JP3578522B2 - 燃料の製造方法及び燃料 - Google Patents

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  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Solid Fuels And Fuel-Associated Substances (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場、産業排水処理場等から多量に排出される有機性の湿汚泥を原料とする燃料の製造方法、及びそれによって得られる燃料に関する。
【0002】
【従来の技術】
湿汚泥とは、下水処理施設等から回収した汚泥を遠心脱水機、圧縮脱水機等により含水率を80重量%程度の粘土状の軟質体としたものである。従来、この種の湿汚泥の2〜3割程度は堆肥等に再利用されているが、残りはそのまま埋立て処分されるか、あるいは更に脱水した後、焼却処分されている。また、一部では湿汚泥を脱水した後、乾燥して燃料化したり、油を含浸させて燃料化しているが、その量は極めて少ない。
一方、プラスチックス廃棄物の一部は再利用されているが、大半は埋立て処分するか焼却処分されているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
湿汚泥は含水率が約80重量%と高いので、そのままでは腐敗しやすく、悪臭を発生しやすい。また、湿汚泥は廃棄物の中では排出量が非常に多く、埋立処分をした場合、水分が多いため運搬コストがかかり、更に、埋立地の不足からも処理費用が増大しつつあり、将来、埋立処分は困難になると予想されている。
【0004】
このため、堆肥、建設用骨材、燃料等への再利用が検討されている。しかし堆肥化の場合、完熟させるまでに長い時間を必要とするため、処理施設として広大な敷地が必要であり、そのうえ、季節的に需要の偏りがあるため一年を通して需要が一定していないので、再利用は容易ではない。建設用骨材も高温の溶融炉が必要で膨大な費用がかかる。また、単に湿汚泥のみを原料として燃料化した場合には、発熱量が小さいので、補助燃料としてしか利用できない。また、油を含浸させて発熱量を増加して燃料化する方法もあるが、後処理として過剰な油を除去する工程が必要であるほか、保存時に油が染み出すなど保存性にも問題がある。
【0005】
一方、プラスチックス廃棄物も一部再利用されているが、大部分は湿汚泥同様埋立て処理されている。しかし、プラスチックスは分解され難いため、埋立て地がいつまでも安定せず利用できないと言う問題があり。また、焼却した場合には、プラスチックスの発熱量が高いため、従来の炉では炉体を傷めやすいなどの問題点もあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、上記の様な問題点のある湿汚泥及びプラスチックス廃棄物を原料として使用して、適度な発熱量を有する燃料を製造する方法、及びそれによって得られる燃料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、湿汚泥を乾燥処理した乾汚泥とプラスチックスとを混練しながら加熱し、次いで所定形状に成形することを特徴とする燃料の製造方法である。
更に、上記原料に腐敗防止、臭気抑制及び中和作用のうち少なくとも一つの機能を有する添加剤を配合することによって、製造される燃料から異臭を除去することができる。添加剤としては生石灰、酸化カリウムあるいは酸化ナトリウム等が適している。なお、添加剤を使用する場合は、プラスチックスを配合する前に、予め乾汚泥と添加剤とを混練しておくとよい。
【0008】
前記プラスチックスとしてはプラスチックス廃棄物が使用できる。
また、湿汚泥の乾燥処理の際、及び前記プラスチックスとの混練時の加熱の際のうち少なくとも一方に、湿汚泥を原料として製造した燃料を用いることができる。
【0009】
前記乾汚泥中の固形分100重量部に対して、プラッスチックスを40〜200重量部配合することによって、製造される燃料の発熱量を4,000〜7,000kcal/kgに調整することができる。
【0010】
この発明では、脱水処理した湿汚泥を更に乾燥処理して乾汚泥とした後、これにプラスチックスを配合する。これは、含水率が80重量%程度の湿汚泥に、そのままプラスチックスを配合して加熱乾燥すると、プラスチックスが軟化して湿汚泥の粒子を封じ込め、水分の蒸発を阻害するためである。この意味から、乾汚泥の水分は30重量%以下、好ましくは5〜10重量%程度とする。乾汚泥にプラスチックを配合した後、混練、加熱の後、成形して適度な発熱量を有する燃料とする。また、必要により乾汚泥には、予め、生石灰、酸化カリウムあるいは酸化ナトリウム等の添加剤を加えておく。
【0011】
プラスチックスの種類は特に限定されないが、燃焼により有毒ガスを生じないものがよく、ポリスチレン(発熱量9,600kcal/kg)、ポリエチレン(発熱量11,000kcal/kg)、ポリプロピレン(発熱量11,000kcal/kg)などが好適である。これらプラスチックスとして、サイズが適当な場合にはプラスチックス廃棄物をそのまま混練してもよいが、通常は、破砕、減容等の物理的あるいは化学的な前処理を施してから混練する。
【0012】
乾汚泥とプラスチックスの混合割合は、主として、これらが持っている発熱量と、製造される燃料の設定発熱量とを考慮して決められる。一般には、製造される燃料が4,000〜7,000kcal/kgとなるようにする。この値は、発熱量が4,000kcal/kg程度の燃料は、一般的な植物性の燃料と同様に取り扱うことができるので用途が広く、発電ボイラ用燃料や大型給湯ボイラ用燃料等に利用でき、他方、発熱量が7,000kcal/kg程度の燃料は、小型特殊ボイラ用燃料や小型焼却炉用燃料等に利用できることによる。
【0013】
ところで、乾燥処理された乾汚泥の発熱量を3,500kcal/kg、プラスチックスの発熱量を9,600kcal/kgとした場合、発熱量4,000kcal/kgの燃料を製造するためには、乾汚泥の固形分100重量部に対し、プラスチックスを約40重量部配合する。また、発熱量7,000kcal/kgの燃料を製造するためには、プラスチックスの配合量は約200重量部となる。但し、これらの値は添加剤の量によって若干変動する。なお、発熱量を増やすために、プラスチックスの配合量を増加して、乾汚泥の固形分100重量部に対するプラスチックスの配合量が200重量部を超えるようになると、燃焼の際に燃料が軟化、流動化して変形し、燃焼性が悪化する。従って、プラスチックスを過大に配合することは好ましくなく、上記の200重量部程度に止めることが好ましい。一方、プラスチックスの配合量の下限は、得られる燃料の賦形性および保形性を考慮して決める必要があり、これらを総合すると、乾汚泥の固形分100重量部に対しプラスチックスの配合量は40〜200重量部とすることが適切である。
【0014】
混練時の加熱は、プラスチックスを軟化して、更に溶融するために行うもので、プラスチックスの軟化点温度以上とし、通常は130〜200℃とする。なお、プラスチックスには、乾汚泥の固形分の粒子を封じ込め、吸湿性を抑えるとともに臭気の発生を抑えて、長期保存を可能にする機能を持たせることが好ましく、このためには混練度を高めるとともに加熱温度を高める必要がある。なお、製造する燃料を長期間、保存することなく使用する場合には、プラスチックスには上記の発熱量調整機能と単なる結合剤的機能(賦形機能および保形機能)を持たせるのみでよい。更に、プラスチックスに加えて、おがくずなどの可燃性物質を添加することにより燃焼性や発熱量を調整してもよい。
【0015】
添加剤は、乾汚泥中の残留水分と化学反応することによって、貯蔵時の腐敗を防止して、臭気の発生を抑制するほか、その中和作用により燃焼時に生じる有毒ガスの発生を抑える働きをする。このような添加剤として、生石灰の他に酸化カリウム、酸化ナトリウム等を用いることができる。乾汚泥の含水率を上限の30重量%として、添加剤として生石灰を使用した場合には、乾汚泥の固形分100重量部に対して生石灰の添加量としては35重量部程度で、上記の効果が得られる。但し、この値は乾汚泥の組成によって若干変動する。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態の一例を図1のブロック図を参照して説明する。
下水処理場にて発生した汚泥は、遠心脱水機あるいは圧搾脱水機等により脱水されて、湿汚泥となる。この湿汚泥の含水率は約80重量%、発熱量は約3,500kcal/kgである。この湿汚泥10kg(固形分2kg)を減圧下で間接熱風乾燥機によって含水率10重量%以下まで下げ、重量2.2kgの乾汚泥を得る。また、魚箱や梱包材などの使用済み発泡スチロール(発熱量約9600kcal/kgのプラスチックス廃棄物)を加熱して、気泡をある程度追い出して体積を小さく(減容化)したものを用意しておく。次に、乾汚泥が冷えないうちに、この乾汚泥2.2kg(固形分2kg)とプラスチックス廃棄物である発泡スチロール1.6kgと生石灰0.67kgを添加して、2軸エクストルーダにて混練する。この時、乾燥時の残留熱と混練による摩擦熱によって発泡スチロールが軟化して、乾汚泥と混ざり合う。
【0017】
また、乾汚泥中の水分は生石灰と反応しさらに乾燥する。混練物は、直径が15〜25mm、長さが30〜50mmのロッド状、またはこれより小さい粒状、粉状に成形され、ハンドリングしやすい燃料が得られる。この燃料の発熱量は約5,000kcal/kgである。
【0018】
このようにして製造された燃料の一部は、当該製造装置に戻されて、乾燥工程や混練成形工程で必要な熱を得るために熱風炉の燃料として使用することができる。このため、始動時以外、他の燃料は必要としない。乾燥工程で発生した排ガスは一部、熱風炉に戻され、燃焼または分解されて大気中に放出される。
【0019】
このようにして製造された燃料は、空気を強制的に送入する形式のボイラであれば、ボイラの構造の相違によらず完全燃焼させることができる。また、汚泥中の固形分及び添加剤がプラスチックスによって封じ込められているため、吸湿性が低く、臭気の発生も抑えられて、保存性がよく、長期間保存しても燃料同志の固着もなく、実用性が高い。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態の他の例を示すブロック図である。乾汚泥にプラスチックスを混入する前に、先ず、添加剤を加えて攪拌して乾燥し、添加剤と乾汚泥との反応が十分に進行したところで、プラスチックスを混入するようにしたものである。このようにすれば、添加剤の機能とプラスチックスの機能とを有効に発揮させることが可能になる。
【0021】
【発明の効果】
以上、本発明の燃料製造方法によれば、従来、大半が埋立処分されていた有機性の湿汚泥とプラスチックス廃棄物とを出発原料として使用して、燃料化しているので、廃棄物の有効利用が図れる。この結果、埋立処分される廃棄物の量を減らし、埋立地の延命を図ることができる。
【0022】
なお、プラスチックス廃棄物の混練比を調整することにより、製造される燃料に保形性を付与するとともに、発熱量の調節が可能である。また、生石灰等の添加物を併用することによって、製造された燃料の腐敗を防ぎ、異臭がなく、長期間の保存に耐える燃料となる。
【0023】
更に、この方法で製造された燃料自身によって、当該燃料を製造するために必要な熱エネルギー量を十分、賄うことができるので、化石燃料の節約にも役立っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による湿汚泥の処理工程の形態の一例を示すブロック図。
【図2】本発明による湿汚泥の処理工程の形態の他の例を示すブロック図。

Claims (9)

  1. 湿汚泥を乾燥処理した乾汚泥とプラスチックスとを、前記乾汚泥中の固形分100重量部に対してプラスチックスを40〜200重量部の割合で配合して混練しながら加熱し、前記プラスチックスを溶融させた後に冷却・固化して所定形状に成形し、発熱量が4,000〜7,000kcal/kgの燃料とすることを特徴とする燃料の製造方法。
  2. 湿汚泥を乾燥処理した乾汚泥と、腐敗防止、臭気抑制及び中和作用のうち少なくとも一つの機能を有する添加剤と、前記乾汚泥中の固形分100重量部に対して40〜200重量部のプラスチックスとを配合して混練しながら加熱し、前記プラスチックスを溶融させた後に冷却・固化して所定形状に成形し、発熱量が4,000〜7,000kcal/kgの燃料とすることを特徴とする燃料の製造方法。
  3. 前記添加剤は生石灰、酸化カリウム及び酸化ナトリウムのうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載の燃料の製造方法。
  4. 前記乾汚泥と前記添加剤とを先に混練し、次にプラスチックスを加えて混練しながら加熱し、次いで所定形状に成形することを特徴とする請求項2または3に記載の燃料の製造方法。
  5. 前記プラスチックスはプラスチックス廃棄物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料の製造方法。
  6. 湿汚泥の乾燥処理の際、及び前記プラスチックスとの混練時の加熱の際のうち少なくとも一方に、湿汚泥を処理して製造した前記燃料を使用することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料の製造方法。
  7. 乾汚泥中の固形分100重量部に対して、プラスチックス40〜200重量部を含有し、発熱量が4,000〜7,000kcal/kgであることを特徴とする燃料。
  8. 腐敗防止、臭気抑制及び中和作用のうち少なくとも一つの機能を有する添加剤を含有することを特徴とする請求項7に記載の燃料。
  9. 前記添加剤は生石灰、酸化カリウム及び酸化ナトリウムのうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項8に記載の燃料。
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