JP3578957B2 - 増幅装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信信号を増幅する増幅器で発生する歪みを補償する増幅装置やこのような増幅装置を備えた基地局装置や中継増幅装置に関し、特に、歪み検出の精度を向上させること等を実現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばW−CDMA(Wide−band Code Division Multiple Access:広帯域符号分割多重接続)方式を移動通信方式として採用する移動通信システムに備えられた基地局装置(CDMA基地局装置)では、物理的に遠く離れた移動局装置(CDMA移動局装置)の所まで無線信号を到達させる必要があるため、送信対象となる信号を増幅器(アンプ)で大幅に増幅して送信出力することが必要となる。
【0003】
しかしながら、増幅器はアナログデバイスであるため、増幅限界が存在する。この増幅限界は飽和点とも呼ばれ、当該飽和点以降では、増幅器に入力される電力が増大しても出力電力が一定となり、非線型な出力となる。そして、この非線型な出力によって非線型歪みが発生させられる。
【0004】
ここで、図11には、増幅器に入力される前の送信信号のスペクトラムの一例を示すとともに、図12には、歪み補償が行われない場合において当該送信信号が当該増幅器により増幅されて出力される信号のスペクトラムの一例を示してある。なお、図11及び図12に示したグラフの横軸は周波数(単位は[kHz])を示し、縦軸は電力比(単位は[dB])を示している。
【0005】
上記図11に示されるように、増幅前の送信信号では希望信号帯域外の信号成分が帯域制限フィルタによって低レベルに抑えられているのに対して、上記図12に示されるように、増幅器通過後の信号では歪みが発生して希望信号帯域外(隣接チャネル)へ信号成分が漏洩している。
【0006】
例えば基地局装置では上記したように送信電力が高いため、このような隣接チャネルへの漏洩電力の大きさは厳しく規定されており、こうしたことから、このような隣接チャネル漏洩電力(ACP:Adjacent Channel leak Power)をいかにして削減するかが大きな問題となっている。
【0007】
次に、上記のような隣接チャネル漏洩電力を削減するものとして、従来の基地局装置に備えられた歪み補償付き送信電力増幅部の一例を説明する。
図13には、このような歪み補償付き送信電力増幅部の構成例を示してあり、その動作を説明する。
【0008】
すなわち、歪み補償付き送信電力増幅部では、ベースバンド信号生成部51で生成された送信信号(I成分及びQ成分)がベクトル調整部(プリディストーション部)52及び電力測定部59に入力され、ベクトル調整部52に入力された送信信号は当該ベクトル調整部52により歪み補償される。ここで、ベクトル調整部52は一般に複素乗算器から構成され、後述する制御部58からの制御に従って、振幅−位相平面の特性が後述する増幅器4の非線型特性の逆特性となるようにして、その特性(すなわち、当該逆特性)を歪み補償特性として送信信号に与えることで当該送信信号を歪み補償する。
【0009】
ベクトル調整部52により歪み補償された送信信号は送信変調部53によりベースバンド帯から搬送波周波数帯へアップコンバートされた後に、増幅器54により増幅されて図外のアンテナへ供給される。
また、増幅器54では送信信号を増幅する際に歪みが発生し、歪み補償付き増幅装置には、歪み補償が適切に行われたかどうかを観察するために当該歪みの残存量を検出するフィードバック系が備えられている。
【0010】
このフィードバック系はローカル周波数生成部55や復調部56やA/D変換器57を有しており、上記したアンテナへ供給される増幅器54の出力信号(増幅後の信号)の一部が例えば方向性結合器により取り出されて復調部56に入力される構成となっている。
【0011】
そして、フィードバック系では、方向性結合器から復調部56に入力される増幅後の信号がローカル周波数生成部55から復調部56に入力されるローカル信号を用いて復調され、当該復調信号がA/D変換器57によりアナログ信号からデジタル信号へ変換され、当該デジタル信号が制御部58に入力される。
【0012】
また、上記した電力測定部59ではベースバンド信号生成部51から入力される送信信号の電力(送信電力)が検出され、当該検出結果が制御部58に通知される。
制御部58は例えばDSP(Digital Signal Processor)から構成され、A/D変換器57から入力されるデジタル信号から残存する歪み量を検出し、当該検出結果に基づいて、ベクトル調整部52により適切な歪み補償が行われるように当該ベクトル調整部52を制御する。なお、この制御では、電力測定部59から通知される送信電力に対応した歪み補償特性が歪み補償に用いられるように制御される。
【0013】
以上のように、上記図13に示した歪み補償付き送信電力増幅部では、増幅器54で発生する歪みに対して適切な歪み補償が行われることにより、効率のよい送信電力増幅処理が実現されている。
ここで、図14には、このような歪み補償が行われる場合において送信信号が増幅器54により増幅されて出力される信号のスペクトラムの一例を示してあり、この信号スペクトラムでは隣接チャネル漏洩電力が大きく削減されている。なお、同図に示したグラフの横軸は周波数(単位は[kHz])を示し、縦軸は電力比(単位は[dB])を示している。
【0014】
次に、上記のような歪み補償に関する幾つかの従来技術を示す。
まず、例えば特開平9−294144号公報(以下、文献1と言う)に記載されたディジタル無線装置では、上記図13に示したのと類似するフィードバック系を用いて歪み補償を行っており、このフィードバック系では、上記図13に示したものと同様に、隣接チャネルに発生した不要信号(すなわち、増幅器で発生した歪み)とともに送信対象となる所要信号(すなわち、元々の送信信号)をダウンコンバートして、これら全ての信号を直交復調等する処理を行っている。
【0015】
また、例えば特公昭63−10613号公報(以下、文献2と言う)に記載された自動追従形プリディストータにおいても、上記図13に示したのと類似するフィードバック系を用いて増幅器で発生する歪みを補償しており、このフィードバック系では、上記と同様に、送信信号帯域を含む増幅後の信号を復調して(すなわち、変調前のベースバンド信号を再生して)A/D変換等する処理を行っている。
【0016】
また、歪み補償を行うものではないが、例えば特開平9−138251号公報(以下、文献3と言う)に記載された隣接チャンネル漏洩電力の測定装置及び測定方法では、上記と同様に、隣接チャネルの信号(すなわち、不要信号に対応するもの)とともにキャリアの信号(すなわち、所要信号に対応するもの)を取り出して、これらを高速フーリエ変換(FFT)する処理を行って、隣接チャネル漏洩電力比(所要信号と不要信号との電力比)を測定している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記図13に示したような従来の歪み補償付き送信電力増幅部の構成では、隣接チャネル漏洩電力(増幅器で発生する歪み)の検出精度を高くすることが難しく、また、当該隣接チャネル漏洩電力を検出するための系が複雑になってしまうといった不具合があった。
【0018】
すなわち、上記のような構成で歪み補償を行うと、例えば上記図14に示されるように、希望の送信信号電力と歪み電力との差が50dB程度にもなることから、希望の送信信号電力に対して10万分の1といった小さな残存歪み量を正確に検出することが必要となり、このため、検出精度を高くすることが難しい。また、50dBという電力差は、復調部56やA/D変換器57のダイナミックレンジが50dB以上必要であることを示しており、また、A/D変換器57に要求される動作周波数やサンプリング周波数も過酷なものとなるため、系が複雑になってしまう。また、例えばW−CDMA方式のように広帯域な信号を扱う場合には、特に、A/D変換器57におけるサンプリング周波数が非常に大きくなるため、この結果として、復調部56やA/D変換器57が高価となり、且つ、装置(歪み補償付き送信電力増幅部)の作成が困難となってしまう。
【0019】
また、上記した本発明の課題の観点から、上記した文献1〜文献3に記載された装置等について考察しておく。
例えば上記文献1に記載された装置では、信号をデジタル化するためにはA/D変換器が必要となるところ、例えば20MHzの帯域幅を有するW−CDMA送信信号を受信しようとする場合には、当該A/D変換器の動作周波数が80MHz以上も必要となってしまって好ましくない。また、希望の送信信号と不要な歪みとのレベル差が上記と同様に約50dB〜60dBにもなってしまうため、上記と同様にダイナミックレンジに対応することが難しいといった問題がある。
【0020】
また、例えば上記文献2に記載された装置においても、上記文献1に記載された装置の場合と同様な問題がある。
また、例えば上記文献3に記載された装置等では、キャリアの周波数や隣接チャネルの周波数を含む全ての周波数帯域に対応して測定を行う必要があること等から、高価なA/D変換器を使用することが必須となり、装置の低コスト化等といった点において好ましくない。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、送信信号を増幅する増幅器で発生する歪みを補償するに際して、歪み検出の精度を向上させることができる増幅装置やこのような増幅装置を備えた基地局装置や中継増幅装置を提供することを目的とする。
また、本発明に係る増幅装置や基地局装置や中継増幅装置では、装置の低価格化や小型化を実現することを可能とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る増幅装置では、次のようにして、送信信号を増幅する増幅器で発生する歪みを補償する。
すなわち、増幅器が送信信号を増幅し、歪み検出手段が増幅器の出力信号から送信信号に対応する周波数の信号を除去して増幅器で発生する予め設定された検出用周波数の歪みを検出し、歪み補償手段が歪み検出手段により検出される歪みが低減されるように増幅器による増幅前の送信信号を歪み補償する。
【0023】
従って、増幅器の出力信号から送信信号の周波数に対応する周波数の信号が除去されて歪みが検出されるため、例えば当該出力信号に含まれる歪みのレベルが当該出力信号に含まれる送信信号のレベルと比べて小さい場合であっても、当該歪みを精度よく検出することができ、これにより、歪み補償の精度を向上させることができる。なお、歪みとしては、例えば予め固定的に設定された単一の周波数(検出用周波数)の歪みが検出されるが、例えば検出に用いる周波数(ローカル周波数)を微調整することが可能な構成とすることもできる。
【0024】
また、本発明に係る増幅装置では、例えば送信信号は異なる周波数を有する複数のキャリア信号を含んでおり、これら複数のキャリア信号の内の1つのキャリア信号を送信対象(歪み補償対象)とする。そして、歪み検出手段では、歪み補償対象となるキャリア信号の周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数との間に位置する検出用周波数の信号と増幅器の出力信号とをミキサにより混合し、ローパスフィルタによりミキサの出力信号から当該隣接するキャリア信号を除去して、ローパスフィルタの出力信号から増幅器で発生する歪みを検出する。
【0025】
従って、不要なキャリア信号を除去するためのフィルタとして、特に、ローパスフィルタが用いられるため、例えば後述する実施例で述べるように、バンドパスフィルタを用いて同様な機能を実現する場合と比べて、実現が容易であって現実的である。
【0026】
また、本発明に係る増幅装置では、検出用周波数としては、例えば歪み補償対象となるキャリア信号の周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数との間の両キャリア信号が非存在な周波数間隔の中心に位置する周波数が用いられる。
従って、互いに隣接する両キャリア信号が存在しない周波数間隔の中心周波数が検出用周波数として用いられるため、キャリア信号を除去した歪み検出が行い易くなって好ましい。
【0027】
また、本発明に係る増幅装置では、増幅器としては、例えば異なる周波数を有する複数のキャリア信号をまとめて増幅することが可能な共通増幅器が用いられる。
従って、このような共通増幅器が用いられるため、例えば後述する実施例で述べるように、効率的な増幅処理を実現することができる。
【0028】
また、本発明では、増幅器の歪み補償が特に必要な適用対象として、例えば以上に示したような増幅装置を備えた基地局装置や中継増幅装置を構成した。
従って、本発明に係る基地局装置や中継増幅装置では、以上に示したような種々な効果を得ることができ、精度のよい歪み補償を実現することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施例に係る増幅装置を図面を参照して説明する。
図1には、本例の増幅装置の構成例を示してあり、この増幅装置は、例えば上記図13に示した歪み補償付き送信電力増幅部に本発明を適用した構成となっている。
【0030】
上記図1に示されるように、本例の増幅装置には、送信信号(I成分及びQ成分)を生成するベースバンド信号生成部1と、歪み補償を行うベクトル調整部(プリディストーション部)2と、送信信号をベースバンド帯から搬送波周波数帯へ変換(アップコンバート)する送信変調部3と、送信信号を所要送信電力に増幅する増幅器4と、増幅器4の出力信号(増幅後の信号)の一部を後述するミキサ6に入力するとともに残りの部分を図外のアンテナへ供給する方向性結合器等の分配器(図示せず)と、例えば予め固定的に設定された後述する所定の搬送波周波数(ローカル周波数)の信号を出力するシンセサイザ5と、シンセサイザ5からの信号を用いて方向性結合器等からの信号を低域周波数へ変換(ダウンコンバート)するミキサ6と、後述する所定のフィルタ特性をもってミキサ6によりダウンコンバートされた信号から不要信号を除去するローパスフィルタ(Low Pass Filter:LPF)7と、LPF7の出力信号をデジタル信号(デジタル値)へ変換するA/D変換器8と、例えばDSPから構成されてベクトル調整部2で行われる歪み補償処理を制御等する制御部9と、ベースバンド信号生成部1から入力される送信信号(ベースバンド信号)から包絡線を取り出して当該信号の電力を検出する電力測定部10とが備えられている。
【0031】
ここで、上記したベースバンド信号生成部1やベクトル調整部2や送信変調部3や増幅器4や方向性結合器等や電力測定部10の構成や動作は、例えば上記図13に示したものとほぼ同様であり、以下では、主として、本例のフィードバック系を構成するシンセサイザ5やミキサ6やLPF7やA/D変換器8や制御部9の構成や動作を詳しく説明する。
【0032】
すなわち、本例では、増幅器4で発生する歪み(送信信号の隣接チャネルに位置する信号)を例えばダイレクトコンバージョン方式を用いてミキサ6により取得することを行っており、シンセサイザ5はミキサ6により取得を希望する信号の中心周波数と同じ周波数の信号を発生させて当該信号をミキサ6へ出力する機能を有している。このように、本例のシンセサイザ5により出力される信号の周波数(ローカル周波数)は、元々の送信を希望する送信信号の中心周波数ではなく、増幅器4で発生する歪みの周波数であり、すなわち、送信信号の隣接チャネルに位置する周波数である。
【0033】
ここで、本例のシンセサイザ5により出力される信号の周波数を更に具体的に説明する。
一例として、例えば送信信号に異なる周波数を有する複数のキャリア信号が含まれているとし、これら複数のキャリア信号の中で送信対象(歪み補償対象)となるキャリア信号の中心周波数を送信信号の中心周波数とする。
【0034】
本例では、例えば上記図14に示したのと同様に送信信号の中心周波数が100MHzであるとし、上記した各キャリア信号の周波数はそれぞれ隣接するキャリア信号の周波数と5MHzずれている(すなわち、隣接キャリアの間隔が5MHzである)とする。そして、本例のシンセサイザ5は、例えば送信信号の中心周波数(100MHz)と当該周波数に隣接するキャリア信号の周波数(本例では、105MHzとする)との間の中心に位置する周波数(本例では、102.5MHz)の信号をミキサ6へ出力する。
【0035】
なお、上記のような場合、一般には、100MHzのキャリア信号に対する隣接キャリア漏洩電力の周波数は105MHz或いは95MHzと考えられもするが、本例では、例えば105MHzの測定点と102.5MHzの測定点との間には相関があることから、上記のように102.5MHzを主な測定点として用いている。
【0036】
ミキサ6は、シンセサイザ5から入力される信号と方向性結合器等から入力される増幅器4の出力信号とを混合することで、当該出力信号をベースバンド帯へダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号をLPF7へ出力する機能を有している。
【0037】
ここで、図2には、例えば隣接する2つのキャリア信号(100MHzのキャリア信号と105MHzのキャリア信号)が送信信号に含まれる場合に、増幅器4に入力される送信信号のスペクトラムの一例を示してある。ここで、本例では、各キャリア信号の帯域幅は3.84MHzであるとする。
また、図3には、このような場合に、ミキサ6からLPF7へ出力される信号(ダウンコンバートされた信号)のスペクトラムの一例を示してある。なお、図2及び図3に示したグラフの横軸は周波数(単位は[kHz])を示し、縦軸は電力比(単位は[dB])を示している。
【0038】
LPF7は、ミキサ6から出力される信号を入力し、当該信号を構成する周波数成分の内で所定の低周波数帯域の信号成分のみを帯域制限後の信号としてA/D変換器8へ出力する機能を有している。
ここで、本例のLPF7のフィルタ特性としては、歪み補償対象となる100MHzのキャリア信号に隣接する105MHzのキャリア信号(すなわち、ダウンコンバートされた後には、中心周波数が2.5MHzの信号)をミキサ6の出力信号から除去することができる特性が設定されている。
【0039】
このようなフィルタ特性により、本例のLPF7の出力信号には、歪み(隣接チャネル漏洩電力)の周波数(すなわち、ダウンコンバートされる前には、102.5MHz)近辺の信号のみが含まれるようになり、上記した隣接するキャリア信号は含まれないようになる。
図4には、例えば上記図3に示した信号スペクトラムに加えて、本例のLPF7のフィルタ特性の理想的な設定例を示してあり、同図に示したグラフの横軸は周波数(単位は[kHz])を示し、縦軸は電力比(単位は[dB])を示している。
【0040】
なお、実際には、上記図4に示したように急峻なフィルタ特性を有するLPFを実現することは難しいこともあるが、例えばLPF7のフィルタ特性は上記図4に示したものと比べて緩やかな減衰曲線状のものであってもよく、要は、上記した隣接するキャリア信号を削除することができるようなものであればよい。また、本例のようにLPFを用いると、例えば仮に1個のLPFでは所要の減衰曲線が得られない場合であっても、LPFを2段或いは3段等といったように複数段直列に接続して用いることで、所要の減衰曲線を容易に得ることができて好ましい。
【0041】
一方、例えばバンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)を用いて帯域制限を行う構成も可能ではあるが、一般に、BPFでは上記図4に示したように急峻なフィルタ特性は得られず、仮に得られたとしても、BPF自体の大きさやコストが非常に大きくなってしまって、装置全体の実現性が低くなってしまう。このため、本例のようにLPFを用いた方が、比較的鋭い遮断特性を得ることができて有効であり、特に、隣接チャネルの間隔が狭いような場合には必須な構成要素となるほどに有効である。
【0042】
A/D変換器8は、LPF7から入力される信号をデジタル信号へ変換して制御部9へ出力する機能を有している。ここで、本例のA/D変換器8に入力される信号には上記したように例えば歪み成分のみが含まれ、送信信号が含まれないようになるため、A/D変換器8のダイナミックレンジを比較的小さくすることができる等といった点で、A/D変換器57の低価格化等を実現することができる。
【0043】
制御部9は、A/D変換器8から入力されるデジタル信号に基づいて増幅器4の出力信号に含まれる歪み(本例では、当該歪みの一部)の大きさを検出するとともに、電力測定部10から通知される送信信号の電力を検出し、これらの検出結果に基づいて、増幅器4の出力信号に含まれる歪みが低減されるように(ゼロに近づくように)ベクトル調整部2による歪み補償処理を制御する機能を有している。また、本例の制御部9は、例えばシンセサイザ5を制御するための制御信号を当該シンセサイザ5へ出力することにより、当該シンセサイザ5により発生させる信号の周波数を微調整する機能を有している。
【0044】
ここで、本例の増幅装置がW−CDMAシステムで用いられる場合を例として、上記したLPF7のフィルタ特性(通過帯域特性)に関する具体的な数値の一例を示す。
例えばW−CDMAシステムでは、一般に上記したように、送信信号に含まれる各キャリア信号の帯域幅は3.84MHzであり、隣接するキャリア信号間の周波数間隔は5.00MHzである。また、一般に、帯域制限フィルタのロールオフ率は0.22であり、規格化カットオフ周波数は0.5である。
【0045】
また、送信信号に含まれる各キャリア信号は互いに周波数軸上で重ならないように配置されており、具体的には、例えば上記したように或るキャリア信号の中心周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の中心周波数との間の周波数間隔が5MHzに設定されている。この場合、例えば或るキャリア信号の中心周波数から2.5MHz離れた周波数位置では、当該キャリア信号の成分が存在しないとともに当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の成分も存在しないため、歪みを考慮しなければ送信信号のレベルはゼロとなる。
【0046】
このため、例えば上記した2.5MHz離れた周波数位置(2.5MHz離調点)における歪みの大きさを検出するようにすれば、精度のよい歪み検出が実現される。すなわち、送信信号が増幅器4で増幅される際に歪みが発生して増幅器4の出力信号の帯域が当該送信信号の帯域と比べて拡大した場合には、上記のように本来はゼロレベルとなるべき2.5MHz離調点において非ゼロの信号レベルが検出されるため、当該レベルを歪みのレベルとして精度よく検出することができる。
【0047】
そして、上記のような精度のよい歪み検出を実現するために、LPF7では、例えばミキサ6の出力信号から比較的レベルが大きい不要なキャリア信号(上記した隣接するキャリア信号)のレベルを低減させて、比較的レベルが小さい歪みを帯域制限後の信号中に大きく残すことが必要とされる。
【0048】
ここで、送信信号に含まれる各キャリア信号の帯域幅は上記したように3.84MHzであるが、例えばLPF7により当該送信信号に与えられる帯域制限特性によって所要帯域が拡大し、当該拡大率がロールオフ率で決定される。
図5には、LPF7の帯域制限特性の一例を示してあり、これは、上記したロールオフ率(=0.22)及び上記したカットオフ周波数(=0.5)に対応したものである。なお、同図に示したグラフの横軸は送信信号帯域による規格化周波数(単位は[Hz])を示し、縦軸は乗算係数を示している。具体例として、横軸の1.0の点は3.84MHzに相当し、横軸の0.5の点は1.92MHzに相当する。
【0049】
上記図5に示した帯域制限特性においては、横軸の0.6の点(規格化周波数が2.3424MHzである点)以降の点では信号が削除されて存在しなくなる。
そして、図6には、隣接する2つのキャリア信号に関して上記した帯域制限特性を重ねたものの一例を示してあり、同図に示したグラフの横軸は送信信号帯域による規格化周波数(単位は[Hz])を示し、縦軸は乗算係数を示している。
【0050】
上記図6に示した帯域制限特性では、横軸の規格化周波数が低い方のキャリア信号(下側信号)がゼロ点に到達する周波数が2.3424MHzとなる一方、横軸の規格化周波数が高い方のキャリア信号(上側信号)がゼロ点に到達する周波数が2.6576MHzとなり、これら2つのゼロ点到達周波数の間の周波数領域の範囲で歪みを検出するようにすれば、当該歪みのみを精度よく検出することができて好ましいことになる。
【0051】
つまり、上記図6に示される帯域制限特性から考えると、LPF7の通過帯域幅としては、少なくとも0.3152MHz(=2.6576MHz−2.3424MHz)以下であることが必要となる。ここで、一般には、通過帯域特性の通過帯域幅とは電力減衰が半分(すなわち、3dB)となる3dB帯域幅を示すが、本例では、キャリア信号のレベルと比べて数十dBも小さい歪み(隣接チャネル漏洩電力)の取得を目的としているため、本例では、通過帯域幅という語により遮断周波数の帯域幅を示している。なお、LPF7の減衰曲線(伝達関数)は、取得する歪みの帯域幅にも依存し得るが、一般的には規定しなくても構わない。
【0052】
更に、本例の場合において実際には、例えば上記図5や上記図6に示したように中心周波数が非ゼロとなることはなく、例えば上記図3や上記図4に示したように中心周波数はゼロとなるため、上記のような計算に基づいてLPF7の遮断周波数帯域幅を算出すると、LPF7の遮断周波数帯域幅は上記した帯域幅の1/2の値である157.6kHz(=0.3152MHz×(1/2))となる。
【0053】
次に、本例の増幅装置により行われる動作の一例を示す。
すなわち、本例の増幅装置では、ベースバンド信号生成部1で生成された送信信号(I成分及びQ成分)がベクトル調整部2及び電力測定部10に入力され、ベクトル調整部2に入力された送信信号は、制御部9による制御に従って、当該ベクトル調整部2により歪み補償される。
【0054】
ベクトル調整部2により歪み補償された送信信号は送信変調部3によりベースバンド帯から搬送波周波数帯へアップコンバートされた後に、増幅器4により増幅されて図外のアンテナへ供給される。ここで、増幅器4では送信信号を増幅する際に歪みが発生する。また、上記したアンテナへ供給される増幅器4の出力信号(増幅後の信号)の一部は、例えば当該アンテナから放射される信号にとって損失が少ない方向性結合器等により取り出されてミキサ6に入力される。
【0055】
そして、フィードバック系では、方向性結合器等からミキサ6に入力される増幅後の信号と、シンセサイザ5から当該ミキサ6に入力されるローカル信号とが当該ミキサ6により混合され、当該混合後の信号がLPF7を通過することにより、例えば当該信号に含まれる歪み成分のみが取得されてA/D変換器8に入力される。A/D変換器8ではLPF7から入力される信号がデジタル信号へ変換され、当該デジタル信号が制御部9に入力される。
【0056】
また、上記した電力測定部10ではベースバンド信号生成部1から入力される送信信号の電力(送信電力)が検出され、当該検出結果が制御部9に通知される。
制御部9はA/D変換器8から入力されるデジタル信号から残存する歪み量を検出するとともに、電力測定部10から通知される送信電力を検出し、これらの検出結果に基づいて、ベクトル調整部2により適切な歪み補償が行われるように当該ベクトル調整部2を制御する。
【0057】
以上のように、本例の増幅装置では、増幅器4で発生する歪みが精度よく検出され、当該歪みに対して適切な歪み補償が行われるため、非常に精度のよい歪み補償処理を実現することができる。また、本例の増幅装置では、消費電力の大幅な削減や装置の低価格化や小型化を実現することも可能であり、歪み検出のための回路が実現し易い。
具体的には、本例の増幅装置では、特に、例えばフィードバック系において歪み補償対象となるキャリア信号の周波数に隣接する周波数位置の歪み(狭帯域の隣接チャネル漏洩電力)のみを取得し、また、これを実現するためにLPF7を用いているといった点で、従来技術とは異なっており、優れた効果を発揮している。
【0058】
また、本例の増幅装置では、好ましい態様として、隣接する2つのキャリア信号の中心周波数間の中心に位置する周波数(例えば上記した102.5MHz)を歪み検出用のローカル周波数(検出用周波数)としてシンセサイザ5から出力して用いているため、キャリア信号を除去した歪み検出が行い易くてよい。
また、本例の増幅装置では、好ましい態様として、例えば隣接するキャリア信号の中心周波数間の周波数間隔(例えば本例では5MHz)から1キャリア信号当りの帯域幅(例えば本例では3.84MHz)を差し引いた帯域幅以下の狭い通過帯域特性を有するようなLPF7を用いている。
【0059】
ここで、本例では、送信信号を増幅する増幅器4が本発明に言う増幅器に相当し、この増幅器4で発生する歪みが補償対象となる。
また、本例では、ミキサ6による混合の後に、LPF7が増幅器4の出力信号から送信信号に対応する周波数の信号を除去して、制御部9が増幅器4で発生する予め固定的に設定された単一の検出用周波数(本例では、102.5MHz)の歪み(本例では、隣接チャネル漏洩電力)を検出する機能により、本発明に言う歪み検出手段が構成されている。
【0060】
また、本例では、前記歪み検出手段により検出される歪みが低減されるように制御部9がベクトル調整部2を制御して増幅器4による増幅前の送信信号を歪み補償する機能により、本発明に言う歪み補償手段が構成されている。なお、動作周波数としては、本例のようにベースバンド帯の信号を歪み補償するのではなく、例えば搬送波周波数帯の信号を歪み補償することも可能である。
【0061】
また、本例では、例えば異なる周波数を有する複数のキャリア信号(本例では、100MHzのキャリア信号や105MHzのキャリア信号等)が送信信号に含まれている。そして、前記歪み検出手段は、ミキサ6とLPF7とを有し、LPF7の出力信号から増幅器4で発生する歪みを検出する。
【0062】
ここで、ミキサ6は本発明に言うミキサに相当し、歪み補償対象となるキャリア信号の周波数(本例では、100MHz)と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数(本例では、105MHz)との間に位置する検出用周波数(本例では、102.5MHz)の信号と増幅器4の出力信号とを混合する。
また、LPF7は本発明に言うローパスフィルタに相当し、ミキサ6の出力信号から前記隣接するキャリア信号(本例では、105MHzのキャリア信号)を除去する。
【0063】
また、本例では、好ましい態様として、検出用周波数としては、上記したように、歪み補償対象となるキャリア信号の周波数(本例では、100MHz)と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数(本例では、105MHz)との間の両キャリア信号が非存在な周波数間隔の中心に位置する周波数(本例では、102.5MHz)を用いている。なお、両キャリア信号が非存在な周波数間隔とは、両キャリア信号の成分がいずれも存在しない周波数部分の間隔のことであり、本例では、例えば101.92(=100+(3.84/2))MHzと103.08(=105−(3.84/2))MHzとの間の間隔のことである。
【0064】
また、本例の増幅装置では、好ましい態様として、ダイレクトコンバージョン方式を用いて歪みを検出したが、例えば一般的なダブルスーパーヘテロダイン方式を用いることも可能である。
また、例えば歪み補償を行うベクトル調整部2の構成や電力測定部10の有無等としても任意であってもよい。
【0065】
次に、本発明の第2実施例に係る基地局装置を図面を参照して説明する。
本例では、W−CDMA方式を採用して移動局装置と無線通信する基地局装置を例として示す。
図7には、本例の基地局装置を構成する筐体の外観例を示してあり、同図に示されるように、本例の基地局装置は、大別すると、信号処理や制御を行うMDE部(無線変復調部)と、例えば共通増幅器等を備えた増幅器部とから構成されている。
【0066】
なお、本例の基地局装置では増幅器部をMDE部の上段に設置したが、例えば基地局装置の設置場所等に応じて、増幅器部とMDE部とを分割して設置する場合や、これらを横に並べて設置する場合や、増幅器部をMDE部の下段に設置する場合等もある。
【0067】
また、図8には、本例の基地局装置の概略的な構成例を示してある。
同図に示されるように、本例の基地局装置には、例えば有線伝送路を介して他の基地局装置等との間で信号を通信するためのインタフェース部21や、ベースバンド信号を処理するベースバンド信号処理部22や、無線周波数帯の信号を送受信処理する無線送受信部23や、例えば上記第1実施例に示した増幅装置と同様な歪み補償機能を有して増幅器により送信信号を増幅する送信電力増幅部24や、後述するアンテナ26を用いて無線信号を送受信するアンテナ部25や、当該アンテナ26や、これら各処理部21〜26により行われる各種の処理を制御等する制御部27が備えられている。
【0068】
ここで、本例では、例えばインタフェース部21やベースバンド信号処理部22や無線送受信部23や制御部27から上記図7に示したMDE部が構成されており、例えば送信電力増幅部24から上記図7に示した増幅器部が構成されている。
【0069】
次に、本例の基地局装置により行われる処理の一例を示す。
すなわち、送信処理においては、例えばインタフェース部21により他の基地局装置等から有線伝送路を介して受信した信号をベースバンド信号処理部22によりベースバンド処理した後に無線送受信部23により無線周波数帯の信号へ変換し、当該無線周波数帯の信号(送信信号)を送信電力増幅部24により増幅した後に、当該増幅信号をアンテナ部25によりアンテナ26から移動局装置等に対して無線送信する。
【0070】
また、受信処理においては、例えば移動局装置等から無線送信された信号をアンテナ26を介してアンテナ部25により受信し、当該受信信号を無線送受信部23により受信処理した後にベースバンド信号処理部22によりベースバンド処理し、その後、当該受信信号をインタフェース部21により有線伝送路を介して他の基地局装置等へ送信する。
【0071】
以上のように、本例の基地局装置では、例えば上記第1実施例に示した増幅装置と同様な歪み補償機能を備えて増幅器で発生する歪みを補償することが行われるため、上記第1実施例の場合と同様に、増幅器で発生する歪みが精度よく検出され、当該歪みに対して適切な歪み補償が行われることから、非常に精度のよい歪み補償処理を実現することができる。
【0072】
また、上記第1実施例の場合と同様に、本例の基地局装置では、消費電力の大幅な削減や所要コストの削減等を実現することも可能であるため、基地局装置全体としての低価格化や装置規模の小型化も可能となる。具体的には、例えば増幅器へ電力を供給するための電力ラインを従来と比べて小さくすることや、基地局装置全体へ電力を供給するための電源設備を従来と比べて低価格化や小型化することが可能となる。
【0073】
なお、本例では、CDMA方式を採用した基地局装置に本発明を適用した場合を示したが、例えばTDMA方式やFDMA方式等といった他の通信方式を採用した基地局装置に本発明を適用することも可能である。
【0074】
また、本例の基地局装置では、好ましい態様として、上記したように本発明に係る歪み補償機能を用いて送信信号を共通増幅器で増幅する構成としてあり、このような共通増幅器を用いた増幅器部の構成例を、通常の増幅器(ここでは、共通増幅器ではない増幅器)を用いた増幅器部の構成例と比較して説明する。
【0075】
まず、図9には、通常の増幅器を用いた増幅器部(個別増幅を行う増幅器部)の構成例を示してあり、この増幅器部では、例えば異なる周波数f1、f2の信号をそれぞれの周波数毎に個別に増幅した後に、それぞれの周波数f1、f2の増幅信号を合成する仕方を用いる。具体的には、周波数f1の信号は増幅器31で増幅される一方、他の周波数f2の信号は他の増幅器32で増幅され、これら2つの増幅信号が合成器33により合成される。ここで、各増幅器31、32ではその非線型性により歪み(隣接チャネル漏洩電力)が発生する。
【0076】
このような増幅器部では、広帯域合成を行うことから、合成器33でそれぞれの周波数f1、f2の信号に対して3dBの損失が発生する。このため、例えば合成器33からそれぞれの周波数f1、f2の信号をP[W]で出力する場合には、それぞれの増幅器31、32ではそれぞれの周波数f1、f2の信号を2P[W]にまで増幅して出力しなければならず、増幅器効率が単体動作の時の1/2になってしまう。
【0077】
一方、図10には、共通増幅器を用いた増幅器部(共通増幅を行う増幅器部)の構成例を示してあり、この増幅器部では、例えば異なる複数の周波数f1、f2の信号をまとめて増幅(共通増幅)する仕方を用いる。具体的には、例えば上記図10に示した増幅器部では、異なる2つの周波数f1、f2の信号が合成された信号が分配器41により等分配(なお、周波数毎の分配ではなく例えば電力の分配)され、各分配信号が各共通増幅器42、43により増幅された後に合成器44により合成される。ここで、各共通増幅器42、43ではその非線型性により歪み(隣接チャネル漏洩電力)が発生するとともに、2つの異なる周波数f1、f2の信号による相互変調歪みが発生する。
【0078】
このような増幅器部では、例えば上記のように共通増幅器42、43からの2つの出力を並列的に合成している。そして、このような並列合成では同一信号を合成することから、上記図9に示した増幅器部とは異なり、合成損失は発生しない。このため、例えば合成器44から2つの周波数f1、f2の合成信号をP[W]で出力する場合には、各共通増幅器42、43ではそれぞれ2つの周波数f1、f2の合成信号をP[W]に増幅して出力すればよく、上記図9に示した増幅器部と比べて、増幅器効率がよくて好ましい。
【0079】
なお、上記図10に示した増幅器部では相互変調歪みが発生するが、本発明に係る歪み補償機能を用いることで、このような歪みを容易に解消することができ、このため、全体として考えれば、例えば異なる複数のキャリア信号(マルチキャリアの信号)を増幅するに際して、効率的な増幅処理を実現することができる。
【0080】
ここで、本発明に係る増幅装置の構成や本発明に係る基地局装置の構成としては、必ずしも上記第1実施例や上記第2実施例に示したようなものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
一例として、本発明に係る増幅装置の適用分野としては、必ずしも基地局装置に限られず、本発明に係る増幅装置は、例えば増幅器で発生する歪みを補償することが必要な移動局装置(例えば携帯電話端末装置やPHS端末装置)や中継増幅装置等の種々な装置に適用することも可能である。
【0081】
また、本発明に係る増幅装置や基地局装置や中継増幅装置により行われる歪み補償処理等の各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROMに格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成とされてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピーディスクやCD−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る増幅装置や基地局装置や中継増幅装置では、送信信号を増幅器で増幅するに際して、増幅器の出力信号から送信信号に対応する周波数の信号を除去して増幅器で発生する歪みを検出し、検出される歪みが低減されるように増幅器による増幅前の送信信号を歪み補償するようにしたため、例えば増幅器の出力信号に含まれる歪みのレベルが当該出力信号に含まれる送信信号のレベルと比べて小さい場合であっても、当該歪みを精度よく検出することができ、これにより、歪み補償の精度を向上させることができる。
【0083】
また、本発明に係る増幅装置や基地局装置や中継増幅装置では、好ましい態様としてローパスフィルタを用いて歪みを検出するようにし、具体的には、歪み補償対象となるキャリア信号の周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数との間に位置する検出用周波数の信号と増幅器の出力信号とをミキサにより混合し、ローパスフィルタによりミキサの出力信号から当該隣接するキャリア信号を除去して、ローパスフィルタの出力信号から増幅器で発生する歪みを検出するようにした。
【0084】
また、本発明に係る増幅装置や基地局装置や中継増幅装置では、好ましい態様として、検出用周波数として例えば歪み補償対象となるキャリア信号の周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数との間の両キャリア信号が非存在な周波数間隔の中心に位置する周波数を用いるようにしたため、キャリア信号を除去した歪み検出が行い易くなる。
また、本発明に係る増幅装置や基地局装置や中継増幅装置では、好ましい態様として、増幅器として共通増幅器を用いるようにしたため、効率的な増幅処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る増幅装置の構成例を示す図である。
【図2】隣接する2つのキャリア信号が送信信号に含まれる場合に増幅器に入力される送信信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【図3】ミキサからLPFへ出力される信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【図4】LPFのフィルタ特性の理想的な設定例を示す図である。
【図5】LPFの帯域制限特性の一例を示す図である。
【図6】隣接する2つのキャリア信号に関してLPFの帯域制限特性を重ねたものの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る基地局装置を構成する筐体の外観例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る基地局装置の概略的な構成例を示す図である。
【図9】個別増幅を行う増幅器部の構成例を示す図である。
【図10】共通増幅を行う増幅器部の構成例を示す図である。
【図11】増幅器に入力される前の送信信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【図12】歪み補償が行われない場合において送信信号が増幅器により増幅されて出力される信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【図13】従来例に係る歪み補償付き送信電力増幅部の構成例を示す図である。
【図14】歪み補償が行われる場合において送信信号が増幅器により増幅されて出力される信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・ベースバンド信号生成部、 2・・ベクトル調整部、
3・・送信変調部、 4、31、32・・増幅器、 5・・シンセサイザ、
6・・ミキサ、 7・・LPF、 8・・A/D変換器、 9・・制御部、
10・・電力測定部、 21・・インタフェース部、
22・・ベースバンド信号処理部、 23・・無線送受信部、
24・・送信電力増幅部、 25・・アンテナ部、 26・・アンテナ、
33、44・・合成器、 41・・分配器、 42、43・・共通増幅器

Claims (2)

  1. 送信信号を増幅する増幅器で発生する歪みを補償する増幅装置において、
    送信信号は異なる周波数を有する複数のキャリア信号を含み、
    送信信号を増幅する増幅器と、
    歪み補償対象となるキャリア信号に隣接するキャリア信号を増幅器の出力信号から除去して増幅器で発生する予め設定された検出用周波数の歪みを検出する歪み検出手段と、
    歪み検出手段により検出される歪みが低減されるように増幅器による増幅前の送信信号を歪み補償する歪み補償手段と、を備え、
    歪み検出手段は、歪み補償対象となるキャリア信号の周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数との間に位置する検出用周波数の信号と増幅器の出力信号とを混合するミキサと、ミキサの出力信号から当該隣接するキャリア信号を除去するローパスフィルタとを有し、ローパスフィルタの出力信号から増幅器で発生する歪みを検出することを特徴とする増幅装置。
  2. 請求項1に記載の増幅装置において、
    検出用周波数は、歪み補償対象となるキャリア信号の周波数と当該キャリア信号に隣接するキャリア信号の周波数との間の両キャリア信号が非存在な周波数間隔の中心に位置する周波数であることを特徴とする増幅装置。
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