JP4064092B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比センサの検出空燃比に基づいて空燃比を制御するエンジンの空燃比制御装置に関し、詳しくは、前記検出空燃比を補正する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、排気ガス中の酸素濃度(排気空燃比)に対してリニアに出力が変化する空燃比センサを触媒上流側に備え、該空燃比センサで検出される酸素濃度(排気空燃比)と排気ガス量とから、前記触媒に貯蔵されている酸素量を推定し、該貯蔵酸素量が目標値になるように、燃焼混合気の空燃比を制御する構成の空燃比制御装置が知られている(特開平6−249028号公報,特開平10−184425号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、理論空燃比を境に出力が急変するストイキセンサは、比較的安定して理論空燃比に対するリッチ・リーンを検出することができるが、前記空燃比センサの場合、部品ばらつきや経時劣化による出力特性の僅かなずれが、検出空燃比の誤差になり、上記のように触媒における貯蔵酸素量を推定させる場合には、酸素量の推定誤差が大きくなって、所望の排気浄化性能を得ることができなくなってしまう可能性があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、空燃比センサの出力特性のずれを、ストイキセンサの検出結果を利用して常に精度良く修正することができるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、触媒の上流側に設けられた空燃比センサの出力に基づいて燃焼混合気の空燃比を制御する構成において、触媒の下流側に理論空燃比を境に出力が急変するストイキセンサを設け、このストイキセンサの出力を基準に前記空燃比センサの検出空燃比を補正するための補正値を学習するよう構成すると共に、前記触媒が活性状態であるときに、前記補正値の更新速度を遅くする構成とした。
【0006】
上記構成によると、空燃比センサに比較して理論空燃比を安定的に検出することが可能であるストイキセンサが触媒下流側に設けられ、このストイキセンサが理論空燃比を正しく検出するものとして、空燃比センサの検出空燃比を補正するための補正値を学習するが、ストイキセンサの検出応答性は、触媒の活性状態で変動する酸素ストレージ能力によって変化するため、触媒が活性化していて高い酸素ストレージ能力を発揮する場合であって、ストイキセンサの検出遅れが大きくなるときに、補正値の更新速度を遅くする。
【0007】
請求項2記載の発明では、補正値を更新させるときのステップ変化量を、触媒が活性状態であるときに小さくする構成とした。上記構成によると、補正値を更新させるときの1回当たりの更新量であるステップ変化量を、触媒が活性状態であるときに小さくすることで、触媒が活性状態であるときに補正値の更新速度を遅くする。
【0008】
請求項3記載の発明では、補正値の更新周期を、前記触媒が活性状態であるときに長くする構成とした。上記構成によると、触媒が活性状態であるときに更新周期を長くすれば、補正値のステップ変化量が同じであっても更新速度が遅くなり、触媒が活性状態であるときに補正値の更新速度を遅くすることになる。
【0010】
請求項4記載の発明では、空燃比センサの検出空燃比が略理論空燃比であり、ストイキセンサがリッチ又はリーン出力を発生するときに、ストイキセンサの出力が理論空燃比相当値付近に変化するまで補正値を徐々に変化させる構成とした。上記構成によると、ストイキセンサがリッチ又はリーン出力を発生している状態で、空燃比センサの検出空燃比が略理論空燃比であるときには、空燃比センサの検出空燃比が実際の空燃比からずれているものと判断し、補正値を変化させることで実空燃比を変化させ、ストイキセンサの出力を理論空燃比相当値付近にまで変化させる。
【0011】
請求項5記載の発明では、空燃比センサの検出空燃比が略理論空燃比であり、ストイキセンサがリッチ又はリーン出力を発生するときに、ストイキセンサの出力の変化速度が所定値よりも大きくなるまで補正値を徐々に変化させる構成とした。上記構成によると、ストイキセンサがリッチ又はリーン出力を発生している状態で、空燃比センサの検出空燃比が略理論空燃比であるときには、空燃比センサの検出空燃比が実空燃比からずれているものと判断し、ストイキセンサの出力の変化速度が所定値よりも大きくなるまで、換言すれば、ストイキセンサがリッチ又はリーン出力が理論空燃比相当値に向けて変化し始めるまで、補正値を変化させる。
【0012】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、触媒が活性化していてストイキセンサの検出遅れが大きくなるときに、空燃比センサの出力特性のずれを修正する補正値の更新速度を遅くするので、補正値のオーバーシュートを未然に回避しつつ、理論空燃比を精度良くかつ安定的に検出できるストイキセンサの出力を基準として、前記補正値を精度良く設定できるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の発明によると、補正値のステップ変化量の変更によって、触媒の活性状態によるストイキセンサの検出遅れに応じた速度で補正値を更新させることができるという効果がある。
請求項3記載の発明によると、補正値の更新周期の変更によって、触媒の活性状態によるストイキセンサの検出遅れに応じた速度で補正値を更新させることができるという効果がある。
【0014】
請求項4記載の発明によると、空燃比センサの検出空燃比が理論空燃比になるように補正値が学習されるから、理論空燃比を基準として空燃比センサの出力特性のずれを精度良く補正することができ、かつ、ストイキセンサの出力が理論空燃比付近になった時点で補正値の更新を停止させ、然も、理論空燃比付近になるまでの間の更新速度を触媒が活性化しているときに遅くするので、触媒下流側のストイキセンサの検出遅れによる補正値のオーバーシュートを回避できるという効果がある。
【0015】
請求項5記載の発明によると、空燃比センサの検出空燃比が理論空燃比になるように補正値が学習されるから、理論空燃比を基準として空燃比センサの出力特性のずれを精度良く補正することができ、かつ、ストイキセンサの出力の変化を捉えて補正値の更新を停止させ、然も、出力変化が検出されるまでの間の更新速度を触媒が活性化しているときに遅くするので、触媒下流側のストイキセンサの検出遅れによる補正値のオーバーシュートを回避できるという効果がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態におけるエンジンのシステム構成図である。
この図1において、車両に搭載されるエンジン1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2,吸気管3,モータで開閉駆動される電子制御式スロットル4を介して空気が吸入される。
【0017】
各気筒の燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁5が設けられており、該燃料噴射弁5から噴射される燃料と吸入空気とによって燃焼室内に混合気が形成される。
燃料噴射弁5は、コントロールユニット20から出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射する。
【0018】
燃焼室内に形成される混合気は、点火栓6により着火燃焼する。
尚、エンジン1を上記の直接筒内噴射式ガソリンエンジンに限定するものではなく、吸気ポートに燃料を噴射する構成のエンジンであっても良い。
エンジン1からの排気は排気管7より排出され、該排気管7には排気浄化用の触媒8が介装されている。
【0019】
前記触媒8は、酸素貯蔵能力を有する三元触媒であって、排気中の有害3成分である一酸化炭素CO及び炭化水素HCを酸化すると共に、酸化窒素NOxを還元して、無害な二酸化炭素、水蒸気及び窒素に変換させるものである。
そして、該三元触媒8による浄化性能は、排気空燃比が理論空燃比であるときに最も高く、排気空燃比がリーンで酸素量が過剰であると、酸化作用は活発になるが還元作用が不活発となり、逆に、排気空燃比がリッチで酸素量が少ないと、酸化作用は不活発になるが還元作用が活発となる。
【0020】
但し、前記三元触媒8は酸素を貯蔵する能力(酸素ストレージ効果)を有するため、排気空燃比が一時的にリッチになったときには、それまでに貯蔵されていた酸素を使用し、逆に、排気空燃比が一時的にリーンになったときには、余分な酸素を貯蔵することで、排気浄化性能を維持できるようになっている。
従って、空燃比が理論空燃比からリーン側にずれたときに酸化窒素NOxを還元でき、かつ、空燃比が理論空燃比からリッチ側にずれたときに一酸化炭素CO及び炭化水素HCを酸化できるようにするためには、三元触媒8に貯蔵される酸素の量(貯蔵酸素量)を、貯蔵できる最大量の半分程度に維持し、余分な酸素を貯蔵し、かつ、酸化処理に必要な酸素を脱離して供給できる状態にしておくことが要求される。
【0021】
そこで、前記コントロールユニット20は、フィードバック制御条件が成立しているときに、三元触媒8における貯蔵酸素量を推定し、該推定される貯蔵酸素量を目標量(最大貯蔵酸素量の半分程度)に一致させるべく、前記燃料噴射弁5による燃料噴射量をフィードバック制御するようになっている。
前記コントロールユニット20は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイコンを備え、各種センサから出力される検出信号を入力し、これらに基づいて演算処理して、電子制御式スロットル4におけるスロットル開度,燃料噴射弁5による噴射量・噴射時期,点火栓6による点火時期を制御する。
【0022】
前記各種センサとして、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ21、カム軸から気筒判別信号を取り出すカムセンサ22が設けられており、前記クランク角センサ21からの信号に基づきエンジンの回転速度Neが算出される。
この他、電子制御式スロットル4上流側で吸入空気量Qを検出するエアフローメータ23、アクセルペダルの踏込み量APSを検出するアクセルセンサ24、電子制御式スロットル4におけるスロットル開度TVOを検出するスロットルセンサ25、エンジン1の冷却水温度Twを検出する水温センサ26が設けられている。
【0023】
更に、触媒8の上流側には、空燃比に対してリニアに出力が変化する空燃比センサ27が設けられ、触媒8の下流側には、排気中の酸素濃度に感応し、理論空燃比を境に出力が急変するストイキセンサ28が設けられている。
前記ストイキセンサ28は、排気管内に突出して設けられるジルコニアチューブを有してなり、このジルコニアチューブ外側の排気中の酸素濃度と、内側の大気中の酸素濃度との比に応じた起電力を発生する公知の酸素濃淡電池型センサであって、理論空燃比よりもリッチであるときに起電力を発生し、理論空燃比よりもリーンであるときに殆ど起電力を発生せず、理論空燃比を境にON・OFF的に出力が切り換わる酸素センサである(図2参照)。
【0024】
また、前記空燃比センサ27は、中空部内の酸素濃度を検出する酸素濃度検出部と、前記中空部に対する酸素(酸素イオン)の汲み入れ・汲み出しを行なう酸素ポンプ部とを有してなり、前記中空室内の酸素濃度を一定に保つように前記酸素ポンプ部への印加電圧を制御したときに、酸素ポンプ部の電極間に流れる限界電流を測定することにより、排気中の酸素濃度、換言すれば、排気空燃比を広域に検出する所謂広域空燃比センサである。
【0025】
尚、前記空燃比センサ27としては、上記のような広域空燃比センサの他、前記ストイキセンサ28と同様な構造でありながら、理論空燃比付近の空燃比領域で空燃比に対して起電力が線形性を有するように(ストイキ特性を鈍らすように)、センサ素子を構成する保護層,触媒層,ジルコニアチューブを形成した酸素濃淡電池型の酸素センサ(傾斜型酸素センサ)を用いることができる(図2参照)。
【0026】
また、前記三元触媒8には、該触媒8の温度を検出する触媒温度センサ29が設けられている。
次に、前記コントロールユニット20による貯蔵酸素量に基づく空燃比制御の様子を、図3のフローチャートに従って説明する。
図3のフローチャートにおいて、ステップS1では、冷却水温度Tw,空燃比センサ27の出力(限界電流)などを読み込む。
【0027】
ステップS2では、貯蔵酸素量の推定結果に基づくフィードバック制御の実行許可条件を判定する。
具体的には、空燃比センサ27が活性状態で、かつ、空燃比センサ27や燃料噴射弁5などに故障がないことなどを、実行許可条件とする。
ステップS3では、前記空燃比センサ27の出力(限界電流測定値)から空燃比を演算する。
【0028】
ステップS4では、前記空燃比センサ27の検出空燃比に、後述するようにして学習される補正値αを加算して補正する。
尚、補正値αは、空燃比センサ27の出力(限界電流値)を補正する構成であっても良く、この場合は、補正した出力値に基づいて空燃比を演算することになる。
【0029】
ステップS5では、前記補正値αで補正された空燃比センサ27の検出空燃比を示す空気過剰率λと、排気ガス量に相当する吸入空気量と、変換用の定数k1とに基づき、下式に従って今回の触媒流入酸素量を算出する。
今回の触媒流入酸素量=(実際の空気過剰率λ−1)×吸入空気量×k1
上記「今回の触媒流入酸素量」は、実際の空燃比が理論空燃比よりもリーンであれば、酸素過剰状態を示すプラスの値となり、逆に、実際の空燃比が理論空燃比よりもリッチであれば、酸素不足状態を示すマイナスの値となる。
【0030】
ステップS6では、触媒8における貯蔵酸素量OSCを、下式に従って算出する。
貯蔵酸素量OSC=前回のOSC+今回流入酸素量
ステップS7では、前記貯蔵酸素量OSCと目標酸素量との偏差に基づき、目標当量比(理論空燃比相当の基本燃料噴射量を補正するための空燃比フィードバック補正係数)を設定する。
【0031】
次のステップS8では、理論空燃比相当の基本燃料噴射量Tpを、前記目標当量比(空燃比フィードバック補正係数)で補正することで、前記目標当量比相当の燃料噴射量Tiを演算する。
コントロールユニット20は、前記燃料噴射量Tiに相当するパルス幅の噴射パルス信号を、各気筒の吸気行程又は圧縮行程にタイミングを合わせて、各燃料噴射弁5に出力する。
【0032】
図4のフローチャートは、空燃比センサ27の検出空燃比を補正するための前記補正値αの学習制御を示す。
ステップS11では、貯蔵酸素量に基づく空燃比制御の開始フラグや、ストイキセンサ28の活性フラグなどを読み込む。
ステップS12では、前記図3のフローチャートに示される貯蔵酸素量に基づく空燃比制御が開始されていて、かつ、ストイキセンサ28が活性しているか否かを判別する。
【0033】
尚、ストイキセンサ28の活性・非活性は、所定以上の起電力を発生するか否かに基づいて判断できる。
ステップS12で、貯蔵酸素量に基づく空燃比制御が開始されていて、かつ、ストイキセンサ28が活性していると判断されると、ステップS13へ進み、前記空燃比センサ27の出力(限界電流測定値)が示す空燃比A/Fが、理論空燃比近傍の所定範囲内(例えば14.5<A/F<14.9)であるか否かを判別する。
【0034】
前記ステップS13で、前記空燃比センサ27の検出空燃比が略理論空燃比であると判断されたときには、ステップS14へ進み、前記ストイキセンサ28の出力(起電力)が、理論空燃比以外のリッチ出力又はリーン出力であるか否かを判別する。
具体的には、例えばリッチ・リーン判別に用いる閾値を500mVとするときに、ストイキセンサ28の起電力が300mVよりも小さいか、又は、800mVよりも大きいかを判別する(図2参照)。
【0035】
ステップS14で、前記ストイキセンサ28が、リッチ出力又はリーン出力を発生していると判別されたとき、即ち、空燃比センサ27が略理論空燃比を検出している状態で、ストイキセンサ28がリッチ又はリーンを検出しているときには、ステップS15へ進む。
ステップS15では、前記触媒温度センサ29で検出される触媒8の温度を読み込む。
【0036】
ステップS16では、前記補正値αを更新させるときのステップ変化量Δαを前記触媒温度に応じて設定する。
前記ステップ変化量Δαは、触媒8の温度が高く活性化しているほど、小さい値に設定される。触媒8の温度が高く、触媒8が活性化していて、高い酸素ストレージ能力を発揮する状態では、触媒8上流側での酸素濃度(排気空燃比)の変化が、大きく遅れてストイキセンサ28によって検出されることになるのに対し、触媒8の温度が低い非活性状態では、触媒8上流側での酸素濃度(排気空燃比)の変化が、比較的応答良くストイキセンサ28によって検出される。
【0037】
従って、ストイキセンサ28の検出遅れが大きい触媒活性時に、補正値αを大きなステップで変化させると(補正値αの更新速度が速いと)、補正値αのオーバーシュートが発生することになってしまうので、前述のように、触媒8の活性時には、前記補正値αを更新させるときのステップ変化量Δαを比較的小さい値に設定することで、補正値αの更新速度を遅くして、オーバーシュートの発生を回避できるようにしてある。
【0038】
ステップS17では、ストイキセンサ28がリッチを検出しているときには、前記補正値αを前記ステップ変化量Δαだけ減少させ、逆に、ストイキセンサ28がリーンを検出しているときには、前記補正値αを前記ステップ変化量Δαだけ増大させる。
ステップS18では、ステップS17において修正した前記補正値αを用いて空燃比センサ27の検出空燃比を補正させた結果、ストイキセンサ28の出力(起電力)が、理論空燃比相当値(例えば500mV)を含む所定範囲内(300mV<センサ起電力<800mV)になったか否かを判別し、ストイキセンサ28の出力が、理論空燃比相当値を含む所定範囲内になるまで、ステップS14〜S17の処理を繰り返し、補正値αを徐々に変化させる(図5参照)。
【0039】
空燃比は、リッチになるほど小さくなる値であり、また、前記補正値αは前記空燃比センサ27による検出空燃比に加算されるから、補正値αを減少させると、空燃比センサ27による検出空燃比がリッチ側に修正されることになり、逆に、補正値αを増大させると、空燃比センサ27による検出空燃比がリーン側に修正されることになる。
【0040】
一方、前記ストイキセンサ28は、触媒8の下流側に設けられることから、熱影響や被毒量が少なく、然も、ストイキ特性を有することから、空燃比センサ27に比べて理論空燃比をより精度良くかつ安定的に検出でき、空燃比センサ27が理論空燃比を検出しているのに、ストイキセンサ28がリッチ又はリーンを検出している場合には、空燃比センサ27の出力特性にずれが生じているものと推定される。
【0041】
具体的には、ストイキセンサ28がリッチを検出する場合には、空燃比センサ27は実際の空燃比よりもリーンに検出する傾向があり、また、ストイキセンサ28がリーンを検出する場合には、空燃比センサ27は実際の空燃比よりもリッチに検出する傾向であることが推定される。
従って、ストイキセンサ28がリッチを検出する場合に、前記補正値αを減少させれば、空燃比センサ27の出力特性のリーン側へのずれを修正することになり、同様に、ストイキセンサ28がリーンを検出する場合に、前記補正値αを増大させれば、空燃比センサ27の出力特性のリッチ側へのずれを修正することになる。
【0042】
尚、上記ステップS18において、補正値αの変更を停止させるタイミングは、ストイキセンサ28の出力が理論空燃比相当値に充分に近づいた時点とすれば良いので、上記のように、ストイキセンサ28の出力の絶対値を判別する代わりに、ストイキセンサ28の出力の変化速度で判別する構成としても良い。
具体的には、ストイキセンサ28の出力の変化速度を示すパラメータとして|前回値−今回値|を演算し、該変化量の絶対値が所定値以上になるまで、補正値αの更新を繰り返すようにする。
【0043】
ストイキセンサ28の出力は、理論空燃比から離れた空燃比領域では大きく変化せず、理論空燃比付近になると急激に変化するストイキ特性を示すので、ストイキセンサ28の出力の変化速度が所定以上になる領域は、結果的に、理論空燃比近傍の領域となり、ストイキセンサ28の出力の絶対値を判別する代わりに、変化速度に基づいて理論空燃比近傍の空燃比になったか否かを判断できる。
【0044】
ところで、上記実施形態では、ステップ変化量Δαの変更によって補正値αの更新速度を変化させるようにしたが、補正値αの更新周期を変化させることによっても、補正値αの更新速度を、触媒8の酸素ストレージ能力に応じて変化させることが可能である。
図6のフローチャートは、上記のように、補正値αの更新周期を変化させる構成の第2実施形態を示すものであり、ステップS16A以外の各ステップは、前記図4のフローチャートに示した第1実施形態と同様な処理を行なうので、詳細な説明は省略する。
【0045】
ステップS16Aでは、前記補正値αの更新周期Δtを、触媒温度が高いときほど長く設定して、ストイキセンサ28の検出遅れが大きい状態での補正値αの更新速度を遅くして、オーバーシュートの発生を回避する。
尚、触媒温度が高く触媒8が活性化しているときに、補正値αの更新速度を遅くできれば良く、ステップ変化量Δαと更新周期Δtとを同時に変化させる構成であって良い。
【0046】
また、触媒温度を触媒温度センサ29で検出する代わりに、エンジン負荷・エンジン回転速度・吸入空気量などに基づいて、触媒温度を推定させても良い。
また、上記実施形態では、触媒8における貯蔵酸素量を目標に一致させるべく、空燃比をフィードバック制御するときの貯蔵酸素量の推定に、空燃比センサ27の検出空燃比を用いる構成としたが、空燃比センサ27の検出空燃比を目標に一致させるべく、空燃比をフィードバック制御する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンのシステム構成図。
【図2】ストイキセンサの出力特性図。
【図3】貯蔵酸素量に基づく空燃比制御を示すフローチャート。
【図4】検出空燃比の補正値の学習制御を示すフローチャート。
【図5】前記補正値の学習特性を示すタイムチャート。
【図6】前記補正値の学習制御の第2実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン
4…スロットル弁
5…燃料噴射弁
6…点火栓
8…触媒
20…コントロールユニット
21…クランク角センサ
23…エアフローメータ
27…ストイキセンサ
28…空燃比センサ
29…触媒温度センサ
Claims (5)
- エンジンの排気管に介装される触媒の上流側に設けられ、空燃比に対してリニアに出力が変化する空燃比センサを備え、該空燃比センサの出力に基づいて燃焼混合気の空燃比を制御するエンジンの空燃比制御装置において、前記触媒の下流側に理論空燃比を境に出力が急変するストイキセンサを設け、該ストイキセンサの出力を基準に前記空燃比センサの検出空燃比を補正するための補正値を学習するよう構成すると共に、前記触媒が活性状態であるときに、前記補正値の更新速度を遅くすることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 前記補正値を更新させるときのステップ変化量を、前記触媒が活性状態であるときに小さくすることを特徴とする請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記補正値の更新周期を、前記触媒が活性状態であるときに長くすることを特徴とする請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記空燃比センサの検出空燃比が略理論空燃比であり、前記ストイキセンサがリッチ又はリーン出力を発生するときに、前記ストイキセンサの出力が理論空燃比相当値付近に変化するまで前記補正値を徐々に変化させる構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記空燃比センサの検出空燃比が略理論空燃比であり、前記ストイキセンサがリッチ又はリーン出力を発生するときに、前記ストイキセンサの出力の変化速度が所定値よりも大きくなるまで前記補正値を徐々に変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
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