出力がリーンを示すときにはRSR及びRSLが、空燃比がリッチ側に向かうような値に更新されることにより、RSR及びRSLが演算されている。そして、機関の負荷としての吸入空気流量GAが軽負荷から高負荷に切り替わったときに、RSR及びRSLが補正される。そして、上流側Oセンサの出力とRSR及びRSLとに応じて空燃比フィードバック補正量としてのFAFが演算され、FAFに応じて機関の空燃比が調整される。そして、上記補正は、RSR及びRSLを空燃比がリッチ側に向かうように補正するものである。また、機関運転状態としての吸入空気流量GAに応じてRSRの更新量ΔRSRが変化せしめられている。
【0056】
しかし、メイン空燃比フィードバック制御にて空燃比補正係数を演算する際に使用される積分量KIR及びKIL、判定遅延時間TDR及びTDL、又は上流側Oセンサ出力判定用基準電圧VR1を下流側Oセンサの出力に基づいて修正する機関では、KIR及びKIL、TDR及びTDL、又はVR1が上述の空燃比フィードバック制御に関与する定数となる。また、下流側Oセンサの出力に基づく第2の空燃比補正係数を導入する機関では、その第2の空燃比補正係数が上述の空燃比フィードバック制御に関与する定数となる。
【0057】
また、近年においては、三元触媒が常に一定の安定した浄化性能を発揮しうるように空燃比を制御する機関も開発されている。かかる機関では、排気ガスの空燃比が次にリッチ状態又はリーン状態のいずれとなってもよいように、触媒中に貯蔵されている酸素の量を所定量(例えば、最大酸素貯蔵量の半分)に維持することにより、常に一定のO吸着・放出作用を可能として触媒による一定の酸化・還元能力を常に得られるようにしている。そして、Oストレージ量を一定に制御するために、空燃比をリニアに検出する全域空燃比センサが用いられ、比例及び積分動作(PI動作)等によるフィードバック制御が行われる。そして、全域空燃比センサの出力特性のばらつきを補償するために、下流側Oセンサの出力に基づいて全域空燃比センサの出力電圧を補正することにより、メイン空燃比フィードバック制御の制御中心が変動せしめられる。このような内燃機関においては、全域空燃比センサを第1の空燃比センサ、Oセンサを第2の空燃比センサ、全域空燃比センサ出力電圧補正量を空燃比フィードバック制御に関与する定数として、本発明は適用可能である。
【0058】
なお、以上の説明では、NOの排出量を問題としてきたが、低負荷状態において下流側Oセンサ出力のリーン状態が継続し、RSRが非常に大きな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときには、CO及びHCの排出量が増大するおそれがある。その場合には、前述の実施形態のRSRの「嵩上げ」とは逆のRSRの「嵩下げ」を実行し、空燃比がリーン側に向かうようにすればよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、軽負荷状態で触媒下流側空燃比センサの出力に基づくフィードバック制御が継続し、触媒上流側空燃比センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリーン側に向かう方向での大きな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときでも、NOの排出が抑制される。また、軽負荷状態で触媒下流側空燃比センサの出力に基づくフィードバック制御が継続し、触媒上流側空燃比センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリッチ側に向かう方向での大きな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときでも、CO及びHCの排出が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空燃比制御装置を備えた電子制御式内燃機関の全体概要図である。
【図2】機関電子制御装置(エンジンECU)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】CPUによって実行される噴射量演算ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】CPUによって実行されるメイン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/2)である。
【図5】CPUによって実行されるメイン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/2)である。
【図6】メイン空燃比フィードバック制御により、上流側Oセンサで検出される空燃比(A/F)の変化に対してカウンタCDLY、フラグF1及び空燃比補正係数FAFがどのように変化するかを例示するタイムチャートである。
【図7】空燃比補正係数FAFのスキップ量RSR及びRSLを可変にするサブ空燃比フィードバック制御における下流側Oセンサ出力電圧VOS、リッチスキップ量RSR及びOストレージ量OSCの挙動を例示するタイムチャートであって、(A)は軽負荷の場合を示し、(B)は高負荷の場合を示す。
【図8】空気過剰率λと三元触媒のガス浄化率との関係を示す特性図である。
【図9】従来技術においてNOの排出量が増大するときの下流側Oセンサ出力電圧VOS、リッチスキップ量RSR及び吸入空気流量GAの挙動を示すタイムチャートである。
【図10】本発明における下流側Oセンサ出力電圧VOS、リッチスキップ量RSR及び吸入空気流量GAの挙動を示すタイムチャートである。
【図11】CPUによって実行されるサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/2)である。
【図12】CPUによって実行されるサブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/2)である。
【図13】下流側Oセンサのリッチ出力が継続するときのRSR更新量(減量値)を吸入空気流量GAに応じて定めたマップを示す図である。
【図14】下流側Oセンサのリーン出力が継続するときのRSR更新量(増量値)を吸入空気流量GAに応じて定めたマップを示す図である。
【符号の説明】
1…直列多気筒4ストロークサイクルレシプロガソリン機関
2…シリンダブロック
3…シリンダヘッド
4…シリンダ
5…ピストン
6…コネクティングロッド
7…クランクシャフト
8…燃焼室
9…吸気ポート
10…排気ポート
11…吸気バルブ
12…排気バルブ
13…吸気側カムシャフト
14…排気側カムシャフト
15…吸気側カム
16…排気側カム
17,18,19…タイミングプーリ
20…タイミングベルト
30…吸気通路
31…エアクリーナ
32…スロットルバルブ
33…サージタンク
34…吸気マニホルド
35…アイドルアジャスト通路
36…アイドル回転速度制御弁(ISCV)
40…インジェクタ
41…燃料タンク
42…燃料ポンプ
43…燃料配管
50…点火プラグ
51…イグナイタ
52…点火コイル
53…点火ディストリビュータ
60…排気通路
61…排気マニホルド
62…触媒コンバータ
70…エアフローメータ
72…スロットル開度センサ
73…吸気温センサ
74…水温センサ
75…上流側Oセンサ(メインOセンサ)
76…下流側Oセンサ(サブOセンサ)
80…クランク基準位置センサ
81…クランク角センサ
82…アイドルスイッチ
83…車速センサ
90…機関ECU
91…CPU
92…システムバス
93…ROM
94…RAM
95…A/D変換回路
96…入力インタフェース回路
97a,97b,97c…駆動回路
99…バックアップRAM

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気系に設けられた排気ガス浄化のための触媒コンバータの上流側に配設された第1の空燃比センサと、
    前記触媒コンバータの下流側に配設された第2の空燃比センサと、
    前記第2の空燃比センサの出力がリッチを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリーン側に向かうような値に更新する一方、前記第2の空燃比センサの出力がリーンを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリッチ側に向かうような値に更新することにより、空燃比フィードバック制御に関与する定数を演算する定数演算手段と、
    該機関の負荷が軽負荷から高負荷に切り替わったときに、前記定数演算手段によって演算された空燃比フィードバック制御に関与する定数を補正する定数補正手段と、
    前記第1の空燃比センサの出力と前記空燃比フィードバック制御に関与する定数とに応じて空燃比フィードバック補正量を演算するフィードバック補正量演算手段と、
    前記空燃比フィードバック補正量に応じて該機関の空燃比を調整する空燃比調整手段と、
    を具備し、前記定数補正手段は、軽負荷状態において前記第2の空燃比センサの出力のリッチ状態が継続し、空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリーン側に向かう方向での大きな値となっており、空燃比が十分にリーンになっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときに、空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリッチ側に向かうように補正する、内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 内燃機関の排気系に設けられた排気ガス浄化のための触媒コンバータの上流側に配設された第1の空燃比センサと、
    前記触媒コンバータの下流側に配設された第2の空燃比センサと、
    前記第2の空燃比センサの出力がリッチを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリーン側に向かうような値に更新する一方、前記第2の空燃比センサの出力がリーンを示すときには空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリッチ側に向かうような値に更新することにより、空燃比フィードバック制御に関与する定数を演算する定数演算手段と、
    該機関の負荷が軽負荷から高負荷に切り替わったときに、前記定数演算手段によって演算された空燃比フィードバック制御に関与する定数を補正する定数補正手段と、
    前記第1の空燃比センサの出力と前記空燃比フィードバック制御に関与する定数とに応じて空燃比フィードバック補正量を演算するフィードバック補正量演算手段と、
    前記空燃比フィードバック補正量に応じて該機関の空燃比を調整する空燃比調整手段と、
    を具備し、前記定数補正手段は、軽負荷状態において前記第2の空燃比センサの出力のリーン状態が継続し、空燃比フィードバック制御に関与する定数が、空燃比がリッチ側に向かう方向での大きな値となっている場合において、機関運転状態が高負荷状態に移行したときに、空燃比フィードバック制御に関与する定数を空燃比がリーン側に向かうように補正する、内燃機関の空燃比制御装置。
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