JP3579552B2 - 高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法 - Google Patents
高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3579552B2 JP3579552B2 JP29706996A JP29706996A JP3579552B2 JP 3579552 B2 JP3579552 B2 JP 3579552B2 JP 29706996 A JP29706996 A JP 29706996A JP 29706996 A JP29706996 A JP 29706996A JP 3579552 B2 JP3579552 B2 JP 3579552B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coal
- pulverized coal
- water
- concentration
- cwm
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭と水とを混合して成る石炭・水混合燃料とその製造方法に関する。更に詳述すると、本発明は、高濃度にしても流動性が良い高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石炭の利用法の一つとして、石炭を微粉化しこれに少量の水を混ぜて高濃度スラリー化またはペースト化し、パイプラインによる輸送等を可能とすることが提案されている。これは、高濃度石炭・水スラリー(以下、CWMと略称する)または高濃度石炭・水ペースト(以下、CWPと略称する)と呼ばれている。
【0003】
CWMの場合、石炭の粒径分布を調整して濃度を65〜70wt%に高めて流動性を持たせたものであり、脱水せずにそのまま通常のボイラで燃焼させる。一方、CWPの場合、石炭の粒径をCWMの粒径よりも若干大きい6mm以下の分布となるように調整し、脱硫剤と共に水と混練して濃度70〜80wt%で流動性を持たせている。そして、加圧されている流動床ボイラ内にパイプラインからポンプによりCWPを押し出して、そのまま燃焼させる。これらのため、CWMやCWPでは、水分濃度を30〜35wt%と低くした上に更に十分な流動性が要求される。
【0004】
これらCWMやCWPの製造は、既に湿式粉砕による湿式製造法において商業化されているが、湿式粉砕の際に粉砕動力を多く要して製造コストを押し上げていることから、粉砕動力の小さな乾式粉砕による乾式製造法の開発が望まれている。また、乾式製造法では、微粉炭が粉砕時に乾燥されることから強い撥水性を示し、スラリー化が困難な状況にある。そこで、従来のCWMやCWPの製造においては、撥水性の強い微粉炭をスラリー化してパイプラインでの流動を容易とするために、高濃度例えば65〜70%濃度のCWMを得ようとする場合、界面活性剤の性能にもよるが一般的な界面活性剤を主成分とする分散剤の場合で0.1〜1wt%程度添加することが必要である。これにより、微粉炭の濡れ性を向上させ、水中での微粉炭の凝集を防止している。勿論、湿式製造法においても、微粉炭の濡れ性を向上させて微粉炭の凝集を防止するため、多量の界面活性剤を添加することが必要であることは同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したCWMやCWPでは、分散剤の単位量当たりのコストが比較的高いため、0.1〜1wt%程度の分散剤のコストがCWMやCWPのコストの約2〜4割を占めてしまう。
【0006】
この分散剤コストを低減するために、種々の分散剤が提案されている。例えば、高性能で添加量を減らせる分散剤が開発されているが、この分散剤では単価が高くなってしまう。また、単価の安い分散剤も開発されているが、この分散剤では添加量を多くする必要がある。このため、分散剤コストの削減は困難であるので、CWMやCWPのコストを低減することができない。
【0007】
尚、本明細書では、CWMとCWPとを総称して高濃度石炭・水混合燃料と呼び、特に断りがない限り高濃度石炭・水混合燃料には高濃度石炭・水スラリーの他に高濃度石炭・水ペーストを含んでいる。
【0008】
そこで、本発明は濃度を高めても流動性の良い高濃度石炭・水混合燃料を得ることを目的とする。より具体的には、本発明は、分散剤コストを削減することができる高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため種々研究した結果、本発明者は、高濃度石炭・水混合燃料が、水の中に石炭粒子を分散させたものであり、1μm以下の粒子が数多く占めているので、コロイド分散系あるいは粗大分散系からコロイド分散系への変遷領域であることに着目した。そこで、コロイドを安定に保つには、分散粒子同士が結合できないようにすれば良く、その方法の1つとして、本発明者は分散媒と分散質との親和性を利用し、疎水コロイド粒子たる石炭粒子の表面に親水コロイドを吸着させてあたかも親水コロイドであるかのような性質を示して安定性を増すいわゆるコロイドの保護作用を利用することを考えた。しかし、微粉炭と水と親水コロイドとが混合されることによって生成される微粉炭のスラリーは、粘性が増大して流動性が悪化したものとなる。ところが、このスラリーに通常添加される分散剤よりも少量の分散剤を混合することにより、粘性が減少して流動性が良好なスラリーとなることを知見した。この現象は、以下のような理由により発生すると考えられる。
【0010】
(1)保護コロイドによるゲル化及びゾル化によるもの
疎水コロイド粒子である微粉炭粒子の表面に親水コロイドが吸着し、微粉炭粒子表面を親水コロイドで包み込んで親水化する。これにより、親水コロイドは、微粉炭に対して保護コロイドとして保護作用を行う。そして、保護コロイドを吸着した微粉炭の粒子同士が、微粉炭粒子から溶出した金属イオン等の多価イオンを介してイオン結合等によって二次結合されて、可逆的な微粉炭ゲルが生成される。これにより、スラリーの粘性が増して流動性が悪化すると推定される。
【0011】
そして、このスラリーに分散剤が混合されることにより、微粉炭同士の二次結合が破壊されて微粉炭ゲルがゾルに戻される。このため、微粉炭粒子は、保護コロイドの保護作用により親水化した状態で凝集することなく安定する。これにより、十分な流動性を備えた高濃度石炭・水混合燃料を得ることができると推定される。
【0012】
この場合、分散剤は微粉炭粒子の二次結合を破壊するだけの添加量で足りるので、親水コロイドを添加せずに分散剤のみで微粉炭粒子の凝集を防止する場合に比べて分散剤の添加量を低減できる。
【0013】
(2)電解質による微粒子の凝集とイオンの拮抗作用からの分散によるもの
微粉炭は微粒子であり電荷を持っているので、その周囲に反対符号のイオン(対イオン)が引き寄せられ、電気二重層と呼ばれる二重構造となり、通常は対イオン同士の電気的反発によってコロイド状に分散する。しかし、親水コロイドの添加などによって電解質が加えられると、対イオンは粒子表面に押しやられ、微電気二重層の厚さが減少する。そして、粒子間距離が小さくなることにより、各微粉炭粒子が互いの粒子間引力の圏内に入り込み凝集すると推定できる。
【0014】
そして、このスラリーに分散剤が混合されることにより、上述した電荷質とは異なる種類の電解質が加えられる。このため、微粉炭粒子には2種類以上の電解質が加えられることになり、イオンの拮抗作用により微粉炭粒子の凝集力が抑制される。これにより、十分な流動性を備えた高濃度石炭・水混合燃料を得ることができると推定される。
【0015】
この場合、分散剤は微粉炭粒子にイオンの拮抗作用を起こさせるだけの添加量で足りるので、親水コロイドを添加せずに分散剤のみで微粉炭粒子の凝集を防止する場合に比べて分散剤の添加量を低減できる。
【0016】
(3)高分子物質による微粒子の凝集と分散剤の二分子層吸着からの分散によるもの
親水コロイドは水溶性高分子物質であり水素結合基を多数有しているので、電気やイオンに関係なく水素結合基により微粉炭粒子に吸着する。そして、少量の高分子が微粉炭粒子に吸着する場合は、粒子表面の全体に吸着せず疎らに吸着する。このため、粒子表面の空いた部分に他の粒子に吸着している高分子の一部が吸着して、1つの高分子が2つ以上の粒子に接合する。これにより、微粉炭粒子が凝集されると推定できる。これは「橋かけ凝集」と呼ばれる現象である。
【0017】
そして、このスラリーに分散剤が混合されることにより、粒子表面の空いた部分に分散剤のイオンが二分子層吸着をする。このため、微粉炭粒子は全体として電荷を持つことになり、分散される。これにより、十分な流動性を備えた高濃度石炭・水混合燃料を得ることができると推定される。
【0018】
また、橋かけ凝集を起こした微粉炭粒子に分散剤が混合されることにより、一個の微粉炭粒子に接合される高分子が同一粒子の表面の空いた部分にも接合される。そして、各粒子の周囲には多数の高分子が複雑に絡み合って糸まり状高分子となり、微粉炭粒子の全面を覆うようになる。このため、粒子同士を接合する高分子が減少し、各粒子同士が反発するようになる。これにより、十分な流動性を備えた高濃度石炭・水混合燃料を得ることができると推定される。
【0019】
この場合、分散剤は分散剤自体または糸まり状高分子により微粉炭粒子の空いた部分を埋めるだけの添加量で足りるので、親水コロイドを添加せずに分散剤のみで微粉炭粒子の凝集を防止する場合に比べて分散剤の添加量を低減できる。
【0020】
なお、上述した各現象はいずれか1つが起こる場合だけではなく、各現象が同時にしかも互いに関連しながら生ずることも、更にはそれ以外の理由によって分散剤の添加を著しく低減しても流動性が得られていることもあると考えられる。
【0021】
本発明は、かかる知見に基づいて為されたものであって、請求項1の高濃度石炭・水混合燃料は、石炭を所定の粒径分布に粉砕した微粉炭と水と分散剤とを混合して成る高濃度石炭・水混合燃料において、微粉炭に対して保護効果を生ずる親水コロイドを、高濃度石炭・水混合燃料の水分の1ppm以下10 -4 ppt以上の量(すなわち、ppmオーダーから10 -4 pptオーダーの量)含むようにしている。ここで、親水コロイドの添加量は、疎水コロイド粒子たる石炭微粒子に吸着しその表面を親水化する保護作用を発揮するに十分な量でかつできるだけ少量となる量であることが好ましく、最も好ましくは高濃度石炭・水混合燃料の水分の1ppb以下1ppt以上の量(すなわち、pptオーダーからppbオーダーの量)とすることである。
親水コロイドの添加量を多くすると、強いゲル化により微粉炭同士の結合が強固になるので、この結合を破壊するために分散剤の添加量を増加しなければならなくなり、分散剤の低減効果が薄れる。反面、少な過ぎれば疎水コロイドが逆に不安定となる増感作用を起こす。具体的には、図13の実測データから明らかなように、70%濃度のCWMを得る場合には、水に対するコロイドの添加量を10ppmを超える量にすると流動性が悪化し始める。親水コロイドの添加量を10 -4 ppt未満と少な過ぎても流動性が悪くなる。
【0022】
ここで、親水コロイドの添加量は、微粉炭に対し保護効果を示す親水コロイドと界面活性剤を同時に添加したものでは、界面活性剤の添加量を若干減少させることができたが、上記ほどの効果はなかった。また、界面活性剤を先にして保護コロイドを添加した場合には界面活性剤の使用量の減少には繋がらなかった。
【0023】
そこで、本発明の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法では、微粉炭と水との混合物に親水コロイドを添加し、その後、分散剤を添加するようにしている。したがって、微粉炭と水との混合物に親水コロイドを添加して混合することにより、ゲル状の微粉炭スラリーが生成される。このスラリーに分散剤が添加・混合されることにより、微粉炭スラリーがゾル状になる。この現象の起きる理由は上述した通りである。これにより、分散剤の添加量をより削減した高濃度石炭・水混合燃料が製造される。例えば、図14の実測データより明らかなように、親水コロイドを添加せずに例えば0.4wt%の分散剤を添加した従来の高濃度石炭・水混合燃料と同等の流動性の高濃度石炭・水混合燃料を得るには、1ppmの親水コロイドを分散剤に先立って添加することにより、分散剤の添加量を従来の添加量の1/2〜1/4に削減することができる。
【0026】
さらに、請求項7の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法では、微粉炭は、乾式粉砕によって得られたものを更に当該微粉炭同士が押し合い揉み合うように摩砕させることによって微粉炭の角が削られて球状化されると共に超微粒子が生成されたものとしている。これにより、さらに流動性及び濃度が高い高濃度石炭・水燃料を製造するようにしている。
【0027】
石炭をミルによって粉砕して得られた微粉炭は、所定粒径以下でほとんどが100μm以下という微細な粒子であるが、その形状は、図5(A)及び図6に示すように、不定形からなる角張ったほぼ多面体で、高濃度石炭・水混合燃料用としては比較的大きい粒子となる。また、粒径分布(質量基準)は、図12の○印に示すように、100μm以下が約93%、10μm以下が約15%、1μm以下が1%未満であり、CWMを得るためには10μm以下の微粒子成分が不足している。
【0028】
しかし、微粉炭は揉み合い押し合いされ、微粉炭同士が擦り合わされることによって互いに摩砕され、図5(B)及び図7に示すように、微粉炭の角がとれて球状化されて表面積が小さくなる。また、削られた角が1μm以下の超微粒子になる。このため、粒径分布(質量基準)は、図12の●印に示すように、100μm以下が約100%、10μm以下が約45%、1μm以下が約17%であり、CWMとして要求される値を満たす。そして、球状化された微粉炭同士の隙間が超微粒子で充填された状態のCWMを得ることができる。また、本発明の微粉炭の球状化はCOM製造に適用することもできる。
【0029】
すなわち、微粉炭の角がとれて球状化されて表面積が小さくなることにより、微粉炭同士の隙間の充填のために必要な超微粒子の量が少なくなる。しかも、削られ易い所が削り取られることとなって、本体粒子は球状化されるものの初めの粒径から極端に小さくなることはなく、超微粒子を発生し得る。一方、削られた角は超微粒子となり、球状化された微粉炭同士の隙間に充填される。したがって、微粉炭同士の隙間に十分な量の超微粒子が充填される。これによって、高濃度石炭・水混合燃料が流動性を得るために必要な広い粒径分布、即ち球状化した比較的大きな粒子から極細かな粒子までを微粉炭の角取り球状化によって容易に生成し、高濃度石炭、水混合燃料に適した粒径分布に調整できる。そして、微粉炭同士の隙間から水分が追い出されて高濃度のCWMまたはCWPを得ることができる。また、微粉炭の表面を超微粒子が被覆するように付着して潤滑効果を生ずるので、流動性の高いCWMまたはCWPを得ることができる。図15の実測データに示すように、球状化を行ったCWM(▲印)の方が行わないCWM(△印)よりも流動性が高いことは明らかである。しかも、大量の超微粒子を用意して混入する必要がなくなるので、CWMまたはCWPの製造が簡易になって製造費を低減させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
図1に、本発明の高濃度石炭・水混合燃料をCWMとした場合の一例を示す。このCWMを製造する乾式製造システムは、石炭1を粉砕して微粉炭2にするミル3と、微粉炭2に水分を与えて湿り微粉炭4にする混気水ジェットポンプ5と、湿り微粉炭4を親水コロイド7と混合して微粉炭ゲル8を生成する球状化装置6と、微粉炭ゲル8を分散剤9と混合してCWM10を生成する攪拌機11とを備えている。すなわち、本発明は、石炭1を所定の粒径分布に粉砕した微粉炭2と水と分散剤9とを混合して成るCWM等の高濃度石炭・水混合燃料に、微粉炭2に対して保護効果を生ずる親水コロイド7を添加している。
【0032】
ミル3は、通常、乾式堅型ミルと呼ばれるもので石炭火力発電所等の石炭ボイラ用微粉炭を製造するのに一般的に使用されている。このミル3による粉砕によって微粉炭2が得られる。混気水ジェットポンプ5は高圧水及び空気をオリフィス21を介してノズル22内に供給し、強力なジェット水による激しい攪拌によって、微粉炭2を吸引して湿り微粉炭4とするものである。
【0033】
この湿り微粉炭4は、水及び親水コロイド7と共に球状化装置6内に連続的にスムーズに送り込まれる。球状化装置6は、図4に示すように、円板形状でモータ等の駆動源により回転する第1部材としての回転円盤24と、該回転円盤24とほぼ等しい大きさ・形状で回転しない第2部材としての固定円盤25と、該固定円盤25の中央部に取り付けた漏斗26とを備えている。回転円盤24と固定円盤25との各対向面は、僅かな間隔をおいて平行に向き合わされている。そして、固定円盤25の中央部には、透孔が形成されている。透孔の開口部には、漏斗26の小径部が取り付けられている。
【0034】
そして、回転円盤24を回転させた状態で、湿り微粉炭4を水及び親水コロイド7と共に漏斗26に流し込む。これにより、湿り微粉炭4が固定円盤25の透孔を通過して回転円盤24と固定円盤25との対向面同士の間に挟まれて、回転により揉み合い押し合い擦り合わされながら遠心力で外周側に移動される。この時、湿り微粉炭4の粒子同士が接触して擦り合うので、図5(B)に示すように粒子の角が削られて球状化されると共に超微粒子が生成される。そして、同時に加えられた水により超微粒子が大きな粒子の隙間に入り込み、CWMが生成される。ここで、CWMは、図7に示すように、角が削られて球状化された粒子を有すると共に、十分な量の超微粒子を有している。また、本実施形態では、球状化装置6において水を加えているが、加えなくても構わない。
【0035】
なお、本実施形態では各対向面を平坦な形状としているが、例えば溝や突起等の凹凸部が形成された形状であっても構わない。この構造によれば、湿り微粉炭4の揉み合い押し合いが複雑に行われ、球状化と超微粒子の生成がより確実に行われる。
【0036】
また、球状化装置6では親水コロイド7が湿り微粉炭4の粒子と混合され、これにより微粉炭4の粒子同士の二次結合や、微粉炭4の粒子間引力による凝集や、高分子の橋かけ凝集が起こる。このため、湿り微粉炭4がゲル化するので、ゼリー状の微粉炭ゲル8が生成される。
【0037】
ここで、親水コロイド7の添加量はゲル化作用を起こすのに十分な量であれば良いが、多過ぎてもゲル化が進んでしまいゾル化するのに多くの分散剤9を必要としてしまう。これでは、分散剤9の使用を減らしてCWM10等のコストダウンを図ることが達成できなくなる。例えば、図13に示すように、濃度70.6%のCWMにおいて分散剤たる界面活性剤の量を従来の1/2の0.2wt%にしたときには、親水コロイドの添加量をCWMの10ppmを超える量にすると流動性が悪くなり、分散剤9を多く添加する必要が生じ、従来の添加量と変わらなくなってくる。また、親水コロイド7の添加量の下限は微粉炭との相互凝結を生ずる量より多い量である。これよりも親水コロイドの添加量が少ないと、増感作用を起こす。例えば、図13に示すように、濃度70.6%のCWMにおいて10−4ppt未満の量とすると流動性が悪くなるので、10−3pptオーダーを超える量であることが好ましい。そこで、親水コロイド7の添加量は、例えば70%濃度のCWMを得る場合には、好ましくはCWMに加えられる水に対して1wt%未満でかつ微粉炭を相互凝結を生ずる量よりも多い量、より好ましくはppmオーダーからpptオーダー例えば1ppm〜10−3ppt、最も好ましくはpptオーダーからppbオーダー例えば1pptから1ppbである。この場合、従来よりも界面活性剤の使用量を減らせ、特に1ppt〜1ppbの範囲で添加するときには、従来の約1/3の界面活性剤で足りる。尚、親水コロイド7の好適な添加量は、CWMの濃度によっても若干異なるが、上述のpptオーダーからppbオーダーに設定しておけば、CWMの濃度にほとんど左右されることなく、分散剤の使用量を従来の少なくとも1/2〜1/4程度にはできる。
【0038】
また、分散剤9として極めて安価な界面活性効果の低いイオン中和剤を用いる場合には、親水コロイド7を1wt%程度添加しても多量のイオン中和剤で安価にゾル化できる。しかし、分散剤9として従来から一般的に使用される高価な界面活性効果の高い界面活性剤を使用する場合には、親水コロイド7の添加量を100ppm以下とする。これにより、界面活性剤の使用量を従来の1/2〜1/4に削減できる上に、親水コロイド7自体も100ppm以下なので、極めて添加量を少なくできる。
【0039】
親水コロイド7としては、表1、表2および表3に例示するようなものが使用可能である。そして、代表的にはゼラチン・アラビアゴム・カゼイン・にかわ・トラガント・アルブミン・デキストリン・デンプン、ヒドロキシエチルセルロース・ポリビニルアルコール・メチルセルロース等の使用が好ましい。但しこれらに限らず、疎水コロイド粒子である湿り微粉炭4に対して保護作用を示すものであれば、他の種類の親水コロイド7でも構わない。さらに、添加する親水コロイド7は単一の種類に限らず、複数の種類の親水コロイド7を同時にまたは別々に添加しても構わない。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
さらに、微粉炭ゲル8は、攪拌機11に連続的にスムーズに送り込まれる。攪拌機11には分散剤9が投入され、微粉炭ゲル8と十分に攪拌されて混合される。そして、微粉炭ゲル8の粒子同士の二次結合が破壊されたり、微粉炭粒子にイオンの拮抗作用が起きたり、分散剤9自体若しくは糸まり状高分子が微粉炭粒子の空いた部分を埋めたりすることにより、微粉炭がゾル化される。そして、微粉炭粒子は、ゾル化した状態で凝集することなく安定する。これにより、パイプラインで輸送するのに適した流動性を備えたCWM10を得ることができる。
【0044】
分散剤9としては界面活性剤が一般的であるが、これに限らず微粉炭粒子から溶出する主に金属イオンから成る多価イオンを取り込むキレート化剤や前述の多価イオンを中和させて保護コロイドとイオン結合するのを阻止するイオン中和剤等のように、一旦可逆的なゲル状となった微粉炭粒子を再びゾルに戻すいわゆるゾル化作用を示すもの(ゾル化剤)であれば他の分散安定化物質でも構わない。キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等を用いることができる。また、分散剤9として、微粉炭粒子同士のイオン結合を防止する遮蔽剤を用いても構わない。
【0045】
以上のように構成されたCWM製造システムによると、最初にミル3による粉砕によって微粉炭2を得る。次に、この微粉炭2に混気水ジェットポンプ5により水分を与え、短時間に湿り微粉炭4を得る。そして、この湿り微粉炭4に親水コロイド7及び水を加えて球状化装置6で擦り合わせ、微粉炭粒子の二次結合・凝集を図ると共にその球状化を行って微粉炭ゲル8を得る。この微粉炭ゲル8に分散剤9を加えて攪拌機11で混合し、微粉炭粒子の二次結合・凝集を破壊してCWM10を得る。なお、混気水ジェットポンプ5や球状化装置6で加えられる水の量を調整することにより、CWM10の濃度調整を行うことができる。
【0046】
本実施形態によれば、湿り微粉炭4に親水コロイド7を加えてから分散剤9と混合しているので、分散剤9の混合量を親水コロイド7を加えない場合に比べて大幅に減少することができる。具体的には、図14のCWM濃度70.6wt%の(プロット○●)に示すように、親水コロイド7を加えずに分散剤9のみを0.4%程度添加していた場合と同等の粘度が上述の製造システムで親水コロイド7を1ppm程度加えることにより得られ、尚かつそのときの分散剤9の添加量を1/2〜1/4に削減することができた。したがって、分散剤9の使用量を減らしてコストを削減することにより、CWM10のコストを低減することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、球状化装置6により微粉炭粒子を球状化しているので、微粉炭の粒子の間に水が入り込み易くなる。このため、親水コロイド7や分散剤9が微粉炭粒子の周囲に効率よく分散されるので、保護コロイドの形成及び二次結合・凝集による微粉炭のゲル化とそのゾル化の作用が促進され、親水コロイド7及び分散剤9の添加量をより削減することができる。これと共に、微粉炭粒子の球状化により微粉炭の表面を超微粒子が被覆するように付着して潤滑効果を生ずるので、CWMの流動性を向上させることができる。具体的には、図15の▲△印に示すように、球状化を行ったCWM(▲印)の方が行わないCWM(△印)よりも流動性が高い。
【0048】
さらに、本実施形態によれば、乾式製造法によりCWMを製造しているので、湿式製造法による場合に比べて製造時間を1/2〜1/5に短縮すると共に駆動動力を1/3程度に低減することができる。しかも、図15の▲□印に示すように、乾式製造法によるCWMであっても球状化を行っていれば、湿式製造法によるCWMと同等の流動性を有することができる。
【0049】
ところで、本実施形態では、微粉炭2に水を加えて湿り微粉炭4とし、さらに球状化装置6で水を加えてCWMとしている。これは、最終的に所定の濃度のCWMが得られれば良いので、水を1回のみ加えることとしたり、2回に分けて加えることとしても構わない。また、ミル3により得られた微粉炭2を、球状化装置6に水と共に流し込むこともできる。この場合は、混気ジェットポンプ5は不要となり、設備の縮小を図ることができる。
【0050】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、乾式CWM製造に適用した場合について主に説明しているが、親水コロイドの添加による高濃度石炭・水混合燃料の流動化を良くする技術については、湿式製造法に対しても適用できる。また、微粉炭の球状化による微粉炭のスラリーの流動性の改善は、COMに対しても適用可能である。
【0052】
また、球状化装置6の漏斗26を取り付けた方の円盤を固定円盤25としているが、これを回転円盤にして他方の円盤を固定円盤にしても構わない。また、両方の円盤をそれぞれ回転させる構造としても構わない。両方の円盤を互いに反対方向に回転させれば、片方の円盤のみを回転させる場合よりも円盤同士の間の相対速度が大きくなるので、球状化をより確実に行うことができる。さらに、回転円盤を偏心させながら回転させたり、回転させずに摺動させる構造であっても構わない。
【0053】
また、図8に示すように、球状化装置6の回転円盤24’と固定円盤25’との対向面がほぼ鉛直になるように設置して、固定円盤25’の透孔にスクリューフィーダ27を取り付けたものとすることができる。そして、スクリューフィーダ27のスクリューを回転させることにより、湿り微粉炭4を回転円盤24’と固定円盤25’との間に送り込む。また、回転円盤24’と固定円盤25’との間には給水管28が設置されている。給水管28の給水口は対向面の中央部に位置されている。これにより、回転円盤24’と固定円盤25’とに挟まれた湿り微粉炭4に水が供給されて混合される。
【0054】
また、図9に示すように、球状化装置6を、互いに僅かな間隔をおいて対向する第1部材及び第2部材としての2枚の平板31,32を備えた構造としても構わない。この構造では、一方の平板31を固定して他方の平板32を対向面と平行な方向に摺動させたり、各平板31,32を互いに摺動する方向に移動させる。そして、球状化装置6の上方から湿り微粉炭4を供給し、各平板31,32の間に挟持させる。次いで、平板31,32同士を相対摺動させることにより、球状化及び超微粒子の生成を行うことができる。
【0055】
さらに、図10に示すように、球状化装置6を、第1部材としての円筒部材34と、該円筒部材34に隙間嵌めにより貫通される第2部材としての軸35とを備えた形状としても構わない。この構造では、円筒部材34と軸35の一方または両方を互いに回転したり軸方向に摺動するよう移動させる。そして、円筒部材34と軸35との間に湿り微粉炭4を挟持させて相対移動させることにより、球状化及び超微粒子の生成を行うことができる。なお、円筒部材34の内周面と軸35の外周面とに軸方向または周方向に沿った凹部や凸部を形成したり、螺旋状の凹部や凸部を形成することもできる。また、湿り微粉炭4を円筒部材34の内部で流動させる際は、一方の隙間から強制的に流入させたり、円筒部材34及び軸35の一方の径を他方の径より大きくしてテーパを設けることにより、より容易に行うことができる。
【0056】
また、図11に示すように、第1部材としての円柱部材36と、該円柱部材36の外周面が僅かな間隔を有して収容される凹部37aを有する第2部材としての部材37とを備えた形状としても構わない。この構造では、円柱部材36と凹部37aを有する部材37の一方または両方を互いに回転したり軸方向に摺動するよう移動させる。そして、凹部37aと円柱部材36との間に湿り微粉炭4を挟持させて相対移動させることにより、球状化及び超微粒子の生成を行うことができる。
【0057】
なお、図9と図10と図11とに示す構造では、各対向面を平滑としているが、例えば溝や突起等の凹凸部が形成された形状としても構わない。また、所定間隔をおいて直線上に点在する突起部が平行に複数配列された形状としても構わない。これらの形状によれば、湿り微粉炭4の擦り合わせが複雑に行われ、球状化と超微粒子の生成がより確実に行われる。
【0058】
また、本実施形態では、対向面同士の間隔は一定とされているが、この間隔を変更可能な構造としても構わない。この場合、間隔が僅かに小さくなることにより、湿り微粉炭4を押圧することができる。
【0059】
他方、本実施形態ではCWMを乾式で製造しているが、例えば湿式粉砕による場合、図2に示すように、回転式の湿式粉砕機12に石炭1と水と親水コロイド7とを添加して粉砕し、微粉炭ゲル8を製造する。そして、この微粉炭ゲル8に分散剤9を加えて攪拌機11で混合する。この製造方法によっても、微粉炭に親水コロイド7を添加して微粉炭ゲル8を製造し、この微粉炭ゲル8を分散剤9によりゾル化してCWM10を得ているので、分散剤9の添加量を削減することができる。
【0060】
また、上述した各実施形態ではCWMを製造しているが、これに限らずCWPを製造することもできる。この場合の製造システムは、図3に示すように、石炭1を粉砕する粗粉砕機13と、所定の粒径以下の微粉炭14を選別するふるい15と、微粉炭14と水と脱硫剤と親水コロイド7とを混練してCWP16を製造する混練機17と、CWP16を貯蔵するタンク18と、CWP16を吐出するCWPポンプ19とを備えている。この製造システムでは、混練機17の途中に分散剤9を添加する。すなわち、微粉炭14と水と脱硫剤と親水コロイド7とを混練機17に投入して混練し、混練機17の上流部で微粉炭ゲルを生成する。そして、微粉炭ゲルを分散剤9と混合してゾル化し、CWP16を製造する。この製造システムによっても、微粉炭14に親水コロイド7を添加して微粉炭ゲルを製造し、この微粉炭ゲルを分散剤9によりゾル化してCWP16を得ているので、分散剤9の添加量を削減することができる。更に、微粉炭の球状化技術はCOMの製造に対しても適用することができる。
【0061】
(実施例1)
図1に示すミル3と混気水ジェットポンプ5と球状化装置6とを用いて微粉炭の角取り球状化による超微粒子の生成と粒径分布を確認する実験を行った。
【0062】
乾式の堅型ミル3によって、微粉炭2を得た。次に、この微粉炭2を混気水ジェットポンプ5により水を混ぜ、湿り微粉炭4を得た。この時の湿り微粉炭4の粒子の形状を図6のSEM写真に示す。同図に示すように、粒子は不定形からなる角張ったほぼ多面体で比較的大きかった。また、その粒径分布は、図12の○印の状態であった。
【0063】
この湿り微粉炭4を親水コロイドを添加して球状化装置6で擦り合わせて微粉炭ゲルとし、これに分散剤を混ぜてCWMを得た。このCWMの粒子の形状を図7のSEM写真に示す。同図に示すように、微粉炭2の角が削れて球状化されて表面積が小さくなった。また、その粒径分布(質量基準)は、図12の●印の状態であった。即ち、同図から明らかなように、100μm以下が約100%、10μm以下が約45%、1μm以下が約17%であり、CWMとして要求される粒径分布を満たしていた。
【0064】
(実施例2)
図1に示すミル3と混気水ジェットポンプ5と球状化装置6とを用いて保護コロイド利用によるCWM製造実験を行った。
【0065】
まず、保護コロイドの効果を調べるために、普通の微粉炭に少量の親水コロイド7を添加した水を約30%、親水コロイドを添加しないものと比較して微粉炭の濡れ性を確認した。これによると、添加しないものでは初め微粉炭が水をはじくような感じとなり、混練してもなかなか水となじまない。しかし、親水コロイドを添加したものでは初めの水をはじく感じが弱く、比較的簡単に混練状態となった。このように、親水コロイドによって微粉炭の濡れ性が改善されることを確認した上で、保護コロイド利用によるCWM製造実験を行った。
【0066】
図13に示すように、70%濃度のCWMを製造する際に、親水コロイド7としてヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、トラガント、カゼイン、ゼラチンを使用し、球状化装置6で供給する水に添加した。その添加量は、水に対して%オーダーからppm及びpptオーダーへと減少させ、保護コロイドの効果を確認すると共に適量を見出した。親水コロイド7の具体的添加量は、水に対して1wt%、10ppm、1ppm、1ppb、1ppt、10−3ppt、10−6ppt、10−9pptとした。なお、石炭はハンターバレー(オーストラリア産)を使用し、分散剤9は界面活性剤とし、その添加量はCWMに対して0.2wt%とし、CWM濃度は70wt%とした。そして、製造されたCWMについて粘度を温度25℃で測定し、親水コロイドの添加濃度との関係を調べた。粘度計としては、回転粘度計レオマット115(スイス・コントラバス社製)を用い、回転数をプログラムにより上昇させて一定保持した後、下降させて自動測定した。その結果を図13に示す。また、石炭を他の種類に変更しても同様の結果が得られた。
【0067】
この結果、同図に示すように、親水コロイドの添加量が水に対して10−4ppt〜10ppmの範囲で流動性が良好であり、特に1ppt〜1ppbの範囲で流動性が最良だった。また、10−4ppt未満や10ppmを超える範囲では、流動性が悪くなり粘度の測定結果が不安定になった。尚、親水コロイドの添加量は、CWMの水に対して表しているが、添加効果はppmオーダー、pptオーダーで発揮されるので、CWM全体に対して同量添加しても効果に差はない。
【0068】
(実施例3)
図1に示すミル3と混気水ジェットポンプ5と球状化装置6とを用いてCWMを製造する際に、親水コロイド7を添加した場合としない場合とでの分散剤添加量が粘度に与える変化についてCWMの濃度毎に実験した。
【0069】
実験は、石炭としてハンターバレー(オーストラリア産)、親水コロイド7としてHECを1ppm添加し、25℃で粘度測定した。そして、製造されたCWMについて粘度と、分散剤9の添加量との関係を調べた。その結果を図14に示す。なお、CWM濃度69.3wt%の場合は親水コロイド7を添加した場合のみを実施したので、参考として図示した。また、図中、分散剤9添加量の単位は、CWMに対するwt%である。
【0070】
同図から明らかなように、CWM濃度70.6%において微粉炭に対して保護効果を示す親水コロイド7を用いない場合でかつ現行の添加量0.4%では粘度1200mPa・sを示し、添加量を0.3%および0.2%に減じると、粘度はそれぞれ1600および約4500mPa・sを示す。これに対して保護コロイドを用いたものは、界面活性剤の添加量を0.4から0.3、0.2および0.16%と削減しても、粘度は1200mPa・sでほぼ一定値となっている。また、CWM濃度67.1%では親水コロイドを添加しないものは、界面活性剤の添加量0.4%で粘度450mPa・s、同様に0.2%で600mPa・s、0.1%で約2800mPa・sとなる。これに対し、親水コロイドを添加したものは、添加量0.13%まで削減しても粘度は400mPa・sのほぼ一定値となり、かつCWM粘度の基準値である900mPa・s(±300mPa・s)となる添加量は0.1%を下回っている。
【0071】
この様に、微粉炭に対し保護効果を生ずる親水コロイドを用いることによって界面活性剤を削減することは可能である。その削減比は、用いない場合の粘度を得るのにおおよそ1/2.5であり、CWM濃度70.0%以下の場合に基準粘度値をクリアーすれば良いとしたときには、1/3以下にすることも可能である。
【0072】
(実施例4)
図1に示すミル3により得られた微粉炭を使用してCWMを製造する際に、球状化装置6のみを使用する場合と、図1に示す混気水ジェットポンプ5のみを使用する場合と、湿式製造法を使用する場合とで微粉炭の球状化が流動性・粘度に与える影響を実験した。
【0073】
この実験では、ハンターバレー炭(オーストラリア産)を用い、球状化装置6を使用して球状化処理をしてから、分散剤9としてポリスチレンスルホン酸ソーダ系の界面活性剤をCWMの0.4wt%添加して製造したものと、その半分の0.2wt%添加したものとを製造した。そして、分散剤9の添加量を0.2wt%とした場合は予め親水コロイド7を1ppm添加した。また、混気水ジェットポンプ5のみを使用して球状化装置6を使用しない場合と湿式製造法を使用する場合とは、分散剤9の添加量を現行の0.4wt%としてCWMを製造した。これらのときの石炭は、ワークワース(オーストラリア産)を使用した。そして、製造されたCWMについて粘度を測定し、石炭濃度との関係を調べた。その結果を図15に示す。なお、測定温度は25℃とした。
【0074】
同図に示すように、球状化装置6のみを使用した場合では、分散剤9の添加量を1/2にしたCWM(●印)であっても親水コロイド7を1ppm添加することにより現行の分散剤添加量のCWM(▲印)と同等の流動性を得た。また、現行の分散剤添加量のCWM同士を比較すると、球状化装置6で球状化されたCWM(▲印)は混気水ジェットポンプ5のみを使用して球状化されないCWM(△印)よりも流動性が高かった。しかも、球状化装置6のみを使用したCWM(▲印)は、湿式製造法によるCWM(□印)と同等の流動性となった。これらのことから、微粉炭の球状化によって流動性の良いCWMの製造が可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1の高濃度石炭・水混合燃料によると、分散剤の添加量を少なくできる。分散剤の添加量は、微粉炭同士の二次結合を破壊するだけの量、または微粉炭粒子にイオンの拮抗作用を起こさせるだけの量、または分散剤自体若しくは糸まり状高分子により微粉炭粒子の空いた部分を埋めるだけの量で足りるので、従来のように分散剤のみで微粉炭粒子の凝集を防止する場合に比べて分散剤の添加量を大幅に削減することができる。例えば、70%濃度のCWMを製造する場合には、図14に示す実測データからも明らかなように、界面活性剤の使用量を従来の約1/3程度にしてもCWMの流動性は損なわれなかった。また、図15の実測データより明らかなように、親水コロイドを添加することにより分散剤の添加量を1/2に削減しても、石炭濃度と粘度との関係がほぼ同等のCWMを製造することができた。更には請求項2記載の発明のように、70%濃度のCWMを得る場合には、水に対するコロイドの添加量をpptオーダーからppbオーダーの量にすることにより最も流動性の高い高濃度石炭・水混合燃料を得ることができる。
【0076】
したがって、CWMの流動性を同等に維持しながら分散剤の添加量を減少させて分散剤コストを削減することにより、高濃度石炭・水混合燃料のコストを低減することができる。
【0077】
また、親水コロイドを添加するだけなので、高濃度石炭・水混合燃料の既存の製造設備をそのまま利用することができ、設備の増設はほとんど必要ない。
【0078】
そして、本発明の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法によると、微粉炭と水との混合物に親水コロイドを添加し、その後、分散剤を添加するようにしているので、微粉炭と水との混合物に親水コロイドを添加して混合することにより、ゲル状の微粉炭スラリーが生成される。このスラリーに分散剤が添加・混合されることにより、微粉炭スラリーがゾル状になる。これにより、分散剤の添加量をより削減した高濃度石炭・水混合燃料を製造することができる。例えば、図14の実測データより明らかなように、親水コロイドを添加せずに例えば0.4wt%の分散剤を添加した従来の高濃度石炭・水混合燃料と同等の流動性の高濃度石炭・水混合燃料を得るには、1ppmの親水コロイドを分散剤に先立って添加することにより、分散剤の添加量を従来の添加量の1/2〜1/4に削減することができる。
【0080】
さらに、請求項4の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法では、微粉炭は、乾式粉砕によって得られたものを更に当該微粉炭同士が押し合い揉み合うように摩砕させることによって微粉炭の角が削られて球状化されると共に超微粒子が生成されたものとしているので、さらに流動性及び濃度が高い高濃度石炭・水燃料を製造することができる。
【0081】
すなわち、微粉炭の角がとれて球状化されて表面積が小さくなることにより、微粉炭同士の隙間の充填のために必要な超微粒子の量が少なくなる。しかも、削られ易い所が削り取られることとなって、本体粒子は球状化されるものの初めの粒径から極端に小さくなることはなく、超微粒子を発生し得る。一方、削られた角は超微粒子となり、球状化された微粉炭同士の隙間に充填される。したがって、微粉炭同士の隙間に十分な量の超微粒子が充填される。これによって、高濃度石炭・水混合燃料が流動性を得るために必要な広い粒径分布、即ち球状化した比較的大きな粒子から極細かな粒子までを微粉炭の角取り球状化によって容易に生成し、高濃度石炭、水混合燃料に適した粒径分布に調整できる。そして、微粉炭同士の隙間から水分が追い出されて高濃度のCWMまたはCWPを得ることができる。また、微粉炭の表面を超微粒子が被覆するように付着して潤滑効果を生ずるので、流動性の高いCWMまたはCWPを得ることができる。
【0082】
図15の実測データに示すように、球状化を行ったCWM(▲印)の方が行わないCWM(△印)よりも流動性が高いことは明らかである。しかも、大量の超微粒子を混入する必要がなくなるので、CWMまたはCWPの製造が簡易になって製造費を低減させることができる。また、本発明によると、粉砕動力をより小さくするため、既存の製造設備をそのまま利用することができ、設備の増設はほとんど必要ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCWMを製造するシステムの一例を示す原理図である。
【図2】本発明のCWMを製造する他のシステムの一例を示す原理図である。
【図3】本発明のCWPを製造するシステムの一例を示す原理図である。
【図4】球状化装置の一実施形態を示す概略の斜視図である。
【図5】微粉炭の球状化の様子を示す模式図で、(A)は球状化前、(B)は球状化後を示す。
【図6】球状化前の微粉炭の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
【図7】球状化装置により球状化した微粉炭の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
【図8】球状化装置の一実施形態の変形例を示す概略の斜視図である。
【図9】球状化装置の他の実施形態を示す概略の斜視図である。
【図10】球状化装置の別の実施形態を示す概略の斜視図である。
【図11】球状化装置の更に他の実施形態を示す概略の斜視図である。
【図12】本発明の製造方法における湿り微粉炭とCWMの粒径分布図(質量基準)である。
【図13】親水コロイドの添加濃度とCWMの粘度との関係を示すグラフである。
【図14】分散剤の添加量とCWMの粘度との関係を示すグラフである。
【図15】CWMの石炭濃度と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 石炭
2 微粉炭
7 親水コロイド
9 分散剤
10 CWM(高濃度石炭・水混合燃料)
Claims (6)
- 石炭を所定の粒径分布に粉砕した微粉炭と水と分散剤とを混合して成る高濃度石炭・水混合燃料において、前記微粉炭に対して保護効果を生ずる親水コロイドを、高濃度石炭・水混合燃料の水分の1ppm以下10 -4 ppt以上含んでいることを特徴とする高濃度石炭・水混合燃料。
- 前記親水コロイドは高濃度石炭・水混合燃料の水分の1ppb以下1ppt以上であることを特徴とする請求項1記載の高濃度石炭・水混合燃料。
- 石炭を所定の粒径分布に粉砕した微粉炭と水と分散剤とを混合して高濃度石炭・水混合燃料を製造する方法において、前記微粉炭と前記水との混合物に前記親水コロイドを添加し、その後、前記分散剤を添加することを特徴とする高濃度石炭・水混合燃料の製造方法。
- 前記微粉炭は、乾式粉砕によって得られたものを更に当該微粉炭同士が押し合い揉み合うように摩砕させることによって微粉炭の角が削られて球状化されると共に超微粒子が生成されたものであることを特徴とする請求項3記載の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法。
- 前記親水コロイドは高濃度石炭・水混合燃料の水分の1ppm以下10-4ppt以上であることを特徴とする請求項3記載の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法。
- 前記親水コロイドは高濃度石炭・水混合燃料の水分の1ppb以下1ppt以上であることを特徴とする請求項3記載の高濃度石炭・水混合燃料の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29706996A JP3579552B2 (ja) | 1996-03-11 | 1996-10-21 | 高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5337796 | 1996-03-11 | ||
| JP8-53377 | 1996-03-11 | ||
| JP96/02546 | 1996-03-11 | ||
| PCT/JP1996/002546 WO1997009399A1 (en) | 1995-09-08 | 1996-09-06 | High-concentration coal/water mixture fuel and process for production thereof |
| JP29706996A JP3579552B2 (ja) | 1996-03-11 | 1996-10-21 | 高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09302364A JPH09302364A (ja) | 1997-11-25 |
| JP3579552B2 true JP3579552B2 (ja) | 2004-10-20 |
Family
ID=27294922
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29706996A Expired - Fee Related JP3579552B2 (ja) | 1996-03-11 | 1996-10-21 | 高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3579552B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4529471B2 (ja) * | 2004-02-18 | 2010-08-25 | 株式会社Ihi | 親水性石炭スラリの製造方法及び装置 |
| CN116218574B (zh) * | 2023-03-21 | 2025-06-17 | 内蒙古易高煤化科技有限公司 | 一种胶粉掺混水煤浆添加剂、制备方法及胶粉掺混水煤浆 |
-
1996
- 1996-10-21 JP JP29706996A patent/JP3579552B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH09302364A (ja) | 1997-11-25 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN1087769C (zh) | 高浓度煤·水混合燃料及其制造方法 | |
| CN103730265A (zh) | 一种超级电容器浆料制备方法 | |
| JP2000348713A (ja) | 電池用正極合剤の製造方法およびこの正極合剤を用いた電池用正極板 | |
| CN104393246A (zh) | 一种纳米磷酸铁锂水性基浆料的制备方法 | |
| JP3579552B2 (ja) | 高濃度石炭・水混合燃料とその製造方法 | |
| JPH1128375A (ja) | 粉砕装置及びこれを用いた固・液スラリー製造方法 | |
| JP5403211B2 (ja) | 触媒インクを用いて燃料電池用の触媒層を形成する製造方法 | |
| CA1180554A (en) | Mixed fuels | |
| CN115763798A (zh) | 一种高稳定性低粘度碳纳米管导电浆料及其制备方法 | |
| CN105633409A (zh) | 一种钛酸锂与石墨材料负极混粉制浆方法 | |
| CN102918691B (zh) | 催化剂的制造方法及其装置、以及采用催化剂的燃料电池用反应层的特性控制方法 | |
| JP2026008030A (ja) | セルロースナノファイバーパウダー及びその製造方法 | |
| JP4032477B2 (ja) | 電池電極の製造方法 | |
| AU733711B2 (en) | High-density coal-water mixed fuel and producing method thereof | |
| JP2013229176A (ja) | リチウムイオン二次電池の製造方法 | |
| JP2025176676A (ja) | リチウムイオン電池用添加剤とその応用 | |
| JP3666146B2 (ja) | アルカリ二次電池の電極の製造方法 | |
| CN118712380A (zh) | 包含超小负极活性颗粒的负极浆料、其制备方法、负极极片和锂金属电池 | |
| JP2005216661A (ja) | 燃料電池用触媒ペーストとその製造方法 | |
| CN215540535U (zh) | 一种燃料电池催化剂浆料分散装置 | |
| JP3543036B2 (ja) | 高濃度石炭・水または油スラリー製造システム | |
| CN117916916A (zh) | 导电材料复合粒子的提供方法 | |
| JP2003068309A (ja) | 燃料電池用電極の製造方法および燃料電池 | |
| CN115815607A (zh) | 一种复合高能球磨的高效声学共振混合方法 | |
| KR102618826B1 (ko) | 스티렌 부타디엔 고무의 유기용매 분산용액을 제조하는 방법 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040329 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040407 |
|
| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040601 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040707 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040716 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100723 Year of fee payment: 6 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |
