JP3577211B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板、液晶ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板および光ディスク用基板などの薄板状基板(以下、単に「基板」と称する)を所定の処理手順に従って搬送する基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記のような基板処理装置は、基板に対して洗浄処理やエッチング処理などの諸処理を行う複数の処理部を備えている。そして、予め定められた手順に従って、各処理部に基板を循環搬送ないし一方向へ搬送し、搬送先のそれぞれの処理部において所定の処理を行う複数工程により、一連の基板処理を達成している。
【0003】
このような基板処理装置においては、一般に、オペレータが複数の基板(以下、「ロット」と称する)を収納したキャリアを装置の端部にセットし、処理開始ボタンを押すことにより、装置の基板搬送ロボットがキャリアの搬送を開始し、キャリア内の基板について処理が行われるようにされている。ここで、装置にはキャリア投入用の扉が設けられていることが多く、キャリアセット後一旦扉を閉じると、新たにキャリアを投入するとき以外には安全のために扉は開かないようにされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、キャリアをセットし、扉を閉じてから、オペレータが不具合を見いだす場合がある。例えば、当該キャリアを載置する向きが間違っていたことに気付いた場合などである。
【0005】
従来、このような場合に、当該キャリアについて処理を中止するための手段は存在しなかった。そして、どうしても処理を中止したい場合には、装置全体を停止させ、キャリアを回収することとしていた。
【0006】
しかし、通常、上記のような基板処理装置は、1つのロットについての処理が終了する前に、他のロットの処理を開始するため、装置全体を停止させると不具合のあるロットについてのみならず、正常に処理が行われているロットについても処理が中断することになる。そして、例えば、正常なロットについてのエッチング処理中に装置が停止すると、エッチング処理を行っている処理槽からロットを搬出することができなくなるため、いわゆるオーバーエッチングの状態となり、そのロットは不良ロットとして処分せざるを得ない。近年は、基板の大口径化に伴って、基板の単価も急激に上昇しており、不良のロットを発生させることは著しい経済的損失に繋がる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板投入後にその基板の不具合に気付いた場合であっても、装置全体を停止させることなく当該基板を回収することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板を所定の処理手順に従って搬送する基板処理装置であって、投入された基板が載置される載置位置と、前記載置位置の側方に設けられた搬入扉とを備える基板投入部と、前記載置位置に載置された基板の搬送を行う基板搬送手段と、投入中止の指示入力が行われる指示入力手段と、前記投入された基板の処理状態および前記基板搬送手段の搬送動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部に、前記指示入力手段より投入中止の指示が入力されたときに、既に投入された基板のうち前記基板搬送手段による搬送が開始されている基板については影響を与えることなく、前記基板搬送手段による搬送が開始されていない基板については前記載置位置からの搬送を行わずに前記搬入扉を開閉可能な状態とさせている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
<A.基板処理装置の構成>
図1は、本発明に係る基板処理装置の全体概略構成を示す平面図である。この基板処理装置は、硫酸、アンモニア、塩酸、フッ酸、過酸化水素水またはそれらの混合液などの薬液および純水を使用して、基板に洗浄処理を行う装置である。そして、この基板処理装置は、未処理基板からなるロットを収納したキャリアの投入を行う基板投入部A、基板洗浄処理を行う洗浄処理部Bおよび洗浄処理済みの基板からなるロットを収納したキャリアを払い出す基板払出部Cを備えている。なお、本実施形態の基板処理装置は、キャリアに収納された状態で投入されたロットを、そのキャリアから取り出した状態で洗浄処理を行う装置、すなわちいわゆるキャリアレスの基板処理装置である。
【0011】
基板投入部Aには、キャリア載置位置P1、予備位置P2および処理準備位置P3の3種類の基板搬送位置が設けられている。キャリア載置位置P1は、オペレータが未処理基板からなるロットを収納したキャリアを載置する基板搬送位置である。処理準備位置P3は、図示を省略するホルダによってキャリア底部からロットが突き上げられて取り出される基板搬送位置である。また、予備位置P2は、処理準備位置P3にキャリアを搬送できない場合に、そのキャリアを一時的に待機させるバッファエリア的な機能を果たす基板搬送位置である。
【0012】
ここで、それぞれの基板搬送位置は2つずつ設けられているため、厳密には基板投入部Aに6つの基板搬送位置が設けられていることになるが、基板搬送手順として考えた場合、例えば2つの予備位置P2は相互に等価であるため、実質的には3つの基板搬送位置が設けられていることになる。
【0013】
基板投入部Aのキャリア載置位置P1の側方には搬入扉D1が設けられている。搬入扉D1は、通常は安全のため、閉じられた状態となっているが、キャリアの投入時には、オペレータが搬入扉D1を開けた状態でキャリア載置位置P1にキャリアを載置することになる。
【0014】
また、基板投入部Aには、基板搬送ロボットTR1が設けられている。基板搬送ロボットTR1は、キャリア載置位置P1、予備位置P2および処理準備位置P3の配列の方向に沿って移動することが可能であり、それら基板搬送位置間でのキャリアの搬送を行う。
【0015】
さらに、基板投入部Aには、オペレータが基板投入の操作を行うための操作部10が設けられている。図2は、基板投入部Aの操作部10を示す模式図である。操作部10は、5つの操作ボタンで構成されている。動作禁止ボタンB1は、基板搬送ロボットTR1の動作を禁止するため操作ボタンであり、これによりオペレータと基板搬送ロボットTR1とが干渉する危険を防ぐことができる。投入確認ボタンB2は、オペレータがキャリアを投入したときに搬送を開始させる旨を装置に指示するための操作ボタンである。払出確認ボタンB3は、オペレータが基板投入部Aからキャリアを回収したときに、その旨を装置に伝えるための操作ボタンである。また、1キャリア搬送ボタンB4は、2つのキャリアを並列的に搬送するのではなく、それぞれが2つずつ設けられている基板搬送位置の1つのみを使用して、1つのキャリアを搬送するための操作ボタンである。投入中止ボタンB5については、さらに後述する。
【0016】
図1に戻り、洗浄処理部Bは、複数の処理槽を備え、それぞれの槽には上記薬液または純水が貯留されている。そして、洗浄処理部Bにおいては、ロットを薬液または純水に浸漬させることによって、基板に対するエッチングや洗浄等の処理を行う。洗浄処理部Bには、基板搬送ロボットTR3が設けられており、基板搬送ロボットTR3は処理準備位置P3で受け取ったロットを処理槽に順次搬送し、後述する処理終了位置P4までの基板搬送を担当する。
【0017】
基板払出部Cは、基板投入部Aと類似の構成とされており、すなわち処理終了位置P4、予備位置P5およびキャリア載置位置P6の3種類の基板搬送位置が設けられている。処理終了位置P4は、処理準備位置P3と同じ構成であり、キャリア底部から突き出された図示を省略するホルダがロットを受け取り、キャリア内に収納する基板搬送位置である。キャリア載置位置P6は、オペレータが処理済み基板からなるロットを収納したキャリアを回収する基板搬送位置である。また、予備位置P5は、キャリア載置位置P6にキャリアを搬送できない場合に、そのキャリアを一時的に待機させるバッファエリア的な機能を果たす基板搬送位置である。
【0018】
基板払出部Cのキャリア載置位置P6の側方には搬出扉D2が設けられている。搬出扉D2は、通常は安全のため、閉じられた状態となっているが、キャリアの回収時には、オペレータが搬出扉D2を開けた状態でキャリア載置位置P6からキャリアを回収することになる。
【0019】
また、基板払出部Cには、基板搬送ロボットTR2が設けられている。基板搬送ロボットTR2は、キャリア載置位置P6、予備位置P5および処理終了位置P4の配列の方向に沿って移動することが可能であり、それら基板搬送位置間でのキャリアの搬送を行う。
【0020】
さらに、基板払出部Cにも、基板投入部Aの操作部10と同様の操作部(図示省略)が設けられている。
【0021】
次に、上記基板処理装置の制御機構について説明する。図3は、基板処理装置の制御機構を説明するための機能ブロック図である。この基板処理装置には、卓上型コンピュータ30が組み込まれており、オペレータは当該卓上型コンピュータ30を介して装置に指令を与えたり、処理パターンや処理条件の設定を行ったりできる。
【0022】
卓上型コンピュータ30は、その本体部であるCPU31と、読み出し専用メモリーであるROM32と、読み書き自在のメモリーであるRAM33と、制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスク34と、付随する入出力機器とのインターフェイスである入出力ポート35と、基板処理装置を直接制御する装置とのインターフェイスであるネットワークポート36と、基板処理装置外部に設けられているホストコンピュータなどと通信を行う通信ポート37とを備えている。また、卓上型コンピュータ30には、入出力ポート35を介してディスプレイ38とキーボード39とが付随して設けられており、オペレータはディスプレイ38の表示を確認しつつ、キーボード39からコマンドやパラメータを入力することができる。
【0023】
卓上型コンピュータ30に入力された指令は、処理用のソフトウェアに基づいて処理され、必要に応じて当該卓上型コンピュータ30からネットワークポート36を介してマスターコントローラ40および槽コントローラ50などに伝達される。マスターコントローラ40は、上述した基板搬送ロボットTR1、TR2、TR3の動作などを制御する。また、槽コントローラ50は、洗浄処理部Bに設けられた各処理槽への注排液などを制御する。
【0024】
<B.基板処理装置の処理手順>
次に、以上のような構成を有する基板処理装置における処理手順について説明する。図4は、本発明に係る基板処理装置における処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、基板投入部Aのキャリア載置位置P1に未処理ロットを収納したキャリアが載置されてから処理開始までの一連の手順を示している。
【0025】
まず、ステップS1では、オペレータが操作部10の動作禁止ボタンB1を押す。これにより、基板搬送ロボットTR1は人と干渉しない安全な位置に待避する(ステップS2)。そして、基板搬送ロボットTR1の待避が終了すると、搬入扉D1が開閉可能な状態となり、オペレータが搬入扉D1を開け(ステップS3)、そこから未処理基板のロットを収納したキャリアを投入し、キャリア載置位置P1に載置する(ステップS4)。なお、このときには、2つのキャリア載置位置P1のそれぞれに1つずつキャリアを載置して並列的に処理を行わせるのが普通であるが、どちらか一方のキャリア載置位置P1に1つのキャリアのみを載置するようにしても良い。
【0026】
キャリアの載置が終了すると、ステップS5に進み、オペレータが搬入扉D1を閉じた後、投入確認ボタンB2を押す(ステップS6)。既述したように、投入確認ボタンB2は、オペレータがキャリアを投入したときに搬送を開始させる旨を装置に指示するための操作ボタンである。そして、このとき同時に、オペレータはキャリアの状態をチェックする(ステップS7、S8)。ここで、キャリアの状態とは、キャリア載置位置P1の載置の状態であり、例えば、キャリアを載置する向きが間違っていないか等をチェックする。
【0027】
ここで、間違いがなければ、ステップS9に進み、オペレータが上記卓上型コンピュータ30のキーボード39を介して確認入力を行うことにより、そのキャリアに収納されたロットについての処理用データが卓上型コンピュータ30によってマスターコントローラ40にセットされる。その後、オペレータが再び動作禁止ボタンB1を押すことにより(ステップS10)、基板搬送ロボットTR1が搬送を開始する(ステップS11)。
【0028】
一方、キャリアの向きが間違っているなど、キャリアの状態に間違いがある場合には、ステップS8からステップS12に進み、オペレータは投入中止ボタンB5を押す。このようにすると、マスターコントローラ40は搬入扉D1を開閉可能な状態とし、ステップS3に戻る。そして、オペレータは、再び搬入扉D1を開けてキャリアを載置し直した後、上記と同様の手順が行われる。
【0029】
上記処理内容をマスターコントローラ40の側から見ると、投入中止ボタンB5が押されることによって図5に示すような制御内容を実行することとなる。
【0030】
図5は、本実施形態におけるマスターコントローラ40の制御内容を説明するための概念図である。図中において、P1、P2、P3と記載しているのは、それぞれキャリア載置位置P1、予備位置P2および処理準備位置P3を示している。また、図の横軸は時間軸とし、L1、L2、L3と記載しているのは、それぞれ未処理ロットを収納したキャリアを示している。ここでは、キャリアL1は基板搬送ロボットTR1によって予備位置P2から処理準備位置P3へ搬送される途中であり、キャリアL2は予備位置P2に待機しており、またキャリアL3はキャリア載置位置P1において搬送準備中である。
【0031】
この時点において、オペレータがキャリアL3について不具合を見いだした場合には、投入中止ボタンB5を押す。すると、上述したように、マスターコントローラ40は搬入扉D1を開閉可能な状態とし、キーボード39を介した確認入力(図4のステップS9)が未だなされず、搬送が開始されていないキャリアL3については処理解除状態とする(図中のキャリアL3についての一点鎖線)。そして、投入中止ボタンB5が押されたとしても、確認入力が終了し、基板搬送ロボットTR1による搬送が開始されているキャリアL1、L2についての処理には影響を与えない。
【0032】
このように、投入中止ボタンB5が押されることによってマスターコントローラ40は、搬送が開始されているキャリアには影響を与えることなく、搬送が開始されていないキャリアのみについて処理解除状態とする。したがって、オペレータがキャリア投入後にそのキャリアの不具合に気付いた場合であっても、装置全体を停止させることなく当該キャリアを回収することができる。
【0033】
<C.変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態はキャリアレスの基板処理装置としていたが、これに限らず、搬送用のキャリアに収納された未処理基板を処理用のキャリアに移載した状態で洗浄処理等を行う基板処理装置であってもよい。また、操作部10は、操作ボタンで構成するに限らず、タッチパネルスイッチやマウスパッド、キーボード等で構成してもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、指示入力手段より投入中止の指示が入力されたときに、既に投入された基板のうち基板搬送手段による搬送が開始されている基板については影響を与えることなく、基板搬送手段による搬送が開始されていない基板については載置位置からの搬送を行わずに搬入扉を開閉可能な状態とするため、基板投入後にその基板の不具合に気付いた場合であっても、装置全体を停止させることなく、当該搬送が開始されていない基板のみを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の全体概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の基板処理装置の基板投入部の操作部を示す模式図である。
【図3】図1の基板処理装置の制御機構を説明するための機能ブロック図である。
【図4】図1の基板処理装置における処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1の基板処理装置のマスターコントローラの制御内容を説明するための概念図である。
【符号の説明】
10 操作部
30 卓上型コンピュータ
40 マスターコントローラ
A 基板投入部
B5 投入中止ボタン
D1 搬入扉
TR1、TR2、TR3 基板搬送ロボット

Claims (1)

  1. 基板を所定の処理手順に従って搬送する基板処理装置であって、
    投入された基板が載置される載置位置と、前記載置位置の側方に設けられた搬入扉とを備える基板投入部と、
    前記載置位置に載置された基板の搬送を行う基板搬送手段と、
    投入中止の指示入力が行われる指示入力手段と、
    前記投入された基板の処理状態および前記基板搬送手段の搬送動作を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記指示入力手段より投入中止の指示が入力されたときに、既に投入された基板のうち前記基板搬送手段による搬送が開始されている基板については影響を与えることなく、前記基板搬送手段による搬送が開始されていない基板については前記載置位置からの搬送を行わずに前記搬入扉を開閉可能な状態とすることを特徴とする基板処理装置。
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