JP3579930B2 - 自動車用ヘッドライト、及びこのヘッドライトの反射鏡を製造する方法 - Google Patents

自動車用ヘッドライト、及びこのヘッドライトの反射鏡を製造する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ヘッドライトに関し、自動車用のヘッドライトに関する。
【0002】
本発明は、カップ型覆いのないフィラメントランプなどの光源と、光源の像を水平な軸線を有する照射方向に所要の光量分布で形成する反射面を有する反射鏡と、カバーガラスとを備えるヘッドライトに関する。
【0003】
実施例では、反射鏡の反射面を、光源からのすべての像が、所定の遮断面の下方へ来るように構成してあるが、本発明は、それに限定されるものではない。
【0004】
【従来の技術】
フランス国特許公開第2,536,502号公報及び同第2,536,503号公報には、特殊な形状の反射面によって、下向きの光ビーム及び霧灯ビームを形成するようにしたヘッドライトが記載されている。
【0005】
この形式のヘッドライトは、カップ型覆いや遮蔽スクリーンを使用する必要がないのみならず、カバーガラスが高屈折特性を備える必要がなく、しかも、照射光ビーム垂直方向光量分布が良好である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのヘッドライトは、従来のヘッドライトと同様に、照射光ビームを、特に水平方向に、より均一な光量分布で照射するためには、線条縞あるいは段差つき線条縞などの光偏向領域を設けたカバーガラスを使用することが、依然として必要である。
【0007】
このような場合、自動車の外観上の要求などによって、カバーガラスをかなりの角度で傾斜させた場合、カバーガラスの傾斜角度が大きくなるにしたがつて、光偏向領域を設けることが困難になり、かつ、その効率が低下する。
【0008】
本発明の1つの目的は、反射鏡だけで、標準的な照射光ビームを、均一に照射できるようにしたヘッドライトを提供することであり、それによって、平滑なカバーガラス、もしくは光偏向機能のない、すなわち、純粋に装飾的で、光学的な作用をもたない線条縞を設けたカバーガラスを使用することができるヘッドライト、及びそれに使用される反射鏡の製造方法を提供することである。
【0009】
この目的を達成するための本発明の本質は、ヘッドライトの反射鏡に直接線条縞を形成し、その線条縞を、従来のヘッドライトの光偏向ガラスと同様なやり方で、領域内に配列して、所望の結果が得られるようにしたものである。
【0010】
イギリス国特許公開第435,945号公報には、ガラスから、光偏向用線条縞をなくすことができるヘッドライトが記載されている。このヘッドライトは、水平方向の放物線状薄片を積層して、積層された各薄片が独立した反射鏡を形成し、正確な放物面形式の光偏向面を構成している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明を添付図面を参照して説明すると次ぎのとおりに構成されている。
【0012】
本発明は、光源(10)と、光源(10)からの光束を、水平な光軸に沿った照射方向(Δ)に形成する基準反射面(23)を備える反射鏡(20)と、偏向用線条縞を有しないカバーガラス(30)とを備えていて、反射鏡(20)の基準反射面(23)の少なくとも一部に長方形などの多角形から成る線条縞を形成し、それにより照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)に長方形などの多角形の偏向領域(41)を形成し、光源(10)からの光束を照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)から基準反射面(23)上投影面(24)投影することと、想定直交面(40)に形成される長方形などの多角形の偏向領域(41)が、基準反射面(23)の法線方向に僅かに湾曲して突出していてカバーガラスの線条縞と同様の断面形状となっていて、それによりカバーガラスに線条縞の領域を設けた場合と同等の光量分布が得られるようになっている自動車用ヘッドライトであって、前記線条縞が、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化していて、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域 (41) において、互いに接して水平方向に連接した変形線条縞であることを特徴とする自動車用ヘッドライトを提供する。
【0013】
反射鏡の基準反射面(23)が、光源からの光束を、所定の遮光範囲より下方に照射するようになっていることが望ましい。
【0014】
本発明のヘッドライトの反射鏡は以下の方法によって製造される。
【0015】
光源(10)と、光源(10)からの光束を水平な光軸に沿った照射方向(Δ)に形成する基準反射面(23)を備える反射鏡(20)と、偏向用線条縞を有しないカバーガラス(30)とを備えた自動車用ヘッドライトの反射鏡(20)は、光源からの光束が、水平な光軸である照射方向(Δ)における基準光量分布を形成するように、反射鏡の基準反射面(23)を決定する工程と、反射鏡(20)の基準反射面(23)の少なくとも一部に長方形などの多角形から成る線条縞を形成し、それにより照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)に長方形などの多角形の偏向領域(41)を形成し、光源(10)からの光束を照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)から基準反射面(23)上に投影面(24)を投影する工程と、想定直交面(40)に形成される長方形などの多角形の偏向領域(41)を、基準反射面(23)の法線方向に僅かに湾曲させて、カバーガラスの線条縞と同様の断面形状とし、それによりカバーガラスに線条縞の領域を設けた場合と同等の光量分布が得られるようにする工程と、機械加工により、反射鏡の表面に、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化していて、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域 (41) において、互いに接して水平方向に連接した変形線条縞を形成した型を製造する工程と、その型を用いて反射鏡を成する工程、とを含む方法によって製造される。
【0016】
反射鏡(20)の基準反射面(23)が、光源からの光束を、所定の遮光範囲より下方に照射するようになっていることが望ましい。
【0017】
【作用】
反射鏡の基準反射面(23)に配置された各領域を、それらの領域で反射した光源からの光束が、カバーガラス(30)に光偏向用線条縞を設けた場合と同じように集束されるように形成することにより、線条縞を有しない平滑なカバーガラスを備え、所望の照射光分布をなしうるヘッドライトが得られる。
【0018】
以下、参考例及び実施例を参照して本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明を適用した自動車用ヘッドライトの概略断面図で、フィラメントランプである光源(10)と、本発明による特殊な反射面を備える反射鏡(20)と、切頭型の2個の半円筒体(21)(22)と、カバーガラス(30)とで構成されている。
【0019】
光源(10)から放射される光束の遮蔽は、カップ型覆いや遮光スクリーンによらず、反射鏡(20)のみによって行われる。
【0020】
この装置は、自動車から前方へ照射される照射光ビームを、水平な軸線方向の照射方向(Δ)に向けて投射するものである。
【0021】
当然ながら、フィラメント型ランプに代えて、アーク放電型ランプを使用してもよい。
【0022】
本発明の特徴は、カバーガラス(30)が、実質的に平滑であるか、もしくは線条縞を設けるとしても、光学的な機能を有せず、単に装飾的なものであって、照射光ビームを水平方向に均一に分配する機能は、もっぱら反射鏡(20)のみによって行われることである。
【0023】
これを行うために、照射方向(Δ)と直交する想定直交面(40)に線条縞の領域が形成され、従来の光偏向カバーガラスにおける照射方向(Δ)と直交する線条縞領域を使用したのと全く同じような視覚的効果が得られるようになっている。
【0024】
参考例を記載する図4は、自動車の左側のヘッドライトに適用した光偏向領域の平面配列状態を示す正面図である。
【0025】
符号(41)で示す光の偏向領域は、互いに連続的に、もしくは非連続的に配列されている。
【0026】
図2に示すように、各偏向領域(41)は、照射方向(Δ)に沿って、反射鏡(20)の基準反射面(23)上に投射される。
【0027】
これは、外形が多角形である各偏向領域(41)を、反射鏡(20)の曲面に対応する反射部(24)とする効果を有し、線条縞を形成する投影面は、各反射領域(24)の位置に形成される。
【0028】
この投影面(24)は、基準反射面(23)に、水平面に対して異なる偏位量(δ)をもつて、カバーガラスに形成される線条縞と同じ態様で配置される。
【0029】
線条縞の断面形状は、参考のために記載した図5に示すように、基準反射面(23)の法線方向に、0.1mmないし0.5mmの偏位量(δ)で、僅かに湾曲して突出している。
【0030】
線条縞にプリズム作用を与える場合には、偏位量を大きくする。
【0031】
図5は別の参考例で、完全な線条縞、すなわち、隣接する反射領域(24)が、共通の境界線に沿って隙間なしに連接されている場合を示す。
【0032】
さらに別の参考例を示す図6は、図5に示した完全な線条縞に代えて、互いに段差(26)を介して、相互に連接された段差(26)つき線条縞を設けることも可能である。
【0033】
段差(26)によって隣接する線条縞に不連続性が生じ、段差(26)が、光束を横方向に偏向させるという欠点がある。
【0034】
は、本発明の実施例(右側のヘッドライトを示す)の正面図で、変形線条縞、すなわち、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化した各種の線条縞を、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域(41)に、互いに接して水平方向に連接したものである。
【0035】
前記各参考例において、水平方向の移行領域を設けたことに基づく不連続性は、照射光パターンにまぶしい水平線を生じ、かつ、反射鏡を保護するためのワニスを塗布した場合には、ワニスが不連続部分の周辺に予測できない密度で、不均一に付着して、まぶしさが増加するという欠点がある。
【0036】
然しながらこの欠点は、図3に示した本発明の変形線条縞、すなわち、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化した各種の線条縞を、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域 (41) に、互いに接して水平方向に連接した線条縞を適用することによって、緩和することができる。
【0037】
【発明の効果】
(a) ヘッドライトの照射光束を照射方向に集束する手段を、反射鏡に、変形線条縞、すなわち、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化した各種の線条縞を、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域 (41) に、互いに接して水平方向に連接した線条縞を適用することによって、カバーガラスに、光偏向用の線条縞を設けないため、ヘッドライトの外観を任意のデザインで構成することができる。
【0038】
(b) カバーガラスは、線条縞のない平滑なものや、光を偏向させる光学的機能を備えない、単に装飾的な模様を付したものを、任意に選択して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘッドライトの概略断面図である。
【図2】想定した面にある線条縞を反射鏡の表面に配分する方法を示す概念設明図である。
【図3】本発明の反射鏡の偏向領域の平面配列を示す正面図である。
【図4】参考例の反射鏡の偏向領域の平面配列を示す正面図である。
【図5】別の参考例の反射鏡の表面の水平方向断面図である。
【図6】別の参考例の図5と同じ断面図である。
【符号の説明】
(10) 光源
(20) 反射鏡
(21)(22) 半円筒体
(23) 基準反射面
(24) 反射部
(25) 隣接領域の境界
(26) 段差
(30) カバーガラス
(40) 想定直交面
(41) 偏向領域
(Δ) 照射方向
(δ) 偏位量

Claims (4)

  1. 光源(10)と、
    光源(10)からの光束を、水平な光軸に沿った照射方向(Δ)に形成する基準反射面(23)を備える反射鏡(20)と、
    偏向用線条縞を有しないカバーガラス(30)とを備えていて、
    反射鏡(20)の基準反射面(23)の少なくとも一部に長方形などの多角形から成る線条縞を形成し、それにより照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)に長方形などの多角形の偏向領域(41)を形成し、光源(10)からの光束を照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)から基準反射面(23)上の投影面(24)に投影することと、
    想定直交面(40)に形成される長方形などの多角形の偏向領域(41)が、基準反射面(23)の法線方向に僅かに湾曲して突出していて、カバーガラスの線条縞と同様の断面形状となっていて、それによりカバーガラスに線条縞の領域を設けた場合と同等の光量分布が得られるようになっている自動車用ヘッドライトであって、
    前記線条縞が、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化していて、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域 (41) において、互いに接して水平方向に連接した変形線条縞であることを特徴とする自動車用ヘッドライト。
  2. 反射鏡(20)の基準反射面(23)が、光源(10)からの光束を、所定の遮光範囲より下方に照射するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ヘッドライト。
  3. 光源(10)と、光源(10)からの光束を水平な光軸に沿った照射方向(Δ)に形成する基準反射面(23)を備える反射鏡(20)と、実質的に光偏向用線条縞を有しないカバーガラス(30)とを備えた自動車用ヘッドライトの反射鏡(20)を製造する方法であって、
    (1)光源からの光束が、水平な光軸である照射方向(Δ)における基準光量分布を形成するように、反射鏡の基準反射面(23)を決定する工程と、
    (2)反射鏡(20)の基準反射面(23)の少なくとも一部に長方形などの多角形から成る線条縞を形成し、それにより照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)に長方形などの多角形の偏向領域(41)を形成し、光源(10)からの光束を照射方向(Δ)に直交する想定直交面(40)から基準反射面(23)上に投影面(24)を投影する工程と、
    (3)想定直交面(40)に形成される長方形などの多角形の偏向領域(41)を、基準反射面(23)の法線方向に僅かに湾曲させて、カバーガラスの線条縞と同様の断面形状とし、それによりカバーガラスに線条縞の領域を設けた場合と同等の光量分布が得られるようにする工程と、
    (4)機械加工により、反射鏡の表面に、断面(プロファイル)が長さ方向に連続的に変化していて、反射鏡の主要部分を占める各偏向領域 (41) において、互いに接して水平方向に連接した変形線条縞を形成した型を製造する工程と、
    (5)その型を用いて反射鏡を成する工程、とを含む自動車用ヘッドライトの反射鏡を製造する方法。
  4. 反射鏡(20)の基準反射面(23)が、光源(10)からの光束を所定の遮光範囲より下方に照射するようになっていることを特徴とする請求項に記載の自動車用ヘッドライトの反射鏡を製造する方法。
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