JP3579630B2 - 顕微鏡のオートフォーカス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡のオートフォーカス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学顕微鏡で被検物体を観察する際には、顕微鏡の観察光学系と被検物体の間の距離を調節する、いわゆる合焦操作が必要であり、最近では自動的に合焦を行うオートフォーカス装置が広く用いられるようになってきた。オートフォーカスとは、一般に、焦点が合った位置からの差異量(焦点ずれ)を自動的に検出し、この差異量に応じて例えば対物レンズまたは被検物体を搭載したステージを移動することにより、鮮明な像が得られるように自動調整するものである。
【0003】
図14を用いて、従来の細ビーム式と呼ばれるオートフォーカス(AF)制御の例を説明する。
【0004】
このオートフォーカス制御は、図14(a)のように、対物レンズ1の光軸Kから外れた位置を固定的な入光点Aとして、対物レンズ1を通して被検物体2に測定ビームL1を照射し、被検物体2から対物レンズ1を通して導かれる測定ビームの反射光L2を、図14(b)のように、2つの受光部E、Fよりなる光学的センサ90で受光して、同センサ90の受光面上に形成される受光スポットSP、SPf、SPbの位置により、対物レンズ1の焦点位置からの被検物体2の焦点ずれを検出する。そして、その焦点ずれ検出信号に基づいて、対物レンズ1と被検物体2の距離を調節し、被検物体2上の対象点に対物レンズ2の焦点を合わせるというものである。
【0005】
ここで、適正ピント位置Fにあるときには、受光スポットSPは2つの受光部E、Fの中間位置にて点像となる。また、前ピン位置F+ΔFにあるときには、受光スポットSPfは、中間位置から前ピン側の受光部E上にずれてボケ像となり、後ピン位置F−ΔFにあるときには、受光スポットSPbは、中間位置から後ピン側の受光部F上にずれてボケ像となる。なお、「前ピン」とは像面の手前で焦点を結ぶ状態、「後ピン」とは像面の手前で焦点を結ぶ状態を指す。
【0006】
従って、オートフォーカスを指令する制御装置は、図15のフローチャートに示すように、2つの受光部E、Fの信号に基づいて処理を進めることで、ピント合わせを行う。
【0007】
即ち、制御装置の主たる要素であるマイクロプロセッサは、まず最初のステップ901で、2つの受光部E、Fの出力信号のA/D変換値e、fを読み取る。次のステップ902で、その出力信号のA/D変換値e、fに基づいて合焦かどうかを判断する。合焦の判断は「e=f」かどうかを判定することで行う。合焦ならば、ステップ903でモータを停止して最初のステップに戻る。
【0008】
合焦でない場合は、ステップ904で前ピンか後ピンかを判断する。前ピンか後ピンかの判断は「e>f」かどうかを判定することで行う。前ピンであれば、ステップ905で後ピン側へモータを回し、対物レンズ1と被検物体2の距離を近づける。後ピンであれば、ステップ906で前ピン側へモータを回し、対物レンズ1と被検物体2の距離を離す。それにより合焦点を探す。その結果、ピント位置がずれた場合でも、自動的に合焦点Fに戻る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の細ビーム式のオートフォーカス制御では、測定ビームL1の入光点を1点Aに固定しているため、図16の(a)のように平面状の被検物体2を観察する場合には特に問題は生じないが、図16(b)のように被検物体2の表面に凹凸がある(図示例では凸部2aが存在する)場合等には、図16(c)のように測定ビームL1の届かない死角Nができるため、適正なオートフォーカス制御ができないことがあった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮し、被検物体の表面形状によらず、適正なオートフォーカス制御が確実にできる顕微鏡のオートフォーカス装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、対物レンズを含む観察光学系と、対物レンズの光軸から外れた位置を入光点として、対物レンズを通して被検物体に測定ビームを照射する測定ビーム照射機構と、被検物体から対物レンズを通して導かれる測定ビームの反射光を受光し、受光面上に形成される受光スポットの位置により、対物レンズの焦点位置からの被検物体の焦点ずれを検出する焦点ずれ検出手段と、該焦点ずれ検出手段の出力に基づいて対物レンズと被検物体の距離を調節する駆動機構を制御し、それにより被検物体上の対象点に対物レンズの焦点を合わせる制御手段と、を備えた顕微鏡のオートフォーカス装置において、前記入光点として、対物レンズの光軸を中心とする円周上に、円周方向に90度間隔に4つの入光点を設定し、測定ビーム照射機構により、前記4つの入光点にて順番に測定ビームを被検物体に照射し、各入光点における測定ビームの照射毎に、前記焦点ずれ検出手段により対物レンズの焦点位置からの被検物体の焦点ずれを検出して、その検出出力に基づいて前記制御手段が前記駆動機構を制御することを特徴とする。
【0012】
この発明では、4つの入光点から測定ビームを照射可能であるから、つまり、4つ方向から測定ビームを被検物体の表面に照射可能であるから、被検物体の表面に凹凸がある場合であっても、いずれかの入光点からの測定ビームを、必ず被検物体上の対象点に届かせることができ、その測定ビームに基づいて適正なオートフォーカス制御を行うことができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記4つの入光点にて順番に測定ビームを被検物体に照射する測定ビーム照射機構が、1本の測定ビームを出射する測定ビーム照射源と、該照射源より出射された測定ビームの通過するウェッジプリズムと、該ウェッジプリズムを回転させることで、測定ビームを前記4つの入光点を通過する円形軌跡に沿って回転させる回転機構と、から構成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明では、ウェッジプリズムによって1本の測定ビームを回転させることにより、4つの入光点から測定ビームを対物レンズを通して被検物体に照射することができる。従って、測定ビームの照射源の数を増やさずに、簡単な構造で請求項1の発明の効果を得ることができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記焦点ずれ検出手段が、十字に配置された4つの受光部を備えており、直線上に並んだ2つの受光部の組み合わせにより、1つの入光点にて被検物体に測定ビームを照射した際の反射光を受ける1つの検出手段が構成され、前記直線上に並んだ2つの受光部は、合焦時に2つの受光部の中間に受光スポットが形成され、前ピン時に一方の受光部上に受光スポットが形成され、後ピン時に他方の受光部上に受光スポットが形成されるような位置関係で配置され、直線上に並ぶ2つの受光部の組み合わせが、180度対向した位置にある2つの入光点にてそれぞれ測定ビームを照射した際の焦点ずれを検出する各検出手段を兼ねていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、ある1つの入光点Aで測定ビームを対物レンズに入射させた場合、直線上に並ぶ2つの受光部E、Fの上に受光スポットが形成される。その受光スポットは、前ピン状態のときは一方の受光部E上に形成され、後ピン状態のときは他方の受光部F上に形成される。
【0017】
そこで、前ピン状態であるときには、後ピン側になるように焦点合わせが行われる(対物レンズと被検物体の距離を近づける)ことにより、一方の受光部E上に形成されていた受光スポットの位置が、2つの受光部E、Fの中間点Oに向けて移動する。そして、その中間点Oに受光スポットが到達したら、焦点合わせ動作が停止し、その状態で被検物体に対物レンズの焦点が合う。
【0018】
また、後ピン状態であるときには、前ピン側になるように焦点合わせが行われる(対物レンズと被検物体の距離を離す)ことにより、一方の受光部F上に形成されていた受光スポットの位置が、2つの受光部E、Fの中間点Oに向けて移動する。そして、その中間点Oに受光スポットが到達したら、焦点合わせ動作が停止し、その状態で被検物体に対物レンズの焦点が合う。このように、ピント位置の変化により、受光スポットは2つの受光部E、Fが配置されている直線上を移動することになる。
【0019】
次に180度対向した位置にある入光点Cで測定ビームを入射させた場合を考えてみると、前記と同じ直線上に並ぶ2つの受光部E、Fの上に受光スポットが形成される。但し、この場合は、2つの受光部E、Fの役割が逆転する。即ち、入光点が180度反転した位置に切り替わることで、入光点Aで測定ビームを入射したときは前ピン用として機能していた受光部Eが、今度は後ピン用として機能し、後ピン用として機能していた受光部Fが、今度は前ピン用として機能するようになる。それにより、前記と同じ合焦動作が行われる。
【0020】
また、入光点A、Cから90度ずれた位置にある入光点B、Dで測定ビームを照射する場合も同様である。
【0021】
いずれにしろ、十字に配置した受光部の組み合わせにより、4つの入光点にて順番に測定ビームを照射した各場合の焦点ずれを全て検知するようにしているので、受光部の数を増やさずに、4方向からの測定ビームの照射による、死角のないオートフォーカス制御を実現することができる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項3において、前記4つの受光部が、それぞれに内側の受光センサと外側の受光センサとに分割されており、それにより前記焦点ずれ検出手段が8分割のセンサアレイよりなることを特徴とする。
【0023】
この発明では、十字に配置した各受光部を、内側の受光センサと外側の受光センサとに分割しているので、ピントが大きく外れている場合(つまり受光スポットが外側の受光センサ上にある場合)と、ピントの外れ方が小さくなった場合(つまり受光スポットが内側の受光センサ上にある場合)とで、区別した制御を行うことができる。
【0024】
例えば、片方の受光部上に受光スポットが形成されていることに基づいてピント合わせを行っている段階で合焦点に近づいてくると、正規の受光スポット以外のゴースト像が、反対側に位置する受光部の外側受光センサ上に形成されることがある。そのような場合、ゴースト像の影響を取り除いてやらないと、適正なオートフォーカス制御ができなくなる。そこで、合焦点に近づいた段階で、敢えて外側の受光センサの信号を無視し(切り離して)、内側の受光センサの信号だけで、合焦点まで焦点合わせ制御を行うのである。このようにすることで、精度の良いオートフォーカス制御を高い応答性で行うことができるようになる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記制御手段が、1つの入光点にて測定ビームを照射して得た焦点ずれ検出手段の信号の有効性を評価し、該信号が無効であると評価した場合は、その信号を不採用として、測定ビーム照射機構に制御信号を送り、測定ビームの入光点を次の順番の入光点に移動することを特徴とする。
【0026】
この発明では、4方向から測定ビームを順番に被検物体に照射してオートフォーカス制御を行う際に、各入光点にて測定ビームを照射した段階において検出信号の有効性を評価し、無効な信号の場合はその信号を不採用として、次の入光点に移動するようにしているので、死角となる方向からの測定ビームの照射によって得た信号を無効データとして排除することができ、それにより被検物体の表面形状によらず、適正なオートフォーカス制御を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態のオートフォーカス装置を含む顕微鏡の概略構成図、図2は対物レンズの入射面における測定ビームの入光点の位置を示す図、図3は焦点ずれ検出手段としてのセンサアレイの平面図である。
【0028】
この顕微鏡の観察光学系は、対物レンズ1と、接眼レンズ9と、対物レンズ1を通した光学像を接眼レンズ9に導く第1、第2ビームスプリッタ5、7と、接眼レンズ9にセットされたカメラ20とからなる。第1ビームスプリッタ5は、対物レンズ1の光軸Kに対して45度の傾きでセットされている。
【0029】
また、観察照明系は、図示しない照明光源からの光を導く光ファイバ30と、該光ファイバ30から出射される照明光を反射する第3ビームスプリッタ8とを備えている。第3ビームスプリッタ8で反射された照明光は、第2ビームスプリッタ7を透過して、第1ビームスプリッタ5で反射された後、対物レンズ1を通して被検物体2に照射される。
【0030】
第1ビームスプリッタ5の上には、第4ビームスプリッタ6が配置され、その上にはウェッジプリズム12が配置され、ウェッジプリズム12の上には、オートフォーカス制御を行うための測定ビームとして1本のレーザ光を出射するレーザ光源(測定ビーム照射源)15が配置されている。レーザ光源15としては、赤色半導体レーザやHeNeレーザを用いることができる。
【0031】
このオートフォーカス装置では、対物レンズ1の光軸Kから外れた位置を入光点として、対物レンズ1を通して被検物体2に、焦点合わせのためのレーザ光L1を照射するようにしている。この場合、レーザ光源15から出射されたレーザ光L1は、ウェッジプリズム12及び第4ビームスプリッタ6を通過し、対物レンズ1の入射面1Aに到達する。そして、対物レンズ1上の入光点から対物レンズ1を通して被検物体2に照射されたレーザ光L1は、被検物体2上で反射し、その反射光L2が、対物レンズ1及び第1ビームスプリッタ5を逆進し、第4ビームスプリッタ6で対物レンズ1の光軸Kに対して直交する方向に反射されてセンサアレイ10に導かれ、センサアレイ10の受光面上にレーザスポットを形成する。
【0032】
特に、このオートフォーカス装置では、図2に示すように、対物レンズ1の入射面1Aの光軸Kを中心とする同一円周M上に、円周方向に90度間隔に4つの入光点A、B、C、Dを設定しており、これら4つの入光点A、B、C、Dにおいて順番にレーザ光L1を被検物体2に照射することで、オートフォーカス制御を行うようになっている。
【0033】
この場合の4つの入光点A、B、C、Dは、対物レンズ1の入射面1A上に仮想的に設定した、光軸Kを直交点とするX−Y軸と、前記円周Mとの交点として定義されている。従って、一対の入光点A、CはX軸上に位置し、もう一対の入光点B、DはY軸上に位置する。
【0034】
4つの入光点A、B、C、Dに順番にレーザ光L1を入射させる方式として、このオートフォーカス装置では、ウェッジプリズム12を用いている。ウェッジプリズム12を回転機構31で回転させると、レーザ光L1は光軸Kを中心として回転する。そこで、ウェッジプリズム12によってレーザ光L1を回転させることにより、前記4つの入光点A、B、C、Dをレーザ光L1がこの順番にトレースするようにしている。また、4つの入光点A、B、C、Dをレーザ光L1が通過するタイミングを検出するために、ウェッジプリズム12にはその回転位置を検出する回転位置センサ(=回転角センサ)32が付設されている。
【0035】
ここでは、ウェッジプリズム12と、ウェッジプリズム12を回転させる回転機構31と、測定ビームであるレーザ光L1を出射するレーザ光源15とが、4つの入光点A、B、C、Dにて順番にレーザ光L1を被検物体2に向けて照射する測定ビーム照射機構を構成している。
【0036】
一方、センサアレイ10は、被検物体2から対物レンズ1を通して導かれるレーザ反射光L2を受光し、受光面上に形成される受光スポットの位置により、対物レンズ1の焦点位置からの被検物体2の焦点ずれを検出する焦点ずれ検出手段を構成している。
【0037】
このセンサアレイ10は、図3に示すように、十字に配置された4つの受光部E、F、G、Hを備えており、直線上に並んだ2つの受光部E、FまたはG、Hの組み合わせにより、1つの入光点にて被検物体2にレーザ光L1を照射した際の反射光L2を受ける1つの検出手段の機能を果たす。つまり、第1の入光点Aで測定する場合は受光部E、Fの組み合わせが検出機能を果たし、第2の入光点Bで測定する場合は受光部G、Hの組み合わせが検出機能を果たし、第3の入光点Cで測定する場合は受光部E、Fの組み合わせが検出機能を果たし、第4の入光点Dで測定する場合は受光部G、Hの組み合わせが検出機能を果たす。
従って、直線上に並ぶ2つの受光部E、FまたはG、Hの組み合わせが、180度対向した位置にある2つの入光点A、CまたはB、Dにてそれぞれレーザ光L1を照射した際の焦点ずれを検出する各検出手段を兼ねている。
【0038】
センサアレイ10上には、対物レンズ1の入射面1A上に設定したX−Y軸に対応したX−Y軸が仮想的に設定されており、このX−Y軸上に十字状に4つの受光部E、F、G、Hが配置されている。これらペアをなすために直線上(X軸上またはY軸上)に並んだ2つの受光部E、F(またはG、H)は、合焦時には2つの受光部E、F(またはG、H)の中間点(X−Y軸の原点O)に受光スポットが形成され、前ピン時には一方の受光部上に受光スポットが形成され、後ピン時には他方の受光部上に受光スポットが形成されるような位置関係で配置されている。
【0039】
各受光部E、F、G、Hは、それぞれに外側の受光センサE1、F1、G1、H1と内側の受光センサE2、F2、G2、H2とに2分割されており、それにより、センサアレイ10は8分割タイプとして構成されている。この場合、内側の受光センサE2、F2、G2、H2は、相互にできるだけ接近するように、先端が三角形になっている。
【0040】
また、このオートフォーカス装置は、対物レンズ1をフォーカス駆動する(対物レンズ1を被検物体2に対して近づけたり離したりする)ための駆動機構33を備えている。この駆動機構は、DCサーボモータまたはステッピングモータと精密ネジや精密ギアなどで構成されている(図示略)。
【0041】
また、このオートフォーカス装置は、センサアレイ10の信号に基づいて駆動機構33を制御し、それにより、被検物体2上の対象点に対物レンズ1の焦点を合わせる制御装置(制御手段)35を備えている。
【0042】
この制御装置35は、各入光点A、B、C、Dにおけるレーザ光L1の照射毎に、センサアレイ10の信号を取り込むように、ウェッジプリズム回転位置センサ32の信号を監視している。また、この制御装置35は、1つの入光点にてレーザ光L1を照射して得たセンサアレイ10の信号の有効性を評価し、該信号が無効であると評価した場合は、その信号を不採用として、ウェッジプリズム回転機構31に駆動制御信号を送り、レーザ光L1の入光点を次の順番の入光点に移動する機能を果たす。入光点を移動する順番は、A→B→C→Dの順になっている。
【0043】
次に、この制御装置35によって実行されるオートフォーカス制御の原理を図4を用いて説明する。
最初に、第1の入光点Aにてレーザ光L1を被検物体2に照射する場合の制御の仕方を説明する。この場合は、ビームスプリッタ6の反射光L2をセンサアレイ10が受光する関係で、X軸上に並ぶ4つの受光センサE1、E2、F1、F2が有効となる。
【0044】
入光点Aでレーザ光L1を対物レンズ1に入射させた場合、X軸上に並ぶ4つの受光センサE1、E2、F1、F2の上に受光スポットSP(SPf、SPb)が形成される。その受光スポットは、前ピン状態のときは一方側の受光センサE1、E2上に形成され、後ピン状態のときは他方側の受光センサF1、F2上に形成される。
【0045】
即ち、図4に示すように、対物レンズ1が適正なピント位置F〔図14(a)参照〕にあるときには、受光スポットSPは2つの受光部E(受光センサE1、E2)、F(受光センサF1、F2)の中間点Oにて点像となるが、前ピン位置F+ΔF〔図14(a)参照〕にあるときには、受光スポットSPfは、中間点Oから前ピン側の受光部E(受光センサE1、E2)上にずれてボケ像となり、後ピン位置F−ΔF〔図14(a)参照〕にあるときには、受光スポットSPbは、中間点Oから後ピン側の受光部F(受光センサF1、F2)上にずれてボケ像となる。
【0046】
そこで、前ピン状態であるときには、後ピン側になるように焦点合わせが行われることにより、一方側の受光部E(受光センサE1、E2)上に形成されていた受光スポットSPfの位置が、2つの受光部E、Fの中間点Oに向けて移動する。そして、その中間点Oに受光スポットSPが到達したら、焦点合わせ動作が停止し、その状態で被検物体2に対物レンズ1の焦点が合う。また、後ピン状態であるときには、前ピン側になるように焦点合わせが行われることにより、他方側の受光部F(受光センサF1、F2)上に形成されていた受光スポットSPbの位置が、2つの受光部E、Fの中間点Oに向けて移動する。そして、その中間点Oに受光スポットSPが到達したら、焦点合わせ動作が停止し、その状態で被検物体2に対物レンズ1の焦点が合う。このように、ピント位置の変化により、受光スポットSPは2つの受光部E、Fが配置されている直線上を移動することになる。
【0047】
次に180度対向した位置にある第3の入光点Cでレーザ光L1を入射させた場合を考えてみる。この場合も、ビームスプリッタ6の反射光L2をセンサアレイ10が受光する関係で、X軸上に並ぶ4つの受光センサE1、E2、F1、F2が有効となり、これらの受光センサE1、E2、F1、F2上に受光スポットが形成される。つまり、前記の第1の入光点Aで測定する場合と同じセンサを使うことになる。但し、この場合は、2つの受光部E(受光センサE1、E2)、F(受光センサF1、F2)の役割が逆転する。即ち、入光点が180度反転した位置に切り替わることで、入光点Aでレーザ光L1を入射したときは前ピン用として機能していた受光部E(受光センサE1、E2)が、今度は後ピン用として機能し、後ピン用として機能していた受光部F(受光センサF1、F2)が、今度は前ピン用として機能するようになる。それにより、前記と同じ合焦動作が行われる。
【0048】
また、第1、第3の入光点A、Cに対して90度ずれた位置にある第2、第4の入光点B、Dでレーザ光L1を照射する場合もほぼ同様である。
【0049】
この場合は、Y軸上に並ぶ4つの受光センサG1、G2、H1、H2が有効となり、第2の入光点Bでレーザ光L1を対物レンズ1に入射させた場合は、これら4つの受光センサG1、G2、H1、H2上に受光スポットが形成される。その受光スポットは、前ピン状態のときは一方側の受光センサG1、G2上に形成され、後ピン状態のときは他方側の受光センサH1、H2上に形成される。
【0050】
そして、対物レンズ1が適正なピント位置にあるときには、受光スポットは2つの受光部G(受光センサG1、G2)、H(受光センサH1、H2)の中間点Oにて点像となり、前ピン位置にあるときには、受光スポットは、中間点Oから前ピン側の受光部G(受光センサG1、G2)上にずれてボケ像となり、後ピン位置にあるときには、受光スポットは、中間点Oから後ピン側の受光部H(受光センサH1、H2)上にずれてボケ像となる。
【0051】
そこで、前ピン状態であるときには、後ピン側になるように焦点合わせが行われることにより、一方側の受光部G(受光センサG1、G2)上に形成されていた受光スポットの位置が、2つの受光部G、Hの中間点Oに向けて移動する。そして、その中間点Oに受光スポットが到達したら、焦点合わせ動作が停止し、その状態で被検物体2に対物レンズ1の焦点が合う。また、後ピン状態であるときには、前ピン側になるように焦点合わせが行われることにより、他方側の受光部H(受光センサH1、H2)上に形成されていた受光スポットの位置が、2つの受光部G、Hの中間点Oに向けて移動する。そして、その中間点Oに受光スポットが到達したら、焦点合わせ動作が停止し、その状態で被検物体2に対物レンズ1の焦点が合う。このように、ピント位置の変化により、受光スポットは2つの受光部G、Hが配置されている直線上を移動することになる。
【0052】
同様に第4の入光点Dでレーザ光L1を入射させた場合は、2つの受光部G(受光センサG1、G2)、H(受光センサH1、H2)の役割が逆転し、受光部G(受光センサG1、G2)が今度は後ピン用として機能し、受光部H(受光センサH1、H2)が今度は前ピン用として機能し、それにより、前記と同じ合焦動作が行われる。
【0053】
いずれにしろ、十字に配置した受光部E、F、G、Hの組み合わせにより、4つの入光点A、B、C、Dにて順番にレーザ光L1を照射した各場合の焦点ずれを全て検知することができる。
【0054】
また、このセンサアレイ10では、十字に配置した各受光部E、F、G、Hがそれぞれ外側の受光センサE1、F1、G1、H1と内側の受光センサE2、F2、G2、H2とに分割されているから、ピントが大きく外れている場合(つまり受光スポットが外側の受光センサE1、F1、G1、H1上にある場合)と、ピントの外れ方が小さくなった場合(つまり受光スポットが内側の受光センサE2、F2、G2、H2上にある場合)とで、区別した制御ができる。
【0055】
例えば、図5に示すように、片方の受光部F上に受光スポットSPが形成されていることに基づいてピント合わせを行っている段階で合焦点Oに近づいてくると、正規の受光スポットSP以外のゴースト像SPgが、同じ側や反対側に位置する受光部E、Fの外側受光センサE1上に形成されることがある。
【0056】
そのような場合、ゴースト像SPgもセンサの受光信号の中に当然含まれてくるから、その影響を取り除いてやらないと、適正なオートフォーカス制御ができなくなる。
【0057】
図示例では、受光部F側から中間位置(合焦位置)Oへ受光スポットSPを追い込もうとしているが、場合によって受光部E側にゴースト像SPgが現れる。このゴースト像SPgは、受光部E側から中間位置Oに向かって動き、ゴースト像SPgもセンサ値に含まれてくるため、適正な制御ができなくなる。
【0058】
そこで、合焦点に近づいた段階で、つまり、受光スポットSPが内側の受光センサ上に移動して来た段階で、敢えて外側の受光センサの信号を無視して、内側の受光センサの信号だけで、合焦まで制御するようにする。このようにすることで、精度の良いオートフォーカス制御を高い応答性で行うことができるようになる。なお、ゴーストの影響は、特にコーティングが施されている被検物体を観察する場合に無視できなくなる。
【0059】
次に、このオートフォーカス装置の電気的構成とその制御内容について説明する。
【0060】
図8は電気的構成を示すブロック図である。
このオートフォーカス装置の制御装置35には、マイクロプロセッサ51と、各種センサの検出値をA/D変換するA/D変換器52と、出力インターフェース53とが含まれている。マイクロプロセッサ51には、センサアレイ10の信号と、ウェッジプリズムの回転位置センサ32の信号とが、A/D変換器52を介してリアルタイムで入力される。
【0061】
マイクロプロセッサ51は、それらの信号に基づいて、オートフォーカス駆動機構33のモータ56を制御すると共に、ウェッジプリズム回転機構31のモータ57を制御することで、必要なオートフォーカス制御を実行する。
【0062】
次にマイクロプロセッサ51の制御動作について、フローチャートを用いて説明する。
マイクロプロセッサ51は、図9に示すAF(オートフォーカス)制御のメインルーチン処理を実行する。このメインルーチンでは、4つのサブルーチン100、200、300、400を順番に繰り返し実行する。これらのサブルーチン100、200、300、400では、4つの入光点A、B、C、Dのそれぞれについてオートフォーカス制御を行う。
【0063】
A点でのオートフォーカス制御は、図10に示すフローチャートに従って実行する。
まず、最初のステップ101で、ウェッジプリズム12を回転し、ウェッジプリズム回転位置センサ32の信号を見ながら、入光点をA点に設定する。次に、ステップ102でA点でレーザ光L1を入射させた場合のセンサアレイ10の信号を読み取る。この場合は、有効な受光センサがE1、E2、F1、F2であるから、それらの信号e1、e2、f1、f2を読み取る。そして、ステップ103で「e1+e2」、「f1+f2」の値を演算する。
【0064】
次に読み取った信号e1、e2、f1、f2が有効か無効かを判断する(ステップ104)。例えば、測定対象点が、照射したレーザ光L1から死角になっている場合は、これらの信号e1、e2、f1、f2が正常な範囲(他のデータとの比較等により正常な範囲が定められる)から外れるので、その場合は、それらのデータが無効であると判断して、データe1、e2、f1、f2を捨てて(ステップ105)、メインルーチンに戻る。そうすると、メインルーチンでは、入光点を次の点に移動する(つまり「B点でのAF」のサブルーチンに進む)。
【0065】
前記のデータe1、e2、f1、f2が有効であると判断した場合は、それらのデータに基づいて、合焦であるかどうかを判断する(ステップ106)。合焦の判断は、「e1+e2=f1+f2」かどうかで行う。合焦の場合は、ピント合わせ用のモータを停止して(ステップ107)、メインルーチンに戻る。
【0066】
合焦でない場合は、ステップ108で前ピンか後ピンかを判断する。前ピンか後ピンかの判断は、「e1+e2>f1+f2」かどうかで行う。A点でのAFの場合、「e1+e2>f1+f2」であれば前ピン、「e1+e2<f1+f2」であれば後ピンと判定する。
【0067】
そして、前ピンの場合は、ステップ109でピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。その判断は、「e1>e2」かどうかで行う。ピント外れが大きいときには、ステップ110に進んで、全速力で後ピン側へモータを回して合焦点に近づける(この動作を粗動AFという)。一方、ピント外れが小さいときには、あるいは、ピント外れが小さくなったら、ステップ111に進んで、ゆっくりと後ピン側へモータを回して合焦点を探す(この動作を微動AFという)。
【0068】
ステップ110、111の次はステップ102に戻り、合焦点に徐々に近づくよう繰り返しセンサの信号e1、e2、f1、f2を見ながらモータを制御して合焦点まで持っていく。
【0069】
なお、ステップ111の処理に進んだ段階において、外側の受光センサE1、F1のデータe1、f1を「0」として無視するように設定すれば、ゴースト像の影響を排除したオートフォーカス制御を行うことができる。
【0070】
また、後ピンの場合は、ステップ108からステップ112に進んで、ピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。その判断は、「f1>f2」かどうかで行う。ピント外れが大きいときには、ステップ113に進んで、全速力で前ピン側へモータを回して合焦点に近づける(粗動AF)。一方、ピント外れが小さいときには、あるいは、ピント外れが小さくなったら、ステップ114に進んで、ゆっくりと前ピン側へモータを回して合焦点を探す(微動AF)。
【0071】
ステップ113、114の次はステップ102に戻り、合焦点に徐々に近づくよう、繰り返しセンサの信号e1、e2、f1、f2を見ながらモータを制御して合焦点まで持っていく。
【0072】
なお、前記と同様に、ステップ114の処理に進んだ段階において、外側の受光センサE1、F1のデータe1、f1を「0」として無視するように設定すれば、ゴースト像の影響を排除したオートフォーカス制御を行うことができる。
【0073】
次に、B点でのオートフォーカス制御は、図11に示すフローチャートに従って実行する。B点での制御はA点での制御とほぼ同じであるが、使用するセンサの信号が異なる。
【0074】
まず、最初のステップ201で、ウェッジプリズム12を回転し、ウェッジプリズム回転位置センサ32の信号を見ながら、入光点をB点に設定する。次に、ステップ202で、B点でレーザ光L1を入射させた場合のセンサアレイ10の信号を読み取る。この場合は、有効な受光センサがG1、G2、H1、H2であるから、それらの信号g1、g2、h1、h2を読み取る。そして、ステップ203で「g1+g2」、「h1+h2」の値を演算する。
【0075】
次に読み取った信号g1、g2、h1、h2が有効か無効かを判断する(ステップ204)。例えば、測定対象点が、照射したレーザ光L1から死角になっている場合は、これらの信号g1、g2、h1、h2が正常な範囲(他のデータとの比較等により正常な範囲が定められる)から外れるので、その場合は、それらのデータが無効であると判断して、データg1、g2、h1、h2を捨てて(ステップ205)、メインルーチンに戻る。そうすると、メインルーチンでは、入光点を次の点に移動する(つまり「C点でのAF」のサブルーチンに進む)。
【0076】
前記のデータg1、g2、h1、h2が有効であると判断した場合は、それらのデータに基づいて、合焦であるかどうかを判断する(ステップ206)。合焦の判断は、「g1+g2=h1+h2」かどうかで行う。合焦の場合は、ピント合わせ用のモータを停止して(ステップ207)、メインルーチンに戻る。
【0077】
合焦でない場合は、ステップ208で前ピンか後ピンかを判断する。前ピンか後ピンかの判断は、「g1+g2>h1+h2」かどうかで行う。B点でのAFの場合、「g1+g2>h1+h2」であれば前ピン、「g1+g2<h1+h2」であれば後ピンと判定する。
【0078】
そして、前ピンの場合は、ステップ209でピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。その判断は、「g1>g2」かどうかで行う。ピント外れが大きいときには、ステップ210に進んで、全速力で後ピン側へモータを回して合焦点に近づける(粗動AF)。一方、ピント外れが小さいときには、あるいは、ピント外れが小さくなったら、ステップ211に進んで、ゆっくりと後ピン側へモータを回して合焦点を探す(微動AF)。
【0079】
ステップ210、211の次はステップ202に戻り、合焦点に徐々に近づくよう繰り返しセンサの信号g1、g2、h1、h2を見ながらモータを制御して合焦点まで持っていく。
【0080】
なお、ステップ211の処理に進んだ段階において、外側の受光センサG1、H1のデータg1、g1を「0」として無視するように設定すれば、ゴースト像の影響を排除したオートフォーカス制御を行うことができる。
【0081】
また、後ピンの場合は、ステップ208からステップ212に進んで、ピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。その判断は、「g1>g2」かどうかで行う。ピント外れが大きいときには、ステップ213に進んで、全速力で前ピン側へモータを回して合焦点に近づける(粗動AF)。一方、ピント外れが小さいときには、あるいは、ピント外れが小さくなったら、ステップ214に進んで、ゆっくりと前ピン側へモータを回して合焦点を探す(微動AF)。
【0082】
ステップ213、214の次はステップ202に戻り、合焦点に徐々に近づくよう、繰り返しセンサの信号g1、g2、h1、h2を見ながらモータを制御して合焦点まで持っていく。
【0083】
なお、前記と同様に、ステップ214の処理に進んだ段階において、外側の受光センサG1、H1のデータg1、h1を「0」として無視するように設定すれば、ゴースト像の影響を排除したオートフォーカス制御を行うことができる。
【0084】
次に、C点でのオートフォーカス制御は、図12に示すフローチャートに従って実行する。C点での制御は、A点での制御とほぼ同じであり、使用するセンサの信号も同じであるが、センサの役割が逆転する。
【0085】
まず、最初のステップ301で、ウェッジプリズム12を回転し、ウェッジプリズム回転位置センサ32の信号を見ながら、入光点をC点に設定する。次のステップ302からステップ307までの処理は、A点での処理と同じであるから説明を省略する。
【0086】
異なるのは、ステップ308での前ピンか後ピンかの判断である。A点での処理の場合は、「e1+e2>f1+f2」のとき前ピン、「e1+e2<f1+f2」のとき後ピンと判断していたが、C点での処理の場合はそれと逆転し、「e1+e2<f1+f2」のとき前ピン、「e1+e2>f1+f2」のとき後ピンと判断する。
【0087】
そして、前ピンの場合は、ステップ309にて「f1>f2」かどうかで、ピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。ピント外れが大きいときは、ステップ310に進んで、全速力で後ピン側へモータを回して合焦点に近づけ、ピント外れが小さい状態では、ステップ311に進んで、ゆっくりと後ピン側へモータを回して合焦点を探す。
【0088】
また、後ピンの場合は、ステップ308にて「e1>e2」かどうかで、ピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。ピント外れが大きいときは、ステップ313に進んで、全速力で後ピン側へモータを回して合焦点に近づけ、ピント外れが小さい状態では、ステップ314に進んで、ゆっくりと後ピン側へモータを回して合焦点を探す。それ以外の点は、A点の処理と同じである。
【0089】
次に、D点でのオートフォーカス制御は、図13に示すフローチャートに従って実行する。D点での制御は、B点での制御とほぼ同じであり、使用するセンサの信号も同じであるが、センサの役割が逆転する。
【0090】
まず、最初のステップ401で、ウェッジプリズム12を回転し、ウェッジプリズム回転位置センサ32の信号を見ながら、入光点をD点に設定する。次のステップ402からステップ407までの処理は、B点での処理と同じであるから説明を省略する。
【0091】
異なるのは、ステップ408での前ピンか後ピンかの判断である。B点での処理の場合は、「g1+g2>h1+h2」のとき前ピン、「g1+g2<h1+h2」のとき後ピンと判断していたが、D点での処理の場合はそれと逆転し、「g1+g2<h1+h2」のとき前ピン、「g1+g2>h1+h2」のとき後ピンと判断する。
【0092】
そして、前ピンの場合は、ステップ409にて「h1>h2」かどうかで、ピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。ピント外れが大きいときは、ステップ410に進んで、全速力で後ピン側へモータを回して合焦点に近づけ、ピント外れが小さい状態では、ステップ411に進んで、ゆっくりと後ピン側へモータを回して合焦点を探す。
【0093】
また、後ピンの場合は、ステップ408にて「g1>g2」かどうかで、ピント外れが大きい状態か小さい状態かを判断する。ピント外れが大きいときは、ステップ413に進んで、全速力で後ピン側へモータを回して合焦点に近づけ、ピント外れが小さい状態では、ステップ414に進んで、ゆっくりと後ピン側へモータを回して合焦点を探す。それ以外の点は、B点の処理と同じである。
【0094】
以上のように、A点でのデータが無効の場合はB点に切り替え、B点でのデータが無効の場合はC点に切り替え、C点でのデータが無効の場合はD点に切り替え、D点でのデータが無効の場合はA点に戻るようにして、4方向から順次レーザ光L1を照射するようにしているので、被検物体2の形状によらず、任意の測定対象位置に、いずれかの方向から照射したレーザ光L1を必ず届かせることができるので、死角を作らずにピントが合わせられる。
【0095】
例えば、図6(a)、(b)に示すように、被検物体2に凸部2aが存在するような場合であっても、A点、B点、C点、D点の4つの方向から被検物体2に向けて順番にレーザ光L1A、L1B、L1C、L1Dを照射することにより、図7(a)、(b)に示すように、1つの方向からのレーザ光L1Aが凸部2aの肩部に邪魔されて対象点MQまで届かないことがあっても、他の方向からのレーザ光L1B、L1C、L1Dが対象点MQまで届くことにより、対象点MQに対物レンズ1の焦点を確実に合わせることができる。
【0096】
なお、上述したように、通常は外側と内側の受光センサE1、E2、F1、F2、G1、G2、H1、H2の信号を全部使って、図9〜図13に示すフローチャートに従ってオートフォーカス制御(ワイド制御)を行っているが、ピントずれの範囲が狭い範囲に限定されている場合は、使用するセンサを内側の受光センサE2、F2、G2、H2に限定してオートフォーカス制御(ナロー制御)を行うことも可能である。その場合は、例えば外側の受光センサE1、F1、G1、H1の信号e1、f1、g1、h1を「0」に固定してておけばよい。
【0097】
また、連続でオートフォーカス制御を実行しながら、被検物体を搭載したステージなどを駆動させると、散乱や穴などの影響で受光スポットがセンサアレイ10の受光部から外れてしまう可能性があるが、そのような場合は、予めセンサの信号に閾値を設定しておき、閾値を超えたときはオートフォーカス制御を中断するようにすればよい。
【0098】
また、上記実施形態では、センサアレイ10の受光部E、F、G、Hの分割数を内側と外側の2分割にした場合を示したが、分割数はこれに限らず任意に設定してよい。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、4つの方向から対物レンズを介して測定ビームを被検物体の表面に照射可能であるから、被検物体の表面に凹凸がある場合であっても、いずれかの入光点からの測定ビームを必ず被検物体上の対象点に届かせることができ、その測定ビームに基づいて、適正なオートフォーカス制御を行うことができる。従って、被検物体の形状によらず、従来方式と比べて格段に正確なピント合わせができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のオートフォーカス装置を含む顕微鏡の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のII−II矢視図で、対物レンズの入射面におけるレーザ光(測定ビーム)の入光点の位置を示すものである。
【図3】図1のIII−III矢視図で、センサアレイの構成を示すものである。
【図4】前記センサアレイ上に形成される受光スポットの例を示す図である。
【図5】前記センサアレイ上に形成される受光スポットのゴースト像の現れ方を示す図である。
【図6】本発明のオートフォーカス装置によりレーザ光を被検物体に照射している状態を示す原理図で、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【図7】本発明のオートフォーカス装置の有効性を説明するための図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図8】本発明の実施形態のオートフォーカス装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】図8のマイクロプロセッサの処理内容を示すフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートにおける第1のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】図9のフローチャートにおける第2のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】図9のフローチャートにおける第3のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】図9のフローチャートにおける第4のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図14】従来の細ビーム式オートフォーカス制御の内容を説明するための図で、(a)は対物レンズと測定ビームの関係を示す側面図、(b)は光学センサ上にどのように受光スポットが形成されるかを示す光学センサの平面図である。
【図15】従来のオートフォーカス制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図16】従来のオートフォーカス制御の問題点を説明するための図で、(a)は平面的な被検物体に測定ビームを照射している状態を示す側面図、(b)は凸部のある被検物体に測定ビームを照射している状態を示す側面図、(c)はその凸部によって測定ビームの届かない死角ができることを表す拡大側面図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ
2 被検物体
5,6 ビームスプリッタ
10 センサアレイ(焦点ずれ検出手段)
12 ウェッジプリズム
15 レーザ光源(測定ビーム照射源)
K 光軸
L1,L1A,L1B,L1C,L1D レーザ光(測定ビーム)
L2 レーザ反射光(測定ビームの反射光)
E,F,G,H 受光部
E1,E2,F1,F2,G1,G2,H1,H2 受光センサ
SP,SPf,SPb 受光スポット

Claims (5)

  1. 対物レンズを含む観察光学系と、該対物レンズの光軸から外れた位置を入光点として、対物レンズを通して被検物体に測定ビームを照射する測定ビーム照射機構と、被検物体から対物レンズを通して導かれる測定ビームの反射光を受光し、受光面上に形成される受光スポットの位置により、対物レンズの焦点位置からの被検物体の焦点ずれを検出する焦点ずれ検出手段と、該焦点ずれ検出手段の出力に基づいて前記対物レンズと被検物体の距離を調節する駆動機構を制御し、それにより被検物体上の対象点に対物レンズの焦点を合わせる制御手段と、を備えた顕微鏡のオートフォーカス装置において、
    前記入光点として、対物レンズの光軸を中心とする円周上に、円周方向に90度間隔に4つの入光点を設定し、前記測定ビーム照射機構により、前記4つの入光点にて順番に測定ビームを被検物体に照射し、各入光点における測定ビームの照射毎に、前記焦点ずれ検出手段により対物レンズの焦点位置からの被検物体の焦点ずれを検出して、その検出出力に基づいて前記制御手段が前記駆動機構を制御することを特徴とする顕微鏡のオートフォーカス装置。
  2. 前記4つの入光点にて順番に測定ビームを被検物体に照射する測定ビーム照射機構が、1本の測定ビームを出射する測定ビーム照射源と、該照射源より出射された測定ビームの通過するウェッジプリズムと、該ウェッジプリズムを回転させることで、測定ビームを前記4つの入光点を通過する円形軌跡に沿って回転させる回転機構と、から構成されていることを特徴とする請求項1記載の顕微鏡のオートフォーカス装置。
  3. 前記焦点ずれ検出手段が、十字に配置された4つの受光部を備えており、直線上に並んだ2つの受光部の組み合わせにより、1つの入光点にて被検物体に測定ビームを照射した際の反射光を受ける1つの検出手段が構成され、前記直線上に並んだ2つの受光部は、合焦時に2つの受光部の中間に受光スポットが形成され、前ピン時に一方の受光部上に受光スポットが形成され、後ピン時に他方の受光部上に受光スポットが形成されるような位置関係で配置され、直線上に並ぶ2つの受光部の組み合わせが、180度対向した位置にある2つの入光点にてそれぞれ測定ビームを照射した際の焦点ずれを検出する各検出手段を兼ねていることを特徴とする請求項1または2記載の顕微鏡のオートフォーカス装置。
  4. 前記十字に配置された4つの受光部が、それぞれに内側の受光センサと外側の受光センサとに分割されており、それにより前記焦点ずれ検出手段が8分割のセンサアレイよりなることを特徴とする請求項3記載の顕微鏡のオートフォーカス装置。
  5. 前記制御手段が、1つの入光点にて測定ビームを照射して得た焦点ずれ検出手段の信号の有効性を評価し、該信号が無効であると評価した場合は、その信号を不採用として、測定ビーム照射機構に制御信号を送り、測定ビームの入光点を次の順番の入光点に移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顕微鏡のオートフォーカス装置。
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