JP3578378B2 - X線装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線装置に関し、特に、被検体を透過したX線像を電気信号に変換する素子を複数個半導体基板上に形成した撮像素子を用いたX線装置の自動露出制御に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線装置においては、X線イメージインテンシファイア(以下、「X線I.I.」と記す)とテレビカメラとから構成されるX線検出系が用いられていた。このX線装置では、X線I.I.が被検体を透過したX線像を光学像に変換し、テレビカメラが光学像を検出してビデオ信号に変換することによって、被検体のX線像を撮像していた。また、従来のX線自動露出装置においては、X線I.I.の出力光を一部採光して光電子増倍管等の光センサで検出し、該検出信号に従ってX線透視および撮影制御を行っていた。例えばX線透視制御時においては、光センサの検出信号の単位時間あたりの積分値が一定値となるように、X線管の管電流や管電圧あるいは光学絞りの絞り量等をフィードバック制御することで、X線透視像の明るさを常に適正値に保っていた。またX線撮影制御時においては、光センサの検出信号の積分値が一定値になった時点でX線を遮断することで、適正な明るさのX線撮影像を得ていた(フォトタイマ)。
【0003】
これに対し近年、次世代のX線検出器として平面型のX線センサ(以下、「平面X線検出器」と記す)が開発されつつある。平面X線検出器では、蛍光板やシンチレータ(例えばヨウ化セシウムの柱状結結晶等)の層が光検出アレイの全面に配置あるいは直接形成されており、入射するX線像を光像に変換する。該光像を検出する光検出アレイは、ショットキーバリアダイオードやp−i−nまたはn−i−p型フォトダイオード、あるいはフォトトランジスタのアレイであり、ガラス基板上に形成されたアモルファスシリコンやシリコン単結晶を用いて作成される。平面X線検出器は、X線I.I.のような大型の光学像変換装置を必要としないため、薄型かつ軽量なものを実現することができる。このような平面X線検出器の例としては、An improved page−size 127 um pixel amorphous silicon image sensor for X−Ray diagnostic medical imaging applications, R. L. Weisfield et. al., SPIE Voll. 3032 pp14−21 (1997)や特開平8−162624等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0005】
従来のX線自動露出装置においては光学像に変換されたX線を一部採光して強度を測定することにより、X線量をコントロールしていた。これに対して、平面X線検出器では、蛍光板やシンチレータの層が光検出アレイの全面に直接配置あるいは形成されており、従来の自動露出方法のように光学像を一部採光するためのフォトセンサが配置できない。このために、平面X線検出器を使用する場合、従来の自動露出方法が適用できない、すなわち、光学像の一部を光センサで検出し、該検出値に基づいてX線透視時およびX線撮影時のX線量を適正な値に制御することができないという問題があった。
【0006】
これに対して、平面X線検出器自身で検出した信号に基づいてX線自動露出を行う方法も考えられる。しかしながら、この方法では、平面X線検出器の信号読み出し速度が高々16.7〜33.3[ms]であるのに対して、X線撮影時のフォトタイマに必要とされる時間精度が数[ms]以下であるため、制御不可能であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、平面X線検出器を使用した場合におけるX線透視時およびX線撮影時のX線量を適正に制御することが可能なX線装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、高画質で診断能力の高いX線診断装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
X線を発生し被検体に照射するX線照射手段と、前記X線の照射野を制限するX線照射野制限手段と、前記被検体を透過した後のX線像を撮像する撮像手段と、前記被検体を透過したX線強度を計測するX線強度計測手段と、該計測値に基づいて照射X線のエネルギー分布および出力量を所定の値に調整するX線出力調整手段とを有するX線装置において、前記撮像手段は、半導体基板に複数個のX線検出素子を形成した平面撮像手段からなり、当該撮像手段のX線の入力面とは反対の側に前記X線強度計測手段を配置した。
【0012】
前述した手段によれば、撮像手段の入力面の反対すなわち裏面側にX線強度計測手段を配置することによって、当該X線強度計測手段は、撮像手段を透過したX線像を撮像する、すなわち、被検体を透過したX線像のX線強度を計測することができるので、X線出力調整手段が該X線強度計測手段の出力値に基づいてX線照射手段から照射されるX線量を制御することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態のX線装置の概略構成を示す図である。本実施の形態のX線装置は、X線管(X線照射手段)1、X線フィルタ2、X線コリメータ(X線照射野制限手段)3、寝台天板5、簡易操作卓6、X線グリッド7、X線検出器(撮像手段)8、X線補助検出器(X線強度計測手段)9、モニタ10、操作卓11、X線制御器100、X線フィルタ制御器101、X線コリメータ制御器102、X線検出器制御器103、X線補助検出器制御器104、X線条件演算装置(X線出力調整手段)105、感度比テーブル106、画像処理装置107等より構成される。被検体4は寝台天板5上に位置し、撮影体位を様々に変化できるものする。簡易操作卓6は寝台天板5を水平および垂直方向に移動することができる。そして、作業者は被検体4の撮りたい部位を前記X線検出器8の視野の中心付近に設定することができる。なお、X線補助検出器9、X線補助検出器制御器104、X線条件演算装置105および感度比テーブル106を除く、各装置および機構は公知のものを用いる。
【0016】
図1において、X線管1とX線検出器8の入力面との標準的な距離は120[cm]であり、任意の距離に設定できる。また、X線管1と寝台天板5との標準的な距離は100[cm]であり、任意の距離に設定できる。X線検出器8の入力面は一辺が30[cm]の正方形である。X線グリッド7はX線検出器8の入力面上に配置される。X線検出器8は、たとえば、単結晶シリコン基板上にフォトトランジスタアレイを形成し、その前面にヨウ化セシウムの柱状結晶層を配置した構造の周知の平面型X線検出器である。なお、X線検出器の詳細については後述する。X線補助検出器9はX線検出器8と同一構造すなわちX線検出器8として使用する検出素子をX線補助検出器9としても使用したものであり、本実施の形態では、X線検出器8の背面に密着されている。X線補助検出器9をX線検出器8の背面に密着させる理由は、点線源から円錐状に発生されるX線ビームの広がりに起因する検出位置のずれをできるだけ抑えるためである。ただし、X線検出器8とX線補助検出器9との密着方法としては、たとえば、固定具により両検出器8,9を密着した状態に固定したり、接着剤等により両検出器8,9を接着させる等の方法が挙げられる。
【0017】
次に、前記各部の概要を説明する。
【0018】
X線制御器100は、X線条件演算装置105の制御出力に基づいて、X線透視時におけるX線管1の管電圧および管電流をリアルタイムに制御する制御装置である。またX線制御器100は、X線撮影時におけるX線管1の管電圧、管電流およびX線照射時間(撮影時間)をX線条件演算装置105の制御出力に基づいて、制御する。
【0019】
X線フィルタ制御器101は、作業者が操作卓11から入力したフィルタの有無およびフィルタの種類情報に基づいて、X線透視・撮影時におけるX線フィルタ2の種類および有無を制御する制御装置である。ただし、X線フィルタ2はX線管1から放射されるX線のエネルギー分布を変化する周知のX線フィルタである。
【0020】
X線コリメータ制御器102は、作業者が操作卓11から入力したコリメータ3の位置情報に基づいて、X線透視・撮影時におけるX線照射野12を設定するためのX線コリメータ3の位置を制御する制御装置である。X線グリッド7上に斜線で示したX線照射野12は、被検体4の体軸方向およびその垂直方向にそれぞれ独立に変化することができる。
【0021】
X線検出器制御器103は、X線透視・撮影時におけるX線検出器8の検出タイミングおよびゲインを制御する制御装置である。本実施の形態では、X線検出器8のX線透視・撮影時の検出画素数は1024×1024ピクセルである。また、X線検出器8のX線透視時におけるフレームレートは毎秒15フレームである。
【0022】
X線補助検出器制御器104は、X線透視・撮影時におけるX線補助検出器9の検出タイミングおよびゲインを制御する制御装置である。本実施の形態においては、X線補助検出器9の透視時における検出画素数は16×16ピクセルであり、フレームレートは毎秒100フレームである。また、X線補助検出器9の撮影時における検出画素数は16×16ピクセル、フレームレートは毎秒2万フレームである。
【0023】
ただし、X線検出器8およびX線補助検出器9の出力信号はそれぞれの検出器内部でアナログ信号からデジタル信号に変換された後に出力される。ここで、デジタル信号へ変換する際の量子化ビット数は12ビットであり、デジタル画像の画素値は0〜4095の範囲の数値として表現される。
【0024】
画像処理装置107は、X線検出器8から出力されるデジタル画像に対して階調変換等の公知の画像処理を行い、前記画像処理を行った後のデジタル画像をモニタ10に出力する装置であり、出力されたデジタル画像はモニタ10上に表示される。
【0025】
X線条件演算装置105は、X線補助検出器9の画像出力すなわち検出出力に基づいて、X線透視時においてはX線管1の管電圧および管電流の適正値を算出し該適正値を制御信号(制御出力)としてX線制御器100に出力する。また、X線条件演算装置105は、X線撮影時には撮影時間をリアルタイムに判断してX線遮断のタイミングを制御信号としてX線制御器100に出力する。またX線条件演算装置105は、X線管1の管電圧に応じて感度比テーブル106を読み出し、後述する方法でX線補助検出器9のゲインを調節する制御信号を生成し、X線補助検出器制御器104に出力する。
【0026】
X線透視時において、X線管1の管電圧と管電流とは、その適正値がX線条件演算装置により算出され、自動設定される。
【0027】
X線撮影時において、X線管1の管電圧と管電流とは、X線透視終了時におけるX線管1の管電圧および管電流に基づいてX線条件演算装置105が自動設定するが、作業者が操作卓11から設定値を入力することによって、手動設定することも可能である。
【0028】
X線透視・撮影時において、X線フィルタ2の有無および種類は、通常、X線管1の管電圧に基づいてX線条件演算装置105が自動設定するが、作業者が操作卓11から設定値を入力することによって、あるいは直接X線フィルタ2を挿入することによって手動設定することも可能である。
【0029】
X線透視・撮影時において、X線照射野12は作業者が操作卓11から手動設定する。
【0030】
次に、本実施の形態に係るX線装置の動作を図1を用いて説明する。X線透視および撮影時において、X線管1から発生されたX線は、まずX線フィルタ2によりエネルギー分布が変化され、次にX線コリメータ3によりX線照射野12を制限された後に被検体4を透過する。また、前記X線は被検体4を透過する際に一部被検体4内部で散乱する。この散乱X線はX線グリッド7により大部分遮断されるが、その一部は遮断されずにX線グリッド7を透過する。X線グリッド7を透過した散乱X線と被検体4を散乱されずに透過した直接X線とは、同時にX線検出器8により検出され電気信号に変換される。この電気信号はX線検出器8内部のアンプにより、予め設定されたゲインで増幅された後、X線検出器8内部のA/D変換器によってデジタル画像信号に変換された後に出力される。このデジタル画像信号は、画像処理装置107により公知の階調変換等の画像処理を行われた後にモニタ10の表示画面上に表示される。
【0031】
X線検出器8に入力するX線の一部はX線検出器8で検出されることなく、X線検出器8を透過してX線補助検出器9において検出され、電気信号に変換される。この電気信号は、X線補助検出器9内部のアンプにより、予め設定されたゲインで増幅された後、X線補助検出器9内部のA/D変換器によってデジタル信号に変換された後に出力され、X線条件演算装置105に入力される。
【0032】
このようにX線補助検出器9はX線検出器8を透過してきたX線を検出するので、その検出信号強度はX線検出器8で検出される信号強度に比例する。従って、X線補助検出器9の検出信号強度からX線検出器8の検出信号強度を求めることができる。ただし、X線検出器8とX線補助検出器9との感度比は、X線検出器8およびX線補助検出器9のエネルギー感度特性に依存する。このため、本実施の形態では、X線のエネルギー分布を規定するX線管1の各管電圧値に対して感度比を予め求めておき、感度比テーブル106として図示しない格納手段に保存しておく。このように、感度比を感度比テーブル106として格納しておき、必要に応じて参照することにより、X線検出器8とX線補助検出器9とにおける検出信号強度の推定を高速かつ精確に行うことができる。
【0033】
X線透視時においては、X線条件演算装置105はその時点におけるX線管の管電圧から感度比テーブル106を参照し、X線検出器8とX線補助検出器9との現在の管電圧における感度比を読み出す。次に、X線検出器8のゲインに対してX線補助検出器9のゲインが読み出した感度比倍となるように、X線条件演算装置105の制御出力に基づいてX線補助検出器制御器104がX線補助検出器9のゲインを制御する。このとき、X線補助検出器9から入力される画像信号は、X線検出器8において検出される画像信号強度と同等になる。更に、X線補助検出器9から入力される画像信号強度に基づき、前記画像信号強度を適正値にするX線管1の管電圧、管電流およびX線検出器8のゲインをリアルタイムに算出する。X線制御器100およびX線検出器制御器105は前記算出値に従ってリアルタイムに各装置を制御し、制御結果はX線補助検出器9で検出される画像信号強度に再びフィードバックされて透視時におけるX線条件の自動制御系をなす。なお、X線透視時におけるX線条件演算装置105内部の処理の詳細については後述する。
【0034】
作業者はX線透視時において、被検体4の見たい部位がモニタ10の表示画面の適正な位置にくるように、操作卓11あるいは簡易操作卓6を用いて撮像位置を合わせ、位置が合った時点において操作卓11あるいは簡易操作卓6からX線撮影開始の信号を発生する。
【0035】
X線撮影開始の信号が発生すると同時に、X線条件演算装置105は透視終了時の管電圧から撮影管電圧および管電流を予め設定された値に従って決定する。またX線条件演算装置105は撮影管電圧から感度比テーブル106を参照し、X線補助検出器9のゲインがX線検出器8のゲインに対して読み出した感度比倍されるように設定する。更にX線条件演算装置105はX線補助検出器9から画像信号が出力される度に、撮影開始時からの前記画像信号出力の積分値を計算し、前記積分値が適正値になった時点でX線遮断の信号を発生する。X線制御器100は、前記X線遮断の信号が発生されると同時にX線管1のX線放射を遮断する。X線検出器8は、X線が遮断されると同時にX線画像を出力し、このX線画像は図示しないフレームメモリに保存されてX線撮影を終了する。なお、X線撮影時におけるX線条件演算装置105内部の処理の詳細については後述する。
【0036】
図2は、X線検出器8とX線補助検出器9との感度比のX線エネルギー依存性の一例を表すグラフである。いま、X線検出器8で検出される画像信号強度をIA、X線補助検出器9で検出される画像信号強度をIBとすると(以下、添え字A、BはそれぞれX線検出器8およびX線補助検出器9を表すものとする)IAおよびIBは次式で近似できる。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
但し、Iは入射X線強度、Gは検出器のゲイン、Eは各管電圧におけるX線の平均エネルギー、μ、tはそれぞれX線検出器8内部のX線検出層のX線吸収係数および厚さ、μ’、t’はそれぞれX線検出器8の基板全体のX線吸収係数および厚さを表す。数1、2より感度比IA/IBは次式で得られる。
【0040】
【数3】
【0041】
なお、本実施の形態では、X線補助検出器9としてX線検出器8と同一のものを使用しているため、数3は更に次式となる。
【0042】
【数4】
【0043】
従って、感度比IA/IBを1にするためには、X線補助検出器9のゲインGBをIA/IB倍すればよい。ただし、数1〜4において、μ、t、μ’、t’はX線検出器8(およびX線検出器8と同一なX線補助検出器9)の素材および構成によって決まる値である。
【0044】
次に、図7を用いてX線検出器8の素材および構成について説明する。図7は、X線検出器8の断面図である。この断面図から明らかなように、本実施の形態に係るX線検出器8は、大きくヨウ化セシウム柱状結晶層700、シリコン基板705、導電性基板606の3層から構成される。このうち、ヨウ化セシウム柱状結晶層700はX線検出層であり、X線を光に変換する。ヨウ化セシウム柱状結晶層700は、保護膜704を介してシリコン基板705に接着している。シリコン基板705はシリコン単結晶基板であり、基板上には出力配線608、絶縁膜701、MOSトランジスタスイッチ609、コンタクト703、フォトダイオード610等が設けられており、変換された光はフォトダイオード610によって電気信号に変換され、MOSトランジスタスイッチ609によって、各画素毎に順次読み出される。なお、MOSトランジスタスイッチ609のドレインおよびゲートは、アルミニウムを用いたコンタクト703を介して出力配線608およびゲート線607に接続されている。ただし、シリコン基板705は、銀ペースト等の周知の導電性接続膜702を介してアルミニウムの導電性基板606に接着されている。また、シリコン基板705には、導電性接続膜702を介して導電性基板606からグランド電圧が供給される。
【0045】
図7において、ヨウ化セシウム柱状結晶層700の厚さtは0.4[mm]である。また、シリコン基板705の厚さは2[mm]、導電性基板606の厚さは2[mm]である。その他の構成部品に関しては、X線吸収材という観点においては、その大きさが殆ど無視できる。
【0046】
図7に示されるX線検出器8の構成に対して数4を用いて感度比のX線エネルギー依存性を計算した結果が図2である。なお、図2においてゲイン比GA/GBは1で正規化してある。図2から明らかなように、感度比はX線エネルギーが低い程高くなり、50[keV]における感度比は100[keV]における感度比の約2倍となっている。従って、このような感度比の補正を行わなければ、X線補助検出器9の出力信号強度からX線検出器8の出力信号強度を精確に推定することができず、透視および撮影時における自動露出制御の精度が低下してしまう。
【0047】
図3は、本実施の形態の感度比テーブルの構成を説明するための図である。この感度比IA/IBは、実際にはX線の各管電圧に対して、X線検出器8およびX線補助検出器9でそれぞれ検出される出力信号強度IA、IBを測定して、その感度比を求めてテーブル値とする。また、感度比は各管電圧におけるX線のエネルギースペクトルに依存するため、X線フィルタを変えると変化する。従って、本実施の形態では、使用する全てのX線フィルタに対して予め感度比を測定し、感度比テーブル106として格納しておくことにより、X線フィルタ2の挿入によってX線エネルギー分布が変化した場合であっても、当該感度比テーブル106を参照するのみで、X線検出器8とX線補助検出器9との感度比を求めることができるので、X線検出器8で検出されるX線量を高速かつ精確に見積もることができる。なお、X線のエネルギースペクトルは被検体内部における光電効果やコンプトン散乱によっても変化する。通常、管電圧は被検体を模擬するアクリル板等の厚さに対して決定されており、アクリル厚が厚くなる程、管電圧が高くなるように設定される。従って、感度比テーブルを作成する際は、各管電圧に対応するアクリル板等の模擬被検体を挿入し、このとき計測される感度比の値をテーブル値とすればよい。
【0048】
次に、図4にX線透視時におけるX線条件演算装置105の構成および内部の処理の流れを説明するための図を示し、以下、図4に基づいてX線透視時における動作を説明する。X線透視時においては、X線管1から放射され被検体4を透過したX線はX線検出器8で検出され、更にX線検出器8を透過したX線はX線補助検出器9で検出される。X線補助検出器9で検出されたX線は、当該検出器のアンプでゲインGBで増幅された後、16×16画素のデジタル画像に変換され毎秒100フレームのフレームレートで出力される。
【0049】
X線補助検出器9から出力された画像信号は、X線照射野内データ選択手段401、関心領域内データ選択手段402、重み付け平均値演算手段403においてそれぞれの処理が行われる。なお、上記手段401〜403における処理の詳細については特願平9−119102号公報にその詳細が記述されているので、以下の説明ではその概要のみを示す。
【0050】
まず、X線補助検出器9から出力された画像信号はX線照射野内データ選択手段401によって、X線照射野内部において計測されたデータのみが選択される。これは、X線非照射部分の不要なデータが後に行われる平均値演算において影響するのを防ぐためである。
【0051】
X線照射野内データ選択手段401の出力値は、次に関心領域内データ選択手段402によって、関心領域内部のデータのみが選択され、出力される。この関心領域は作業者によって予め操作卓11から入力され、作業者の特に関心の高い領域が選択される。なお、作業者はX線透視中においても関心領域を自由に変更することもできる。
【0052】
次に関心領域内データ選択手段402の出力値は、重み付け平均値演算手段403によって、周知の重み付け処理が行われた後に全データの平均値が計算され、出力される。重み付け処理は、入力画像のヒストグラムに対して、重み関数と呼ばれる関数を積算する処理であり、具体的には中間濃度値の、重要性の高い部分に高い重みを付け、低濃度部分(被写体厚が非常に厚く、X線が殆ど透過しない部分)や高濃度部分(被写体厚が非常に薄く、X線が殆ど透過してしまう部分)に低い重みを付ける処理である。これにより、画像中の造影剤部分やハレーション部分が露出制御に大きな影響を与えることを防ぐことができる。本実施の形態においては、重み関数として正規分布を用い、作業者は正規分布の平均値および分散を任意に設定できるようになっている。ただし、重み関数として、χ2(カイ2乗)分布、F分布もしくはt分布等の確率分布関数や、あるいは、作業者が任意に作成した関数等を使用することもできる。
【0053】
以上がX線照射野内データ選択手段401、関心領域内データ選択手段402および重み付け平均値演算手段403における処理の概要である。
【0054】
重み付け平均値演算手段403から出力される重み付け平均値は、最後に透視条件演算手段404に入力され、X線検出器8の出力信号強度を適正値にするX線管1の管電圧、管電流およびX線検出器8のゲインGAの計算が行われる。具体的には、重み付け平均値が適正値に満たない場合は、X線管1の管電圧および管電流を増加するようにそれぞれの値の設定を行い、逆に重み付け平均値が適正値を越える場合はX線管1の管電圧および管電流を減少するように設定を行う。また、このようにして設定されたX線管1の管電圧および管電流値が、X線管1の最大容量を越える場合、あるいは、前記設定値における被検体4のX線被曝量が予め設定された最大被曝量を越える場合には、X線条件演算装置105の制御出力に基づいてX線検出器制御器103がX線検出器8のゲインを増加することによって、前記重み付け平均値が適正値になるように設定される。
【0055】
また、この透視条件演算手段404は同時にその時点におけるX線管1の管電圧およびX線フィルタ2の種類に応じて、対応する感度比IB/IAの値を感度比テーブル106から読み出し、X線補助検出器9のゲインGB=GA・IB/IAの値を算出する。
【0056】
X線制御器100、X線検出器制御器103およびX線補助検出器制御器104は前述した算出値に従ってリアルタイムに各装置を制御し、制御結果はX線補助検出器9で検出される出力信号強度に再びフィードバックされて透視時におけるX線条件の自動制御系をなす。
【0057】
次に、図5にX線撮影時におけるX線条件演算装置105の構成および内部処理の流れを説明するための図を示し、以下、図5に基づいてX線撮影時におけるX線条件演算装置105の動作を説明する。X線透視による被検体4の位置合わせが終了し、X線撮影開始の信号が発生すると、X線条件演算装置105中の撮影条件演算手段500は、透視終了時の管電圧から撮影管電圧を決定する。ただし、透視終了時の管電圧と撮影管電圧の関係は、作業者が操作卓11から予め設定した値にしたがう。また、撮影管電流およびX線検出器8のゲインGAは撮影管電圧に基づき決定され、これら両者の関係も作業者が操作卓11から予め設定してある。更には撮影条件演算手段500は、前記撮影管電圧および撮影時のX線フィルタ2の種類に応じて、対応する感度比IB/IAの値を感度比テーブル106から読み出し、X線補助検出器9のゲインGB=GA・IB/IAの値を算出する。
【0058】
X線制御器100、X線検出器制御器103およびX線補助検出器制御器104は、X線条件演算装置105の算出値に従ってリアルタイムに各装置を設定し、この設定が終了すると同時にX線管1のX線放射を開始する。
【0059】
X線検出器8は、X線放射が開始されると同時に撮影を開始し、X線放射が終了するまでフレームの読み出しは行わない。これに対し、X線補助検出器9はX線放射が開始されると同時に16×16画素のデジタル画像を毎秒2万フレームのフレームレートで読み出す。
【0060】
X線補助検出器9から画像信号が入力されると、積分画像生成手段501はX線撮影開始時からの出力画像の積分画像を計算する。このときの積分画像の計算は、X線補助検出器9から画像が出力される度に、図示しないフレームメモリに出力画像を加算することで容易に実現できる。
【0061】
次にこの積分画像は、X線照射野内データ選択手段401、関心領域内データ選択手段402、重み付け平均値演算手段403においてそれぞれの処理が行われる。ここで、前記各処理の内容についてはX線透視時と同一であるため、説明を省略する。
【0062】
最後に、重み付け平均値が撮影時間判断手段502に入力されると、撮影時間判断手段502は入力された重み付け平均値を適正値と比較し、適正値に満たない場合は再び積分画像生成手段501に戻り前述の処理を繰り返す。一方、重み付け平均値が、適正値を越えた場合は直ちにX線遮断信号を発生する。X線制御器100は、X線遮断信号が発生されると同時にX線を遮断して撮影を終了する。
【0063】
X線撮影時において、X線補助検出器9のフレームレートを毎秒2万フレーム(読み込み時間0.05[ms])と高速にするのは、X線撮影時に必要な時間精度1[ms]程度に対して、十分な時間精度を確保するためである。このため、本実施の形態のX線補助検出器9は、高速な信号読み出しを可能にするための特別な工夫がされており、これについて以下に説明する。
【0064】
図6は、X線検出器8およびX線補助検出器9の回路構成図である。各画素はフォトダイオード610およびMOSトランジスタスイッチ609から構成され、各画素がマトリクス状に配置されている。図面を判り易くするために、図6では全画素のうち5×7画素のみを示しているが、実際には1024×1024画素存在する。
【0065】
MOSトランジスタスイッチ609のゲートはゲート線607を介して、切り換え手段となるスイッチ602にそれぞれ接続されている。該スイッチ602は各ゲート線607をy方向走査回路600または601のどちらか一方に接続する。ここで、ゲート線607がy方向走査回路600に接続された場合、複数のゲート線607に対して同時にゲート電圧をかけることができる。図面を判り易くするために、図6では4本のゲート線607が束ねられているが、実際には64本のゲート線607が束ねられる。
【0066】
MOSトランジスタスイッチ609のドレインは出力配線608を介してスイッチ613にそれぞれ接続されている。スイッチ613は出力配線608を出力回路603または604のどちらか一方に接続する。ここで、出力配線608が出力回路604に接続された場合、複数の出力配線608に蓄えられる電荷の合計値を読み出すことができる。図面を判り易くするために、図6では4本の出力配線608が束ねられているが、実際には64本の出力配線608が束ねられる。
【0067】
出力回路603、604は入力信号電荷を増幅して信号電圧に変換する増幅手段であるアンプ605から構成されている。アンプ605はゲインを任意の値に調整できる。出力回路603、604の出力はA/Dコンバーター611、612にそれぞれ接続されており、各画素に対応する信号を順次読み出してデジタル信号に変換される。なお図6において、フォトダイオード610、MOSトランジスタスイッチ609等は全て単結晶のシリコン基板705上に形成されている。
【0068】
次に、図6に基づいて本検出器の動作について説明する。
【0069】
本検出器をX線検出器8として使用する場合、スイッチ602およびスイッチ613はゲート線607および出力配線608をそれぞれy方向走査回路601および出力回路603に接続する。入射光によりフォトダイオード610内に生じた信号電荷は、そのままフォトダイオード610内に蓄えられ、y方向走査回路601がゲート線607を介してMOSトランジスタスイッチ609をオンにする度に所定のタイミングで出力配線608上に読み出される。読み出された信号電荷は出力回路603に入力されて信号電圧に変換、かつ所定のゲインで増幅され、A/Dコンバーター611によって各画素毎に順次デジタル信号に変換される。このように、本検出器をX線検出器8として使用する場合は全ての画素値を走査するため、空間分解能の高い画像が得られる。しかしながら、フレームレートがA/Dコンバーター611の速度によって制限されるため、高速な読み出しが困難である。なお、本検出器をX線検出器8として使用する場合のフレームレートは毎秒15フレームである。
【0070】
次に、本検出器をX線補助検出器9として使用する場合には、スイッチ602およびスイッチ613はゲート線607および出力配線608をそれぞれy方向走査回路600および出力回路604に接続する。入射光によりフォトダイオード610内に生じた信号電荷は、そのままフォトダイオード610内に蓄えられ、y方向走査回路600がゲート線607を介してMOSトランジスタスイッチ609をオンにする度に、所定のタイミングで出力配線608上に読み出される。ここで、y方向走査回路600は同時に64本のゲート線607を介してMOSトランジスタスイッチ609をオンにするため、出力配線608上にはy方向に64個分のフォトダイオード610に蓄えられていた電荷の合計値が読み出される。次に、読み出された信号電荷は出力回路604に入力されて信号電圧に変換、かつ所定のゲインで増幅され、A/Dコンバーター612によって各画素毎に順次デジタル信号に変換される。ここで、出力回路604は64本の出力配線608に読み出された信号電荷の合計値を読み出すので、本走査方法では64×64画素分の電荷を1画素として読み出し、A/Dコンバーター612は合計16×16画素分のデータを出力する。このように、本検出器をX線補助検出器8として使用する場合は64×64画素分の電荷を同時に読み出すので、A/Dコンバーター612は、全画素を読み出す場合の4096倍の速度で1フレームを読み出すことができる。これに対して、1フレームが16×16画素のデータとなるため、空間分解能は低くなるが、X線自動露出用のデータとしては十分である。なお、本検出器をX線補助検出器9として使用する場合のフレームレートは毎秒2万フレームである。
【0071】
本検出器をX線検出器8として用いる場合、全画素のうち殆どの画素が正常に動作する必要があるが、このような検出器の製造は一般に困難であり、製造における歩留まりが低いという問題がある。しかし、本検出器をX線補助検出器9として使用する場合、上記のように64×64画素分の電荷を1画素として読み出すため、幾つかの画素がドット落ちあるいはライン落ちしていても、全体的には大きな問題にならない。従って、検出器の製造過程で生じた不良品をX線補助検出器9として使用することができる。すなわち、従来破棄していた不良品をX線補助検出器9として利用できるので、製品コストを下げることができるという効果がある。また、X線検出器8とX線補助検出器9は同一の形状、検出範囲、材質を有するという点においても、好ましい。すなわち、X線検出器8とX線補助検出器9とにおける検出エネルギー依存性を同一にすることができるので、X線検出器8とX線補助検出器9とにおける検出差を小さくできる。したがって、X線補助検出器9で検出するX線量を精度よく推定することができる。
【0072】
以上説明したように、X線検出器として平面型X線検出器を使用した場合、光学像をフォトセンサで一部採光する従来の自動露出方法が適用できなくなるが、本実施の形態のX線装置では、前記平面型X線検出器の背面に補助X線検出器を配置して平面型X線検出器で検出される信号強度を推定できるので、前記推定値に基づきX線透視時およびX線撮影時におけるX線量を自動的に適正値に制御することができる。
【0073】
また、平面型X線検出器と補助X線検出器との感度比を各管電圧およびX線フィルタの組み合わせに対して補正するので、X線透視時およびX線撮影時におけるX線量をより精確に制御することができる。更に、平面型X線検出器を製作する過程で発生した不良品を補助X線検出器として利用することができるので、製品コストを抑えることができる。
【0074】
さらには、推定手段として機能する透視条件演算手段404あるいは撮影条件演算手段500が、X線透視時あるいはX線撮影時におけるX線補助検出器9のゲインGBをそれぞれ算出し、X線補助検出器制御器104に出力することによって、当該X線補助検出器9で検出されるX線強度が極端に小さい場合であってもその出力信号を大きくできるので、この出力信号をA/D変換器611,612でデジタル信号に変換する際に生じる量子化誤差を抑えることができる。したがって、X線透視時およびX線撮影時におけるX線量をさらに精確に制御することができ、高画質のX線透視およびX線撮影ができる。
【0075】
以上、本発明を具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更しうることはいうまでもない。例えば、本実施の形態ではX線補助検出器9としてX線検出器8と同一のものを使用したが、これを蛍光板および光電子増倍管を組み合わせた検出器や、蛍光板および複数のフォトダイオードを組み合わせた検出器等を用いてもよい。また、本実施の形態で述べた平面型X線検出器は単一シリコン結晶上にフォトダイオードおよびMOSトランジスタスイッチを形成する構成であったが、アモルファスシリコン上で同一のものを形成した平面型X線検出器や、アモルファスセレンをX線センサとして使用した平面型X線検出器等でこれを代用してもよい。また、本発明は一般的なX線透視装置、X線撮影装置、立体X線撮影装置等にも適用できることは勿論である。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0077】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0078】
(1)平面X線検出器を使用した場合であってもX線透視時およびX線撮影時のX線量を適正にコントロールすることができる。
【0079】
(2)高画質のX線像すなわち診断能力の高いX線像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のX線装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態におけるX線検出器とX線補助検出器との感度比のX線エネルギー依存性の一例を表すグラフである。
【図3】本実施の形態の感度比テーブルの構成を説明するための図である。
【図4】X線透視時におけるX線条件演算装置の構成および内部の処理の流れを説明するための図である。
【図5】X線撮影時におけるX線条件演算装置105の構成および内部処理の流れを説明するための図である。
【図6】本実施の形態においてX線検出器およびX線補助検出器として使用する平面型X線検出器の回路構成図である。
【図7】本実施の形態においてX線検出器およびX線補助検出器として使用する平面型X線検出器の構造を説明するための断面図の一部である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線フィルタ、3…X線コリメータ、4…被検体、5…寝台天板、6…簡易操作卓、7…X線グリッド、8…X線検出器、9…X線補助検出器、10…モニタ、11…操作卓、12…X線照射野、100…X線制御器、101…X線フィルタ制御器、102…X線コリメータ制御器、103…X線検出器制御器、104…X線補助検出器制御器、105…X線条件演算装置、106…感度比テーブル、107…画像処理装置、401…X線照射野内データ選択手段、402…関心領域内データ選択手段、403…重み付け平均値演算手段、404…透視条件演算手段、500…撮影条件演算手段、501…積分画像生成手段、502…撮影時間判断手段、600,601…y方向走査回路、602…スイッチ、603,604…出力回路、605…アンプ、606…導電性基板、607…ゲート線、608…出力配線、609…MOSトランジスタ、610…フォトダイオード、611,612…A/D変換器、700…ヨウ化セシウム柱状結晶層、701…絶縁膜、702…導電性接続膜、703…コンタクト、704…保護膜、705…シリコン基板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線装置に関し、特に、被検体を透過したX線像を電気信号に変換する素子を複数個半導体基板上に形成した撮像素子を用いたX線装置の自動露出制御に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線装置においては、X線イメージインテンシファイア(以下、「X線I.I.」と記す)とテレビカメラとから構成されるX線検出系が用いられていた。このX線装置では、X線I.I.が被検体を透過したX線像を光学像に変換し、テレビカメラが光学像を検出してビデオ信号に変換することによって、被検体のX線像を撮像していた。また、従来のX線自動露出装置においては、X線I.I.の出力光を一部採光して光電子増倍管等の光センサで検出し、該検出信号に従ってX線透視および撮影制御を行っていた。例えばX線透視制御時においては、光センサの検出信号の単位時間あたりの積分値が一定値となるように、X線管の管電流や管電圧あるいは光学絞りの絞り量等をフィードバック制御することで、X線透視像の明るさを常に適正値に保っていた。またX線撮影制御時においては、光センサの検出信号の積分値が一定値になった時点でX線を遮断することで、適正な明るさのX線撮影像を得ていた(フォトタイマ)。
【0003】
これに対し近年、次世代のX線検出器として平面型のX線センサ(以下、「平面X線検出器」と記す)が開発されつつある。平面X線検出器では、蛍光板やシンチレータ(例えばヨウ化セシウムの柱状結結晶等)の層が光検出アレイの全面に配置あるいは直接形成されており、入射するX線像を光像に変換する。該光像を検出する光検出アレイは、ショットキーバリアダイオードやp−i−nまたはn−i−p型フォトダイオード、あるいはフォトトランジスタのアレイであり、ガラス基板上に形成されたアモルファスシリコンやシリコン単結晶を用いて作成される。平面X線検出器は、X線I.I.のような大型の光学像変換装置を必要としないため、薄型かつ軽量なものを実現することができる。このような平面X線検出器の例としては、An improved page−size 127 um pixel amorphous silicon image sensor for X−Ray diagnostic medical imaging applications, R. L. Weisfield et. al., SPIE Voll. 3032 pp14−21 (1997)や特開平8−162624等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0005】
従来のX線自動露出装置においては光学像に変換されたX線を一部採光して強度を測定することにより、X線量をコントロールしていた。これに対して、平面X線検出器では、蛍光板やシンチレータの層が光検出アレイの全面に直接配置あるいは形成されており、従来の自動露出方法のように光学像を一部採光するためのフォトセンサが配置できない。このために、平面X線検出器を使用する場合、従来の自動露出方法が適用できない、すなわち、光学像の一部を光センサで検出し、該検出値に基づいてX線透視時およびX線撮影時のX線量を適正な値に制御することができないという問題があった。
【0006】
これに対して、平面X線検出器自身で検出した信号に基づいてX線自動露出を行う方法も考えられる。しかしながら、この方法では、平面X線検出器の信号読み出し速度が高々16.7〜33.3[ms]であるのに対して、X線撮影時のフォトタイマに必要とされる時間精度が数[ms]以下であるため、制御不可能であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、平面X線検出器を使用した場合におけるX線透視時およびX線撮影時のX線量を適正に制御することが可能なX線装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、高画質で診断能力の高いX線診断装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
X線を発生し被検体に照射するX線照射手段と、前記X線の照射野を制限するX線照射野制限手段と、前記被検体を透過した後のX線像を撮像する撮像手段と、前記被検体を透過したX線強度を計測するX線強度計測手段と、該計測値に基づいて照射X線のエネルギー分布および出力量を所定の値に調整するX線出力調整手段とを有するX線装置において、前記撮像手段は、半導体基板に複数個のX線検出素子を形成した平面撮像手段からなり、当該撮像手段のX線の入力面とは反対の側に前記X線強度計測手段を配置した。
【0012】
前述した手段によれば、撮像手段の入力面の反対すなわち裏面側にX線強度計測手段を配置することによって、当該X線強度計測手段は、撮像手段を透過したX線像を撮像する、すなわち、被検体を透過したX線像のX線強度を計測することができるので、X線出力調整手段が該X線強度計測手段の出力値に基づいてX線照射手段から照射されるX線量を制御することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態のX線装置の概略構成を示す図である。本実施の形態のX線装置は、X線管(X線照射手段)1、X線フィルタ2、X線コリメータ(X線照射野制限手段)3、寝台天板5、簡易操作卓6、X線グリッド7、X線検出器(撮像手段)8、X線補助検出器(X線強度計測手段)9、モニタ10、操作卓11、X線制御器100、X線フィルタ制御器101、X線コリメータ制御器102、X線検出器制御器103、X線補助検出器制御器104、X線条件演算装置(X線出力調整手段)105、感度比テーブル106、画像処理装置107等より構成される。被検体4は寝台天板5上に位置し、撮影体位を様々に変化できるものする。簡易操作卓6は寝台天板5を水平および垂直方向に移動することができる。そして、作業者は被検体4の撮りたい部位を前記X線検出器8の視野の中心付近に設定することができる。なお、X線補助検出器9、X線補助検出器制御器104、X線条件演算装置105および感度比テーブル106を除く、各装置および機構は公知のものを用いる。
【0016】
図1において、X線管1とX線検出器8の入力面との標準的な距離は120[cm]であり、任意の距離に設定できる。また、X線管1と寝台天板5との標準的な距離は100[cm]であり、任意の距離に設定できる。X線検出器8の入力面は一辺が30[cm]の正方形である。X線グリッド7はX線検出器8の入力面上に配置される。X線検出器8は、たとえば、単結晶シリコン基板上にフォトトランジスタアレイを形成し、その前面にヨウ化セシウムの柱状結晶層を配置した構造の周知の平面型X線検出器である。なお、X線検出器の詳細については後述する。X線補助検出器9はX線検出器8と同一構造すなわちX線検出器8として使用する検出素子をX線補助検出器9としても使用したものであり、本実施の形態では、X線検出器8の背面に密着されている。X線補助検出器9をX線検出器8の背面に密着させる理由は、点線源から円錐状に発生されるX線ビームの広がりに起因する検出位置のずれをできるだけ抑えるためである。ただし、X線検出器8とX線補助検出器9との密着方法としては、たとえば、固定具により両検出器8,9を密着した状態に固定したり、接着剤等により両検出器8,9を接着させる等の方法が挙げられる。
【0017】
次に、前記各部の概要を説明する。
【0018】
X線制御器100は、X線条件演算装置105の制御出力に基づいて、X線透視時におけるX線管1の管電圧および管電流をリアルタイムに制御する制御装置である。またX線制御器100は、X線撮影時におけるX線管1の管電圧、管電流およびX線照射時間(撮影時間)をX線条件演算装置105の制御出力に基づいて、制御する。
【0019】
X線フィルタ制御器101は、作業者が操作卓11から入力したフィルタの有無およびフィルタの種類情報に基づいて、X線透視・撮影時におけるX線フィルタ2の種類および有無を制御する制御装置である。ただし、X線フィルタ2はX線管1から放射されるX線のエネルギー分布を変化する周知のX線フィルタである。
【0020】
X線コリメータ制御器102は、作業者が操作卓11から入力したコリメータ3の位置情報に基づいて、X線透視・撮影時におけるX線照射野12を設定するためのX線コリメータ3の位置を制御する制御装置である。X線グリッド7上に斜線で示したX線照射野12は、被検体4の体軸方向およびその垂直方向にそれぞれ独立に変化することができる。
【0021】
X線検出器制御器103は、X線透視・撮影時におけるX線検出器8の検出タイミングおよびゲインを制御する制御装置である。本実施の形態では、X線検出器8のX線透視・撮影時の検出画素数は1024×1024ピクセルである。また、X線検出器8のX線透視時におけるフレームレートは毎秒15フレームである。
【0022】
X線補助検出器制御器104は、X線透視・撮影時におけるX線補助検出器9の検出タイミングおよびゲインを制御する制御装置である。本実施の形態においては、X線補助検出器9の透視時における検出画素数は16×16ピクセルであり、フレームレートは毎秒100フレームである。また、X線補助検出器9の撮影時における検出画素数は16×16ピクセル、フレームレートは毎秒2万フレームである。
【0023】
ただし、X線検出器8およびX線補助検出器9の出力信号はそれぞれの検出器内部でアナログ信号からデジタル信号に変換された後に出力される。ここで、デジタル信号へ変換する際の量子化ビット数は12ビットであり、デジタル画像の画素値は0〜4095の範囲の数値として表現される。
【0024】
画像処理装置107は、X線検出器8から出力されるデジタル画像に対して階調変換等の公知の画像処理を行い、前記画像処理を行った後のデジタル画像をモニタ10に出力する装置であり、出力されたデジタル画像はモニタ10上に表示される。
【0025】
X線条件演算装置105は、X線補助検出器9の画像出力すなわち検出出力に基づいて、X線透視時においてはX線管1の管電圧および管電流の適正値を算出し該適正値を制御信号(制御出力)としてX線制御器100に出力する。また、X線条件演算装置105は、X線撮影時には撮影時間をリアルタイムに判断してX線遮断のタイミングを制御信号としてX線制御器100に出力する。またX線条件演算装置105は、X線管1の管電圧に応じて感度比テーブル106を読み出し、後述する方法でX線補助検出器9のゲインを調節する制御信号を生成し、X線補助検出器制御器104に出力する。
【0026】
X線透視時において、X線管1の管電圧と管電流とは、その適正値がX線条件演算装置により算出され、自動設定される。
【0027】
X線撮影時において、X線管1の管電圧と管電流とは、X線透視終了時におけるX線管1の管電圧および管電流に基づいてX線条件演算装置105が自動設定するが、作業者が操作卓11から設定値を入力することによって、手動設定することも可能である。
【0028】
X線透視・撮影時において、X線フィルタ2の有無および種類は、通常、X線管1の管電圧に基づいてX線条件演算装置105が自動設定するが、作業者が操作卓11から設定値を入力することによって、あるいは直接X線フィルタ2を挿入することによって手動設定することも可能である。
【0029】
X線透視・撮影時において、X線照射野12は作業者が操作卓11から手動設定する。
【0030】
次に、本実施の形態に係るX線装置の動作を図1を用いて説明する。X線透視および撮影時において、X線管1から発生されたX線は、まずX線フィルタ2によりエネルギー分布が変化され、次にX線コリメータ3によりX線照射野12を制限された後に被検体4を透過する。また、前記X線は被検体4を透過する際に一部被検体4内部で散乱する。この散乱X線はX線グリッド7により大部分遮断されるが、その一部は遮断されずにX線グリッド7を透過する。X線グリッド7を透過した散乱X線と被検体4を散乱されずに透過した直接X線とは、同時にX線検出器8により検出され電気信号に変換される。この電気信号はX線検出器8内部のアンプにより、予め設定されたゲインで増幅された後、X線検出器8内部のA/D変換器によってデジタル画像信号に変換された後に出力される。このデジタル画像信号は、画像処理装置107により公知の階調変換等の画像処理を行われた後にモニタ10の表示画面上に表示される。
【0031】
X線検出器8に入力するX線の一部はX線検出器8で検出されることなく、X線検出器8を透過してX線補助検出器9において検出され、電気信号に変換される。この電気信号は、X線補助検出器9内部のアンプにより、予め設定されたゲインで増幅された後、X線補助検出器9内部のA/D変換器によってデジタル信号に変換された後に出力され、X線条件演算装置105に入力される。
【0032】
このようにX線補助検出器9はX線検出器8を透過してきたX線を検出するので、その検出信号強度はX線検出器8で検出される信号強度に比例する。従って、X線補助検出器9の検出信号強度からX線検出器8の検出信号強度を求めることができる。ただし、X線検出器8とX線補助検出器9との感度比は、X線検出器8およびX線補助検出器9のエネルギー感度特性に依存する。このため、本実施の形態では、X線のエネルギー分布を規定するX線管1の各管電圧値に対して感度比を予め求めておき、感度比テーブル106として図示しない格納手段に保存しておく。このように、感度比を感度比テーブル106として格納しておき、必要に応じて参照することにより、X線検出器8とX線補助検出器9とにおける検出信号強度の推定を高速かつ精確に行うことができる。
【0033】
X線透視時においては、X線条件演算装置105はその時点におけるX線管の管電圧から感度比テーブル106を参照し、X線検出器8とX線補助検出器9との現在の管電圧における感度比を読み出す。次に、X線検出器8のゲインに対してX線補助検出器9のゲインが読み出した感度比倍となるように、X線条件演算装置105の制御出力に基づいてX線補助検出器制御器104がX線補助検出器9のゲインを制御する。このとき、X線補助検出器9から入力される画像信号は、X線検出器8において検出される画像信号強度と同等になる。更に、X線補助検出器9から入力される画像信号強度に基づき、前記画像信号強度を適正値にするX線管1の管電圧、管電流およびX線検出器8のゲインをリアルタイムに算出する。X線制御器100およびX線検出器制御器105は前記算出値に従ってリアルタイムに各装置を制御し、制御結果はX線補助検出器9で検出される画像信号強度に再びフィードバックされて透視時におけるX線条件の自動制御系をなす。なお、X線透視時におけるX線条件演算装置105内部の処理の詳細については後述する。
【0034】
作業者はX線透視時において、被検体4の見たい部位がモニタ10の表示画面の適正な位置にくるように、操作卓11あるいは簡易操作卓6を用いて撮像位置を合わせ、位置が合った時点において操作卓11あるいは簡易操作卓6からX線撮影開始の信号を発生する。
【0035】
X線撮影開始の信号が発生すると同時に、X線条件演算装置105は透視終了時の管電圧から撮影管電圧および管電流を予め設定された値に従って決定する。またX線条件演算装置105は撮影管電圧から感度比テーブル106を参照し、X線補助検出器9のゲインがX線検出器8のゲインに対して読み出した感度比倍されるように設定する。更にX線条件演算装置105はX線補助検出器9から画像信号が出力される度に、撮影開始時からの前記画像信号出力の積分値を計算し、前記積分値が適正値になった時点でX線遮断の信号を発生する。X線制御器100は、前記X線遮断の信号が発生されると同時にX線管1のX線放射を遮断する。X線検出器8は、X線が遮断されると同時にX線画像を出力し、このX線画像は図示しないフレームメモリに保存されてX線撮影を終了する。なお、X線撮影時におけるX線条件演算装置105内部の処理の詳細については後述する。
【0036】
図2は、X線検出器8とX線補助検出器9との感度比のX線エネルギー依存性の一例を表すグラフである。いま、X線検出器8で検出される画像信号強度をIA、X線補助検出器9で検出される画像信号強度をIBとすると(以下、添え字A、BはそれぞれX線検出器8およびX線補助検出器9を表すものとする)IAおよびIBは次式で近似できる。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
但し、Iは入射X線強度、Gは検出器のゲイン、Eは各管電圧におけるX線の平均エネルギー、μ、tはそれぞれX線検出器8内部のX線検出層のX線吸収係数および厚さ、μ’、t’はそれぞれX線検出器8の基板全体のX線吸収係数および厚さを表す。数1、2より感度比IA/IBは次式で得られる。
【0040】
【数3】
【0041】
なお、本実施の形態では、X線補助検出器9としてX線検出器8と同一のものを使用しているため、数3は更に次式となる。
【0042】
【数4】
【0043】
従って、感度比IA/IBを1にするためには、X線補助検出器9のゲインGBをIA/IB倍すればよい。ただし、数1〜4において、μ、t、μ’、t’はX線検出器8(およびX線検出器8と同一なX線補助検出器9)の素材および構成によって決まる値である。
【0044】
次に、図7を用いてX線検出器8の素材および構成について説明する。図7は、X線検出器8の断面図である。この断面図から明らかなように、本実施の形態に係るX線検出器8は、大きくヨウ化セシウム柱状結晶層700、シリコン基板705、導電性基板606の3層から構成される。このうち、ヨウ化セシウム柱状結晶層700はX線検出層であり、X線を光に変換する。ヨウ化セシウム柱状結晶層700は、保護膜704を介してシリコン基板705に接着している。シリコン基板705はシリコン単結晶基板であり、基板上には出力配線608、絶縁膜701、MOSトランジスタスイッチ609、コンタクト703、フォトダイオード610等が設けられており、変換された光はフォトダイオード610によって電気信号に変換され、MOSトランジスタスイッチ609によって、各画素毎に順次読み出される。なお、MOSトランジスタスイッチ609のドレインおよびゲートは、アルミニウムを用いたコンタクト703を介して出力配線608およびゲート線607に接続されている。ただし、シリコン基板705は、銀ペースト等の周知の導電性接続膜702を介してアルミニウムの導電性基板606に接着されている。また、シリコン基板705には、導電性接続膜702を介して導電性基板606からグランド電圧が供給される。
【0045】
図7において、ヨウ化セシウム柱状結晶層700の厚さtは0.4[mm]である。また、シリコン基板705の厚さは2[mm]、導電性基板606の厚さは2[mm]である。その他の構成部品に関しては、X線吸収材という観点においては、その大きさが殆ど無視できる。
【0046】
図7に示されるX線検出器8の構成に対して数4を用いて感度比のX線エネルギー依存性を計算した結果が図2である。なお、図2においてゲイン比GA/GBは1で正規化してある。図2から明らかなように、感度比はX線エネルギーが低い程高くなり、50[keV]における感度比は100[keV]における感度比の約2倍となっている。従って、このような感度比の補正を行わなければ、X線補助検出器9の出力信号強度からX線検出器8の出力信号強度を精確に推定することができず、透視および撮影時における自動露出制御の精度が低下してしまう。
【0047】
図3は、本実施の形態の感度比テーブルの構成を説明するための図である。この感度比IA/IBは、実際にはX線の各管電圧に対して、X線検出器8およびX線補助検出器9でそれぞれ検出される出力信号強度IA、IBを測定して、その感度比を求めてテーブル値とする。また、感度比は各管電圧におけるX線のエネルギースペクトルに依存するため、X線フィルタを変えると変化する。従って、本実施の形態では、使用する全てのX線フィルタに対して予め感度比を測定し、感度比テーブル106として格納しておくことにより、X線フィルタ2の挿入によってX線エネルギー分布が変化した場合であっても、当該感度比テーブル106を参照するのみで、X線検出器8とX線補助検出器9との感度比を求めることができるので、X線検出器8で検出されるX線量を高速かつ精確に見積もることができる。なお、X線のエネルギースペクトルは被検体内部における光電効果やコンプトン散乱によっても変化する。通常、管電圧は被検体を模擬するアクリル板等の厚さに対して決定されており、アクリル厚が厚くなる程、管電圧が高くなるように設定される。従って、感度比テーブルを作成する際は、各管電圧に対応するアクリル板等の模擬被検体を挿入し、このとき計測される感度比の値をテーブル値とすればよい。
【0048】
次に、図4にX線透視時におけるX線条件演算装置105の構成および内部の処理の流れを説明するための図を示し、以下、図4に基づいてX線透視時における動作を説明する。X線透視時においては、X線管1から放射され被検体4を透過したX線はX線検出器8で検出され、更にX線検出器8を透過したX線はX線補助検出器9で検出される。X線補助検出器9で検出されたX線は、当該検出器のアンプでゲインGBで増幅された後、16×16画素のデジタル画像に変換され毎秒100フレームのフレームレートで出力される。
【0049】
X線補助検出器9から出力された画像信号は、X線照射野内データ選択手段401、関心領域内データ選択手段402、重み付け平均値演算手段403においてそれぞれの処理が行われる。なお、上記手段401〜403における処理の詳細については特願平9−119102号公報にその詳細が記述されているので、以下の説明ではその概要のみを示す。
【0050】
まず、X線補助検出器9から出力された画像信号はX線照射野内データ選択手段401によって、X線照射野内部において計測されたデータのみが選択される。これは、X線非照射部分の不要なデータが後に行われる平均値演算において影響するのを防ぐためである。
【0051】
X線照射野内データ選択手段401の出力値は、次に関心領域内データ選択手段402によって、関心領域内部のデータのみが選択され、出力される。この関心領域は作業者によって予め操作卓11から入力され、作業者の特に関心の高い領域が選択される。なお、作業者はX線透視中においても関心領域を自由に変更することもできる。
【0052】
次に関心領域内データ選択手段402の出力値は、重み付け平均値演算手段403によって、周知の重み付け処理が行われた後に全データの平均値が計算され、出力される。重み付け処理は、入力画像のヒストグラムに対して、重み関数と呼ばれる関数を積算する処理であり、具体的には中間濃度値の、重要性の高い部分に高い重みを付け、低濃度部分(被写体厚が非常に厚く、X線が殆ど透過しない部分)や高濃度部分(被写体厚が非常に薄く、X線が殆ど透過してしまう部分)に低い重みを付ける処理である。これにより、画像中の造影剤部分やハレーション部分が露出制御に大きな影響を与えることを防ぐことができる。本実施の形態においては、重み関数として正規分布を用い、作業者は正規分布の平均値および分散を任意に設定できるようになっている。ただし、重み関数として、χ2(カイ2乗)分布、F分布もしくはt分布等の確率分布関数や、あるいは、作業者が任意に作成した関数等を使用することもできる。
【0053】
以上がX線照射野内データ選択手段401、関心領域内データ選択手段402および重み付け平均値演算手段403における処理の概要である。
【0054】
重み付け平均値演算手段403から出力される重み付け平均値は、最後に透視条件演算手段404に入力され、X線検出器8の出力信号強度を適正値にするX線管1の管電圧、管電流およびX線検出器8のゲインGAの計算が行われる。具体的には、重み付け平均値が適正値に満たない場合は、X線管1の管電圧および管電流を増加するようにそれぞれの値の設定を行い、逆に重み付け平均値が適正値を越える場合はX線管1の管電圧および管電流を減少するように設定を行う。また、このようにして設定されたX線管1の管電圧および管電流値が、X線管1の最大容量を越える場合、あるいは、前記設定値における被検体4のX線被曝量が予め設定された最大被曝量を越える場合には、X線条件演算装置105の制御出力に基づいてX線検出器制御器103がX線検出器8のゲインを増加することによって、前記重み付け平均値が適正値になるように設定される。
【0055】
また、この透視条件演算手段404は同時にその時点におけるX線管1の管電圧およびX線フィルタ2の種類に応じて、対応する感度比IB/IAの値を感度比テーブル106から読み出し、X線補助検出器9のゲインGB=GA・IB/IAの値を算出する。
【0056】
X線制御器100、X線検出器制御器103およびX線補助検出器制御器104は前述した算出値に従ってリアルタイムに各装置を制御し、制御結果はX線補助検出器9で検出される出力信号強度に再びフィードバックされて透視時におけるX線条件の自動制御系をなす。
【0057】
次に、図5にX線撮影時におけるX線条件演算装置105の構成および内部処理の流れを説明するための図を示し、以下、図5に基づいてX線撮影時におけるX線条件演算装置105の動作を説明する。X線透視による被検体4の位置合わせが終了し、X線撮影開始の信号が発生すると、X線条件演算装置105中の撮影条件演算手段500は、透視終了時の管電圧から撮影管電圧を決定する。ただし、透視終了時の管電圧と撮影管電圧の関係は、作業者が操作卓11から予め設定した値にしたがう。また、撮影管電流およびX線検出器8のゲインGAは撮影管電圧に基づき決定され、これら両者の関係も作業者が操作卓11から予め設定してある。更には撮影条件演算手段500は、前記撮影管電圧および撮影時のX線フィルタ2の種類に応じて、対応する感度比IB/IAの値を感度比テーブル106から読み出し、X線補助検出器9のゲインGB=GA・IB/IAの値を算出する。
【0058】
X線制御器100、X線検出器制御器103およびX線補助検出器制御器104は、X線条件演算装置105の算出値に従ってリアルタイムに各装置を設定し、この設定が終了すると同時にX線管1のX線放射を開始する。
【0059】
X線検出器8は、X線放射が開始されると同時に撮影を開始し、X線放射が終了するまでフレームの読み出しは行わない。これに対し、X線補助検出器9はX線放射が開始されると同時に16×16画素のデジタル画像を毎秒2万フレームのフレームレートで読み出す。
【0060】
X線補助検出器9から画像信号が入力されると、積分画像生成手段501はX線撮影開始時からの出力画像の積分画像を計算する。このときの積分画像の計算は、X線補助検出器9から画像が出力される度に、図示しないフレームメモリに出力画像を加算することで容易に実現できる。
【0061】
次にこの積分画像は、X線照射野内データ選択手段401、関心領域内データ選択手段402、重み付け平均値演算手段403においてそれぞれの処理が行われる。ここで、前記各処理の内容についてはX線透視時と同一であるため、説明を省略する。
【0062】
最後に、重み付け平均値が撮影時間判断手段502に入力されると、撮影時間判断手段502は入力された重み付け平均値を適正値と比較し、適正値に満たない場合は再び積分画像生成手段501に戻り前述の処理を繰り返す。一方、重み付け平均値が、適正値を越えた場合は直ちにX線遮断信号を発生する。X線制御器100は、X線遮断信号が発生されると同時にX線を遮断して撮影を終了する。
【0063】
X線撮影時において、X線補助検出器9のフレームレートを毎秒2万フレーム(読み込み時間0.05[ms])と高速にするのは、X線撮影時に必要な時間精度1[ms]程度に対して、十分な時間精度を確保するためである。このため、本実施の形態のX線補助検出器9は、高速な信号読み出しを可能にするための特別な工夫がされており、これについて以下に説明する。
【0064】
図6は、X線検出器8およびX線補助検出器9の回路構成図である。各画素はフォトダイオード610およびMOSトランジスタスイッチ609から構成され、各画素がマトリクス状に配置されている。図面を判り易くするために、図6では全画素のうち5×7画素のみを示しているが、実際には1024×1024画素存在する。
【0065】
MOSトランジスタスイッチ609のゲートはゲート線607を介して、切り換え手段となるスイッチ602にそれぞれ接続されている。該スイッチ602は各ゲート線607をy方向走査回路600または601のどちらか一方に接続する。ここで、ゲート線607がy方向走査回路600に接続された場合、複数のゲート線607に対して同時にゲート電圧をかけることができる。図面を判り易くするために、図6では4本のゲート線607が束ねられているが、実際には64本のゲート線607が束ねられる。
【0066】
MOSトランジスタスイッチ609のドレインは出力配線608を介してスイッチ613にそれぞれ接続されている。スイッチ613は出力配線608を出力回路603または604のどちらか一方に接続する。ここで、出力配線608が出力回路604に接続された場合、複数の出力配線608に蓄えられる電荷の合計値を読み出すことができる。図面を判り易くするために、図6では4本の出力配線608が束ねられているが、実際には64本の出力配線608が束ねられる。
【0067】
出力回路603、604は入力信号電荷を増幅して信号電圧に変換する増幅手段であるアンプ605から構成されている。アンプ605はゲインを任意の値に調整できる。出力回路603、604の出力はA/Dコンバーター611、612にそれぞれ接続されており、各画素に対応する信号を順次読み出してデジタル信号に変換される。なお図6において、フォトダイオード610、MOSトランジスタスイッチ609等は全て単結晶のシリコン基板705上に形成されている。
【0068】
次に、図6に基づいて本検出器の動作について説明する。
【0069】
本検出器をX線検出器8として使用する場合、スイッチ602およびスイッチ613はゲート線607および出力配線608をそれぞれy方向走査回路601および出力回路603に接続する。入射光によりフォトダイオード610内に生じた信号電荷は、そのままフォトダイオード610内に蓄えられ、y方向走査回路601がゲート線607を介してMOSトランジスタスイッチ609をオンにする度に所定のタイミングで出力配線608上に読み出される。読み出された信号電荷は出力回路603に入力されて信号電圧に変換、かつ所定のゲインで増幅され、A/Dコンバーター611によって各画素毎に順次デジタル信号に変換される。このように、本検出器をX線検出器8として使用する場合は全ての画素値を走査するため、空間分解能の高い画像が得られる。しかしながら、フレームレートがA/Dコンバーター611の速度によって制限されるため、高速な読み出しが困難である。なお、本検出器をX線検出器8として使用する場合のフレームレートは毎秒15フレームである。
【0070】
次に、本検出器をX線補助検出器9として使用する場合には、スイッチ602およびスイッチ613はゲート線607および出力配線608をそれぞれy方向走査回路600および出力回路604に接続する。入射光によりフォトダイオード610内に生じた信号電荷は、そのままフォトダイオード610内に蓄えられ、y方向走査回路600がゲート線607を介してMOSトランジスタスイッチ609をオンにする度に、所定のタイミングで出力配線608上に読み出される。ここで、y方向走査回路600は同時に64本のゲート線607を介してMOSトランジスタスイッチ609をオンにするため、出力配線608上にはy方向に64個分のフォトダイオード610に蓄えられていた電荷の合計値が読み出される。次に、読み出された信号電荷は出力回路604に入力されて信号電圧に変換、かつ所定のゲインで増幅され、A/Dコンバーター612によって各画素毎に順次デジタル信号に変換される。ここで、出力回路604は64本の出力配線608に読み出された信号電荷の合計値を読み出すので、本走査方法では64×64画素分の電荷を1画素として読み出し、A/Dコンバーター612は合計16×16画素分のデータを出力する。このように、本検出器をX線補助検出器8として使用する場合は64×64画素分の電荷を同時に読み出すので、A/Dコンバーター612は、全画素を読み出す場合の4096倍の速度で1フレームを読み出すことができる。これに対して、1フレームが16×16画素のデータとなるため、空間分解能は低くなるが、X線自動露出用のデータとしては十分である。なお、本検出器をX線補助検出器9として使用する場合のフレームレートは毎秒2万フレームである。
【0071】
本検出器をX線検出器8として用いる場合、全画素のうち殆どの画素が正常に動作する必要があるが、このような検出器の製造は一般に困難であり、製造における歩留まりが低いという問題がある。しかし、本検出器をX線補助検出器9として使用する場合、上記のように64×64画素分の電荷を1画素として読み出すため、幾つかの画素がドット落ちあるいはライン落ちしていても、全体的には大きな問題にならない。従って、検出器の製造過程で生じた不良品をX線補助検出器9として使用することができる。すなわち、従来破棄していた不良品をX線補助検出器9として利用できるので、製品コストを下げることができるという効果がある。また、X線検出器8とX線補助検出器9は同一の形状、検出範囲、材質を有するという点においても、好ましい。すなわち、X線検出器8とX線補助検出器9とにおける検出エネルギー依存性を同一にすることができるので、X線検出器8とX線補助検出器9とにおける検出差を小さくできる。したがって、X線補助検出器9で検出するX線量を精度よく推定することができる。
【0072】
以上説明したように、X線検出器として平面型X線検出器を使用した場合、光学像をフォトセンサで一部採光する従来の自動露出方法が適用できなくなるが、本実施の形態のX線装置では、前記平面型X線検出器の背面に補助X線検出器を配置して平面型X線検出器で検出される信号強度を推定できるので、前記推定値に基づきX線透視時およびX線撮影時におけるX線量を自動的に適正値に制御することができる。
【0073】
また、平面型X線検出器と補助X線検出器との感度比を各管電圧およびX線フィルタの組み合わせに対して補正するので、X線透視時およびX線撮影時におけるX線量をより精確に制御することができる。更に、平面型X線検出器を製作する過程で発生した不良品を補助X線検出器として利用することができるので、製品コストを抑えることができる。
【0074】
さらには、推定手段として機能する透視条件演算手段404あるいは撮影条件演算手段500が、X線透視時あるいはX線撮影時におけるX線補助検出器9のゲインGBをそれぞれ算出し、X線補助検出器制御器104に出力することによって、当該X線補助検出器9で検出されるX線強度が極端に小さい場合であってもその出力信号を大きくできるので、この出力信号をA/D変換器611,612でデジタル信号に変換する際に生じる量子化誤差を抑えることができる。したがって、X線透視時およびX線撮影時におけるX線量をさらに精確に制御することができ、高画質のX線透視およびX線撮影ができる。
【0075】
以上、本発明を具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更しうることはいうまでもない。例えば、本実施の形態ではX線補助検出器9としてX線検出器8と同一のものを使用したが、これを蛍光板および光電子増倍管を組み合わせた検出器や、蛍光板および複数のフォトダイオードを組み合わせた検出器等を用いてもよい。また、本実施の形態で述べた平面型X線検出器は単一シリコン結晶上にフォトダイオードおよびMOSトランジスタスイッチを形成する構成であったが、アモルファスシリコン上で同一のものを形成した平面型X線検出器や、アモルファスセレンをX線センサとして使用した平面型X線検出器等でこれを代用してもよい。また、本発明は一般的なX線透視装置、X線撮影装置、立体X線撮影装置等にも適用できることは勿論である。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0077】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0078】
(1)平面X線検出器を使用した場合であってもX線透視時およびX線撮影時のX線量を適正にコントロールすることができる。
【0079】
(2)高画質のX線像すなわち診断能力の高いX線像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のX線装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態におけるX線検出器とX線補助検出器との感度比のX線エネルギー依存性の一例を表すグラフである。
【図3】本実施の形態の感度比テーブルの構成を説明するための図である。
【図4】X線透視時におけるX線条件演算装置の構成および内部の処理の流れを説明するための図である。
【図5】X線撮影時におけるX線条件演算装置105の構成および内部処理の流れを説明するための図である。
【図6】本実施の形態においてX線検出器およびX線補助検出器として使用する平面型X線検出器の回路構成図である。
【図7】本実施の形態においてX線検出器およびX線補助検出器として使用する平面型X線検出器の構造を説明するための断面図の一部である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線フィルタ、3…X線コリメータ、4…被検体、5…寝台天板、6…簡易操作卓、7…X線グリッド、8…X線検出器、9…X線補助検出器、10…モニタ、11…操作卓、12…X線照射野、100…X線制御器、101…X線フィルタ制御器、102…X線コリメータ制御器、103…X線検出器制御器、104…X線補助検出器制御器、105…X線条件演算装置、106…感度比テーブル、107…画像処理装置、401…X線照射野内データ選択手段、402…関心領域内データ選択手段、403…重み付け平均値演算手段、404…透視条件演算手段、500…撮影条件演算手段、501…積分画像生成手段、502…撮影時間判断手段、600,601…y方向走査回路、602…スイッチ、603,604…出力回路、605…アンプ、606…導電性基板、607…ゲート線、608…出力配線、609…MOSトランジスタ、610…フォトダイオード、611,612…A/D変換器、700…ヨウ化セシウム柱状結晶層、701…絶縁膜、702…導電性接続膜、703…コンタクト、704…保護膜、705…シリコン基板。
Claims (3)
- X線を発生し被検体に照射するX線照射手段と、前記X線の照射野を制限するX線照射野制限手段と、前記被検体を透過した後のX線像を検出する第1の平面型X線検出器と、前記被検体を透過したX線強度を計測する第2の平面型X線検出器と、該第2の平面型X線検出器による計測値に基づいて照射X線のエネルギー分布および出力量を所定の値に調整するX線出力調整手段とを有し、前記第1の平面型X線検出器のX線の入力面とは反対の側に前記第2の平面型X線検出器が配置され、前記第2の平面型X線検出器は前記第1の平面型X線検出器と同一の構造を有することを特徴とするX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、
前記X線出力調整手段は、前記第2の平面型X線検出器に入射するX線強度およびエネルギー分布に基づいて、前記第1の平面型X線検出器に入射するX線強度を推定する推定手段を具備することを特徴とするX線装置。 - 請求項1に記載のX線装置において、
前記X線出力調整手段は、前記第2の平面型X線検出器で計測したX線強度に基づいて、X線撮影時における撮影時間を制御する手段を具備することを特徴とするX線装置。
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