JP2013229176A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な性状の水系の負極合材ペーストを製造し,その負極合材ペーストを用いるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】 負極活物質の粉末と分散剤の水溶液とを混合させる分散部を有する循環式の分散装置を用いる。そして,分散剤の水溶液を分散装置内に循環させることにより分散部へ流入させつつ,分散部に負極活物質の粉末を供給することにより負極活物質の粉末と分散剤の水溶液とを混合させて負極合材ペーストを製造する。このとき,負極活物質の粉末の分散部への供給速度S[kg/min]に対する分散剤の水溶液の分散部への流入量F[L/min]の比F/S[L/kg]を,10以上とする。
【選択図】図2

Description

本発明は,活物質層を有する電極板によりリチウムイオン二次電池を製造する方法に関する。より詳細には,負極板における活物質層を形成するための水系の負極合材ペーストを適切に製造し,その負極合材ペーストを用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法に関するものである。
近年,リチウムイオン二次電池は,ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両用の電源として注目されている。一般的なリチウムイオン二次電池は,正負の電極板の間にセパレータを挟み込みつつ,これらを捲回または平積みにより積層してなる電極体をケースに収納した構成のものである。
また,電極板は,集電箔の表面に活物質層を形成してなる帯状のものである。その活物質層は,集電箔となる金属箔に,活物質や結着材などの電極材料を含む電極合材ペーストを塗工して乾燥させることにより形成される。このため,電極材料が溶媒中に均一に分散した良好な性状の電極合材ペーストを製造することが重要である。例えば,電極合材ペーストに電極材料の凝集塊などが存在していた場合には,下工程において不良が発生して生産性を低下させるおそれがあるからである。また,電池特性の高い高品質なリチウムイオン二次電池を製造することができないからである。
例えば特許文献1には,活物質,導電材,ポリマーを,溶媒中に分散させて電極合材ペーストを製造する方法が開示されている。また,特許文献1では,導電材として,溶媒に対して親和性の低い材料,つまり溶媒中において凝集塊を形成しやすい材料を用いている。このため,導電材をポリマーとともに予め溶媒中において混練する予備的な混練を行い,凝集塊の生成を防いでいる。導電材の表面にポリマーを付着させ,導電材の溶媒に対する親和性を高めているのである。そして,その予備的な混練後のペーストにさらに活物質と溶媒とを加えて混練して完成させた電極合材ペーストを用いることにより,リチウムイオン二次電池を製造している。
特開2006−222073号公報
ところで,負極活物質として一般的に用いられている炭素系材料の表面は疎水性である。よって,溶媒として水を用いる水系の負極合材ペーストを製造する場合,負極活物質の表面には,分散剤としてのポリマーを十分に付着させなければならない。負極活物質を負極合材ペースト中に均一に分散させるためである。しかし,特許文献1の技術では,負極活物質の表面に付着する分散剤の量が少なく,負極活物質が水中に均一に分散した良好な性状の負極合材ペーストを製造することができなかった。
そこで,負極合材ペーストに添加する分散剤の量を増やすことが考えられる。分散剤の添加量を多くするほど,負極活物質に付着する分散剤の量も多くなるからである。しかし,分散剤は,完成後の負極板において充放電に寄与するものではない。また,分散剤の添加量を増やすほど,リチウムイオン二次電池内に占める分散剤の割合は高くなる。このため,分散剤の添加量を増やすことは,リチウムイオン二次電池の満充電容量を低下させることとなるのである。さらに,完成後の負極板の活物質層内に多くの分散剤が存在する場合には,負極板の内部抵抗を増加させる要因となってしまう。よって,分散剤の添加量を増やすことは,リチウムイオン二次電池の電池性能を低下させることとなるため好ましくないのである。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,良好な性状の水系の負極合材ペーストを製造し,その負極合材ペーストを用いるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は,炭素系材料の負極活物質を用い,少なくとも負極活物質と分散剤とを水中に分散させて負極合材ペーストを製造し,その負極合材ペーストに基づいて形成された負極活物質層を有する負極板を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法であって,負極活物質の粉末と分散剤の水溶液とを混合させる分散部を有する循環式の分散装置を用い,分散剤の水溶液を分散装置内に循環させることにより分散部へ流入させつつ,分散部に負極活物質の粉末を供給することにより負極活物質の粉末と分散剤の水溶液とを混合させて負極合材ペーストを製造するにあたり,負極活物質の粉末の分散部への供給速度S[kg/min]に対する分散剤の水溶液の分散部への流入量F[L/min]の比F/S[L/kg]を,10以上とすることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法である。
循環式の分散装置は,ペーストの粘度が低い場合に限り使用することができる。ペーストの粘度が高過ぎる場合には,それを適切に循環させることができないからである。ここで,炭素系材料の負極活物質は疎水性であるため,水中において凝集塊を形成しやすい。そして,凝集塊が形成されたペーストの粘度は高くなる。このため,従来において,水系の負極合材ペーストの製造には,循環式の分散装置を用いることができなかった。
しかし,本発明のように,負極活物質の供給速度S[kg/min]と分散剤水溶液の流入量F[L/min]との比F/S[L/kg]を10以上とすることにより,負極活物質は,分散部に供給されるとともに多くの分散剤と衝突する。これにより,負極活物質の表面には,負極活物質が水中に均一に分散するために十分な量の分散剤を付着させることができる。このため,凝集塊を発生させることなく,良好な性状の負極合材ペーストを製造することができる。
また,上記に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において,分散部に負極活物質の粉末を供給する前に,循環式の分散装置を用い,水を分散装置内に循環させることにより分散部へ流入させつつ,分散部に分散剤の粉末を供給することにより分散剤の粉末と水とを混合させて分散剤の水溶液を製造することが好ましい。別の攪拌装置などを用いて分散剤の水溶液を製造する場合,その装置の分のコストが高くなる。よって,分散剤は直接,循環式の分散装置を用いて製造することが好ましいのである。また,容器内の収容物を攪拌するだけの通常の攪拌装置を用いて分散剤の水溶液を製造するには,長い時間を要する。そこで,循環式の分散装置を用い,これに水を循環させつつ,分散部に分散剤の粉末を供給することにより,短時間で分散剤の水溶液を製造することができるのである。
本発明によれば,良好な性状の水系の負極合材ペーストを製造し,その負極合材ペーストを用いるリチウムイオン二次電池の製造方法が提供されている。
本形態で使用する循環式の分散装置の概略構成図である。 CMC水溶液を循環させつつ負極活物質の粉末を供給している分散部を示した図である。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,水系の負極合材ペーストを製造し,その負極合材ペーストを用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法である。すなわち,本形態の特徴は,負極合材ペーストの製造にある。その他の下工程(塗布,捲回,収納等)や正極板の製造については,従来より行われているリチウムイオン二次電池の製造方法により行うことができる。
上記のように,本形態の負極合材ペーストは,水系のものである。よって本形態では,その溶媒としてイオン交換水を用いる。また,負極活物質層を形成するための負極材料として,負極活物質と,分散剤と,結着材とを用いる。負極活物質には,リチウムイオンを吸蔵および放出することができる炭素系材料を用いる。この炭素系材料としては,従来よりリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられている,グラファイトカーボンやアモルファスカーボンなどが挙げられる。これら炭素系材料の負極活物質の粒子はいずれも,その表面が疎水性である。よって,負極活物質はそのままでは水中に分散されずに凝集塊を生成してしまう。このため,負極活物質を水中に均一に分散させるための添加材として,分散剤を用いる。
分散剤は,その分子構造に疎水部と親水部とを有するものである。分散剤の疎水部は,疎水性である負極活物質粒子の表面との親和性が高い。つまり,負極活物質粒子の表面には,分散剤を付着させることができる。また,表面に分散剤が付着した負極活物質粒子は,分散剤の親水部によって親水性を示すため,水中に分散しやすくなる。そして,分散剤が十分に付着した負極活物質粒子は,水中に均一に分散させることができるのである。結着材は,負極合材ペースト中の各成分を互いに結着させることにより負極活物質層を形成させ,その負極活物質層を集電箔の表面に結着させるための成分である。なお,本形態においては,分散剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を,結着材としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いている。
本形態では負極合材ペーストの製造を,上記の負極材料をイオン交換水に分散させることにより行う。これらの重量配合比を以下に示す。
負極活物質 :48
CMC :1
SBR :1
イオン交換水:50
図1に,本形態の負極合材ペーストの製造に用いる分散装置1の概略構成を示す。分散装置1は,タンク10と,ポンプ20と,サブタンク40と,ホッパー50と,ホッパー60と,分散部70とを有する循環式の分散装置である。図1に示すように,タンク10と分散部70とは,配管30および配管31によって互いに接続されている。配管30の途中にはポンプ20が設けられている。また,タンク10には,サブタンク40が配管42によって接続されている。さらに,ホッパー50には供給管81が,ホッパー60には供給管82がそれぞれ接続されている。供給管81,82はいずれも,供給管80に接続されている。供給管80は分散部70の上部に接続されている。これにより,ホッパー50およびホッパー60はいずれも,分散部70の上部に接続されている。
タンク10は,分散部70に流入させるための流動物を収容するものである。タンク10は,その内部に攪拌装置11を備えるものであり,収容する流動物の成分の分布が均一となるように攪拌を行うことができるようになっている。ポンプ20は,タンク10内の流動物を分散部70に送り出すためのものである。ポンプ20の動作によって,タンク10に収容された流動物は,配管30を通って分散部70に流入する。なお,分散部70に流入した流動物はその後,配管31へと流出してタンク10に戻ることとなる。すなわち,分散装置1内の流動物は,タンク10と分散部70とを循環するようになっている。その循環の流量は,ポンプ20によって調整される。
サブタンク40は,タンク10に供給する流動物を収容するためのものである。サブタンク40の配管42への出口には,バルブ41が設けられている。バルブ41は,サブタンク40内の流動物のタンク10への供給を制御するための開閉バルブである。
ホッパー50およびホッパー60はいずれも,分散部70に供給する粉末を収容するためのものである。ホッパー50の供給管81への出口には,供給弁51が設けられている。ホッパー60の供給管82への出口には,供給弁61が設けられている。供給弁51,61はそれぞれ,ホッパー50,60による分散部70への粉末の供給を制御するための開閉弁である。なお,ホッパー60の供給弁61についてはさらに,分散部70への粉末の供給速度を調整することができるようになっている。また,ホッパー50,60より供給される粉末はそれぞれ供給管81,82を通過した後,いずれも供給管80を通って分散部70に供給される。
分散部70は,配管30から流入する流動物と,供給管80より供給される粉末とを混合させるためのものである。そのため,分散部70の中には攪拌子71が設けられている。配管30より分散部70へと流入した流動物は,攪拌子71で攪拌された後,配管31に流出する。また,ホッパー50,60より分散部70へ供給された粉末は,流動物とともに攪拌子71で攪拌された後,配管31に流出する。つまり,分散部70に供給された粉末はその後,流動物とともに,タンク10と分散部70とを循環する。なお,特に限定する訳ではないが,本形態の分散装置1には,分散部70としてIKA社製の「CMS2000/4」を用いている。
次に,負極合材ペーストの製造手順について説明する。まず,前述した重量配合比の負極活物質,CMC,SBR,イオン交換水を用意する。このうち,負極活物質およびCMCについては,粉末として市販されているものを用意する。SBRについては,これを水中に分散させたエマルションとして市販されているものを用意する。なお,前述した重量配合比におけるSBRの比率は,固形分としての比率である。このため,イオン交換水については,前述した重量配合比のうち,SBRのエマルションの水分量を差し引いた量を用意する。
また,用意した負極活物質の粉末,CMCの粉末,SBRのエマルション,イオン交換水はそれぞれ,分散装置1の各部に収容する。具体的には,負極活物質の粉末は,ホッパー60内に収容する。CMCの粉末は,ホッパー50内に収容する。SBRのエマルションは,サブタンク40内に収容する。イオン交換水は,タンク10内に収容する。
そして,分散装置1による負極合材ペーストの製造においては,まず,タンク10の分散装置11を起動させる。攪拌装置11の回転速度は,100rpmとする。続いて,ポンプ20を起動させる。ポンプ20の動作によって,イオン交換水は,タンク10と分散部70とを循環する。
次に,分散部70においては,攪拌子71の回転を開始させる。攪拌子71の回転の周速は,30m/sとする。攪拌子71の回転が安定した後,ホッパー50の供給弁51を開弁する。これにより,CMC粉末は分散部70へ供給される。CMC粉末は,分散部70に供給されるとともに,分散装置1内を循環するイオン交換水と混合されつつ,攪拌子71によって攪拌される。これにより,分散装置1内には,イオン交換水中にCMCが分散したCMC水溶液が循環することとなる。
なお,CMCは,その粉末を予めイオン交換水中に分散させたCMC水溶液としてタンク10内に投入することにより供給することもできる。しかしその場合には,CMC粉末をイオン交換水中に分散させるための別の装置が必要となるため,その装置の分のコストが高くなる。よって,本形態のようにCMC粉末を直接,分散装置1に投入することが好ましい。また,CMCは,その粉末を直接タンク10内に投入し,タンク10内の攪拌装置11によってもイオン交換水中に分散させることができる。しかし,攪拌装置11のような収容する流動物を攪拌するだけの通常の攪拌装置によっては,すべてのCMCがイオン交換水中に完全に分散するまでに長い時間がかかってしまう。そこで本形態のように,イオン交換水を分散装置1内に循環させつつ,分散部70にCMC粉末を供給してこれをイオン交換水中に分散させることにより,短時間でCMC水溶液を製造することができるのである。
次に,ホッパー50内のCMC粉末がすべて分散部70に供給された後,ホッパー60の供給弁61を開弁する。これにより,負極活物質粉末は分散部70へ供給される。負極活物質粉末は,分散部70に供給されるとともに,分散装置1内を循環するCMC水溶液と混合される。
ここで,本形態においては,ホッパー60の供給弁61による負極活物質粉末の供給速度S[kg/min]に対するポンプ20によるCMC水溶液の循環流量F[L/min]の比F/S[L/kg]は,10以上とされている。ポンプ20によるCMC水溶液の循環流量F[L/min]はすなわち,CMC水溶液の分散部70への流入量F[L/min]である。これにより,分散部70へ供給されてくる負極活物質粉末に対し,分散装置1内を循環することにより分散部70へ流入してくるCMC水溶液の方がはるかに多くされている。
そして,分散部70において混合された負極活物質とCMC水溶液とは,攪拌子71を通過することにより攪拌され,ペーストとなって分散装置1内を循環することとなる。また,ホッパー60内の負極活物質粉末がすべて分散部70に供給された後にも2分間,分散装置1内にペーストを循環させる。
続いて,ペーストを2分間循環させた後,ポンプ20を停止させることにより,ペーストの循環を終了する。ポンプ20を停止させることにより,分散装置1内を循環していたペーストはすべて,タンク10内に溜まることとなる。また,分散部70の攪拌子71についても停止させる。なお,タンク10内の攪拌装置11については動作させたままにしておく。そして,サブタンク40のバルブ41を開弁させ,SBRのエマルションをタンク10内に供給する。サブタンク40内のSBRのエマルションがすべてタンク10内に供給された後,2分間,攪拌装置11によるペーストの攪拌を行う。その後,攪拌装置11を停止させる。以上の手順により,負極合材ペーストが完成する。
ところで,分散装置1のような循環式のものは,従来,水系の負極合材ペーストの製造に用いられることがなかった。循環式の分散装置を用いて電極合材ペーストを製造する場合,製造中のペースト粘度は常に低くなければならない。ペーストを分散装置内に適切に循環させるためである。つまり,循環式の分散装置は,電極材料と溶媒との親和性が高く,凝集塊などが形成されにくい場合に限り使用されていたのである。しかし,前述したように,炭素系材料である負極活物質粒子の表面は疎水性である。このため,負極活物質は溶媒である水中において浮遊や沈降,凝集塊を形成したりなどしやすく,循環式の分散装置によっては良好な性状の負極合材ペーストを得ることができなかったのである。
なお,段落[0007]において前述したように,CMCなどの分散剤の添加量を増やすことにより,負極活物質の分散性を高めることは可能である。しかし,分散剤の添加量を増やすほど,リチウムイオン二次電池の電池容量は低下する。また,負極板の活物質層内に多くの分散剤が存在する場合,その内部抵抗を増加させこととなってしまう。よって,分散剤の添加量を増やすことは,リチウムイオン二次電池の品質において好ましくないのである。
また,予め別の混練装置において,ペーストの粘度が循環式の分散装置内に適切に循環させることができる粘度となるまで,予備的な混練を行うことも考えられる。しかし,その予備的な混練を行うための混練装置のコストなどが問題となっていた。これらの理由により,水系の負極合材ペーストの製造には,循環式の分散装置を用いることが好ましくなかったのである。
ここにおいて,本形態では,負極活物質粉末の供給速度S[kg/min]とCMC水溶液の流入量F[L/min]との比F/S[L/kg]を10以上とすることにより,水系の負極合材ペーストを,循環式の分散装置1を用いて製造している。図2は,本形態において,負極活物質粉末が供給されているときの分散部70を示した図である。図2には,ホッパー60より供給管80を通って供給されてくる負極活物質粉末と,イオン交換水とともに分散装置1内を循環するCMCとを示している。
図2に示すように,負極活物質粉末は,分散部70に供給されるとともに,分散部70に流入してくるCMC水溶液と混合される。このとき,負極活物質粉末にはCMCが衝突する。そして,本発明者は,この負極活物質に衝突させるCMCの量を多くすることにより,負極活物質粒子が凝集塊を形成することなどなく,水中に適切に分散することを見出した。すなわち,負極活物質に衝突するCMCの量を多くすることにより,負極活物質粒子の表面には多くのCMCを付着させることができるのである。
そして本形態においては,供給速度S[kg/min]と流入量F[L/min]との比F/S[L/kg]を10以上としている。つまり,分散部40へ供給されてくる負極活物質粉末の量1kgあたりに対して,10L以上ものCMC水溶液を分散部40に流入させている。これにより,少量の負極活物質粉末と大量のCMC水溶液とを混合させつつ攪拌しているのである。よって,負極活物質の表面には,負極活物質が水中に均一に分散するために十分な量のCMCを付着させることができるのである。さらには,従来用いられることがなかった循環式の分散装置1を用いることにより,負極活物質が均一に分散した良好な性状の水系の負極合材ペーストを製造することができるのである。
本発明者は,上記の条件(供給速度S[kg/min]と流入量F[L/min]との比F/S[L/kg]が10以上)を満たす本形態の方法により実施例1〜5の負極合材ペーストを作成した。そして,実施例1〜5の負極合材ペーストと,上記の条件を満たさない方法により作成した比較例1〜4の負極合材ペーストとの比較をすることにより,本発明の効果を確認した。
なお,比較例1〜4はいずれも,供給速度S[kg/min]と流入量F[L/min]との比F/S[L/kg]以外は本形態の方法に準じて作成した負極合材ペーストである。また,実施例1〜5および比較例1〜4には,負極活物質として平均粒径が15μmのものを用いた。
以下の表1に,実施例1〜5および比較例1〜4のそれぞれの作成時の供給速度S[kg/min]および流入量F[L/min]と,これらの比F/S[L/kg]とを示す。表1に示すように,比較例1〜4についてはいずれも,比F/S[L/kg]が10未満であり,これを10以上とする本形態の条件を満たしていない。
Figure 2013229176
また表1には,作成した実施例1〜5および比較例1〜4の負極合材ペーストについて,ペースト粘度の測定と,粒ゲージによる評価とを行った結果を示している。ペースト粘度は,B型粘度計(スピンドルNo.4を使用)により測定した。また,粒ゲージによる評価は,JISK5101,JISK5600に準拠した方法により行った。
表1に示すように,実施例1〜5のペースト粘度はいずれも,比較例1〜4のペースト粘度よりも低いものであった。ペースト粘度の測定値は,ペースト中の凝集塊による抵抗が生じることにより,高くなる。つまり,ペースト中に存在する凝集塊が多いほど,ペースト粘度は高くなるのである。そして,比較例1〜4においては,ペースト粘度が高いことより,負極材料の分散が不十分であり凝集塊が多く形成されていることがわかる。一方,実施例1〜5においてはいずれも,ペースト粘度が低いことより,負極材料が良好に分散したペーストが得られていることがわかる。
さらに,粒ゲージによる評価より,実施例1〜5において確認された粒子の大きさはいずれも,比較例1〜4において確認された粒子の大きさよりも小さいものであった。また,比較例1〜4においては,ペースト作成前の負極活物質の平均粒子径(15μm)の2倍以上もの大きさの凝集塊が形成されていることがわかる。一方,実施例1〜5においてはいずれも,ペースト作成前の負極活物質の平均粒子径(15μm)よりわずかに大きな粒子が確認されただけであった。よって,これらの結果より,本形態によって良好な性状の水系の負極合材ペーストが製造されることが確認された。
従って,本形態により得られた水系の負極合材ペーストを用いて,下工程(塗布,捲回,収納等)により,高品質なリチウムイオン二次電池が製造される。すなわち,負極合材ペーストを負極用の集電箔の表面に塗布・乾燥して負極活物質層を形成することにより負極板を作製する。負極用の集電箔としては,銅箔を用いることができる。この,塗布・乾燥の段階ではペーストの良否による工程への影響が大きい。
具体的には,凝集塊が形成されたペーストではその塊の沈降などが生じやすく,電極材料が均一に分布した活物質層を形成することができないおそれがある。また,ペースト中に凝集塊が存在する場合には,その凝集塊により,ペーストを塗布するダイの塗布口の目詰まり,ダイの先端や塗布後のペーストの厚みを規定するブレードヘの引っかかりなどの不具合が発生する。厚みの薄い活物質層を形成するため,ダイの塗布口,ダイの先端やブレードと集電箔とのギャップなどは狭くされているからである。さらには,凝集塊が形成されたペーストによっては,均一な厚みの活物質層を形成することができないおそれもある。
しかし,これらの工程において,本形態では良好である。本形態では,前述のように良好な性状の負極合材ペーストが得られているからである。さらに,得られた負極板を正極板とともに,これらの間にはセパレータを挟み込みつつ捲回または平積みにより積層して電極体となし,この電極体を電池ケースに収納することでリチウムイオン二次電池が製造される。この正極板やセパレータなどには,従来より用いられているものを用いればよい。
以上詳細に説明したように,本実施の形態によれば,循環式の分散装置1により水系の負極合材ペーストを製造するに際し,まず,分散装置1内にイオン交換水を循環させつつ,分散部70にCMC粉末を供給してこれをイオン交換水中に分散させる。さらに,そのCMC水溶液を分散装置1内に循環させつつ,分散部70に負極活物質粉末を供給する。このとき,負極活物質粉末の分散部70への供給速度S[kg/min]に対するCMC水溶液の分散部70への流入量F[L/min]の比F/S[L/kg]は,10以上である。これにより,負極材料が均一に分散した良好な性状の水系の負極合材ペーストを製造することができる。よって,下工程が良好に実施され,高品質なリチウムイオン二次電池が製造される。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,循環式の分散装置は上記のものに限らず,別の機種のものを用いてもよい。循環式のものであって,負極活物質や分散剤などの粉末を直接投入できる構成の装置であればよい。また,分散剤や結着材などの材料,負極合材ペーストの配合比などは単なる一例である。
1 分散装置
10 タンク
20 ポンプ
50,60 ホッパー
70 分散部

Claims (2)

  1. 炭素系材料の負極活物質を用い,少なくとも負極活物質と分散剤とを水中に分散させて負極合材ペーストを製造し,その負極合材ペーストに基づいて形成された負極活物質層を有する負極板を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法において,
    負極活物質の粉末と分散剤の水溶液とを混合させる分散部を有する循環式の分散装置を用い,
    分散剤の水溶液を前記分散装置内に循環させることにより前記分散部へ流入させつつ,前記分散部に負極活物質の粉末を供給することにより負極活物質の粉末と分散剤の水溶液とを混合させて前記負極合材ペーストを製造するにあたり,
    負極活物質の粉末の前記分散部への供給速度S[kg/min]に対する分散剤の水溶液の前記分散部への流入量F[L/min]の比F/S[L/kg]を,10以上とすることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において,
    前記分散部に負極活物質の粉末を供給する前に,
    前記循環式の分散装置を用い,
    水を前記分散装置内に循環させることにより前記分散部へ流入させつつ,前記分散部に分散剤の粉末を供給することにより分散剤の粉末と水とを混合させて前記分散剤の水溶液を製造することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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