JP3578412B2 - 新規なベンズアニリド型化合物及び血行促進のために使用する医薬 - Google Patents

新規なベンズアニリド型化合物及び血行促進のために使用する医薬 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、新規なベンズアニリド型化合物及び血行促進のために使用する医薬に関するものである。すなわち、本発明は、一般式(I)
【化3】
Figure 0003578412
〔式中、R1は、水素原子、水酸基、メトキシ、アセチルオキシまたはベンゾイルオキシであり、
2 は、水素原子、エチル、プロピオニル、アセチルまたはベンゾイルであり、
3 は、水素原子、メチルまたはフェニルであり、
4 は、水素原子、エチル、アセチル、ベンゾイルまたはβ−D−グルコピラノシルであり、
5 は、水素原子、メチル、ベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり、
但し、R 1 、R 2 およびR 5 が水素原子である場合は、R 3 はメチルである〕
で表わされるベンズアニリド型化学構造を有する化合物に関するものであり、
【0002】
又、一般式(II)
【化4】
Figure 0003578412
〔式中、R1は、水素原子、水酸基、メトキシ、アセチルオキシまたはベンゾイルオキシであり、
2 は、水素原子、エチル、プロピオニル、アセチルまたはベンゾイルであり、
3 は、水素原子、メチルまたはフェニルであり、
4 は、水素原子、エチル、アセチル、ベンゾイルまたはβ−D−グルコピラノシルであり、
5 は、水素原子、メチル、ベンジル、アセチルまたはベンゾイルである〕
で表されるベンズアニリド型化学構造を有する化合物を有効成分として含有する血行促進のために使用する医薬に関するものである。
【0003】
【背景技術】
血行不良は人体において、末梢臓器及び組織の機能低下、機能不全、壊死化の基因ともなり、また、四肢の冷え、疼痛、頭髪の成育ならびに皮膚のうるおいの低下などをもたらすものであり、中枢神経系においては記憶力や思考力の低下等の原因ともなるものである。血行不良を起すその原因としては、慢性心不全による血液のうっ血、動脈硬化による血管内腔の硬化、狭窄、血栓の形成、内因性又は外因性の交感神経興奮に基づく血管の収縮等があげられている。種々の原因に基づく、血行不良の状態を緩解するために血行促進剤は有用な役割を果す。
【0004】
本発明者は、先に、トリカブトの根より得られる非アコニチン型アルカロイド成分を含有する画分に顕著な血行促進作用のあることを見出したが(特願平4−129235号)その後、さらに、非アコニチン型アルカロイド成分を検索し、種々の検討を重ねた結果、前記の一般式(I)及び一般式(II)で表わされるベンズアニリド型化学構造を有する化合物が血行促進作用を有することを見い出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。これまでに、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物が、血流増大作用を有することは知られていない。したがって、本発明は前記一般式(I)で表される新規な化合物を提供するものであり、さらに前記一般式(II)で表わされる化合物を含有する新規な血行促進薬を提供するものである。
【0005】
【発明の開示】
前記一般式(I)で表される化合物は、下記の一般式(III)で表されるカルボン酸系化合物又はその反応性誘導体と下記の一般式(IV)で表されるアニリン系化合物とを反応させ、酸アミド結合を形成させることにより製造することができる。この場合、一般式(IV)で表されるアニリン系化合物を適当な溶媒、例えばベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等に溶解し、一般式(III)で表されるカルボン酸系化合物あるいはその反応性誘導体を加え、撹拌することにより行うことができる。反応は、溶媒の凝固点から沸点までの任意の温度で行うことができ、必要に応じて加熱あるいは冷却することができる。
【0006】
一般式(III)
【化5】
Figure 0003578412
〔式中、R及びRは、それぞれ、
(i) 水素原子又は、
(ii)置換基を有し又は有しない飽和アルキル又はアラルキル又は、
(iii)置換基を有し又は有しない脂肪族又は芳香族のアシル又は、
(iv)水酸基をアシル化した炭素数5又は6からなる単糖のフラノシル又はピ
ラノシルである〕
【0007】
一般式(IV)
【化6】
Figure 0003578412
〔式中、Rは、
(i) 水素原子又は、
(ii)水酸基又は、
(iii)置換基を有し又は有しないアルキルオキシ又は
(iv)置換基を有し又は有しない脂肪族又は芳香族のアシルオキシであり、
は、
(i) 水素原子又は、
(ii)置換基を有し又は有しない飽和アルキル又はアラルキル又は、
(iii)置換基を有し又は有しない脂肪族又は芳香族のアシルであり、
は、
(i) 水素原子又は、
(ii)置換基を有し又は有しない飽和アルキル又は、
(iii)置換基を有し又は有しないアリールである〕
【0008】
使用する一般式(III)で表されるカルボン酸系化合物あるいはその反応性誘導体としては、対応するカルボン酸、酸ハロゲン化物、酸無水物、カルボン酸エステル類等を掲げることができる。
【0009】
一般式(III)で表される化合物は、安息香酸類似化合物、例えば、公知の2,5−ジヒドロキシ−安息香酸を出発物質として、公知文献記載の方法と類似の方法を任意に組み合わせて行うことにより得ることができる。
【0010】
例えば、一般式(III)で表される化合物の式中のR又はRがアルキルである化合物は、一般式(III)の式中のR又はRが水素原子である化合物を出発物質として、このものと通常化学反応で用いられるアルキル化剤、例えば、ジアゾメタン、ジメチル硫酸あるいはハロゲン化アルキル等とを適当な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン等に溶解し、有機金属試薬、例えば、水素化ナトリウムの存在下において撹拌し、反応させることにより得ることができる。例えば、2,5−ジヒドロキシ−安息香酸を出発物質とする場合は、このものを適当な溶媒、例えば、テトラヒドロフランに溶解し、有機金属試薬、例えば、水素化ナトリウムの存在下に、ハロゲン化アルキルを加え、室温又は任意の温度で撹拌することにより、2−ヒドロキシ−5−アルコキシ−安息香酸又は2,5−ジアルコキシ−安息香酸を得ることができる。又、通常化学反応で用いられる水酸基の保護試薬である酸塩化物、酸無水物あるいはエーテル系化合物を用いて、2,5−ジヒドロキシ−安息香酸の水酸基を選択的に保護した後、非保護の水酸基を上記のアルキル化反応を用いてアルキル化し、しかる後に、酸又はアルカリにて加水分解し、保護基を除くことによって、選択的に水酸基のアルキル化化合物を得ることができる。
【0011】
一般式(III)の式中のR又はRである化合物は、一般式(III)の式中のR又はRが水素原子である化合物を出発物質として、このものを適当な溶媒、例えば、ピリジンあるいは塩化メチレン等に溶解し、これにアシル化剤、例えば、酸塩化物あるいは酸無水物等を加え、適当な溶媒、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の存在下において撹拌することにより得ることができる。この場合、反応温度を選択することにより、2位及び5位の水酸基を選択的にアシル化することができる。例えば、2,5−ジヒドロキシ−安息香酸を出発物質として用いる場合、室温で前記の反応を行うことにより、5−アシルオキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸を得ることができる。加熱還流下で前記の反応を行うことにより、2,5−ジアシルオキシ−安息香酸を得ることができる。又、前述の水酸基のアルキル化における水酸基の保護基による保護と同様に、水酸基を選択的に保護した後に、前記のアシル化反応を行うことにより、選択的に水酸基をアシル化することができる。
【0012】
次に、前記一般式(IV)で表されるアニリン系化合物は、公知の2−ニトロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを出発物質として、ニトロ基のアミノ基への変換反応、アルデヒド基のカルボン酸への変換反応、芳香環のヒドロキシ化反応、水酸基のアルキル化又はアシル化反応、及びカルボン酸のエステル化反応等を任意に組み合わせて行うことにより得ることができる。
【0013】
この場合のニトロ基のアミノ基への変換反応では、公知文献記載の還元反応、例えば、接触還元反応あるいは、スズと塩酸又は鉄と塩酸等の還元剤を用いる還元反応により行うことができる。例えば、2−ニトロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを適当な溶媒、例えば、メタノールに溶解し、鉄及び濃塩酸を加え、加熱還流することにより,2−アミノ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを得ることができる。前記のアルデヒド基のカルボン酸への変換反応は、通常化学反応で用いられる酸化剤、例えば、過マンガン酸カリウム、クロム酸等を用いて行うことができる。例えば、2−ニトロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを適当な溶媒、例えば、水に溶解又は懸濁し、過マンガン酸カリウム水溶液を加え、撹拌することにより、2−ニトロ−5−ヒドロキシ−安息香酸を得ることができる。この場合の反応温度は、0℃から溶媒の沸点までの任意の温度で行うことができるが、70℃から80℃で行うことが好ましい。
【0014】
前記の芳香環のヒドロキシル化反応は、芳香環を塩素あるいは臭素等のハロゲン化剤を用いてハロゲン化した後、アルカリ加水分解する方法、あるいは芳香環を適当なスルホン化剤、例えば、三酸化イオウあるいは濃硫酸等でスルホン化した後、アルカリ溶融を用いた加水分解を行う方法等の、公知文献記載の方法を用いることにより行うことができる。例えば、2−ニトロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを適当な溶媒、例えば、クロロホルムに溶解し、適当な触媒、例えば、鉄の存在下で、ハロゲン、例えば、臭素を加えた後、撹拌することにより、4−ブロモ−2−ニトロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを得ることができる。この場合の反応温度は、溶媒の凝固点付近から沸点までの温度を任意に選択することができるが、0℃から溶媒の沸点までの温度で行うことが好ましい。次に、得られた4−ブロモ−2−ニトロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒドを適当な溶媒、例えば、水に溶解し、これに適当なアルカリ物質、例えば、水酸化ナトリウムを加え、加熱下撹拌することにより、2−ニトロ−4,5−ジヒドロキシ−ベンズアルデヒドを得ることができる。
【0015】
前記の水酸基のアルキル化反応及びアシル化反応では、前述のジヒドロキシ−安息香酸の水酸基のアルキル化又はアシル化の方法と同様の方法を用いて行うことができる。
【0016】
前記のカルボン酸のエステル化反応では、公知文献記載の方法、例えば、該当するカルボン酸とアルコールを触媒の存在下において、脱水縮合する方法、該当するカルボン酸を無機酸の塩化物等と反応させ酸塩化物とした後、アルコールと反応させる方法、あるいは該当するカルボン酸をジアゾメタンと反応させ、メチルエステルとする方法等を用いることができる。例えば、該当するカルボン酸にアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を加え、適当な触媒、例えば、硫酸の存在下で脱水縮合反応を行い、カルボン酸のエステル化を行うことができる。又、該当するカルボン酸を適当な溶媒中で、三酸化リン、五酸化リンあるいは無機酸の塩化物、例えば、塩化チオニル等と撹拌し、カルボン酸の酸塩化物とし、これにアルコールを加え、適当な温度で撹拌することにより、カルボン酸のエステル化を行うことができる。
【0017】
一般式(I)で表される化合物の中で、式中Rが糖基である化合物は、一般式(I)の式中Rが水素である一般式(V)で表される化合物を出発物質とし、公知文献記載の配糖化の反応を行うことにより、得ることができる。例えば、一般式(V)で表される化合物を適当な溶媒、例えば、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等に溶解し、縮合剤、例えば、炭酸銀、銀トリフラート等の存在下において、該当する糖の1位をハロゲンで置換し、かつ糖の他の水酸基をアシル化した化合物を加え、室温にて撹拌した後、アルカリ加水分解により糖部分のアシル基を除去することによって得ることができる。例えば、5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−2’−カルボキシメチル−4’,5’−ジメトキシベンズアニリドを適当な溶媒、例えば、トルエンに溶解し、あらかじめ縮合剤、例えば、炭酸銀の存在下において、該当する糖の1位をハロゲン化し、他の水酸基をアセチル化した化合物、例えば、α−アセトブロモグルコースを加え、室温にて撹拌した後、適当なアルカリ、例えば、水酸化バリウム等を用いて糖のアセチルオキシ基を加水分解することにより、Rが糖基である化合物を得ることができる。
【0018】
又、一般式(V)で表される化合物を、該当する糖の1位をジフェニルホスホリル化し、他の水酸基をベンジル化した化合物と、適当な温度、例えば、−78℃から−20℃の温度で縮合させた後、糖部分のベンジル基を除去することにより、一般式(I)で表される化合物のRが糖基である化合物を得ることができる。例えば、4’,5−ジベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−2’−カルボキシメチル−5’−メトキシ−ベンズアニリドを適当な溶媒、例えば、プロピオニトリルに溶解し、あらかじめ反応剤、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルの存在下において、該当する糖の1位をジフェニルホスホリル化し、他の水酸基をベンジル化した化合物、例えば、テトラ−O−ベンジル−D−グルコピラノシルジフェニルホスフェートを加え、−78℃にて撹拌し、得られた化合物を水素添加等の還元反応でベンジル基を除去し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシベンズアニリドを得ることができる。
【0019】
前記の該当する糖の1位をハロゲンで置換し、かつ他の水酸基をアシル化した化合物は、糖を過塩素酸を触媒として、無水酢酸でアセチル化し、反応混合物に赤リンを加え、臭素を滴下した後、水を加えることにより得ることができる。
前記の該当する糖の1位をジフェニルホスホリル化し、他の水酸基をベンジル化した化合物は、該当する糖を塩化ベンジルを用いてベンジル化した後、塩化スズを触媒としてチオフェノールと撹拌し、1位ベンジル基をチオフェニル基に置換する。このものを酸化銀を触媒として、テトラヒドロフラン中で加水分解し、n−ブチルリチウムと撹拌した後、得られた化合物にジフェニルホスホリルクロリドを加え、撹拌することにより得ることができる。
【0020】
又、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物は、前述の有機合成による手法の他、トリカブト属植物の塊根から分離・精製し、単離することができる。例えば、トリカブトの根又はそれを加熱処理して毒性を減らした製剤の加工ブシ末(三和生薬製)の50%エタノールエキスを、ポリアミドカラム及びシリカゲルカラムを用いて、分離・精製することにより、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド及び2’−カルボキシメチル−4’,5−ヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリドを得ることができる。さらに、この分離・精製過程の分画エキスは、一般式(I)及び(II)で表される化合物を高濃度で含むものであり、従って、本発明に係る血行促進剤の有効成分として、トリカブトの根から得られる画分で、上記式(I)及び(II)で表される構造を有する化合物を含むものは全て用いることができる。
【0021】
一般式(V)
【化7】
Figure 0003578412
〔式中、Rは、
(i) 水素原子又は、
(ii)置換基を有し又は有しないアルキルオキシ又は、
(iii)置換基を有し又は有しない脂肪族又は芳香族のアシルオキシであり、Rは、
(i) 置換基を有し又は有しない飽和アルキル又は、
(ii)置換基を有し又は有しない脂肪族又は芳香族のアシルであり、

(i) 水素原子又は、
(ii)置換基を有し又は有しない飽和アルキル又は、
(iii)置換基を有し又は有しないアリールであり、
は、
(i) 置換基を有し又は有しない飽和アルキル又は、
(ii)置換基を有し又は有しない脂肪族又は芳香族のアシルである〕
【0022】
本発明に係る血行促進のために使用する医薬の有効成分として前記の式(I)及び(II)で表されるベンズアニリド型化合物は、原体のまま、あるいは適当な基剤を使用して、その基剤に対し希釈して使用する。前記の画分を用いる場合も同様である。この場合の基剤としては、化粧品、医薬品等の業界で通常用いられる任意所要の担体、乳化剤、懸濁化剤、芳香剤等の添加剤が用いられ、慣用の方法で製剤化する。
【0023】
局所適用のための製剤としては、軟膏剤用組成物あるいは硬膏剤用組成物あるいはハップ剤用組成物あるいは化粧水あるいはクリーム等の形で提供され、当該技術分野において周知の製剤用担体、例えばワセリン、パラフィン、加水ラノリン、プラスチベース、カオリン、ベントナイト、タルク、ケイ酸アルミニウム、プロピレングリコール、ソルビトール、親水ワセリン、マクロゴール類、ロウ、樹脂、精製ラノリン、ゴム、グリセリン、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ミツロウ、カカオ脂、カルナバロウ、ステアリルアルコール、オリブ油、ヒマシ油、エタノール、オレイン酸、セチルアルコール、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等を含有していてもよい。
これ等外用剤に含有させる前記の式(I)及び(II)の化合物の含量は約0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%である。
【0024】
また、経口投与用の錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤あるいは直腸内投与用製剤であっても良い。この場合の臨床投与量は、前記の式(I)の化合物として、成人1〜1000mg/日、好ましくは、10〜800mg/日が考えられる。
【0025】
経口投与用の錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等は慣用の賦形剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、とうもろこしでんぷん、ばれいしょでんぷん、砂糖、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、アラビアゴム等を含有していてもよい。錠剤は周知の方法でコーティングしてもよい。経口用液体製剤は水性又は油性の懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤、その他であってもよい。
【0026】
直腸内投与のための製剤としては、坐剤用組成物の形で提供され、当該技術分野において周知の製剤用担体、例えばポリエチレングリコール、ラノリン、ココナット油等を含有していてもよい。
【0027】
注射用製剤では、懸濁化剤、安定剤又は分散剤のような各種の処方剤を含有していてもよく、滅菌蒸留水、精油、例えばピーナッツ油、とうもろこし油あるいは非水溶媒、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を含有していてもよい。
【0028】
以下に、本発明に用いる前記の式(I)及び(II)の化合物の製造実施例、薬理作用試験、安全性試験及び処方例について述べる。尚、以下の表中の化合物No.とその化合物名の対照表を表1に示す。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕
(1)2,5−ジヒドロキシ−安息香酸1.54gをメタノール20mlに溶解する。p−トルエンスルホニル−N−メチル−N−ニトロソアミド15gをエーテル25mlに懸濁し、これに水酸化カリウム2.5g、エタノール2ml及び水6mlの混液を加える。この反応液を30〜40℃に加熱し、ジアゾメタンの発生が認められたら加熱を中止する。発生するジアゾメタンを冷却したエーテル25ml中に導く。このジアゾメタンのエーテル溶液25mlを前記の2,5−ジヒドロキシ−安息香酸のメタノール溶液に徐々に加え、30分間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム)に付し、分離・精製し、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル1.6gを得る。
【0030】
(2)5−ヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド16.7gをテトラヒドロフラン100mlに溶解し、氷冷下、これに水素化ナトリウム(60%油性)2.4gを徐々に加え、30分間撹拌する。この反応液に臭化エチル7.5mlを加え、室温にて2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、エーテルにて抽出し、エーテル層は水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=4:1)に付し、分離・精製し、5−エトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド12.3gを得る。
【0031】
(3)実施例10(2)で得られた5−エトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド1.95gをクロロホルム10mlに溶解し、三酸化イオウ1.5gを加え、5時間加熱還流する。次に、冷後、反応液を10%炭酸ナトリウム水溶液で水洗した後、減圧下乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g,分離液:クロロホルム・メタノール=3:2)に付し、分離・精製し、5−エトキシ−2−ニトロ−4−スルホベンズアルデヒド1.4gを得る。
【0032】
(4)実施例1の(3)で得られた5−エトキシ−2−ニトロ−4−スルホベンズアルデヒド1.42g及び水酸化カリウム15gの混合物を250℃にて1時間加熱溶融する。反応液を水に注ぎ、1N硫酸にて中性とした後、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−エトキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド0.57gを得る。
【0033】
(5)実施例1の(4)で得られた5−エトキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド1.45gを水15mlに懸濁し、70〜80℃に加温する。この溶液に過マンガン酸カリウム水溶液(1.1g/水15ml)15mlを40〜45分かけて加え、さらに、1時間撹拌した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性とし、熱時ろ過する。ろ液を冷した後、これに10%塩酸を加え、酸性とし、酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=5:1)に付し、分離・精製し、5−エトキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸0.77gを得る。
【0034】
(6)実施例1の(5)で得られた5−エトキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸1.0g、硫酸鉄7.8g、水20ml及び28%アンモニア水6mlの混液を90℃にて2時間撹拌する。冷後、反応液を塩化メチレンにて抽出し、塩化メチレン層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=3:1)に付し、分離・精製し、2−アミノ−4−ヒドロキシ−5−エトキシ−安息香酸0.6gを得る。
【0035】
(7)実施例1の(1)で得られた2−ヒドロキシ−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル0.9g、実施例1の(6)で得られた2−アミノ−4−ヒドロキシ−5−エトキシ−安息香酸1.0g及びナトリウムメトキシド0.5gを乾燥ベンゼン10mlに溶解し、5時間加熱還流する。冷後、析出物をろ過して除き、ろ液を5%塩酸及び水にて順次洗浄し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=1:1)に付し、分離・精製し、2’−カルボキシ−2,5’−ジヒドロキシ−4’−エトキシ−5−メトキシベンズアニリド0.8gを得る。
【0036】
〔実施例2〕
(1)2,5−ジヒドロキシ−安息香酸1.54g及び水酸化カリウム1.5gをジメチルホルムアミド20mlに溶解し、これに塩化ベンジル1.2mlを加え、60〜65℃にて18時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。
残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸1.5gを得る。
【0037】
(2)実施例2の(1)で得られた5−ベンジルオキシ−ヒドロキシ−安息香酸1.2gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、氷冷下、これに水素化ナトリウム(60%油性)0.75gを徐々に加え、30分間撹拌する。この反応液に臭化エチル0.7mlを加え、2時間加熱還流する。反応終了後、反応液を氷水中に注ぎ、エーテルにて抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−2−エトキシ−安息香酸0.9gを得る。
【0038】
(3)実施例20(2)で得られた5−ベンジルオキシ−2−エトキシ−安息香酸1.36gをジオキサン30mlに溶解し、パラジウム触媒(5%パラジウムカーボン,100mg)を加え、水素雰囲気下にて、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の不溶物をろ過して除き、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=5:1)に付し、分離・精製し、2−エトキシ−5−ヒドロキシ−安息香酸0.7gを得る。
【0039】
(4)実施例2の(3)で得られた2−エトキシ−5−ヒドロキシ−安息香酸1.0g、ピリジン5ml及び無水酢酸10mlの混液を60℃にて3時間加熱する。冷後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−アセチルオキシ−2−エトキシ−安息香酸1.1gを得る。
【0040】
(5)実施例2の(4)で得られた5−アセチルオキシ−2−エトキシ−安息香酸1.0gに塩化チオニル5mlを加え、室温にて一夜撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、5−アセチルオキシ−2−エトキシ−ベンゾイルクロリド0.8gを得る。
【0041】
(6)5−ヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド1.6g及び水酸化カリウム1.5gをジメチルホルムアミド20mlに溶解し、これに塩化ベンジル1.2mlを加え、60〜65℃にて18時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸にて酸性とした後、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=3:2)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−2−ニトロベンズアルデヒド1.6gを得る。
【0042】
(7)5−ベンジルオキシ−2−ニトロベンズアルデヒド2.6gをクロロホルム10mlに溶解し、これに三酸化イオウ1.5gを加え、5時間加熱還流する。次に、冷後、反応液を10%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g,分離液:クロロホルム・メタノール=3:2)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−2−ニトロ−4−スルホベンズアルデヒド1.8gを得る。
【0043】
(8)5−ベンジルオキシ−ニトロ−4−スルホベンズアルデヒド1.7g及び水酸化カリウム15gの混合物を250℃で1時間加熱溶融する。次に、反応液を水中に注ぎ、1N硫酸で中性とした後、酢酸エチルにて抽出する。酢酸エチル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液;クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド0.77gを得る。
【0044】
(9)5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド1.4gを水15mlに懸濁し、70〜80℃に加温する。この溶液に過マンガン酸カリウム水溶液(1.1g/水15ml)15mlを40〜45分かけて加え、その後さらに、1時間撹拌した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、アルカリ性とし、熱時ろ過する。冷後、ろ液に10%塩酸を加え酸性とした後、酢酸エチルにて抽出する。酢酸エチル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=5:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸1.1gを得る。
【0045】
(10)5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸1.45gをピリジン5mlに溶解し、これに塩化アセチル10mlを加え、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、4−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2−ニトロ−安息香酸1.44gを得る。
【0046】
(11)4−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−ニトロ−安息香酸1.4gに塩化チオニル10mlを加え、室温で一夜撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、4−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2−ニトロベンゾイルクロリドを得る。
【0047】
(12)4−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2−ニトロベンゾイルクロリド1.7gをアセトン20mlに溶解し、この溶液をフエノールのアセトン溶液(0.5g/10ml)に滴下する。次に、反応液を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2−ニトロ−安息香酸フェニルエステル1.7gを得る。
【0048】
(13)4−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2−ニトロ−安息香酸フェニルエステル2.0gをジオキサン30mlに溶解し、これにパラジウム触媒(5%パラジウムカーボン,100mg)を加え、水素雰囲気下にて、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の不溶物をろ過し、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=5:1)に付し、分離・精製し、4−アセチルオキシ−2−アミノ−5−ヒドロキシ−安息香酸フェニルエステル0.96gを得る。
【0049】
(14)5−アセチルオキシ−2−エトキシ−ベンゾイルクロリド1.0g及び4−アセチルオキシ−2−アミノ−5−ヒドロキシ−安息香酸フェニルエステル1.2gをアセトン30mlに溶解し、炭酸カリウム1.1gを加え、室温にて19時間撹拌する。不溶物をろ過し、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル= 1:1)に付し、分離・精製し、5,5’−ジアセチルオキシ−2’−カルボキシフェニル−2−エトキシ−4’−ヒドロキシベンズアニリド0.85gを得る。
【0050】
〔実施例3〕
(1)2,5−ジヒドロキシ−安息香酸1.54gをピリジン5mlに溶解し、この溶液に塩化ベンゾイル0.8gを加え、室温にて1時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸2.2gを得る。
【0051】
(2)5−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸1.2gをピリジン5mlに溶解し、これに塩化アセチル10mlを加え、70〜80℃にて5時間撹拌する。冷後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、2−アセチルオキシ−5−ベンゾイルオキシ−安息香酸1.0gを得る。
【0052】
(3)2−アセチルオキシ−5−ベンゾイルオキシ−安息香酸1.0gに塩化チオニル10mlを加え、室温にて一夜撹拌する。撹拌終了後、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、2−アセチルオキシ−5−ベンゾイルオキシ−ベンゾイルクロリドを得る。
【0053】
(4)5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸1.5gに塩化チオニル10mlを加え、室温にて一夜撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロベンゾイルクロリドを得る。
【0054】
(5)5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロベンゾイルクロリド1.5gをアセトン20mlに溶解し、この溶液をメタノール中に撹拌しながら徐々に加え、1時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=4:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル1.3gを得る。
【0055】
(6)5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル1.2gをピリジン5mlに溶解し、これに塩化ベンゾイル0.8gを加え、室温にて2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下留去する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル1.3gを得る。
【0056】
(7)5−ベンジルオキシ−4−ベンゾイルオキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル1.0gをジオキサン30mlに溶解し、この溶液にパラジウム触媒(5%パラジウムカーボン,100mg)を加え、水素雰囲気下にて、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液をろ過し、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル= 1:1)に付し、分離・精製し、2−アミノ−4−ベンゾイルオキシ−5−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル0.5gを得る。
【0057】
(8)2−アミノ−4−ベンゾイルオキシ−5−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル1.6gをピリジン5mlに溶解し、これに塩化プロピオニル0.52mlを加え、室温で3時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=1:1)に付し、分離・精製し、2−アミノ−4−ベンゾイルオキシ−5−プロピオニルオキシ−安息香酸メチルエステル0.38gを得る。
【0058】
(9)2−アミノ−4−ベンゾイルオキシ−5−プロピオニルオキシ−安息香酸メチルエステル1.7g及び2−アセチルオキシ−5−ベンゾイルオキシ−ベンゾイルクロリド−1.6gをアセトン20mlに溶解し、この溶液中にN,N−ジメチルアニリン2.5mlを加え、2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、2−アセチルオキシ−5,5’−ジベンゾイルオキシ−2’−カルボキシメチル−4’−プロピオニルオキシ−ベンズアニリド1.2gを得る。
【0059】
〔実施例4〕
(1)2,5−ジヒドロキシ−安息香酸1.54gをピリジン5mlに溶解し、この溶液に塩化ベンゾイル1.6gを加え、80℃にて18時間加熱する。冷後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした後、エーテルにて抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=4:1)に付し、分離・精製し、2,5−ジベンゾイルオキシ−安息香酸1.56gを得る。
【0060】
(2)2,5−ジベンゾイルオキシ−安息香酸1.5gを塩化チオニル10mlに溶解し、室温で一夜撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、2,5−ジベンゾイルオキシ−ベンゾイルクロリドを得る。
【0061】
(3)5−ヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド1.4gをクロロホルム10mlに溶解し、これに三酸化イオウ1.5gを加え、5時間加熱還流する。冷後、反応液を10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g,分離液:クロロホルム・メタノール=3:2)に付し、分離・精製し、5−ヒドロキシ−2−ニトロ−4−スルホ−ベンズアルデヒド1.1gを得る。
【0062】
(4)5−ヒドロキシ−2−ニトロ−4−スルホ−ベンズアルデヒド1.0g及び水酸化カリウム1.2gの混合物を、250℃で1時間加熱溶融する。次に、反応液を水に注ぎ、1N硫酸で中性とした後、酢酸エチルにて抽出する。酢酸エチル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド0.38gを得る。
【0063】
(5)4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド1.0gを水15mlに懸濁し、70〜80℃に加温する。この溶液に、過マンガン酸カリウム水溶液(1.1g/水15ml)15mlを40〜45分かけて徐々に加え、その後さらに1時間撹拌する。次に、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性とし、熱時ろ過する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=5:1)に付し、分離・精製し、4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸0.76gを得る。
【0064】
(6)4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸1.0gをピリジン5mlに溶解し、これに塩化ベンゾイル1.2gを加え、80℃にて10時間撹拌する。冷後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸にて酸性とした後、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、4,5−ジベンゾイルオキシ−2−ニトロ−安息香酸1.3gを得る。
【0065】
(7)4,5−ジベンゾイルオキシ−2−ニトロ−安息香酸1.2gに塩化チオニル10mlを加え、室温で一夜撹拌する。次に、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、4,5−ジベンゾイルオキシ−2−ニトロ−ベンゾイルクロリドを得る。
【0066】
(8)4,5−ジベンゾイルオキシ−2−ニトロ−ベンゾイルクロリド1.2gをフェノールのアセトン溶液(0.5g/10ml)に滴下する。反応液を減圧下乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4,5−ジベンゾイルオキシ−2−ニトロ−安息香酸フェニルエステル1.3gを得る。
【0067】
(9)4,5−ジベンゾイルオキシ−2−ニトロ−安息香酸フェニルエステル1.2g、硫酸鉄7.8g、水20ml及び28%アンモニア水6mlの混液を90℃にて2時間撹拌する。冷後、反応液を塩化メチレンにて抽出し、塩化メチレン層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し,2−アミノ−4,5−ジベンゾイルオキシ−安息香酸フェニルエステル0.8gを得る。
【0068】
(10)2,5−ジベンゾイルオキシ−ベンゾイルクロリド1.6g及び2−アミノ−4,5−ジベンゾイルオキシ−安息香酸フェニルエステル1.7gをアセトン20mlに溶解し、この溶液中にN,N−ジメチルアニリン−2.5mlを加え、2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、2,5,4’,5’−テトラベンゾイルオキシ−2’−カルボキシフェニルベンズアニリド1.05gを得る。
【0069】
〔実施例5〕
(1)5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸1.2gを塩化チオニル10mlに溶解し、室温で一夜撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルクロリドを得る。
【0070】
(2)5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ニトロ−安息香酸1.45gをエーテル20mlに溶解し、これにジアゾメタンのエーテル溶液25mlを加え、室温にて3時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル1.3gを得る。
【0071】
(3)5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル1.2gをジオキサン30mlに溶解し、この溶液にパラジウム触媒(5%パラジウムカーボン,100mg)を加え、水素雰囲気下にて、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の不溶物をろ過し、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=3:2)に付し、分離・精製し、2−アミノ−5−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸メチルエステル0.84gを得る。
【0072】
(4)5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルクロリド1.0g及び2−アミノ−5−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸メチルエステル1.2gをアセトン30mlに溶解し、これに炭酸カリウム1.1gを加え、室温で19時間撹拌する。不溶物をろ過して除き、ろ液を減圧下乾固する。残留物を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸及び水にて順次洗浄後、芒硝にて乾燥し、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=1:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2,4’−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−ベンズアニリド0.8gを得る。
【0073】
(5)5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2,4’−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−ベンズアニリド0.8gをピリジン3mlに溶解し、これに塩化アセチル5mlを加え、室温にて1.5時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸にて酸性とした後、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−5’−メトキシ−ベンズアニリド0.88gを得る。
【0074】
(6)4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−5’−メトキシ−ベンズアニリド1.0g、硫酸カルシウム2.5g,炭酸銀1.4g及び乾燥トルエン50mlの混液に、α−アセトブロモグルコース2.0gを加え、室温にて50時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の析出物をろ過し、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−5’−メトキシ−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.51gを得る。
【0075】
(7)4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−5’−メトキシ−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.5gをジオキサン10mlに溶解し、パラジウム触媒(5%パラジウムカーボン,50mg)を加え、水素雰囲気下にて、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の不溶物をろ過し、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4’−アセチルオキシ−2’−カルボキシメチル−5−ヒドロキシ−5’−メトキシ−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.36gを得る。
【0076】
(8)4’−アセチルオキシ−2’−カルボキシメチル−5−ヒドロキシ−5’−メトキシ−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.36gを水酸化バリウム2.5g、ジオキサン60ml及び水60mlの混液に加え、室温で17時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下濃縮し、希硫酸でpH4に調整し、ブタノールにて抽出する。ブタノール層を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=3:1)に付し、分離・精製し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド0.2gを得る。
【0077】
〔実施例6〕
(1)5−ヒドロキシ−アントラニル酸1.0gをエーテル20mlに溶解し、この溶液にジアゾメタンのエーテル溶液15mlを加え、室温にて30分間撹拌する。撹拌終了後、反応液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:クロロホルム・メタノール=20:1)に付し、分離・精製し、2−アミノ−5−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル0.76gを得る。
【0078】
(2)5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルクロリド0.9g及び2−アミノ−5−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル1.1gをアセトン30mlに溶解し、この溶液に炭酸カリウム1.0gを加え、室温にて20時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の不溶物をろ過して除き、ろ液を減圧下乾固する。残留物を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸及び水にて順次洗浄し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:クロロホルム・メタノール=10:1)に付し、分離・精製し、5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2,4’−ジヒドロキシベンズアニリド0.75gを得る。
【0079】
(3)5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2,4’−ジヒドロキシベンズアニリド0.7gをピリジン3mlに溶解し、これに塩化アセチル5mlを加え、室温にて1.5時間撹拌する。撹拌終了後、反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸にて酸性とした後、エーテルにて抽出する。エーテル層を水洗し、芒硝にて乾燥後、減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−ベンズアニリド0.67gを得る。
【0080】
(4)4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−ベンズアニリド1.0g、硫酸カルシウム2.5g、炭酸銀1.4g及び乾燥トルエン50mlの混液に、α−アセトブロモグルコース2.0gを加え、室温にて50時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の析出物をろ過して除き、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:ベンゼン・酢酸エチル=10:1)に付し、分離・精製し、4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.55gを得る。
【0081】
(5)4’−アセチルオキシ−5−ベンジルオキシ−2’−カルボキシメチル−2−(2,3,4,6テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.5gをジオキサン10mlに溶解し、パラジウム触媒(5%パラジウムカーボン,50mg)を加え、水素雰囲気下にて、室温で2時間撹拌する。撹拌終了後、反応液中の不溶物をろ過して除き、ろ液を減圧下乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15g,分離液:クロロホルム・メタノール=20:1)に付し、分離・精製し、4’−アセチルオキシ−2’−カルボキシメチル−5−ヒドロキシ−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.36gを得る。
【0082】
(6)4’−アセチルオキシ−2’−カルボキシメチル−5−ヒドロキシ−2−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−ベンズアニリド0.35gを水酸化バリウム2.5g、ジオキサン60ml及び水60mlの混液中に加え、17時間撹拌する。
撹拌終了後、反応液を減圧下濃縮し、希硫酸でpH4に調整し、ブタノールにて抽出する。ブタノール層を減圧下濃縮乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g,分離液:クロロホルム・メタノール=3:1)に付し、分離・精製し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド0.18gを得る。
【0083】
〔実施例7〕
加工ブシ末(三和生薬製)1kgにメタノール5リットルを加え、水浴上30分間加熱還流により抽出し、抽出液を減圧下濃縮乾固し、メタノールエキス約200gを得る。得られたメタノールエキスを水200mlに懸濁し、ポリアミドカラムクロマトグラフィーに付し、水3リットルで洗浄する。次に、40%エタノール2リットルにて溶出し、溶出液を濃縮乾固する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム・メタノール・水(30:10:1)混液2リットルにて洗浄後、同混液0.5リットルにて溶出し、画分Aを得る。続いて同混液2リットルで溶出し、画分Bを得る。画分Aを濃縮乾固し、残留物をODSカラムクロマトグラフィーに付し、2%メタノールで洗浄後、35%メタノールで溶出し、溶出液を減圧下濃縮乾固する。残留物を分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム・メタノール・水=30:10:1)で精製し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド13mgを得る。画分Bを濃縮乾固し、残留物をODSカラムクロマトグラフィーに付し、20%メタノールで洗浄後、30%メタノールで溶出し、溶出液を濃縮乾固する。残留物を分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム・メタノール・水=30:101)で分離・精製し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド320mgを得る。
【0084】
〔実施例8〕
実施例7の加工ブシ末の代わりに、生附子を用い、他は実施例7と全く同様に操作し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド及び2’−カルボキシメチル−4’,5−ヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリドを得る。
【0085】
〔実施例9〕
加工ブシ末(三和生薬製)500gに50%エタノール5リットルを加え、水浴上1時間加熱還流により抽出し、抽出液をろ過した後、ろ液を減圧下濃縮乾固する。残留物を水に懸濁してポリアミドカラムクロマトグラフィーに付し、水3リットルにて洗浄後、エタノール2リットルで溶出する。溶出液を濃縮乾固した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム・メタノール(9:1)1リットルにて洗浄し、続いてクロロホルム・メタノール混液(4:1)600mlにて溶出する。溶出液を濃縮乾固した後、残留物をセライトカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム・メタノール混液(96:4)250mlにて洗浄した後、クロロホルム・メタノール混液(9:1)300mlにて溶出する。溶出液を濃縮乾固し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド及び2’−カルボキシメチル−4’,5−ヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリドを、単なる抽出エキスに比べ、より高濃度で含むエキスを得る。このエキスについて、下記の条件の確認試験を行うとき、Rf値約0.2付近に2’−カルボキシメチル−4’,5−ヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリドの青緑色のスポットを認め、Rf値約0.25付近に2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリドの青緑色のスポットを認める。
確認試験の条件
薄 層 板: キーゼルゲルF254 展開距離:13cm
展開溶媒: クロロホルム・メタノール=3:1
スポット量: 試料20mg/1mlメタノール溶液の2μl
発色方法: アニスアルデヒド・硫酸混液を噴霧後、加熱し、紫外線(340〜380nm)を照射して確認
【0086】
〔実施例10〕
実施例9の加工ブシ末の代わりに、生附子を用い、他は実施例9と全く同様に操作し、2’−カルボキシメチル−4’,5−ジヒドロキシ−5’−メトキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリド及び2’−カルボキシメチル−4’,5−ヒドロキシ−2−β−D−グルコピラノシルオキシ−ベンズアニリドを含むエキスを得る。
【0087】
Figure 0003578412
【0088】
【外1】
Figure 0003578412
【0089】
【分析データ】
【化8】
Figure 0003578412
【0090】
【化9】
Figure 0003578412
【0091】
【化10】
Figure 0003578412
【0092】
Figure 0003578412
【0093】
Figure 0003578412
【0094】
Figure 0003578412
【0095】
Figure 0003578412
【0096】
Figure 0003578412
【0097】
Figure 0003578412
【0098】
〔実験例1〕(血流増大作用)
この実験においては、Std=ddY系雄性マウス(20〜25g)を1群5匹として使用した。動物は室温24〜25℃、自由な摂食、摂水および12時間周期の明暗条件下で飼育した。各試料はそれぞれ1mgをジメチルスルホキシド1mlに溶解し、試料溶液として調製した。マウスは、試験実施の前日、背部を脱毛クリームにて除毛したものを用いた。マウスをウレタンにて麻酔した後、除毛した背部にレーザードップラー血流計(ALF21,アドバンス社製)のプローブを貼付し、試料溶液投与前の血流量を測定した。次に、試料溶液0.05mlをマウスの尾静脈内に投与し、その10分後から25分間の血流量(ml/分/100g)を測定した。結果は、試料溶液投与前の血流量に対して、試料溶液投与後10分から25分間に増大した累積血流量にて示した。陰性対照群ではジメチルスルホキシド液のみを投与した。群間比較による薬物投与群の有意差検定は、ステューデントのt−検定により行った。結果を表2に示す。表2に見られるように、本発明に係るベンズアニリド型化合物は、陰性対照群に対してP<0.01の有意な血流促進作用を示すことが認められた。
【0099】
Figure 0003578412
【0100】
Figure 0003578412
【0101】
〔実験例2〕(血流増大作用)
実施例6で得られる化合物(10)を用いて、処方例1に基づく軟膏を製造し、成人男子を被検者として血流を測定した。試験条件を以下に示す。
被検者を仰臥位に寝かせ、手の甲にレーザードップラー血流計(ALF21,アドバンス社製)のプローブを貼付し、軟膏塗布前の血流量を約30分間測定した。次に、貼付したプローブの周囲に、前記に示した軟膏を塗布し、約1時間血流量を測定した。結果は、軟膏塗布前30分間及び塗布後15分から1時間までのそれぞれの最小血流量及び最大血流量で示した。結果を表3に示す。表3に見られるように、本発明に係るベンズアニリド型化合物を含む軟膏の塗布により、血流の増大が認められた。
【0102】
Figure 0003578412
【0103】
〔実験例3〕(急性毒性)
この実験においては、Std:ddY系雄性マウス(20〜25g)を使用した。被検化合物は表1で示したものを用いた。被検化合物は、0.9%生理食塩水を用いて、さらにアラビアゴムを3%の濃度で添加し、100mg/10mlの濃度になるよう懸濁し、試料溶液として調製した。この懸濁液を100ml/kgの割合で皮下投与し、投与後72時間の致死数を求めた。その結果、いずれの化合物においても死亡例は見られず、低毒性であることが認められた。
【0104】
〔実験例4〕(安全性)
試験方法は24時間人体前腕クローズドバッチテストを用いた。被試験者は成人男子3名、成人女子1名である。判定基準は下記の基準に従った。試料は、実施例6で得られた化合物(6)を用い、処方例1に従って調製したものを用いた。
++:強紅斑 ±:微かな紅斑 +:紅斑 −:陰性
結果を表4に示す。表4に見られるように、本発明に係る化合物からなる軟膏では、皮膚刺激性、アレルギー性は全く認められず、皮膚に対する安全性は極めて高いものであった。また、被検者において、試験中、副作用は特に認められなかった。
【0105】
Figure 0003578412
【0106】
以下に本発明に係る血行促進のために使用する医薬の処方例を示す。
Figure 0003578412
Figure 0003578412
【0107】
Figure 0003578412
【0108】
Figure 0003578412
【0109】
Figure 0003578412

Claims (2)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003578412
    〔式中、R1は、水素原子、水酸基、メトキシ、アセチルオキシまたはベンゾイルオキシであり、
    2 は、水素原子、エチル、プロピオニル、アセチルまたはベンゾイルであり、
    3 は、水素原子、メチルまたはフェニルであり、
    4 は、水素原子、エチル、アセチル、ベンゾイルまたはβ−D−グルコピラノシルであり、
    5 は、水素原子、メチル、ベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり、
    但し、R 1 、R 2 およびR 5 が水素原子である場合は、R 3 はメチルである〕
    で表わされるベンズアニリド型化学構造を有する化合物。
  2. 一般式(II)
    Figure 0003578412
    〔式中、R1は、水素原子、水酸基、メトキシ、アセチルオキシまたはベンゾイルオキシであり、
    2 は、水素原子、エチル、プロピオニル、アセチルまたはベンゾイルであり、
    3 は、水素原子、メチルまたはフェニルであり、
    4 は、水素原子、エチル、アセチル、ベンゾイルまたはβ−D−グルコピラノシルであり、
    5 は、水素原子、メチル、ベンジル、アセチルまたはベンゾイルである〕
    で表されるベンズアニリド型化学構造を有する化合物を有効成分として含有する血行促進のために使用する医薬。
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