JP3577276B2 - 裏込めグラウト材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、裏込めグラウト材の製造方法に関し、特に、トンネル裏込めに用いるグラウト材を、モルタルとベントナイトなどの膨潤性材料とを混合して作製する方法の改良技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
山岳トンネルの裏込め注入に使用されるグラウト材には、必要な個所、例えば、空洞部にだけ充填することができる限定注入を可能にするために、加圧や振動の印加により容易に流動する可塑性を備えていることが望ましい。
【0003】
そこで、従来は、この種のグラウト材として、モルタルに水膨潤性のベントナイトを添加して、可塑性を得るようにしていた。このような構成のグラウト材は、通常、構築するトンネルの坑口近傍に、セメント,ベントナイト,細骨材の収納サイロを設置し、注入作業を行うときに、サイロから必要な量の材料を計量器で計量し、ミキサーなどの機械を使用して、グラウト材を製造し、その後これを坑内に搬入して、空洞部に注入していた。
【0004】
ところが、このような裏込めグラウト材の製造方法には、以下に説明する課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、上述した従来の製造方法では、構築するトンネルの坑口近傍に、セメント,ベントナイト,細骨材の収納サイロを設置し、計量器やミキサーなどもサイロの近傍に隣接設置していたので、抗口近傍に広い敷地が必要となり、また、グラウト材を製造する際には、計量器やミキサーなどの操作に複数の作業員が必要になり、敷地の確保ができない場合には、施工が困難になるとともに、コストも高くなるという問題があった。
【0006】
また、トンネルの裏込め注入は、ある時期に集中して大量に注入する必要があるが、このような場合に、計量器で複数種の材料を正確に計量するには、時間がかかり、注入作業の施工能率も低下する。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、抗口近傍に広い敷地を必要とせず、製造コストの低減と、注入作業能率の低下を防止できる裏込めグラウト材の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、水と、水硬性セメントと、ベントナイトからなる水膨潤性物質と、細骨材とを含み、トンネル裏込め注入に用いる可塑性を備えた裏込めグラウト材の製造方法において、前記水膨潤性物質と前記水とを、トンネル抗口近傍で混合・攪拌してスラリーを作製し、前記セメントと細骨材および水とをレディーミクスコンクリート工場で混合してモルタルを作製し、作製されたモルタルを、運搬車の混合,攪拌が可能なドラムに収容してトンネル構築現場まで運搬し、前記ドラム内に収納されている前記モルタルに前記スラリーを添加した後に、混合攪拌してグラウト材を作製する製造方法であって、前記スラリーは、前記水膨潤性物質と前記水とを混合・攪拌した後に、所定時間静置して、前記水膨潤性物質を十分に膨潤・分散させるようにした。
このように構成した裏込めグラウト材の製造方法によれば、トンネル抗口近傍では、水膨潤性物質と水とを混合・攪拌してスラリーを作製するだけなので、それほど広い敷地面積を必要としない。
また、モルタルは、セメントと細骨材および水とをレディーミクスコンクリート工場で混合して作製し、作製されたモルタルを、運搬車の混合,攪拌が可能なドラムに収容してトンネル構築現場まで運搬し、ドラム内に収納されているモルタルにスラリーを添加した後に、混合攪拌してグラウト材を作製するので、作業員は、スラリーの作製およびその添加要員だけで済み、せいぜい2名程度いればよい。
さらに、モルタルは、レディーミクスコンクリート工場で作製するので、高品質のものを大量に安定した状態で、必要に応じて供給することができる。
また、本発明では、水膨潤性物質と水と混合・攪拌してスラリーを作製し、作製されたスラリーをモルタルと混練するので、水硬性セメントの水和により発生するカルシウムイオンが、水膨潤性物質を膨潤させる際に存在しないので、カルシウムイオンが水膨潤性物質の膨潤作用に影響を及ぼすことがなくなる。
本発明の製造方法では、前記スラリーは、前記水膨潤性物質と前記水とを混合・攪拌した後に、所定時間静置して、前記水膨潤性物質を十分に膨潤・分散させるので、グラウト材の粘性を高め、可塑性を得るのに必要な量だけ添加すればよく、水膨潤性物質の添加量の低減を図ることができる。
また、特に、水膨潤性物質の添加量が低減すると、裏込めグラウト材の単位水量を多くすることができるので、グラウト材の比重が小さくなり、トンネル裏込めに用いる場合には、覆工部の荷重を軽減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明にかかる裏込めグラウト材の製造方法の一実施例を示している。
【0010】
同図に示した裏込めグラウト材の製造方法では、裏込めグラウト材Gが、水Wと、ベントナイト(水膨潤性物質)Bと、水硬性セメントCと、細骨材sとを用いて作製される。
【0011】
本実施例の場合には、裏込めグラウト材Gは、ベントナイトスラリーSとモルタルMとに分けて、それぞれ別の場所で作製される。すなわち、ベントナイトスラリーSは、構築するトンネル10の抗口近傍に作泥装置12を設置して、ここで作製される。
【0012】
作泥装置12は、水Wを収容する水タンク12aと、顆粒状のベントナイトBを収容するサイロ12bと、ミキサ12cと、スラリータンク12dとを備えている。
【0013】
このような作泥装置12では、所定量の水WとベントナイトBとを計量して、ミキサ12cによりこれらを混合,攪拌して、所定配合比のベントナイトスラリーSを予め作製し、これをスラリータンク12d内に収容しておく。
【0014】
一方、モルタルMは、レディーミクスコンクリート工場で、セメントCと細骨材sと水とを用いて、バッチャープラント14で所定配合にて作製される。作製されたモルタルMは、運搬車16の混合,攪拌が可能なドラム18に収容され、トンネル10の構築現場まで搬送される。
【0015】
トンネル10の抗口まで運搬車16により搬送されたモルタルMには、スラリータタンク12d内に収容されているベントナイトスラリーSが所定量添加される。
【0016】
この場合のベントナイトスラリーSの添加は、ドラム18内に収容されているモルタルMに注入することにより行われ、所定量のベントナイトスラリーSが注入されると、ドラム18を高速回転させることにより、モルタルMとベントナイトスラリーSとを混合,攪拌させて、裏込めグラウト材Gが作製される。
【0017】
このようにして作製された裏込めグラウト材Gは、その後、同じ運搬車16によりトンネル10内の注入現場まで搬送され、ホッパ20内に投入される。
【0018】
ホッパ20に投入された裏込めグラウト材Gは、ポンプ22に接続された注入管24を介して、トンネル10の覆工部の背面側に存在する空洞部26に注入充填される。
【0019】
以下に示した表は、本実施例で作製する裏込めグラウト材Gの配合比率の一例と、同グラウト材Gの作製に用いるモルタルMおよびベントナイトスラリーSの配合比をそれぞれ示している。
【0020】
【表】
【0021】
さて、以上のような裏込めグラウト材Gの製造方法によれば、トンネル抗口近傍では、ベントナイト(水膨潤性物質)Bと水Wとを混合・攪拌してスラリーSを作製するだけなので、それほど広い敷地面積を必要としない。
【0022】
また、モルタルMは、セメントCと骨材sおよび水Wとをレディーミクスコンクリート工場で混合して作製し、作製されたモルタルMを、運搬車16の混合,攪拌が可能なドラム18に収容してトンネル10の構築現場まで運搬し、ドラム18内に収納されているモルタルMにスラリーSを添加した後に、混合攪拌してグラウト材Gを作製するので、作業員は、スラリーSの作製およびその添加要員だけで済み、せいぜい2名程度いればよく、製造コストの低減を図れる。
【0023】
さらに、モルタルMは、レディーミクスコンクリート工場で作製するので、高品質のものを大量に安定した状態で、必要に応じて供給することができ、裏込め作業の能率の向上を図ることができる。
【0024】
また、本実施例の場合には、ベントナイト(水膨潤性物質)Bと水Wとを混合・攪拌してスラリーSを作製し、作製されたスラリーSをモルタルMと混練するので、水硬性セメントCの水和により発生するカルシウムイオンが、ベントナイト(水膨潤性物質)Bを膨潤させる際に存在しないので、カルシウムイオンがベントナイト(水膨潤性物質)Bの膨潤作用に影響を及ぼすことがなくなる。
【0025】
この場合、カルシウムイオンの影響を確実に排除するには、ベントナイトスラリーSは、ベントナイト(水膨潤性物質)Bと水Wとを混合・攪拌した後に、所定時間静置して、ベントナイト(水膨潤性物質)Bを十分に膨潤・分散させることである。
【0026】
このようにすれば、ベントナイト(水膨潤性物質)Bと水Wとを混合・攪拌しした後に、十分に膨潤・分散させるので、グラウト材Gの粘性を高め、可塑性を得るのに必要な量だけ添加すればよく、ベントナイト(水膨潤性物質)Bの添加量の低減を図ることができる。
【0027】
また、特に、ベントナイト(水膨潤性物質)Bの添加量が低減すると、裏込めグラウト材Gの単位水量を多くすることができるので、グラウト材Gの比重が小さくなり、トンネル裏込めに用いる場合には、覆工部の荷重を軽減することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる裏込めグラウト材の製造方法によれば、抗口近傍に広い敷地を必要とせず、製造コストの低減と、注入作業能率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる裏込めグラウト材の製造方法の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 トンネル
12 作泥装置
14 バッチャープラント
16 運搬車
18 ドラム
G 裏込めグラウト材
B ベントナイト
C 水硬性セメント
S ベントナイトスラリー
s 細骨材
W 水
Claims (1)
- 水と、水硬性セメントと、ベントナイトからなる水膨潤性物質と、細骨材とを含み、トンネル裏込め注入に用いる可塑性を備えた裏込めグラウト材の製造方法において、
前記水膨潤性物質と前記水とを、トンネル抗口近傍で混合・攪拌してスラリーを作製し、
前記セメントと細骨材および水とをレディーミクスコンクリート工場で混合してモルタルを作製し、作製されたモルタルを、運搬車の混合,攪拌が可能なドラムに収容してトンネル構築現場まで運搬し、
前記ドラム内に収納されている前記モルタルに前記スラリーを添加した後に、混合攪拌してグラウト材を作製する製造方法であって、
前記スラリーは、前記水膨潤性物質と前記水とを混合・攪拌した後に、所定時間静置して、前記水膨潤性物質を十分に膨潤・分散させることを特徴とする裏込めグラウト材の製造方法。
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JP2000349166A JP3577276B2 (ja) | 2000-11-16 | 2000-11-16 | 裏込めグラウト材の製造方法 |
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JP2000349166A JP3577276B2 (ja) | 2000-11-16 | 2000-11-16 | 裏込めグラウト材の製造方法 |
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JP5205833B2 (ja) * | 2007-06-25 | 2013-06-05 | 株式会社大林組 | 再生微粉を用いた可塑性グラウト材の製造方法 |
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2000
- 2000-11-16 JP JP2000349166A patent/JP3577276B2/ja not_active Expired - Lifetime
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