JP3578290B2 - 魚介類肝臓の冷凍変性防止方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
従来、冷凍保存時に変性が生じるため冷凍流通、保存が不可能であった魚介類の冷凍技術に関する。本発明はこの難冷凍魚介類の冷凍変性を防止することにより、これらの魚介類冷凍保存を可能ならしめるものである。
【0002】
【従来の技術】
魚介類の保存方法としては、冷蔵、冷凍、活魚、塩蔵、また干物や缶詰等加工食品にすることが知られている。この中でも冷凍保存はその保存期間が長いことから多く利用されている保存方法である。しかしながら魚介類を冷凍する場合その冷凍方法が適切でないと冷凍による変性が生じてしまうのも確かであり、その結果、解凍時のドリップ液増加、冷凍すり身のゲル形成能低下、色調の変化等種種の問題が生じてくる。
【0003】
これらの冷凍変性を防止する方法として、ドリップ液減少には氷結晶成長点(0℃〜−5℃)を短時間で通過する急速凍結法、冷凍すり身のゲル形成能低下防止には砂糖や糖アルコールといったタンパク変性防止剤であるポリオールの添加、鮭等の色調保持にはトコフェロール、アスコルビン酸、カテキン等のポリフェノール、有機酸といった抗酸化剤、またはそのシナジストによる処理等が知られている。
【0004】
しかしながら、これらの対象となるものは比較的油脂含量の少ない筋肉部を主体とするもので、かつ、全体を冷凍しても食用にされる部位はやはり同じく筋肉部である。よって、肝臓のような油脂含量の多い内蔵部、また特に筋肉部の油脂含量の多い魚種を可食に耐え得る良好な状態で冷凍保存する技術ではない。また、これらの中でもアンコウの肝臓は珍重され、生食、蒸しものとして高級珍味としての扱いを受けているにもかかわらず、生鮮物を冷凍保存した場合、苦みの発生、生臭みの発生といった特有の冷凍変性が生じ、それを防止する技術が開発されていない。それ故、流通は冷蔵のみ、またはボイル品の冷凍となっているのが現状である。例えば、特開昭60−199337号には、アンコウ肝を脱血等の前処理を施し、真空包装後ボイルしたものを冷凍する方法が記載されているが、生鮮品を直接冷凍する方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は油脂含量が5%以上の魚介類用冷凍変性防止剤を提供することを目的とする。難冷凍魚介類の冷凍変性を防止することにより、これらの魚介類冷凍保存を可能ならしめるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はタンパク変性防止剤および油脂抗酸化剤を含有する冷凍保存溶液に魚介類肝臓を浸漬した状態で凍結することを特徴とする魚介類肝臓の冷凍変性防止方法である。
【0007】
本発明の対象となる魚介類は、冷凍保存時に種種の変性を生じ、可食に耐えられなくなるものであれば何でも良く、特に油脂含量の多いものにその傾向が強いことから、油脂含量が5%以上、特に好ましくは油脂含量10%以上のものでその効果が著しい。
【0008】
魚介類が含有する油脂の種類は中性脂質、極性脂質どちらでも良く、その構成に影響は受けない。油脂を構成する脂肪酸として魚介類は一般にEPA,DHAといった劣化しやすい高度不飽和脂肪酸を多く含んでいるが、その含量、構成比にも影響されない。可食に耐えられない程度の変性とは、苦みのような異味の発生、魚介類特有の生臭みの増加、食感の変化等を意味する。
【0009】
これらの変化が著しいものとして魚介類肝臓があげられる。肝臓は油脂含量高く、独特の食感を示すことから、生食、蒸し物として食されており、中にはアンコウやカワハギなど商品価値の高いものもある。これら魚介類肝臓を冷凍した場合、苦みの発生と生臭みの増加が生じ、可食に耐えられなくなるが、本発明はこれら魚介類肝臓の冷凍保存に極めて顕著な効果を発揮する。冷凍保存時の対象魚介類組織はそのままでも、また、カット等の処理を施したものでも構わない。対象魚介類の状態は、生鮮でも、ボイル等の加熱処理を施したものでも良いが、特に生鮮(未加熱)品でこの効果は顕著である。
【0010】
本発明で用いられるタンパク変性防止剤は、その分子内に水酸基を多く含む水溶性のポリオール化合物であれば何でも良く、例えば、グルコース、マルトース、キシロース、シュークロースを初めとする単糖類、2糖類、またはオリゴ糖、デキストリン、サイクロデキストリンといった糖類、その糖類が還元されたソルビトール、マンニトール、マルチトール、およびデンプン加水分解還元物といった糖アルコール類、グリセリン等があげられる。その中でも味の面から糖アルコールが最も好ましい。この水溶性ポリオール化合物の濃度はなんら限定されないが、解凍時のドリップを防ぐという目的から好ましくは2%以上、更に好ましくは5%〜15%である。添加方法は特に限定されないが、水溶液に浸漬する、シャワーによる吹き付け等があげられる。
【0011】
本発明で用いられる抗酸化剤は、トコフェロール類、アスコルビン酸またはそのエステル類、エリソルビン酸、カロテノイド類、BHA,BHT,TBHQ,天然ポリフェノール類(カテキン、没食子酸、クロロゲン酸)、フラボノイド類(ローズマリー抽出物、ルチン)等、一般に用いられるものであれば特に限定されないが、色、味の面からトコフェロールとアスコルビン酸またはエリソルビン酸の組合せが適している。中でもトコフェロールは水に可溶化したものが、その効力の維持、扱いやすさといった点から最も適している。相乗効果を期待して、リン脂質や有機酸(リン酸、クエン酸)といった抗酸化剤シナジストを併用しても構わない。添加方法はタンパク変性防止剤と同様、水溶液、または乳化液、可溶化液に浸漬、またはシャワーにより吹き付けることによって添加される。
【0012】
本発明はこれらタンパク変性防止剤と抗酸化剤を併用して用いることによって、初めてその効果が発揮されるものである。よって、この両者は同一の溶液として添加、あるいは浸漬されることが好ましい。冷凍方法は浸漬、吹き付け後、この溶液をグレーズとして冷凍する、あるいはポリ袋等に対象物とこの溶液をともにいれ、浸漬したまま冷凍する方法があげられる。グレーズとして冷凍した場合、冷凍保存が長くなると表面が乾燥してしまうため、長期保存の場合にはポリ袋等に溶液と共に冷凍保存する方法が好ましい。
凍結方法は、ブライン凍結、エアーブラスト凍結、液化ガス(二酸化炭素、窒素等)凍結等、特に限定されない。
【0013】
【実施例】
本発明を実施例によって説明する。本発明はこの実施例によって何ら限定されない。
【0014】
実施例
市場で韓国製空輸生鮮アンキモを購入し、包丁にて厚さ3cmのブロック状に細切後、冷凍保存用サンプルとした。このブロックにしたアンキモ片を3切れずつ約20gになるように小分けし各種冷凍保存溶液50mlに漬け、2時間放置した。放置後、各種冷凍保存溶液と共に酸素透過性を有するパウチに入れて−10℃と−20℃の温度帯で保存した。各種冷凍保存溶液の組成は表1(冷凍保存液の組成:濃度は全てW/V%)に記した。
【0015】
【表1】
【0016】
一定期間冷凍保存したアンキモをパウチごと流水で解凍し、解凍後パウチから取り出し、軽く水洗し、ペーパータオルで軽く拭いた後官能評価を行った。
評価項目としては1.アンキモ片そのもののにおい、2.裏ごししてしょうゆを付け生食した場合の味と臭い、3.蒸した場合の味と臭いについて官能的に評価を行った。表2に原料アンキモの一般組成(%)、表3に代表的な脂肪酸組成を記した。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
表4に−10℃の、表5に−20℃の各々2カ月保存後の冷凍保存後の官能評価の結果を記した。
【0020】
【表4】
【0021】
−10℃ではいずれのサンプルも程度の差こそあれ苦みを生じていたが、実施例1〜4はいずれも臭いが弱く、かつ苦みも少なかった。
その中でも、臭いの面でソルビトール、可溶化トコフェロール、アスコルビン酸の組成を持つ実施例2が最も良好と判断された。
この実施例2で保存したものは臭いは問題にならないが、生食または、蒸して食すると後味に極僅かに苦みが感じられるといった程度である。
カテキン製剤を保存液に用いた実施例3、4では若干アンキモが製剤の色(褐色)を帯びていた。
比較例1、2の無処理及び生理食塩水中に保存したものは魚臭激しく、とても食べられるといったものではなかった。
比較例3ではその臭いが若干弱くなった程度に過ぎなかった。
【0022】
【表5】
【0023】
−20℃では実施例はすべて−10℃保存で僅かに感じられた後味での苦みも全く感じられず、生食、または蒸して食することが十分に可能な状態のものであった。その中でも敢えて言えば臭いの面で実施例2が最も好ましく、殆ど生鮮品と変わらない程度であった。カテキン製剤を用いた実施例3、4ではやはり−10℃保存と同様褐色味を帯びていた。無処理、生理食塩水を用いた比較例1、2は−10℃保存と同様、魚臭激しく、しかも猛烈な苦みであった。比較例3は魚臭、苦みともにやや弱いものの、可食に適した程度ではなかった。
【0024】
【発明の効果】
アンコウ肝臓などの難冷凍魚介類の冷凍変性を防止する冷凍変性防止剤を提供できる。冷凍保存時に変削が生じるため冷凍流通、保存が不可能であった魚介類の冷凍保存を可能とすることができる。
【産業上の利用分野】
従来、冷凍保存時に変性が生じるため冷凍流通、保存が不可能であった魚介類の冷凍技術に関する。本発明はこの難冷凍魚介類の冷凍変性を防止することにより、これらの魚介類冷凍保存を可能ならしめるものである。
【0002】
【従来の技術】
魚介類の保存方法としては、冷蔵、冷凍、活魚、塩蔵、また干物や缶詰等加工食品にすることが知られている。この中でも冷凍保存はその保存期間が長いことから多く利用されている保存方法である。しかしながら魚介類を冷凍する場合その冷凍方法が適切でないと冷凍による変性が生じてしまうのも確かであり、その結果、解凍時のドリップ液増加、冷凍すり身のゲル形成能低下、色調の変化等種種の問題が生じてくる。
【0003】
これらの冷凍変性を防止する方法として、ドリップ液減少には氷結晶成長点(0℃〜−5℃)を短時間で通過する急速凍結法、冷凍すり身のゲル形成能低下防止には砂糖や糖アルコールといったタンパク変性防止剤であるポリオールの添加、鮭等の色調保持にはトコフェロール、アスコルビン酸、カテキン等のポリフェノール、有機酸といった抗酸化剤、またはそのシナジストによる処理等が知られている。
【0004】
しかしながら、これらの対象となるものは比較的油脂含量の少ない筋肉部を主体とするもので、かつ、全体を冷凍しても食用にされる部位はやはり同じく筋肉部である。よって、肝臓のような油脂含量の多い内蔵部、また特に筋肉部の油脂含量の多い魚種を可食に耐え得る良好な状態で冷凍保存する技術ではない。また、これらの中でもアンコウの肝臓は珍重され、生食、蒸しものとして高級珍味としての扱いを受けているにもかかわらず、生鮮物を冷凍保存した場合、苦みの発生、生臭みの発生といった特有の冷凍変性が生じ、それを防止する技術が開発されていない。それ故、流通は冷蔵のみ、またはボイル品の冷凍となっているのが現状である。例えば、特開昭60−199337号には、アンコウ肝を脱血等の前処理を施し、真空包装後ボイルしたものを冷凍する方法が記載されているが、生鮮品を直接冷凍する方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は油脂含量が5%以上の魚介類用冷凍変性防止剤を提供することを目的とする。難冷凍魚介類の冷凍変性を防止することにより、これらの魚介類冷凍保存を可能ならしめるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はタンパク変性防止剤および油脂抗酸化剤を含有する冷凍保存溶液に魚介類肝臓を浸漬した状態で凍結することを特徴とする魚介類肝臓の冷凍変性防止方法である。
【0007】
本発明の対象となる魚介類は、冷凍保存時に種種の変性を生じ、可食に耐えられなくなるものであれば何でも良く、特に油脂含量の多いものにその傾向が強いことから、油脂含量が5%以上、特に好ましくは油脂含量10%以上のものでその効果が著しい。
【0008】
魚介類が含有する油脂の種類は中性脂質、極性脂質どちらでも良く、その構成に影響は受けない。油脂を構成する脂肪酸として魚介類は一般にEPA,DHAといった劣化しやすい高度不飽和脂肪酸を多く含んでいるが、その含量、構成比にも影響されない。可食に耐えられない程度の変性とは、苦みのような異味の発生、魚介類特有の生臭みの増加、食感の変化等を意味する。
【0009】
これらの変化が著しいものとして魚介類肝臓があげられる。肝臓は油脂含量高く、独特の食感を示すことから、生食、蒸し物として食されており、中にはアンコウやカワハギなど商品価値の高いものもある。これら魚介類肝臓を冷凍した場合、苦みの発生と生臭みの増加が生じ、可食に耐えられなくなるが、本発明はこれら魚介類肝臓の冷凍保存に極めて顕著な効果を発揮する。冷凍保存時の対象魚介類組織はそのままでも、また、カット等の処理を施したものでも構わない。対象魚介類の状態は、生鮮でも、ボイル等の加熱処理を施したものでも良いが、特に生鮮(未加熱)品でこの効果は顕著である。
【0010】
本発明で用いられるタンパク変性防止剤は、その分子内に水酸基を多く含む水溶性のポリオール化合物であれば何でも良く、例えば、グルコース、マルトース、キシロース、シュークロースを初めとする単糖類、2糖類、またはオリゴ糖、デキストリン、サイクロデキストリンといった糖類、その糖類が還元されたソルビトール、マンニトール、マルチトール、およびデンプン加水分解還元物といった糖アルコール類、グリセリン等があげられる。その中でも味の面から糖アルコールが最も好ましい。この水溶性ポリオール化合物の濃度はなんら限定されないが、解凍時のドリップを防ぐという目的から好ましくは2%以上、更に好ましくは5%〜15%である。添加方法は特に限定されないが、水溶液に浸漬する、シャワーによる吹き付け等があげられる。
【0011】
本発明で用いられる抗酸化剤は、トコフェロール類、アスコルビン酸またはそのエステル類、エリソルビン酸、カロテノイド類、BHA,BHT,TBHQ,天然ポリフェノール類(カテキン、没食子酸、クロロゲン酸)、フラボノイド類(ローズマリー抽出物、ルチン)等、一般に用いられるものであれば特に限定されないが、色、味の面からトコフェロールとアスコルビン酸またはエリソルビン酸の組合せが適している。中でもトコフェロールは水に可溶化したものが、その効力の維持、扱いやすさといった点から最も適している。相乗効果を期待して、リン脂質や有機酸(リン酸、クエン酸)といった抗酸化剤シナジストを併用しても構わない。添加方法はタンパク変性防止剤と同様、水溶液、または乳化液、可溶化液に浸漬、またはシャワーにより吹き付けることによって添加される。
【0012】
本発明はこれらタンパク変性防止剤と抗酸化剤を併用して用いることによって、初めてその効果が発揮されるものである。よって、この両者は同一の溶液として添加、あるいは浸漬されることが好ましい。冷凍方法は浸漬、吹き付け後、この溶液をグレーズとして冷凍する、あるいはポリ袋等に対象物とこの溶液をともにいれ、浸漬したまま冷凍する方法があげられる。グレーズとして冷凍した場合、冷凍保存が長くなると表面が乾燥してしまうため、長期保存の場合にはポリ袋等に溶液と共に冷凍保存する方法が好ましい。
凍結方法は、ブライン凍結、エアーブラスト凍結、液化ガス(二酸化炭素、窒素等)凍結等、特に限定されない。
【0013】
【実施例】
本発明を実施例によって説明する。本発明はこの実施例によって何ら限定されない。
【0014】
実施例
市場で韓国製空輸生鮮アンキモを購入し、包丁にて厚さ3cmのブロック状に細切後、冷凍保存用サンプルとした。このブロックにしたアンキモ片を3切れずつ約20gになるように小分けし各種冷凍保存溶液50mlに漬け、2時間放置した。放置後、各種冷凍保存溶液と共に酸素透過性を有するパウチに入れて−10℃と−20℃の温度帯で保存した。各種冷凍保存溶液の組成は表1(冷凍保存液の組成:濃度は全てW/V%)に記した。
【0015】
【表1】
【0016】
一定期間冷凍保存したアンキモをパウチごと流水で解凍し、解凍後パウチから取り出し、軽く水洗し、ペーパータオルで軽く拭いた後官能評価を行った。
評価項目としては1.アンキモ片そのもののにおい、2.裏ごししてしょうゆを付け生食した場合の味と臭い、3.蒸した場合の味と臭いについて官能的に評価を行った。表2に原料アンキモの一般組成(%)、表3に代表的な脂肪酸組成を記した。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
表4に−10℃の、表5に−20℃の各々2カ月保存後の冷凍保存後の官能評価の結果を記した。
【0020】
【表4】
【0021】
−10℃ではいずれのサンプルも程度の差こそあれ苦みを生じていたが、実施例1〜4はいずれも臭いが弱く、かつ苦みも少なかった。
その中でも、臭いの面でソルビトール、可溶化トコフェロール、アスコルビン酸の組成を持つ実施例2が最も良好と判断された。
この実施例2で保存したものは臭いは問題にならないが、生食または、蒸して食すると後味に極僅かに苦みが感じられるといった程度である。
カテキン製剤を保存液に用いた実施例3、4では若干アンキモが製剤の色(褐色)を帯びていた。
比較例1、2の無処理及び生理食塩水中に保存したものは魚臭激しく、とても食べられるといったものではなかった。
比較例3ではその臭いが若干弱くなった程度に過ぎなかった。
【0022】
【表5】
【0023】
−20℃では実施例はすべて−10℃保存で僅かに感じられた後味での苦みも全く感じられず、生食、または蒸して食することが十分に可能な状態のものであった。その中でも敢えて言えば臭いの面で実施例2が最も好ましく、殆ど生鮮品と変わらない程度であった。カテキン製剤を用いた実施例3、4ではやはり−10℃保存と同様褐色味を帯びていた。無処理、生理食塩水を用いた比較例1、2は−10℃保存と同様、魚臭激しく、しかも猛烈な苦みであった。比較例3は魚臭、苦みともにやや弱いものの、可食に適した程度ではなかった。
【0024】
【発明の効果】
アンコウ肝臓などの難冷凍魚介類の冷凍変性を防止する冷凍変性防止剤を提供できる。冷凍保存時に変削が生じるため冷凍流通、保存が不可能であった魚介類の冷凍保存を可能とすることができる。
Claims (7)
- タンパク変性防止剤および油脂抗酸化剤を含有する冷凍保存溶液に魚介類肝臓を浸漬した状態で凍結することを特徴とする魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
- タンパク変性防止剤および油脂抗酸化剤を含有する冷凍保存溶液と魚介類肝臓をパウチに入れて、凍結したことを特徴とする魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
- 肝臓がアンコウ肝臓である請求項1または2の魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
- タンパク変性防止剤がポリオールである請求項1、2または3の魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
- 上記ポリオールが糖、糖アルコールおよびグリセリンからなる群から選ばれる1または2以上のポリオールである請求項5の魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
- 上記油脂抗酸化剤がトコフェロール、またはトコフェロールおよびアスコルビン酸、エリソルビン酸、またはその塩である請求項1ないし5のいずれかの魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
- トコフェロールが可溶化したものである請求項6の魚介類肝臓の冷凍変性防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15210795A JP3578290B2 (ja) | 1995-05-16 | 1995-05-16 | 魚介類肝臓の冷凍変性防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15210795A JP3578290B2 (ja) | 1995-05-16 | 1995-05-16 | 魚介類肝臓の冷凍変性防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08308485A JPH08308485A (ja) | 1996-11-26 |
JP3578290B2 true JP3578290B2 (ja) | 2004-10-20 |
Family
ID=15533211
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15210795A Expired - Fee Related JP3578290B2 (ja) | 1995-05-16 | 1995-05-16 | 魚介類肝臓の冷凍変性防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3578290B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20140017370A1 (en) * | 2011-03-28 | 2014-01-16 | Nippon Suisan Kaisha, Ltd. | Frozen uncooked fish meat product and method for producing same |
-
1995
- 1995-05-16 JP JP15210795A patent/JP3578290B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08308485A (ja) | 1996-11-26 |
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